JP6257878B2 - 捺染印刷用転写紙および捺染方法 - Google Patents

捺染印刷用転写紙および捺染方法 Download PDF

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Description

本発明は、転写捺染印刷に使用する捺染印刷用転写紙に関する。特に本発明の捺染印刷用転写紙は、繊維材料又は皮革材料などの被印刷物への転写捺染印刷に好適である。
布帛に染料で図柄を堅牢・精細に描く方法として、捺染印刷法が知られている。捺染印刷法は、製版を使用する製版プリント方式と製版を使用しない無製版プリント方式に大別することができる。
製版プリント方式による捺染印刷としては、スクリーン捺染、ローラー捺染、ロータリースクリーン捺染、グラビア印刷又はこれらのプリント技法を用いた方法等が知られており、工業的に実施されている。しかし、製版プリント方式の捺染印刷では版を製作するために色数に制約があり、特に三原色色分解型枠によるプリントでは、多色感を表現できるものの、三原色組成の色相・濃度を整えることが困難、多重層を形成するためプリント加工の再現性を欠きやすい、等の問題がある。加えて、小ロット生産では彫刻作製(製版)費用が高価となり、更にプリント加工時、色糊を加工に必要な量より余剰に調整する必要がある等、資材面での無駄や損失が大きいとの問題点が指摘されている。
これらの問題点を解決する新たな捺染法として、無製版プリント方式による捺染印刷が脚光を浴びている。無製版プリント方式では、コンピュータなどで画像処理を行い、例えば、水性の染料インクを用いてインクジェットプリントで被印刷物に図柄をプリントする。そして、この無製版プリント方式の捺染印刷法として、被印刷物に直接プリントするダイレクトプリント方式と、転写紙などにいったん図柄をプリントしてから被印刷物へ図柄を転写する転写プリント方式が提案されている。
インクジェットプリントなどを利用したダイレクトプリント方式では、インクジェットインクの滲みを防止するための前処理を施した布帛へ、図柄を直接プリントする。しかしながら、この方法では、滲みを防止するための前処理工程が必要となり、また、インクジェットプリンターによって生地や転写用紙に水性染料インクを小ドットプリントした場合、ドット斑による均捺性を欠くとか、染料インクが滲み出して画像の精細性を失う等の問題点が指摘されている。
これらの問題点を解決する方法として、転写プリント方式の転写捺染印刷が提案されている。転写捺染印刷では転写紙を用いて転写捺染をするが、転写紙としては、基材となる原紙上に、水溶性ワニス又は溶剤型ワニスなどを含む離型剤層を設け(離型紙)、この離型剤層上に、水溶性糊剤を含む糊層を形成させたものが知られており、その他にも、特殊な多層構造の転写紙が知られている。このような転写紙は、転写紙の糊層にインクジェットプリントなどでインクを糊層中に均一に保持させてから、この転写紙を被印刷物と接触させて転写捺染を行い、図柄を被印刷物に印刷する。
これまで転写捺染印刷法として、湿式転写法や乾式転写法などの種々の方法が提案されている。
例えば、熱で昇華する分散染料を用いた昇華転写法(乾式転写捺染法)が知られている。この方法では、昇華性インクをプリントした転写紙を被印刷物に接触させ、昇華により図柄を定着させる。しかし、昇華転写法は、昇華というプロセスが必要で、その適用は昇華性分散染料が染着性を有するポリエステルに限定される上、昇華性インクの使用が必要となり、また、昇華により染色するため高精細な画像が得られにくく、熱安定性が悪く洗濯により色落ちしやすいなど印刷の堅牢度も低い。
また、セルロース系繊維又は蛋白質系繊維から成る布帛を水で湿らせ、転写紙と合わせ強く圧着して染料を転写捺染する湿式転写法(特許文献1および特許文献2など)が提案されている。しかし、湿式転写法は、水で湿らせる工程が必要となるため、図柄の精細性と再現性に欠けるという問題が生じやすい。
さらに、特許文献3(特許第4058470号公報)又は特許文献4(特開平06−270596号公報)には、布帛上に乾式転写された染料をスチーミング等で固着処理する方法が開示されている。この方法では、離型剤層を設けた基紙(離型紙)上に混合糊層(インク受容層)を有する転写紙に染料インクをプリントし、それを布帛へ乾式転写して、離型紙を剥離した後、布帛上へ乾式転写された染料をスチーミング等で固着させる。
しかし、この方法で用いられる離型紙は、その製造においてコストが高い離型剤を使用すること、および、その製造効率が低いことに起因して、極めて高価であり、一般的な原紙の数倍(5〜10倍)の製造原価になる。すなわち、離型剤の融点は一般的に低いので、離型剤層の上に糊層(インキ受容層)を設ける際、混合糊液を塗工した後の乾燥温度を上げることができず、乾燥時間が長くなり生産効率が非常に悪くなる。例えば、ポリエチレンラミネート離型剤の融点は約110℃であるため、乾燥温度を110℃以上に上げることはできず、生産能力(速度)を上げることは困難であった。また、従来の転写紙は、その取り扱いも容易でなく、転写工場の湿度や、転写紙の保管条件又は乾式転写条件が不適切であると、インク受容層を100%転写して離型紙のみをきれいに剥離できない場合があり、そのような場合は不良品の発生をもたらし、紙のリサイクル使用も困難となる。さらに、少量多品種生産に対応するためには、転写紙が細切れ状態になるため、紙を貼り合わせてリサイクル使用することは事実上困難である。
