JP6266443B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吸気弁や排気弁の開閉タイミングを制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
電動モータの回転力を利用して、スプロケットに対するカムシャフトの相対回転位相を変換制御するバルブタイミング制御装置としては、本出願人が先に出願した以下の特許文献1に記載されたものがある。
このバルブタイミング制御装置は、クランクシャフトと同期回転する円筒状のステンレス製のモータハウジングの内周面に複数の永久磁石が接着剤によって固定されていると共に、モータハウジングの内部には、モータ出力軸の外周にコイルが巻回された鉄心が前記永久磁石に所定のギャップをもって回転自在に収容されている。
また、前記モータハウジングの外周面と該モータハウジングの外周側に配置されたカバー部材の内周面にはオイルシールが圧入固定されており、このオイルシールは、内周部に有するシール部が前記モータハウジングの外周面に当接して、装置外部からモータハウジング内へのオイルの流入を阻止するようになっている。
特開2013−36400号公報
ところで、前記従来のバルブタイミング制御装置にあっては、電動モータの駆動中の発熱と駆動停止後の冷却が繰り返し行われており、前記発熱時は最高温度が例えば約170℃、冷却時は常温の約20℃の激しい温度変化に前記モータハウジングが常時晒されて膨張、収縮変形が繰り返し行われている。
一方、モータハウジングの内周面には、前述したように各永久磁石が接着剤によって固着されているが、この接着剤は、その含有成分によってその粘弾性率(硬度)が異なっており、この接着剤の粘弾性率が所定以上高い場合は、この影響によって前記温度変化に伴うモータハウジングの変形量が大きくなってしまう。
この結果、モータハウジングの大きな変化量によって、該モータハウジングの外周面から前記オイルシールの内周側のシール部の一部が浮き上がって、シール性能が低下するおそれがある。
本発明は、接着剤の粘弾性率に起因したモータハウジングの大きな変形量を抑制して、シール部材のシール性能の低下を抑制し得る内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することを目的としている。
本願請求項1に記載の発明は、とりわけ、電動モータは、モータハウジングの内周面に接着剤によって接着された永久磁石と、前記モータ出力軸に固定され、外周にコイルが巻回されたロータと、を有し、
前記接着剤を、前記永久磁石とモータハウジングとの間に塗布した状態において、
常温の20℃において、前記永久磁石に剪断方向から単位面積当たりの荷重を1.5kN/cm2まで加えた際に、前記荷重を加える前の位置に対して永久磁石が剪断せずに少なくとも0.10mmまで移動可能とすると共に、
高温の170℃において、前記荷重を0.3kN/cm2まで加えた際に、前記荷重を加える前の位置に対して永久磁石が剪断せずに少なくとも0.15mmまで移動可能とするような、前記接着剤の成分材料としたことを特徴としている。
この発明によれば、接着剤の粘弾性率(硬度)に起因したモータハウジングの大きな変形量を抑制して、シール部材のシール性能の低下を抑制することができる。
本発明に係るバルブタイミング制御装置の実施形態を示す縦断面図である。 本実施形態における主要な構成部材を示す分解斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 図1のB−B線断面図である。 本実施形態に供される給電プレートの背面図である。 本実施形態に供されるハウジング本体を示す正面図である。 図6のC−C線断面図である。 接着剤としてA剤を用いた場合のハウジング本体の変形状態を示し、Aは20℃時、Bは170℃時の変形状態を示している。 接着剤としてB剤を用いた場合のハウジング本体の変形状態を示し、Aは20℃時、Bは170℃時の変形状態を示している。 接着剤としてC剤を用いた場合のハウジング本体の変形状態を示し、Aは20℃時、Bは170℃時の変形状態を示している。 接着剤としてD剤を用いた場合のハウジング本体の変形状態を示し、Aは20℃時、Bは170℃時の変形状態を示している。 接着剤としてA剤を用いた場合の実験によるハウジング本体の温度と真円度の関係を示すグラフである。 接着剤としてB剤を用いた場合の実験によるハウジング本体の温度と真円度の関係を示すグラフである。 接着剤としてC剤を用いた場合の実験によるハウジング本体の温度と真円度の関係を示すグラフである。 接着剤としてD剤を用いた場合の実験によるハウジング本体の温度と真円度の関係を示すグラフである。 170℃の温度下において接着剤としてA剤〜D剤を用いた場合に、永久磁石に剪断方向の荷重を付加したときのストローク量を示すグラフである。 20℃の温度下において接着剤としてA剤〜D剤を用いた場合に、永久磁石に剪断方向の荷重を付加したときのストローク量を示すグラフである。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態では、吸気弁側に適用したものである。
このバルブタイミング制御装置は、図1及び図2に示すように、内燃機関のクランクシャフトによって回転駆動する駆動回転体であるタイミングスプロケット1と、シリンダヘッド01上に軸受02を介して回転自在に支持され、前記タイミングスプロケット1から伝達された回転力によって回転するカムシャフト2と、タイミングスプロケット1の前方位置に配置されたチェーンカバー49に固定されたカバー部材3と、タイミングスプロケット1とカムシャフト2の間に配置されて、機関運転状態に応じて前記両者1,2の相対回転位相を変更する位相変更機構4と、を備えている。
