JP6258122B2 - 基板液処理装置、基板液処理方法及び記憶媒体 - Google Patents

基板液処理装置、基板液処理方法及び記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は、基板の上面に処理液を液盛りした状態で基板を回転させることにより基板に所定の液処理を施す技術に関する。
半導体装置の製造においては、半導体ウエハ等の基板にウエットエッチング、洗浄等のさまざまな液処理が施される。このような液処理は、最近では、枚葉式の基板液処理装置により実行されることが多い。枚葉式の基板液処理装置は、例えば、基板を水平姿勢に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持された基板に処理液を供給するノズルとを有している。
通常は、スピンチャックにより回転する基板にノズルから処理液が供給され、処理液は遠心力により基板の周縁に向けて広がり、基板の表面は基板の周縁に向けて流れる処理液の液膜で覆われ、これにより基板表面が処理液により均一に処理される。この処理の最中、処理液は基板の周縁から外方に飛散する。
処理液が高価な薬液である場合等、処理液の消費量を特に削減したい要求がある場合には、基板を回転させないかあるいは10rpm程度の極低速で回転させた状態で基板表面に処理液を液盛りして処理を行ういわゆるパドル式の液処理が行われる(例えば特許文献1を参照)。しかし、基板の回転を停止させると、基板表面で処理液が滞留するので、処理の進行が遅れること、また、処理の均一性が劣ることという問題が生じる。基板を比較的高速で回転させた場合には、上記の問題は解消ないし緩和されるが、処理液は基板の外方に飛散してしまうので、薬液の節約が実現できない。
特開2005−243813号公報
本発明は、少ない処理液の消費量で基板表面に液盛りすることができ、且つ基板表面に処理液の流れを形成することができる基板液処理装置を提供する。
好適な一実施形態において、本発明は、基板の下面の中心領域を吸着して保持する基板保持部と、前記基板保持部により保持された基板に処理液を供給する処理液供給部と、前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、前記基板保持部により保持された基板を囲むとともに、前記基板保持部により保持された基板に供給された処理液を貯留する貯留部を基板とともに形成する囲み部材と、を備えた基板液処理装置を提供する。前記囲み部材は、前記基板保持部により保持された基板の下面の周縁領域に隙間を空けて対面するリング状の底壁と、前記基板保持部により保持された基板の上面よりも高い高さ位置まで前記底壁から上方に延びて前記基板の周縁を半径方向外側から隙間を空けて囲むリング状の側壁とを有している。基板の上面上に処理液がある状態で基板を回転させたときに、基板の上面を外方に向かう処理液の流れを前記側壁により堰き止めるとともに、前記囲み部材の底壁とこれと対面する基板の下面との相対回転に起因して当該隙間の中の処理液に作用する力により、前記囲み部材の底壁とこれと対面する基板の下面との間の隙間に入り込んだ処理液が当該隙間から半径方向内側に流出することを阻止する。
他の好適な一実施形態において、本発明は、基板の下面の中心領域を吸着して保持する基板保持部と、前記基板保持部により保持された基板に処理液を供給する処理液供給部と、前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、前記基板保持部により保持された基板を囲むとともに、前記基板保持部により保持された基板に供給された処理液を貯留する貯留部を基板とともに形成する囲み部材と、を備え、前記囲み部材がリング状の底壁と、前記底壁から上方に延びるリング状の側壁とを有している基板液処理装置を用いて基板に所定の液処理を施す基板液処理方法を提供する。この基板液処理方法は、前記基板保持部により基板を保持して回転させる工程と、前記底壁が前記基板の下面の周縁領域に隙間を空けて対面するとともに前記側壁の上端が前記基板の上面よりも高い高さ位置に位置するように前記囲み部材を配置する工程と、前記基板の上面に前記処理液供給部から前記処理液として薬液を供給し、その後に薬液の供給を停止し、これにより、前記基板と前記囲み部材により形成された貯留部に前記薬液を貯留する工程とを含む、薬液処理工程を備えている。前記薬液処理工程において、前記基板の上面を外方に向かう処理液の流れを前記側壁により堰き止めるとともに、前記囲み部材の底壁とこれと対面する基板の下面との相対回転に起因して当該隙間の中の処理液に作用する力により、前記囲み部材の底壁とこれと対面する基板の下面との間の隙間に入り込んだ処理液が当該隙間から半径方向内側に流出することを阻止しつつ、前記貯留部に貯留された前記薬液により前記基板の上面を覆った状態で前記基板の上面に薬液処理が施される。