すなわち、この方法には、次に示すような問題点がある。
(A)高価な離型紙が必要である。したがって、コストアップになる。
(B)インク受容層を布帛に転写する工程での剥離性(紙の剥離の再現性)に難しさがあり、インク受容層を100%布帛へ転写できない場合がある(剥離不安定性)。部分的にインク受容層が転写紙に残ると、その部分が斑染めになり不良品が発生する。
(C)インク受容層は布帛へ(望ましくは100%)移されるので、染料固着処理後の布帛の洗浄工程で、使用済みの糊と樹脂は全量排水へ流れ出し、余剰染料インクも排水に流れ出すので、排水を汚染する。
(D)汎用の離型剤は融点が低いものが多く、転写性を向上するために高温、例えば150℃以上で転写すると、離型剤を構成する樹脂がメルトして布帛へ付着し、洗浄工程では付着した樹脂の除去ができないため、布帛の風合いが硬くなる。またはメルトした樹脂がインク受容層の一部を紙に接着・残留させ、不良品を発生させる。
(E)生産効率上の問題もある。例えば、離型剤の融点が低いことにより、混合糊液塗工後の乾燥温度が制約され、生産速度を上げることが困難となる。
このような課題に対処すべく、特許文献5では、スチーミングなどのインク固着処理によって接着力が低下するバインダーを転写紙の糊層(インク受容層)に用いることによって、転写紙に離型剤層を設けずに、優れた転写捺染印刷を行うことが提案されている。
特許第2925562号公報 特開06−2878970号公報 特許第4058470号公報 特開平06−270596号公報 国際公開WO2011/055817
本発明者らは、捺染紙を被印刷物に密着させたままスチーミングなどの染料固着処理を行う転写捺染印刷に関して検討を行い、捺染印刷用転写用紙の糊層(インキ受容層)の組成を工夫することによって、融点の低い離型剤を使用せずに、優れた捺染印刷特性を有する捺染印刷用転写紙を開発することに成功した(特許文献5)。
本発明では、捺染紙を被印刷物に密着させたまま染料固着処理を行う転写捺染印刷における優れた転写紙を提供すること目的とする。具体的には、転写捺染印刷用の転写紙として、繊維材料又は皮革材料などの被印刷物に対して、風合い、精細性、堅牢性、発色性等の捺染性能に優れるとともに、上記の問題点(A)〜(E)等を解決し、資材コストの削減、加工の再現性と品質の向上、排水負荷のさらなる削減、生産効率の向上を図ることができる、エコロジカルかつエコノミカルな捺染印刷用転写紙が望まれており、本発明においてもそのような転写紙を提供することを課題とする。
本発明らは、被印刷物に捺染紙を密着させたままで染料の固着処理を行う転写捺染印刷に関して、それに用いる転写紙を鋭意検討したところ、特定の塗工方式で原紙上に塗工して糊層(インキ受容層)を設け、さらに、特に透気抵抗度を80000秒以下とすることによってさらに優れた捺染印刷用転写紙が得られることを見出した。
これに限定されるものではないが、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 被印刷物に捺染紙を密着させたままで染料の固着処理を行う転写捺染印刷に用いる転写紙であって、原紙と原紙上に設けられた糊層とを備え、前記糊層が非接触塗工方式によって設けられ、原紙の透気抵抗度が80000秒以下である、上記転写紙。
(2) 前記非接触塗工方式がエアナイフ方式またはカーテン方式である、(1)に記載の転写紙。
(3) 前記糊層が、水溶性合成系バインダーと天然系糊剤を含んでなる、(1)〜(2)のいずれかに記載の転写紙。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の転写紙の糊層に染料インクをプリントして得られる捺染紙。
(5) (1)〜(3)のいずれかに記載の転写紙上に、染色インクをプリントして捺染紙を得る工程;前記捺染紙を被印刷物に密着させる工程;被印刷物に密着させた捺染紙に対して染料を固着させる工程;を含む、被印刷物に捺染印刷を行う方法。
(6) 固着工程後に被印刷物から捺染紙を剥離して除去する工程をさらに含む、(5)に記載の方法。
(7) 前記固着処理をスチーミングにより行う、(5)または(6)に記載の方法。
(8) インクジェットプリントにより染料インクを捺染印刷用転写紙にプリントする、(5)〜(7)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、ムラのない、精細な捺染印刷が可能である。また、本発明によれば、スチーミングなどによりインクなどの色材を布帛に効率よく固着させることが可能であり、エネルギー負荷の低減が可能である。さらに、本発明によれば、融点の低い離型剤を使用せずに済むため、本発明の捺染印刷用転写紙は、その生産性も優れており、また、耐候性にも優れるため保存や取り扱いが容易であり、捺染印刷後の転写紙の剥離も容易である。その結果、本発明によれば、優れた経済性とエコロジー性を両立しつつ、精細な捺染図柄の表現を再現することができる。
