以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1から図6は、本実施形態に係る紙幣処理装置の構成を示す図であり、図1は、全体構成を示す斜視図、図2は、開閉部材を装置本体の本体フレームに対して開いた状態を示す斜視図、図3は、装置本体の動力伝達部の構成を示す斜視図、図4は、挿入口から挿入される紙幣の搬送経路を概略的に示した右側面図、図5は、紙幣搬送機構を駆動するための駆動源及び駆動力伝達機構の概略構成を示す左側面図、そして、図6は、紙幣収容部に配設される押圧板を駆動するための動力伝達機構の概略構成を示す図である。
本実施形態の紙幣処理装置1は、例えば、スロットマシン等の各種の遊技機に組み込み可能に構成されており、装置本体2と、この装置本体2に設けられ、多数の紙幣を積層、収容することが可能な紙幣収容部(紙幣収容スタッカ;金庫)100とを備えている。この場合、紙幣収容部100は、装置本体2に対して着脱可能であっても良く、例えば、図示されていないロック機構が解除された状態で、前面に設けられた取っ手101を引くことで、装置本体2から取り外すことが可能となっている。
前記装置本体2は、図2及び図3に示すように、本体フレーム2Aと、本体フレーム2Aに対して一端部を回動中心として開閉されるように構成された開閉部材2Bとを有している。そして、これら本体フレーム2A及び開閉部材2Bは、図4に示すように、開閉部材2Bを本体フレーム2Aに対して閉じた際、両者の対向部分に紙幣が搬送される隙間(紙幣搬送路)3が形成されると共に、両者の前面露出側に、前記紙幣搬送路3に一致するようにして、紙幣挿入口5が形成されるよう構成されている。なお、前記紙幣挿入口5は、紙幣の短い辺側から装置本体2の内部に挿入できるようにスリット状の開口となっている。
前記装置本体2内には、前記紙幣搬送路3に沿って、紙幣を搬送する紙幣搬送機構6と、紙幣挿入口5に挿入された紙幣を検知する挿入検知センサ7と、挿入検知センサ7の下流側に設置され、搬送状態にある紙幣の情報を読取る紙幣読取手段8と、この紙幣読取手段8に対して、紙幣を正確に位置決めして搬送するスキュー補正機構10と、紙幣がスキュー補正機構を構成する可動片を通過したことを検知する可動片通過検知センサ12と、上記した紙幣搬送機構6、紙幣読取手段8及びスキュー補正機構10の駆動を制御する制御手段200(制御回路基板200A;図12参照)とが設けられている。
以下、上記した各構成部材について、詳細に説明する。
前記紙幣搬送路3は、紙幣挿入口5から奥側に向けて延出しており、その後方側で下方に向けて傾斜するように屈曲され、そして最終的に鉛直方向に向けて屈曲するように形成されている。紙幣搬送路3には、紙幣収容部100に紙幣を排出する排出口3aが形成されており、ここから排出される紙幣は、鉛直方向に向けて、紙幣収容部100の導入口103に送り込まれる。
前記紙幣搬送機構6は、紙幣挿入口5から挿入された紙幣を挿入方向に沿って搬送可能にすると共に、挿入状態にある紙幣を紙幣挿入口5に向けて差し戻し搬送可能とする機構である。この紙幣搬送機構6は、装置本体2内に設置された駆動源であるモータ13と、このモータ13によって回転駆動され、紙幣搬送路3に紙幣搬送方向に沿って所定間隔おいて配設される搬送ローラ対(14A,14B)、(15A,15B)、(16A,16B)、及び(17A,17B)を備えている。
前記搬送ローラ対は、紙幣搬送路3に一部が露出するように設置されており、いずれも紙幣搬送路3の下側に設置される搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bがモータ13によって駆動されるローラとなっており、上側に設置される搬送ローラ14A,15A,16A及び17Aが、これらのローラに対して従動するピンチローラとなっている。なお、紙幣挿入口5から挿入された紙幣を最初に挟持して奥側に搬送する搬送ローラ対(14A,14B)は、図2及び図3に示すように、紙幣搬送路3の中心位置に1箇所設置されており、その下流側に順次配置される搬送ローラ対(15A,15B)、(16A,16B)、及び(17A,17B)については、紙幣搬送路3の幅方向に沿って、所定間隔をおいて2箇所設置されている。
