JP6269396B2 - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機を備える車両用駆動装置に関する。
回転電機を備える車両用駆動装置においては、回転電機の冷却や、駆動装置内に通常備えられる各種のギヤやベアリング等の潤滑を適切に行うことが必要とされる。このような冷却及び潤滑を行うための技術として、車両用駆動装置のケースの下部に形成されるオイル貯留部に貯留されたオイルを掻き上げて対象部位へと供給する技術が知られている。このような技術は、例えば特開2011−120417号公報(特許文献1)によって公知である。
特許文献1に記載された構成では、オイルを掻き上げるための掻上部材とケースの内面の一部とが軸方向に対向して配置され、これらの軸方向の隙間を通ってオイル貯留部からオイルが掻き上げられる。車両用駆動装置の小型化の観点からは、掻上部材とケースとの間の軸方向隙間は小さい方が好ましい。一方、軸方向隙間が小さくなるに従ってオイルの掻上量が制約を受けるため、冷却効果及び潤滑効果を高めるためには軸方向隙間はある程度大きい方が好ましい。
特開2011−120417号公報
上述した、相反する要求を共に満足させる技術の実現が望まれる。
本開示に係る車両用駆動装置は、
ロータを有する回転電機と、前記回転電機を収容するケースと、前記ケースの下部にオイルを貯留可能に形成されたオイル貯留部と、前記ロータと一体回転して前記オイル貯留部に貯留されたオイルを掻き上げる掻上部材と、を備える車両用駆動装置であって、
前記ロータと一体回転するロータ軸と、
前記ロータ軸と一体回転する駆動ギヤと、
前記駆動ギヤに噛み合う従動ギヤと、を備え、
前記掻上部材と前記ケースの内面の一部である対向内面とが前記ロータ軸の軸方向に対向して配置され、
前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤが斜歯に形成されるとともに、その噛合部において車両の前進力行時に前記駆動ギヤを前記対向内面から離間させる向きのスラスト力が生じるように前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤの斜歯の向きが設定されている。
この構成によれば、ロータ軸を回転可能に支持するために必要とされる、ロータ軸とその支持機構との間の軸方向のクリアランスを利用して、回転電機の冷却及び各ギヤの潤滑が最も必要となる車両の前進力行時に、当該軸方向のクリアランスに相当する分だけ掻上部材と対向内面との隙間を拡大させ、オイルの掻上量を増加させることができる。このように、ロータ軸とその支持機構との間に必要な軸方向のクリアランスを有効利用して、車両用駆動装置を大型化することなく、状況に応じて必要なオイル掻上量を確保することが可能となっている。従って、車両用駆動装置の小型化と冷却効果及び潤滑効果の向上とを共に達成することができる。
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、以下の説明によってより明確になるであろう。
実施形態に係る車両用駆動装置の断面図 回転電機及び掻上部材の斜視図 ケースの周壁面と掻上部材との位置関係を示す説明図 第一ケース部材を軸方向に見た図 サンギヤとピニオンとの噛み合いの様子を示す斜視図 ケースの対向内面と掻上部材との位置関係の変化態様を示す説明図 車両用駆動装置の別態様を示す断面図
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に記載する実施形態によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
本実施形態に係る車両用駆動装置1は、例えば電動車両やハイブリッド車両等の車両において、左右一対の車輪Wのそれぞれに取り付けられて対応する車輪Wを駆動するドライブユニットDとして用いられる。本実施形態では、車両用駆動装置1をインホイールタイプの駆動装置(ドライブユニットD)に適用した場合を例として説明する。
なお、以下の説明では、回転電機3及びロータ軸4の軸心を基準として、「軸方向A」、「径方向R」、及び「周方向」を定義する。すなわち、「軸方向A」はロータ軸4の軸心に沿う方向を表し、「径方向R」はロータ軸4の軸心に直交する方向を表し、「周方向」はロータ軸4の周りを周回する方向を表す。また、「軸第一方向A1側」は軸方向Aの一方側である図1における左側を表し、「軸第二方向A2側」は軸方向Aの他方側である右側を表す。また、「上」は図2における上側を表し、「下」は下側を表す。なお、図2における上下方向は、車両用駆動装置1を車両(図示せず)に搭載した状態における上下方向(鉛直方向)と一致する。
図1に示すように、車両用駆動装置1は、ケース2と、回転電機3と、ロータ軸4と、ギヤ機構5と、掻上部材6と、オイル貯留部7と、出力軸9とを備えている。回転電機3、ロータ軸4、及び出力軸9は同軸に配置されている。本実施形態では、ギヤ機構5もロータ軸4等と同軸に配置されている。回転電機3、ロータ軸4、ギヤ機構5、及び掻上部材6はケース2内に収容されている。オイル貯留部7は、ケース2の下部にオイルを貯留可能に形成されている。出力軸9は、その一部がケース2から露出する状態で配置されている。
ケース2は、回転電機3及びギヤ機構5等の収容空間Sを形成する第一ケース部材21と、この第一ケース部材21に固定される第二ケース部材22とを有する。第一ケース部材21及び第二ケース部材22は、それぞれ有底の筒状に形成されている。第一ケース部材21と第二ケース部材22とは、液密状態で軸方向Aに接合されている。本実施形態では、第一ケース部材21に対して軸第一方向A1側から第二ケース部材22が接合されている。第二ケース部材22は、その径方向Rの中心部に円筒状のスリーブ部22Aを有している。このスリーブ部22Aに挿通される状態で、出力軸9が配置されている。