特に本発明によれば、転写捺染後の転写紙剥離不安定性が原因で発生する不良品の問題を解決できること、排水負荷をいっそう軽減できること、風合いを維持しながら高温での貼り付けと高濃度染着を可能とすること、が可能になる。また、本発明では、離型剤を使用しないので、混合糊液の乾燥温度を上げて塗工効率を向上できるため(例えば、塗布後の乾燥温度を150〜180℃まで上げて、塗布スピードを3倍以上にアップできる)、転写紙のコストダウンを達成できる。さらに、本発明によれば、現在染色業界で多用されているローラー型あるいは平板型の既存の加圧・加熱設備を活用して、セルロース系繊維、蛋白質系繊維、皮革又は合成繊維などの被印刷物に捺染印刷を行うことができる。
本発明は、捺染紙を被印刷物に貼り付けた状態で、染料の固着処理を行うことを特徴とする転写捺染印刷(本明細書においては、「ペーパー捺染法」ともいう)に関する。
本発明において転写捺染印刷とは、紙などの媒体を介して図柄を転写させて捺染印刷することをいい、「捺染印刷用転写紙」とは、かかる転写捺染印刷において図柄を転写させるために用いられる紙をいい、原紙層と糊層(インク受容層)を備える。また、本発明において「捺染紙」とは、染料インクが付与された捺染印刷用転写紙を意味する。 本発明においては、捺染印刷用転写紙を用いて、以下の方法によって捺染印刷を行うことができる。すなわち、原紙と原紙上に非接触方式により設けられた糊層とを備え、転写紙上に、染色インクをプリントして捺染紙を得て、その捺染紙を被印刷物に密着させてから、被印刷物に捺染紙を密着させたまま染料を固着させることによって、被印刷物に捺染印刷を行うことができる。
捺染印刷用転写紙
本発明の捺染印刷用転写紙は、原紙と原紙上に設けられた糊層とを備えている。原紙の透気抵抗度が80000秒以下である。本発明者は、被印刷物に捺染紙を密着させたままで染料の固着処理を行う転写捺染印刷について鋭意検討を行ったところ、転写紙の透気抵抗性が転写捺染印刷の質に大きな影響を及ぼすことを見出し、さらに、透気抵抗度を国際公開WO2011/055817(特許文献5)などの従来品よりも低くすることによって優れた捺染印刷用転写紙が得られることを見出した。すなわち、透気抵抗度が80000秒より高くなると、スチーミングなどによる染料の固着処理の際、熱が伝わりにくくなるためか、染料の染着が十分になされにくくなる一方、本発明の範囲内であれば、染料の固着処理を効率的に行うことができ、繊細な図柄などを捺染印刷することができる。スチーミングなどによる染料の固着処理をより効率的に行うため、捺染印刷用転写紙の透気抵抗度は、60000秒以下であるとより好ましく、50000秒以下であるとさらに好ましい。また、透気抵抗度の下限は特にないが、例えば、捺染印刷用転写紙の透気抵抗度が100秒程度とすることも可能である。本発明において透気抵抗度の測定は、JIS P 8117に記載の方法に従って行う。
捺染用紙の透気抵抗度を上記範囲に調整する方法としては、原紙の透気抵抗度を一定の範囲とすること、糊層の塗工量を調整すること、糊層の塗工方式を選択すること、糊層に対して表面処理を行うことなどが挙げられる。具体的には、例えば、塗工紙と比較して透気抵抗度が低い非塗工紙(透気抵抗度が100秒以下の非塗工紙)を原紙として用いることにより、また、糊層の塗工量を少なくしたり、糊層の塗工方式として非接触方式を採用して嵩高な糊層とすることによっても、捺染印刷用転写紙の透気抵抗度を低くすることができる。さらに、例えば、カレンダー処理などの表面処理によって捺染印刷用転写紙の透気抵抗度を上げることも可能である。
捺染印刷用転写紙の原紙
本発明の捺染印刷用転写紙に使用される原紙としては、糊層(インク受容層)をその上に塗布することができ、かつ捺染印刷に使用できる強度や柔軟性等を有する紙であれば特に限定されない。混合糊を塗布する際に、しわなどが入らないようにすることや染色品質が良好であることを考慮して、原紙を選択することが好ましい。
本発明の捺染印刷用転写紙に用いる原紙としては、一般的に使用されている紙を用いることができ、紙の強度や柔軟性を考慮して、例えば、坪量が10〜100g/m、より好ましくは坪量が20〜80g/m、さらに好ましくは坪量が40〜80g/mの紙を使用することができる。また、捺染印刷時の作業性などの観点から、転写紙の厚さ(紙厚)は0.01〜0.5mm程度の紙が好ましく、0.05〜0.3mm程度の紙がより好ましい。原紙の透気抵抗度は特に制限されない。
原紙のパルプ配合は特に制限されないが、例えば、クラフトパルプなどの化学パルプ、グラインドパルプなどの機械パルプ、古紙を原料とする古紙パルプなどを好適に使用することができる。また、原紙として非塗工紙を用いても、塗工紙を用いてもよい。原紙には適宜填料を配合することができる。