また、上記した紙幣挿入口5の近傍に配置される搬送ローラ対(14A,14B)については、通常は、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bから離間した状態となっており、紙幣の挿入が挿入検知センサ7によって検知されると、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bに向けて駆動され、挿入された紙幣を挟持するようになっている。なお、上側の搬送ローラ14Aについては、駆動源70(図12のブロック図参照)によって、搬送ローラ14Bに対して当接/離間するように駆動制御される。この駆動源70については、モータやソレノイド等によって構成することができ、開閉部材2B内に設置される。
そして、後述するスキュー補正機構10によって、挿入された紙幣の傾きを無くし紙幣読取手段8に対して位置合わせする処理(スキュー補正処理)が行われる際には、上側の搬送ローラ14Aは、下側の搬送ローラ14Bから離間して紙幣に対する負荷を解除し、スキュー補正処理が終了すると、再び、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bに向けて駆動され、紙幣を挟持する。
上記した紙幣搬送路3の下側に設置される搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bは、図5に示すように、モータ13、及び各搬送ローラの駆動軸の端部に設置されるプーリ14C,15C,16C及び17Cを介して回転駆動される。すなわち、モータ13の出力軸には、駆動プーリ13Aが設置されており、上記した各搬送ローラの駆動軸の端部に設置されるプーリ14C,15C,16C及び17Cには、駆動プーリ13Aとの間で駆動ベルト13Bが巻回されている。なお、駆動ベルト13Bには、適所にテンションプーリが係合しており、弛みを防止している。
上記した構成により、モータ13が正転駆動されると、前記搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bは同期して正転駆動され、紙幣を挿入方向に向けて搬送し、モータ13が逆転駆動されると、前記搬送ローラ14B,15B,16B及び17Bは同期して逆転駆動され、紙幣を紙幣挿入口5側に向けて搬送する。
前記挿入検知センサ7は、紙幣挿入口5に挿入された紙幣を検知した際に検知信号を発生するものであり、本実施形態では、搬送ローラ対14A,14Bと、後述するスキュー補正機構10との間に設置されている。前記挿入検知センサ7は、例えば、光学式のセンサ、例えば、回帰反射型フォトセンサによって構成されているが、それ以外にも、機械式のセンサによって構成されていても良い。
また、前記可動片通過検知センサ12は、紙幣の先端がスキュー補正機構10を構成する可動片を通過したことを検知した際に検知信号を発生するものであり、前記紙幣読取手段8の上流側に設置されている。この可動片検知センサ12についても、前記挿入検知センサと同様、光学式のセンサや機械式のセンサによって構成される。
なお、この可動片通過検知センサ12は、搬送される紙幣の後端位置を検知した際、後述する可動片の閉鎖処理を実施させるべく、紙幣の後端検知信号を発生する。
前記紙幣読取手段8は、スキュー補正機構10によってスキューが除去された状態で搬送される紙幣について、その紙幣情報を読取り、その有効性(真贋)を判定する。具体的には、例えば、搬送される紙幣の両面側から光を照射し、その透過光と反射光を受光素子で検知することで紙幣の読取を行うラインセンサによって構成することができる。図においては、ラインセンサが示されており、このラインセンサで読取った光信号は光電変換され、予め格納されている真券のデータと比較照合することで、搬送される紙幣の真贋を識別する。
前記紙幣を収容する紙幣収容部100は、装置本体2に対して着脱可能に構成され、上記した紙幣読取手段8で真性と識別された紙幣を順次、積層、収容する。
図4及び図6に示すように、紙幣収容部100を構成する本体フレーム100Aは、略直方体形状に構成されており、その内部には、上記した導入口103を介して送り込まれる紙幣を順次、積層する載置プレート105と、この載置プレート105を後述する押圧板115側に向けて付勢する付勢手段(付勢バネ)106が設けられている。
本体フレーム100A内には、導入口103に連続するように、落下する紙幣をそのまま待機、保持させる押圧待機部108が設けられている。押圧待機部108の載置プレート側の両サイドには、鉛直方向に延出するように一対の規制壁(図4では片方のみ図示されており、図6では省略されている)110が配置されている。この一対の規制壁110は、載置プレート105上に紙幣が順次、積層されて、前記付勢手段106によって載置プレート105が付勢された際、最上の紙幣の両サイドを当て付けて、積層される紙幣を安定して保持する役目を果たす。