第一ケース部材21は、収容空間Sの径方向外側を覆うとともに軸第二方向A2側を覆うように略碗状に形成されている。「略碗状」とは、碗状、又は、多少の凹凸や異形部分があったとしても全体としては碗状とみなすことができる形状を表す(以下、「略」を用いて表現する他の形状・状態等に関しても同様である)。第一ケース部材21における軸第二方向A2側の壁部の内面(収容空間S側の面)の一部は、掻上部材6に対して軸方向Aに対向して配置された対向内面21aとなっている。本実施形態では、対向内面21aは、掻上本体部61の少なくとも外周部分に対向するように形成されている。対向内面21aは、径方向R及び周方向に延びるように形成されている。対向内面21aは、周方向全体に亘って連続する環状に形成されても良いし、周方向の一部が途切れて略C字状に形成されても良い。また、周方向に分割された複数の円弧帯状の面の集合として形成されても良い(この場合、第一ケース部材21の端壁部の内面は、対向内面21aと凹部とで凹凸状に形成されることになる)。
対向内面21aは、オイル貯留部7に貯留されたオイルの液面の位置(オイルレベルL)を含む領域に設けられている。詳しくは後述するように、オイル貯留部7におけるオイルレベルLは回転電機3のステータ31の内周面よりも径方向外側に位置するように構成されている。このため、対向内面21aも、ステータ31の内周面よりも径方向外側の領域に少なくとも設けられている。この場合において、例えば図1に示すように、対向内面21aがステータ31の内周面よりも径方向外側の領域のみに設けられても良い。なお、ケース2(第一ケース部材21及び第二ケース部材22の両方)の周壁部には、径方向外側に膨出する径方向膨出部27がケース2の下部に形成されており、この径方向膨出部27を利用してオイル貯留部7が形成されている(図3も参照)。
図1及び図4に示すように、第一ケース部材21の内面側には、ボス部23、オイル捕集部24、及び滴下用リブ25が形成されている。ボス部23は、第一ケース部材21の端壁部から軸第一方向A1側に向かって突出するように略円筒状に形成されている。ボス部23には、ロータ軸4の軸第二方向A2側の端部を回転可能に支持する第二軸受92が内嵌されている。ボス部23は、上方側の一部が切り欠かれて形成された切欠部23aを有する。オイル捕集部24は、ボス部23の切欠部23aから図4において左右両方向に延びるように形成されている。一対のオイル捕集部24のそれぞれは、先端部から切欠部23aに向かうに従って下方となる配置でリブ状に形成されている。滴下用リブ25は、ボス部23及びオイル捕集部24よりも上側に形成されている。本実施形態では、一対のオイル捕集部24のそれぞれの先端部どうしの間の領域に、一対の滴下用リブ25がそれぞれ径方向Rに沿うように形成されている。
図1に示すように、回転電機3は、ステータ31とロータ32とを有する。ステータ31は第一ケース部材21に固定されている。ステータ31は、ステータコア31Aとコイルエンド部31Bとを含む。ステータコア31Aは、例えば円環板状の電磁鋼板を複数枚積層した積層構造体である。コイルエンド部31Bは、ステータコア31Aに巻装されたコイルのうち、ステータコア31Aから軸方向Aの両側にそれぞれ突出する部分である。ロータ32は、ステータ31の径方向内側に、ステータ31に対して隙間(エアギャップG)を隔てた状態で配置されている。ロータ32は、ロータコア32Aと永久磁石32Bとを含む。ロータコア32Aは、例えば円環板状の電磁鋼板を複数枚積層した積層構造体である。永久磁石32Bは、ロータコア32Aに埋め込まれている。
ロータ32は、ロータ連結部34を介してロータ軸4に固定されている。ロータ連結部34は、一体的に形成された筒状部34Aとフランジ部34Bとを有する。筒状部34Aは、ロータコア32Aを径方向内側から支持している。ロータコア32Aは、軸方向Aの両側に配置されたエンドプレート35によって挟持されて軸方向位置が定まった状態で筒状部34Aに支持されている。フランジ部34Bは、筒状部34Aの軸第二方向A2側の端部から径方向内側に向かって延び、その径方向内側端部でロータ軸4に連結されている。このようにして、ロータ32、ロータ連結部34、及びロータ軸4は一体回転する。これらは、軸方向Aの相互位置関係が定まった状態で一体回転する。なお、フランジ部34Bと第一ケース部材21の端部壁との軸方向Aの間には、回転センサ38が設けられている。回転センサ38は、筒状部34Aよりも径方向内側に配置されている。
ロータ軸4は、軸方向Aの両端部で、2つの軸受(第一軸受91及び第二軸受92)によって回転可能な状態で径方向Rに支持されている。ロータ軸4は、軸第一方向A1側では、第一軸受91により、第三軸受93を介してケース2(本例では第二ケース部材22)に支持された状態の出力軸9に支持されている。ロータ軸4は、軸第二方向A2側では、第二軸受92により、ケース2(本例では第一ケース部材21)に支持されている。このように、本実施形態では、ケース2に「支持される」は、直接支持されることの他、軸受のみを介して支持されることや、軸受と他の部材とを介して支持されることを含む概念である。
