JP6268821B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

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Description

本発明は半導体レーザ装置に関する。
従来、半導体レーザ素子から出射されるレーザ光の進行方向を変更させるビーム折り返し用ミラーを有する半導体レーザ装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
このような半導体レーザ装置では、ビーム折り返し用ミラーは、ミラーマウントに接着されており、ミラーマウントがベース部に固定されている。ミラーマウントのベース部への固定は、接着強度の強い熱硬化性接着剤が使用されている。
特開2002−182104号公報 特開2001−215443号公報
半導体レーザ装置の製造において、ベース部にミラーマウントを固定する際には、半導体レーザ素子より出射されるレーザ光が所望の進行方向に変更されるようにミラーマウントの位置を調整し、その状態でベース部に仮固定する。その後、熱硬化性接着剤を熱硬化させる。
しかしながら、ミラーマウントの位置を調整して仮固定しているにも関わらず、最終的な製品として完成した半導体レーザ装置の中には、ビーム折り返し用ミラーの位置がずれているものがあるといった問題があった。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ビーム折り返し用ミラーの位置ずれが抑制された半導体レーザ装置を提供することにある。
以上のような目的を達成するために、本発明者は、ビーム折り返し用ミラーの位置がずれてしまう原因について鋭意研究を行なった。その結果、ベース部にミラーマウントを仮固定する際に、熱硬化性接着剤に気泡が噛み込まないようにすると、位置ずれが抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の半導体レーザ装置は、
ベース部と、
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子から出射されるレーザ光を反射させるビーム折り返し用ミラーを有するミラーマウントとを備え、
前記ミラーマウントは、底面が前記ベース部の表面に熱硬化性接着剤により固定されており、
前記熱硬化性接着剤を介して対向する前記ミラーマウントの前記底面と前記ベース部の前記表面とにより、前記熱硬化性接着剤に気泡が噛み込むことを抑制するための気泡噛み込み抑制形状が形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、熱硬化性接着剤を介して対向するミラーマウントの底面とベース部の表面とにより、熱硬化性接着剤に気泡が噛み込むことを抑制するための気泡噛み込み抑制形状が形成されている。従って、半導体レーザ装置の製造において、ベース部にミラーマウントを仮固定する際、熱硬化性接着剤に気泡が噛み込むことを抑制することができる。その結果、ビーム折り返し用ミラーの位置ずれを抑制することができる。
本発明者は、その理由として、仮固定時に熱硬化性接着剤に気泡が噛み込むと、その後の熱硬化工程において気泡が膨張し、これによりミラーマウントが位置ずれを起こすと推察している。すなわち、本発明では、仮固定時に熱硬化性接着剤に気泡が噛み込むことを抑制することにより、気泡の膨張によるミラーマウントの位置ずれが抑制されたと推察している。
仮固定時に熱硬化性接着剤に気泡が噛み込むと、その後の熱硬化工程において気泡が膨張し、これによりミラーマウントが位置ずれを起こす点について以下に説明する。
図9(a)〜図9(d)は、従来の半導体レーザ装置の製造方法を説明するための正面模式図である。
従来、ミラーマウント100の底面101は平面であり、ミラーマウント100が接着剤104を介して固定されるベース部102の表面103も平面である。ミラーマウント100の底面101とベース部102の表面103とは、平行となるように接着剤104を介して固定される。ここでは、接着剤として紫外線硬化樹脂が含有された熱硬化性接着剤を用いる場合について説明する。
まず、図9(a)に示すように、ベース部102の表面103に接着剤104が塗布される。接着剤は液状のものが用いられるため、その表面は波打った形状となっている。
