JP6261864B2 - 携帯式輸液ポンプおよびシステム用の高度ステップ治療送達 - Google Patents

Description

本発明は、概して携帯式輸液ポンプに、特に携帯式輸液ポンプによるステップ治療送達に関する。

携帯式輸液ポンプは様々な薬物治療を提供するのに有益である。携帯式ポンプは、長期間にわたり提供されなければならない治療にとって特に有益であり得る。
そのような治療の一つが静注用免疫グロブリン（ＩＶＩＧ）である。ＩＶＩＧは、主に免疫不全、炎症性および自己免疫疾患、および急性感染の治療に使用される。ＩＶＩＧ治療を受ける患者は通常、送達中にＩＶＩＧに対する耐性を高める必要があり、つまり、ＩＶＩＧは最初は低速で投与され、注入時間が進行するにつれ速度は次第に上昇し、所定量のＩＶＩＧが患者に送達されるまで定常状態、すなわち「プラトー」速度が維持される。この種の送達プロファイルを利用する治療は、ＩＶＩＧだけではない。

従来の輸液ポンプはこのような送達プロファイルに対応することができるが、ポンプにプロファイルを設定する、あるいはプログラミングすることは複雑で時間がかかる。さらに、多くの従来のポンプは、患者が送達される薬剤に耐性がついていかず、要求に応じて注入速度を低減する必要がある場合に、特定の患者の需要に対応するために注入前に、あるいは注入中に調節したりカスタマイズしたりすることのできないスプレッドシート型プロファイルを使用する。

実施形態は、携帯式輸液ポンプ用のステップ送達機能を定義し、ステップ送達機能にしたがい薬剤をポンプにより送達するシステム、方法および装置に関する。

一実施形態では、携帯式輸液ポンプは、注入治療送達機構と、ステップ送達機能を定義し、初期速度、プラトー速度、ステップ期間、速度増分、および総注入量を備える複数のパラメータを受信するように構成されるグラフィカル・ユーザ・インターフェース（ＧＵＩ）と、治療送達機構に接続され、複数のパラメータのうちの少なくとも一つに基づき注入期間を算出して、治療送達機構をステップ送達機能に基づき動作させるように構成されるプロセッサと、を備える。

一実施形態では、携帯式輸液ポンプ用のステップ送達機能を定義する方法は、初期速度、プラトー速度、ステップ期間、速度増分、および総注入量を受信することと、少なくとも初期速度、プラトー速度、ステップ期間、速度増分、および総注入量に基づき注入期間を自動的に決定することと、を備える。

一実施形態では、注入システムは、初期速度設定と、プラトー速度設定と、ステップ期間設定と、速度増分設定と、総注入量設定と、初期速度設定、プラトー設定、ステップ期間設定、速度増分設定、および総注入量設定にしたがい自動的に設定される注入期間設定とを備える。

上記の発明の概要は、本発明の図示される各実施形態またはあらゆる具体例を説明することを目的としていない。図面および以下の発明を実施するための形態はこれらの実施形態を例示するものである。

本発明は、添付図面と組み合わせて、本発明の各種実施形態の以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解され得る。
一実施形態にかかる携帯式輸液ポンプの前斜視図である。 一実施形態にかかる携帯式輸液ポンプの後斜視図である。 図１ａおよび１ｂの携帯式輸液ポンプの選択された構成要素のブロック図である。 一実施形態にかかる治療送達の各種パラメータのグラフ図である。 一実施形態にかかる携帯式輸液ポンプ・グラフィカル・ユーザ・インターフェース（ＧＵＩ）によって提供される送達プロファイルグラフィックの図である。 一実施形態にかかるＧＵＩによって提供されるメニューの図である。 一実施形態にかかるＧＵＩによって提供されるメニューの図である。 一実施形態にかかるＧＵＩによって提供されるメニューの図である。 一実施形態にかかるＧＵＩによって提供される遅延開始グラフィックの図である。 一実施形態にかかるＧＵＩによって提供される送達プロファイルグラフィックの図である。 一実施形態にかかるＧＵＩによって提供される送達プロファイルグラフィックの図である。 一実施形態にかかるＧＵＩによって提供されるメニューの図である。 一実施形態にかかるステップ治療送達システムのフローチャートである。 一実施形態にかかるステップ治療送達システムのフローチャートである。 一実施形態にかかる指示された「逓減」の治療送達のグラフ図である。 一実施形態にかかる指示された「逓増」の治療送達のグラフ図である。

