JP6259771B2 - 正極活物質の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、正極活物質の製造方法に関する。
携帯電話、ノート型パソコン等の携帯型電子機器等には、リチウムイオン二次電池が広く使用されている。リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、Liと遷移金属元素を含む複合酸化物からなる正極活物質(LiCoO、LiNiO、LiNi0.8Co0.2、LiMn等。)が知られている。例えば、正極活物質としてLiCoOを用い、負極としてリチウム合金、グラファイト、カーボンファイバー等を用いたリチウムイオン二次電池は、約4Vの高い電圧が得られるため、高エネルギー密度を有する電池として広く使用されている。
携帯型電子機器用、車載用等のリチウムイオン二次電池には、小型化、軽量化が求められている。そのため、リチウムイオン二次電池は、単位質量あたりの放電容量(以下、単に「放電容量」という。)、および、充放電サイクルを繰り返した後に放電容量および平均放電電圧を低下させ難い特性(以下、「サイクル特性」ともいう。)のさらなる向上が求められている。
放電容量の高い正極活物質としては、下記の正極活物質(i)のような遷移金属元素に対するLi比が高い複合酸化物(以下、「Liリッチ系正極活物質」ともいう。)からなる正極活物質が注目されている。
(i)α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物の固溶体を含み、前記固溶体が含有するLiおよび遷移金属元素の組成比が、組成式Li1+1/3xCo1−x−yNiy/2Mn2x/3+y/2(x+y≦1、0≦y、かつ、1/3<x≦2/3)を満たす正極活物質(特許文献1)。
しかし、正極活物質(i)は、高電圧での充電によって電解液から生じた分解物と接触することでMnが電解液中に溶出しやすい。そのため、正極活物質(i)の結晶構造が不安定になりやすく、充分なサイクル特性が得られない。
そこで、優れたサイクル特性を有するLiリッチ系正極活物質を得る方法として、以下の方法(ii)が提案されている。
(ii)炭酸塩共沈工程および焼成工程によって得られた、Liと、Co、NiおよびMnとを含むリチウム遷移金属複合酸化物を、硝酸アルミニウム溶液に加えて混合し、均質化した後にフッ化アンモニウムを加え、濾過して得られた固形分を焼成することで、前記リチウム遷移金属複合酸化物の表面にフッ化アルミニウムをコーティングする方法(特許文献2)。しかし、方法(ii)は、正極活物質の製造工程が増えるため、製造が煩雑になる。
日本特開2009−152114号公報 日本特表2012−511809号公報
本発明は、優れた放電容量およびサイクル特性を有する正極活物質を簡便に製造できる、正極活物質の製造方法を提供する。
本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
(1)下記の工程(I)および工程(II)を有することを特徴とする正極活物質の製造方法。
(I)Niの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の硫酸塩(A)と、
Alの硫酸塩と、
炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭酸塩(B)とを、
水溶液の状態で混合して、Ni、CoおよびMnからなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素(X)とAlとを含む共沈化合物を得る工程。
(II)前記共沈化合物と炭酸リチウムとを混合し、500〜1000℃で焼成する工程。
(2)前記工程(I)において、硫酸塩(A)と、Alの硫酸塩と、炭酸塩(B)とを混合する際の混合液のpHが7〜12である、上記(1)に記載の正極活物質の製造方法。
(3)前記工程(I)において、共沈化合物に含まれるAlの割合が、前記遷移金属元素(X)のモル数およびAlのモル数の合計モル数に対して、0.01〜5mol%である、上記(1)または(2)に記載の正極活物質の製造方法。
(4)前記工程(I)において、硫酸塩(A)の水溶液中における遷移金属元素(X)の濃度が、0.1〜3mol/kgである、上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
(5)前記工程(I)において、Alの硫酸塩の水溶液中におけるAlの濃度が、0.001〜0.15mol/kgである、上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
(6)前記工程(I)において、炭酸塩(B)の水溶液中における炭酸塩(B)の濃度が、0.1〜2mol/kgである、上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
(7)前記工程(I)における共沈化合物の粒子径(D50)が4〜20μmであり、比表面積が50〜300m/gである、上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
(8)前記工程(II)において、炭酸リチウムに含まれるLiのモル数が、前記遷移金属元素(X)の合計モル数に対して、1.1倍以上である、上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
