JP6257973B2 - 補助ブレーキおよびこの補助ブレーキを備えた車椅子 - Google Patents
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Description
ところで、車椅子では、利用者が座部に座ろうとしたとき、あるいは座部から立ち上がろうとしたときなどにタイヤが回転してしまうと、利用者が転倒してしまうなどの不都合が生じるおそれがある。このため、車椅子には、タイヤの回転を強制的に阻止する手動ブレーキが具備されている。
ところが、車椅子の利用者は、病人、高齢者などが多いために、手動ブレーキを掛け忘れたまま、次の動作に移ってしまうことがある。
しかしながら、ドラム式の補助ブレーキは大型であることから設置スペースの確保が困難であり、また重量増となり、さらにはコスト高になるという不具合があった。
車椅子本体の一部を構成する略L字状の一対のフレーム部に支持された座部から、利用者が立ち上がるときにタイヤに制動力を付与する補助ブレーキであって、
前記一対のフレーム部の垂直方向成分の下端部に、前記利用者の足を配置して支持するためのフットプレートを備え、
さらに前記一対のフレームの垂直方向成分の上端部間に、前記利用者が前記座部に座った場合のふくらはぎを保持するためのレッグベルトが差し渡されており、
前記座部の下面に接離自在に配置され、前記座部に利用者が座っている場合と前記座部に利用者が座っていない場合とにより、異なる方向に回動する揺動アーム部材と、
前記座部に利用者が座っていない場合の前記揺動アーム部材の姿勢に基いて前記タイヤの周面に食い込む姿勢となり、このときの姿勢により前記タイヤの回転を阻止するとともに、前記座部に利用者が座っている場合の前記揺動アーム部材の姿勢に基いて前記タイヤの周面から離反する姿勢となり、このときの姿勢により前記タイヤの回転を許容するカム部材と、
前記揺動アーム部材と前記カム部材との間を連結するワイヤー部材と、を備えており、
前記カム部材は、前記タイヤの回転が阻止されていない前記補助ブレーキの非制動状態においては、その先端部が、前記車椅子が前進する場合における前記タイヤの回転方向前方に向いた姿勢で前記タイヤの周面に配置され、
前記カム部材が前記タイヤに制動力を付与する場合には、当該カム部材の先端部が前記タイヤに対して食い込むように前記タイヤの周面に配置され、
前記利用者が前記座部に座って前記フットプレートに足を乗せた状態では、前記利用者のふくらはぎが前記レッグベルトに保持されているとともに、前記カム部材は、前記タイヤの回転を許容する姿勢にあり、
前記利用者が前記座部から立ち上がるために前記フットプレートから足を離してその足を地面に着き、上体を起こして前記足を垂直方向に伸ばし、前記座部から離れた状態では、前記座部と接する前記揺動アーム部材が回動し、前記揺動アーム部材から前記ワイヤー部材、および前記ワイヤー部材から前記カム部材に力が伝達され、この伝達された力により前記カム部材の姿勢が、前記タイヤの回転を阻止する姿勢に変換されるとともに、伸ばした前記足により前記レッグベルトが前記車椅子の前方側から後方側に向かって押され、前記レッグベルトを介して前記車椅子が後進する側に移動され、前記車椅子が後進する側にタイヤが回転することにより、前記タイヤにカム部材が確実に食い込むよう構成されていることを特徴としている。
このように、補助ブレーキに強制解除手段が接続された車椅子であれば、制動状態にある補助ブレーキを強制的に解除することができる。これにより、空の車椅子を他の場所に容易に移動させることが可能となる。
また、本発明に係る補助ブレーキによれば、利用者が座部から立ち上がろうとした場合に、利用者のふくらはぎからレッグベルトに作用する背面側への力を利用してカム部材を所望とするロックの姿勢に確実に変更することができるので、利用者が手動ブレーキを掛け忘れたまま立ち上がろうとした場合であっても、カム部材がタイヤに対してロックさせる姿勢に変換することができ、確実な制動力を得ることができる。
図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る補助ブレーキが具備された車椅子の斜視図である。
また、車椅子本体1aには、例えば、病人、高齢者、身体障害者などの利用者が座る布製の座部2と、移動手段として機能する後のタイヤ4と、進行方向を決定する前のタイヤ5とを有している。
このレッグベルト11は、座部2などと同じ材料で形成され、利用者が座部2に座った場合のふくらはぎを保持するものである。
後のタイヤ4は、ゴム製のチューブを支持する金属製のリム部4bと、金属製のスポーク部4cと、前進時などに手動で操作する環状のハンドリム部4dを有しており、このハンドリム部4dは、リム部4bに固定されている。