前記タイミングスプロケット1は、全体が鉄系金属によって環状一体に形成され、内周面が段差径状のスプロケット本体1aと、該スプロケット本体1aの外周に一体に設けられて、巻回された図外のタイミングチェーンを介してクランクシャフトからの回転力を受けるギア部1bと、前記スプロケット本体1aの前端側に一体に設けられた内歯構成部19と、から構成されている。
また、このタイミングスプロケット1は、スプロケット本体1aと前記カムシャフト2の前端部に設けられた後述する従動部材9との間に、1つの大径ボールベアリング43が介装されており、この大径ボールベアリング43によって、タイミングスプロケット1と前記カムシャフト2が相対回転自在に支持されている。
前記大径ボールベアリング43は、外輪43aと、内輪43b及び該両輪43a、43bの間に介装されたボール43cと、から構成され、前記外輪43aがスプロケット本体1aの内周側に固定されているのに対して内輪43bが従動部材9の外周側に固定されている。
前記スプロケット本体1aは、内周側に、前記カムシャフト2側に開口した円環溝状の外輪固定部60が切欠形成されており、この外輪固定部60は、段差径状に形成されて、前記大径ボールベアリング43の外輪43aが軸方向から圧入されると共に、該外輪43aの軸方向一方側の位置決めをするようになっている。
前記内歯構成部19は、前記スプロケット本体1aの前端部外周側に一体に設けられ、位相変更機構4の前方へ延出した円筒状に形成されていると共に、内周には波形状の複数の内歯19aが形成されている。
また、前記内歯構成部19の前端側には、後述するモータハウジング12と一体の円環状の雌ねじ形成部12eが対向配置されている。
さらに、スプロケット本体1aの内歯構成部19と反対側の後端部には、円環状の保持プレート61が配置されている。この保持プレート61は、金属板材によって一体に形成され、図1に示すように、外径が前記スプロケット本体1aの外径とほぼ同一に設定されていると共に、内径が前記大径ボールベアリング43の外輪43aの内径よりも小径に形成されている。
前記保持プレート61の内周部61aは、前記外輪43aの軸方向の外端面に当接配置されている。また、前記内周部61aの内周縁所定位置には、径方向内側、つまり中心軸方向に向かって突出したストッパ凸部61bが一体に設けられている。
このストッパ凸部61bは、図1及び図4に示すように、ほぼ扇状に形成されて、先端縁61cが後述するストッパ溝2bの円弧状内周面に沿った円弧状に形成されている。
前記スプロケット本体1a(内歯構成部19)及び保持プレート61の各外周部には、それぞれボルト挿通孔1c、61dが周方向のほぼ等間隔位置に6つ貫通形成されている。前記雌ねじ形成部12eには、各ボルト挿通孔1c、61dと対応した位置に6つの雌ねじ孔12fが形成されており、これらに挿通した6本のボルト7によって前記タイミングスプロケット1と保持プレート61及びモータハウジング12が軸方向から共締め固定されている。
なお、前記スプロケット本体1aと内歯構成部19は、後述する減速機構8のケーシングとして構成されている。
また、前記スプロケット本体1aと前記内歯構成部19、保持プレート61、雌ねじ形成部12eは、それぞれの外径がほぼ同一に設定されている。
前記チェーンカバー49は、図1に示すように、機関本体であるシリンダヘッド01と図外のシリンダブロックの前端側に前記タイミングスプロケット1に巻回された図外のチェーンを覆うよう上下方向に沿って配置固定されている。また、前記位相変更機構4に対応した位置に形成された開口部を構成する環状壁49aの円周方向の4箇所に、ボス部49bが一体に形成されていると共に、環状壁49aから各ボス部49bの内部に亘って雌ねじ孔49cがそれぞれ形成されている。
前記カバー部材3は、図1、図2に示すように、アルミニウム合金材よってカップ状に一体に形成されて、前記モータハウジング12の前端部を覆うように配置され、膨出状のカバー本体3aと、該カバー本体3aの開口側の外周縁に一体に形成された円環状の取付フランジ3bと、を備えている。また、このカバー部材3の内面3fとモータハウジング12の前端部外面との間には、カップ状の空間部32が画成されている。
前記カバー本体3aは、外周部側に円筒壁3cが軸方向に沿って一体に突設されており、この円筒壁3cは、内部軸方向に保持用孔3dが貫通形成されている。
また、カバー本体3aの前記円筒壁3cの下部側には、円筒部34が前記円筒壁3cと平行かつ軸方向に沿って突設されている。この円筒部34は、上端部が前記円筒壁3cの下端部と一体に結合されて、内部軸方向に前記カバー本体3aの外側と前記空間部32との間を連通する連通孔35が貫通形成されていると共に、外端側内部に通気用栓体56が圧入固定されている。
前記連通孔35(円筒部34)は、前記カバー部材3をチェーンカバー49に組み付けた後に、前記従動部材9をカムシャフト2に固定するためのカムボルト10をモータ出力軸13の内部を介して挿通するための作業用孔として機能するものである。
前記通気用栓体56は、有底円環状の合成樹脂材の本体57と、該本体57の凹溝内に嵌着圧入された円盤状の支持部58と、前記凹溝の底面に配置収容されて、該底面と前記支持部58に挟持状態に保持された円形状のフィルタ59と、を備えている。
前記支持部58は、中央に本体57の第1通気孔57bと連通する第2通気孔58aが軸方向に沿って貫通形成されている。
前記フィルタ59は、自由に撓み変形可能な薄い布状の円盤形状に形成され、全体が前記凹溝の底面上に密着するようになっている。また、このフィルタ59は、支持部58側の表面から本体底面側の裏面側に掛けて空気を透過可能になっていると共に、裏面から表面に掛けては液体や塵芥などを透過しない材質の基材が用いられている。
前記取付フランジ3bは、円周方向のほぼ等間隔位置に4つのボス部3eが周方向のほぼ等間隔位置(約90°位置)に設けられている。この各ボス部3eには、図1に示すように、前記チェーンカバー49に形成された各雌ねじ孔49dに螺着するボルト70通するボルト挿通孔3gがそれぞれ貫通形成されて、前記各ボルト70によってカバー部材3がチェーンカバー49に固定されている。