ロータ軸4の内部には、軸方向Aに沿って延びる軸内油路47が形成されている。軸内油路47はロータ軸4を軸方向Aに貫通するように形成されている。また、軸内油路47は、ロータ軸4の内部を径方向Rに延びる連通孔48により、ロータ軸4の外周面に連通している。連通孔48の開口は、ギヤ機構5の一例であるプラネタリギヤ機構50の径方向内側に位置している。ロータ軸4の外周面には、外歯のギヤが形成されている。このギヤは、本実施形態では、プラネタリギヤ機構50が有するサンギヤ51となっている。サンギヤ51は、ロータ軸4における軸方向Aでロータ連結部34と第一軸受91によって支持される部分との間に形成されている。サンギヤ51は、ロータ軸4と一体回転する。また、サンギヤ51は、ロータ32及びロータ連結部34と一体回転する。このようにして、回転電機3が出力する回転及びトルクは、ロータ連結部34及びロータ軸4を介してサンギヤ51に伝達される。本実施形態では、サンギヤ51が「駆動ギヤ」に相当する。
プラネタリギヤ機構50は、サンギヤ51と、サンギヤ51に噛み合う複数のピニオン55と、複数のピニオン55を回転自在に支持するキャリヤ52と、複数のピニオン55に共通に噛み合う内歯のリングギヤ56とを有する。本実施形態では、ピニオン55が「被駆動ギヤ」に相当する。ピニオン55と、これに噛み合うサンギヤ51及びリングギヤ56とは、いずれも斜歯に形成されている(図5を参照)。
図1に示すように、キャリヤ52は、出力軸9の軸第二方向A2側の端部に形成されたフランジ部9Aに固定されたキャリヤカバー53を有する。キャリヤカバー53は、フランジ部9Aと軸方向Aに対向する部分を有しており、当該対向部分とフランジ部9Aとに亘って複数のピニオン軸54が架け渡されている。そして、複数のピニオン軸54のそれぞれに、ニードルベアリングを介してピニオン55が回転自在に支持されている。ピニオン55に噛み合うリングギヤ56は、円筒状のリングギヤ形成部材70の内周面に形成されている。リングギヤ形成部材70は、支持部材80を介してケース2(本例では第二ケース部材22)に固定されている。リングギヤ形成部材70と支持部材80とは、相対回転が規制された状態で互いに係合している。また、リングギヤ形成部材70と支持部材80とは、スナップリング77によって抜け止め係止されている。
プラネタリギヤ機構50は、回転電機3の径方向内側において、径方向Rに見て回転電機3と重複する部分を有するように配置されている。なお、2つの部材の配置に関して、「ある方向に見て重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線に直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの部材の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを意味する。このような配置構成を採用することで、車両用駆動装置1の軸方向長さが短く抑えられ、装置全体の小型化が図られている。
プラネタリギヤ機構50は、回転電機3の出力回転を変速(本例では減速)して出力軸9に伝達する変速機構(本例では減速機構)として機能する。サンギヤ51には、ロータ連結部34及びロータ軸4を介して回転電機3(ロータ32)の出力回転が伝達される。リングギヤ56は、リングギヤ形成部材70及び支持部材80を介してケース2に固定されている。このため、回転電機3の出力回転はサンギヤ51とリングギヤ56との歯数比に応じて減速されてキャリヤ52に伝達され、当該減速回転はさらに、フランジ部9Aを介してキャリヤ52と一体回転する出力軸9に伝達される。このような減速機構を備えることで、比較的小型の回転電機3を用いつつ、大きな駆動力(トルクと同義)を確保可能としている。
出力軸9は、第二ケース部材22のスリーブ部22Aに内嵌された第三軸受93によって回転可能な状態で径方向Rに支持されている。出力軸9の軸第二方向A2側の端部には、軸方向Aに沿う有底孔である軸端孔部9bが形成されている。軸端孔部9bには、ロータ軸4の軸第一方向A1側の端部を回転可能に支持する第一軸受91が内嵌されている。
出力軸9は、車輪Wに駆動連結されている。「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を意味する。この概念には、2つの回転要素が一体回転するように連結された状態や、1つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態が含まれる。このような伝動部材には、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材(軸、歯車機構、ベルト等)が含まれ、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置(摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等)が含まれても良い。
出力軸9は、ケース2の外に露出する部分(第三軸受93よりも軸第一方向A1側の部分)において第一ハブ部材11と一体回転するように連結されている。なお、第一ハブ部材11と第二ケース部材22との間には、オイルをシールするためのシール部材95が配置されている。第一ハブ部材11は、タイヤ(図示せず)が取り付けられるリム部材14を径方向Rに支持する第二ハブ部材12に固定されている。こうして、車両用駆動装置1と車輪Wとが一体的に設けられている。車両用駆動装置1及び車輪Wは、懸架装置(図示せず)を介して車体(図示せず)に懸架されている。
車両用駆動装置1において、運転者のアクセル操作等に基づく車両の前進力行時には、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置(図示せず)からインバータ装置(図示せず)を介して回転電機3のステータ31に電力が供給され、ロータ32が回転駆動される。すると、ロータ連結部34を介してロータ軸4が回転駆動され、さらにプラネタリギヤ機構50によって減速された回転が出力軸9に伝達されて、車輪Wが回転駆動されることになる。一方、運転者のアクセル操作やブレーキ操作等に基づく車両の前進減速時には、慣性力によって車輪W及び出力軸9が回転駆動され、さらにプラネタリギヤ機構50によって増速された回転がロータ軸4に伝達される。すると、ロータ連結部34を介してロータ32が回転駆動されてステータ31に逆起電力が生じるので、これをインバータ装置を介して蓄電装置に供給して、蓄電装置を充電することができる。
