図1乃至図21を用いて、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブについて説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1に示すように、サスペンション用基板1は、後述する熱アシスト用素子113が搭載されたヘッドスライダ112(図11参照)が実装されるヘッド領域2と、フレキシブルプリント基板(FPC基板、外部接続基板)130が接続されるテール領域3と、を有している。ヘッド領域2には、ヘッドスライダ112に接続される複数のヘッド端子4が設けられ、テール領域3には、フレキシブルプリント基板130に接続される複数のテール端子5が設けられている。ヘッド端子4とテール端子5とは、後述する複数の配線によってそれぞれ接続されている。なお、図1においては、図面を明瞭にするために、ヘッド端子4およびテール端子5は2つずつ設けられている例を示しているが、これに限られることはなく、例えば、配線の個数に応じて設けられることが好適である。
図2に示すように、サスペンション用基板1は、金属支持層10と、金属支持層10上に設けられた絶縁層20と、絶縁層20上に設けられた第1配線層30と、第1絶縁層20上に設けられ、第1配線層30を覆う第2絶縁層40と、第2絶縁層40上に設けられた第2配線層50と、を備えている。このうち第1絶縁層20と第1配線層30との間、並びに、第2絶縁層40と第2配線層50との間には、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銅(Cu)からなり、約300nm厚さを有するシード層(図示せず)を介在させてもよい。この場合、第1絶縁層20と第1配線層30との密着性、および第2絶縁層40と第2配線層50との密着性を向上させることができる。
このうち、第1配線層30は、一対の第1配線(第1書込用配線31および第2書込用配線32)と、一対の読取用配線(図示せず)と、を有している。第1書込用配線31と第2書込用配線32は、互いに逆位相となる電気信号を伝送する差動配線として構成されている。同様に、一対の読取用配線も、互いに逆位相となる電気信号を伝送する差動配線となっている。ここで、書込用配線とは、後述するディスク123(図13参照)にデータを書き込んで記憶させるための電気信号を伝送するためのものであり、読取用配線とは、データが記憶されているディスク123から読み取られた電気信号を伝送するためのものである。
本実施の形態においては、第1書込用配線31と第2書込用配線32が、インターリーブ構造を有している。すなわち、図2および図3に示すように、第1書込用配線31は、並列に設けられた、インターリーブ構造を構成する複数(図2においては4つ)の第1インターリーブ用線路31aを有している。同様に、第2書込用配線32は、並列に設けられた、インターリーブ構造を構成する複数(図2においては4つ)の第2インターリーブ用線路32aを有している。これらの第1インターリーブ用線路31aと第2インターリーブ用線路32aとは、交互に配置されている。言い換えると、互いに隣り合う2つの第1インターリーブ用線路31aの間に、一の第2インターリーブ用線路32aが配置されている。また、第1インターリーブ用線路31aと第2インターリーブ用線路32aは、互いに沿って延びるように形成されている。
図3に示すように、第1書込用配線31は、ヘッド端子4に接続された第1ヘッド側線路31bを更に有している。この第1ヘッド側線路31bは、第1ジャンパー部71において、第1インターリーブ用線路31aに接続されている。具体的には、図3および図5に示すように、金属支持層10が、金属支持層本体11と、金属支持層本体11から分離されて電気的に絶縁された第1ジャンパー配線部12と、を有し、このうち第1ジャンパー配線部12に、第1絶縁層20を貫通する4つの第1導電接続部75(ビア)が接続されている。各第1インターリーブ用線路31aのヘッド側端部は、対応する第1導電接続部75に接続されている。このようにして、各第1インターリーブ用線路31aのヘッド側端部が、第1ジャンパー配線部12と第1導電接続部75とによって互いに電気的に接続されている。そして、一の第1インターリーブ用線路31a(図3において最も左側の第1インターリーブ用線路31a)のヘッド側端部が、第1絶縁層20の第1配線層30の側の面において、第1ヘッド側線路31bのテール側端部に電気的に接続されている。
また、第1書込用配線31は、テール端子5に接続された第1テール側線路31cを更に有している。この第1テール側線路31cに、各第1インターリーブ用線路31aが接続されている。ここでは、第1絶縁層20の第1配線層30の側の面において、第1テール側線路31cと各第1インターリーブ用線路31aとが電気的に接続されている。
このような構成により、第1書込用配線31で伝送される電気信号は、4つの第1インターリーブ用線路31aを通って伝送されるようになっている。なお、上述した第1ジャンパー部71は、ヘッド領域2に配置される、あるいはヘッド端子4になるべく近い位置に配置されることが好適である。このことにより、インターリーブ構造による電気特性改善の効果を高めることができる。