本発明は様々な変形および代替的形式に変更可能であるが、その具体例を例示のために図示し、以下詳細に説明する。しかしながら、その意図は本発明を記載される特定の実施形態に限定することではないと理解しておくべきである。逆に、添付の請求項に定義される本発明の精神と範囲に属するすべての変形、等価物、および代替物を対象とすることを目的とする。

本発明の実施形態は、携帯式注入システム用のステップ治療送達システムに関する。一実施形態では、携帯式注入システムはＳｍｉｔｈｓ Ｍｅｄｉｃａｌ ＡＳＤ社製のＣＡＤＤ−Ｓｏｌｉｓ（登録商標）携帯式注入システムであってもよい。携帯式注入システムは、Ｓｍｉｔｈｓ Ｍｅｄｉｃａｌ ＡＳＤ社に譲渡され、引用により全文を本明細書に組み込む共同所有の米国特許出願公開第２００８／００６５００７号、第２００８／００６５０１６号、および第２００８／０１３２８４４号に開示される種類のものであってもよい。他の実施形態では、他の注入ポンプを使用することができる。

例示の携帯式輸液ポンプ１００は患者にステップ送達治療を提供することができ、図１ａおよび１ｂ、および図２に示されている。携帯式輸液ポンプ１００は、プロセッサと、ポンピング機構１０５の動作を制御するために選択されたプロトコル、プロファイル、およびその他の設定でプログラミング可能なメモリとを備えるポンプ制御システム１０３を含むことができる。携帯式輸液ポンプ１００は、制御システム１０３へのコマンドを中継する制御モジュール１０１も含むことができる。制御モジュール１０１は、表示画面１０４と制御パッド１０６とを有するユーザインタフェース１０２を含むことができる。制御モジュール１０１は、ポンプ１００に電力を供給する電池を収容できる電池室を覆うドア１０８を施錠および解錠するためのノブ１１０を有する電池ドア１０８も含むことができる。制御モジュール１０１は、ポンプ１００をオンオフする電源スイッチ１１２と、ポンプ１００をポンプ１００と連動するように設計されるソフトウェアを有するコンピュータに接続するＵＳＢポート１１４またはその他の適切なＩ／Ｏインタフェースと、ポンプ１００に電力を供給するためにＡＣ電源コードを接続するＡＣ電源ジャック１１６と、患者管理の投薬を開始させる代替的方法を提供する遠隔投与コードを接続するための遠隔投与コードジャック１１８とをさらに含むことができる。

輸液ポンプ１００は、制御モジュール１０１に接続される交換可能なカセット１２０をさらに含むことができる。一実施形態では、カセット１２０は、患者に送達されるべき薬剤を収容する容器を含む。管はカセット１２０から延在させ、患者に薬剤を送達する注入セットまたはカテーテルと連通させることができる。制御モジュール１０１は、カセットからの薬剤の流れを制御するために使用することができる。このようなカセットの一例はＳｍｉｔｈｓ Ｍｅｄｉｃａｌ ＡＳＤ社製のＣＡＤＤ（登録商標）薬剤カセット容器であるが、別の実施形態ではその他のカセットを使用することができる。別の実施形態では、カセット１２０は、ＩＶバッグなどの遠隔投薬容器と連動する管を含むことができる。管は容器からカセットに、次いで注入セットまたはカテーテルに延在させることができ、管を通る薬剤の流れは制御モジュール１０１で制御することができる。このようなセットの一例はＳｍｉｔｈｓ Ｍｅｄｉｃａｌ ＡＳＤ社製のＣＡＤＤ（登録商標）投与セットである。

ステップ送達は様々な薬物治療で使用することができるが、一実施形態では、ポンプ１００のステップ機能は静注用免疫グロブリン（ＩＶＩＧ）治療用に調整されている。ＩＶＩＧ治療は通常、初期投薬の期間を必要とする。いったん完了すれば、増加した投与量（または「逓増」）を定期的に送達することができる。ステップ送達は、薬剤を初期速度で注入し、段階的にプラトー速度まで上昇させることができる。患者の耐性がいかなる速度でも成功しない場合、治療は要求に応じて規模を縮小するか、中止することができる。複数の逓減を適用して、任意の前の速度まで投与速度を低下させることができる。他の実施形態では、ステップ送達プロファイルは、栄養やその他の療法に適する。