車両の走行中は、力行制御及び回生制御によって発熱する回転電機3の冷却や、摺動状態で動作する各種のギヤ(サンギヤ51,ピニオン55,リングギヤ56)や軸受91〜93等の潤滑を行うことが必要となる。このような冷却及び潤滑を適切に行うため、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、ケース2の下部に形成されるオイル貯留部7に貯留されたオイルを掻き上げて対象部位へと供給する構造(掻き上げオイル供給構造)を採用している。
掻き上げオイル供給構造を実現するため、車両用駆動装置1は、図1及び図2に示すように、ロータ32と一体回転してオイル貯留部7に貯留されたオイルを掻き上げる掻上部材6を備えている。掻上部材6は回転電機3によって回転駆動される。言い換えれば、回転電機3は、車両を走行させるための駆動力源として機能する他、同時に、掻上部材6を回転駆動するための駆動力源としても機能する。
上述したように、ロータコア32Aの軸方向Aの両側にはエンドプレート35が取り付けられている。本実施形態では、そのようなエンドプレート35を部分的に利用して、掻上部材6を設けている。より具体的には、掻上部材6は、ロータコア32Aに対して軸第二方向A2側に取り付けられたエンドプレート35と一体的に形成されている。但し、そのような構成に限定されることなく、掻上部材6とエンドプレート35とが別体として構成されても良い。
本実施形態では、掻上部材6は、周方向全体に亘って連続する環状に形成されている。掻上部材6は、一体的に形成された掻上本体部61と接続部62とを有する。掻上本体部61は、オイルを掻き上げるための中核をなす部分であり、径方向Rに沿う略円環板状に形成されている。接続部62は、軸第二方向A2側のエンドプレート35と掻上本体部61とを接続する部分であり、略円筒状に形成されている。掻上本体部61及び接続部62は、ロータ軸4の径方向外側に配置されている。また、掻上本体部61は、第一ケース部材21の対向内面21aに対して軸方向Aに対向して配置されている。
掻上部材6は、接続部62の軸第二方向A2側の端部から掻上本体部61が径方向外側に延びるように屈曲形成されている。掻上部材6は、軸第二方向A2側のコイルエンド部31Bと所定間隔を隔てて、当該コイルエンド部31Bの外形に沿って配置されている。接続部62は、軸第二方向A2側のコイルエンド部31Bの径方向内側において、径方向Rに見て当該コイルエンド部31Bと重複する部分を有するように配置されている。掻上本体部61は、軸第二方向A2側のコイルエンド部31Bよりも軸第二方向A2側において、軸方向Aに見て当該コイルエンド部31Bと重複する部分を有するように配置されている。言い換えれば、掻上本体部61は、ステータ31よりも軸第二方向A2側であってその内周面よりも径方向外側となる部分を有するように配置されている。
本実施形態では、掻上部材6に接続部62を具備させることで、軸第二方向A2側のコイルエンド部31Bを迂回するように掻上部材6を配置して、ステータコア31Aの内周面よりも径方向外側の領域に掻上本体部61を配置することを可能としている。なお、掻上本体部61は、その全体がステータコア31Aの外周面よりも径方向内側に配置されている。また、本実施形態では、掻上本体部61は、回転センサ38の径方向外側において、径方向Rに見て当該回転センサ38と重複する部分を有するように配置されている。
図2に示すように、掻上本体部61には、オイルを効率的に掻き上げるための凹凸部63が形成されている。このような凹凸部63は、略円環板状の掻上本体部61における軸方向Aの両面の少なくとも一方(本例では両方)に形成された複数の凹溝64によって形成されている。それぞれの凹溝64は径方向Rに沿って形成されており、複数の凹溝64は放射状に配置されている。本実施形態では、掻上本体部61の軸第一方向A1側の面に形成される凹溝64と、軸第二方向A2側の面に形成される凹溝64とは、周方向に1つずつ交互に現れるように配置されている。また、凹溝64は、その径方向外側端部が掻上本体部61の径方向外側端縁と一致するように形成されている。言い換えれば、掻上本体部61は、径方向Rには凹凸を有することなく一律の外径を有するように形成されている。また、掻上本体部61の内径も一律であり、これにより掻上本体部61は径方向幅が一定に形成されている。
凹凸部63は、ロータ32の主回転方向C1を向く第一掻上面65を備えている。なお、「主回転方向C1を向く」とは、対象となっている面(ここでは第一掻上面65)の法線ベクトルが主回転方向C1に略一致することを意味する。「主回転方向C1」は、車両の前進時にロータ32が回転する方向である。また、凹凸部63は、主回転方向C1とは逆の方向である従回転方向C2を向く第二掻上面66を備えている。なお、「従回転方向C2を向く」とは対象となっている面(ここでは第二掻上面66)の法線ベクトルが従回転方向C2に略一致することを意味する。このような第一掻上面65及び第二掻上面66を備えることで、車両の進行方向によらずにオイルを確実に掻き上げることができる。
また、本実施形態では、凹溝64の径方向外側端部が掻上本体部61の径方向外側端縁と一致するように形成され、凹溝64は掻上本体部61の径方向外側端縁に開口している。このため、第一掻上面65や第二掻上面66によって掻き上げられたオイルを、掻上本体部61の径方向外側端縁の開口から容易に径方向外側に飛ばすことができ、オイルを効率良く周囲に供給することができる。