図3に示すように、第2書込用配線32は、ヘッド端子4に接続された第2ヘッド側線路32bを更に有している。この第2ヘッド側線路32bに、各第2インターリーブ用線路32aが接続されている。ここでは、第1絶縁層20の第1配線層30の側の面において、第2ヘッド側線路32bと各第2インターリーブ用線路32aとが電気的に接続されている。
また、第2書込用配線32は、テール端子5に接続された第2テール側線路32cを更に有している。この第2テール側線路32cは、第2ジャンパー部72において、第2インターリーブ用線路32aに接続されている。具体的には、図3および図6に示すように、金属支持層10は、金属支持層本体11から分離されて電気的に絶縁された第2ジャンパー配線部13を更に有し、この第2ジャンパー配線部13に、第1絶縁層20を貫通する4つの第2導電接続部76(ビア)が接続されている。各第2インターリーブ用線路32aのテール側端部は、対応する第2導電接続部76に接続されている。このようにして、各第2インターリーブ用線路32aのテール側端部が、第2ジャンパー配線部13と第2導電接続部76とによって互いに電気的に接続されている。そして、一の第2インターリーブ用線路32a(図3において最も右側の第2インターリーブ用線路32a)のテール側端部が、第1絶縁層20の第1配線層30の側の面において、第2テール側線路32cのヘッド側端部に電気的に接続されている。
このような構成により、第2書込用配線32で伝送される電気信号は、4つの第2インターリーブ用線路32aを通って伝送されるようになっている。なお、上述した第2ジャンパー部72は、テール領域3に配置される、あるいはテール端子5になるべく近い位置に配置されることが好適である。このことにより、インターリーブ構造による電気特性改善の効果を高めることができる。
第2配線層50は、熱アシスト用素子113に接続される一対の第2配線(第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52)を含んでいる。例えば、第1熱アシスト用配線51は熱アシスト用素子113に正電源を供給し、第2熱アシスト用配線52は熱アシスト用素子113に負電源を供給するように構成することができる。
本実施の形態においては、第1熱アシスト用配線51と第2熱アシスト用配線52も、インターリーブ構造を有している。すなわち、図2および図4に示すように、第1熱アシスト用配線51は、並列に設けられた、インターリーブ構造を形成する複数(図4においては4つ)の第3インターリーブ用線路51aを有している。同様に、第2熱アシスト用配線52は、並列に設けられた、インターリーブ構造を形成する複数(図4においては4つ)の第4インターリーブ用線路52aを有している。これらの第3インターリーブ用線路51aと第4インターリーブ用線路52aとは、交互に配置されている。言い換えると、互いに隣り合う2つの第3インターリーブ用線路51aの間に、一の第4インターリーブ用線路52aが配置されている。また、第3インターリーブ用線路51aと第4インターリーブ用線路52aは、互いに沿って延びるように形成されている。
図4に示すように、第1熱アシスト用配線51は、ヘッド端子4に接続された第3ヘッド側線路51bを更に有している。この第3ヘッド側線路51bは、第3ジャンパー部73において、第3インターリーブ用線路51aに接続されている。具体的には、図4および図7に示すように、第1配線層30は、各配線31、32から分離されて電気的に絶縁された第3ジャンパー配線部33を更に有し、この第3ジャンパー配線部33に、第2絶縁層40を貫通する4つの第3導電接続部77(ビア)が接続されている。各第3インターリーブ用線路51aのヘッド側端部は、対応する第3導電接続部77に接続されている。このようにして、各第3インターリーブ用線路51aのヘッド側端部が、第3ジャンパー配線部33と第3導電接続部77とによって互いに電気的に接続されている。そして、一の第3インターリーブ用線路51a(図4において最も左側の第3インターリーブ用線路51a)のヘッド側端部が、第2絶縁層40の第2配線層50の側の面において、第3ヘッド側線路51bのテール側端部に電気的に接続されている。
また、第1熱アシスト用配線51は、テール端子5に接続された第3テール側線路51cを更に有している。この第3テール側線路51cに、第3インターリーブ用線路51aが接続されている。ここでは、第2絶縁層40の第2配線層50の側の面において、第3テール側線路51cと各第3インターリーブ用線路51aとが電気的に接続されている。
このような構成により、第1熱アシスト用配線51で伝送される電気信号は、4つの第3インターリーブ用線路51aを通って伝送されるようになっている。なお、上述した第3ジャンパー部73は、ヘッド領域2に配置される、あるいはヘッド端子4になるべく近い位置に配置されることが好適である。このことにより、インターリーブ構造による電気特性改善の効果を高めることができる。
図4に示すように、第2熱アシスト用配線52は、ヘッド端子4に接続された第4ヘッド側線路52bを更に有している。この第4ヘッド側線路52bに、各第4インターリーブ用線路52aが接続されている。ここでは、第2絶縁層40の第2配線層50の側の面において、第4ヘッド側線路52bと各第4インターリーブ用線路52aとが電気的に接続されている。