また、前記カバー本体3aの外周側の段差部内周面と前記モータハウジング12の外周面との間には、シール部材である大径なオイルシール50が介装されている。この大径オイルシール50は、横断面ほぼコ字形状に形成されて、合成ゴムの基材の内部に芯金50aが埋設されていると共に、外周側の円環状基部50bが前記カバー部材3の内周面に設けられた円環溝の底面に圧入固定されている。また、この大径オイルシール50は、前記円環状基部50bの内周側に一体に形成されたシールリップを含むシール部50cがバックアップスプリング50dのばね力によってハウジング本体12aの外周面に弾接されてシール機能を発揮するようになっている。つまり、前記電動モータ5の内部に有する前記空間部32を液密的に封止して、主として前記タイミングスプロケット1の回転駆動に伴って飛散した潤滑油の前記空間部32内への侵入を阻止するようになっている。
前記カムシャフト2は、外周に図外の吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つの駆動カムを有していると共に、前端部に前記フランジ部2aが一体に設けられていると共に、該フランジ部2aを含めた軸方向の一端部内に、後述するカムボルト10の軸部10b先端部に形成された雄ねじ部10cが螺着される雌ねじ孔2eが穿設されている。
前記フランジ部2aは、図1に示すように、外径が後述する従動部材9の固定端部9aの外径よりも僅かに大きく設定されて、各構成部品の組み付け後に、前端面の外周部が前記大径ボールベアリング43の内輪43bの軸方向外端面に当接配置されるようになっている。
前記フランジ部2aの前端面2fが、従動部材9の後述する固定端部9aの後端面9cに軸方向から当接した状態でカムボルト10によって軸方向から結合されている。
さらに、前記フランジ部2aの外周には、図4に示すように、前記保持プレート61のストッパ凸部61bが係入するストッパ凹溝2bが円周方向に沿って形成されている。このストッパ凹溝2bは、円周方向へ所定長さの円弧状に形成されて、この長さ範囲で回動したストッパ凸部61bの両端縁が周方向の対向縁2c、2dにそれぞれ当接することによって、タイミングスプロケット1に対するカムシャフト2の最大進角側あるいは最大遅角側の相対回転位置を規制するようになっている。
前記カムボルト10は、図1に示すように、頭部10aの端面が小径ボールベアリング37の内輪を軸方向から支持していると共に、軸部10bの先端部外周に前記雄ねじ部10cが形成されている。
前記従動部材9は、鉄系金属によって一体に形成され、図1に示すように、後端側(カムシャフト2側)に形成された円板状の固定端部9aと、該固定端部9aの内周前端面から軸方向へ突出した円筒部9bと、前記固定端部9aの外周部に一体に形成されて、複数の転動体であるローラ48を保持する保持部材である円筒状の保持器41と、から構成されている。
前記固定端部9aは、後端面9cが前記フランジ部2aの前端面2fに当接配置されて、前記カムボルト10の軸力によってフランジ部2aに軸方向から圧接固定されている。
前記固定端部9aと円筒部9bの内部中央に、前記カムボルト10の軸部10bが挿通されるボルト挿通孔9d(カムボルト挿通孔)が貫通形成されていると共に、円筒部9bの外周には軸受部材であるニードルベアリング38が設けられている。
前記保持器41は、図1に示すように、前記固定端部9aの外周部前端から前方へ断面ほぼL字形状に折曲されて、前記円筒部9bと同方向へ突出した有底円筒状に形成されている。
この保持器41の筒状先端部41aは、前記雌ねじ形成部12eと前記延出部12dとの間に形成された円環凹状の収容空間44を介してモータハウジング12の隔壁12b方向へ延出している。また、前記筒状先端部41aの周方向のほぼ等間隔位置には、図1及び図2に示すように、前記複数のローラ48をそれぞれ転動自在に保持するほぼ長方形状に切り欠かれた複数のローラ保持孔41bが周方向の等間隔位置に形成されている。このローラ保持孔41b(ローラ48)は、その全体の数が前記内歯構成部19の内歯19aの全体の歯数よりも少なくなっている。これによって、減速比を得るようになっている。
前記位相変更機構4は、前記従動部材9の円筒部9bの前端側に配置された前記電動モータ5と、該電動モータ5の回転速度を減速してカムシャフト2に伝達する減速機構8と、から主として構成されている。
前記電動モータ5は、図1及び図2に示すように、ブラシ付きのDCモータであって、前記タイミングスプロケット1と一体に回転するヨークである前記モータハウジング12と、該モータハウジング12の内部に回転自在に設けられたモータ出力軸13と、モータハウジング12の内周面に固定されたステータである円弧状の4つの永久磁石14a、14b、14c、14dと、を備えている。
前記モータハウジング12は、図1に示すように、有底筒状に形成されたハウジング本体12aと、該ハウジング本体12aの前端開口を封止する給電プレート11と、を備えている。
前記ハウジング本体12aは、薄板状の鉄系金属材であるステンレス材(S10C)をプレス成形にすることによって形成されてヨークとして機能し、その肉厚巾が2.25mmに設定されている。また、このハウジング本体12aは、軸方向の後端側に円板状の隔壁12bを有し、該隔壁12bのほぼ中央に後述する偏心軸部39が挿通される大径な軸挿通孔12cが形成されていると共に、該軸挿通孔12cの孔縁にカムシャフト2の軸方向へ突出した円筒状の延出部12dが一体に設けられている。また、前記隔壁12bの前端面外周側には、前述した環状の雌ねじ形成部12eが一体に設けられている。
前記モータ出力軸13は、段差円筒状に形成されてアーマチュアとして機能し、軸方向のほぼ中央位置に形成された段差部13cを介してカムシャフト2側の大径部13aと、その反対側の小径部13bと、から構成されている。前記大径部13aは、外周に鉄心ロータ17が固定されていると共に、後端側に減速機構8の一部を構成する偏心軸部39が一体に形成されている。