掻上部材6によって掻き上げられてその周囲に飛散されたオイルの一部は、ステータ31に供給されてステータコア31Aやコイルエンド部31Bを冷却する。また、飛散されたオイルの一部は、第一ケース部材21の周壁部の内面に沿って概ね周方向に移動する。なお、図4には、一例として、回転電機3のロータ32が主回転方向C1に回転している場合のオイルの流れを矢印で示している。周方向に移動するオイルの少なくとも一部は、滴下用リブ25に衝突してオイル捕集部24へと滴下する。オイルは、オイル捕集部24に沿って流下し、切欠部23aを通ってボス部23の径方向内側空間へと導かれる。オイルは、さらにロータ軸4内の軸内油路47及び連通孔48を通ってロータ軸4の径方向外側であってプラネタリギヤ機構50の径方向内側の空間に供給される。
このような一連の流れの中で、オイルの一部は、プラネタリギヤ機構50に供給されて各ギヤの噛合部(サンギヤ51とピニオン55との噛合部、及びリングギヤ56とピニオン55との噛合部)を潤滑する。また、オイルの一部は、軸受91〜93に供給されてこれらにおける摺動部(インナーレース及びアウターレースと転動体との摺動部)を潤滑する。車両用駆動装置1の各部において冷却又は潤滑の用を果たしたオイルは、自然流下によってオイル貯留部7に戻される。
オイル貯留部7に現に貯留されているオイルのオイルレベルLは、掻上部材6によって掻き上げられてから再度オイル貯留部7に戻るまでのオイルの総量に応じて、静止時のオイルレベル(以下、「静止レベル」と言う;図3において二点鎖線で表示)に比べて低下する。本実施形態では、ケース2内に収容するオイルの量は、車両走行中(回転電機3の動作中)におけるオイルレベルLがステータコア31Aの内周面の最下部よりも下側に位置するように設定されている。例えば、車両の常用車速域(回転電機3の常用回転速度域)での走行中におけるオイルレベルLがステータコア31Aの内周面の最下部よりも下側に位置するように設定されていると好適である。「常用車速域」とは、車両の通常走行時における一般的な走行速度の範囲であり、例えば法定最高速度として道路種別等に応じて設定される場合のある30km/h〜100km/hの範囲が例示される。考慮対象をある程度の規模の一般道路に限れば、例えば40km/h〜60km/hの範囲を常用車速域と考えることもできる。回転電機3の「常用回転速度域」は、上述した常用車速域に対応する、ロータ32の回転速度の範囲である。
このような基準に従ってオイルの量を設定しているので、常用車速域での車両走行中には、オイル貯留部7におけるオイルレベルLは、ステータコア31Aの内周面の最下部よりも下側に位置することになる。このため、ステータ31とロータ32との間のエアギャップGにオイルがほとんど存在しなくなるので、エアギャップGに存在するオイルによるせん断損失を大きく低減することができる。なお、「せん断損失」は、エアギャップGにオイルが存在する状態でロータ32が回転することによる、エアギャップG内のオイルのせん断に起因する損失である。
なお、オイルの静止レベルもステータコア31Aの内周面の最下部よりも下側に位置するように、オイルの量を設定しても良い。このようにすれば、車両の走行状態によらずにせん断損失を大きく低減することができる。この場合、少なくとも掻上部材6(掻上本体部61)の最下部がオイルの静止レベルよりも下側に位置するように掻上部材6(掻上本体部61)のサイズが決定される。これにより、ロータ32が回転を開始して掻上部材6が回転を開始した際にも、適切にオイルを掻き上げることができる。
ロータ32の回転に伴う掻上部材6によるオイルの掻上量は、ロータ32の回転速度が高くなるに従って多くなる。このため、オイル貯留部7のオイルレベルLは、ロータ32の回転速度に応じて変化し、ロータ32の回転速度が高くなるに従って低くなる。このため、例えば上述した回転電機3の常用回転速度域において、図3等に示すようにオイル貯留部7のオイルレベルLが掻上部材6(掻上本体部61)の最下部よりも下側に位置するようになる場合もある。
このような場合には、オイル貯留部7のオイルを掻上部材6の2つの掻上面65,66によって直接掻き上げることができないので、オイル貯留部7からオイルを吸引して、当該オイルを掻上部材6によって掻き上げるように構成されている。より具体的には、図3に示すように、ケース2(ここでは特に径方向膨出部27)の内壁面は、オイル貯留部7の最深部から主回転方向C1へ向かうに従って、掻上本体部61の径方向外側端縁に近づくように形成されている。言い換えれば、径方向膨出部27の内壁面は、オイル貯留部7の最深部からロータ32の主回転方向C1へ向かうに従って、掻上隙間28が小さくなるように形成されている。なお、掻上隙間28は、掻上本体部61の径方向外側端縁とケース2の内壁面との間の径方向Rの隙間である。
上記のように掻上隙間28が形成されているため、オイル貯留部7の最深部からロータ32の主回転方向C1へ向かうに従って、空気が流れる流路幅が狭くなり、空気の流速が高くなる。これにより、ロータ32が主回転方向C1に回転している状態では、オイル貯留部7の最深部からロータ32の主回転方向C1へ向かうに従って気圧が低くなる圧力分布が得られる。よって、オイル貯留部7のオイルレベルLが掻上本体部61の最下部より低い場合であっても、負圧によってオイルを吸引することができ(図3の白抜き矢印を参照)、当該吸引したオイルを掻き上げることができる。