ポンプ１００のステップ送達プロファイルは、ポンプ制御システム１０３に提供されるパラメータによって選択的に定義される。一実施形態では、図３に示される図１３０で示されるような初期速度、プラトー速度、ステップ期間、速度（ステップ）増加または増分、および総注入量を提供することができる。一実施形態では、追加パラメータの注入期間１３２はユーザによって提供される必要がなく、一実施形態では注入期間１３２は一つ以上のその他のパラメータに基づき自動的に算出される。たとえば、最小のプログラム可能な注入期間は、注入量、ステップ期間、および様々な送達速度の組み合わせによって定義される。一実施形態では、ポンプ１００はその他のパラメータのプログラミング後に算出された注入期間１３２を提供する。一実施形態では、ポンプ制御システム１０３は、一つ以上のプログラムされたパラメータに基づき初期速度からプラトー速度への移行に必要なステップの総数も算出する。ステップ送達プロファイルの送達中、ユーザは送達速度を「逓減」することができる。一実施形態では、ポンプ１００は、初期プログラムからの逸脱を吸収するため、プログラムされたステップ送達プロファイルの一つ以上のパラメータを自動的に調節する。これには、総注入期間の自動的な調節、すなわち延長を含むことができる。追加の実施形態では、任意のＫＶＯ（「静脈開放保持」）速度１３４が提供されて、カテーテルの開放性を維持するのを助ける最小量の薬剤の送達を可能にする。一実施形態では、算出された注入期間１３２を判定する際にポンプ１００がＫＶＯ速度１３４を考慮することができる。よって、各種実施形態では、ポンプ制御システム１０３のステップ算出機能は入力されたパラメータに基づき単独の総注入期間１３２を算出するため、最小および最大期間パラメータを必要としない。

図４に示されるように、ポンプ１００の表示画面１０４は、動作中にグラフィカル・ユーザ・インターフェース（ＧＵＩ）１４０を提供する。ポンプ１００が起動されると、例示の送達プロファイルグラフィック１４２が表示画面１０４上に示される。ＧＵＩ１４０上に表示される情報は変動し得るが、現在の送達速度１４４、動作モード１４８、および任意のその他の適切な状態表示など、送達中にユーザまたは患者に最も関連する情報を含むことができる。図４の実施形態では、ポンプ１００はステップモード１４８下にある。注入中、ＧＵＩ１４０は、送達プロファイルグラフィック１４２と共に、患者の治療がどの程度進行しているかを示す指標グラフィック１５０を示すことができる。図示される例では、治療送達は毎時１５ｍＬの速度で、４段階中の第２段階にある。

図５〜７に示されるように、プログラミング画面は、治療送達を定義するパラメータを入力するインタフェースをユーザに提示する。ユーザ、もしくは臨床医または在宅医療提供者は、処方医師によって提供される投与量パラメータを入力することができる。ユーザはインタフェースを使用して、治療の状態を判定し、必要に応じて投与速度を低下させることもできる。一実施形態では、患者に特有の特定のパラメータまたはプロファイルは、ポンプ１００のより迅速で便利で安全な使用を促進し、特にプログラミングエラーや別の患者向けのプロファイルの送達を回避するため、ポンプ１００または関連のコンピュータシステムによって保持または保管することができる。他の実施形態では、個々のまたは複数のプロファイルは、関連のコンピュータシステムおよびソフトウェアを用いてプログラムした後、患者治療用に一つ以上のポンプ１００にダウンロードすることができる。

図５は、１００ｍＬのプログラムされた注入量３０２を示す。注入量３０２は、処方にしたがい送達されるべき薬剤または治療液の総量である。新たな注入量３０２を入力することで、患者にとって新たな注入期間１３２の開始時に治療送達が開始されるように、設定された注入プロファイルが再設定される。

初期速度３０４は、治療送達を開始する速度である。これはユーザが「逓減」可能な最小の送達速度とすることもできる。速度増分３０６は、各ステップにおける所望量の薬剤送達の増分である。

