JP6268724B2 - 窒化物半導体のテクスチャ構造、窒化物半導体発光素子、及びテクスチャ構造形成方法 - Google Patents
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しかしながら、LED素子の外部量子効率は、電子注入効率と内部量子効率と光取り出し効率の掛け算であるため、電子注入効率や内部量子効率向上とは別に光取り出し効率の改善も素子性能向上に結びつく。そこで各機関は、素子表面や基板と薄膜界面を粗面化するテクスチャ構造を開発・採用している。ここで、電子注入効率は、全電子のうち発光層に注入された電子の割合であり、内部量子効率は、発光層に注入された電子のうちホールと結合して光エネルギーを発した電子の割合であり、光取り出し効率は発光層で発した光エネルギーのうちLED素子の外部に取り出せた光エネルギーの割合である。
また、特許文献2は、発光ダイオードの外部発光効率を向上する方法が記載されており、具体的には、発光ダイオードのn型層の外面をエッチングして表面テクスチャ加工部を形成する工程を備え、その表面テクスチャ加工部が内部反射を低減して光出力を増大することが記載されている。また、特許文献2には、具体的な作製方法として、ウェットエッチング、及びドライエッチングの何れかで実現することが記載されている。
また、p型GaN系半導体は、Mgをドープしたものであるが、結晶成長後、低温且つ窒素雰囲気中で、アクセプタ不純物(Mg)を活性化させるMg活性化アニールが必要である。このMg活性化アニールは、テクスチャ構造の形成の後に行うことが好ましい。
図1は、本発明の実施形態の発光ダイオードの構成図である。
図1において、窒化物半導体発光素子としての発光ダイオード10Aは、結晶面方位が(0001)面であるサファイア基板11の表面にバッファ層12が積層されている。バッファ層12の基板反対側表面には、GaNエピタキシャル層13が積層され、GaNエピタキシャル層13の基板反対側表面にn−GaN層14が積層され、n−GaN層14の基板反対側表面には、発光層15が積層され、発光層15の基板反対側表面にはp−GaN層16(16a)が積層され、p−GaN層16aの基板反対側表面には透明導電膜としてのITO膜17が積層されている。なお、p−GaN層14と、ITO膜17とには、図示しない金属電極が接続されており、例えば、金属電極はTi/Alが用いられる。
θ=sin−1(n2/n1)=67.6°
である。つまり、発光ダイオードは、発光層15が出射する光の配向特性が広角度であるので、p−GaN層とITO膜との界面が平行だと入射角が臨界角以上になり、界面で全反射する光が相当程度存在してしまう。そこで、発光ダイオード10Aは、p−GaN層16aとITO膜17との界面をテクスチャ構造にして、界面で全反射する光を低減している。また、このテクスチャ構造は、p−GaN層16aとITO膜17との間の接合面積を増加させるので、接触抵抗を低減させる。
図2は、p−GaN層16aの表面に形成されたテクスチャ構造の表面顕微鏡写真である。比較のために、水素(H2)雰囲気中、及び窒素(N2)雰囲気中(総流量はアンモニアと同じ6L/min(SLM:standard liter per minute))でも同様の実験を行った結果を示している。つまり、図2(a)(b)(c)がアンモニア雰囲気中(NH3)でのアニールであり、図2(d)(e)(f)が水素雰囲気中(H2)でのアニールであり、図2(g)(h)(i)が窒素雰囲気中(N2)でのアニールである。水素雰囲気中、及び窒素雰囲気中ではテクスチャ構造が得られないが、アンモニアガス雰囲気中では60分間のアニールでもテクスチャ構造が形成されている。また、水素雰囲気中では、表面にガリウム反応物が生成している。また、図2(a)(d)(g)は、60分間アニールを行ったものであり、図2(b)(e)(h)は、30分間アニールを行ったものであり、図2(c)(f)(i)は、10分間アニールを行ったものである。図2(a)(b)(c)を比較すると、テクスチャの大きさは、アニールの時間が長くなるほど揃っている。