また、本体フレーム100A内には、導入口103から押圧待機部108に落下した紙幣を載置プレート105に向けて押圧する押圧板115が配設されている。この押圧板115は、前記一対の規制壁110間の空間を通過できる程度の大きさに構成されており、この空間内に入り込んで紙幣を載置プレート105に押し付ける位置(押圧位置)と、前記押圧待機部108を開放する位置(初期位置)との間で往復駆動される。
前記押圧板115は、図4及び図6に示すように、本体フレーム100A内に配設される押圧板駆動機構120を介して、上記したように往復駆動される。押圧板駆動機構120は、押圧板115を矢印A方向に往復移動可能となるように、両端が押圧板に軸支された一対のリンク部材115a,115bを備えており、これらのリンク部材115a,115bはX字状に連結され、それぞれの反対側の端部は、垂直方向(矢印B方向)に移動可能に設置された可動部材122に軸支されている。この可動部材122には、ラックが形成されており、このラックには、押圧板駆動機構120を構成するピニオン124Aが噛合している。
なお、ピニオン124Aには、図6に示すように、押圧板駆動機構120を構成する収容部側ギヤトレイン124が連結されている。この場合、本実施形態においては、図3及び図6に示すように、装置本体2内に駆動源(モータ20)と、このモータ20に順次噛合する本体側ギヤトレイン21が配設されており、紙幣収容部100を装置本体2に装着すると、本体側ギヤトレイン21が収容部側ギヤトレイン124に連結する。すなわち、上記した押圧板115は、押圧板駆動機構120(リンク部材115a,115b、可動部材122、収容部側ギヤトレイン124)、及び本体側ギヤトレイン21を介して、装置本体2に設けられたモータ20によって矢印A方向に往復駆動される。
次に、上述したスキュー補正機構10について、図7から図11を参照して、具体的に説明する。なお、これらの図において、図7は、スキュー補正機構の全体構成を示す斜視図、図8は、可動片と基台との間に設置されるバネの配置態様を示す図、図9(a)は、紙幣挿入口側から見たスキュー補正機構の正面図、図9(b)は、スキュー補正機構を反対側から見た背面図、図10は、スキュー補正機構の平面図、そして、図11(a)及び図11(b)は、それぞれ図10に示されている基台センサ及び可動片センサ部分の構成を示す図である。
スキュー補正機構10は、装置本体2の本体フレーム2Aにおいて、紙幣が搬送される紙幣搬送路3の表面部分に設置されている。図7において、矢印で示す方向が紙幣挿入方向であり、本実施形態のスキュー補正機構10は、紙幣搬送路を中心として左右対称に設置され、挿入される紙幣の両側縁を規制して紙幣を搬送方向に対して平行方向となるようにする一対の可動片30A,30Bを備えている。そして、これら可動片30A,30Bは、本体フレーム2Aに対して、紙幣搬送方向に対して直交する方向に互いに接近/離反する一対の基台31A,31Bに設置されている。
以下、可動片30A,30B及び基台31A,31Bの構成について説明する。なお、以下の説明では、これらの部材は左右対称構造であるため、専ら、片方の構成部材(挿入方向から見て左側の可動片30A及び基台31A)について説明する。また、可動片30A,30B、及び基台31A,31Bに関し、同一の構成要素については同一の参照符号を付してある。
本体フレーム2Aと一体化されるベース2Dには、紙幣搬送方向に沿って所定間隔をおいて、紙幣搬送方向と直交する方向に延出する2本のガイド部材33A,33Bが設置されている。そして、ガイド部材33Aには、基台31Aが軸方向に移動可能となるように設置され、ガイド部材33Bには、基台31Bが軸方向に移動可能となるように設置される。
この場合、基台31Aは、ガイド部材33Aに沿って延出するように形成されており、一対のフランジ31a,31bに形成される挿通孔にガイド部材33Aが挿通することでガイド部材33Aに対して軸方向に移動可能に設置されている。また、基台31Aは、ガイド部材33Aに沿って移動する際、安定して移動できるように、ガイド部材33B側に向けて直角に屈曲形成されており、前記ガイド部材33Bに対しても保持されている。図9(b)において、基台31Aのガイド部材33Bに対して保持される部分のフランジを符号31cで示してある。なお、基台31Bについても、同様な構造でガイド部材33Bに沿って延出するように形成され、一対のフランジ31a,31bに形成される挿通孔にガイド部材33Bが挿通することでガイド部材33Bに対して軸方向に移動可能に設置されると共に、ガイド部材33A側に向けて直角に屈曲形成されており、前記ガイド部材33Aに対して保持されている。同様に、図9(a)において、基台31Bのガイド部材33Aに対して保持される部分のフランジを符号31cで示してある。