プラトー速度３０８は、ポンプ１００が薬剤を送達する最高速度である。ポンプ１００は初期速度で開始し、ユーザからの逓減指示がない場合、プラトー速度３０８に達するまで速度増分だけ速度を増加させる。ポンプ１００は、容器体積がゼロに達するまで、あるいは所定の注入量３０２が送達されるまでこの速度で運転することができる。ポンプ制御システム１０３は、所望のパラメータに応じて、注入量および注入期間に基づき注入プロファイルのプラトー部分中に生じる送達速度を算出することができる。ポンプ１００は、許容可能な最高速度で予め設定することができる。たとえば、２５０ｍＬ／時を超える速度は、大量治療投与セットを必要とする可能性がある。小量治療投与セットは、２５０ｍＬ／時を超えるプラトー速度３０８を招くパラメータを許容しないであろう。

ステップ期間３１０は、薬剤送達中にステップ毎にプログラムされる期間である。この期間は、各ステップの治療送達期間の時間に相当する。プラトー速度３０８に達するのに必要なステップのすべてのステップ期間３１０、ならびにプラトー期間の長さの合計が、総注入量３０２を送達する総注入期間１３２に等しい。

注入期間１３２は、総注入量３０２を送達するのに必要な時間である。一実施形態では、注入期間１３２は、患者固有のパラメータ：注入量３０２、初期速度３０４、速度増分３０６、プラトー速度３０８、およびステップ期間３１０に関してプログラムされる初期値のうちの一つ以上に基づきポンプ１００によって算出される。一実施形態では、ユーザは期間値を提供する必要がない。いったんパラメータが入力されれば、ポンプ制御システム１０３が注入期間１３２を算出する。

容器体積３１６は、容器またはカセット１２０内に含まれる流体の体積である。管理者は、容器体積３１６設定を設定値まで迅速に再設定できるように標準容器体積３１６を設定することができる。図７に示されるように、臨床医は容器体積３１６を別の体積に調節し、容器体積を再設定することができる。一実施形態では、容器体積３１６は、プログラムされた注入量３０２よりも小さく設定することができない。容器体積３１６値は、ポンピング機構が呼び水されまたは流体を送達するにつれて低下する。

ＫＶＯ速度、すなわち「静脈開放保持」速度１３４は任意である。該速度は、カテーテルの開放性を維持するのを助ける最小量の薬剤の送達を可能にする。遅延開始がプログラムされる場合、ＫＶＯ速度１３４は初期遅延中に有効である。また、該速度は、プログラムされる容器体積３１６が注入量３０２よりも大きい場合は、注入プロファイルが完了後も有効である。ＫＶＯ送達速度１３４が注入プロファイルの終了時に意図される場合、自動的なＫＶＯ送達が生じうるように、容器体積が注入量より大きくなくてはならない。ＫＶＯ送達速度１３４は、容器体積３１６が０ｍＬに達する、あるいはポンピング機構が停止するまで継続する。

ユーザは、次の注入送達が開始される時間である遅延開始時間（図示せず）もプログラムすることができる。遅延開始がプログラムされたときのみ、これが表示される。図８は、ポンプ１００が遅延開始モード３２０にあることを示す。グラフィック３３０は、ポンプ１００が最小治療送達の第１段階にあることを示す。治療送達が初期速度３０４に増加するまでの時間３４０も表示画面１０４に表示され、定期的に更新される。

図９および１０は、現在の送達速度１４４とポンプ１００が動作のステップモード４４２にあることとを示す実行状態画面４４０を提示するポンプ１００の表示画面１０４の二例を示す。実行状態画面４４０は、状態バー４５０を含むステップ送達アイコン４４８の一例を含む。送達アイコン４４８の中間の状態バー４５０の位置は、ポンプ１００が治療送達内の中間ステップにあることを示す。ポンプ１００は、プラトー速度３０８よりも低い現在速度１４４で薬剤を送達している。

図１１は、治療投与速度を増減させることによって実際の現在のステップ、すなわち注入期間を変更するのに使用可能な、ＧＵＩメニューの高度タスクメニューからの逓減４６０および逓増４６２コマンドを示す。以下、逓増および逓減手順について説明する。一実施形態では、逓減４６０または逓増４６２コマンドの選択後、注入期間は自動的に再算出される。表示される総注入期間１３２値は、新たな設定を反映するように変更することができる、あるいは初期時間値を表示し、最初の構成から逸脱する変化が指示されていることを示すように構成することができる。