この表面顕微鏡写真は、アニール時間を固定し、アニール温度を770℃、920℃、1070℃としたときの写真である。比較のために水素雰囲気中(H2)、及び窒素雰囲気中(N2)での同一条件(アニール時間10分)でのアニール後の表面顕微鏡写真も記載する。
図3(a)(b)(c)は、アンモニア雰囲気中(NH3)であり、図3(d)(e)(f)は、水素雰囲気中(H2)であり、図3(g)(h)(i)は、窒素雰囲気中(N2)である。また、図3(a)(d)(g)は、1070℃でアニールを行ったものであり、図3(b)(e)(h)は、920℃でアニールを行ったものであり、図3(c)(f)(i)は、770℃でアニールを行ったものである。
図4において、パターン(a)は、成長直後(as-grown)の場合であり、パターン(b)は、アンモニア雰囲気中、1070℃で30分間アニールを施して、テクスチャ構造を有している場合であり、半値幅は285[arc sec]である。つまり、テクスチャ構造を有している場合であっても、成長直後(as-grown)の場合に対してパターン強度に遜色はない。パターン(c)は、窒素雰囲気中でアニールを施した場合であり、GaNが部分的に残り、劣化が生じていることがわかる。また、パターン(d)は、水素雰囲気中でアニールを施した場合であり、GaNがほぼ完全に分解していることがわかる。
よって、エピタキシャル成長後に成膜装置内で続けてテクスチャ構造を形成する場合、p−GaN層16aの表面は、アンモニア雰囲気中で1070℃、10分間以上アニールされる必要がある。
図5は、窒化物発光ダイオードの製造工程を説明するためのフローチャートである。
発光ダイオード10A(図1)は、まず、LED構造基板(積層基板)を作成し(S10)、テクスチャ構造を形成し(S12)、Mg活性化アニールを行い(S14)、ITO膜を形成する(S16)、ことにより作成される。なお、適宜、p−GaN層、及びn−GaN層は、金属電極層と接続される。
LED構造基板20は、支持基板としての(0001)面のサファイア基板11と、その表面に有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)により積層されたバッファ層12と、その表面にGaNエピタキシャル層13と、その表面に積層されたn−GaN層14と、その表面に積層された発光層15と、その表面に積層されたp−GaN層16aとから構成されている。
前記したように、結晶成長温度(1070℃)のまま、アンモニア雰囲気中で、アニールを行い、p−GaN層16aの表面をテクスチャ構造にする。つまり、p−GaN層16aを成長させた成長装置(成膜装置)内で、原料ガスやキャリアガスを止めて、アンモニアガスを流すだけで、テクスチャ構造が形成される。
p−GaN層16aは、窒素雰囲気中で、熱処理が行われ、アクセプタ(Mg)が活性化される。活性化アニールとは、原料ガスのアンモニア(NH3)に含まれる水素、又はキャリアガスの水素との結合により不活性化されたMgを、窒素雰囲気中の熱処理により、水素原子を乖離させ、アクセプタを活性化させることである。
p−GaN層16aの基板反対側表面に透明導電膜としてのITO膜17を蒸着又はスパッタで300nm堆積して行われる。なお、透明導電膜は、ITO膜17の代わりに、ZnO、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、IZO(登録商標)(インジウムドープ酸化亜鉛)、TiO2(二酸化チタン)などであっても、同様の効果が得られる。
図7は、本発明の第2実施形態の発光ダイオードの構造図である。
発光ダイオード10Bは、いわゆるフリップチップ構造であり、GaN単結晶基板の裏面から光を出射する構造を有している。
発光ダイオード10Bは、GaN単結晶基板18と、GaN単結晶基板18の一方の面に形成されたn−GaN層14と、n−GaN層14の基板反対側表面に形成された発光層15と、発光層15の基板反対側表面に形成されたp−GaN層16bと、p−GaN層16bの基板反対側表面に形成された金属電極層19とを備えている。