一方、前記小径部13bは、外周に円環部材20が圧入固定されていると共に、該円環部材20の外周面に後述するコミュテータ21が軸方向から圧入固定されて前記段差部13cの外面によって軸方向の位置決めがなされている。前記円環部材20は、その外径が前記大径部13aの外径とほぼ同一に設定されていると共に、軸方向の長さが小径部13bよりも僅かに短く設定されている。
前記小径部13bの内周面には、モータ出力軸13や偏心軸部39内に供給されて前記各ベアリング37,38を潤滑するための潤滑油の外部への漏洩を抑制する栓体55が圧入固定されている。
前記鉄心ロータ17は、複数の磁極を持つ磁性材によって形成され、外周側がコイル18のコイル線を巻回させるスロットを有するボビンとして構成されている。
一方、前記コミュテータ21は、導電材によって円環状に形成されて、前記鉄心ロータ17の極数と同数に分割された各セグメントに前記コイル18の引き出されたコイル線の端末が電気的に接続されている。
前記各永久磁石14a、14b、14c、14dは、図6及び図7に示すように、それぞれ円弧状に形成されて、全体が円筒状に形成されて円周方向両端部に複数のN,Sの磁極を有していると共に、その軸方向の位置が前記鉄心ロータ17の軸方向の中心に対して前記給電プレート11側にオフセット配置されている。これによって、前記永久磁石14a〜14dの前端部が、径方向で前記コミュテータ21や給電プレート11に設けられた後述する切換用ブラシ25a、25bなどとオーバーラップするように配置されている。
そして、この各永久磁石14a〜14dは、各外周面が前記モータハウジング12のハウジング本体12aの内周面12gに接着剤15によってそれぞれ固着されている。
この接着剤15は、例えば電気化学工業(株)のハードロック(登録商標)が用いられ、これは1剤と2剤からなる2液混合剤によって構成されている。したがって、ハウジング本体12aの内周面12gに、各永久磁石14a〜14dを固着するには、1剤をハウジング本体12aの内周面12gの前記各永久磁石14a〜14dが接着される位置に予め塗布して置く、一方、前記各永久磁石14a〜14dの外周面の巾方向及び長手方向のほぼ中央位置に2剤を塗布して置いて、この状態で前記各永久磁石14a〜14dを前記内周面12gの所定位置に所定時間押し付ければ、2液が混合されて接着効果を発揮するようになっている。
前記接着剤15は、前記ハウジング本体12aに永久磁石14a〜14dを固着後の硬度特性によっては、前記ハウジング本体12aの熱的変形に大きな影響を与えることから、影響の最も少ないものが選択されている。具体的には、後述する実験例をふまえて所定の接着剤15が選択されるようになっている。
前記給電プレート11は、図1、図5に示すように、鉄系金属材からなる円盤状の剛性プレート部16(固定プレート)と、該剛性プレート部16の前後両側面にモールドされた円板状の樹脂部22と、から構成されている。なお、前記給電プレート11は、電動モータ5への給電機構の一部として構成されている。
前記剛性プレート16は、前記樹脂部22に覆われていないで露出した外周部16aが前記モータハウジング12の前端部内周に形成された円環状の段差状の凹溝5eにかしめによって位置決め固定されていると共に、中央部にはモータ出力軸13の一端部などが挿通される軸挿通孔16bが貫通形成されている。また、剛性プレート16は、図5に示すように、前記軸挿通孔16bの内周縁に連続した所定の位置に異形状の2つの保持孔16c、16dが打ち抜きにより形成されており、この各保持孔16c、16dには、後述するブラシホルダ23a、23bが嵌入保持されるようになっている。
なお、前記外周部16aの周方向の所定位置には、前記ハウジング本体12aに対して円周方向の位置決めを、図外の治具を介して行う3つのU字溝16eが形成されている。
また、前記給電プレート11には、図1、図5に示すように、前記剛性プレート16の各保持孔16c、16dの内側に配置されて、前記樹脂部22に複数のリベット40により固定された銅製の一対のブラシホルダ23a、23bと、該各ブラシホルダ23a、23bの内部に径方向に沿って摺動自在に収容配置されて、コイルスプリング24a、24bのばね力で円弧状の各先端面が前記コミュテータ21の外周面に径方向から弾接する整流子である一対の切換用ブラシ25a、25bと、前記樹脂部22の前端部に、それぞれの前端面を露出した状態でモールド固定された内外二重の給電用スリップリング26a,26bと、前記各切換用ブラシ25a、25bと各スリップリング26a,26bを電気的に接続する導線である一対のピグテールハーネス27a、27bと、が設けられている。なお、前記これらの各構成部品と前記給電プレート11によって給電機構が構成されている。
前記内周側の小径なスリップリング26aと、外周側の大径なスリップリング26bは、銅材からなる薄板をプレスによって円環状に打ち抜き形成されていると共に、図5に示すように、モータハウジング12の内部に臨む後端面の一部26c、26dが樹脂部22から露出している。
前記カバー部材3のカバー本体3aには、合成樹脂材によって一体的にモールドされた保持体28が固定されている。この保持体28は、図1、図2に示すように、側面視ほぼクランク形状に形成され、前記カバー部材3の保持用孔3dに挿入されるほぼ有底円筒状のブラシ保持部28aと、該ブラシ保持部28aと反対側に有するコネクタ部28bと、前記ブラシ保持部28aの一側面に一体に突設されて、前記カバー本体3aにボルト固定されるボス部28cと、内部に一部が埋設された一対の給電用端子片31、31と、から主として構成されている。
前記ブラシ保持部28aは、図1及び図2に示すように、ほぼ水平方向(軸方向)に延設されて、内部の上下位置(モータハウジング12の軸心に対して内外周側)に平行に形成された一対の角柱状の固定用孔内に一対の角筒状のブラシホルダ29a、29bがそれぞれ圧入固定されている。この各ブラシホルダ29a、29bの内部に給電用ブラシ30a、30bが軸方向へそれぞれ摺動自在に保持されている。
