JP6282453B2 - 車椅子 - Google Patents
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Description
ところで、車椅子では、利用者が座部に座ろうとしたとき、あるいは座部から立ち上がろうとしたときなどにタイヤが回転してしまうと、利用者が転倒してしまうなどの不都合が生じるおそれがある。このため、車椅子には、タイヤの回転を強制的に阻止する手動ブレーキが具備されている。
ところが、車椅子の利用者は、病人、高齢者などが多いために、手動ブレーキを掛け忘れたまま、次の動作に移ってしまうことがある。
しかしながら、ドラム式の補助ブレーキは大型であることから設置スペースの確保が困難であり、また重量増となり、さらにはコスト高になるという不具合があった。
車椅子本体に開閉自在なクロスフレームが略鉛直方向に配置されているとともに、このクロスフレームとともに幅方向に折り畳まれる一対の水平方向フレーム部にシート状の座部が支持されており、当該座部から利用者が立ち上がるときにタイヤに制動力を付与する補助ブレーキを少なくとも備える車椅子であって、
前記補助ブレーキは、
前記クロスフレームの上方部分に、略中央部が回動自在に軸止され、前記シート状の座部の下面に一端部が接離自在に設けられた揺動アーム部材と、
前記シート状の座部から利用者が立ち上がろうとした場合に、前記タイヤの周面に食い込む姿勢となって、前記タイヤの回転を阻止するとともに、前記シート状の座部に利用者が座っている場合または前記シート状の座部を折り畳んだ場合に、前記タイヤの周面から離反する姿勢となって、前記タイヤの回転を許容するカム部材と、
前記揺動アーム部材の他端部と前記カム部材との間を連結するワイヤー部材と、
を備えており、
前記車椅子本体を持ち運ぶために前記シート状の座部を折り畳んだときに、前記クロスフレームの鉛直方向への長さが、前記シート状の座部が広げられて使用可能な状態のときの前記クロスフレームの鉛直方向への長さよりも延長されることにより、前記クロスフレームに軸止された揺動アーム部材の他端部とワイヤー部材を介して連結された前記カム部材が、前記タイヤの周面から離反する姿勢となり、前記タイヤの回転を許容する姿勢に変換されるよう構成されていることを特徴としている。
前記補助ブレーキに、強制解除手段が接続されていることを特徴としている。
このような構成の本発明によれば、軽量で安価に形成することができ、しかも非使用状態の車椅子を折り畳めばタイヤへの制動力を自動的に解除することができるので、補助ブレーキを解除するための特段の操作なしで、折り畳まれた車椅子をタイヤを自由に回転させて他の場所に移動させることができる。
また、空の車椅子を折り畳めば、タイヤへの制動力が自動的に解除されるので、他の場所に持ち運ぼうとする場合に、タイヤを自由に回転させながら容易に移動させることができる。したがって、使い勝手が良好である。
図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る補助ブレーキが具備された車椅子の斜視図である。
また、車椅子本体1aには、例えば、病人、高齢者、身体障害者などの利用者が座る布製でシート状の座部2と、移動手段として機能する後のタイヤ4と、進行方向を決定する前のタイヤ5とを有している。
左右一対の後のタイヤ4、4は、前のタイヤ5、5に比べて大径に形成されている。
また、水平方向フレーム部40a、40aと、その下部に設けられた水平方向のフレーム部には、図3(A)、(B)に示したように、2本の棒状フレームが交差する態様で回動自在に軸支されたX字状のクロスフレーム28が差し渡されている。
以下に、補助ブレーキ10の構成について説明する。
先ず、図3(A)、(B)および図4(A)、(B)を参照しながら補助ブレーキ10の座面センサ部10Aと、補助ブレーキ10の出力部10Bについて説明する。
揺動アーム部材12の先端部には摩擦力を軽減するローラ18が設置されている。また、揺動アーム部材12には、図示しない付勢手段が具備されており、この付勢手段の付勢力により揺動アーム部材12は、図示しないバネからの付勢力により、回転軸15を支点として常時、矢印F方向へ付勢されている。
一方、揺動アーム部材12が、矢印F方向と反対方向に回動すると、ワイヤー部材16は、矢印H方向と反対方向に引き上げられる。すなわち、ワイヤー部材16は、利用者45が座部2から立ち上がることにより下方(H方向)に引き下げられ、利用者45が座部2に座ることにより上方(Hと反対方向)に引き上げられる構成となっている。
