一般に、紙幣を取り扱う自動販売機等の機器本体内部には、投入された紙幣が真券であるか否かを判別するとともに、真券と判別された紙幣のみを収容するようにした小型の紙幣処理装置が搭載されている。
このような紙幣処理装置には、紙幣を垂直姿勢に収納する縦型のものと、紙幣を水平姿勢に収納する横型のものとがある。
図37および図38は、紙幣挿入口91が配設される側を正面として、従来の縦型紙幣処理装置5および横型紙幣処理装置6の概略構成を、左側方から視た図である。なお、各図において、同一の機能を有する要素は、同一の参照符号を付与するものとする。
図37に示す縦型紙幣処理装置5および図38に示す横型紙幣処理装置6は、互いに基本的な機能および機構は同様であり、それぞれ、紙幣挿入口91から挿入された紙幣が搬送される紙幣搬送通路90において、紙幣挿入口91から挿入された紙幣を検出する入口センサ92と、紙幣を紙幣搬送通路90に沿って搬送させる紙幣搬送手段93と、紙幣搬送通路90内を通過する紙幣の真偽を判別する識別センサ98とが配設され、紙幣搬送通路90の下流端において、紙幣が積載収納される紙幣収納部99と、紙幣搬送通路90の下流端にある紙幣を紙幣収納部99に収納する図示せぬ紙幣収納機構とを具える。
紙幣搬送手段93は、入口センサ92の検出出力に基づいて図示せぬ搬送モータにより駆動し、駆動プーリ94と従動プーリ95との間に懸架された搬送ベルト96と、搬送ベルト96に圧接する従動ローラ97とによって紙幣を挟持し紙幣搬送通路90内を搬送するように構成される。
なお、識別センサ98は、一般には磁気センサと光センサとが複数配置されて、各センサの検出出力に基づいて紙幣の真偽を総合判定するように構成されるが、図37および図38においては1つ乃至一部のセンサのみ記載しているものとする。
このような紙幣処理装置5、6は、紙幣挿入口91から装置本体内部に挿入された紙幣を、図示せぬ搬送モータにより駆動される紙幣搬送手段93を用いて紙幣搬送通路90内を搬送させ、紙幣搬送通路90内に配設した識別センサ98により真偽を識別して真券と判定された紙幣を一時保留させる。
そして、紙幣を一時保留した状態において、返金指令が発生した場合は、一時保留した紙幣(以下、保留紙幣と称す)を図示せぬ搬送モータを逆転することにより紙幣挿入口91に返却し、収金指令が発生した場合は、保留紙幣を紙幣搬送通路90の下流端まで搬送して、図示せぬ紙幣収納機構によって紙幣収納部99に整列積載収納するようにしている。
ここで、図37および図38に示す紙幣処理装置5、6においては、それぞれ図示せぬシャッタモータまたはソレノイドにより駆動されて紙幣搬送通路90内に突出するシャッタ51、61をさらに設け、紙幣の搬送中は、紙幣搬送通路90を開放し、紙幣の識別中乃至収納動作中は、紙幣搬送通路90を閉塞するようにしており、真券と識別された保留紙幣を予め該保留紙幣に接続しておいた紐や糸等で引き出す等の不正行為を防止するようにしている。
なお、待機状態におけるシャッタ51、61の状態は、一般に常時通路を閉塞するものと常時開放するものと両方ある。また、図37に示すシャッタ51および図38に示すシャッタ61は、それぞれ紙幣搬送通路90に対して垂直に突出するものであるが、一般にシャッタは、紙幣搬送通路90に対して回転しながら突出する回転式のものと、図37および図38に示したシャッタ51、61と同様に摺動しながら突出する摺動式のものとがある。
本出願人は、上述のようなシャッタを設けて紙幣搬送通路を強制的に閉塞する技術を先に開示しているが(特許文献1:特開平7−160927号公報)、特許文献1の技術は、シャッタを駆動させる専用のモータを設ける必要があり、部品点数が増加し、設置スペースが必要であるため装置が大型化し、コストが増加するという問題がある。
他方、紙幣挿入口近傍において紙幣搬送通路の中心方向に移動可能でかつ搬送される紙幣の側縁を規制する可動片を設け、紙幣が可動片を通過した後に可動片を紙幣の側縁と当接した位置より紙幣搬送路の中心方向へ移動させることによりさらに紙幣搬送通路幅を狭くして、紙幣の引き出しができないようにする技術が開示されている(特許文献2:特開2009−104461号公報)。
しかしながら、特許文献2の技術は、紙幣搬送通路の全幅を閉塞するものではないため、紙幣の引き出し行為を完全に防止できない虞がある。
紙幣搬送通路を閉塞するシャッタと紙幣搬送通路の幅を可変とする可動片とを併用した技術が開示されている(特許文献3:特開2004ー224476号公報)。
しかしながら、特許文献3の技術は、シャッタおよびシャッタの駆動機構と、紙幣搬送通路の幅を可変とする可動片および可動片の駆動機構とをそれぞれ搭載しており、設置スペースが必要であるため装置が大型化し、コストが増加するという問題がある。
以下、本発明の好ましい4つの実施例について、図1乃至図36に示す図を参照しながら説明する。なお、各図面において、図37および図38に示した従来の紙幣処理装置5、6の記載に合わせて、紙幣挿入口91が配設される側を正面と定義するものとする。
また、本発明における紙幣処理装置において、図37および図38に示す従来の紙幣収納装置5、6と同一の機能を有する要素は、それらの参照符号を保持するものとし、同様に、各実施例において同一の形状および機能を有する要素は、同一の符号を付与するものとする。
図1に示す実施例1の縦型紙幣処理装置(以下、紙幣処理装置と称す)1は、従来の縦型紙幣処理装置5と同様に、紙幣挿入口91から挿入された紙幣が搬送される紙幣搬送通路90において、紙幣挿入口91から挿入された紙幣を検出する入口センサ92と、紙幣を紙幣搬送通路90に沿って搬送させる紙幣搬送手段93と、紙幣搬送通路90内を通過する紙幣の真偽を判別する識別センサ98とが配設され、紙幣搬送通路90の下流端において、紙幣が積載収納される紙幣収納部99と、紙幣搬送通路90の下流端にある紙幣を紙幣収納部99に収納する図示せぬ紙幣収納機構とを具える。
さらに、本発明においては、紙幣挿入口91近傍の紙幣搬送通路90に、後述するように、通路幅を規制して挿入紙幣の紙幣を紙幣搬送方向と平行にするための通路幅可変手段11と、通路を閉塞して保留紙幣の引き抜きを防止する通路閉塞手段15とを有する通路可変ユニット10を配設している。
入口センサ92は、紙幣挿入口91の近傍に配設されて、紙幣挿入口91から挿入された紙幣を検出するものであって、本実施例においては、発光素子と受光素子とから構成される光センサである。この入口センサ92は、紙幣挿入口91から紙幣が挿入されたことを検知する紙幣挿入検知センサと、挿入された紙幣の幅を検知する紙幣幅検知センサを兼用する。なお、入口センサ92については、周知技術があるので詳細な説明は省略するが、例えば、実公平07−04815号公報に記載される光学センサや、特開2005−338990号公報に記載される紙幣挿入検出センサおよび紙幣幅検出センサの技術を適用することができる。