ところで、オイル貯留部7のオイルは、軸方向Aに対向して配置された掻上部材6とケース2の対向内面21aとの間の軸方向Aの隙間(以下、「軸方向隙間29」と言う;図6を参照)を通って吸引される。オイルの吸引量は、ロータ32の回転速度が同一であっても軸方向隙間29の大きさにある程度依存し、軸方向隙間29が小さくなるに従ってオイルの吸引量(ひいては掻上量)が物理的制約を受ける。このため、回転電機3の冷却効果や各種のギヤ・軸受等の潤滑効果を高めるためには軸方向隙間29はある程度大きい方が好ましい。一方、軸方向隙間29を大きく取れば、オイル貯留部7に対応する部位における装置軸長の拡大につながるため、車両用駆動装置1の小型化の観点からは軸方向隙間29は小さい方が好ましい。
このような相反する要求に対して、各部の誤差やクリアランス等を考慮することなく、車両用駆動装置1の小型化と冷却効果及び潤滑効果の向上との両方を考慮した総合的な効果が極大化されるように、軸方向隙間29を一意に定めることも考えられる。すなわち、車両用駆動装置1の小型化と冷却効果及び潤滑効果の向上とのバランスが最適化されるように、例えばシミュレーションや試行錯誤等によって、特定の軸方向隙間29を決定することも考えられる。これに対して、本実施形態では、軸方向隙間29を一意に定めるのではなく、プラネタリギヤ機構50が有する各ギヤの構成を利用して、車両の走行状態に応じて軸方向隙間29を動的に変化させる構成を採用している。以下、この点について詳述する。
車両の停止時には、回転電機3も停止しておりロータ32の回転速度はゼロである。この状態で、掻上部材6(掻上本体部61)とケース2の対向内面21aとが互いに接触することなく維持されるように、軸方向隙間29の初期値が設定される(図6の上段を参照)。例えば第一ケース部材21のボス部23と第二軸受92との間や、第二軸受92とロータ軸4との間にはそれぞれ軸方向Aのクリアランスが存在するので、これらの総和に必要最小限の余裕代を加味した大きさを、軸方向隙間29の初期値として設定すると好適である。このようにすれば、車両用駆動装置1を小型化することができる。
軸方向隙間29の大きさは、上記の初期値から車両の走行状態に応じて拡大可能となっている。上述したように、プラネタリギヤ機構50に備えられるピニオン55とこれに噛み合うサンギヤ51及びリングギヤ56とは、いずれも斜歯に形成されている(図5を参照)。なお、図5においては、サンギヤ51及び複数のピニオン55との噛合部Eのみを表示し、リングギヤ56の表示を省略している。また、図5においては、車両の前進力行時における各部材の回転及び伝達される駆動力の向きを細矢印で表している。互いに噛み合うサンギヤ51及びピニオン55のそれぞれの斜歯は、サンギヤ51とピニオン55との噛合部Eにおいて、車両の前進力行時にサンギヤ51を軸第一方向A1側に向かわせるスラスト力Fが生じる向きとなるように設定されている。言い換えれば、サンギヤ51とピニオン55との噛合部Eにおいて、車両の前進力行時にサンギヤ51を対向内面21aから離間させる向きのスラスト力Fが生じるように、サンギヤ51及びピニオン55の斜歯の向きが設定されている。
本実施形態では、サンギヤ51はロータ軸4の外周面に形成されており、このロータ軸4はロータ連結部34を介してロータ32と一体回転するように連結されている。また、掻上部材6も、ロータ32と一体回転するように連結されている。互いに一体化されるロータ軸4、ロータ連結部34、ロータ32、及び掻上部材6は、車両の前進力行時にサンギヤ51に作用するスラスト力Fにより、同様に軸第一方向A1側に向かう向きの力の作用を受ける。そして、例えばロータ軸4と第一軸受91との間や、第一軸受91と出力軸9との間、出力軸9と第三軸受93との間、第三軸受93と第二ケース部材22のスリーブ部22Aとの間にはそれぞれ軸方向Aのクリアランスが存在するので、これらの総和の範囲内で、実際に軸第一方向A1側へのスライド移動が可能である。よって、車両の前進力行時に、掻上部材6を車両の停止時に比べて軸第一方向A1側へと移動させて対向内面21aから離間させ、軸方向隙間29を拡大させることができる(図6の下段を参照)。
軸方向隙間29が拡大することで、オイルの吸引量(ひいては掻上量)に対する物理的制約が小さくなり、十分な量のオイルを吸引する(掻き上げる)ことが可能となる。よって、回転電機3の冷却効果や各種のギヤ・軸受等の潤滑効果を効果的に高めることができる。特に、回転電機3が発熱するとともに各種のギヤ・軸受等が摺動状態で動作する車両の前進力行時に軸方向隙間29が拡大するので、冷却及び潤滑が必要とされる状況下で、自動的かつ的確に冷却効果及び潤滑効果を高めることができる。
なお、車両の後進力行時や前進回生時には、上記とは反対に、第一ケース部材21のボス部23と第二軸受92との間や、第二軸受92とロータ軸4との間の軸方向Aのクリアランスの総和の範囲内で掻上部材6が対向内面21aに近づく(軸方向隙間29が縮小する)。しかし、そもそも掻上部材6の対向内面21a側への可動範囲は、対向内面21aから離間する側への可動範囲に比べて小さい。しかも、車両が後進力行したり前進回生したりする時間は、前進力行する時間に比べて非常に短い場合が多い。このため、車両の走行状態に応じて軸方向隙間29が縮小し得ることによるデメリットは、ほとんどないと言って差し支えない。
本実施形態のように車両用駆動装置1をインホイールタイプのドライブユニットDとして用いる場合には、左右一対の車輪Wのうち少なくとも一方の車輪Wを駆動するドライブユニットDとして用いることができる。すなわち、左右一対の車輪Wのそれぞれを駆動する一対のドライブユニットDとして計2台の車両用駆動装置1を用いても良いし、左右いずれか一方の車輪Wを駆動するドライブユニットDだけに車両用駆動装置1を用いても良い。後者の場合には、必要とされる冷却及び潤滑の程度を考慮して、左右一対の車輪Wのうち、より大きな負荷が作用する方の車輪Wを駆動するドライブユニットDに車両用駆動装置1を用いることが好ましい。そのような大負荷作用車輪としては、例えば物流分野において予め定められた特定ルートに沿って走行する搬送車に備えられる、当該特定ルートとの関係で外輪となる割合の高い方の車輪Wが例示される。