糊層(インク受容層)
本発明の捺染印刷用転写紙は、上述した原紙上に、インク受容層として糊層を有する。糊層の付着量は特に制限されないが、ドライ換算で5〜70g/mが好ましく、10〜50g/mがより好ましく、15〜30g/mとしてもよい。糊層の付着量は、捺染用紙のコストやバインダー類が布帛へ接着する際の強度及び発色性に関わってくるので、それらの要素を勘案して適宜選択すればよい。
糊層の付与を塗布装置(コーティング機)での塗布により行う場合は、適宜付着量を管理することが重要である。これまでにさまざまな方式の塗布装置が開発されている。本捺染用紙を製造する際には、エアナイフ方式やカーテン方式、ダイ方式のように、非接触型の塗布方式であれば、種々の塗布方式を使用することができる。
一般に、塗工方式には、塗工装置と被塗工物(本発明では、捺染印刷用転写紙が相当)が接触して塗工液を塗工する接触型の塗工方式と、塗工装置と被塗工物(本発明では、捺染印刷用転写紙が相当)が接触せずに塗工液を塗工する非接触型の塗工方式がある。接触型の塗布装置としては、塗工量を前計量するロールコーターや、後計量する、かき落とし方式のブレード(刃)コーター、ロッドコーター、コンマコーター等がある。非接触型の塗布装置としては、エアナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーターなどがある。
接触型の塗布装置の場合、糊層の表面の平滑性は高くなるが、原紙の凹凸に応じて混合糊層の厚みにムラが生じやすく、画像にもムラができてしまう場合もある。それに対し、非接触型の塗布方式の場合、混合糊層が原紙表面の凹凸に沿って均一に塗布できることから、特にインクジェットプリントした場合の画像の精細性を高くすることができる。従って、本発明においては非接触型の塗布方式によって塗工層を設ける。
混合糊を塗布する際の固形分濃度は、塗布方式に合わせて適宜選択できるが、非接触型の塗布方式の場合、5〜60重量%が好ましい。特に、エアナイフ方式の場合は、10〜30重量%、カーテン方式の場合は10〜30重量%%、ダイ方式の場合は10〜50重量%%が望ましい。
塗工速度については、特に制限されないが、5m/min以上であることが好ましく、10m/min以上であるとより好ましい。塗工速度が5m/minより低いと、乾燥前に混合糊液が原紙内部に浸透してしまい、インク受容層として有効に寄与する混合糊層が少なくなるため、十分な効果を発現しにくくなる。
本発明の糊層は、水溶性合成系バインダーと天然系糊剤を含むことが好ましく、水溶性合成系バインダーと天然系糊剤を含む親水性混合物又はその溶液を原紙に付与して乾燥することにより得られる。
糊層に用いられる水溶性合成系バインダーは、水溶性であり、加熱により強い被膜形成性を有するものである。また、原紙上または原紙内に形成された糊層は、繊維や皮革などの被印刷物と捺染印刷用転写紙との間を接着させるとともに、染料の固着処理(例えば、スチーミング、加湿、または高温での乾熱処理)により接着力が低下する性質を有するものである。したがって、加熱・加圧した後の乾燥状態で接着力を発揮するとともに、水溶性であるので加湿状態(場合により高温での乾熱処理後の状態)で接着力が弱くなる。
糊層を構成する水溶性合成系バインダーとしては、下記例示されたものが好ましく使用できるが、このうち、水溶性ホットメルト接着剤としては、マレイン酸交互共重合体のアルカリ水可溶型ホットメルト接着剤、感水性ホットメルト接着剤、ポリビニルアルコール系ホットメルト接着剤等を挙げることができる。
この水溶性合成系バインダーとしては、主として石油化学で合成されたものを挙げることができる。また、染着阻害のないバインダーが望まれる。具体的には、水溶性ポリビニルアルコール系バインダー、水溶性アクリル系バインダー、水溶性ウレタン系バインダー、水溶性ウレタン変性エーテル系バインダー、水溶性ポリエチレンオキサイド系バインダー、水溶性ポリアミド系バインダー、水溶性フェノール系バインダー、水溶性酢酸ビニル系バインダー、水溶性スチレンアクリル酸系バインダー、水溶性スチレンマレイン酸系バインダー、水溶性スチレンアクリルマレイン酸系バインダー、水溶性ポリエステル系バインダー、水溶性ポリビニルアセタール系バインダー、水溶性ポリエステル・ウレタン系バインダー、水溶性ポリエーテル・ウレタン系バインダー、水溶性ホットメルト接着剤等を挙げることができ、これらから選ばれた1種または2種以上の混合物が好ましく使用できる。
中でも、水溶性ポリビニルアルコール系バインダー、水溶性アクリル系バインダー、水溶性ポリエステル系バインダー、水溶性ポリエーテル・ウレタン系バインダー、水溶性ホットメルト接着剤が、水溶性、一時的接着性(加熱により接着するが、加湿状態で接着力が低下する性質)に優れ、染着の阻害が小さいので好ましい。