紙幣搬送手段93は、入口センサ92の検出出力に基づいて図示せぬ搬送モータにより駆動し、駆動プーリ94と従動プーリ95との間に懸架された搬送ベルト96と、搬送ベルト96に圧接する従動ローラ97とによって紙幣を挟持し紙幣搬送通路90内を搬送するように構成される。
識別センサ98は、紙幣搬送通路90内において搬送される紙幣の真偽を判定するものである。なお、一般には紙幣搬送通路90内に磁気センサおよび光センサが複数配置されて、各センサの検出出力に基づいて紙幣の真偽を総合判定するように構成されるが、図1においては1つの光センサのみ記載しているものとする。
このような紙幣処理装置1は、紙幣挿入口91から装置本体内部に挿入された紙幣を、図示せぬ搬送モータにより駆動される紙幣搬送手段93を用いて紙幣搬送通路90内を搬送させ、紙幣搬送通路90内に配設した識別センサ98により偽券と判定した場合は、その時点で図示せぬ搬送モータを逆転することにより紙幣挿入口91に返却し、真券と判定された場合は一時停止させて保留紙幣とする。
そして、紙幣を一時保留した状態において、返金指令が発生した場合は、保留紙幣を図示せぬ搬送モータを逆転することにより紙幣挿入口91に返却し、収金指令が発生した場合は、保留紙幣を紙幣搬送通路90の下流端まで搬送して、図示せぬ紙幣収納機構によって紙幣収納部99に整列積載収納するようにしている。
図2乃至図6を参照して、前述した通路可変ユニット10の構成について説明する。通路可変ユニット10は、図2に示すように、駆動手段80と、通路幅可変手段11と、通路閉塞手段15とから構成されるものであって、駆動手段80は、モータ81と、ウォームシャフト82と、2つのウォームホイール83、83’とからなり、通路幅可変手段11は、左可動部材12と右可動部材12’とからなり、通路閉塞手段15は、回動式シャッタ16と、伝達部材17とからなる。
なお、通路可変ユニット10は、紙幣搬送通路90(図1参照。以下も同様のこと)の表面部分において紙幣搬送通路90を中心として略左右対称に配置されるものであり、後述する紙幣通路ガイド14a、14a’の図2における右下方から左上方に向かう方向が紙幣挿入方向である。
2つのウォームホイール83、83’は、ウォームシャフト82を介してモータ81によって駆動されるものであって、前後水平方向に回転軸を有してそれぞれ互いに逆方向に回転するよう左右対称に設けられている。そして、これらウォームホイール83、83’前面の回転中心から外れた位置には、前方に向かって凸設した円柱形状の突起83a、83a’を形成している。
左可動部材12は、それぞれ互いに固着した状態で設けられる左ガイド部13と左紙幣通路部14とからなって、一体的に左右方向に摺動自在であるように図示せぬ装置本体に支承され、また、右可動部材12’は、それぞれ互いに固着した状態で設けられる右ガイド部13’と右紙幣通路部14’とからなって、一体的に左右方向に摺動自在であるように図示せぬ装置本体に支承される。
左紙幣通路部14および右紙幣通路部14’は、それぞれ紙幣の左側縁部および右側縁部を支承して紙幣搬送通路90の一部を形成する紙幣通路ガイド14a、14a’を有しており、紙幣通路ガイド14a、14a’が対向するよう左右対称に配置される。
なお、紙幣通路ガイド14a、14a’は、紙幣挿入口91(図1参照。以下も同様のこと)から挿入された紙幣を前端から受け入れ、後方に向かって延出し、後方側で上方に向けて傾斜するように屈曲され、最終的に鉛直方向に向けて屈曲されて、上方から紙幣を排出するように形成される。
左ガイド部13の右端部および右ガイド部13’の左端部には、前後方向に貫通しかつ上下方向に長い長孔13a、13a’を形成し、この長孔13a、13a’の後方からウォームホイール83、83’の突起83a、83a’を嵌挿して、ウォームホイール83、83’と左ガイド部13および右ガイド部13’とがカム構造を成すことによって、ウォームホイール83、83’の回転運動にともなって左ガイド部13および右ガイド部13’が左右方向かつ互いに逆方向に往復直線移動するようにしている。
モータ81が駆動し、ウォームシャフト82を介してウォームホイール83、83’が回転すると、左ガイド部13および右ガイド部13’を介して、左紙幣通路部14および右紙幣通路部14’が左右方向かつ互いに逆方向に往復直線移動する。すなわち、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’が最も紙幣搬送通路90の中心から離れている待機状態においては、左紙幣通路部14および右紙幣通路部14’は互いに最も離間し(図2)、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’が最も紙幣搬送通路90の中心に寄っている時は、左紙幣通路部14および右紙幣通路部14’は互いに最も近接する(図3)。
この際、図2に示す左紙幣通路部14と右紙幣通路部14’とが互いに最も離間した位置においては、紙幣通路ガイド14a、14a’の左側および右側の内壁である規整壁14b、14b’間の距離が、最も幅広である紙幣幅と同等かそれよりも若干大きくなり、かつ、図3に示す左紙幣通路部14と右紙幣通路部14’とが互いに最も近接した位置においては、規整壁14b、14b’間の距離が、最も幅狭である紙幣幅よりも小さくなるようにしている。
なお、左ガイド部13の後側には、後述する伝達部材17の回転を駆動するために伝達部材17に係合する当接部13bを形成している。
また、右ガイド部13’の後側には、右ガイド部13’の位置を検知する位置検知センサ13c’を配置して、右ガイド部13’の動きを確認できるようにしている。
他方、回動式シャッタ16は、下端に有する左右方向に平行な幾何学的回動軸16a回りに回動自在であるように図示せぬ装置本体に支承されており、図2に示す待機状態においては、図示せぬ装置本体に連結する付勢手段16bによって常時前方に付勢されて紙幣搬送通路90から退避し、図3に示すように、回動式シャッタ16の上部が後方に回転すると紙幣搬送通路90内に侵入して紙幣搬送通路90を閉塞するものである。
伝達部材17は、略円柱形状に形成されて、幾何学的回動軸17aが垂直であって、左ガイド部13の後方かつ左紙幣通路部14の上方において、回動軸17a回りに回転自在であるように配設されるものであって、伝達部材17の上部および下部において、それぞれ半径方向に凸設された突起形状の上係合部17bおよび下係合部17cを形成している。