(9)得られる正極活物質が下式(1)で表される化合物(1)である、上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
Li1+aNiCoMnAl2+f ・・・(1)
(ただし、前記式(1)中、a〜eはそれぞれ0.1≦a≦0.6、0.095≦b≦0.5、0≦c≦0.3、0.28≦d≦0.85、0.9≦b+c+d≦1.05、0.0001≦e≦0.05である。fはLi、Ni、Co、MnおよびAlの価数によって決定される数値である。)
本発明の正極活物質の製造方法によれば、優れた放電容量およびサイクル特性を有する正極活物質を簡便に製造できる。
本明細書において、Liはリチウム元素を示す。また、Ni、Co、Mn、Al等も同様に各元素を示す。
<正極活物質の製造方法>
本発明の正極活物質の製造方法は、Liと、Ni、CoおよびMnからなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素(X)と、Alとを含む正極活物質を製造する方法である。本発明の正極活物質の製造方法は、下記の工程(I)および工程(II)を有する。
[工程(I)]
本発明の製造方法における工程(I)では、硫酸塩(A)と、Alの硫酸塩と、炭酸塩(B)とを、水溶液の状態で混合する。必要に応じてさらに添加剤を用いてもよい。これにより、遷移金属元素(X)とAlとを含む共沈化合物が析出する。
硫酸塩(A)とAlの硫酸塩と炭酸塩(B)とを、水溶液の状態で混合する態様は、硫酸塩(A)とAlの硫酸塩と炭酸塩(B)とが、混合の際に水溶液の状態であれば特に限定されない。具体的には、共沈化合物が析出しやすく、かつ粒子径を制御しやすいことから、反応槽に硫酸塩(A)の水溶液、Alの硫酸塩の水溶液、および炭酸塩(B)の水溶液を連続的に添加することが好ましい。さらに、硫酸塩(A)とAlの硫酸塩がより均一に混合できることから、硫酸塩(A)およびAlの硫酸塩を含む水溶液を調製した後、硫酸塩(A)およびAlの硫酸塩を含む水溶液と炭酸塩(B)の水溶液とを連続的に添加することがより好ましい。反応槽には、予めイオン交換水、純水、蒸留水等を入れておくことが好ましく、さらに炭酸塩(B)や後述する添加剤等を用いてpHを制御しておくことがより好ましい。
硫酸塩(A)を2種以上使用する場合、硫酸塩(A)の水溶液としては、2種以上の硫酸塩(A)のそれぞれを別々に含む2種以上の水溶液としてもよく、2種以上の硫酸塩(A)を含む1種の水溶液としてもよい。また、1種の硫酸塩(A)を含む水溶液と、2種以上の硫酸塩(A)を含む水溶液とを併用してもよい。炭酸塩(B)を2種使用する場合も同様である。
硫酸塩(A)と、Alの硫酸塩と、炭酸塩(B)とを混合する際の混合液のpHは、7〜12が好ましく、7.5〜10がより好ましい。前記pHが前記範囲内であれば、単相の炭酸塩の共沈化合物が析出しやすい。
硫酸塩(A)は、Niの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の硫酸塩である。
Niの硫酸塩としては、硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸ニッケル(II)・七水和物、硫酸ニッケル(II)アンモニウム・六水和物等が挙げられる。
Coの硫酸塩としては、硫酸コバルト(II)・七水和物、硫酸コバルト(II)アンモニウム・六水和物等が挙げられる。
Mnの硫酸塩としては、硫酸マンガン(II)・五水和物、硫酸マンガン(II)アンモニウム・六水和物等が挙げられる。
硫酸塩(A)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硫酸塩(A)としては、放電容量が高いリチウムイオン二次電池が得られやすい点から、Niの硫酸塩およびMnの硫酸塩を含むことが好ましく、Niの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩を併用することがより好ましい。すなわち、遷移金属元素(X)としてNiおよびMnを含む共沈化合物を析出させることが好ましく、遷移金属元素(X)としてNi、CoおよびMnを含む共沈化合物を析出させることがより好ましい。すなわち、共沈化合物は、遷移金属元素(X)としてNiおよびMnを含む炭酸塩であることが好ましく、遷移金属元素(X)としてNi、CoおよびMnを含む炭酸塩であることがより好ましい。
Alの硫酸塩としては、例えば、無水硫酸アルミニウム(III)、硫酸アルミニウム(III)・十四〜十八水和物、硫酸アルミニウム(III)カリウム・十二水和物等が挙げられる。
炭酸塩(B)は、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である。炭酸塩(B)は、Ni、CoおよびMnを共沈させるためのpH調整剤としての役割を果たす。
炭酸塩(B)は、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムの一方を単独で使用してもよく、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムを併用してもよい。