また、本発明の転写紙の糊層は、天然系糊剤を含むことが好ましい。天然系糊剤は、天然に産出する糊剤の原料をそのまま又は物理的又は化学的に加工して得られるものである。天然系糊剤は接着力を示すが、水溶性合成系バインダーと異なり、加熱しても接着力が上昇することはない。一方、スチーミングや乾燥加熱処理により除去できるものであり、したがって、親水性であることが望ましい。また、本発明の捺染印刷用転写紙の糊層はインク受容層としても機能するため、染料インクとの相溶性が高く、染料インクを均一に吸収保持する性質を有することが好ましい。
この天然系糊剤は、動物系糊料、植物系糊料、及び鉱物系糊料に分類される。動物系糊料としては、動物の皮膚や骨に含まれるコラーゲンから抽出されるゼラチン等が挙げられる。植物系糊料としては、澱粉やセルロースを出発原料として加工するカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。鉱物系糊料としては、粘度鉱物から採取されるクレイ等が挙げられる。より具体的には、天然ガム糊(エーテル化タマリンドガム、エーテル化ローカストビーンガム、エーテル化グアガム、アカシアアラビア系ガム等)、繊維素誘導糊(カルボキシメチルセルロース、エーテル化カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、多糖類(澱粉、グリコーゲン、デキストリン、アミロース、ヒアルロン酸、葛、こんにゃく、片栗粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等)、海藻類(アルギン酸ソーダ、寒天等)、鉱物性糊料(ベントナイト、珪酸アルミニウム及びその誘導体、シリカ、珪藻土、クレイ、カオリン、酸性白土等)、動物性糊料(カゼイン、ゼラチン、卵蛋白等)を挙げることができ、これらから選ばれた1種又は2種以上の混合物が好ましく使用できる。
中でも、天然ガム糊、カルボキシメチルセルロース等の、セルロース誘導体、エーテル化澱粉等の澱粉誘導体、アルギン酸ソーダ等の海藻類、酸化珪素、珪酸アルミニウム、クレイ等の鉱物性糊料、動物性糊料等が好ましい天然系糊剤である。
水溶性合成系バインダーと天然系糊剤との配合割合は、固形分換算で、水溶性合成系バインダー:天然系糊剤=95:5〜20:80(重量比)の範囲が好ましい。水溶性合成系バインダーの配合割合が、水溶性合成系バインダーと天然系糊剤の合計重量の20重量%未満の場合、又は、水溶性合成系バインダーの配合割合が95重量%を超える場合(すなわち、天然系糊剤が5重量%未満の場合)は、染料固着後の紙はがれ性(捺染紙の剥離の容易さ)や染着性・均捺性が悪くなる、紙−布間の接着力が低下する、精細性が低下する等の問題が生じる傾向がある
本発明の捺染印刷用転写紙の糊層には助剤を使用することができる。助剤は、糊液の各種物性を向上する、染料の染着性を促進する等のために加えられるものである。助剤としては、界面活性剤、増粘剤、保湿剤、pH調整剤、アルカリ剤、濃染化剤、防腐剤、防黴剤、脱気剤、消泡剤及び還元防止剤等を挙げることができる。
助剤については、例えば、混合糊液中の含有量として、表面張力低下剤や浸透剤として加えられるアニオン系界面活性剤等の場合は0.2〜5重量%、転写紙の布帛等への接着力と染着力向上のために加えられる保湿剤(湿潤剤)、例えばポリエチレングリコール、グリセリン、チオジグリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコール類、尿素、チオ尿素、ジシアンジアミド等の場合は1〜15重量%、混合糊液の粘度を増加させて原紙への塗布を容易にするための増粘剤であるアクリル酸系合成糊の場合は0〜3重量%、防腐剤、防黴剤、消泡剤、脱気剤、還元防止剤の場合は0.1〜5重量%、反応染料を用いる場合に加えられるソーダ灰、重炭酸ソーダ、珪酸ソーダ、酢酸ソーダ等のアルカリ剤の場合は1〜15重量%、分散染料や酸性染料を用いる場合に加えられる硫安や第一燐酸ソーダ等のpH調整剤の場合は0.1〜3重量%、を配合すると好ましい結果が得られる。
原紙への糊液を塗布した後、乾燥することによって、原紙上(付与が塗布によりなされた場合等。ただし、塗布された場合でも一部は紙内に吸収される)や原紙内(付与が吸収によりなされた場合等)に、糊層が形成される。この層は、水溶性合成系バインダーと天然系糊剤を含むことが好ましく、さらに各種助剤が配合されてもよい。そして、この層は、捺染用紙上にプリントされる染料インクを保持するインク受容層としての機能を有するとともに、捺染紙が布帛等に密着され加熱・加圧されたときには、捺染紙を布帛等の繊維に強く接着する接着剤層としても機能する。
転写捺染印刷
本発明の転写捺染印刷においては、上述の転写紙に染料インクがプリントされて捺染紙を得る。捺染印刷用転写紙の糊層上には、染料インクが、捺染の図柄に基づいてプリントされ、その後乾燥することにより捺染紙が作製される。捺染用紙の一方の表面側に糊層が付与されている場合は、該表面側(印刷面)に染料インクがプリントされる。
ここで用いられる染料インクとしては、具体的には、反応染料、酸性染料、金属錯塩型染料、直接染料、分散染料、カチオン染料等を染料として用いるインクを挙げることができる。染料インクとしては、これらの染料を水等の染料溶解剤に溶解または分散して使用することができる。