また、第2熱アシスト用配線52は、テール端子5に接続された第4テール側線路52cを更に有している。この第4テール側線路52cは、第4ジャンパー部74において、第4インターリーブ用線路52aに接続されている。具体的には、図4および図8に示すように、第1配線層30は、各配線31、32から分離されて電気的に絶縁された第4ジャンパー配線部34を更に有し、この第4ジャンパー配線部34に、第2絶縁層40を貫通する4つの第4導電接続部78(ビア)が接続されている。各第4インターリーブ用線路52aのテール側端部は、対応する第4導電接続部78に接続されている。このようにして、各第4インターリーブ用線路52aのテール側端部が、第4ジャンパー配線部34と第4導電接続部78とによって互いに電気的に接続されている。そして、一の第4インターリーブ用線路52a(図4において最も右側の第4インターリーブ用線路52a)のテール側端部が、第2絶縁層40の第2配線層50の側の面において、第4テール側線路52cのヘッド側端部に電気的に接続されている。
このような構成により、第2熱アシスト用配線52で伝送される電気信号は、4つの第4インターリーブ用線路52aを通って伝送されるようになっている。なお、第4ジャンパー部74は、テール領域3に配置される、あるいはテール端子5になるべく近い位置に配置されることが好適である。このことにより、インターリーブ構造による電気特性改善の効果を高めることができる。
なお、上述したヘッド端子4は、例えば第2絶縁層40上に設けられて第2配線層50の一部を構成するようにしてもよい。この場合、複数のヘッド端子4のうちの一部のヘッド端子4は、書込用配線31、32および読取用配線とヘッドスライダ112とを接続する。他の一部のヘッド端子4は、ヘッドスライダ112に搭載された熱アシスト用素子113に接続される。第1配線層30の書込用配線31、32を含む配線は、第2絶縁層40を貫通する図示しない導電接続部(ビア)を用いることによって、このヘッド端子4に接続することができる。テール端子5についても同様とすることができる。なお、ヘッド端子4および/またはテール端子5は、第2配線層50ではなく、第1配線層30の一部を構成するようにしてもよい。
図2および図9に示すように、第1配線層30の書込用配線31、32と第2配線層50の熱アシスト用配線51、52とは、平面視において、交互に配置されるとともに互いに重ならないように配置されている。ここで、平面視とは、サスペンション用基板1を積層方向からみた場合、例えば、図2において上下方向(P方向)からみた場合を意味するものとして用いている。
本実施の形態においては、書込用配線31、32のインターリーブ用線路31a、32aと熱アシスト用配線51、52のインターリーブ用線路51a、52aとは、平面視において、交互に配置されるとともに互いに重ならないように配置されている。より具体的には、図2および図9に示すように、左側から右側に向って、第1書込用配線31の第1インターリーブ用線路31a、第1熱アシスト用配線51の第3インターリーブ用線路51a、第2書込用配線32の第2インターリーブ用線路32a、第2熱アシスト用配線52の第4インターリーブ用線路52aといった順で、各線路が配置されている。そして、第3インターリーブ用線路51aおよび第4インターリーブ用線路52aが、平面視において、第1インターリーブ用線路31aおよび第2インターリーブ用線路32aのいずれとも重ならないように配置されている。すなわち、第3インターリーブ用線路51aおよび第4インターリーブ用線路52aが、平面視において、第1インターリーブ用線路31aと第2インターリーブ用線路32aとの間にそれぞれ配置されている。言い換えると、第1インターリーブ用線路31aおよび第2インターリーブ用線路32aが、第3インターリーブ用線路51aと第4インターリーブ用線路52aとの間にそれぞれ配置されている。
図9に示すように、各インターリーブ用線路31a、32a、51a、52aは、互いに沿って延びるように、あるいは互いに平行に延びるように形成されている。インターリーブ用線路31a、32a、51a、52aの長手方向にできるだけ長い範囲(好適には全範囲)で、第1インターリーブ用線路31aおよび第2インターリーブ用線路32aと、第3インターリーブ用線路51aおよび第4インターリーブ用線路52aとが重ならないことが好ましい。しかしながら、このことに限られることはなく、電気信号の干渉防止という効果を実質的に発揮することができる程度に重ならない範囲が形成されていれば、長手方向のうちの一部の範囲が重なっていてもよい。この場合、重なる箇所は、1箇所に限られず複数箇所で重なっていてもよい。