図１２ａおよび１２ｂは、携帯式注入システム用のステップ治療プロトコルの例示の実施形態を示すフローチャート５００および５９０である。最初に、臨床医または医療提供者は、上述したように所望のパラメータ５０２を入力する。典型的なパラメータは、一実施形態において総注入量、初期速度、速度増分、プラトー速度、およびステップ期間を含むことができる。次に、ポンプ制御システム１０３は、初期注入期間送達時間５０４を算出する。いったん設定がユーザによって確認されれば、ポンプ１００は、ポンプ１００のポンピング機構を係合することによって送達５０６を開始する。

ポンプ１００のステップ送達機能は中断可能であり、たとえば、患者は次のレベルに進まずに現行レベルを選択的に保持することができる、あるいは、耐性が達成されていない場合は前のより低い治療送達レベルに戻ることができる。送達中、ポンプ１００は、逓増移行時の通知などの患者に便宜を図る特徴も提供する。通知は、移行前にユーザが患者のバイタルまたは状態をチェックできるように、移行に先立って行うことができる。

ポンプ１００は、薬剤送達５０６中にＧＵＩ１４０を通じてユーザ入力５１０を受信することができる。ユーザ入力がない場合、送達モード５０６は、ポンプ制御システム１０３が治療の完了を判定する５１６まで継続される。治療完了の判定は、入力された注入量３０２の送達に基づき行うことができる。治療が完了すると５２０、ポンピング機構は動作を停止させる、あるいは構成され、容器体積３１６がまだ０ｍＬに達していない場合はＫＶＯ送達速度１３４まで低減させることができる。

治療が完了していない場合５２０、ポンプ制御システム１０３は、ステップ期間３１０が経過したか否か５２４をチェックする。現行の治療送達期間のステップ期間３１０が完了しておれば、ポンプ１００は次のより多い投与量ステップ５２６に進み、速度増分３０６の量だけ薬剤送達５０６を増加させる。薬剤送達５０６の速度はプラトー速度３０８によって制限される。任意で、ポンプ１００は、投与量の増加時またはその前に通知を提供する、あるいはより多い投与量の送達前に投与量の増加を認識するようユーザに促すことができる。ポンプ１００は、ユーザ５１０によって促される、あるいは治療が完了すること５１６がない限り、以前と同じ薬剤送達を継続することができる。ステップ期間３１０が経過していない場合５２８、ポンプ１００は薬剤送達５０６を継続する。

ユーザがより少ない投与量５３０を要求する逓減コマンドを入力すれば、ポンプ１００は一回の投与量速度増分３０４の分だけ、治療をより少ない投与量５３２へと低減させる。図１２ａに示される実施形態では、ポンプ１００は、ユーザによってより多い投与量５４０の提供が要求される、あるいは治療が完了すること５１６がない限り、この低い薬剤送達５０６段階を維持する。ポンプ１００は、より多い投与量ステップ５２６に進む前にチェックされる５７４内部保有投与量フラグ５７０を設定することによって、低い伝達速度を維持することができる。図１２ｂの実施形態では、投与量の低減により、ポンプ制御システム１０３によって新たに低減された送達投与量に基づく注入期間１３２の再算出５３４が行われる。ユーザは複数の逓減コマンドを入力して、一つ以上の増分だけ投与量を低減する、あるいは完全に治療を停止することができる。別の実施形態では、ポンプ１００は、別のステップ期間３１０の経過後、投与量を増加する許可をユーザに促すことができる。

ユーザがより多い投与量５４０の要求を入力する場合、ポンプ１００はパスコード５４２を入力するようにユーザに促すことができる。パスコードの要求は、患者が監督なしに投与量の増加の治療を受けるのを防止するため、あるいは投与量の増加の権限を特定の指定された個人に制限するために使用することができる。パスコードは、プログラミング機能のデフォルトによって、あるいはポンプ１００の使用に関連するその他の状況時に使用することができる。要求されたパスコードが合致しない場合５４６、ポンプ１００は現在の薬剤送達５０６段階を維持する。予め構成されたパスコードが入力された場合、ポンプ１００は一回の投与量速度増分３０４の量だけより多い投与量段階５４８へと進む。図１２ｂの実施形態では、投与量の増加は、ポンプ制御システム１０３による送達投与量の増加に基づく注入期間１３２の再算出５５０を導く。図１２ａの実施形態では、保持される投与量フラグ５７０は、ユーザがより高い投与量レベル５４０を要求する場合には消去することができる５７２。ユーザは複数の逓増コマンドを入力して、構成されるプラトー速度まで、一つ以上の増分量だけ投与量を増やすことができる。当業者であれば、図１２ａおよび１２ｂに示される実施形態のその他の変形または組み合わせも可能であると認識するであろう。