本発明において、インクジェットプリントに使用する染料インクとしては、染料を染料溶解剤または分散剤等により溶解または分散させたものが使用できる。染料溶解剤としては、例えば水、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、εカプロラクタムを挙げることができる。染料インクには、さらに、必要に応じて乾燥防止剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、金属イオン封鎖剤、消泡剤、脱気剤当が添加される。これらの成分を混合して、微量の不純物を1ミクロン以下のメンブレンフィルターでろ過・脱気した染料インクが使用される。
なお、染料の種類は、布帛を構成する繊維の種類に応じて、反応染料、直接染料、酸性染料、金属錯塩型染料、分散染料、カチオン染料等から選択されるが、分散染料をインク化する場合は、0.1〜0.3mmのジルコニウムビーズを用いて染料の平均粒径を0.1μm程度に微粒化することが望ましい。
このようにして得られた捺染用紙に、染料インクをプリントし、乾燥して捺染紙を作製する。プリントの方法としては、インクジェットプリントが好ましいが、その他の方法、例えばグラビア印刷、スクリーンプリント等の方法も挙げることができ、公知の転写捺染の場合と同様の方法、条件によりプリントすることができる。染料インクを転写用紙上にプリントする方法としては、インクジェットプリントする方法が好ましい。本発明においては水性染料インクが好ましく、ここで、水性染料インクとは、水又は水に溶解する溶剤を主成分として染料を溶解または分散したインクである。
本発明の転写捺染印刷においては、前記のように作製された転写紙を、繊維材料(セルロース系繊維材料、蛋白質系繊維材料、合成繊維材料など)や皮革材料などの被印刷物に密着させる。密着工程において、捺染紙が被印刷物に加熱・加圧などにより密着された後、密着された状態での染料の固着処理が行われる。加熱・加圧の条件は、通常の転写捺染の場合と同様の条件を適用することができ、例えば、ドラムなどにより捺染紙を被印刷物に密着させることができるが、その際の圧力をやや高めに設定するとより好ましい。この、加熱・加圧により、転写紙と繊維材料や皮革材料間が接着される。
本発明の転写捺染印刷においては、捺染紙を被印刷物に密着させた状態で染料の固着処理を行う。染料の固着処理としては、反応染料等を用いる捺染で通常行われているスチームによる加熱のほか、加湿や水分の付与等を行った状態で加熱する方法等も挙げることができる。また、ポリエステル繊維や合成繊維の捺染の場合は、乾燥加熱する方法も採用できる。このスチームによる加熱や、加湿や水分の付与等を行った状態での加熱により、転写紙の剥離が可能となる。ポリエステル繊維や合成繊維の捺染の場合は、乾燥加熱する方法により転写紙の剥離が可能となる場合もあるが、乾燥加熱(固着)後、水分を付与すると、より容易に剥離することができる。
捺染紙を布帛等に密着させて行われるスチーミング等による染料の固着処理の条件としては、通常の直接捺染法で採用されている染料のスチーミングによる固着条件と同様な条件をそのまま採用でき、例えば、100〜220℃の蒸気によって捺染紙の非印刷面側からスチーミングを行うことができる。例えば、染料が反応染料の場合は、1相スチーム固着法による、100〜105℃、5〜20分間のスチーミング、アルカリを含まないインク受容層の場合は、2相法(例えばコールドフィックス法等)によるスチーミングと同様な条件が適用できる。染料が酸性染料の場合は、100〜105℃、10〜30分間のスチーミング処理を行うことができる。生地から紙をはがす際、スチーミング後の水分や湿気を付与された状態での紙はがし(紙の剥離)は容易である。染料が分散染料の場合は、160〜220℃、1〜15分間のHTスチーミングまたは乾熱処理を行う。乾熱処理により紙の剥離は可能になる場合もあるが、乾熱処理後に少量の湿気や水分を付与することにより剥離が容易になる。
染料の固着処理は、加熱・加圧された後行ってもよいし、前記の加熱・加圧と同時に行っても良い。加熱・加圧及び染料の固着処理により、染料用紙上にプリントされた染料インク中の染料が繊維材料や皮革材料に吸収・染着される。また、染料の固着処理により、繊維材料や皮革材料に染着された染料の固着が行われるとともに、捺染紙と繊維材料や皮革材料間の接着力が低下する。
本発明の転写捺染印刷においては、固着工程の後に捺染紙を被印刷物から剥離させて除去してもよい。前記のように原紙上または原紙中に形成された糊層は、前記の加熱・加圧により接着層としての機能を示すものであるが、一方、布帛等から転写紙の剥離が容易に行えるようにするため、スチーミング等による染料の固着処理工程により、その接着力が低下するものである。すなわち、混合糊の層は、スチーミング等による染料の固着処理工程、または捺染紙を剥離する工程で湿気が付与されることにより、容易に接着力が低下する性質を有することが望ましい。