また、このブラシ保持部28aは、図1に示すように、基部側外周に形成された円環状の嵌着溝内に前記保持用孔3dの内周面に弾接する前記環状シール部材33が嵌着保持されている。この環状シール部材33によって、前記空間部32とカバー部材3の外部との間を液密的に封止するようになっている。
前記各ブラシホルダ29a、29bは、前後端に開口部が形成されて、前端側の開口部から前記各給電用ブラシ30a、30bの先端部が進退自在になっていると共に、各後端側の開口部を介して図外のピグテールハーネスの一端部が前記各給電用ブラシ30a、30bの後端に半田付けによって接続されている。
前記各給電用ブラシ30a、30bは、角柱状に形成されて所定の軸方向長さに設定されていると共に、平坦な各先端面が前記各スリップリング26a,26bに軸方向からそれぞれ当接するようになっている。
また、前記ブラシ保持部28の各ブラシホルダ29a、29bの内部後端側には、前記各給電用ブラシ30a、30bを各スリップリング26a,26bの方向へ付勢する一対のコイルばね42a,42bが設けられている。
前記一対の給電用端子片31,31は、図1に示すように、上下方向に沿って平行かつほぼクランク状に形成されて、一方側(下端側)の各端子31a、31aが露出状態に配置され、他方側(上端側)の各端子31b、31bが前記コネクタ部28bの雌型嵌合溝28d内に突設されている。
前記一方側の各端子31a、31aは、それぞれが底壁28fの上面に当接配置されていると共に、図外の一対のピグテールハーネスの他端部が半田付けによって接続されている。
前記各ピグテールハーネスは、その長さが前述したように、前記給電用ブラシ30a、30bが前記コイルばね42a、42bのばね力によって押し出されてもブラシホルダ29a、29bから脱落しないような長さに設定されている。
前記コネクタ部28bは、上端部に図外の雄型端子が挿入される前述の嵌合溝28dに臨む前記他方側端子31b、31bが雄型端子を介して図外のコントロールユニットに電気的に接続されている。
前記モータ出力軸13と偏心軸部39は、前記カムボルト10の軸部10b外周面に設けられた小径ボールベアリング37と、前記従動部材9の円筒部9bの外周面に設けられて小径ボールベアリング37の軸方向側部に配置された前記ニードルベアリング38とによって回転自在に支持されている。
前記ニードルベアリング38は、偏心軸部39の内周面に圧入された円筒状のリテーナ38aと、該リテーナ38aの内部に回転自在に保持された複数の転動体であるニードルローラ38bと、から構成されている。このニードルローラ38bは、前記従動部材9の円筒部9bの外周面を転動している。
前記小径ボールベアリング37は、内輪が前記従動部材9の円筒部9bの前端縁とカムボルト10の頭部10aとの間に挟持状態に固定されている一方、外輪が前記偏心軸部39の段差拡径状の内周面に圧入固定されていると共に、前記内周面に形成された段差縁に当接して軸方向の位置決めがなされている。
また、前記モータ出力軸13(偏心軸部39)の外周面と前記モータハウジング12の延出部12dの内周面との間には、減速機構8の内部から電動モータ5内への潤滑油のリークを阻止する小径なオイルシール46が設けられている。このオイルシール46は、電動モータ5と減速機構8とをシール機能をもって隔成するものである。
前記コントロールユニットは、図外のクランク角センサやエアーフローメータ、水温センサ、アクセル開度センサなど各種のセンサ類から情報信号に基づいて現在の機関運転状態を検出し、これに基づいて機関制御を行うと共に、前記給電用ブラシ30a、30bや各スリップリング26a,26b、切換用ブラシ25a、25b、コミュテータ21などを介してコイル18に通電してモータ出力軸13の回転制御を行い、減速機構8によってカムシャフト2のタイミングスプロケット1に対する相対回転位相を制御するようになっている。
前記減速機構8は、図1〜図3に示すように、偏心回転運動を行う前記偏心軸部39と、該偏心軸部39の外周に設けられた中径ボールベアリング47と、該中径ボールベアリング47の外周に設けられた前記ローラ48と、該ローラ48を転動方向に保持しつつ径方向の移動を許容する前記保持器41と、該保持器41と一体の前記従動部材9と、から主として構成されている。なお、前記偏心軸部39と中径ボールベアリング47によって偏心回転体が構成されている。
前記偏心軸部39は、外周面に形成されたカム面39aの回転中心Yがモータ出力軸13の回転軸心Xから径方向へ僅かに偏心している。
前記中径ボールベアリング47は、前記ニードルベアリング38の径方向位置で全体がほぼオーバーラップする状態に配置され、内輪47aと外輪47b及び該両輪47a、47bとの間に介装されたボール47cとから構成されている。前記内輪47aは、前記偏心軸部39の外周面に圧入固定されているのに対して、前記外輪47bは、軸方向で固定されることなくフリーな状態になっている。つまり、この外輪47bは、軸方向の電動モータ5側の一端面がどの部位にも接触せず、また軸方向の他端面がこれに対向する保持器41の内側面との間に微小な第1隙間Cが形成されてフリーな状態になっている。
また、この外輪47bの外周面には、前記各ローラ48の外周面が転動自在に当接していると共に、この外輪47bの外周側には、円環状の第2隙間C1が形成されて、この第2隙間C1によって中径ボールベアリング47全体が前記偏心軸部39の偏心回転に伴って径方向へ移動可能、つまり偏心動可能になっている。
前記各ローラ48は、鉄系金属によって中実円柱状に形成され、外径の大きさが全て均一に形成されている。また、この各ローラ48は、前記中径ボールベアリング47の偏心動に伴って径方向へ移動しつつ前記内歯構成部19の内歯19aに嵌入すると共に、保持器41のローラ保持孔41bの両側縁によって周方向にガイドされつつ径方向に揺動運動させるようになっている。