前記可動片30Aには、紙幣搬送路3の裏面に対向する平坦面30aと、この平坦面30aの側方端部に形成され、搬送される紙幣の側縁に接触する板状の規制壁30bが形成されている。すなわち、可動片30Aは、規制壁30b部分が、紙幣搬送路3から上方に向けて突出するように配設されている。また、この規制壁30bには、紙幣搬送方向の前端位置、及び後端位置に、その規制壁の上縁30cから上方に突出する突部30dが形成されている。
上記したような形状の可動片30Aは、基台31Aに対して相対的に移動可能となるように、バネ38を介在させた状態で基台31Aに支持されている。具体的には、可動片30Aには、ガイド部材33Aの軸方向中心側に向けて延出する延出部30eが形成されており、その延出部30eの端部には、ガイド部材33Aが挿通する挿通孔を具備するフランジ30fが形成されている。そして、このフランジ30fと、前記基台31Aに形成されたフランジ31aとの間には、可動片30Aを紙幣搬送路の中心方向に向けて付勢するバネ38が介在されている。
また、可動片30Aの軸方向外側には、ガイド部材33Aが挿通する挿通孔を具備するフランジ30gが形成されている。この場合、可動片30Aは、バネ38によって、紙幣搬送路の中心方向に向けて付勢された状態となっているため、可動片30Aのフランジ30gは、図9(a)に示すように、基台31Aに形成されたフランジ31aに当て付いた状態となっている。
さらに、可動片30Aには、ガイド部材33Bに対して支持されるように、ガイド部材33Bが挿通する挿通孔を具備するフランジ30hが形成されている。このフランジ30hは、図9(b)に示すように、基台31Aに形成されているフランジ31cの軸方向外側となるように配設されており、上記したように、前記可動片30Aが、バネ38によって、紙幣搬送路の中心方向に向けて付勢された状態となっていることから、可動片30Aのフランジ30hは、基台31Aに形成されたフランジ31cに当て付いた状態となっている。
そして、上記したように可動片30A,30Bを相対的に移動可能に支持した基台31A,31Bは、本体フレーム2Aと一体化されるベース2Dに配設された駆動源40によって、紙幣搬送路の中心に向けて互いに接近し、かつ中心から互いに離間できるように駆動される。本実施形態では、駆動源40はモータによって構成されており、基台31A,31Bは、動力伝達機構(モータの出力軸に設置される駆動ギヤ40aに順次噛合するギヤトレイン41)を介して駆動される。具体的には、ギヤトレイン41の最終ギヤであるピニオン42が、上記したガイド部材33A,33Bの中間位置となるように配置されており、このピニオン42に対して、互いに対向するように基台31A,31Bに形成されたラック31fが噛合している。すなわち、モータ40が正転駆動することで、前記基台31A,31Bは、ピニオン42及びラック31fを介して互いに近接する方向に移動され、モータ(駆動源)40が逆転駆動することで、前記基台31A,31Bは、ピニオン42及びラック31fを介して互いに離間する方向に移動される。
なお、基台31A,31Bの移動に際しては、上記した以外の駆動源、例えば、ソレノイドやリニアモータを用いる構成であっても良い。
上記したように、可動片30Aは、基台31Aが、モータ40によって紙幣搬送路の中心方向に向けて駆動された際、両者の間に介在されるバネ38の付勢力によって、紙幣搬送路の中心方向に向けて移動される。そして、基台31Aが紙幣搬送路の中心方向に向けて移動すると、可動片30Aの規制壁30bが紙幣の側縁と当接し、これによりモータ40には紙幣の反力による負荷が掛かるようになる。この場合、基台31Aは、前記バネ38の付勢力に抗して、可動片30Aに対して、更に、紙幣搬送路の中心方向に向けて移動可能となっている。
具体的に、上記したバネ38の付勢力については、可動片30A,30Bの間に搬送される紙幣の反力よりも小さく、紙幣を紙幣搬送路の中心方向に向けて移動できる程度に設定されていることが好ましい。すなわち、後述するように、紙幣のスキューを除去するに際しては、紙幣が可動片30A,30Bの間に位置している状態において、基台31A,31Bが互いに接近するように駆動される。このとき、可動片30A,30Bは、紙幣の側縁に当て付くため、紙幣を湾曲するように撓ませるようになり、これにより、可動片30A,30Bには、その反力が加わるようになる。バネ38の付勢力を上記したように設定しておくことで、可動片30A,30Bによって紙幣を折り曲げる可能性が少なくなり、更には、紙幣を中心方向に移動させる(中心に位置合わせするように移動させる)ことが可能となる。