スチーミング等による処理工程により、繊維材料や皮革材料への染料の固着及び発色が行われ、且つ転写紙が剥離された後は、通常、水洗、ソーピング等の洗浄工程が行われる。混合糊は、この洗浄工程で容易に洗浄され除去できる性質を有することが望ましい。
スチーミング等による染料の固着処理後は、従来の転写捺染法における条件と同様な条件で洗浄(水洗、ソーピング、水洗。分散染料の場合は水洗、還元洗浄、水洗)で処理することで、風合いが良好で繊細、濃厚な捺染物を得ることができる。分散染料の場合は洗浄を省略しても風合いが良好で繊細、濃厚な捺染物を得ることができる。
捺染紙の剥離、除去がされた後は、布帛等を洗浄(水洗、ソーピング)することによって、少量ながら布帛に付着している水溶性合成バインダーと天然系糊剤を水洗除去し、繊維の風合いが良好で繊細なプリント生地あるいはプリント製品を得る。ポリエステルなど合成繊維の場合は洗浄工程を省略することも可能である。
離型紙を用いる転写捺染の場合は、インク受容層と染料インクが全量布帛へ移行するため、固着されなかった余剰染料と糊剤による排水汚染が大きいという問題がある。しかし、本発明の方法においては、布帛等より剥離された捺染紙には、固着されなかった染料(余剰染料)と混合糊剤の大部分が付着しており、一方、布帛等には余剰染料や混合糊剤がほとんど付着していないので、布帛洗浄時の排水負荷が公知の方法に比べて大幅に軽減される。従って、この点においても、本発明はエコロジー対応の加工法といえる。
被印刷物
本発明の被印刷物は特に制限されないが、繊維材料からなる布帛や皮革材料などの捺染に好適に適用される。本発明が適用される繊維材料には、例えば、天然繊維材料及び合成繊維材料のいずれもが含まれる。天然繊維材料としては、綿、麻、リヨセル、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維材料、絹、羊毛、獣毛等の蛋白質系繊維材料を挙げることができる。合成繊維材料としては、ポリアミド繊維(ナイロン)やビニロン、ポリエスエル、ポリアクリル等と呼ばれる繊維を挙げることができる。
本発明が適用される皮革材料としては、動物性皮革、例えば、牛、水牛、豚、馬、羊、山羊、カンガルー、鹿、豹、兎、狐、ラクダ等の天然皮革や公知の製革、なめし工程を経て乾燥したものを挙げることができる。
本発明は、これらの繊維材料の織物、編物、不織布、皮革等の単独、混紡、混繊または交織品に適用される。さらに複合系繊維でも良い。
必要に応じて、染料の染着に影響を及ぼす薬剤あるいは染着促進に効果のある薬剤などで布帛等の被印刷物を前処理しても良い。例えば反応染料を捺染する場合は、布帛などの被印刷物に、アルカリ剤として炭酸ソーダ、炭酸カリ、重炭酸ソーダ、珪酸ソーダ、酢酸ソーダ、セスキ炭酸ソーダ、トリクロル酢酸ソーダ等を3〜15重量%、転写時の黄変防止、転写性向上、染着向上等の目的で尿素を3〜25重量%、マイグレーション防止剤として親水性増粘物質、例えばアルギン酸ソーダの0.05〜1重量%を含め混合液を浸漬し、パッド乾燥しても良い。また、酸性染料をプリントする場合は、染着促進剤として酸アンモニウム塩、例えば硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム等を0.5〜5重量%、マイグレーション防止剤として耐酸性の天然ガム類0.05〜0.5重量%を含む混合液を浸漬し、パッド乾燥しても良い。しかし、本発明においては、通常こういった前処理は不要である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。なお、例中、%は重量%を意味する。
<捺染印刷用転写紙の製造および転写捺染印刷>
[実施例1]
プラスコートRZ−142(水溶性ポリエスエル樹脂系バインダー25%水溶液:互応化学工業社製)700g、ソルビトーゼC−5(エーテル化澱粉:AVEBE社製)10g、FDアルギンBL(アルギン酸ソーダ低粘度品粉体:古川化学工業社製)198g、エンバテックスD−23(珪酸アルミニウム誘導体:共栄科学社製)190g、マイクロイドML389(酸化珪素:東洋化学社製)5g、ジシアンジアミド70g、ソーダ灰85g、水約1200gを、撹拌機でよく撹拌して混合し、固形分濃度を25重量%に調整して混合糊液を作製した。
原紙である坪量70g/mの上質紙に、塗工速度70m/minにて、この混合糊液をエアナイフ方式で塗布し、乾燥した。この捺染用紙の混合糊塗布量は、20g/mであった。このようにして、捺染印刷用転写紙を得た。この捺染印刷用転写紙の透気抵抗度を、JIS P 8117に準じて測定したところ、35000秒であった。
次いで、反応染料インク液(C.I.Reactive Blue 19 15%、ポリエチレングリコール5%、グリセリン5%、εカプロラクタム5%、イオン交換水70%)を上記捺染印刷用転写紙上にインクジェットプリンター(HYPERECO:武藤工業社製:オンデマンド型ピエゾインクジェットプリンター)によってプリントして乾燥し、捺染紙を得た。