図１３は、初期送達プロファイル６００、および投与速度の低減すなわち「逓減」後に結果として生じる送達プロファイル６０２の例を示す。仮にユーザが投与量増加に対して悪い反応を起こせば、ユーザは前のより低い投与量レベルに戻すようにポンプ１００に指示することができる。図示されるように、図１１のＧＵＩ１４０上で逓減コマンドオプション４６０を選択すれば、治療投与量は現在の投与量６０４から前のより少ない投与量６０６へと減少する。投与量の減少により、追加期間６０８の分だけ治療送達時間全体が増加する。追加期間６０８は最初の投与期間６１０を新たな投与期間６１２へと延長する。本例では、前のより少ない投与量速度６０６が新たな投与期間６１２全体にわたって維持される。投与量はポンプ１００によって自動的に増加されないが、その他の実施形態では変動させることができる。

図１４は、初期送達プロファイル７００と、投与量速度の増加すなわち「逓増」後に結果として生じる送達プロファイル７０２との例を示す。図示されるように、図１１のＧＵＩ１４０上の逓増コマンド４６２は、治療投与量を次のより多い投与量７０６に増加させる。次に、この投与量は、現在のステップ期間３１０において、「逓増」オプションが開始されたときにポンプ１００がどの程度進行していたかに関係なく、新たなステップ期間３１０全体で継続される。投与速度を上昇させれば、短縮期間７０８によって総治療送達時間を低減することができる。これにより、総注入量３０２を投与するのに必要な総治療送達時間が低減される。

システム、装置、および方法の各種実施形態をここで説明してきた。これらの実施形態は単に例示のために提供されており、本発明の範囲を限定することを目的としていない。さらに、説明した実施形態の各種特徴を様々な形態で組み合わせて、多数の追加の実施形態を生み出すことができると認識すべきである。さらに、開示される実施形態で使用される様々な材料、寸法、形状、注入位置などを説明したが、開示されるのとは異なるものも本発明の範囲を逸脱せずに利用することができる。

当業者であれば、本発明は上述の個々の実施形態において示される特徴よりも少ない特徴を備えることができると認識するであろう。ここに記載の実施形態は、本発明の各種特徴を組み合わせることができる形態を包括的に提示することを目的としていない。したがって、実施形態は相互に排他的な特徴の組み合わせではなく、本発明は当業者によって理解されるように、個々の様々な実施形態から選択される個々の様々な特徴の組み合わせを備えることができる。

上記文献の引用による組込みは、本明細書の明確な開示に反する主題が組み込まれないように限定される。さらに、上記文献の引用による組込みは、文献に含まれる請求項が引用により本明細書に組み込まれないように限定される。さらに、上記文献の引用による組込みは、文献で提供される定義が本明細書に明確に含まれない限り引用により本明細書に組み込まれないように限定される。

本発明の請求項を解釈する目的で、特定の文言である「手段」または「ステップ」が請求項で記載されない限り、米国特許法第１１２条第６段落の条項は行使されないことを明確に述べておく。

Claims (22)