伝達部材17の上係合部17bは、図2に示す待機状態においては、回動式シャッタ16前面の当接部16cに対して若干の間隙を有するまたは押圧せずに接触するようにし、図3に示すように、伝達部材17が図示矢印方向(上方から視て左回り)に回転すると、上係合部17bが回動式シャッタ16の当接部16cを後方に押圧して、回動式シャッタ16が図示矢印方向(左方から見て左回り)に回転するように設けている。
また、下係合部17cは、図2および図4に示す待機状態においては、左ガイド部13の当接部13bに接触せず、図5に示すウォームホイール83、83’の突起83a、83a’が最も下方に位置する状態において、左ガイド部13の当接部13bに接触する。そして、図3および図6に示すように、当接部13bが下係合部17cを左方に押圧し、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’が互いに最も近接するまで、伝達部材17が図示矢印方向に回転するように設けている。
なお、左ガイド部13の当接部13bが伝達部材17の下係合部17cに接触する位置は、図5に示す位置に限定する必要はなく、左紙幣通路部14および右紙幣通路部14’の規整壁14b、14b’間の距離が、最も幅狭である紙幣幅より小さくなる位置であれば、適宜調節できるものである。本実施例において、図2および図4に示す位置においては、規整壁14b、14b’間の距離を82mmとし、図5に示す位置においては、規整壁14b、14b’間の距離を70mmとしている。
このような構成によると、図2および図4に示す待機状態から紙幣幅に合わせて左紙幣通路部14および右紙幣通路部14’内を移動させて紙幣の位置や姿勢を補正し、紙幣が紙幣通路ガイド14a、14a’を通過して図5に示す位置に至るまでは、回動式シャッタ16は紙幣搬送通路90を閉塞せず、紙幣が紙幣搬送通路90内の回動シャッタ16位置を通過した後に、図3および図6に示すように、回動式シャッタ16が紙幣搬送通路90を閉塞するように設定することができる。
ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’が互いに最も近接する位置からさらに回転して、左可動部材12と右可動部材12’とが離間し、左ガイド部13の当接部13bによる伝達部材17の下係合部17cへの押圧力が失われると、付勢手段16bの付勢力により、回動式シャッタ16および伝達部材17は初期姿勢に復帰し、待機状態に戻る。
なお、本実施例におけるウォームホイール83、83’と左ガイド部13および右ガイド部13’とのカム構造においては、ウォームホイール83、83’の回転方向はどちらでもよく、限定されるものではない。
図7乃至図9を参照して、紙幣挿入時における通路可変ユニット10の一連の動作について説明する。なお、本説明において、挿入する紙幣の幅は70mm(図5における通路幅と同等)とする。また、図7乃至図9において図示しない紙幣挿入口91、入口センサ92、紙幣搬送手段93、紙幣識別センサ98、紙幣収納部99については、図1を参照されたい。
図7に示す待機状態において、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’は互いに最も離間した位置にある。なお、以降、待機状態におけるウォームホイール83、83’の回転位置を0°と定義する。
この待機状態においては、左ガイド部13および左紙幣通路部14からなる左可動部材12は最も左に位置し、右ガイド部13’および右紙幣通路部14’からなる右可動部材12’は最も右に位置しており、規制壁14b、14bが間の距離は最も幅広な紙幣と同等かそれよりも大きく、紙幣の受け入れが可能である。
また、左ガイド部13の当接部13bは、伝達部材17の下係合部17cの左方に位置して接触せず、伝達部材17の上係合部17bは、回動式シャッタ16の当接部16cに対して押圧していないので、付勢手段16bによって回動式シャッタ16の初期姿勢は保たれ、紙幣搬送通路90は開放されている。
待機状態において紙幣挿入口91から紙幣が挿入されると、入口センサ92が、紙幣の挿入と挿入された紙幣の幅とを検知して、駆動手段80のモータ81を駆動させる。モータ81がウォームシャフト82を介してウォームホイール83、83’を回転させて、左可動部材12および右可動部材12’を動作させ、入口センサ92が検知した紙幣幅に合わせた通路幅になるよう、左可動部材12および右可動部材12’を互いに近接させる。
図8に示すように、ウォームホイール83、83’が90°回転して、左可動部材12および右可動部材12’が中心方向に移動し、規制壁14b、14b’間の距離を紙幣幅である70mmに合わせるように移動させることによって、規整壁14b、14b’が紙幣の側縁に当接して、該紙幣の位置や姿勢を補正し、通路幅規制状態になる。すると、左可動部材12および右可動部材12’の動作は完了し、駆動手段80が停止する。なお、この際、左ガイド部13の当接部13bと伝達部材17の下係合部17cとは接触しない。
左可動部材12および右可動部材12’の動作が完了すると、紙幣搬送手段93が駆動され、紙幣挿入口91から挿入された紙幣は、紙幣通路ガイド14a、14a’を通過して紙幣搬送通路90に沿って装置内部に導かれ、識別センサ98による識別動作が開始される。なお、識別センサ98により偽券と判定した場合は、その時点で紙幣挿入口91に返却される。
真券と判定された場合は一時停止させて保留紙幣とするとともに、再び駆動手段80のモータ81を駆動させ、ウォームシャフト82を介してウォームホイール83、83’をさらに回転させて、左可動部材12および右可動部材12’を中心方向に移動させる。
図9に示すように、ウォームホイール83、83’を180°の位置まで回転させて、左可動部材12および右可動部材12’をさらに互いに近接させると、規整壁14b、14b’間の距離が紙幣幅よりも小さくなるとともに、左ガイド部13の当接部13bが伝達部材17の下係合部17cに接触して右方向へ押圧し、伝達部材17が上方から視て左回りに回転して、伝達部材17の上係合部17bが回動式シャッタ16の当接部16cを後方に押圧する。すると、回動式シャッタ16が左方から見て左回りに回転して紙幣搬送通路90を閉塞し、シャッタ動作状態となる。
回動式シャッタ16により紙幣搬送通路90を閉塞した後は、収金指令に従って保留紙幣を紙幣搬送通路90の下流端まで搬送し、図示せぬ紙幣収納機構によって紙幣収納部99に整列積載収納する。