次に、図9(b)に示すように、ミラーマウント100をベース部102方向に降下させる。この際、ミラーマウント100の底面101がベース部102の表面103に平行な状態を保つように、降下させる。その後、ミラーマウント100の底面101とベース部102の表面103とが所定の距離となった時点で降下を停止する。ミラーマウント100の底面101とベース部102の表面103とを平行な状態を保ちながら近づけるため、表面の波打った接着剤104の凹部上面に空気が閉じ込められ、気泡106となる。
次に、図9(c)に示すように、この状態で紫外線照射装置108を用いて紫外線を照射し、接着剤104の露出している部分を硬化させる。この紫外線による硬化は、ミラーマウント100とベース部102との間から露出した部分のみを硬化させる工程である。
次に、接着剤104を熱硬化させる。このとき、加熱により気泡106が膨張し、接着剤104が完全に熱硬化していない状態(加熱による昇温により粘度のみ上昇し、熱硬化反応が進行していない状態)でミラーマウント100が押し動かされ、その後、そのまま熱硬化が完了する。その結果、図9(d)に示すように、ミラーマウント100が傾く。
本発明者は、このようなメカニズムにより、ミラーマウントの位置ずれが発生するものと推察している。そして、上記本発明の構成により、気泡の膨張によるミラーマウントの位置ずれが抑制されたと推察している。
前記した本発明の構成においては、前記ミラーマウントの底面が、前記ベース部の表面に対して非平行となる傾斜部を有していても構わない。
前記ミラーマウントの底面が、前記ベース部の表面に対して非平行となる傾斜部を有していると、ベース部にミラーマウントを仮固定する際、前記傾斜部に沿って、気泡が外部へと排出される。従って、熱硬化性接着剤への気泡の噛み込みが抑制される。
前記した本発明の構成においては、前記ミラーマウントの底面に溝が形成されていても構わない。
前記ミラーマウントの底面に溝が形成されていると、溝と熱硬化性接着剤との間は、外部と連通しており気泡が閉じ込められることがない。すなわち、溝と熱硬化性接着剤との間においては、気泡の噛み込みがないため、熱硬化性接着剤全体として気泡の噛み込みが抑制される。
本発明の半導体レーザ装置によれば、ビーム折り返し用ミラーの位置ずれが抑制された半導体レーザ装置を提供することができる。
第1実施形態に係る半導体レーザ装置を模式的に示す斜視図である。 図1に示した半導体レーザ装置を光ファイバーに接続した様子を示す断面平面図である。 図1に示した半導体レーザ装置の部分拡大正面図である。 第1実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための斜視図である。 接着剤を塗布した後の様子を示す部分拡大正面図である。 (a)は、第2実施形態に係る半導体レーザ装置の部分拡大正面図であり、(b)は、(a)に示した半導体レーザ装置の製造工程において、接着剤を塗布した後の様子を示す部分拡大正面図である。 (a)は、第3実施形態に係る半導体レーザ装置の部分拡大正面図であり、(b)は、(a)に示した半導体レーザ装置の製造工程において、接着剤を塗布した後の様子を示す部分拡大正面図である。 (a)は、第4実施形態に係る半導体レーザ装置の部分拡大正面図であり、(b)は、(a)に示した半導体レーザ装置の製造工程において、接着剤を塗布した後の様子を示す部分拡大正面図である。 (a)〜(d)は、従来の半導体レーザ装置の製造方法を説明するための正面模式図である。
本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置につき、図面を参照しつつ説明する。なお、各図において図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る半導体レーザ装置を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示した半導体レーザ装置を光ファイバーに接続した様子を示す断面平面図である。
半導体レーザ装置10は、筐体12と、筐体12の長辺側側壁12bに設けられた複数の半導体レーザ素子16と、筐体12のベース部12aに設けられた複数のミラーマウント20とを有する。
筐体12は、矩形板状のベース部12aと、ベース部12aの一方の長辺から立ち上がった長辺側側壁12bと、ベース部12aの一方の短辺から立ち上がった短辺側側壁12cとを有する。短辺側側壁12cの中央には、貫通穴15が形成されており、貫通穴15には、集光レンズ30が嵌め込まれている。