また、この車椅子1では、手動ブレーキ8の他に、補助ブレーキ10が具備されている。この補助ブレーキ10は、例えば、図2に示したように、利用者45が座部2から立ち上がろうとしたときに、自動的に後のタイヤ4に制動力を発揮させるブレーキである。この補助ブレーキ10の駆動により、仮に、利用者45が手動ブレーキ8を駆動させる操作を忘れたまま立ち上がろうとした場合であっても、車椅子1の不用意な前後方向への移動を防止することができる。
以下に、補助ブレーキ10の構成について説明する。
先ず、図3(A)、(B)および図4(A)、(B)を参照しながら、補助ブレーキ10の座面センサ部10Aおよび出力部10Bについて説明する。
なお、座面センサ部10Aが図3(A)の状態にあるとき、出力部10Bは図4(A)の状態にあり、座面センサ部10Aが図3(B)の状態にあるとき、出力部10Bは図4(B)の状態にある。
揺動アーム部材12の先端部には摩擦力を軽減するローラ18が設置されている。また、揺動アーム部材12には、図示しない付勢手段が具備されており、この付勢手段の付勢力により揺動アーム部材12は、回転軸15を支点として、常時、矢印F方向へ回動する力を受けている。
動力伝達部60は、座面センサ部10Aとカム部材14との間に介在される。
また、カム連結部材53には、軸52と反対側にボス59が立設され、このボス59は中間部材54の回動域内に配置されている。このため、ボス59は、中間部材54の一方の膨出部54aに対し係止可能にされている。
また、中間部材54の一方の膨出部54aは、軸64を支点として図5において反時計方向に回動する際に、カム連結部材53のボス59に当接する。
また、中間部材54には、図3(A)、(B)に示したワイヤー部材16の他端が連結されている。中間部材54は、軸64を介して箱体の外側にて、ワイヤー部材16と連結されている。中間部材54は、座面センサ部10Aからの動力がワイヤー部材16を介して伝達される部材であり、ワイヤー部材16からの動力により、回動される。
上記強制解除ペダル連結部材57は、箱体の外部に配置されている。
今、座部2に人が座っており、補助ブレーキ10は起動していない。すなわち、補助ブレーキ10はOFFの状態で、出力部10Bは図4(B)の状態にある。このとき、動力伝達部60では、図6に示すような状態にある。具体的には、利用者45が座部2に座っていることで、ワイヤー部材16は、上方(反矢印G方向)に引き上げられている。このとき、動力伝達部60では、ワイヤー部材16と連結された中間部材54が、図6中時計方向に回動するように動力が働いている。そして、中間部材54は、膨出部54aにて、カム連結部材53のボス59を押圧しカム連結部材53を図6において時計方向に回動させた状態にある。カム連結部材53と連動するカム部材14は、図6において時計方向に回動されており、すなわち、図4(B)に示したように後のタイヤ4から離間した状態にある。
このとき、カム部材14の後のタイヤ4への食い込み量は、引張りスプリング61により付与される回動力に応じて変化する。すなわち、引張りスプリング61の付勢力が弱いと、後のタイヤ4への食い込みが弱いこととなる。しかしながら、本発明の車椅子1においては、レッグベルト11が設けられており、このレッグベルト11が立ち上がろうとした利用者45のふくらはぎ51によってレッグベルト11を後方に押す力が加わる位置に配置されている。すなわち、図2に示すように、利用者45が立ち上がろうとして地面に足をつき、上体を起こし足を垂直方向に伸ばすと、その過程でレッグベルト11がふくらはぎ51と接触するように配置されている。これにより、利用者45が立ち上がり足を垂直に伸ばすと、ふくらはぎ51によりレッグベルト11を後方に押すこととなる。このレッグベルト11を後方に押す力により、後のタイヤ4には、矢印B方向に回転させようとする力が作用する。
以下では、補助ブレーキ10が駆動している状態(車椅子1に利用者45が座っていない状態)から、利用者45が座部2に座り、補助ブレーキ10を解除までについて説明する。
上述したように、補助ブレーキ10は、利用者が座部2から立ち上がったり座部2に座ったりすることで、左右の後のタイヤ4に同時に制動力を強制的に発揮させたり、解除したりする。したがって、このような補助ブレーキ10が車椅子1に具備されていれば、仮に利用者が座部2に座った状態から立ち上がろうとしたときに、手動ブレーキ8による制動の有無に係わらず、制動力を左右同時に発揮させることができる。
すなわち、車椅子1を利用する人が立ち上がろうとする場合に、最も簡単に立ち上がろうとするのが自然である。
よって、本発明の実施の形態によれば、特に、病人や高齢者などの利用者45が手動ブレーキ8を掛け忘れた状態で座部2から立ち上がろうとしたときに、転倒してしまうなどの不具合を確実に防止することができる。