動力伝達部60は、座面センサ部10Aとカム部材14との間に介在されている。ワイヤー部材16の一端は、図3(A)、(B)に示したように、揺動アーム部材12に取り付けられ、ワイヤー部材16の他端は図5に示したように、略矩形状に形成された中間揺動支持部材72の一端部に取り付けられている。
また、カム連結部材53には、軸52と反対側にボス59が立設され、このボス59は中間部材54の回動域内に配置されている。このため、ボス59は、中間部材54の一方の膨出部54aに対し係止可能にされている。
また、中間部材54の一方の膨出部54aは、軸64を支点として図5において反時計方向に回動する際に、カム連結部材53のボス59に当接する。
また、中間部材54には、図3(A)、(B)に示したワイヤー部材16の他端が連結されている。中間部材54は、軸64を介して箱体の外側にて、中間揺動支持部材72を介してワイヤー部材16と連結されている。中間部材54は、座面センサ部10Aからの動力がワイヤー部材16を介して伝達される部材であり、ワイヤー部材16からの動力により、回動される。
上記強制解除ペダル連結部材57は、箱体の外部に配置されている。
なお、本発明は、折り畳み操作をするだけで、補助ブレーキ10を解除することできる。よって、この強制解除ペダルは特に必須ではない。
今、座部2に利用者45が座っており、補助ブレーキ10は起動していない。すなわち、補助ブレーキ10はOFFの状態で、出力部10Bは図4(B)の状態にある。このとき、動力伝達部60では、図6に示すような状態にある。具体的には、利用者45が座部2に座っていることで、ワイヤー部材16は、上方(図3における矢印Hと反対方向)に引き上げられている。このとき、動力伝達部60では、ワイヤー部材16と中間揺動支持部材72を介して連結された中間部材54が、図6中時計方向に回動するように動力が働いている。そして、中間部材54は、膨出部54aにて、カム連結部材53のボス59を押圧しカム連結部材53を図6において時計方向に回動させた状態にある。カム連結部材53と連動するカム部材14は、図6において時計方向に回動されており、すなわち、図4(B)に示したように後のタイヤ4から離間した状態にある。
このとき、カム部材14の後のタイヤ4への食い込み量は、引張りスプリング61により付与される回動力に応じて変化する。すなわち、引張りスプリング61の付勢力が弱いと、後のタイヤ4への食い込みが弱いこととなる。しかしながら、本発明の車椅子1においては、レッグベルト11が設けられており、このレッグベルト11が立ち上がろうとした利用者45のふくらはぎ51によってレッグベルト11を後方に押す力が加わる位置に配置されている。すなわち、図2に示すように、利用者45が立ち上がろうとして地面に足をつき、上体を起こし足を垂直方向に延ばすと、その過程でレッグベルト11がふくらはぎ51と接触するように配置されている。これにより、利用者45が立ち上がり足を垂直に延ばすと、ふくらはぎ51によりレッグベルト11を後方に押すこととなる。このレッグベルト11を後方に押す力により、後のタイヤ4には、矢印B方向に回転させようとする力が作用する。
以下では、補助ブレーキ10が駆動している状態(車椅子1に利用者45が座っていない状態)から、利用者45が座部2に座り、補助ブレーキ10を解除までについて説明する。
上述したように、補助ブレーキ10は、利用者が座部2から立ち上がったり座部2に座ったりすることで、左右の後のタイヤ4に同時に制動力を強制的に発揮させたり、解除したりする。したがって、このような補助ブレーキ10が車椅子1に具備されていれば、仮に利用者が座部2に座った状態から立ち上がろうとしたときに、手動ブレーキ8による制動の有無に係わらず、制動力を左右同時に発揮させることができる。
すなわち、車椅子1を利用する人が立ち上がろうとする場合に、最も簡単に立ち上がろうとするのが自然である。
よって、本発明の実施の形態によれば、特に、病人や高齢者などの利用者45が手動ブレーキ8を掛け忘れた状態で座部2から立ち上がろうとしたときに、転倒してしまうなどの不具合を確実に防止することができる。