長辺側側壁12bには、矩形板状の板状部14aと、板状部14aの長辺に沿って等間隔に一列に配列された複数の円筒部14bとを有するレーザーマウント14が設けられている。
レーザーマウント14の各円筒部14b内には、それぞれ1つの半導体レーザ素子16が配置されている。これにより各半導体レーザ素子16からは、互いにある程度平行なレーザ光が出射されることになる。
ミラーマウント20は、直方体形状をしており、1つの長辺が角面取り(C面取り)されている。角面取りされた角面取り部には、ビーム折り返し用ミラー24(以下、単にミラー24ともいう)が図示しない接着剤により貼り付けられている。
ミラーマウント20は、各半導体レーザ素子16に対応付けて1つずつ設けられており、対応する半導体レーザ素子16から出射されるレーザ光の進行方向を90度変更できる位置にミラー24がくるようにベース部12aに固定されている。また、各ミラーマウント20は、他のミラーマウント20によって反射されたレーザ光を遮らないように、順番に位置をずらしながら配置されている。図2に示す例では、各ミラーマウント20は、左側のミラーマウント20から1つずつ右にずれるに連れて半導体レーザ素子16から遠ざかる方向(図2では下側)にずらすようにして配置されている。各ミラー24により反射された各レーザ光は、集光レンズ30で集光された後、短辺側側壁12cのミラーマウント20が配置されている側とは反対側に設けられた光ファイバー60に入射されることとなる。
図3は、図1に示した半導体レーザ装置の部分拡大正面図である。
図3に示すように、ミラーマウント20の底面23は、中央部23bが突出するように2つの平面23aが交差した山型の形状を有している。本実施形態では、ミラーマウント20の底面23の形状が、中央部23bが突出するように2つの平面23aが交差した形状(以下、「凸状V字型」ともいう)となっており、平面23aがベース部12aの表面13に対して非平行となる傾斜部を形成している。平面23aがベース部12aの表面13に対して非平行となる傾斜部を形成しているため、半導体レーザ装置10の製造において、ベース部12aにミラーマウント20を仮固定する際、前記傾斜部に沿って、熱硬化性接着剤26上の気泡が外部へと排出され、熱硬化性接着剤26に気泡が噛み込むことが抑制されている。その結果、本実施形態に係る半導体レーザ装置10は、ミラー24の位置ずれが抑制されている。
熱硬化性接着剤26としては、熱硬化性を有するものであれば特に限定されない。このような熱硬化性接着剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂を含有するもの等が挙げられる。前記熱硬化性接着剤としては、熱硬化前にミラーマウントをベース部に仮固定可能なものであることが好ましい。仮固定とは、熱硬化性接着剤を熱硬化させるまでの間、熱硬化させる前の熱硬化性接着剤によりミラーマウントが動かないようにベース部に固定することをいう。仮固定を好適に行なうことを可能とする熱硬化性接着剤としては、紫外線硬化性樹脂が添加されたものを挙げることができる。紫外線硬化性樹脂が添加された熱硬化性接着剤を用いれば、紫外線硬化によりミラーマウントをベース部に仮固定することができる。また、熱硬化前にミラーマウントをベース部に仮固定可能な熱硬化性接着剤の構成として、熱硬化前に粘着性を有するものが挙げられる。このような熱硬化性接着剤としては、エラストマーが添加されたものを挙げることができる。これらの熱硬化性接着剤は、従来公知のものを採用することができる。本実施形態では、熱硬化性接着剤26として紫外線硬化性樹脂が添加されたものを用いた場合について説明する。
ミラーマウント20の底面23とベース部12aの表面13とは、所定の離間距離d(図3参照)となるように硬化性接着剤26を介して固定されている。前記離間距離dとしては、特に、制限されないが、適量の熱硬化性接着剤26でミラーマウント20をベース部12aに固定できる観点から、50〜2000μmが好ましく、100〜500μmがより好ましい。前記離間距離dとは、ベース部表面とミラーマウントの底面との距離のうち、最も遠い部分の距離をいう。
以上、本実施形態に係る半導体レーザ装置10の構成について説明した。