前記減速機構8の内部には、潤滑油供給手段によって潤滑油が供給されるようになっている。この潤滑油供給手段は、前記シリンダヘッド01の軸受02の内部に形成されて、図外のメインオイルギャラリーから潤滑油が供給される油供給通路51と、前記カムシャフト2の内部軸方向に形成されて、前記油供給通路51にグルーブ溝52aを介して連通した油供給孔52と、前記従動部材9の後端面9cに形成されて、前記油供給孔52の先端開口52aが臨む潤滑油溝である第2グルーブ溝53と、前記従動部材9の内部軸方向に貫通形成されて、一端部が前記第2グルーブ溝53に開口し、他端部が前記ニードルベアリング38や中径ボールベアリング47の付近に開口した連通孔54と、同じく従動部材9に貫通形成された図外のオイル排出孔と、から構成されている。
したがって、オイルポンプから圧送された潤滑油が前記潤滑油供給手段を介して前記収容空間44内に強制的に供給されて滞留し、ここから中径ボールベアリング47や各ローラ48を潤滑すると共に、さらには偏心軸部39とモータ出力軸13の内部に流入してニードルベアリング38や小径ボールベアリング37などの可動部の潤滑に供されるようになっている。なお、前記収容空間44内に滞留した潤滑油は、前記小径オイルシール46によってモータハウジング12内へのリークが抑制されている。
そして、前記接着剤15は、本願発明者が以下の実験を行った結果に基づいて選択され、前記永久磁石14a〜14dとモータハウジング12のハウジング本体12aとの間に塗布して、前記永久磁石14a〜14dに剪断方向から単位面積当たりの荷重を加えた場合に、常温の約20℃において、前記荷重を約1.5kN/cm2まで加えた際に、前記荷重を加える前の位置に対して永久磁石14a〜14dが約0.10mmまで移動可能とすると共に、高温の約170℃において、前記荷重を約0.3kN/cm2まで加えた際に、前記荷重を加える前の位置に対して永久磁石14a〜14dが約0.15mmまで移動するような成分材料が用いられている。
まず、前記モータハウジング12のハウジング本体12aを別個に4つ用意すると共に、各永久磁石14a〜14d4セット用意し、さらにこれらに塗布される接着剤15も前記1剤と2剤を含有成分の異なるA剤、B剤、C剤、D剤の4つ種類を用意して実験を行った。なお、前記用意された4つのハウジング本体12aは、それぞれ僅かな製造誤差などに起因して、以下のように完全な真円ではなく数μmの単位で変形している。
最初に、A〜D剤の各接着剤15を、常温(約20℃)の状態下でそれぞれハウジング本体12aと各永久磁石14a〜14dの間に塗布して、各永久磁石14a〜14dを各ハウジング本体12aの内周面12gに固着した。
接着後における前記用意された4つのハウジング本体12aは、その外周形状を測定し、真円に対する差分を表した図を、図8(A剤)、図9(B剤)、図10(C剤)、図11(D剤)で具体的に示している。なお、この図8A〜図11Aに示す状態は、接着剤15塗布後の約20℃の常温時の状態である。
A剤を用いたハウジング本体12aは、図8Aに示すように、真円の基準線Q1に対して上下方向に長い楕円形になっており、角度45°のR線でみると基準線Q1に対して−0.52μmになっている。
B剤を用いたハウジング本体12aは、図9Aに示すように、真円の基準線Q1に対してほぼ横方向に長い楕円形になっており、角度45°のR線でみると基準線Q1に対して−4.01μmになっている。
C剤を用いたハウジング本体12aは、図10Aに示すように、真円の基準線Q1に対して同じく斜め方向に長い楕円形になっており、角度45°のR線でみると基準線Q1に対して−5.40μmになっている。
D剤を用いたハウジング本体12aは、図11Aに示すように、真円の基準線Q1に対して上下方向に長い楕円形になっており、角度45°のR線でみると基準線Q1に対して0.86μmになっている。
次に、前記各永久磁石14a〜14dが固着した時間を経過した後、それぞれのハウジング本体12aを、加熱して約170℃まで昇温させた。温度を170℃に設定したのは、前記電動モータ5の駆動中に、コイルなどの発熱や機関からの伝熱によってハウジング本体12aの内部の最高温度が約170℃になるからである。
その後、前記各ハウジング本体12aを所定時間放置して自然冷却させ、該各ハウジング本体12aの温度が常温の約20℃に低下した時点で、再び、前記4つのハウジング本体12aの真円度を検証した
A剤を用いたハウジング本体12aは、図8Bに示すように、真円の基準線Q1に対して、さらに上下方向へ長い楕円状に変形しており、角度45°のR線でみると基準線Q1に対して−4.17μmになっている。昇温前に対する差分値は3.65μmである。
B剤を用いたハウジング本体12aは、図9Bに示す真円の基準線Q1に対して斜め傾斜状の異形な矩形状に変形しており、角度45°のR線でみると基準線Q1に対して−6.66μmになっている。昇温前に対する差分値は2.65μmである。
C剤を用いたハウジング本体12aは、図10Bに示す真円の基準線Q1に対して両端側が上下方向に突出した長い異形楕円形に変形しており、角度45°のR線でみると基準線Q1に対して−6.25μmになっている。昇温前に対する差分値は、0.85μmである。
D剤を用いたハウジング本体12aは、図11Bに示すように、真円の基準線Q1に対して元の形状とほぼ同じく上下方向に長い楕円形になっており、角度45°のR線でみると基準線Q1に対して1.48μmになっている。昇温前に対する差分値は、−0.62μmである。
図12〜図15は前記接着剤を塗布後の前述した約20℃の状態と、170℃に昇温させた後に約20℃に冷却した状態における前記4つのハウジング本体12aを真円度変化との関係を示したグラフであり、接着剤15として、前記A剤、B剤、C剤、D剤をそれぞれ用いた場合である。
これらのグラフをみると、図12に示すA剤を用いた場合は、接着剤塗布後の20℃(1)では0.017mm、170℃(2)に昇温後、冷却した場合の20℃(3)では0.024mmとなり、(1)と(3)の真円度の差は0.007mmとなった。