Niの硫酸塩に含まれるNiのモル数の割合は、遷移金属元素(X)およびAlの合計モル数(100mol%)に対して、9.5〜50mol%が好ましく、14.2〜45mol%がより好ましく、19〜40mol%が特に好ましい。前記Niの量の割合が下限値以上であれば、高い放電電圧を示す正極活物質が得られる。前記Niの量の割合が上限値以下であれば、高い放電容量を示す正極活物質が得られる。
Coの硫酸塩に含まれるCoのモル数の割合は、遷移金属元素(X)およびAlの合計モル数(100mol%)に対して、0〜30mol%が好ましく、0〜20mol%がより好ましく、0〜15mol%が特に好ましい。前記Coの量の割合が上限値以下であれば、優れたサイクル特性を示す正極活物質が得られる。
Mnの硫酸塩に含まれるMnのモル数の割合は、遷移金属元素(X)およびAlの合計モル数(100mol%)に対して、28.5〜85mol%が好ましく、38〜80mol%がより好ましく、38〜70mol%が特に好ましい。前記Mnの量の割合が下限値以上であれば、高い放電容量を示す正極活物質が得られる。前記Mnの量の割合が上限値以下であれば、高い放電電圧を示す正極活物質が得られる。
Alの硫酸塩に含まれるAlのモル数の割合は、遷移金属元素(X)およびAlの合計モル数(100mol%)に対して、0.01〜5mol%が好ましく、0.1〜5mol%がより好ましく、0.1〜2mol%が特に好ましい。前記Alの量の割合が下限値以上であれば、優れたサイクル特性を示す正極活物質が得られる。前記Alの量の割合が上限値以下であれば、不純物相が出にくくなる。
硫酸塩(A)の水溶液中における遷移金属元素(X)の濃度は、0.1〜3mol/kgが好ましく、0.5〜2.5mol/kgがより好ましい。前記濃度が下限値以上であれば、生産性が高い。前記濃度が上限値以下であれば、硫酸塩(A)を充分に溶解させられる。
硫酸塩(A)を含む水溶液を2種以上使用する場合は、それぞれの水溶液について遷移金属元素(X)の濃度を前記範囲内とすることが好ましい。
Alの硫酸塩の水溶液中におけるAlの濃度は、0.001〜0.15mol/kgが好ましく、0.005〜0.125mol/kgがより好ましい。前記濃度が下限値以上であれば、生産性が高い。前記濃度が上限値以下であれば、Alの硫酸塩を充分に溶解させられる。
硫酸塩(A)とAlの硫酸塩の両方を含む水溶液とする場合は、硫酸塩(A)とAlの硫酸塩のそれぞれの濃度を前記範囲とすることが好ましい。
工程(I)で得られる共沈化合物としては、Ni、MnおよびAlを含む共沈炭酸塩であるか、又はNi、Co、MnおよびAlを含む共沈炭酸塩であることが好ましい。
炭酸塩(B)の水溶液中における炭酸塩(B)の濃度は、0.1〜2mol/kgが好ましく、0.5〜2mol/kgがより好ましい。前記炭酸塩(B)の濃度が前記範囲内であれば、共沈化合物が析出しやすい。
硫酸塩(B)を含む水溶液を2種以上使用する場合は、それぞれの水溶液について硫酸塩(B)の濃度を前記範囲内とすることが好ましい。
硫酸塩(A)、Alの硫酸塩および炭酸塩(B)の水溶液に使用する溶媒としては、硫酸塩(A)、Alの硫酸塩および炭酸塩(B)が溶解する範囲であれば、水のみであってもよく、水に加えて水以外の成分を含む水性媒体であってもよい。
前記水以外の成分としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ポリオール等が挙げられる。ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、グリセリン等が挙げられる。
水性媒体中の水以外の成分の割合は、0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましく、0〜1質量%が特に好ましく、含まないことが最も好ましい。前記水以外の成分の割合が上限値以下であれば、環境面、取扱い性、コストの点で優れている。
硫酸塩(A)と、Alの硫酸塩と、炭酸塩(B)とを、水溶液の状態で混合する際は、反応槽中で撹拌しながら行うことが好ましい。
撹拌装置としては、例えば、スリーワンモータ等が挙げられる。撹拌翼としては、例えば、アンカー型、プロペラ型、パドル型等の撹拌翼が挙げられる。
硫酸塩(A)と、Alの硫酸塩と、炭酸塩(B)とを、水溶液の状態で混合する際の混合液の温度は、共沈化合物が析出しやすいことから、20〜80℃が好ましく、25〜60℃がより好ましい。
また、硫酸塩(A)と、Alの硫酸塩と、炭酸塩(B)とを、水溶液の状態で混合する際は、析出した共沈化合物の酸化を抑制する点から、窒素雰囲気下またはアルゴン雰囲気下で混合を行うことが好ましく、コストの面から、窒素雰囲気下で混合を行うことが特に好ましい。
添加剤としては、例えば、pHや遷移金属元素(X)の溶解度を調整するために、アンモニア、またはアンモニウム塩を用いてもよい。アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられる。
アンモニアまたはアンモニウム塩は、硫酸塩(A)およびAlの硫酸塩の供給と同時に混合液に供給されることが好ましい。
得られた共沈化合物中のNi、CoおよびMnのそれぞれの割合の好ましい範囲は、前述の硫酸塩(A)およびAlの硫酸塩中のNi、CoおよびMnのそれぞれの割合の好ましい範囲と同じである。これにより、適度な粒子径および球形の共沈化合物が得られやすい。