〔その他の実施形態〕
車両用駆動装置のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、シングルピニオン型のプラネタリギヤ機構50(ギヤ機構5の一例)が有するサンギヤ51及びピニオン55を、互いに噛み合う「駆動ギヤ」及び「被駆動ギヤ」として斜歯の向きを好適に設定した例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。「駆動ギヤ」及び「被駆動ギヤ」の組み合わせは、これ以外にも、例えばダブルピニオン型又はラビニヨ型のプラネタリギヤ機構が有するサンギヤ及びピニオンであっても良い。また、例えば図7に示すように、サンギヤ51と、サンギヤ51に噛み合う大径ピニオン55A及び当該大径ピニオン55Aよりも小径の小径ピニオン55Bを含む複数のステップドピニオンと、複数のステップドピニオンを回転自在に支持するキャリヤ52と、複数の小径ピニオン55Bに共通に噛み合う内歯のリングギヤ56とを有するプラネタリギヤ機構50における、サンギヤ51及び大径ピニオン55Aであっても良い。或いは、例えばロータ軸4に形成された第1のギヤ(第一ギヤ)に対して、カウンタギヤ機構(ギヤ機構5の一例)が有する1つのギヤや、アイドルギヤ、出力ギヤ等の第2のギヤ(第二ギヤ)が噛み合う場合における、第一ギヤ及び第二ギヤであっても良い。
(2)上記の実施形態では、掻上部材6が周方向全体に亘って連続する環状に形成されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。掻上部材6は、周方向の少なくとも一部において周方向に連続する部分がないように形成されても良い。すなわち、掻上部材6は、例えば周方向の一部が途切れて略C字状に形成されても良いし、周方向に分割された複数の円弧帯状部材を互いに連結することによって形成されても良い。
(3)上記の実施形態では、掻上部材6が、凹凸部63として掻上本体部61の軸方向Aの両面において径方向Rに沿って形成された凹溝64を有する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。掻上部材6が、例えば径方向Rに対して交差する方向に沿って形成される凹溝を有しても良いし、或いは、円形や矩形等の所定形状の凹部を有しても良い。これらの場合において、掻上本体部61の軸方向Aのいずれか一方の面にのみ凹溝64等が設けられても良いし、そのような凹溝64等が一切設けられなくても良い。さらに、掻上部材6が、掻上本体部61の径方向外側端部に径方向Rの凹凸部63を有するように構成されても良い。
(4)上記の実施形態では、対向内面21aが掻上本体部61の外周部分だけに対向するように形成され、掻上本体部61の径方向幅よりも小さい径方向幅を有する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば対向内面21aは、掻上本体部61の径方向幅と略同一の径方向幅を有しても良いし、図7に示すように掻上本体部61の内周部分にも対向するように形成されて径方向幅よりも大きい径方向幅を有しても良い。後者の場合には、対向内面21aは、掻上本体部61の径方向Rの全域に亘って対向内面21aに対向するとともに周方向に延びる円環帯状又は円弧帯状の面を備えることになる。
(5)上記の実施形態では、車両用駆動装置1をインホイールタイプの駆動装置(ドライブユニットD)に適用し、2台の車両用駆動装置1を用いて左右一対の車輪Wを個別に駆動する例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば車両用駆動装置1に駆動力分配用のディファレンシャル装置を設け、1台の車両用駆動装置1を用いて左右一対の車輪Wの両方を一括的に駆動しても良い。この場合において、車両の駆動力源として、回転電機3と内燃機関とを併用するように車両用駆動装置1が構成されても良い。
(6)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎないと理解されるべきである。従って、当業者は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
〔実施形態の概要〕
以上をまとめると、本開示に係る車両用駆動装置は、好適には、以下の各構成を備える。
[1]
ロータ(32)を有する回転電機(3)と、前記回転電機(3)を収容するケース(2)と、前記ケース(2)の下部にオイルを貯留可能に形成されたオイル貯留部(7)と、前記ロータ(32)と一体回転して前記オイル貯留部(7)に貯留されたオイルを掻き上げる掻上部材(6)と、を備える車両用駆動装置(1)であって、
前記ロータ(32)と一体回転するロータ軸(4)と、
前記ロータ軸(4)と一体回転する駆動ギヤ(51)と、
前記駆動ギヤ(51)に噛み合う従動ギヤ(55,55A)と、を備え、
前記掻上部材(6)と前記ケースの内面(2)の一部である対向内面(21a)とが前記ロータ軸(4)の軸方向(A)に対向して配置され、
前記駆動ギヤ(51)及び前記従動ギヤ(55,55A)が斜歯に形成されるとともに、その噛合部(E)において車両の前進力行時に前記駆動ギヤ(51)を前記対向内面(21a)から離間させる向きのスラスト力(F)が生じるように前記駆動ギヤ(51)及び前記従動ギヤ(55,55A)の斜歯の向きが設定されている。