さらに本発明は、上記の基板液処理方法を実施するためのプログラムが格納された記憶媒体を提供する。
本発明によれば、少ない処理液の消費量で基板表面に液盛りすることができ、且つ基板表面に処理液の流れを形成することができる。
本発明の一実施形態に係る基板処理システム(基板液処理装置)概略構成を示す平面図。 処理ユニットの構成を示す縦断面図。 処理ユニットの作用を説明するための図。 薬液処理時に薬液の一部を排出する手法を説明するための図。
以下に図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚のウエハWを水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウエハWを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウエハWの搬送を行う。
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウエハWを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウエハWの搬送を行う。
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウエハWに対して所定の基板処理を行う。
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウエハWを取り出し、取り出したウエハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウエハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
処理ユニット16へ搬入されたウエハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウエハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
次に、処理ユニット16の概略構成について図2を参照して説明する。図2は、処理ユニット16の概略構成を示す図である。
図2に示すように、処理ユニット16は、基板保持機構30、処理液供給部40、回収カップ50及びパドルリング60を備えている。
基板保持機構30は、基板保持部31と、支柱部32と、回転駆動部33とを備える。基板保持部31は、ウエハWの中心領域を吸引することによりウエハWを水平に保持するバキュームチャックとして構成されている。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が回転駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において基板保持部31を水平に支持する。回転駆動部33は、支柱部32を鉛直軸線まわりに回転させる。基板保持機構30は、回転駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された基板保持部31を回転させ、これにより、基板保持部31に保持されたウエハWを回転させる。
処理液供給部40は、処理液としての薬液を供給する薬液ノズル41と、処理液としてのリンス液を供給するリンスノズル42とを有している。薬液ノズル41及びリンスノズル42はノズルアーム43の先端部に取り付けられている。ノズルアーム43は基端部に設定された鉛直方向の旋回軸線周りに旋回可能である。ノズルアーム43を旋回させることにより、薬液ノズル41及びリンスノズル42を、基板保持機構30により保持された処理位置(図2に示すウエハWの上方、特にウエハ中心の上方の位置)と退避位置(ウエハWの上方から退避して回収カップ50の外側にある位置)との間で移動させることができる。
薬液ノズル41及びリンスノズル42には、それぞれ対応する処理液を供給する処理液供給機構(図示省略)が接続されている。各処理液供給機構は、処理液供給機構に接続された供給ラインと、当該供給ラインに介設された開閉弁、流量調整機構等の各種機器から構成される。