図2に示すように、本実施の形態においては、第3インターリーブ用線路51aの幅(w3)は、互いに隣り合う第1インターリーブ用線路31aと第2インターリーブ用線路32aとの間の距離(g3)より小さくなっている。同様にして、第4インターリーブ用線路52aの幅(w4)は、第2インターリーブ用線路32aと第1インターリーブ用線路31aとの間の距離(g4)より小さくなっている。また、第1書込用配線31の第1インターリーブ用線路31aの幅(w1)は、第2熱アシスト用配線52の第4インターリーブ用線路52aと第1熱アシスト用配線51の第3インターリーブ用線路51aとの間の距離(g1)より小さくなっており、第2書込用配線32の第2インターリーブ用線路32aの幅(w2)は、第1熱アシスト用配線51の第3インターリーブ用線路51aと第2熱アシスト用配線52の第4インターリーブ用線路52aとの間の距離(g2)より小さくなっている。図2に示すように、各インターリーブ用線路の幅w1、w2、w3、w4がいずれも等しく、各インターリーブ用線路間の距離g1、g2、g3、g4がいずれも等しくなっていることが好ましい。このことにより、各線路で伝送される電気信号の電気特性を向上させることができる。
ところで、図2に示すように、金属支持層10のうち、第1書込用配線31および第2書込用配線32の下方の部分には、マイクロウィンドウ14が設けられている。このマイクロウィンドウ14によって、絶縁層20の金属支持層10の側の面が露出されている。このことにより、各書込用配線31、32で伝送される電気信号が、金属支持層10に電磁誘導等を介して流れる不要な電流により減衰されることを抑制できる。このため、各書込用配線31、32の高周波特性を向上させることができる。なお、マイクロウィンドウ14は、第3ジャンパー部73および第4ジャンパー部74にも設けられている(図7および図8参照)。
また、図2に示すように、第2絶縁層40上には、第2配線層50を覆う保護層60が設けられている。保護層60によって第2配線層50が露出されることを防止し、第2配線層50の腐食を防止している。なお、図1においては、図面を明瞭にするために、保護層60は省略されている。
次に、各構成部材について詳細に述べる。
金属支持層10の材料としては、所望の導電性、弾力性、および強度を有するものであれば特に限定されることはないが、例えば、ステンレス、アルミニウム、ベリリウム銅、またはその他の銅合金を用いることができ、ステンレスを用いることが好適である。なお、金属支持層10の厚さは、一例として、10μm〜30μm、とりわけ15μm〜25μmとすることができる。
第1絶縁層20および第2絶縁層40の材料としては、所望の絶縁性を有する材料であれば特に限定されることはないが、例えば、ポリイミド(PI)を用いることが好適である。なお、各絶縁層20、40の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。このうち第1絶縁層20の厚さは、3μm〜15μm、とりわけ、5μmであることが好ましく、第2絶縁層40の厚さ(第1配線層30上の厚さ)は、3μm〜10μm、とりわけ5μmであることが好ましい。このことにより、金属支持層10と第1配線層30との絶縁性能、および、第1配線層30と第2配線層50との絶縁性能を確保するとともに、サスペンション用基板1全体としての剛性が喪失されることを防止することができる。
第1配線層30の各配線31、32およびジャンパー配線部33、34並びに第2配線層50の各配線51、52は、電気信号を伝送するための導体として構成され、同一の材料により形成されている。各配線31、32、51、52およびジャンパー配線部33、34の材料としては、所望の導電性を有する材料であれば特に限定されることはないが、銅(Cu)を用いることが好適である。銅以外にも、純銅に準ずる電気特性を有する材料であれば用いることもできる。ここで、各配線31、32、51、52およびジャンパー配線部33、34の厚さは、例えば1μm〜18μm、とりわけ5μm〜12μmであることが好ましい。このことにより、各配線31、32、51、52およびジャンパー配線部33、34の伝送特性を確保するとともに、サスペンション用基板1全体としての柔軟性が喪失されることを防止することができる。
各導電接続部の材料としては、所望の導電性を有する材料であれば特に限定されることはないが、銅またはニッケル等が挙げられる。本実施の形態においては、第1導電接続部75および第2導電接続部76は、ニッケルにより形成され、第3導電接続部77および第4導電接続部78は、第2配線層50の配線51、52と同一の材料により形成されている。
保護層60の材料としては、第1絶縁層20および第2絶縁層40と同様に、樹脂材料、例えば、ポリイミドを用いることが好適である。なお、保護層60の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。保護層60の厚さ(第2配線層50上の厚さ)は、3μm〜10μm、とりわけ5μmであることが好ましい。
次に、図10により、本実施の形態におけるサスペンション101について説明する。図10に示すサスペンション101は、上述したサスペンション用基板1と、サスペンション用基板1の金属支持層10に設けられ、ヘッドスライダ112をディスク123(図13参照)に対して保持するためのロードビーム102と、を備えている。このうちロードビーム102は、ヘッドスライダ112(図11、12参照)が実装される面とは反対側の面に設けられている。
続いて、図11および図12により、本実施の形態におけるヘッド付サスペンション111について説明する。図11に示すヘッド付サスペンション111は、上述したサスペンション101と、サスペンション用基板1のヘッド領域2に実装されたヘッドスライダ112と、を備えている。