次に、本実施形態に係る半導体レーザ装置10の製造方法の一例について説明する。図4は、本実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を説明するための斜視図である。図5は、接着剤を塗布した後の様子を示す部分拡大正面図である。
本実施形態に係る半導体レーザ装置10の製造方法では、まず、筐体12を準備する。また、各円筒部14b内にそれぞれ1つの半導体レーザ素子16が配置されたレーザーマウント14を準備する。また、ミラー24が角面取り部に貼り付けられたミラーマウント20を準備する。
次に、レーザーマウント14を筐体12の長辺側側壁12bに設置する。設置方法は、レーザーマウント14を長辺側側壁12bに固定されれば特に限定されず、ネジ止めにより行なってもよく、接着剤により行なってもよい。
次に、筐体12のベース部12aにミラーマウント20を固定する。具体的には、以下のようにして行なう。
まず、筐体12を図示しない保持台上に固定する。この際、ミラー24に反射されたレーザ光16aが出射されるべき位置に、ターゲット50を予め配置しておく。
次に、クランパ40と記憶装置と外部より操作入力を行なうための入力部とを有する従来公知のクランプ装置を用い、クランパ40によりミラーマウント20を保持し、半導体レーザ素子16の前まで移動させる。
次に、ミラーマウント20の位置、及び、角度の微調整を行なう。具体的には、半導体レーザ素子16からレーザ光を出射し、ミラー24により反射されたレーザ光16aがターゲット50の線52に一致するようにクランパ40の位置を微調整する。位置の微調整は、入力部から操作を入力すること等により行なうことができる。なお、ベース部12aの長辺方向をx軸、短辺方向をy軸、長辺側側壁12bの高さ方向をz軸としたとき、クランプ装置としては、x軸、y軸、z軸、y軸回転方向、z軸回転方向の5軸に微調整することができるものを用いることができ、前記記憶装置は、微調整後の位置を記憶することができる。
次に、ミラーマウント20を上側(z軸方向)に持ち上げる。なお、クランプ装置によるミラーマウント20の持ち上げは、ベース部12aに対して真上に持ち上げることが通常であり、斜め方向に持ち上げることはない。
その後、図5に示すように、ベース部12aのミラーマウント20を固定する箇所付近に熱硬化性接着剤26を塗布する。熱硬化性接着剤26の塗布方法は、特に限定されないが、ディスペンサーを用い、予め定められた量が吐出されるようにすることが好ましい。
次に、上側に持ち上げたミラーマウント20を下側に移動させ、微調整した後の位置に戻す。ここで、ミラーマウント20の底面23の形状は、正面視で、中央部23bが突出するように2つの平面23aが交差した形状となっており、平面23aがベース部12aの表面13に対して非平行となる傾斜部を形成している。そのため、仮に熱硬化性接着剤26の表面が波打った状態で塗布されていたとしても、傾斜部に沿って、空気が外部へと排出される。その結果、熱硬化性接着剤26に気泡が噛み込むことを抑制することができる。
次に、クランパ40でミラーマウント20を保持した状態のままの状態で、紫外線を照射し、熱硬化性接着剤26の露出している部分を硬化させ、ミラーマウント20をベース部12aに仮固定する。この紫外線による硬化は、ミラーマウント20とベース部12aとの間から露出した部分のみを硬化させる工程である。
同様にして、すべてのミラーマウント20をベース部12aに仮固定した後、筐体12を搭載物ごと加熱用オーブンに投入し、熱硬化性接着剤26を熱硬化させる。
なお、本実施形態では、ベース部12aの表面13に熱硬化性接着剤26を塗布する場合について説明したが、熱硬化性接着剤の塗布方法はこの例に限定されず、ミラーマウントの底面に熱硬化性接着剤を塗布してもよい。また、ベース部の表面とミラーマウントの底面との両方に塗布してもよい。
以上より、半導体レーザ装置10を製造することができる。
すなわち、本実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法は、
ミラーマウントの位置を微調整する工程と、
微調整後にミラーマウントとベース部との位置関係を相対的に遠ざけるように移動した後、熱硬化性接着剤を塗布する工程と、
熱硬化性接着剤の塗布後に、ミラーマウントとベース部の位置関係を微調整後の位置関係に戻し、ミラーマウントをベース部に仮固定する工程とを含む。