そして、紙幣収納後に、ウォームホイール83、83’をさらに180°回転させて左可動部材12および右可動部材12’を待機位置まで戻すことによって、回動式シャッタ16の付勢手段16bの付勢力によって回動式シャッタ16および伝達部材17は初期姿勢に戻り、待機状態に復帰して次の紙幣挿入に備えることとなる。
このように、紙幣搬送通路90の中心方向に移動して搬送される紙幣の側縁を規制する規制壁14b、14b’を有する左可動部材12および右可動部材12’を、ウォームホイール83、83’の回転角度に応じて移動させることによって、通路幅を可変可能にするとともに、規制壁14b、14b’間の距離を所定の通路幅以下になるまで移動した際に、左可動部材12および右可動部材12’の移動に連動して、伝達部材17が回動式シャッタ16を、紙幣搬送通路90を閉塞する位置まで移動させるようにしている。
すなわち、通路幅可変手段11と通路閉塞手段15とは同一の駆動源によって駆動され、通路閉塞手段15の駆動および動作を通路幅可変手段11に連動するようにしているので、紙幣の引き出しを防止する構成を、安価かつ省スペースにおいて提供できる。
なお、実施例1における通路可変ユニット10は、フロントマスク100(紙幣挿入口を有し、図示せぬ自動販売機等の機器正面に形成された取り付け孔から露出する部分。図1参照)内に設置可能である。このように、フロントマスク100内に通路可変ユニット10を搭載することによって、従来の小型の縦型紙幣処理装置から、装置全体が大型化することがない。
図10に示す実施例2の横型紙幣処理装置(以下、紙幣処理装置と称す)2は、実施例1の紙幣処理装置1と同様に、紙幣挿入口91から挿入された紙幣が搬送される紙幣搬送通路90において、紙幣挿入口91から挿入された紙幣を検出する入口センサ92と、紙幣を紙幣搬送通路90に沿って搬送させる紙幣搬送手段93と、紙幣搬送通路90内を通過する紙幣の真偽を判別する識別センサ98と、通路幅を規制して挿入紙幣の紙幣を紙幣搬送方向と平行にするための通路幅可変手段21および通路を閉塞して保留紙幣の引き抜きを防止する通路閉塞手段25を有する通路可変ユニット20が配設され、紙幣搬送通路90の下流端において、紙幣が積載収納される紙幣収納部99と、紙幣搬送通路90の下流端にある紙幣を紙幣収納部99に収納する図示せぬ紙幣収納機構とを具える。
紙幣搬送通路90、紙幣挿入口91、入口センサ92、紙幣搬送手段93、紙幣識別センサ98、紙幣収納部99および図示せぬ紙幣収納機構の基本的な構成および働きについては実施例1の項目を参照されたい。
図11乃至図14を参照して、実施例2における通路可変ユニット20の構成について説明する。通路可変ユニット20は、図11に示すように、駆動手段80と、通路幅可変手段21と、通路閉塞手段25とから構成されるものであって、駆動手段80は、モータ81と、ウォームシャフト82と、2つのウォームホイール83、83’とからなり、通路幅可変手段21は、左可動部材22および右可動部材22’からなり、通路閉塞手段25は、摺動式シャッタ26と、伝達部材27ととからなる。
なお、通路可変ユニット20は、紙幣搬送通路90(図10参照。以下も同様のこと)の表面部分において紙幣搬送通路90を中心として左右対称に配置されるものであり、後述する紙幣通路ガイド22a、22a’の図11における右下方から左上方に向かう方向が紙幣挿入方向である。
2つのウォームホイール83、83’は、ウォームシャフト82を介してモータ81によって駆動されるものであって、上下垂直方向に回転軸を有してそれぞれ互いに逆回転に回転するよう左右対称に設けられている。そして、これらウォームホイール83、83’上面の回転中心から外れた位置には、上方に向かって凸設した円柱形状の突起83a、83a’を形成している。
左可動部材22および右可動部材22’は、それぞれ左右方向に摺動自在であるように装置本体に支承され、それぞれ紙幣の左側縁部および右側縁部を支承して紙幣搬送通路90の一部を形成する紙幣通路ガイド22a、22a’を有しており、紙幣通路ガイド22a、22a’が対向するよう左右対称に配置される。
なお、紙幣通路ガイド22a、22a’は、紙幣挿入口91(図10参照。以下も同様のこと)から挿入された紙幣を前端から受け入れ、後方に向かって延出し、後方から紙幣を排出するように形成される。
左可動部材22の右端部および右可動部材22’の左端部には、上下方向に貫通しかつ前後方向に長い長孔22b、22b’を形成し、この長孔22b、22b’の下方からウォームホイール83、83’の突起83a、83a’を嵌挿して、ウォームホイール83、83’と左可動部材22および右可動部材22’とがカム構造を成すことによって、ウォームホイール83、83’の回転運動にともなって左可動部材22および右可動部材22’が左右方向かつ互いに逆方向に往復直線移動するようにしている。
モータ81が駆動し、ウォームシャフト82を介してウォームホイール83、83’が回転すると、左可動部材22および右可動部材22’が左右方向かつ互いに逆方向に往復直線移動する。すなわち、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’が最も紙幣搬送通路90の中心から離れている待機状態においては、左可動部材22および右可動部材22’は互いに最も離間し(図11)、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’が最も紙幣搬送通路90の中心に寄っている時は、左可動部材22および右可動部材22’は互いに最も近接する(図13)。
この際、図11に示す左可動部材22と右可動部材22’とが互いに最も離間した位置においては、紙幣通路ガイド22a、22a’の左側および右側の内壁である規整壁22c、22c’間の距離が、最も幅広である紙幣幅と同等かそれよりも若干大きくなり、かつ、図13に示す左可動部材22と右可動部材22’とが互いに最も近接した位置においては、規整壁22c、22c’間の距離が、最も幅狭である紙幣幅と同等かそれよりも若干小さくなるようにしている。
他方、摺動式シャッタ26は、紙幣通路ガイド22a、22a’後方の紙幣搬送通路90の下面において、下方から上方に向かって突出して紙幣搬送通路90を閉塞するよう、上下方向に摺動自在に図示せぬ装置本体に支承されている。そして、摺動式シャッタ26下面の前部には、前上方に向かって傾斜する傾斜面26a、26a’(図15(c)等参照)を形成している。
伝達部材27は、前後方向に摺動自在に配設されて、その後端部に後上方に面して摺動式シャッタ26の傾斜面26a、26a’に対向する傾斜部27a、27a’を有し(図15(c)等参照)、さらに、前端部には上下方向に貫通しかつ左右方向に長い2つ長孔27b、27b’(図15(a)等参照)を左右対称に形成している。