図12に示すように、ヘッドスライダ112の裏面(ディスク123の側とは反対側の面)には、熱アシスト用素子113が搭載されている。熱アシスト用素子113は、例えば、レーザーダイオード(LD)素子又は発光ダイオード(LED)素子によって光を発するように構成することができる。熱アシスト用素子113から発せられた光は、ヘッドスライダ112に設けられた導波路114を介してディスク123(図13参照)に照射される。このことによって、ディスク123のうち磁気記録を行う部分を瞬間的に加熱し、磁性粒子を小さくして高密度化されたディスク123において、常温では困難な保持力の高い記録が可能となる。本実施の形態においては、熱アシスト用素子113は、ヘッドスライダ112の裏面に搭載されており、サスペンション用基板1およびロードビーム102に設けられた収納開口部115に収納されるようになっている。
次に、図13により、本実施の形態におけるハードディスクドライブ121について説明する。図13に示すハードディスクドライブ121は、ケース122と、このケース122に回転自在に取り付けられ、データが記憶されるディスク123と、このディスク123を回転させるスピンドルモータ124と、ディスク123に所望のフライングハイトを保って近接するように設けられ、ディスク123に対してデータの書き込みおよび読み取りを行うヘッドスライダ112を含むヘッド付サスペンション111と、を備えている。このうちヘッド付サスペンション111は、ケース122に対して移動自在に取り付けられており、ケース122にはヘッド付サスペンション111のヘッドスライダ112をディスク123上に沿って移動させるボイスコイルモータ125が取り付けられている。また、ヘッド付サスペンション111は、ボイスコイルモータ125にアーム126を介して取り付けられている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち本実施の形態によるサスペンション用基板1の製造方法について説明する。ここでは、一例として、第1ジャンパー部71および第3ジャンパー部73の断面構造を示す図14乃至図21を用いて、サブトラクティブ法によりサスペンション用基板1を製造する方法について説明する。ここでは、第2ジャンパー部72および第4ジャンパー部74は、第1ジャンパー部71および第3ジャンパー部73と同様にして作製することができるため、詳細な説明は省略する。また、図14乃至図21は、図面を明瞭化するために、各配線31、32、51、52が、2つのインターリーブ用線路31a、32a、51a、52aを有している例を示している。なお、サスペンション用基板1は、アディティブ法によって作製することもできる。
まず、金属支持層10と、金属支持層10上に設けられた第1絶縁層20と、第1絶縁層20上に設けられた第1配線層30と、を有する積層体80を準備する(図14参照)。この場合、まず、金属支持層10を準備し、この金属支持層10上に、液状のポリイミドが塗工され、これを硬化することにより第1絶縁層20が形成される。続いて、第1絶縁層20上に、ニッケル、クロム、および銅がスパッタ工法により順次コーティングされ、シード層(図示せず)が形成される。その後、このシード層を導通媒体として、電解銅めっきが施されて第1配線層30が形成される。このようにして、金属支持層10と、第1絶縁層20と、第1配線層30と、を有する積層体80が得られる。
続いて、第1配線層30がエッチングされる(図15参照)。この場合、金属支持層10上および第1配線層30上に、フォトファブリケーションの手法により、ドライフィルムを用いてパターン状のレジスト(図示せず)が形成され、第1配線層30のうちレジストから露出された部分がエッチングされ、所望の形状に加工される。このことにより、第1配線層30に、インターリーブ用線路31a、32aを含む書込用配線31、32、第3ジャンパー配線部33などが形成される。また、この場合、第1インターリーブ用線路31aには、第1導電接続部75を形成するための貫通孔35が形成される。ここで、第1配線層30をエッチングする方法は、特に限定されるものではないが、ウェットエッチングを行うことが好ましい。また、エッチング液には、例えば、塩化第二鉄水溶液等の塩化鉄系エッチング液、または塩化銅水溶液等の塩化銅系エッチング液を用いることができる。エッチングが行われた後、レジストは除去される。
次に、第1絶縁層20がエッチングされる(図16参照)。この場合、第1絶縁層20上に、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、第1絶縁層20のうちレジストから露出された部分がエッチングされ、所望の形状に加工される。このことにより、第1絶縁層20に、第1導電接続部75を形成するための貫通孔21が形成される。ここで、第1絶縁層20をエッチングする方法は、特に限定されるものではないが、例えば、有機アルカリ液を用いたエッチングを行うことが好適である。