この構成によれば、ロータ、ロータ軸、駆動ギヤ、及び掻上部材が一体回転する。このため、駆動ギヤ及び従動ギヤの斜歯の向きを上記のように設定することで、ロータ軸を回転可能に支持するために必要とされる、ロータ軸とその支持機構との間の軸方向のクリアランスを利用して、車両の前進力行時に、対向内面に対して軸方向に対向する掻上部材を対向内面から離間させることができる。特に、回転電機の冷却及び各ギヤの潤滑が最も必要となる車両の前進力行時に、当該軸方向のクリアランスに相当する分だけ掻上部材と対向内面との隙間を拡大させ、オイルの掻上量を増加させることができる。よって、掻上部材と対向内面との軸方向の隙間を極力小さく初期設定しつつ、車両の前進力行時にはその隙間を拡大させることができる。このように、ロータ軸とその支持機構との間に必要な軸方向のクリアランスを有効利用して、車両用駆動装置を大型化することなく、状況に応じて必要なオイル掻上量を確保することが可能となっている。従って、車両用駆動装置の小型化と、回転電機に対する冷却効果及び各種のギヤ・軸受等に対する潤滑効果の向上とを、共に達成することができる。
[2]
前記ケース(2)の内面における前記オイル貯留部(7)に貯留されたオイルの液面(L)の位置を含む領域に前記対向内面(21a)が設けられている。
この構成によれば、オイル貯留部のオイルの液面が掻上部材の最下部よりも下側に位置する場合にも、オイル貯留部からオイルを吸引して、当該吸引したオイルを掻上部材によって掻き上げることが容易となる。
[3]
前記掻上部材(6)は、前記ロータ軸(4)の径方向外側に配置された掻上本体部(61)を備え、
前記掻上本体部(61)は、径方向幅が一定に形成されている。
この構成によれば、ロータと共に回転する際に掻上本体部が占有する径方向の領域を小さく抑えることができる。よって、ケース内における掻上本体部の配置自由度を高めることができ、或いは、周囲の部材を掻上本体部側に寄せて車両用駆動装置のさらなる小型化を図ることが容易となる。
[4]
前記対向内面(21a)は、前記掻上本体部(61)の少なくとも外周部分に対向するとともに前記ロータ軸(4)周りの周方向に延びる円弧帯状の面を備えている。
この構成によれば、掻上本体部が少なくとも外周部分で対向内面と軸方向に対向することになる。よって、対向内面における掻上本体部の外周部分に対向する円弧帯状の面がオイル貯留部のオイルの液面の位置を含む領域に設けられる場合には、オイル貯留部からのオイルの吸引をより確実ならしめることができる。
[5]
左右一対の車輪(W)のそれぞれに取り付けられて対応する車輪(W)を駆動する一対のドライブユニット(D)を備える車両において、前記左右一対の車輪(W)のうち少なくとも大きな負荷が作用する方の車輪(W)を駆動するドライブユニット(D)として用いられる。
この構成によれば、少なくともより大きな負荷が作用する方の車輪用のドライブユニットとして用いられる車両用駆動装置において、回転電機に対する冷却や各種のギヤ・軸受等に対する潤滑を、効果的に行うことができる。
本開示に係る車両用駆動装置は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。
本発明は、車両を駆動するための駆動装置に利用することができる。
1 車両用駆動装置
2 ケース
3 回転電機
4 ロータ軸
5 ギヤ機構
6 掻上部材
7 オイル貯留部
21a 対向内面
29 軸方向隙間
32 ロータ
50 プラネタリギヤ機構
51 サンギヤ(駆動ギヤ)
55 ピニオン(被駆動ギヤ)
55A 大径ピニオン(被駆動ギヤ)
61 掻上本体部
D ドライブユニット
W 車輪
E 噛合部
F スラスト力
A 軸方向
R 径方向

Claims (5)

  1. ロータを有する回転電機と、前記回転電機を収容するケースと、前記ケースの下部にオイルを貯留可能に形成されたオイル貯留部と、前記ロータと一体回転して前記オイル貯留部に貯留されたオイルを掻き上げる掻上部材と、を備える車両用駆動装置であって、
    前記ロータと一体回転するロータ軸と、
    前記ロータ軸と一体回転する駆動ギヤと、
    前記駆動ギヤに噛み合う従動ギヤと、を備え、
    前記掻上部材と前記ケースの内面の一部である対向内面とが前記ロータ軸の軸方向に対向して配置され、
    前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤが斜歯に形成されるとともに、その噛合部において車両の前進力行時に前記駆動ギヤを前記対向内面から離間させる向きのスラスト力が生じるように前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤの斜歯の向きが設定されている車両用駆動装置。
  2. 前記ケースの内面における前記オイル貯留部に貯留されたオイルの液面の位置を含む領域に前記対向内面が設けられている請求項1に記載の車両用駆動装置。
  3. 前記掻上部材は、前記ロータ軸の径方向外側に配置された掻上本体部を備え、
    前記掻上本体部は、径方向幅が一定に形成されている請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
  4. 前記対向内面は、前記掻上本体部の少なくとも外周部分に対向するとともに前記ロータ軸周りの周方向に延びる円弧帯状の面を備えている請求項3に記載の車両用駆動装置。
  5. 左右一対の車輪のそれぞれに取り付けられて対応する車輪を駆動する一対のドライブユニットを備える車両において、前記左右一対の車輪のうち少なくとも大きな負荷が作用する方の車輪を駆動するドライブユニットとして用いられる請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
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