本実施形態に係る半導体レーザ装置10の製造方法では、熱硬化性接着剤26に気泡が噛み込むことが抑制されているため、気泡の膨張に基づくミラーマウント20の位置ずれが抑制され、ミラー24の位置ずれが抑制されている。
次に、ミラーマウントの底面の形状と、熱硬化前後でのミラーマウントの変化量との関係について評価した。
<サンプルの準備>
(サンプルA)
ミラーマウントの底面の形状が凸状V字型のものとして、横幅10mm、縦幅5mm、高さの最も長い部分h1(図5参照)15mm、高さの最も短い部分h2(図5参照)14.5mmのものを準備した。これをサンプルAとした。
(サンプルB)
ミラーマウントの底面の形状が平面のものとして、横幅10mm、縦幅5mm、高さ15mmのものを準備した。これをサンプルBとした。
なお、横幅は、図4に示したx軸方向の長さ、縦幅はy軸方向の長さ、高さはz軸方向の長さをいう。
<評価>
上記にて説明したクランプ装置、及び、方法にてミラーマウントを筐体に仮固定した後、熱硬化性接着剤を熱硬化させた。なお、筐体には、ベース部の表面が平面であるものを用いた。
実施例1では、サンプルAを用い、仮固定時のミラーマウントの底面とベース部表面との間の離間距離を0.5mmとした。
比較例1では、サンプルBを用い、仮固定時のミラーマウントの底面とベース部表面との間の離間距離を0.5mmとした。
比較例2では、サンプルBを用い、仮固定時のミラーマウントの底面とベース部表面との間の離間距離を0.2mmとした。
比較例3では、サンプルBを用い、仮固定時のミラーマウントの底面とベース部表面との間の離間距離を2mmとした。
なお、ミラーマウントの底面の形状が凸状V字型である場合、ミラーマウントの底面とベース部表面との間の離間距離d(図3参照)は、ベース部表面からミラーマウントの底面の最も遠い箇所までの距離とした。
本評価では、熱硬化性接着剤としてEML社製の製品名:OPTOCAST3411を用い、紫外線照射量は、180J/cm、熱硬化時の加熱温度及び時間は、110℃にて30分間とした。
熱硬化前後でのミラーマウントの角度変化量を表1に示す。なお、表1中、角度変化量とは、z軸に回転方向の変化量を示している。
Figure 0006268821
仮固定時のミラーマウントの底面とベース部表面との間の距離が同一である実施例1と比較例1とを比較すると、ミラーマウントの底面が凸状V字型の実施例1は、平面の比較例1に比して、熱硬化前後での変化量が少ないことがわかる。
また、比較例1に対してミラーマウントの底面とベース部表面との間の距離を短くした比較例2においても、長くした比較例3においても角度変化量の大きな改善はみられないことがわかる。このことより、ミラーマウントの底面とベース部表面とがいずれも平面であり平行である場合には、その離間距離を変更しても角度変化量が改善されないことがわかる。
以上より、上記角度変化量は、ミラーマウントの底面とベース部表面との離間距離ではなく、ミラーマウントの底面を凸状V字型とすることにより改善されたことがわかる。
上述した実施形態では、ミラーマウント20の底面23が凸状V字型形状である場合について説明した。しかしながら、本発明におけるミラーマウントの底面形状は、この例に限定されない。以下、他の実施形態について説明する。
図6(a)は、第2実施形態に係る半導体レーザ装置の部分拡大正面図である。図7(a)は、第3実施形態に係る半導体レーザ装置の部分拡大正面図である。図8(a)は、第4実施形態に係る半導体レーザ装置の部分拡大正面図である。図6(a)、図7(a)、及び、図8に示す半導体レーザ装置は、ミラーマウントの底面形状が、第1実施形態に係る半導体レーザ装置10と異なり、他の点で共通する。従って、異なる点以外は、半導体レーザ装置10の説明で用いたものと同一の符号を付し、共通する部分の説明は省略することとする。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る半導体レーザ装置において、ミラーマウント70の底面73は、図6(a)に示すように、一端から他端に向けて傾斜した平面73aからなる。ミラーマウント70の底面73の形状が、一端から他端に向けて傾斜した平面73aからなり、平面73aがベース部12aの表面13に対して非平行となる傾斜部を形成している。平面73aがベース部12aの表面13に対して非平行となる傾斜部を形成しているため、当該半導体レーザ装置の製造において、ベース部12aにミラーマウント70を仮固定する際、熱硬化性接着剤26に気泡が噛み込むことが抑制されている。その結果、当該半導体レーザ装置は、ミラーの位置ずれが抑制されている。