第1絶縁層20がエッチングされた後、第1絶縁層20に、第1配線層30を覆うように第2絶縁層40が形成される(図17参照)。この場合、まず、第1絶縁層20上に、第1配線層30を覆うように、液状のポリイミドが塗工され、これを硬化することにより第2絶縁層40が形成される。続いて、形成された第2絶縁層40上に、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、第2絶縁層40のうちレジストから露出された部分がエッチングされ、所望の形状に加工される。このことにより、第1導電接続部75を形成するための貫通孔41と、第3導電接続部77を形成するための貫通孔42が形成される。なお、エッチングは、上述した第1絶縁層20のエッチングと同様に行うことができる。エッチングが行われた後、レジストは除去される。
その後、第2絶縁層40上に、第2配線層50が形成される(図18参照)。この場合、まず、第2絶縁層40上に、スパッタリングにより、シード層(図示せず)が形成される。続いて、シード層上および金属支持層10上に、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、レジストの開口部に、電解銅めっきが施されて熱アシスト用配線51、52が形成される。この際、第2絶縁層40に設けられた貫通孔42に、第3導電接続部77が形成される。すなわち、第3インターリーブ用線路51aと第3導電接続部77とが一体的に形成される。その後、レジストは除去される。
第2配線層50が形成された後、第1配線層30に形成された貫通孔35と第1絶縁層20に形成された貫通孔21と、第2絶縁層40に形成された貫通孔41に、第1導電接続部75が形成される(図19参照)。この場合、第2絶縁層40および第2配線層50上に、パターン状のレジスト(図示せず)が形成される。続いて、レジストから露出された部分に、電解ニッケルめっきが施されて第1導電接続部75が形成される。その後、レジストは除去される。
続いて、第2絶縁層40上に、第2配線層50を覆う保護層60が形成される(図20参照)。この場合、まず、第2絶縁層40上に、液状のポリイミドが塗工され、これを硬化することにより、第2配線層50を覆うように保護層60が形成される。続いて、形成された保護層60上に、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、保護層60のうちレジストから露出された部分がエッチングされ、所望の形状に加工される。なお、エッチングは、上述した第1絶縁層20のエッチングと同様に行うことができる。エッチングが行われた後、レジストは除去される。
その後、金属支持層10がエッチングされる(図21参照)。この場合、まず、金属支持層10上に、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、金属支持層10のうちレジストから露出された部分がエッチングされ、所望の形状に加工される。この際、金属支持層10に、金属支持層本体11、第1ジャンパー配線部12およびマイクロウィンドウ14などが形成される。なお、エッチングは、上述した第1配線層30と同様に行うことができる。エッチングが行われた後、レジストは除去される。
このようにして、本実施の形態によるサスペンション用基板1が得られる。
得られたサスペンション用基板1の下面に、ロードビーム102が取り付けられて図10に示すサスペンション101が得られる。このサスペンション101のヘッド領域2に、熱アシスト用素子113が搭載されたヘッドスライダ112が実装されて図11に示すヘッド付サスペンション111が得られる。この場合、ヘッドスライダ112および熱アシスト用素子113が、対応するヘッド端子4に接続される。その後、ヘッド付サスペンション11のテール領域3にフレキシブルプリント基板130が接続され、このヘッド付サスペンション111がハードディスクドライブ121のケース122に取り付けられて、図13に示すハードディスクドライブ121が得られる。
図13に示すハードディスクドライブ121においてデータの書き込みおよび読み取りを行う際、ボイスコイルモータ125によりヘッド付サスペンション111のヘッドスライダ112がディスク123上に沿って移動し、スピンドルモータ124により回転しているディスク123に所望のフライングハイトを保って近接する。このことにより、ヘッドスライダ112とディスク123との間で、データの受け渡しが行われる。この間、サスペンション用基板1のヘッド端子4とテール端子5との間を延びる書込用配線31、32、熱アシスト用配線51、52などの配線により電気信号が伝送される。書込用配線31、32および熱アシスト用配線51、52においては、インターリーブ構造を構成する各インターリーブ用線路31a、32a、51a、52aを通って電気信号が伝送される。
このように本実施の形態によれば、第1配線層30のインターリーブ用線路31a、32aと第2配線層50のインターリーブ用線路51a、52aとが、平面視において、交互に配置されるとともに互いに重ならないように配置されている。このことにより、第1インターリーブ用線路31aおよび第2インターリーブ用線路32aと、第3インターリーブ用線路51aおよび第4インターリーブ用線路52aが、電気的に相互作用することを防止できる。このため、第1書込用配線31および第2書込用配線32で伝送される電気信号と、第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52で伝送される電気信号とが互いに干渉することを防止し、多層化された各配線で伝送される電気信号の減衰を防止することができる。