伝達部材27の傾斜部27a、27a’は、図11に示す待機状態においては、摺動式シャッタ26の傾斜面26a、26a’に対して若干の間隙を有するまたは押圧せずに接触し、図12に示す伝達部材27が最も前方に位置する状態においては、傾斜面26a、26a’から離間して、図13に示す通路幅最大規制状態においては、再び傾斜面26a、26a’に対して若干の間隙を有するまたは押圧せずに接触する。そして、図14に示すように、伝達部材27の傾斜部27a、27a’が傾斜面26a、26a’を後方に押圧し、伝達部材27が最も後方に達するまで、摺動式シャッタ26を上方に移動させるように設けている。
また、伝達部材27の前端部は、ウォームホイール83、83’と左可動部材22の右端部および右可動部材22’の左端部との間に配置し、伝達部材27の2つの長孔27b、27b’の下方からウォームホイール83、83’の突起83a、83a’を嵌挿して、ウォームホイール83、83’と伝達部材27とがカム構造を成すことによって、ウォームホイール83、83’の回転運動にともなって伝達部材27が前後方向に往復直線移動するようにしている。
したがって、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’が最も前方に位置する時は、伝達部材27も最も前方に移動し(図12)、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’が最も後方に位置する時は、伝達部材27も最も後方に移動する(図14)。
すなわち、ウォームホイール83、83’の回転運動が、左可動部材22および右可動部材22’の左右方向の往復直線運動と伝達部材27の前後方向の往復直線運動との両方に変換されるよう構成している。
このような構成によると、図11に示す待機状態から、紙幣幅に合わせて左可動部材22および右可動部材22’を移動させて、ウォームホイール83、83’が図12に示す通路幅規制状態を経て図13に示す通路幅最大規制状態に至るまでに紙幣の位置や姿勢を補正し、紙幣が摺動式シャッタ26位置を通過した後に、図14に示すように、摺動式シャッタ26が紙幣搬送通路90を閉塞するように設定することができる。
ウォームホイール83、83’がさらに回転して、左可動部材12と右可動部材12’とが離間し、伝達部材27の傾斜部27a、27a’による摺動式シャッタ26の傾斜面26a、26a’への押圧力が失われると、摺動式シャッタ26の自重により摺動式シャッタ26は下方に復帰し、待機状態に戻る。
なお、本実施例において、図11に示す待機状態においては、規整壁22c、22c’間の距離を82mmとし、図13に示す通路幅最大規制状態においては、規整壁22c、22c’間の距離を70mmとしている。
図15乃至図18を参照して、紙幣が挿入時における通路可変ユニット20の一連の動作について説明する。また、図15乃至図18において図示しない紙幣挿入口91、入口センサ92、紙幣搬送手段93、紙幣識別センサ98、紙幣収納部99については、図10を参照されたい。
図15に示す待機状態において、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’は互いに最も離間した位置にある。なお、以降、待機状態におけるウォームホイール83、83’の回転位置を0°と定義する。
この待機状態においては、左可動部材22は最も左に位置し、右稼働部材22’は最も右に位置しており、規制壁22c、22c’の間の距離は最も幅広な紙幣と同等かそれよりも大きく、紙幣の受け入れが可能である。
また、伝達部材27の傾斜部27a、27a’は、摺動式シャッタ26の傾斜面26a、26a’に対して押圧していないので、摺動式シャッタ26の自重によって摺動式シャッタ26の初期位置は保たれ、紙幣搬送通路90は開放されている。なお、摺動式シャッタ26を、バネ等の付勢手段によって紙幣搬送通路90から退避する方向に常時付勢することによって、初期位置を保つようにしてもよい。
待機状態において紙幣挿入口91から紙幣が挿入されると、入口センサ92が、紙幣の挿入と挿入された紙幣の幅とを検知して、駆動手段80のモータ81を駆動させる。モータ81がウォームシャフト82を介してウォームホイール83、83’を回転させて、左可動部材22および右可動部材22’を動作させ、入口センサ92が検知した紙幣幅に合わせた通路幅になるよう、左可動部材22および右可動部材22’を互いに近接させる。なお、この際、紙幣幅が82mmの場合は左可動部材22および右可動部材22’は動作しない。
紙幣幅が76mmの場合は、図16に示すように、ウォームホイール83、83’を90°回転させて、左可動部材22および右可動部材22’を中心方向に移動させ、規制壁22c、22c’間の距離を紙幣幅である76mmに合わせるように移動させることによって、規整壁22c、22c’が紙幣の側縁に当接して、該紙幣の位置や姿勢を補正し、通路幅規制状態になる。なお、この際、伝達部材27の傾斜部27a、27a’と摺動式シャッタ26の傾斜面26a、26aとは接触しない。
紙幣幅が70mmの場合は、図17に示すように、ウォームホイール83、83’を180°回転させ、左可動部材22および右可動部材22’を中心方向に移動させ、規制壁22c、22c’間の距離を紙幣幅である70mmに合わせるように移動させることによって、規整壁22c、22c’が紙幣の側縁に当接して、該紙幣の位置や姿勢を補正し、通路幅最大規制状態になる。なお、この際、伝達部材27の傾斜部27a、27aは摺動式シャッタ26の傾斜面26a、26a’に接近し、若干の間隙を有するまたは押圧せずに接触する。
そして、規制壁22c、22c’間の距離が紙幣幅に合わせると、左可動部材22および右可動部材22’の動作は完了し、駆動手段80が停止する。すると、紙幣搬送手段93が駆動され、紙幣挿入口91から挿入された紙幣は、紙幣通路ガイド22a、22a’を通過して紙幣搬送通路90に沿って装置内部に導かれ、識別センサ98による識別動作が開始される。なお、識別センサ98により偽券と判定した場合は、その時点で紙幣挿入口91に返却される。
真券と判定された場合は一時停止させて保留紙幣とするとともに、再び駆動手段80のモータ81を駆動させ、ウォームシャフト82を介してウォームホイール83、83’をさらに回転させて、伝達部材27を動作させる。