回収カップ50は、基板保持部31を取り囲むように配置され、基板保持部31の回転によってウエハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排出口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、カップ内の雰囲気とともに排出口51から処理ユニット16の外部へ排出される。
パドルリング60は、基板保持機構30の基板保持部31の周囲を囲む全体としてリングの囲み部材である。パドルリング60は、基板保持部31により保持されたウエハWの下面(裏面すなわちデバイス非形成面)の周縁部領域に対面するリング状の底壁61と、底壁61の周縁から上方に立ち上がるリング状の側壁62とを有している。底壁61の上面は水平面内に位置する。
側壁62の上部の内周面は、上方にゆくに従ってウエハWの中心に近づくように(半径方向内側に進むように)傾斜したリング状の傾斜面62aとなっている。この傾斜面62aは、後述の薬液処理時に、遠心力により半径方向外側に流れるウエハW上の処理液を、半径方向内向きに転向する返しの役割を果たす。
側壁62の下部の内周面は、下方にゆくに従ってウエハWの中心に近づくように(半径方向内側に進むように)傾斜したリング状の傾斜面62bとなっている。この傾斜面62bは、後述の薬液排出時に、ウエハWの上面及び側面上にある薬液のスムースな排出を促進する。また、処理ユニット16のメンテナンス時にパドルリング60の接液面の洗浄も容易になる。
パドルリング60は、エアシリンダ、ボールねじ等のリニアアクチュエータからなる昇降機構63により、図2に示したパドル処理位置と、後述する下降位置との間で昇降することができる。図示例では、パドルリング60の下面が、昇降機構63の昇降ロッド64に連結されているが、この構成に限定されるものではない。
なお、後述の説明より理解できるように、パドル処理時には、ウエハWの下面とパドルリング60との隙間G(図3を参照)をウエハW全周にわたって比較的精確に調整することが求められる。このため、昇降機構63を円周方向に複数箇所設けることも好ましい。
処理ユニット16にはさらに、前述した基板搬送装置17の基板保持機構と基板保持機構30の基板保持部31との間でウエハWの受け渡しを可能とする基板昇降機構70を有している。基板昇降機構70は、ウエハWの下面を支持する複数例えば3本の(2本のみ図示した)リフトピン71と、リフトピン71の下端を支持するプレート72と、プレート72を昇降させるエアシリンダ等のリニアアクチュエータ73とを有する。
基板保持部31とパドルリング60との間の半径方向位置において、回収カップ50の底壁から、リング状の遮蔽壁52が上方に延びている。遮蔽壁52の先端(上端)は、基板保持部31により保持されたウエハWの下面に対して狭隘隙間(例えば1mm程度)を空けて近接し、例えば後述の薬液排出時に処理液が基板保持部31の上面(吸着面)に侵入しようとしたとしても、それを阻止する。遮蔽壁52は、基板昇降機構70、並びに基板保持機構30の支柱部32及び回転駆動部33を処理液から保護する役割も持つ。
次に、処理ユニット16で行われる液処理について図3も参照して説明する。
[ウエハ搬入]
まず、ウエハWを保持した基板搬送装置17(図1参照)の基板保持機構が処理ユニット16内に侵入し、上昇位置にある基板昇降機構70のリフトピン71上にウエハWを置き、処理ユニット16内から退出する。ウエハWを支持するリフトピン71が下降して、基板保持機構30の基板保持部31上にウエハWを置く。基板保持部31がウエハWを吸着保持すると、リフトピン71がさらに下降する。また、昇降機構63により、パドルリング60がパドル処理位置に上昇する。この時の状態が、図2及び図3(a)に示されている。
[薬液処理(パドル処理)]
この状態で、基板保持機構30の回転駆動部33を動作させてウエハWを鉛直軸線周りに回転させる。ウエハWの回転速度は例えば30〜100rpm(回転/毎分)である。このとき、パドルリング60は静止状態にある。その後、薬液ノズル41からウエハWの上面(表面すなわちデバイス形成面)の中心部に薬液(CHM)を供給する。予め定められている量の薬液が供給されたら薬液ノズル41からの薬液の供給を停止する。