また、得られた共沈化合物中の遷移金属元素(X)およびAlの合計量に対するAlの割合の好ましい範囲は、前述の硫酸塩(A)およびAlの硫酸塩中の遷移金属元素(X)およびAlの合計量に対する、Alの硫酸塩中のAlの割合の好ましい範囲と同じである。これにより、優れたサイクル特性を示す正極活物質が得られる。
共沈化合物の粒子径(D50)は、4〜20μmが好ましく、5〜18μmがより好ましく、6〜15μmが特に好ましい。共沈化合物の粒子径が前記範囲内であれば、後述する正極活物質の粒子径を好ましい範囲に制御しやすく、充分な電池特性を示す正極活物質が得られやすい。
なお、粒子径(D50)は、体積基準で求めた粒度分布の、全体積を100%とした累積体積分布曲線において50%となる点の粒子径、すなわち体積基準累積50%径を意味する。共沈化合物の粒子径(D50)は、後述する正極活物質の粒子径(D50)と同様にして測定される。
共沈化合物の比表面積は、50〜300m/gが好ましく、100〜250m/gがより好ましい。共沈化合物の比表面積が前記範囲内であれば、後述する正極活物質の比表面積を好ましい範囲に制御しやすく、高い放電容量を示す正極活物質が得られやすい。
共沈化合物の比表面積は、後述する正極活物質の比表面積と同様にして測定される。
工程(I)は、共沈化合物が析出した後に、濾過、または遠心分離によって水溶液を取り除く工程を有することが好ましい。濾過または遠心分離としては、加圧濾過機、減圧濾過機、遠心分級機、フィルタープレス、スクリュープレス、回転型脱水機等を用いることができる。
得られた共沈化合物は、不純物イオンを取り除くために、洗浄することが好ましい。共沈化合物の洗浄方法としては、例えば、加圧濾過と蒸留水への分散を繰り返す方法等が挙げられる。
得られた共沈化合物は乾燥することが好ましい。特に、洗浄を行う場合は、洗浄を行った後に共沈化合物を乾燥することが好ましい。
共沈化合物の乾燥温度は、60〜200℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。前記乾燥温度が下限値以上であれば、共沈化合物を短時間で乾燥できる。前記乾燥温度が上限値以下であれば、共沈化合物が酸化することを抑制できる。
共沈化合物の乾燥時間は、1〜300時間が好ましく、5〜120時間がより好ましい。
[工程(II)]
工程(II)では、工程(I)で得られた共沈化合物と、炭酸リチウムとを混合し、500〜1000℃で焼成する。
共沈化合物と炭酸リチウムとを混合する方法は、例えば、ロッキングミキサ、ナウタミキサ、スパイラルミキサ、カッターミル、Vミキサ等を使用する方法等が挙げられる。
工程(II)において、炭酸リチウムに含まれるLiのモル数は、共沈化合物に含まれる遷移金属元素(X)の合計モル数に対して、1.1倍以上であることが好ましい。前記割合が下限値以上であれば、高い放電容量が得られる。
炭酸リチウムに含まれるLiの合計量のモル数は、遷移金属元素(X)の合計モル数に対して、1.1倍以上1.6倍以下がより好ましく、1.1倍以上1.4倍以下が特に好ましい。前記割合が前記範囲内であれば、高い放電容量が得られる。
焼成装置には、電気炉、連続焼成炉、ロータリーキルン等を使用できる。焼成時に共沈化合物は酸化されることから、焼成は大気下で行うことが好ましく、空気を供給しながら行うことが特に好ましい。
空気の供給速度は、炉の内容積1Lあたり、10〜200mL/分が好ましく、40〜150mL/分がより好ましい。
焼成時に空気を供給することで、共沈化合物中の遷移金属元素(X)が充分に酸化され、結晶性が高く、かつ目的とする結晶相を有する正極活物質が得られる。
焼成温度は、500〜1000℃であり、600〜1000℃が好ましく、800〜950℃が特に好ましい。焼成温度が、前記範囲内であれば、結晶性の高い正極活物質が得られる。
焼成時間は、4〜40時間が好ましく、4〜20時間がより好ましい。
焼成は、500〜1000℃での1段焼成でもよく、400〜700℃の仮焼成を行った後に、700〜1000℃で本焼成を行う2段焼成でもよい。なかでも、Liが正極活物質中に均一に拡散しやすいことから2段焼成が好ましい。
2段焼成の場合の仮焼成の温度は、400〜700℃が好ましく、500〜650℃がより好ましい。また、2段焼成の場合の本焼成の温度は、700〜1000℃が好ましく、800〜950℃がより好ましい。
[正極活物質]
本発明の製造方法により製造される正極活物質は粒子状である。正極活物質の粒子形状は、特に限定されず、例えば、球状、針状、板状等が挙げられる。なかでも、正極の製造時に正極活物質の充填性が高くなることから、正極活物質の粒子形状は球状がより好ましい。
本発明の製造方法により得られる正極活物質の粒子径(D50)は、4〜20μmが好ましく、5〜18μmがより好ましく、6〜15μmが特に好ましい。前記粒子径(D50)が前記範囲内であれば、高い放電容量が得られる。
粒子径(D50)は、実施例に記載の方法で測定される。
正極活物質は、粒子径(D50)が10〜500nmの一次粒子が凝集した二次粒子であることが好ましい。これにより、リチウムイオン二次電池を製造したときに、電解液が正極における正極活物質間に充分に行き渡りやすくなる。
正極活物質の比表面積は、0.1〜15m/gが好ましく、2〜10m/gがより好ましく、4〜8m/gが特に好ましい。比表面積が下限値以上であれば、高い放電容量が得られる。前記比表面積が上限値以下であれば、優れたサイクル特性が得られる。
前記比表面積は、実施例に記載の方法で測定される。