図6(b)は、図6(a)に示した半導体レーザ装置の製造工程において、接着剤を塗布した後の様子を示す部分拡大正面図である。図6(a)に示した半導体レーザ装置の製造工程においては、半導体レーザ装置10の製造方法と同様に、ミラーマウントの位置、及び、角度の微調整を行なった後、ミラーマウントを上側(z軸方向)に持ち上げ、ベース部12aのミラーマウントを固定する箇所付近に熱硬化性接着剤26を塗布する(図6(b)参照)。
次に、上側に持ち上げたミラーマウントを下側に移動させ、微調整した後の位置に戻す。ここで、ミラーマウント70の底面73の形状が、一端から他端に向けて傾斜した平面73aからなり、平面73aがベース部12aの表面13に対して非平行となる傾斜部を形成している。そのため、仮に熱硬化性接着剤26の表面が波打った状態で塗布されていたとしても、傾斜部に沿って、空気が外部へと排出される。その結果、熱硬化性接着剤26に気泡が噛み込むことを抑制することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態に係る半導体レーザ装置において、ミラーマウント80の底面83は、図7(a)に示すように、中央部83bが突出するU字形状を有している。ミラーマウント80の底面83の形状が、中央部83bが突出するU字形状を有しており、前記U字形状は、ベース部12aの表面13に対して非平行となる傾斜部を形成している。前記U字形状がベース部12aの表面13に対して非平行となる傾斜部を形成しているため、当該半導体レーザ装置の製造において、ベース部12aにミラーマウント80を仮固定する際、熱硬化性接着剤26に気泡が噛み込むことが抑制されている。その結果、当該半導体レーザ装置は、ミラーの位置ずれが抑制されている。
図7(b)は、図7(a)に示した半導体レーザ装置の製造工程において、接着剤を塗布した後の様子を示す部分拡大正面図である。図7(a)に示した半導体レーザ装置の製造工程においては、半導体レーザ装置10の製造方法と同様に、ミラーマウントの位置、及び、角度の微調整を行なった後、ミラーマウントを上側(z軸方向)に持ち上げ、ベース部12aのミラーマウントを固定する箇所付近に熱硬化性接着剤26を塗布する(図7(b)参照)。
次に、上側に持ち上げたミラーマウントを下側に移動させ、微調整した後の位置に戻す。ここで、ミラーマウント80の底面83の形状が、中央部83bが突出するU字形状を有しており、前記U字形状は、ベース部12aの表面13に対して非平行となる傾斜部を形成している。そのため、仮に熱硬化性接着剤26の表面が波打った状態で塗布されていたとしても、傾斜部に沿って、空気が外部へと排出される。その結果、熱硬化性接着剤26に気泡が噛み込むことを抑制することができる。
[第4実施形態]
第4実施形態に係る半導体レーザ装置において、ミラーマウント90の底面93には、図8(a)に示すように、中央に凹溝93aが形成されている。ミラーマウント90の底面93に凹溝93aが形成されているため、凹溝93aの下側と熱硬化性接着剤26との間は、外部と連通しており気泡が閉じ込められることがない。すなわち、凹溝93aの下側と熱硬化性接着剤26との間においては、気泡の噛み込みがないため、熱硬化性接着剤全体として気泡の噛み込みが抑制される。
図8(b)は、図8(a)に示した半導体レーザ装置の製造工程において、接着剤を塗布した後の様子を示す部分拡大正面図である。図8(a)に示した半導体レーザ装置の製造工程においては、半導体レーザ装置10の製造方法と同様に、ミラーマウントの位置、及び、角度の微調整を行なった後、ミラーマウントを上側(z軸方向)に持ち上げ、ベース部12aのミラーマウントを固定する箇所付近に熱硬化性接着剤26を塗布する(図8(b)参照)。
次に、上側に持ち上げたミラーマウントを下側に移動させ、微調整した後の位置に戻す。ここで、ミラーマウント90の底面93に凹溝93aが形成されているため、仮に熱硬化性接着剤26の表面が波打った状態で塗布されていたとしても、凹溝93aの下側と熱硬化性接着剤26との間は、外部と連通しており気泡が閉じ込められることがない。すなわち、凹溝93aの下側と熱硬化性接着剤26との間においては、気泡の噛み込みがないため、熱硬化性接着剤全体として気泡の噛み込みが抑制される。なお、図8(a)、図8(b)では、底面93に凹溝93aが形成されている場合について説明したが、本発明においてミラーマウントの底面に形成する溝の形状は、溝と熱硬化性接着剤との間が外部と連通できる形状であれば、この例に限定されず、例えば、V溝であってもよい。