図18に示すように、ウォームホイール83、83’を270°の位置まで回転させて、伝達部材27が後方に移動すると、伝達部材27の傾斜部27a、27a’が摺動式シャッタ26の傾斜面26a、26a’に接触して上方向へ押圧する。すると、摺動式シャッタ26が上方に移動して紙幣搬送通路90を閉塞し、シャッタ動作状態となる。
シャッタ26により紙幣搬送通路90を閉塞した後は、収金指令に従って保留紙幣を紙幣搬送通路90の下流端まで搬送し、図示せぬ紙幣収納機構によって紙幣収納部99に整列積載収納する。
そして、紙幣収納後に、ウォームホイール83、83’をさらに90°回転させて左可動部材22および右可動部材22’と、伝達部材27とを待機位置まで戻すことによって、摺動式シャッタ26の自重によってシャッタ26は下方に戻り、待機状態に復帰して次の紙幣挿入に備えることとなる。
このように、紙幣搬送通路90の中心方向に移動して搬送される紙幣の側縁を規制する規制壁22c、22c’を有する左可動部材22および右可動部材22と、紙幣搬送通路90を閉塞する摺動式シャッタ26を作動する伝達部材27とを、ウォームホイール83、83’の回転角度に応じて移動させることによって、通路幅を可変可能にするとともに、摺動式シャッタ26の開閉を可能としている。
すなわち、実施例1と同様に、通路幅可変手段11と通路閉塞手段15とは同一の駆動源から駆動され、通路閉塞手段15の駆動および動作を通路幅可変手段11に連動するようにしているので、紙幣の引き出しを防止する構成を、安価かつ省スペースにおいて提供できる。
図19乃至図26に示す実施例3の通路可変ユニット30およびそれを搭載する横型紙幣処理装置(以下、紙幣処理装置と称す)3は、実施例2とほぼ同様の構成を有するものであり、基本的な構成の説明については省略する。
以下、実施例3における通路可変ユニット30の、実施例2における通路可変ユニット20からの変更箇所について説明する。なお、実施例2から変更された要素については、符号に10を加えることで参照されるものとする。
待機状態において、実施例2におけるウォームホイール83、83’の突起83a、83a’は、互いに最も離間した位置にあり、かつ、左可動部材22および右可動部材22’の長孔22b、22b’の中間に位置するようにしていた(図11および図15参照)。これに対し、実施例3においては、図19および図23に示すように、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’は、最も前方に位置し、かつ、左可動部材32および右可動部材32’の長孔32b、32b’の最も前方に位置するようにしている。
この際、左可動部材32および右可動部材32’が最も離間しており、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’は、伝達部材37の2つの長孔37b、37b’の最も離間した位置にあるようにしている。
すなわち、実施例3におけるウォームホイール83、83’は、図19および図23に示す待機状態から図21および図25に示す突起83a、83a’が互いに近接する方向を経て、図22および図26に示す180°の位置まで回転し、その後はモータ81を逆回転させることによって待機状態に復帰させるものであり、180°の範囲でのみ往復回動運動するよう構成される。
なお、本実施例において、図19および図23に示す待機状態においては、規整壁32c、32c’間の距離を82mmとし、図21および図25に示す通路幅最大規制状態においては、規整壁32c、32c’間の距離を70mmとしている。
このような構成による実施例3の通路可変ユニット30について、紙幣が挿入時における通路可変ユニット30の一連の動作について説明する。なお、図19乃至図26において図示しない紙幣挿入口91、入口センサ92、紙幣搬送手段93、紙幣識別センサ98、紙幣収納部99については、図10を参照されたい。
図19および図23に示す待機状態においては、左可動部材32および右可動部材32’が最も離間し、規制壁32c、32c’の間の距離は最も幅広な紙幣と同等かそれよりも大きく、紙幣の受け入れが可能であるとともに、伝達部材37が最も前方に位置し、伝達部材37の傾斜部37a、37a’は、摺動式シャッタ36の傾斜面36a、36a’に接触せず、摺動式シャッタ36の自重によって摺動式シャッタ36の初期位置は保たれ、紙幣搬送通路90は開放されている。なお、摺動式シャッタ36を、バネ等の付勢手段によって紙幣搬送通路90から退避する方向に常時付勢することによって、初期位置を保つようにしてもよい。
待機状態において紙幣挿入口91から紙幣が挿入されると、入口センサ92が、紙幣の挿入と挿入された紙幣の幅とを検知して、駆動手段80のモータ81を駆動させる。モータ81がウォームシャフト82を介してウォームホイール83、83’を回転させて、左可動部材32および右可動部材32’を動作させ、入口センサ92が検知した紙幣幅に合わせた通路幅になるよう、左可動部材32および右可動部材32’を互いに近接させる。なお、この際、紙幣幅が82mmの場合は左可動部材32および右可動部材32’は動作しない。
紙幣幅が76mmの場合は、図20および図24に示すように、ウォームホイール83、83’を30°回転させて、左可動部材32および右可動部材32’を中心方向に移動させ、規制壁32c、32c’間の距離を紙幣幅である76mmに合わせるように移動させることによって、規整壁32c、32c’が紙幣の側縁に当接して、該紙幣の位置や姿勢を補正し、通路幅規制状態になる。なお、この際、伝達部材37の傾斜部37a、37a’と摺動式シャッタ36の傾斜面36a、36aとは接触しない。
紙幣幅が70mmの場合は、図21および図25に示すように、ウォームホイール83、83’を90°回転させ、左可動部材32および右可動部材32’を中心方向に移動させ、規制壁32c、32c’間の距離を紙幣幅である70mmに合わせるように移動させることによって、規整壁32c、32c’が紙幣の側縁に当接して、該紙幣の位置や姿勢を補正し、通路幅最大規制状態になる。なお、この際、伝達部材37の傾斜部37a、37aは摺動式シャッタ36の傾斜面36a、36a’に接近し、若干の間隙を有するまたは押圧せずに接触する。
そして、規制壁32c、32c’間の距離が紙幣幅に合わせると、左可動部材32および右可動部材32’の動作は完了し、駆動手段80が停止する。すると、紙幣搬送手段93が駆動され、紙幣挿入口91から挿入された紙幣は、紙幣通路ガイド32a、32a’を通過して紙幣搬送通路90に沿って装置内部に導かれ、識別センサ98による識別動作が開始される。なお、識別センサ98により偽券と判定した場合は、その時点で紙幣挿入口91に返却される。