図13に示すB剤を用いた場合は、接着剤塗布後の20℃(1)では0.028mm、170℃(2)に昇温後、冷却した場合の20℃(3)では0.028mmとなり、(1)と(3)の真円度の差は0.006mmとなった。
図14に示すC剤を用いた場合は、接着剤塗布後の20℃(1)では0.017mm、170℃(2) に昇温後、冷却した場合の20℃(3)では0.027mmとなり、(1)と(3)の真円度の差は0.010mmとなった。
図15に示すD剤を用いた場合は、接着剤塗布後の20℃(1)では0.015mm、170℃(2) に昇温後、冷却した場合の20℃(3)では0.019mmとなり、(1)と(3)の真円度の差は0.004mm(4μm)となった。
この結果からすると、真円度の差は、接着剤15としてA剤〜C剤を用いた場合は、0.006mm〜0.010mmと比較的大きいが、D剤を用いた場合0.004mmであって、最も小さくなっていることが明らかである。
これらの結果をふまえて、前記4種類の接着剤15(A〜D剤)の粘弾性率を検証するために、以下のような実験を行った。
まず、前記約170℃の状態で、前記各ハウジング本体12aの永久磁石14a〜14dに剪断方向である巾方向から単位面積当たりの荷重(kN/cm2)を加えて、各ハウジング本体12aの永久磁石14a〜14dのストローク移動量(mm)を検証した。この結果を折れ線グラフの図16に示した。
これをみると、荷重を0から徐々に加えて行くと、前記A剤〜C剤を用いたものは、荷重に対する移動比率(量)が少なく、つまり、A剤を用いたものでは、約0.4kN/cm2まで掛けても約0.060〜0.070mm程度までしか移動せず、この最大移動時点で停止して永久磁石14a〜14dがハウジング本体12aから剥がれてしまった。
B剤を用いたものでは、さらに移動量が少なく、約1.0kN/cm2まで掛けても約0.08〜0.09mm程度までしか移動せず、この最大移動時点で停止して永久磁石14a〜14dがハウジング本体12aから剥がれてしまった。
C剤を用いたものでは、約0.3kN/cm2まで掛けても約0.06mm程度までしか移動せず、この最大移動時点で停止して永久磁石14a〜14dがハウジング本体12aから剥がれてしまった。
D剤を用いたものでは、荷重に対する永久磁石14a〜14dの移動量が大きくなっており、約0.3kN/cm2まで徐々に荷重を掛けると、これに伴って移動量が伸びて約0.15mmまで移動し、この移動量に達した時点で永久磁石14a〜14dがハウジング本体12aから剥がれた。また、D剤は、A剤,B剤,C剤が0.10mm以下で剥がれているのに対し、0.10mm以上まで剥がれていない。
次に、常温の約20℃の状態で、再び前記各ハウジング本体12aの永久磁石14a〜14dに剪断方向である巾方向から単位面積当たりの荷重(kN/cm2)を加えて、各ハウジング本体12aの永久磁石14a〜14dのストローク移動量(mm)を検証した。この結果を折れ線グラフの図17に示した。
これをみると、荷重を0から徐々に加えて行くと、前記A剤、B剤、C剤を用いた各ハウジング本体12aの永久磁石14a〜14dのものは、荷重に対する移動比率が少なく、A剤、B剤、C剤を用いたものでは、約3.0kN/cm2の荷重を掛けても約0.09〜0.10mm程度の移動量となり、約5.0〜6.0kN/cm2の最大荷重を掛けるとA剤では約0.17mm、C剤では約0.16mmの移動量となる。また、B剤では約7.5kN/cm2のさらに大きな荷重を掛けると約0.20mm程度まで移動し、これらの最大移動時点で停止して永久磁石14a〜14dがハウジング本体12aから剥がれた。
これに対して、D剤を用いたものでは、荷重に対する移動量が大きくなり、約1.5kN/cm2まで荷重を掛けると約0.13mm程度まで大きく移動することが分かった。また、この結果から約1.5kN/cm2の荷重を掛けた際にA〜C剤が約0.07mm以下しか移動していないのに対し、D剤は0.10mm以上移動していることがわかる。
このように、成分の異なる4種類の接着剤15(A〜D剤)の硬度特性を実験により検証した結果、前記A剤、B剤、C剤を用いたものは、接着剤15の硬度が高く、いわば粘弾性率が高いのに対して、D剤を用いたものは硬度が低く、いわば粘弾性率が低いものになっていることが分かる。
換言すれば、前記D剤は前記A剤、B剤、C剤に対して柔らかい性質となっており、ハウジング本体12aの温度による膨張・収縮に対して接着剤15による影響が低減していることが分かる。
つまり、接着剤15が最も熱的変化によるハウジング本体12aの変形を抑制し得るものが前記D剤であることが分かった。
〔本実施形態の作動〕
以下、本実施形態の作動について説明すると、まず、機関のクランクシャフトの回転駆動に伴ってタイミングチェーンを介してタイミングスプロケット1が回転して、その回転力が内歯構成部19と雌ねじ形成部12eを介してモータハウジング12に伝達されて、該モータハウジング12が同期回転する。一方、前記内歯構成部19の回転力が、各ローラ48から保持器41及び従動部材9を経由してカムシャフト2に伝達される。これによって、カムシャフト2のカムが吸気弁を開閉作動させる。
そして、機関始動後の所定の機関運転時には、前記コントロールユニットから各端子片31,31、各ピグテールハーネス及び給電用ブラシ30a、30bや各スリップリング26a,26bなどを介して電動モータ5のコイル18に通電される。これによって、モータ出力軸13が回転駆動され、この回転力が減速機構8を介してカムシャフト2に減速された回転力が伝達される。
すなわち、前記モータ出力軸13の回転に伴い偏心軸部39が偏心回転すると、各ローラ48がモータ出力軸13の1回転毎に保持器41の各ローラ保持孔41bで径方向へガイドされながら前記内歯構成部19の一つの内歯19aを乗り越えて隣接する他の内歯19aに転動しながら移動し、これを順次繰り返しながら円周方向へ転接する。この各ローラ48の転接によって前記モータ出力軸13の回転が減速されつつ前記従動部材9に回転力が伝達される。このときの減速比は、前記内歯19aの数とローラ48の数の差によって任意に設定することが可能である。