上述した第1実施形態〜第3実施形態では、ミラーマウントの底面が、ベース部の表面に対して非平行となる傾斜部を有している場合、すなわち、本発明の気泡噛み込み抑制形状が、平面からなるベース部の表面と、ベース部の表面に対して非平行となる傾斜部を有するミラーマウントの底面とから形成されている場合について説明した。また、上述した第4実施形態では、ミラーマウントの底面に溝が形成されている場合、すなわち、本発明の気泡噛み込み抑制形状が、平面からなるベース部の表面と、ミラーマウントの溝が形成された底面とから形成されている場合について説明した。しかしながら、本発明においては、ミラーマウントの底面が、ベース部の表面に対して非平行となる傾斜部を有し且つ溝が形成されていてもよい。このような例としては、例えば、図8(a)に示したミラーマウント90の底面93のうち、溝93a以外の部分がベース部の表面に対して非平行となる傾斜部を有している構成が挙げられる。
また、上述した実施形態では、ミラーマウントの底面が、傾斜部を有する場合や、ミラーマウントの底面に溝が形成されている場合について説明したが、本発明においては、ベース部の表面が、ミラーマウントの底面に対して非平行となる傾斜部を有していてもよく、ベース部の表面に溝が形成されていてもよい。この場合、ミラーマウントの底面は平面であってもよく、ミラーマウント底面にも、傾斜部が形成されていたり、溝が形成されていてもよい。すなわち、本願発明における気泡噛み込み抑制形状は、ミラーマウントの底面とベース部の表面のいずれか一方、又は、両方に傾斜部や溝が形成されることにより、熱硬化性接着剤に気泡が噛み込むことを抑制するための形状が形成されていればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した例に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。
10 半導体レーザ装置
12 筐体
12a ベース部
12b 長辺側側壁
12c 短辺側側壁
13 (ベース部の)表面
14 レーザーマウント
15 (短辺側側壁に形成された)貫通穴
16 半導体レーザ素子
16a レーザ光
20、70、80、90 ミラーマウント
23、73、83、93 (ミラーマウントの)底面
24 ミラー(ビーム折り返し用ミラー)
26 熱硬化性接着剤

Claims (4)

  1. ベース部と、
    半導体レーザ素子と、
    前記半導体レーザ素子から出射されるレーザ光を反射させるビーム折り返し用ミラーを有するミラーマウントとを備え、
    前記半導体レーザ素子は、複数あり、
    前記ミラーマウントは、各半導体レーザ素子に対応付けて1つずつ設けられており、
    前記ミラーマウントは、底面が前記ベース部の表面に熱硬化性接着剤により固定されており、
    前記熱硬化性接着剤を介して対向する前記ミラーマウントの底面と前記ベース部の表面とにより、前記熱硬化性接着剤に気泡が噛み込むことを抑制するための気泡噛み込み抑制形状が形成されていることを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 集光レンズを備え、
    各前記ミラーマウントは、他のミラーマウントによって反射されたレーザ光を遮らないように、位置をずらしながら配置されており、
    各前記ミラーマウントが備える各前記ビーム折り返し用ミラーにより反射される各レーザ光は、前記集光レンズで集光されることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  3. 前記ミラーマウントの底面が、前記ベース部の表面に対して非平行となる傾斜部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置。
  4. 前記ミラーマウントの底面に溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の半導体レーザ装置。
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