本発明における正極活物質としては、下式(1)で表される化合物(1)が好ましい。
Li1+aNiCoMnAl2+f ・・・(1)
ただし、前記式(1)中、a〜eはそれぞれ0.1≦a≦0.6、0.095≦b≦0.5、0≦c≦0.3、0.28≦d≦0.85、0.9≦b+c+d≦1.05、0.0001≦e≦0.05であり、fはLi、Ni、Co、MnおよびAlの価数によって決定される数値である。
化合物(1)のaは、初期放電容量および初期放電電圧が高い正極活物質となることから、0.1≦a≦0.4がより好ましい。
化合物(1)のbは、aと同様の理由で、0.142≦b≦0.45がより好ましく、0.19≦b≦0.4が特に好ましい。
化合物(1)のcは、aと同様の理由で、0≦c≦0.2がより好ましく、0≦c≦0.15が特に好ましい。
化合物(1)のdは、aと同様の理由で、0.38≦d≦0.85がより好ましく、0.38≦d≦0.7が特に好ましい。
化合物(1)のeは、初期放電容量とサイクル特性を両立できることから、0.001≦e≦0.05がより好ましく、0.001≦e≦0.02が特に好ましい。
以上説明した本発明の正極活物質の製造方法によれば、特許文献2のような、リチウム遷移金属複合酸化物の表面にフッ化アルミニウムをコーティングする方法に比べて、工程数の少ない簡便な方法で優れたサイクル特性を有する正極活物質を製造できる。
本発明の製造方法で得られる正極活物質は、リチウムイオン二次電池におけるリチウムイオン二次電池用正極の形成に使用できる。本発明の製造方法で得られる正極活物質を使用するリチウムイオン二次電池およびリチウムイオン二次電池用正極は、本発明の製造方法で得られる正極活物質を使用する以外は、公知の形態を制限なく採用できる。
リチウムイオン二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池用正極と、負極と、非水電解質とを有するものが挙げられる。リチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されず、コイン型、シート状(フィルム状)、折り畳み状、巻回型有底円筒型、ボタン型等の形状を、用途に応じて適宜選択できる。
リチウムイオン二次電池用正極は、例えば、正極集電体と、該正極集電体上に設けられた正極活物質層と、を有するものが挙げられる。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム箔、ステンレス鋼箔等が挙げられる。
正極活物質層は、前記した本発明の製造方法で得られた正極活物質と、導電材と、バインダと、を含む層である。さらに、必要に応じて増粘剤等の他の成分が含まれていてもよい。
導電材としては、例えば、アセチレンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。導電材は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
バインダとしては、例えば、フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等。)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等。)、不飽和結合を有する重合体(スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等。)、アクリル酸系重合体(アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体等。)等が挙げられる。バインダは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
正極活物質は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、例えば、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。増粘剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
リチウムイオン二次電池用正極の製造方法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。正極活物質、導電材およびバインダを、媒体に溶解もしくは分散させてスラリを得るか、または正極活物質、導電材およびバインダを、媒体と混錬して混錬物を得る。次いで、得られたスラリまたは混錬物を正極集電体上に塗工すること等によって正極活物質層を形成させる。
負極は、負極集電体上に、負極活物質を含む負極活物質層が形成されてなる。
負極集電体としては、例えばニッケル箔、銅箔等の金属箔が挙げられる。
負極活物質としては、比較的低い電位でリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料であればよく、例えば、リチウム金属、リチウム合金、炭素材料、周期表14、15族の金属を主体とする酸化物、炭素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、炭化ホウ素化合物等が挙げられる。また、負極活物質としては、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化スズ等の酸化物およびその他の窒化物等を使用してもよい。