これにより、カムシャフト2がタイミングスプロケット1に対して正逆相対回転して相対回転位相が変換されて、吸気弁の開閉タイミングを進角側あるいは遅角側に変換制御するのである。
前記タイミングスプロケット1に対するカムシャフト2の正逆相対回転の最大位置規制(角度位置規制)は、前記ストッパ凸部61bの各側面が前記ストッパ凹溝2bの各対向面2c、2dのいずれか一方に当接することによって行われる。
したがって、吸気弁の開閉タイミングが進角側あるいは遅角側へ最大に変換されて、機関の燃費や出力の向上が図れる。
そして、本実施形態では、前述したように、前記電動モータ5のハウジング本体12aの内周面12gに各永久磁石14a〜14dを接着する接着剤15を、実験によって検証された前記D剤を用いたものを選択したことから、前記電動モータ5の駆動中の発熱と冷却の繰り返しによるハウジング本体12aの熱的変形を十分に抑制することが可能になる。
これによって、前記ハウジング本体12aの外周面から前記オイルシール50のシール部50cの一部が浮き上がってしまうのを十分に抑制することが可能になる。この結果、前記オイルシール50の良好なシール性能を維持することができる。
また、前記ハウジング本体12aは前記オイルシール50と摺接しながら回転する構造であるため、A剤〜C剤の場合のように前記ハウジング本体12aが歪な外周面、つまり傾斜変化の大きい外周面を有していると、回転によって前記オイルシール50が跳ね上げられ、シール性が低下するおそれがある。
しかしながら、D剤のようになだらかな外周面を有している場合には、ハウジング本体12aの回転によってオイルシール50が跳ね上げられ、浮き上がってしまうのを十分抑制することができるため、作動している最中のシール性も向上する。
また、前記接着剤15として、A剤〜C剤に比較して粘弾性率の低いD剤を用いたが、このD剤の接着剤15は、ハウジング本体12aに対する各永久磁石14a〜14dの高い接着力を十分に持続できることは勿論であり、特に粘弾性率が低いことから耐久性も向上する。
また、本実施形態では、前記大径オイルシール50や環状シール部材33によって前記空間部32内が密閉状態となるが、前記カバー部材3の円筒部34に通気用栓体56を設けたことから、前記装置の作動中に、前記各スリップリング26a、26bに各給電用ブラシ30a、30bが摺動してこの摩擦熱などにより前記空間部32内の温度が上昇しても、この空間部32内の空気を、前記フィルタ59を通して速やかに排出することができる。これにより、前記空間部32の内圧の上昇を効果的に抑制することが可能になる。
この結果、例えば、前記大径オイルシール50や環状シール部材33などの部品の変形や脱落を十分に抑制することができる。
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、前記接着剤15の含有成分をさらに変更して、高い接着力を確保しつつ粘弾性率の低い材料とすることも可能である。
また、本発明のバルブタイミング制御装置を吸気側の他に、排気側に設けることも可能である。
1…タイミングスプロケット(駆動回転体)
1a…スプロケット本体
2…カムシャフト
3…カバー部材
4…位相変更機構
5…電動モータ
8…減速機構
9…従動部材(従動回転体)
12…モータハウジング
12a…ハウジング本体
12g…内周面
13…モータ出力軸
14a〜14d…永久磁石
15…接着剤
50…オイルシール(シール部材)

Claims (4)

  1. クランクシャフトから回転力が伝達される駆動回転体と、
    該駆動回転体から回転力が伝達され、カムシャフトに結合された従動回転体と、
    モータハウジングが前記駆動回転体に設けられ、モータ出力軸を回転させることによって前記駆動回転体に対して従動回転体を相対回転させる電動モータと、
    前記モータハウジングの少なくとも先端部を覆うように設けられたカバー部材と、
    該カバー部材の内周とモータハウジングの外周との間をシールするシール部材と、
    を備え、
    前記電動モータは、前記モータハウジングの内周面に接着剤によって接着された永久磁石と、前記モータ出力軸に固定され、外周にコイルが巻回されたロータと、を有し、
    前記接着剤を、前記永久磁石とモータハウジングとの間に塗布した状態において、
    常温の20℃において、前記永久磁石に剪断方向から単位面積当たりの荷重を1.5kN/cm2まで加えた際に、前記荷重を加える前の位置に対して永久磁石が剪断せずに少なくとも0.10mmまで移動可能とすると共に、
    高温の170℃において、前記荷重を0.3kN/cm2まで加えた際に、前記荷重を加える前の位置に対して永久磁石が剪断せずに少なくとも0.15mmまで移動可能とするような、前記接着剤の成分材料としたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    内周面に永久磁石を前記接着剤によって固着した状態の前記モータハウジングの真円度と、前記モータハウジングを170℃の高温状態から20℃の常温状態に冷却した後のモータハウジングの真円度の変化量が最大で4μmであることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記モータハウジングに接着剤を塗布して永久磁石を固着する作業を、前記常温下で行うことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記シール部材を、オイルシールによって構成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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