薬液は遠心力によりウエハW周縁まで広がる。薬液は、主として当該薬液に作用する重力により、ウエハWとパドルリング60との間の隙間に入り込み、パドルリング60の底壁61の上面とウエハWの下面との間の隙間G(図3(a)を参照)を通過しようとする。しかし、ウエハWが回転しているため、隙間Gに入り混んだ薬液は回転するウエハWの下面に引きずられて旋回流を形成する。この旋回流に作用する遠心力と、隙間G内に入り混んだ薬液が隙間G内を半径方向内側に流れようとする駆動力(主として薬液の位置水頭に依存する)とが相殺され、隙間Gに入り混んだ薬液の先端は、所定の半径方向位置(図3(a)ではウエハW回転中心から半径方向距離Rの位置)より半径方向内側には進まなくなる。
この現象が生じるか否かは、薬液の総供給量、ウエハ回転速度及び隙間Gのサイズなどに依存する。一例として、ウエハWが12インチウエハであり、ウエハWの上面上に2〜4mmの液膜が形成され、かつ、ウエハWの回転速度が30〜100rpmであるなら、隙間Gのサイズ(パドルリング60の底壁61の上面とウエハWの下面との間の鉛直方向距離)は例えば1〜2mmの範囲に設定すれば上記の状態を実現することができる。適切な隙間Gのサイズは実験により容易に決定することができる。
上記のようにパドルリング60の底壁61の上面とウエハWの下面との間に隙間Gがあるにも関わらずこの隙間Gから薬液が漏出しないので、パドルリング60は、供給された薬液の液だまりをウエハWの上面に形成する薬液の貯留槽として機能する。貯留された薬液はウエハWの上面の全体を覆う。
貯留された薬液は、回転するウエハWの上面に引きずられて旋回流を形成し、遠心力により半径方向外側に流れる。この流れは、ウエハWの回転数が適正であれば、堰としての役割を果たすパドルリング60の側壁62に堰き止められ、パドルリング60を乗り越えて回収カップ50内に落ちることはない。また、側壁62の上部設けた傾斜面62aが、側壁62に衝突する薬液の流れが側壁62を乗り越えることを効果的に防止する。
なお、薬液に作用する遠心力の影響で、ウエハW周縁部における薬液の液位はウエハW中央部よりも高くなるため、このことを考慮して、処理に適用されるウエハW回転数において薬液が側壁62を乗り越えることがないように、側壁62の高さを設定する必要がある。側壁62の高さが十分に高いならば、返しとしての傾斜面62aを設けなくてもよい。
上述のように、ウエハWの上面を覆う薬液は旋回流を形成するので、ウエハの上面(反応面)の近傍に反応済みの薬液及び反応生成物が滞留することはなく、従前のウエハWを回転させずに行うパドル処理(あるいは極低速回転で行われるパドル処理)と比較して、処理の面内均一性及び処理速度を大幅に向上させることができる。しかも、従前のパドル処理と同様に、薬液の使用量を削減することができる。
[薬液排出]
所定時間上記の処理を実行した後、ウエハWの回転を継続しながら、図3(b)に示すように、パドルリング60を下降させ、隙間Gを広げる。このとき、図3(c)に示す位置までパドルリング60を下降させても構わない。隙間Gが広がると、図3(b)中において矢印Fで示すように、ウエハW上面上にあった薬液の大部分が隙間Gから流出し、回収カップ50内に落ちる。このとき、前述したように、遮蔽壁52が、流出した薬液が、基板保持部31等の薬液に触れさせたくない部位に流入することを防止する。
[リンス処理]
パドルリング60の下降とほぼ同時に(パドルリング60の下降前または下降後であってもよい)、リンスノズル42からウエハWの上面の中心部にリンス液、具体的には例えば純水(DIW)を供給するとともに、ウエハWの回転数を増大させる。すると、ウエハの中心部に供給されたリンス液は、遠心力により半径方向外側に流れる。このリンス液の流れにより、ウエハW上面に残留する薬液が洗い流される。そして、リンス液及びこれに随伴する薬液はウエハW周縁からウエハ外方に飛散し、回収カップ50に回収される。このとき、図3(c)に示すように、パドルリング60の側壁62の上端の高さをウエハWの下面よりも低くすれば、パドルリング60がリンス液の飛散を妨害することはない。またこのとき、上記に代えて、図3(b)に示すように、パドルリング60の側壁62の上端の高さをウエハWの上面よりも高くすれば、遠心力によりウエハWから外方に飛散するリンス液が、パドルリング60の側壁62に受け止められた後に、側壁62の内周面及び底壁61の上面に沿って流れるため、パドルリング60に付着した薬液を洗い流すことができる。リンス処理を行うにあたっては、まずパドルリング60とウエハWとの位置関係を図3(b)に示す状態に所定時間維持し、その後、パドルリング60とウエハWとの位置関係を図3(c)に示す状態に所定時間維持してもよい。