また、本実施の形態によれば、第3インターリーブ用線路51aの幅および第4インターリーブ用線路52aの幅が、互いに隣り合う第1インターリーブ用線路31aと第2インターリーブ用線路32aの間の距離より小さくなっている。このことにより、第3インターリーブ用線路51aおよび第4インターリーブ用線路52aが、第1インターリーブ用線路31aおよび第2インターリーブ用線路32aに重なることをより一層防止でき、電気信号の減衰をより一層防止することができる。また、製造誤差等により、第3インターリーブ用線路51aまたは第4インターリーブ用線路52aが多少位置ずれした場合であっても、これらの線路が、第1インターリーブ用線路31aおよび第2インターリーブ用線路32aと重なることを防止できる。
また、本実施の形態によれば、第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52が、インターリーブ構造を有している。このことにより、第1インターリーブ用線路31aおよび第2インターリーブ用線路32aと重ならない領域として限られたスペースを有効に利用して第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52を構成することができ、これらの熱アシスト用配線51、52の断面面積を増大させて、抵抗値を低減させることができる。このため、熱アシスト用配線51、52の電気特性を向上させることができる。また、第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52との間のインピーダンスを低減することができ、この点においても熱アシスト用配線51、52の電気特性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態によれば、第1書込用配線31および第2書込用配線32が、インターリーブ構造を有している。このことにより、第1書込用配線31および第2書込用配線32との間の差動インピーダンスを低減することができ、書込用配線31、32の電気特性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52が、インターリーブ構造を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52は、第1インターリーブ用線路31aおよび第2インターリーブ用線路32aと重ならない領域として限られたスペースで形成することができれば、インターリーブ構造を有していなくてもよい。この場合においても、第1配線層30のインターリーブ用線路31a、32aと熱アシスト用配線51、52とが、平面視において、交互に配置されるとともに互いに重ならないように配置されていれば、書込用配線31、32で伝送される電気信号と、熱アシスト用配線51、52で伝送される電気信号とが互いに干渉することを防止し、電気信号の減衰を防止することができる。また、この場合、熱アシスト用配線51、52の幅が、互いに隣り合う第1インターリーブ用線路31aと第2インターリーブ用線路32aとの間の距離より小さいことが好適である。
また、上述した本実施の形態においては、第1書込用配線31および第2書込用配線32が、インターリーブ構造を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1書込用配線31および第2書込用配線32は、インターリーブ構造を有していなくてもよい。この場合においても、書込用配線31、32と第2配線層50のインターリーブ用線路51a、52aとが、平面視において、交互に配置されるとともに互いに重ならないように配置されていれば、書込用配線31、32で伝送される電気信号と、熱アシスト用配線51、52で伝送される電気信号とが互いに干渉することを防止し、電気信号の減衰を防止することができる。なお、この場合、書込用配線31、32の幅は、互いに隣り合う第3インターリーブ用線路51aと第4インターリーブ用線路52aとの間の距離より小さいことが好適である。
また、上述した本実施の形態においては、第1配線層30の第1配線が、書込用配線31、32を構成している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1配線層30の第1配線が、一対の読取用配線を構成し、一対の読取用配線がインターリーブ構造を有していてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第1配線層30が一対の書込用配線31、32を有し、第2配線層50が一対の熱アシスト用配線51、52を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1配線層30が一対の熱アシスト用配線を有し、第2配線層50が一対の書込用配線を有するようにしてもよい。すなわち、熱アシスト用配線が第1配線層30に構成され、書込用配線が第2配線層に構成されていてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第2配線層50の一対の第2配線が、第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52を構成している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、一対の第2配線が、サスペンション用基板1に実装されるピエゾ素子(アクチュエータ素子)に接続されるピエゾ用配線(アクチュエータ用配線)を構成していてもよい。