また、発光ダイオード10Bは、例えば、金属電極層19とp−GaN層16bとが接触しているので、容易に、オーミック接触可能である。言い換えれば、第1実施形態の発光ダイオード10Aは、p−GaN層16aとITO膜17(図1)とが接触しているので、ショットキ障壁になってしまう。また、金属電極層19は、反射率の高い銀(Ag)を用いることができるので、発光層15からp−GaN層16bの方向に放射した光を反射させることができる。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記各実施形態は、発光ダイオード単体について説明したが、Si基板19に複数の窒化物半導体発光ダイオード10A,10Bを二次元配列して、表示装置とすることができる。
(2)前記実施形態は、本発明の透明電極構造を、窒化物半導体発光ダイオードに適用したが、窒化物半導体発光ダイオード以外のGaNを適用した窒化物半導体素子(例えば、レーザダイオード)にも適用することができる。
11 サファイア基板(支持基板)
12 バッファ層
13 GaNエピタキシャル層
14 n−GaN層
15 発光層
16、16a,16b p−GaN層
17 ITO膜(透明導電膜)
18 GaN単結晶基板
19 金属電極層
Claims (7)
- GaN層と、該GaN層に積層された透明導電膜とを備えた窒化物半導体のテクスチャ構造において、
前記GaN層は、前記透明導電膜との間の表面に、1〜20μmの範囲で径の異なる凹部が複数混在していることを特徴とする窒化物半導体のテクスチャ構造。 - 支持基板と、該支持基板の表面に少なくともn−GaN層と、発光層と、p−GaN層と、透明導電膜とがこの順に積層された窒化物半導体発光素子において、
前記支持基板は、その材料が、サファイア、シリコン、シリコンカーバイドのいずれかであり、
前記p−GaN層は、前記透明導電膜との間の表面に、1〜20μmの範囲で径の異なる凹部が複数混在していることを特徴とする窒化物半導体発光素子。 - GaN基板と、該GaN基板の表面に少なくともn−GaN層と、発光層と、p−GaN層とがこの順に積層された窒化物半導体発光素子において、
前記GaN基板は、前記n−GaN層と反対側の面に、高さ、及び底辺の径のいずれか一方が1〜20μmの範囲で異なる円錐形状の凹部が複数混在し、
前記円錐形状の凹部は、前記GaN基板の[000−1]方向に配向している
ことを特徴とする窒化物半導体発光素子。 - GaN層の表面に複数の凹部を形成させるテクスチャ構造形成方法において、
前記GaN層は、結晶成長後、結晶成長温度を維持しつつ、アンモニアガス雰囲気中、又はヒドラジン雰囲気中でアニールされることにより、径の異なる前記凹部が複数混在して形成されることを特徴とするテクスチャ構造形成方法。 - 請求項4に記載のテクスチャ構造形成方法において、
前記GaN層は、Mgドープしたp−GaN層であり、
前記p−GaN層は、前記アンモニアガス雰囲気中、又はヒドラジン雰囲気中でのアニールの後に、窒素雰囲気中でMg活性化アニールが行われることを特徴とするテクスチャ構造形成方法。 - 請求項4又は請求項5に記載のテクスチャ構造形成方法において、
前記結晶成長温度は、1070℃であり、
前記アンモニアガス雰囲気中、又はヒドラジン雰囲気中でのアニールは、少なくとも10分間継続されることを特徴とするテクスチャ構造形成方法。 - 請求項5に記載のテクスチャ構造形成方法において、
前記結晶成長温度は、1070℃であり、
前記アンモニアガス雰囲気中、又はヒドラジン雰囲気中でのアニールは、少なくとも10分間継続されるものであり、
前記アンモニアガス雰囲気中、又はヒドラジン雰囲気中でのアニール、及び前記Mg活性化アニールは、同一成膜装置内で行われることを特徴とするテクスチャ構造形成方法。
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