[乾燥]
リンス処理を所定時間行った後、図3(c)に示すようにパドルリング60を下降させた状態で、ウエハの回転を継続しながら(好ましくはさらにウエハの回転を増大させ)、リンスノズル42からの純水の供給を停止して、ウエハWの振り切り乾燥を行う。以上により一枚のウエハWに対する一連の処理が終了する。
[ウエハ搬出]
ウエハWの処理が終了したら、ウエハWの搬入時と逆の手順で、処理ユニット16からウエハを搬出する。
上記の実施形態によれば、ウエハWを回転させつつ、ウエハWの上面に液盛りをした状態での基板の上面の処理が可能となる。このため、少ない薬液の消費量でウエハW表面に液盛りすることができ、且つウエハW表面に薬液の流れを形成することができる。
また、上記の実施形態によれば、パドルリング60の底壁61が、ウエハWの下面の周縁部のみに対面するリング状となっているため、ウエハWの下面の少なくとも中間領域(基板保持部31に対面する領域と底壁61に対面する領域の間の領域)が薬液に曝されない。このため、薬液処理後にウエハWの下面全域のリンスを行う必要が無い。
また、上記の実施形態によれば、パドルリング60を回転させないため、回転体の総質量(この場合、ウエハW、ウエハ上の液及び基板保持部31の質量)が低減され、回転体を駆動する駆動部の負担を低減することができる。また、通常の貯留槽(例えば有底で上端が開放された薄い円筒形の槽)内に貯留した液にウエハの全体を浸漬した状態で貯留槽ごとウエハを回転させる場合と比較して、貯留される液が少ないので回転体の総質量が大幅に低減され、回転体を駆動する駆動部の負担を大幅に低減することができ、さらには、回転する液の量(すなわち遠心力を受ける液の量)が大幅に低減されるため、遠心力により貯留槽から液が飛び出す可能性が大幅に低減され、このため、ウエハの回転数を高めることができる。
また、上記の実施形態によれば、パドルリング60とウエハWとの相対的な上下方向の位置調整を行うことができるので、様々な状態を実現することができる。具体的には、例えば、パドルリング60を大きく下降させることにより、パドル処理に用いた薬液を急速に排液することができる(薬液排出を参照)。また、例えば、パドルリング60を通常のパドル処理位置(図3(a)に示す位置)よりもやや低くすることにより、隙間Gから所望量の液を排出することができ、前述したように薬液の一部入れ替え及びウエハW下面周縁部のリンスなどを行うことができる。
なお、上記の実施形態では、パドルリング60がウエハWとの間の隙間Gを適切な値に設定してウエハWを適切な速度で回転させれば、上述した原理により、パドルリング60がウエハWに接触していなくてもパドルリング60とウエハWとの間のから薬液が漏出しないという現象を利用している。ウエハW上面上の薬液を流動させるためにはウエハWを回転させる必要がある。もし、パドルリング60がウエハWに接触していなければ薬液が漏出してしまうのであれば、パドルリング60はウエハWの損傷を防止するためにウエハWと同速で回転していなければならない。それを可能とするためには、パドルリング60を基板保持部31と相対回転不能に結合するか、あるいは、(あまり現実的ではないが)回転駆動部33とを別の回転駆動手段によりパドルリング60を基板保持部31と等速で回転させる必要がある。パドルリング60を基板保持部31と相対回転不能に結合した場合には、パドルリング60とウエハWとを相対的に上下動させる構成を組み込むことがかなり困難になり、仮に組み込むことができたとしても、相対的上下動の量を微調整することはさらに困難である(あるいは許容し難い装置のコストアップが生じる)。上記の実施形態では、パドルリング60がウエハWとの間に隙間Gを設けつつパドル処理を行うことを可能とする構成を採用することにより、隙間Gの微調整ないし変更により処理ユニット16の多種多様な運用を可能としているのである。
なお、上記実施形態においては、上記の薬液処理の際、ウエハWの下面の周縁部に若干薬液が回り込むことになるが、この薬液をリンス液で洗い流す手法としては以下のようなことが考えられる。
第1の手法は、図3(c)に破線で示すように、パドルリング60を下降させたときにウエハWの下面の周縁部に向けてリンス液を噴射することができる下面周縁リンスノズル80を回収カップ50内に設けることである。