この捺染紙と綿ローン布を密着させ、加熱・加圧(140℃、0.5MPa、2.5m/min、ローラー型)して綿ローン布に捺染紙を貼り付けた。次いで捺染紙を貼り付けたまま綿ローン布を100℃で10分間、スチーミング処理を行い、インクを転写捺染した。その後、捺染紙の剥離を行ったが、容易に剥離することができた。
捺染紙を除去した後、印刷した布帛に、常法により水洗、ソーピング、水洗、乾燥処理を行い、捺染布を得た。
[実施例2]
混合糊液の固形分濃度を23重量%とし、混合糊液をエアナイフ方式でなくカーテン方式で塗工した以外は、実施例1と同様にして捺染印刷用転写紙を得た。この捺染印刷用転写紙の透気抵抗度を、JIS P 8117に準じて測定したところ、40000秒であった。このようにして得られた転写紙を用いて実施例1と同様に捺染印刷を行い、捺染布を得た。
[比較例1]
混合糊液の固形分濃度を29重量%とし、混合糊液をエアナイフ方式でなくコンマ方式で塗工速度1m/minにて塗工した以外は、実施例1と同様にして捺染印刷用転写紙を得た。捺染印刷用転写紙の透気抵抗度を、JIS P 8117に準じて測定したところ、40000秒であった。このようにして得られた転写紙を用いて実施例1と同様に捺染印刷を行い、捺染布を得た。
[比較例2]
上質紙の代わりに坪量70g/mのA2コート紙(塗工層の塗工量:両面で14g/m)を原紙として用いた以外は、実施例1と同様にして捺染印刷用転写紙を得た。この捺染印刷用転写紙の透気抵抗度を、JIS P 8117に準じて測定したところ、99000秒であった。このようにして得られた転写紙を用いて実施例1と同様に捺染印刷を行い、捺染布を得た。
<捺染印刷した捺染布の評価>
上記のようにして得られた捺染布について、染色の精細さおよび濃厚さを目視で評価した。捺染印刷された画像の精細さおよび濃厚さは、以下の基準により3段階で評価した。
(画像の精細さ)
(〇):ムラがなく、きれいに染色されている
(△):問題のない程度に染色されている
(×):濃淡にムラがあり、きれいに染色されていない
(画像の濃厚さ)
(〇):染色濃度が十分に濃く、きれいに染色されている
(△):問題のない程度に染色されている
(×):染色濃度が薄く、きれいに染色されていない
<評価結果>
表1に評価結果を示す。表1から明らかなように、本発明によれば、繊細なデザインの画像を、被印刷物である布帛に精細かつ濃厚に染着することができた。また、本発明によって転写捺染印刷を行った布帛は、柔軟な風合いを有していた。
その一方で、透気抵抗度が大きい転写紙を用いた比較例では、繊細なデザインを染着した際の画像の精細さおよび濃厚さが、実施例と比較して劣っていた。
また、本発明の捺染印刷用紙は、捺染印刷後の剥離性が良好で、容易に剥離することができた。

Claims (12)

  1. 原紙と、原紙上に設けられた糊層とを備え、透気抵抗度が80000秒以下である捺染印刷用転写紙を製造する方法であって、
    非接触型の塗布方式によって原紙上に糊層を設け、捺染印刷が、被印刷物に捺染紙を密着させたままで染料の固着処理を行う転写捺染印刷である、上記方法。
  2. 前記原紙上に設けられた糊層の付与量が、5〜30g/mである、請求項1に記載の方法
  3. 前記原紙の坪量が10〜100g/mである、請求項1または2に記載の方法
  4. 前記転写紙の厚さが0.01〜0.5mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法
  5. 前記糊層が、水溶性合成系バインダーと天然系糊剤を含んでなる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法
  6. 前記非接触型の塗布方式が、エアナイフ方式、カーテン方式またはダイ方式である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 固形分濃度が5〜60重量%の塗工液を塗布して糊層を設ける、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 5m/min以上の速度で糊層を設ける、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の方法で製造した転写紙上に、染色インクをプリントして捺染紙を得る工程、
    前記捺染紙を被印刷物に密着させる工程、
    捺染紙に密着させた被印刷物に対して染料を固着させる工程、
    を含む、被印刷物に捺染印刷を行う方法。
  10. 固着工程後に被印刷物から捺染紙を剥離して除去する工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
  11. 前記固着処理をスチーミングにより行う、請求項9または10に記載の方法。
  12. インクジェットプリントにより染料インクを捺染印刷用転写紙にプリントする、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
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