負極活物質の炭素材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等。)、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物(フェノール樹脂、フラン樹脂等。)を適当な温度で焼成して炭素化した有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック類等が挙げられる。
周期表14族の金属としては、例えば、Si、Sn等が挙げられる。なかでも、周期表14族の金属としては、Siが好ましい。
負極は、例えば、負極活物質を有機溶媒と混合することによってスラリを調製し、調製したスラリを負極集電体に塗布、乾燥、プレスすることによって得られる。
非水電解質としては、例えば、有機溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液、電解質塩を含有させた固体電解質、高分子電解質、高分子化合物等に電解質塩を混合または溶解させた固体状もしくはゲル状電解質等が挙げられる。
有機溶媒としては、非水電解液用の有機溶媒として公知のものを採用でき、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられる。なかでも、電圧安定性の点からは、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類が好ましい。有機溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
固体電解質としては、リチウムイオン伝導性を有する材料であればよく、無機固体電解質および高分子固体電解質のいずれを使用してもよい。
無機固体電解質としては、例えば、窒化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。
高分子固体電解質としては、電解質塩と該電解質塩を溶解する高分子化合物を含む電解質が挙げられる。電解質塩を溶解する高分子化合物としては、エーテル系高分子化合物(ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(エチレンオキサイド)の架橋体等。)、ポリ(メタクリレート)エステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物等が挙げられる。
ゲル状電解質のマトリックスとしては、前記非水電解液を吸収してゲル化するものであればよく、種々の高分子化合物を使用できる。前記高分子化合物としては、例えば、フッ素系高分子化合物(ポリ(ビニリデンフルオロライド)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)等。)、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルの共重合体、エーテル系高分子化合物(ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドの共重合体、ならびに該共重合体の架橋体等。)等が挙げられる。前記共重合体としてポリエチレンオキサイドに共重合させるモノマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。
ゲル状電解質のマトリックスとしては、酸化還元反応に対する安定性の点から、前記高分子化合物のうち、特にフッ素系高分子化合物が好ましい。
電解質塩は、リチウムイオン二次電池に使用されている公知のものが使用でき、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、CFSOLi等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。例1、2、4、5が実施例、例3、6が比較例である。
[粒子径(D50)]
共沈化合物および正極活物質を水中に超音波処理によって充分に分散させ、日機装社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名;MT−3300EX)により測定を行い、頻度分布および累積体積分布曲線を得ることで体積基準の粒度分布を得た。得られた累積体積分布曲線における50%となる点の粒子径を粒子径(D50)とした。また、得られた累積体積分布曲線において、10%となる点の粒子径である粒子径(D10)と、90%となる点の粒子径である粒子径(D90)も算出した。
[比表面積]
共沈化合物および正極活物質の比表面積は、マウンテック社製比表面積測定装置(装置名;HM model−1208)によりBET(Brunauer,Emmett,Teller)法を用いて測定した。
[組成分析(Ni、Co、Mn、Al)]
共沈化合物の組成分析は、プラズマ発光分析装置(SIIナノテクノロジー社製、型式名:SPS3100H)により行った。
[サイクル特性の評価]
(正極体シートの製造)
各例で得られた正極活物質と、導電材であるアセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデン(バインダ)とを、質量比が80:10:10でN−メチルピロリドンに加え、スラリを調製した。