また、上記したスキュー補正機構10には、図10及び図11に示すように、基台31A,31Bの位置を検知する基台検知センサ50、及び可動片30A,30Bの位置を検知する可動片検知センサ51が設置されている。この場合、上述したように、基台及び可動片は、左右対称に移動する構造であるため、基台検知センサ50は、左側の基台31Aを検知するようになっており、可動片検知センサ51は、右側の可動片30Bを検知するようになっている。
前記基台検知センサ50は、ベース2Dの紙幣搬送路の外側に設置されており、発光部と受光部が対向した光学式のセンサとして構成されている。基台31Aには、固定片31mがビス止めされており、固定片に一体形成されたセンサ通過部31nが、基台31Aの離反する方向の移動によって基台検知センサ50の検知部に入り込むと、基台31Aの所定位置が検知されるようになっている。この場合、基台検知センサ50は、基台31Aが、紙幣搬送路の中心から最も離反した位置(最大幅に移動した位置;所定位置)を検知するようになっている。
前記可動片検知センサ51は、ベース2Dの紙幣搬送路の中間側に設置されており、発光部と受光部が対向した光学式のセンサとして構成されている。可動片30Bには、固定片30mがビス止めされており、固定片に一体形成されたセンサ通過部30nが、基台31Bの紙幣搬送路の中心方向の移動によって可動片検知センサ51の検知部に入り込み、かつ離脱すると、可動片30Bの所定位置が検知されるようになっている。この場合、可動片検知センサ51は、可動片30Bが、紙幣搬送路の中心に最も近づいた位置(最小幅に移動した位置;所定位置)を検知するようになっている。また、可動片検知センサ51は、可動片30Bを紙幣搬送路の中心方向、具体的には、前記所定位置へ移動させた後、可動片30Bの移動を検知するようになっている。
すなわち、後述するように、一対の可動片は、前記所定位置に閉鎖されることで、紙幣搬送路を狭め、紙幣の引き抜き等の不正行為を防止する機能を備えており、実際に、紙幣の引き抜き動作が成されて、一対の可動片が広がる方向に移動した際、それを検知して、不正行為を検出できるようになっている。
次に、上述した紙幣搬送機構6、紙幣読取手段8及びスキュー補正機構10の駆動を制御する制御手段について図12を参照して説明する。
制御手段200は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御回路基板200Aを備えており、この制御回路基板上には、紙幣識別手段を構成するCPU(Central Processing Unit)210と、ROM(Read Only Memory)212と、RAM(Random
Access Memory)214と、基準データ記憶部216とが実装されている。
前記ROM212には、上述した紙幣搬送機構を駆動するモータ13、押圧板を駆動するモータ20、搬送ローラ14Aを搬送ローラ14Bに向けて当接/離間するように駆動する駆動源70、スキュー駆動機構10における基台を駆動するためのモータ40等の各種駆動装置の作動プログラムや、紙幣読取手段8で読取る紙幣についての真贋判定プログラム等の各種プログラム、及び恒久的なデータが記憶されており、CPU210は、ROM212に記憶されている前記プログラムに従って制御信号を生成し、I/Oポート220を介して上述した各種駆動装置との間で信号の入出力を行い、各種駆動装置の駆動制御を行う。
また、CPU210には、I/Oポート220を介して、挿入検知センサ7、可動片通過検知センサ12、基台検知センサ50、可動片検知センサ51からの検知信号が入力されるようになっており、これらの検知信号に基づいて、各種駆動装置の駆動制御が行われる。
また、前記RAM214には、CPU210が作動する際に用いるデータやプログラムが記憶されており、基準データ記憶部216には、紙幣の真贋判定を行うときに用いられる基準データ、例えば、真券紙幣の全印刷領域から取得した各種のデータ(例えば、濃淡に関するデータ、赤外線を紙幣に投光した際の透過光や反射光に関するデータなど)が基準データとして記憶されている。なお、基準データについては、専用の基準データ記憶部216に記憶させているが、これをROM212に記憶させておいても良い。