図22は、ピエゾ素子およびピエゾ用配線の一例を示している。図22においては、2つのピエゾ素子104a、104bが設けられており、第1ピエゾ用配線(第1アクチュエータ用配線)81が一方のピエゾ素子104aに正電源を供給し、第2ピエゾ用配線(第2アクチュエータ用配線)82が当該ピエゾ素子104aに負電源を供給するように構成されている。また、第3ピエゾ用配線(第3アクチュエータ用配線)83が他方のピエゾ素子104bに正電源を供給し、第4ピエゾ用配線(第4アクチュエータ用配線)84が当該ピエゾ素子104bに負電源を供給するように構成されている。このようなピエゾ用配線81〜84は、第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52と同様の構成(形状、配置など)とすることが好ましく、これにより、電気信号の干渉を防止することができる。
ここで、ピエゾ素子104a、104bは、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる圧電素子として構成され、電圧が印加されることにより伸縮し、ヘッドスライダ112を微小に変位させるためのものである。ピエゾ素子104a、104bが変位することにより、ヘッドスライダ112を所望の位置に精度良く位置合わせすることができる。
ところで、図22においては、ピエゾ素子104a、104bが、サスペンション用基板1のヘッド領域2の表側(ヘッドスライダ112の側)に実装されている例を示しているが、ピエゾ素子104a、104bは、ヘッド領域2以外の領域に実装されてもよい。また、ピエゾ素子104a、104bは、サスペンション用基板1の裏側(ヘッドスライダ112とは反対側)に実装されていてもよい。なお、図22では、図面を明瞭にするために、ピエゾ用配線以外の配線、端子などは省略している。
さらに、上述した本実施の形態においては、第2配線層50は、一対の第2配線(第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52)を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、第2配線層50は、二対の第2配線を含み、このうち一対の第2配線が、図2等に示す第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52を構成し、他の一対の第2配線が、図22に示す第1ピエゾ用配線81および第2ピエゾ用配線82を構成するようにしてもよい。
この場合、例えば、図23に示すような構成とすることができる。ここでは、第1熱アシスト用配線51が2つの第3インターリーブ用線路51aを有し、第2熱アシスト用配線52が2つの第4インターリーブ用線路52aを有して、これらの第3インターリーブ用線路51aと第4インターリーブ用線路52aとが、交互に配置されている。また、同様にして、第1ピエゾ用配線81が2つの第5インターリーブ用線路81aを有し、第2ピエゾ用配線82が2つの第6インターリーブ用線路82aを有して、これらの第5インターリーブ用線路81aと第6インターリーブ用線路82aとが、交互に配置されている。そして、第2配線層50のインターリーブ用線路51a、52a、81a、82aが、第1配線層30のインターリーブ用線路31a、32aに対して、平面視において、交互に配置されるとともに互いに重ならないように配置されている。
図23に示す形態によれば、書込用配線31、書込用配線32で伝送される電気信号が、熱アシスト用配線51、52およびピエゾ用配線81、82でそれぞれ伝送される電気信号と干渉することを防止することができる。図23においては、第1ピエゾ用配線81および第2ピエゾ用配線82を例にとって説明したが、第3ピエゾ用配線83および第4ピエゾ用配線84も同様に構成することができる。
なお、第1配線層30が二対の第1配線を含み、このうち一対の第1配線が第1熱アシスト用配線51および第2熱アシスト用配線52を構成し、他の一対の第1配線が、第1ピエゾ用配線81および第2ピエゾ用配線82を構成するように、図23に示す第1配線層30と第2配線層50の構成を逆転させてもよい。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明によるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブは、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。