第2の手法は、追加的構成要素を設けずに、装置の運用で実施する。すなわち、ウエハWとパドルリング60を図3(a)に示すような状態にして、隙間Gのサイズをやや大きめにセットする。この状態で、ウエハWを回転させながらリンスノズル42からリンス液をウエハWに継続的に供給する。すると、ウエハWの上面に供給されたリンス液が隙間Gを通ってリンス液が流出し続ける状態となる。これにより、ウエハWの下面の周縁部をリンス液で洗浄することができる。また、パドルリング60の側壁62の内周面及び底壁61の上面も同時に洗浄することができる。
上記の第2の手法は、薬液処理にも応用することができる。すなわち、まず、前述した薬液処理と同じ手順で薬液処理を行い、その途中で、隙間Gをやや広げ、ウエハWの上面上に貯留されている薬液の一部を隙間Gから排出し(図4(a)に示す状態とする)、その後、隙間Gの大きさを元に戻す(図3(a)に示す状態とする)。隙間Gから排出した分の薬液は、薬液ノズル41からウエハW上に補充する。このようにすることにより、劣化度合いの少ない薬液により処理を行うことができる。
隙間Gの大きさを薬液処理中に常時大きめに維持し、図4(a)に示すように隙間Gからの薬液を連続的に排出しながら、薬液処理を行うこともできる。この場合も、隙間Gから排出した分の薬液は、薬液ノズル41からウエハW上に補充する。但し、この場合、隙間Gからの薬液の排出流量を大きくしすぎると省薬液効果が損なわれため、隙間Gのサイズの拡大は、図3(a)に示す状態よりもわずかに大きい程度にとどめることが好ましい。
また、図4(b)に示すように、パドルリング60の側壁62の上端から薬液をオーバーフローさせることによっても、パドルリング60とウエハWにより形成される貯留槽に貯留された薬液の一部を排出することができる。また、図4(c)に示すように、パドルリング60の側壁62に液抜き穴62cを設け、この液抜き穴62cから薬液を排出することによっても、パドルリング60とウエハWにより形成される貯留槽に貯留された薬液の一部を排出することができる。図4(b)及び図4(c)に示す手法を採用する場合には、薬液の排出量を制御するために隙間Gを変化させる必要はなく、薬液ノズル41から一時的に薬液をウエハWに供給すればよい。この場合、薬液ノズル41から供給した量に相応する量の薬液がパドルリング60とウエハWにより形成される貯留槽から排出されることになる。
なお、上記の実施形態に対して以下のような変更が考えられる。
上記実施形態においては、薬液ノズル41はウエハWの中心の真上に位置してウエハWの中心に薬液を供給しているが、これには限定されない。パドル処理の際には、ウエハWの上面に対してであれば、任意の場所に薬液を供給してもよい。
上記実施形態においては、パドルリング60を昇降させることにより隙間Gの大きさすなわちパドルリング60の底壁61とウエハWとの相対的上下方向位置を変更したが、これに限定されるものではなく、基板保持部31を昇降させることにより相対的上下方向位置の変更を行ってもよい。なお、基板保持部31を昇降可能に構成するならば、基板昇降機構70を省略することもできる。
上記実施形態においては、処理対象の基板は半導体ウエハであったが、これに限定されるものではなく、ガラス基板、セラミック基板等の他の種類の基板であってもよい。
W 基板(ウエハ)
31 基板保持部
33 回転駆動部
40 処理液供給部
52 遮蔽壁
60 囲み部材(パドルリング)
61 底壁
62 側壁
63 昇降機構(相対的上下方向位置変更機構)
隙間
CHM 処理液(薬液)

Claims (9)

  1. 基板の下面の中心領域を吸着して保持する基板保持部と、
    前記基板保持部により保持された基板に処理液を供給する処理液供給部と、
    前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、
    前記基板保持部により保持された基板を囲むとともに、前記基板保持部により保持された基板に供給された処理液を貯留する貯留部を基板とともに形成する囲み部材と、
    を備え、
    前記囲み部材は、前記基板保持部により保持された基板の下面の周縁領域に隙間を空けて対面するリング状の底壁と、前記基板保持部により保持された基板の上面よりも高い高さ位置まで前記底壁から上方に延びて前記基板の周縁を半径方向外側から隙間を空けて囲むリング状の側壁とを有し、