そして、CPU210には、I/Oポート220を介して、上記した紙幣読取手段8を構成する紙幣読取用検知センサ(例えば、ラインセンサ)80が接続されており、この紙幣読取用検知センサ80で読取った紙幣読取データは、基準データ記憶部216に記憶されている基準データと比較され、紙幣の真贋判定処理が実行される。
なお、上述した紙幣処理装置の動作を制御する制御手段200は、一つの制御回路基板200A上に実装されているが、機能に応じて別の制御回路基板上に分散して配置されていても良い。
次に、上述した制御手段200によって実行される紙幣処理装置1における紙幣の処理動作について、図13〜図18のフローチャートに従って説明する。
操作者が紙幣を紙幣挿入口5に挿入する際、紙幣挿入口の近傍に設置される搬送ローラ対(14A,14B)は、初期状態において離間した状態にある(後述するST15,ST55参照)。すなわち、操作者は、搬送ローラ対(14A,14B)のニップ部に対して紙幣を送り込む構成ではないため、皺のある紙幣であっても、操作者は容易に挿入することができる。そして、挿入検知センサ7によって紙幣の挿入が検知されると(ST01)、上述した駆動源70を駆動し、上側の搬送ローラ14Aを下側の搬送ローラ14Bに当接するように移動させる。これにより、挿入された紙幣は搬送ローラ対(14A,14B)によって挟持される(ST02)。
次に、スキュー補正機構10は、スキュー補正解除処理を行う(ST03)。このスキュー補正解除処理は、図16のフローチャートに示す手順で実行される。すなわち、このスキュー補正解除処理では、まず、上述したモータ40を逆転駆動することで、一対の基台31A,31Bを、互いに離間する方向に移動する(ST100)。次に、基台検知センサ50によって、基台31A,31Bが所定位置(最大幅位置)に移動したことが検知されると(ST101)、モータ40の逆転駆動が停止される(ST102)。このスキュー補正解除処理により、一対の可動片30A,30Bは、基台と共に紙幣搬送路の外側に移動されており、一対の可動片30A,30B内に紙幣が進入できる状態になっている。なお、ST03の前段階では、紙幣搬送路3は、後述する搬送路閉鎖処理(ST14,ST54)によって閉鎖された状態にあるが、このように、紙幣挿入前に紙幣搬送路3を閉じておくことで、例えば、不正目的などで紙幣挿入口から板状の部材を挿入して、ラインセンサなどの素子を破損させることを防止することができる。
この状態で、紙幣搬送用のモータ13が正転駆動される(ST04)。紙幣は、搬送ローラ対(14A,14B)によって装置内部に搬送され、スキュー補正機構10よりも下流側に配設されている可動片通過検知センサ12が紙幣の先端を検知すると、紙幣搬送用モータは停止される(ST05,ST06)。このとき、紙幣は、最大幅に広がった一対の可動片30A,30B間に位置している。
引き続き、上述した駆動源70を駆動し、紙幣を挟持した状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる(ST07)。このとき、紙幣には、何等、負荷が作用していない状態となる。
そして、この状態でスキュー補正作動処理を行う(ST08)。このスキュー補正作動処理は、図17のフローチャートに示すように、上述したモータ40を正転駆動することで、一対の基台31A,31Bを、互いに接近する方向に移動する(ST110)。この基台31A,31Bの移動は、それに支持されている可動片30A,30Bが、制御手段における基準データ記憶部に登録されている紙幣の最小幅(例;幅62mm)となるように移動するまで実行される。図19は、一対の可動片30A,30Bが、一対の基台31A,31Bの互いに接近する方向への移動によって矢印方向に移動し、紙幣Mの両側縁に当て付いた状態を示している。
このときの紙幣のスキューの補正処理について、図19及び図20を参照しながら説明する。
スキュー補正処理がされる前、紙幣は、左右に開いた可動片30A,30B間に位置している。この状態で、上述したモータ40を正転駆動することで、一対の基台31A,31Bは、互いに接近する方向(矢印(1)の方向)に移動する。このとき、一対の可動片30A、30Bは、基台31A,31Bとの間に介在されるバネ38の付勢力によって、紙幣搬送路の中心方向に向けて一体的に移動される(矢印(2)の方向)。そして、基台31A,31Bの移動により、可動片30A,30Bの規制壁30bが、夫々紙幣の側縁と当接する。これにより、モータ40には、紙幣の反力による負荷が掛かるようになるものの、基台31A,31Bは、バネ38の付勢力に抗して、更に、可動片30A,30Bに対して、紙幣搬送路の中心方向に向けて移動する(矢印(1)の方向)。