次いで、該スラリを、厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)の片面上にドクターブレードにより塗工し、120℃で乾燥した後、ロールプレス圧延を2回行い、正極体シートを作製した。
(リチウムイオン二次電池の製造)
得られた正極体シートを直径18mmの円形に打ち抜いたものを正極とし、ステンレス鋼製簡易密閉セル型のリチウムイオン二次電池をアルゴングローブボックス内で組み立てた。なお、負極集電体として厚さ1mmのステンレス鋼板を使用し、該負極集電体上に厚さ500μmの金属リチウム箔を形成して負極とした。セパレータには厚さ25μmの多孔質ポリプロピレンを用いた。また、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の質量比1:1の混合溶媒に、濃度が1mol/dmとなるようにLiPFを溶解させた液を電解液として使用した。
(放電容量維持率の測定)
得られたリチウムイオン二次電池を、充放電評価装置(東洋システム社製、装置名:TOSCAT−3000)に接続し、活物質1g当たり0.1Cの負荷電流で4.6Vまで充電し、活物質1g当たり0.1Cの負荷電流にて2Vまで放電して活性化処理を行った。その後、活物質1g当たり1Cの負荷電流で4.5Vまで充電し、活物質1g当たり1Cの負荷電流で2Vまで放電する充放電サイクルを100回繰り返した。なお、1Cとは、正極の理論容量を1時間で放電できる電流量を意味する。
活性化処理時の充電容量、放電容量および平均放電電圧を、それぞれ初期の充電容量、放電容量および平均放電電圧とした。また、3サイクル目の放電容量に対する、100サイクル目の放電容量の割合を放電容量維持率とした。
[例1]
工程(I):
硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸コバルト(II)・七水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物および硫酸アルミニウム(III)・十四〜十八水和物を、Ni、Co、MnおよびAlのモル比が表1に示すとおりになるように、かつ硫酸塩の合計量が1.5mol/kgとなるように蒸留水に溶解させて、硫酸塩水溶液を2kg調製した。また、炭酸ナトリウム381.2gを蒸留水2018.8gに溶解させ、2.4kgの炭酸塩水溶液(pH調整液)を調製した。
次いで、2Lのバッフル付きガラス製反応槽に蒸留水を入れ、マントルヒータで50℃に加熱し、パドル型の撹拌翼で撹拌しながら、前記硫酸塩水溶液を5.0g/分の速度で6時間添加し、Ni、Co、MnおよびAlを含む共沈化合物を析出させた。なお、前記硫酸塩水溶液の添加中は、反応槽内のpHを8.0に保つように炭酸塩水溶液(pH調整液)を添加して混合した。また、析出反応中は、反応槽内の液量が2Lを超えないように、ろ布を用いて連続的に液の抜き出しを行った。
得られた共沈化合物から不純物イオンを取り除くために、遠心分離と蒸留水への分散を繰り返し、共沈化合物の洗浄を行った。上澄液の電気伝導度が20mS/mとなった時点で洗浄を終了し、120℃で15時間乾燥させて共沈化合物を得た。得られた共沈化合物におけるNi、Co、MnおよびAlの組成分析結果を表1に示す。
工程(II):
前記共沈化合物に含まれる遷移金属元素(X)の合計モル数に対する、炭酸リチウムに含まれるLiのモル数の比が1.28になるように、前記共沈化合物18gと炭酸リチウム7.31gとを混合した。さらに、電気炉(FO510、ヤマト科学社製)を用いて、炉の内容積1Lあたり大気を133mL/分でフローしながら、600℃で5時間仮焼成し、ついで850℃で16時間本焼成して正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粒子径(D10、D50、D90)と比表面積を表1に示す。
[例2]
工程(II)において、共沈化合物に含まれる遷移金属元素(X)の合計モル数に対する、炭酸リチウムに含まれるLiのモル数の比を表1に示すように変更した以外は、例1と同様にして正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粒子径(D10、D50、D90)と比表面積を表1に示す。
[例3]
工程(I)において、硫酸アルミニウム(III)・十四〜十八水和物を使用せず、硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸コバルト(II)・七水和物、および硫酸マンガン(II)・五水和物の仕込み量を、Ni、CoおよびMnのモル比が表1に示すとおりとなるように変更した以外は、例1と同様にして正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粒子径(D10、D50、D90)と比表面積を表1に示す。
[例4]
工程(I)において、硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸コバルト(II)・七水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物および硫酸アルミニウム(III)・十四〜十八水和物を、Ni、Co、MnおよびAlのモル比が表1に示すとおりになるようにする以外は、例1と同様にして、共沈化合物を得た。