すなわち、下り坂であれ、上り坂であれ、車椅子がどちらの方向に進もうとしている場合であっても、利用者45が手動ブレーキ8を掛け忘れた状態で座部2から立ち上がろうとしたときに、転倒してしまうなどの不具合を、確実に防止することができる。
補助ブレーキ10を備えた車椅子では、補助ブレーキ10が起動した状態では、タイヤ4の回転がロックされているので、空の車椅子1の移動に際しては、不都合が生じている。
なお、他の場所に移された車椅子1に対し、再び利用者45が座部2に座れば、図3(B)のように、揺動アーム部材12が押し下げられ、ワイヤー部材16が引き上げられ、そのワイヤー部材16の引き上げ動作に伴って、中間部材54を反時計方向に回動されることにより、この中間部材54と強制解除部材56との係合が解除される。これにより、利用者や介助者は、強制解除ペダルを再び元の位置に戻すという動作を行うことなく、図示しない強制解除ペダルは元の状態に復帰することになる。
例えば、上記実施の形態では、カム部材14の設置位置を、後のタイヤ4の前方側に設置しているが、カム部材14の設置位置は何ら限定されない。
また、強制解除手段は、上記実施の形態の構成に何ら限定されない。
1a 車椅子本体
2 座部
2b 肘掛け部
3 パイプ状のフレーム
4 後のタイヤ
4b リム部
4c スポーク部
4d ハンドリム部
5 前のタイヤ
6 ハンドル部
7a フットプレート
8 手動ブレーキ
8a レバー
8b 押圧バー
10 補助ブレーキ
10A 座面センサ部
10B 補助ブレーキの出力部
11 レッグベルト
12 揺動アーム部材
14 カム部材
14a 先端部
16 ワイヤー部材
18 ローラ
40 フレーム部
45 利用者
50 足
51 ふくらはぎ
53 カム連結部材
54 中間部材
55 完全ロック部材
56 強制解除部材
57 強制解除ペダル連結部材
60 動力伝達部
Claims (2)
- 車椅子本体の一部を構成する略L字状の一対のフレーム部に支持された座部から、利用者が立ち上がるときにタイヤに制動力を付与する補助ブレーキであって、
前記一対のフレーム部の垂直方向成分の下端部に、前記利用者の足を配置して支持するためのフットプレートを備え、
さらに前記一対のフレームの垂直方向成分の上端部間に、前記利用者が前記座部に座った場合のふくらはぎを保持するためのレッグベルトが差し渡されており、
前記座部の下面に接離自在に配置され、前記座部に利用者が座っている場合と前記座部に利用者が座っていない場合とにより、異なる方向に回動する揺動アーム部材と、
前記座部に利用者が座っていない場合の前記揺動アーム部材の姿勢に基いて前記タイヤの周面に食い込む姿勢となり、このときの姿勢により前記タイヤの回転を阻止するとともに、前記座部に利用者が座っている場合の前記揺動アーム部材の姿勢に基いて前記タイヤの周面から離反する姿勢となり、このときの姿勢により前記タイヤの回転を許容するカム部材と、
前記揺動アーム部材と前記カム部材との間を連結するワイヤー部材と、を備えており、
前記カム部材は、前記タイヤの回転が阻止されていない前記補助ブレーキの非制動状態においては、その先端部が、前記車椅子が前進する場合における前記タイヤの回転方向前方に向いた姿勢で前記タイヤの周面に配置され、
前記カム部材が前記タイヤに制動力を付与する場合には、当該カム部材の先端部が前記タイヤに対して食い込むように前記タイヤの周面に配置され、
前記利用者が前記座部に座って前記フットプレートに足を乗せた状態では、前記利用者のふくらはぎが前記レッグベルトに保持されているとともに、前記カム部材は、前記タイヤの回転を許容する姿勢にあり、
前記利用者が前記座部から立ち上がるために前記フットプレートから足を離してその足を地面に着き、上体を起こして前記足を垂直方向に伸ばし、前記座部から離れた状態では、前記座部と接する前記揺動アーム部材が回動し、前記揺動アーム部材から前記ワイヤー部材、および前記ワイヤー部材から前記カム部材に力が伝達され、この伝達された力により前記カム部材の姿勢が、前記タイヤの回転を阻止する姿勢に変換されるとともに、伸ばした前記足により前記レッグベルトが前記車椅子の前方側から後方側に向かって押され、前記レッグベルトを介して前記車椅子が後進する側に移動され、前記車椅子が後進する側にタイヤが回転することにより、前記タイヤにカム部材が確実に食い込むよう構成されていることを特徴とする補助ブレーキ。 - 請求項1に記載の補助ブレーキが具備されているとともに、この補助ブレーキに、強制解除手段が接続されていることを特徴とする車椅子。
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