真券と判定された場合は一時停止させて保留紙幣とするとともに、再び駆動手段80のモータ81を駆動させ、ウォームシャフト82を介してウォームホイール83、83’をさらに回転させて、伝達部材37を動作させる。
図22および図26に示すように、ウォームホイール83、83’を180°の位置まで回転させて、伝達部材37が後方に移動すると、伝達部材37の傾斜部37a、37a’が摺動式シャッタ36の傾斜面36a、36a’に接触して上方向へ押圧する。すると、摺動式シャッタ36が上方に移動して紙幣搬送通路90を閉塞し、シャッタ動作状態となる。なお、この際、左可動部材32および右可動部材32’は待機状態と同じ位置にあり、規制壁32c、32c’間の距離は最も離間した状態に戻る。
シャッタ36により紙幣搬送通路90を閉塞した後は、収金指令に従って保留紙幣を紙幣搬送通路90の下流端まで搬送し、図示せぬ紙幣収納機構によって紙幣収納部99に整列積載収納する。
そして、紙幣収納後に、ウォームホイール83、83’を180°逆回転させて左可動部材32および右可動部材32’と、伝達部材37とを待機位置まで戻すことによって、摺動式シャッタ36の自重によってシャッタ36は下方に戻り、待機状態に復帰して次の紙幣挿入に備えることとなる。
このように、紙幣搬送通路90の中心方向に移動して搬送される紙幣の側縁を規制する規制壁32c、32c’を有する左可動部材32および右可動部材32’と、紙幣搬送通路90を閉塞する摺動式シャッタ36を作動する伝達部材37とを、ウォームホイール83、83’の回転角度に応じて移動させることによって、通路幅を可変可能にするとともに、摺動式シャッタ37の開閉を可能としている。
すなわち、実施例1および2と同様に、通路幅可変手段11と通路閉塞手段15とは同一の駆動源から駆動され、通路閉塞手段15の駆動および動作を通路幅可変手段11に連動するようにしているので、紙幣の引き出しを防止する構成を、安価かつ省スペースにおいて提供できる。
図27乃至図34に示す実施例4の通路可変ユニット40およびそれを搭載する横型紙幣処理装置(以下、紙幣処理装置と称す)4は、実施例3とほぼ同様の構成を有するものであり、基本的な構成の説明については省略する。
以下、実施例4における通路可変ユニット40の、実施例3における通路可変ユニット30からの変更箇所について説明する。なお、実施例3から変更された要素については、符号に10を加えることで参照されるものとする。
待機状態において、実施例3におけるウォームホイール83、83’の突起83a、83a’は、伝達部材37の2つの長孔37b、37b’の最も離間した位置にあるようにした(図19および図23参照)。これに対し、実施例4においては、図27および図31に示すように、ウォームホイール83、83’の突起83a、83a’は、伝達部材47の2つの長孔47b、47b’の中間に位置するようにしている。
また、左可動部材22の右端部および右可動部材22’の左端部に上下方向に形成した半円孔42b、42b’は、それぞれ外側に向かって孤を有する半円形状に設けている。そして、左可動部材42および右可動部材42’には、それぞれ互いに離間する方向に付勢されるよう、付勢手段42d、42d’を設けている。
このような構成によると、実施例4における通路可変ユニット40は、図27および図31待機状態から図29および図33に示すウォームホイール83、83’
の突起83a、83a’が互いに近接する方向を経て、図30および図34に示す180°の位置まで回転するまでは、実施例3における通路可変ユニット30と同様の挙動を示す。
実施例3における通路可変ユニット30との差異は、その後、待機状態に復帰させる際の挙動にある。すなわち、図30および図34に示す180°の位置からウォームホイール83、83’をさらに回転させると、ウォームホイール83、83’
の突起83a、83a’が、半円孔42b、42b’の弧に沿って動き、その間、左可動部材42および右可動部材42’は動作しない。したがって、摺動式シャッタ46を動作させた後、左可動部材42および右可動部材42’を再び互いに近接させることなく、待機状態に復帰させることができる。
なお、本実施例において、図27および図31に示す待機状態においては、規整壁42c、42c’間の距離を82mmとし、図29および図33に示す通路幅最大規制状態においては、規整壁42c、42c’間の距離を70mmとしている。
このような構成による実施例4の通路可変ユニット40について、紙幣が挿入時における通路可変ユニット40の一連の動作について説明する。なお、図27乃至図34において図示しない紙幣挿入口91、入口センサ92、紙幣搬送手段93、紙幣識別センサ98、紙幣収納部99については、図10を参照されたい。
図27および図31に示す待機状態においては、左可動部材42および右可動部材42’が最も離間し、規制壁42c、42c’の間の距離は最も幅広な紙幣と同等かそれよりも大きく、紙幣の受け入れが可能であるとともに、伝達部材47が最も前方に位置し、伝達部材47の傾斜部47a、47a’は、摺動式シャッタ46の傾斜面46a、46a’に接触せず、摺動式シャッタ46の自重によって摺動式シャッタ46の初期位置は保たれ、紙幣搬送通路90は開放されている。なお、摺動式シャッタ46を、バネ等の付勢手段によって紙幣搬送通路90から退避する方向に常時付勢することによって、初期位置を保つようにしてもよい。
待機状態において紙幣挿入口91から紙幣が挿入されると、入口センサ92が、紙幣の挿入と挿入された紙幣の幅とを検知して、駆動手段80のモータ81を駆動させる。モータ81がウォームシャフト82を介してウォームホイール83、83’を回転させて、左可動部材42および右可動部材42’を動作させ、入口センサ92が検知した紙幣幅に合わせた通路幅になるよう、左可動部材42および右可動部材42’を互いに近接させる。なお、この際、紙幣幅が82mmの場合は左可動部材42および右可動部材42’は動作しない。
紙幣幅が76mmの場合は、図28および図32に示すように、ウォームホイール83、83’を30°回転させて、左可動部材42および右可動部材42’を中心方向に移動させ、規制壁42c、42c’間の距離を紙幣幅である76mmに合わせるように移動させることによって、規整壁42c、42c’が紙幣の側縁に当接して、該紙幣の位置や姿勢を補正し、通路幅規制状態になる。なお、この際、伝達部材47の傾斜部47a、47a’と摺動式シャッタ46の傾斜面46a、46aとは接触しない。