このとき、紙幣は、両側に当て付く可動片30A,30Bによって、中心方向に位置合わせされるように移動し、スキューが補正されると共に、正確な中心位置となるように位置決めされる。上記したように、一対の基台31A,31Bの移動は、一対の可動片30A,30Bが、制御手段における基準データ記憶部に登録されている紙幣の最小幅となるまで実行されるため、図20の点線Mで示すように、紙幣には、中心領域が膨らむ湾曲が形成される可能性はあるものの、一対の可動片によってスキューが補正され、正確に中心位置に位置決めされる。
なお、上述したように、バネ38の付勢力については、可動片30A,30Bの間に搬送される紙幣の反力(一対の可動片が紙幣の側縁に当て付いて、紙幣が湾曲した際に生じる反力)よりも小さく、紙幣を紙幣搬送路の中心方向に向けて移動できる程度に設定しておくことで、可動片30A,30Bによって紙幣を折り曲げる可能性が少なくなり、紙幣を中心方向に移動させる(中心に位置合わせするように移動させる)ことが可能となる。すなわち、上記したように湾曲させる度合いが少なくなり、これにより紙幣を折り曲げてしまったり紙幣の端を傷付けてしまう可能性が少なくなる。
また、上記した構成では、紙幣の可動片30A,30Bに対する接触領域は、板状の規制壁30bの内面部分となっている。このように、可動片30A,30Bの紙幣側縁に対する接触は、板状の規制壁部分であり、その上縁30cには、紙幣の両サイドの表面に接触するような突出部分が形成されていないことから、紙幣に対する損傷を効果的に抑制することが可能になる。
特に、本実施形態では、規制壁30bの前端位置、及び後端位置に、規制壁の上縁30cから上方に突出する突部30dを設けているため、スキューの補正処理を実行している際、紙幣は可動片30A,30Bの規制壁30bから乗り上げることがなくなり、確実に紙幣を紙幣搬送路の中心に整合することが可能となる。
上述したようなスキュー補正作動処理が終了すると、引き続き、スキュー補正解除処理が実行される(ST09)。これは、図16で示すフローチャートの通り、上述したモータ40を逆転駆動することで、一対の基台31A,31Bを、最大幅位置に互いに離間する方向に移動することで成される(ST100〜ST102)。
続いて、上述した駆動源70を駆動し、上側の搬送ローラ14Aを下側の搬送ローラ14Bに当接するように移動させ、紙幣を搬送ローラ対(14A,14B)に挟持させる(ST10)。その後、紙幣搬送用のモータ13を正転駆動して紙幣を装置内部に向けて搬送し、紙幣が紙幣読取手段8を通過する際に、紙幣の読取処理を実行する(ST11,ST12)。
そして、搬送される紙幣が紙幣読取手段8を通過して、紙幣の後端が、可動片通過検知センサ12によって検知されると(ST13)、紙幣搬送路3の閉鎖処理が実行される(ST14)。この処理においては、まず、図18のフローチャートに示すように、紙幣の後端が、可動片通過検知センサ12によって検知された後、上述したモータ40を正転駆動することで、一対の基台31A,31Bを、互いに接近する方向に移動する(ST120)。次に、可動片検知センサ51によって、可動片30A,30Bが所定位置(最小幅位置)に移動したことが検知されると(ST121)、モータ40の正転駆動が停止される(ST122)。
この搬送路閉鎖処理により、一対の可動片30A,30Bは、挿入可能なあらゆる紙幣の幅よりも狭い最小幅位置(幅52mm)に移動されており、これにより、紙幣の引抜を効果的に防止するようにしている。すなわち、このような紙幣搬送路の閉鎖処理を実行することで、図21に示すように、紙幣Mの幅よりも、各可動片30A,30Bの規制壁30b間の距離が狭くなり、操作者が不正目的で紙幣Mを矢印方向に引き抜く行為を効果的に防止することが可能となる。特に、本実施形態では、一対の可動片30A,30Bは、図2及び図3に示すように、紙幣搬送路3から突出するように配設されているため、紙幣に紐等を付着して強制的に引き抜こうとしても、可動片の規制壁30bが紙幣搬送路から突出しているため、そのような不正行為を確実に防止することが可能となる。
また、上述したように、図10及び図11に示した可動片検知センサ51は、可動片30Bが、紙幣搬送路の中心に最も近づいた位置(最小幅に移動した位置;所定位置)を検知した後、可動片30Bが広がる方向に移動した際、その移動を検知するようになっている。