工程(II)において、前記共沈化合物に含まれる遷移金属元素(X)の合計モル数に対する、炭酸リチウムに含まれるLiのモル数の比を1.13に変更した以外は、例1と同様にして正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粒子径(D10、D50、D90)と比表面積を表1に示す。
[例5]
工程(II)において、前記共沈化合物に含まれる遷移金属元素(X)の合計モル数に対する、炭酸リチウムに含まれるLiのモル数の比を1.15に変更した以外は、例4と同様にして正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粒子径(D10、D50、D90)と比表面積を表1に示す。
[例6]
工程(I)において、硫酸アルミニウム(III)・十四〜十八水和物を使用せず、硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸コバルト(II)・七水和物、および硫酸マンガン(II)・五水和物の仕込み量を、Ni、CoおよびMnのモル比が表1に示すとおりとなるように変更した以外は、例5と同様にして正極活物質を得た。
得られた正極活物質の粒子径(D10、D50、D90)と比表面積を表1に示す。
表1における「Li/X」は、工程(II)における、共沈化合物に含まれる遷移金属元素(X)の合計モル数に対する、炭酸リチウムに含まれるLiのモル数の比(mol倍)を意味する。また、リチウムイオン二次電池の初期特性における「効率」は、初期の充電容量に対する放電容量の割合である。
Figure 0006259771
表1に示すように、例1、2、4、5のリチウムイオン二次電池は、例3、6のリチウムイオン二次電池と比較して放電容量維持率が高く、サイクル特性に優れていた。
本発明によれば、工程数の少ない簡便な方法でサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池用の正極活物質が得られる。該正極活物質は、携帯電話等の電子機器、車載用の小型・軽量なリチウムイオン二次電池に用いるリチウムイオン二次電池用正極の形成に好適に利用できる。
なお、2012年10月29日に出願された日本特許出願2012−238275号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (8)

  1. 下記の工程(I)および工程(II)を有することを特徴とする正極活物質の製造方法。
    (I)Niの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の硫酸塩(A)と、
    Alの硫酸塩と、
    炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭酸塩(B)とを、
    水溶液の状態で混合して、Ni、CoおよびMnからなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素(X)とAlとを含み、粒子径(D50)が4〜20μmであり、比表面積が50〜300m /gである共沈化合物を得る工程。
    (II)前記共沈化合物と炭酸リチウムとを混合し、500〜1000℃で焼成する工程。
  2. 前記工程(I)において、硫酸塩(A)と、Alの硫酸塩と、炭酸塩(B)とを混合する際の混合液のpHが7〜12である、請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
  3. 前記工程(I)において、共沈化合物に含まれるAlの割合が、前記遷移金属元素(X)のモル数およびAlのモル数の合計モル数に対して、0.01〜5mol%である、請求項1または2に記載の正極活物質の製造方法。
  4. 前記工程(I)において、硫酸塩(A)の水溶液中における遷移金属元素(X)の濃度が、0.1〜3mol/kgである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
  5. 前記工程(I)において、Alの硫酸塩の水溶液中におけるAlの濃度が、0.001〜0.15mol/kgである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
  6. 前記工程(I)において、炭酸塩(B)の水溶液中における炭酸塩(B)の濃度が、0.1〜2mol/kgである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
  7. 前記工程(II)において、炭酸リチウムに含まれるLiのモル数が、前記遷移金属元素(X)の合計モル数に対して、1.1倍以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
  8. 得られる正極活物質が下式(1)で表される化合物(1)である、請求項1〜のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。
    Li1+aNiCoMnAl2+f ・・・(1)
    (ただし、前記式(1)中、a〜eはそれぞれ0.1≦a≦0.6、0.095≦b≦0.5、0≦c≦0.3、0.28≦d≦0.85、0.9≦b+c+d≦1.05、0.0001≦e≦0.05である。fはLi、Ni、Co、MnおよびAlの価数によって決定される数値である。)
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