紙幣幅が70mmの場合は、図29および図33に示すように、ウォームホイール83、83’を90°回転させ、左可動部材42および右可動部材42’を中心方向に移動させ、規制壁42c、42c’間の距離を紙幣幅である70mmに合わせるように移動させることによって、規整壁42c、42c’が紙幣の側縁に当接して、該紙幣の位置や姿勢を補正し、通路幅最大規制状態になる。なお、この際、伝達部材47の傾斜部47a、47aは摺動式シャッタ46の傾斜面46a、46a’に接近し、若干の間隙を有するまたは押圧せずに接触する。
そして、規制壁42c、42c’間の距離が紙幣幅に合わせると、左可動部材42および右可動部材42’の動作は完了し、駆動手段80が停止する。すると、紙幣搬送手段93が駆動され、紙幣挿入口91から挿入された紙幣は、紙幣通路ガイド42a、42a’を通過して紙幣搬送通路90に沿って装置内部に導かれ、識別センサ98による識別動作が開始される。なお、識別センサ98により偽券と判定した場合は、その時点で紙幣挿入口91に返却される。
真券と判定された場合は一時停止させて保留紙幣とするとともに、再び駆動手段80のモータ81を駆動させ、ウォームシャフト82を介してウォームホイール83、83’をさらに回転させて、伝達部材47を動作させる。
図30および図34に示すように、ウォームホイール83、83’を180°の位置まで回転させて、伝達部材47が後方に移動すると、伝達部材47の傾斜部47a、47a’が摺動式シャッタ46の傾斜面46a、46a’に接触して上方向へ押圧する。すると、摺動式シャッタ46が上方に移動して紙幣搬送通路90を閉塞し、シャッタ動作状態となる。なお、この際、左可動部材42および右可動部材42’は、90°の位置から180°の位置に至るまで、付勢手段42d、42d’によって互いに離間した方向に付勢されて、待機状態と同じ位置、すなわち規制壁42c、42c’間の距離が最も離間した状態に戻る。
シャッタ46により紙幣搬送通路90を閉塞した後は、収金指令に従って保留紙幣を紙幣搬送通路90の下流端まで搬送し、図示せぬ紙幣収納機構によって紙幣収納部99に整列積載収納する。
そして、紙幣収納後に、ウォームホイール83、83’をさらに180°回転させて、伝達部材37を待機位置まで戻すことによって、摺動式シャッタ36の自重によってシャッタ36は下方に戻り、待機状態に復帰して次の紙幣挿入に備えることとなる。この際、左可動部材32および右可動部材32’は動作せず、最も離間した状態を保つものである。
このように、紙幣搬送通路90の中心方向に移動して搬送される紙幣の側縁を規制する規制壁42c、42c’を有する左可動部材42および右可動部材42’と、紙幣搬送通路90を閉塞する摺動式シャッタ46を作動する伝達部材47とを、ウォームホイール83、83’の回転角度に応じて移動させることによって、通路幅を可変可能にするとともに、摺動式シャッタ36の開閉を可能としている。
すなわち、実施例1乃至3と同様に、通路幅可変手段11と通路閉塞手段15とは同一の駆動源から駆動され、通路閉塞手段15の駆動および動作を通路幅可変手段11に連動するようにしているので、紙幣の引き出しを防止する構成を、安価かつ省スペースにおいて提供できる。
さらに、左可動部材42および右可動部材42’に形成したウォームホイール83、83’の突起83a、83a’と係合する半円孔42b、42b’を、外側に孤を有する半円形状に形成し、かつ、左可動部材42および右可動部材42’が付勢手段半円孔42d、42d’によって常時外側に付勢されるようにしている。
したがって、左可動部材42および右可動部材42’が最も近接した後、摺動式シャッタ46によって紙幣搬送通路90を閉塞すると同時に左可動部材42および右可動部材42’が離間して通路幅を幅広方向に拡げ、さらに、摺動式シャッタ46が閉塞した状態から待機状態に復帰する際には左可動部材42および右可動部材42’が動作しないので、連続挿入が可能な紙幣処理装置において、次の紙幣挿入の準備に直ぐに対応することができる。
上記4つの実施例においては、通路閉塞手段15、25、35、45は、それぞれ通路幅可変手段11、21、31、41よりも下流に配設したが、通路幅可変手段の左右可動部材の下流端よりも上流側に通路閉塞手段を配設することも可能である。
図35および図36に示す通路可変ユニット40は、図27乃至図34に示した通路可変ユニット40において、さらに、左可動部材42および右可動部材42’の下流側にそれぞれ延設部42e、42e’を設けたものである。この際、紙幣通路ガイド42a、42a’および規整壁42c、42c’は、延設部42e、42e’の下流端まで連設され、紙幣搬送通路90に沿って形成されるものとする。
また、この延設部42e、42e’は、摺動式シャッタ46が紙幣搬送通路90内に突出する際に摺動式シャッタ46の動作を阻害しないように形成されており、例えば、本実施例においては、延設部42e、42e’における規整壁42c、42c’からのそれぞれの中心側方向への長さを短くしている。このようにすることによって、摺動式シャッタ46を左可動部材42および右可動部材42’の間に配置することができる。
そして、このように摺動式シャッタ46を左可動部材42および右可動部材42’の間に配置する構成は、実施例2および3にも適用することができる。また、実施例1において、左紙幣通路部14および右紙幣通路部14’の下流端から、紙幣搬送通路90に沿った延設部を連接し、該延設部の間に回転式シャッタ16を設けることも可能である。
すなわち、本発明において、通路閉塞手段が配設される位置は、通路幅可変手段よりも下流に限定されるものではなく、通路幅可変手段の左可動部材および右可動部材の間であってもよい。
以上、実施例1乃至4において詳述したように、本願発明の通路可変ユニットにおいては、通路幅を規制する通路幅可変手段と紙幣搬送通路を閉塞する通路閉塞手段とをともに設けており、これらを単一の駆動源で駆動するようにしたので、幅の異なる紙幣を受入可能な紙幣処理装置において、保留紙幣に対する引き抜き等の不正行為を防止できるとともに、小型で安価な紙幣処理装置を提供することができる。
さらに、実施例4の紙幣処理装置においては、通路閉塞手段によって紙幣搬送通路を閉塞している際に、通路幅可変手段は待機状態に復帰しており、その後、通路閉塞手段が待機状態に復帰するまでの間、通路幅可変手段は待機状態を保つので、連続挿入が可能な紙幣処理装置において、次の紙幣挿入の準備に直ぐに対応可能な効果を期待できる。
なお、上記各実施例においては、紙幣処理装置が受け入れ可能な紙幣幅の範囲を一例として70mm〜82mmとしたが、用途に合わせて適宜変更できるものとする。また、それ以外の各構成要素についても、上記各実施例と同様の作用効果を満たすものであれば、どのような形状であってもよいことは言うまでもない。