    前記貯留部は、前記基板の上面を外方に向かう処理液の流れを前記側壁により堰き止めるとともに、前記囲み部材の底壁とこれと対面する基板の下面との相対回転に起因して当該隙間の中の処理液に作用する力により、前記囲み部材の底壁とこれと対面する基板の下面との間の隙間に入り込んだ処理液が当該隙間から半径方向内側に流出することを阻止することにより形成される
    ことを特徴とする基板液処理装置。
  2. 前記基板保持部により保持された基板と、前記囲み部材との間の相対的上下方向位置を変更する相対的上下方向位置変更機構をさらに備えた、請求項1記載の基板液処理装置。
  3. 前記相対的上下方向位置変更機構は、前記囲み部材を昇降させる昇降機構を備える、請求項2記載の基板液処理装置。
  4. 前記囲み部材の前記底壁の内周縁と前記基板保持部との間に、前記底壁側から前記基板保持部側への処理液の浸入を防止するリング状の遮蔽壁をさらに備えた、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の基板液処理装置。
  5. 基板の下面の中心領域を吸着して保持する基板保持部と、前記基板保持部により保持された基板に処理液を供給する処理液供給部と、前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、前記基板保持部により保持された基板を囲むとともに、前記基板保持部により保持された基板に供給された処理液を貯留する貯留部を基板とともに形成する囲み部材と、を備え、前記囲み部材がリング状の底壁と、前記底壁から上方に延びるリング状の側壁とを有している基板液処理装置を用いて基板に所定の液処理を施す基板液処理方法において、
    前記基板保持部により基板を保持して回転させる工程と、前記底壁が前記基板の下面の周縁領域に隙間を空けて対面するとともに前記側壁の上端が前記基板の上面よりも高い高さ位置に位置するように前記囲み部材を配置する工程と、前記基板の上面に前記処理液供給部から前記処理液として薬液を供給し、その後に薬液の供給を停止し、これにより、前記基板と前記囲み部材により形成された貯留部に前記薬液を貯留する工程とを含む、薬液処理工程を備え、
    前記薬液処理工程において、前記基板の上面を外方に向かう処理液の流れを前記側壁により堰き止めるとともに、前記囲み部材の底壁とこれと対面する基板の下面との相対回転に起因して当該隙間の中の処理液に作用する力により、前記囲み部材の底壁とこれと対面する基板の下面との間の隙間に入り込んだ処理液が当該隙間から半径方向内側に流出することを阻止しつつ、前記貯留部に貯留された前記薬液により前記基板の上面を覆った状態で前記基板の上面に薬液処理が施される、基板液処理方法。
  6. 前記薬液処理工程の後に、前記囲み部材の前記底壁と前記基板との間の隙間を大きくして、前記貯留部に貯留された前記薬液を前記隙間を通して下方に排出する薬液排出工程をさらに備えた、請求項5記載の基板液処理方法。
  7. 前記薬液排出工程の後に、前記側壁の上端が前記基板の上面よりも高い高さ位置に位置するように前記囲み部材を配置し、この状態で前記基板を回転させながら前記処理液供給部により前記基板の上面にリンス液を供給するリンス工程とさらに備えた、請求項6記載の基板液処理方法。
  8. 前記薬液処理工程が、前記囲み部材の前記底壁と前記基板との間の隙間を大きくして、前記貯留部に貯留された前記薬液の一部を前記隙間を通して下方に排出するとともに、前記処理液供給部により前記基板の上面に前記薬液を補充する工程を含む、請求項5から7のうちのいずれか一項に記載の基板液処理方法。
  9. 基板の下面の中心領域を吸着して保持する基板保持部と、前記基板保持部により保持された基板に処理液を供給する処理液供給部と、前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、前記基板保持部により保持された基板を囲むとともに、前記基板保持部により保持された基板に供給された処理液を貯留する貯留部を基板とともに形成する囲み部材と、を備え、前記囲み部材がリング状の底壁と、前記底壁から上方に延びるリング状の側壁とを有している基板液処理装置において、当該基板処理装置の動作を制御するコンピュータからなる制御装置により実行可能なプログラムを記憶する記憶媒体であって、前記プログラムが前記コンピュータにより実行されると、前記制御装置が、前記基板処理装置に請求項5から8のうちのいずれか一項に記載の基板液処理方法を実行させることを特徴とする記憶媒体。
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