なお、この強制解除手段は、本発明においては、特に必須要件でない。すなわち、後述するように、本発明では、車椅子本体1aを2つに折り畳めば、補助ブレーキ10を解除することができるからである。しかしながら、車椅子1は、開いたままの状態で持ち運ぶ場合もある。本実施例ではそのために強制解除手段が具備されている。
なお、他の場所に移された車椅子1に対し、再び利用者45が座部2に座れば、揺動アーム部材12が押し下げられ、ワイヤー部材16が引き上げられ、そのワイヤー部材16の引き上げ動作に伴って、中間部材54が反時計方向に回動されることにより、この中間部材54と強制解除部材56との係合が解除される。これにより、利用者や介助者は、強制解除ペダルを再び元の位置に戻すという動作を行うことなく、図示しない強制解除ペダルは元の状態に復帰することになる。
すなわち、本発明では、上述した強制解除ペダルや、強制解除部材56、および強制解除ペダル連結部材57が具備されていなくても、車椅子本体1aの折畳み操作を行うだけで、補助ブレーキ10を解除することができる。すなわち、本発明では、図3(A)に示した車椅子本体1aが開いた状態から、図3(B)に示したように座部2の両端部を上向きになるように2つに折り畳めば、その折畳み動作により、クロスフレーム28の端部n1、m1が閉じる方向に揺動し、揺動アーム部材12の回転軸15が上方に移動することになる。これにより、図3(A)では、揺動アーム部材12の回転軸15と中間部材54の軸64までの距離が、長さPであったものが、図3(B)では、長さQとなる。このように、P<Qとなる。したがって、中間部材54に連結された中間揺動支持部材72がワイヤー部材16を介して回動することになる。
例えば、上記実施の形態では、カム部材14の設置位置を、後のタイヤ4の前方側に設置しているが、カム部材14の設置位置は何ら限定されない。
1a 車椅子本体
2 座部
2b 肘掛け部
4 後のタイヤ
4b リム部
4c スポーク部
4d ハンドリム部
5 前のタイヤ
6 ハンドル部
7a フットプレート
8 手動ブレーキ
8a レバー
8b 押圧バー
10 補助ブレーキ
10A 座面センサ部
10B 補助ブレーキの出力部
11 レッグベルト
12 揺動アーム部材
14 カム部材
14a 先端部
16 ワイヤー部材
18 ローラ
26 後方フレーム部
28 クロスフレーム
30 強制解除手段
34 水平方向部材
36 ペダル
38 ワイヤー部材
40 フレーム部
40a 水平方向フレーム部
40b 垂直方向フレーム部
45 利用者
50 足
51 ふくらはぎ
53 カム連結部材
54 中間部材
55 完全ロック手段
56 強制解除部材
57 強制解除ペダル連結部材
60 動力伝達部
72 中間揺動支持部材
G 交点
Claims (2)
- 車椅子本体に開閉自在なクロスフレームが略鉛直方向に配置されているとともに、このクロスフレームとともに幅方向に折り畳まれる一対の水平方向フレーム部にシート状の座部が支持されており、当該座部から利用者が立ち上がるときにタイヤに制動力を付与する補助ブレーキを少なくとも備える車椅子であって、
前記補助ブレーキは、
前記クロスフレームの上方部分に、略中央部が回動自在に軸止され、前記シート状の座部の下面に一端部が接離自在に設けられた揺動アーム部材と、
前記シート状の座部から利用者が立ち上がろうとした場合に、前記タイヤの周面に食い込む姿勢となって、前記タイヤの回転を阻止するとともに、前記シート状の座部に利用者が座っている場合または前記シート状の座部を折り畳んだ場合に、前記タイヤの周面から離反する姿勢となって、前記タイヤの回転を許容するカム部材と、
前記揺動アーム部材の他端部と前記カム部材との間を連結するワイヤー部材と、
を備えており、
前記車椅子本体を持ち運ぶために前記シート状の座部を折り畳んだときに、前記クロスフレームの鉛直方向への長さが、前記シート状の座部が広げられて使用可能な状態のときの前記クロスフレームの鉛直方向への長さよりも延長されることにより、前記クロスフレームに軸止された揺動アーム部材の他端部とワイヤー部材を介して連結された前記カム部材が、前記タイヤの周面から離反する姿勢となり、前記タイヤの回転を許容する姿勢に変換されるよう構成されていることを特徴とする車椅子。 - 前記補助ブレーキに、強制解除手段が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の車椅子。
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