1. 注入治療送達機構と、
   ステップ送達機能を定義する複数のパラメータを受信するように構成されるグラフィカル・ユーザ・インターフェース（ＧＵＩ）であって、前記複数のパラメータは、初期速度、プラトー速度、ステップ期間、速度増分、および総注入量を含む、グラフィカル・ユーザ・インターフェース（ＧＵＩ）と、
   前記治療送達機構に接続され、前記複数のパラメータのうち少なくとも一つに基づき注入期間を算出し、前記ステップ送達機能に基づき前記治療送達機構を動作させるように構成されるプロセッサであって、更に、治療送達中において、ユーザが選択的に速度増分量だけ送達速度を上昇させたり、速度増分量だけ送達速度を低下させたり、前記ステップ期間を超える場合でも送達速度を維持したりする場合、前記注入期間が自動的に再計算されて前記総注入量を送達する携帯式輸液ポンプ。
2. 前記ＧＵＩが、前記治療送達機構の動作中、前記速度増分量だけ送達速度を上昇させるオプションを提示する、請求項１に記載のポンプ。
3. 前記ＧＵＩが、前記治療送達機構の動作中、前記速度増分量だけ送達速度を低下させるオプションを提示する、請求項１に記載のポンプ。
4. 前記プロセッサが、前記治療送達機構の動作中に前記送達速度が低下する場合に前記注入期間を再算出するように構成される、請求項３に記載のポンプ。
5. 前記低下後の送達速度は、前記総注入量を送達するために前記注入治療送達機構にとって必要な期間維持される、請求項３に記載のポンプ。
6. 前記ＧＵＩが、患者管理鎮痛法（ＰＣＡ）送達機能、連続送達機能、間欠的送達機能、および漸減送達機能から成る群から選択される送達機能を定義する少なくとも一つのパラメータを受信するように構成される、請求項１に記載のポンプ。
7. 前記ステップ送達機能が静注用免疫グロブリン（ＩＶＩＧ）治療用である、請求項１に記載のポンプ。
8. 前記ＧＵＩが前記初期注入期間を表示するように構成される、請求項１に記載のポンプ。
9. 前記プロセッサが、前記複数のパラメータのうちの少なくとも一つに基づき前記ステップ送達機能内のステップの総数を算出するように構成される、請求項１に記載のポンプ。
10. 初期速度、プラトー速度、ステップ期間、速度増分、および総注入量を受信することと、
    少なくとも前記初期速度、前記プラトー速度、前記ステップ期間、前記速度増分、および前記総注入量に基づき注入期間を自動的に決定することと、
    治療送達中において、ユーザが選択的に速度増分量だけ送達速度を上昇させたり、速度増分量だけ送達速度を低下させたり、前記ステップ期間を超える場合でも送達速度を維持したりする場合、前記注入期間を自動的に再計算することと、
    を備える、携帯式注入システム用のステップ送達機能を設定する方法。
11. 送達速度低下要求を受信することをさらに備える、請求項１０に記載の方法。
12. 前記速度増分の量だけ現在の送達速度を低下させることをさらに備える、請求項１１に記載の方法。
13. 前記初期速度、前記プラトー速度、前記ステップ期間、前記速度増分、および前記総注入量の入力の促進を提供することをさらに備える、請求項１０に記載の方法。
14. 受信することが、前記初期速度、前記プラトー速度、前記ステップ期間、前記速度増分、および前記総注入量をユーザインタフェース入力として受信することをさらに備える、請求項１３に記載の方法。
15. 前記注入期間をグラフィカル・ユーザ・インターフェースに表示することをさらに備える、請求項１０に記載の方法。
16. 患者管理鎮痛法（ＰＣＡ）送達機能、連続送達機能、間欠的送達機能、漸減送達機能、およびステップ送達機能から成る群から前記ステップ送達機能を選択することをさらに備える、請求項１０に記載の方法。
17. 前記ステップ送達機能にしたがい薬剤を送達することをさらに備える、請求項１０に記載の方法。
18. 薬剤を送達することが静注用免疫グロブリン（ＩＶＩＧ）薬剤を送達することを備える、請求項１６に記載の方法。
19. 初期速度設定と、
    プラトー速度設定と、
    ステップ期間設定と、
    速度増分設定と、
    総注入量設定と、
    前記初期速度設定、前記プラトー設定、前記ステップ期間設定、前記速度増分設定、および前記総注入量設定にしたがい自動的に設定され、かつ治療送達中において、ユーザが選択的に速度増分量だけ送達速度を上昇させたり、速度増分量だけ送達速度を低下させたり、前記ステップ期間を超える場合でも送達速度を維持したりする場合、自動的に再計算される注入期間設定と、
    を備える注入システム。
20. 前記初期速度設定、前記プラトー設定、前記ステップ期間設定、前記速度増分設定、前記総注入量設定、および前記注入期間設定によって定義されるステップ機能にしたがい薬剤を送達するように動作可能なポンピング機構を有する携帯式輸液ポンプをさらに備える、請求項１９に記載のシステム。
21. 前記薬剤が静注用免疫グロブリン（ＩＶＩＧ）薬剤である、請求項２０に記載のシステム。
22. 前記ポンプが前記薬剤の送達速度の変更前に通知を提供するように動作可能な通知システムを備える、請求項２０に記載のシステム。