この場合、可動片検知センサ51が、可動片の移動を検知した際、操作者が何らかの不正行為を行っているとみなし、所定の処理を実行するようにしても良い。例えば、紙幣処理装置の動作を管理する上位装置に対して不正操作信号(異常検知信号)を送信したり、紙幣処理装置に報知ランプを設けておき、これを点滅させたり、その後に操作者によって入力される入力受付(ST21)の処理を有効化することなく、強制的に排出動作を行う等の処理を実行しても良い。或いは、紙幣処理装置の動作を無効(例えば、処理の停止処理、紙幣の排出処理など)にする等、適正な処理を行うようにしても良い。
以上のように、スキューを除去する部材である可動片30A,30Bをそのまま利用して、不正行為の防止を図るため、新たに不正行為防止用の部材や、場合によってはそれを駆動するための駆動源等を設置する必要がなくなって、装置のコスト低減を図ることが可能となる。また、上記した搬送路閉鎖処理(ST14)に引き続いて、上述した駆動源70を駆動し、紙幣を挟持した状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる搬送ローラ対離間処理が行われる(ST15)。この搬送ローラ対離間処理を行うことで、操作者が誤って紙幣を追加投入(二重投入)しても、紙幣は、搬送ローラ対(14A,14B)による送り動作を受けることはなく、またST14において接近した状態にある一対の可動片30A,30Bに突き当たることから、紙幣の二重投入動作を確実に防止することができる。
上記した紙幣搬送路の閉鎖処理と共に、紙幣読取手段8が紙幣の後端までデータを読取ると、紙幣搬送用のモータ13を所定量駆動し、紙幣を所定位置(エスクロ位置;紙幣読取手段8の中心位置から13mm紙幣が下流側に搬送された位置)で停止させ、このときに、制御手段200において、紙幣の真贋判定処理を実行する(ST16〜ST19)。
上記したST18の真贋判定処理において、紙幣が真券であると判定されると(ST20;Yes)、操作者の入力を受付ける(ST21)。これは、操作者が、サービスの提供(例えば、ゲーム装置であればゲーム開始に伴う受付処理)を受入れるべく、受入ボタンを押下する受入操作、及び、挿入した紙幣の返却処理を行うべく、返却ボタンを押下する処理が該当する。
そして、各種サービスの提供を受入れる操作が入力されると(ST22;Yes)、紙幣搬送用のモータ13を正転駆動し、紙幣を、紙幣収容部100に向けて搬送する(ST23)。その後、紙幣が紙幣収容部100に移送されたこと(導入口103を介して押圧待機部108に移送されたこと)が検知されると(ST24)、上記した紙幣搬送用のモータ13の正転駆動を停止させて一連の処理が終了する(ST25)。
その後、上述した押圧板115を駆動するためのモータ20が駆動され、押圧待機部108に移送された紙幣を載置プレート105に押し付け、紙幣の収容処理を実行する。
なお、上記した処理手順のST20において、紙幣が真券でないと判別された場合、或いは、操作者によって返却ボタンが押下された場合(ST22;No)、図16のフローチャートに示すST100〜ST102のスキュー補正解除処理が実行され(ST50)、基台31A,31Bを最大幅位置に移動させる。この状態で、上述した駆動源70を駆動し、離間した状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)の挟持処理を行う(ST51)と共に、紙幣搬送用モータ13を逆転駆動し、エスクロ位置に待機している紙幣を、紙幣挿入口5に向けて搬送する(ST52)。そして、挿入検知センサ7が紙幣挿入口5に向けて差し戻される紙幣の後端を検知した際に、紙幣搬送用モータ13の逆転駆動を停止すると共に、上述した駆動源70を駆動し、紙幣を挟持した状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる(ST53〜ST55)。その後、図18のフローチャートに示すST120〜ST122の搬送路閉鎖処理が実行され(ST56)、基台31A,31Bを、互いに接近する方向に移動させて一連の処理が終了する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することが可能である。上述した実施形態における紙幣処理装置のスキュー補正機構では、搬入される紙幣の両側縁に当接するよう、基台、及び可動片を左右一対設けたが、いずれか一方の側縁に当接させ、他方は、装置本体の紙幣搬送路に設けた規制壁に当接させるような構成であっても良い。
また、上述した各種の駆動部材を駆動する駆動源、或いは、その駆動源からの動力伝達機構については、一例を示したに過ぎず、適宜変形することが可能である。また、紙幣処理装置には、上述した紙幣収容部100が設置されていないような構成であっても良い。