JP2016223047A - 繊維材料の新形状固定捺染法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来、繊維製品の伸縮性の為に不良品の発生率が高かった捺染法の問題点を解決し、精細な捺染図柄の表現と卓越した安定生産性及び環境適合性並びに柔軟な繊維の風合を再現性良く得る経済性の優れた新形状固定捺染法の開発を目的とする。
【解決手段】繊維材料を捺染するにあたり、接着性糊剤を用いて布帛と紙(又はフイルム)を貼り付けた後、布帛に水性染顔料インキを用いて印刷し、最後に染顔料を固着処理した後、仕上げる方法によって不良品の発生率が激減し、精細・堅牢で風合の良好な捺染製品が得られる。特に本発明は設備費と工程数の削減により経済性並びにエコロジー性に極めて優れた新規な捺染法を提供するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は布帛に紙又はフイルムを貼り付けて一時的に布帛を形状固定化すると共に、紙又はフイルムをインク流出による汚染防止材としても用いる事を特徴とする捺染法に係わるものである。
更に詳しくは、本発明は、繊維材料を捺染するにあたり、布帛と紙又はフイルムを貼付けた状態で水性染料インキ又は水性顔料インキを用いて布帛に柄模様又は無地を印刷し、次いで紙又はフイルムを貼付けたまま、又は紙又はフイルムを剥離してから布帛上の染料又は顔料の固着処理を行って仕上げる捺染法において、布帛と紙又はフイルムを貼付ける接着性糊剤が天然系糊剤と合成樹脂系化合物、並びに助剤の1種又は2種以上の配合によりインク受容層を形成している事を特徴とする繊維材料の新形状固定捺染法である。
本発明の様に紙又はフイルムを貼り付けた状態で、ダイレクト法では不可欠な前処理工程を省略した布帛に染顔料を付与したあと、染顔料の固着処理を実施して仕上げる捺染法は新規な加工法であるので「新形状固定捺染法」と名付けた。
従来より布帛に染顔料で図柄を堅牢・精細に描く方法として、スクリーン捺染、ローラー捺染、ロータリースクリーン捺染、グラビア印刷或いはこれらのプリント技法を用いた転写捺染法等が知られており、工業的に実施されている。
これらの製版プリント方式では色数に制約があること、3原色色分解型枠によるプリントでは多色感を表現できるが、3原色組成に用いる組成の色相・濃度を整える事が困難とか、多重層を形成する為プリント加工の再現性や精細性を欠く恐れが大きいと言う問題がある。加えて、最近の様に小ロット生産が増えると製版費用が割高となり採算が悪化する。更にプリント加工時、加工必要量に加え余剰色糊を調製する必要があり、最終的には廃棄され、型枠の洗浄作業等でも多量の排水負荷が発生する事もあって環境汚染問題から問題視されている。
これらの問題点を解決する新たな捺染法として、コンピュータで画像処理を行い、水性の染顔料インクを用いてインクジェット方式でプリントする無製版プリントが脚光を浴び、インクジェットプリンターの進歩(高速化)に従って前処理した布帛へ直接プリントするダイレクト法の成長率が著しく高くなっている。しかしながら、インクジェットプリンターによって生地に直接水性染顔料インクをプリントするダイレクト法にも下記の通り問題点が多い。
1.プリンターに付属したエンドレスベルト(搬送ベルト)へ布帛を密着させるのが難しく、完全密着しない場合はプリンターヘッドの故障の原因となる。
2.布帛を完全密着させたとしても搬送ベルトが蛇行して柄模様がずれる。
3.厚手生地や毛羽だった生地はノズルを傷めるため加工が困難。
4.薄手生地やレースはインクが裏まで浸透し搬送ベルトを汚染し柄が滲む。
吐出したインクが搬送ベルトを汚染し、インクの液滴が空気中で散乱して搬送ベルトに付着したりして布帛を汚染するので不良品が発生する。
5.ニットの様な伸縮性の著しい生地は前処理したとしても加工が困難。
6.形状安定化の為に生地の前処理糊を多量に塗布すると糊が染料の染着を阻害し、染色力が低下し濃厚・鮮明な発色が困難となる。又、多量の糊によって染料固着後の洗浄排水負荷を高める。
7.前処理糊を薄く塗布するとインクが布帛を通過して搬送ベルトを汚染する。
又、少量の糊では塗工バラツキが発生し易く、その結果染め斑や滲みが発生する。
8.搬送ベルトや搬送ベルトの洗浄装置を重装備したプリンターは高価である。
9.プリンターノズルの目詰まり防止の目的でダイレクト用インクには多価アルコール類が多量に配合されている為、画像に滲みが発生しやすく、染料固着後の洗浄排水負荷も大きい。
以上の様な理由からダイレクト法は不良品の発生率が高く、結果的にコストアップとなるので問題視されている。
上記問題点は搬送ベルトに帰因する事が多く、これらの問題を解決する方法として、特開2001−130776号には搬送ベルトに保護シートを取り付ける方法が開示されている。特開2010−234579号には搬送ベルトのクリーニング装置が開示されている。特開2012−245704号には吸引搬送ベルト清掃装置、特開2010−260242号には搬送ベルトの送り量補正方法など、搬送ベルトの改良法は多数の特許が公開されており課題が多いことを示している。
この他に、熱で昇華する昇華染料を用いたポリエステル繊維の乾式転写捺染法はポリエステルに限定される上に耐熱堅牢度も低く、高温で保管或いは輸送したり、熱処理すると汚染問題が発生して使い物にならなくなるのでアパレル向けには不適合とされている。布帛を水で湿らせ転写紙又はフイルムと合わせ強く圧着・転写する繊維材料の湿式転写法は図柄の繊細性と再現性に欠けると言う問題が生じやすく歩留まりが悪い。なお、湿式転写法に関しては、特許第2925562号、特開06−287870号等が公知である。
特許第4058470号或いは特開平06−270596号には、離型紙の上にインク受容層を塗布乾燥し、次いでプリントされたインク受容層を布帛へ乾式転写して離型紙を剥離したあと、染料をスチーミング等で固着処理する方法が開示されている。この方法の問題点は、(A)高価な離型紙を用いる事の他に、(B)インク受容層を布帛に転写する工程での剥離性(紙の剥離の再現性)に難しさがあり、インク受容層を100%布帛へ転写出来ない場合があり、部分的にインク受容層が転写紙に残ると、その部分が斑染めになり不良品が発生すると言う問題がある。(C)この加工法ではインク受容層を100%布帛へ移す必要がある為、染料固着処理後の布帛の洗浄工程で使用済の糊と樹脂は全量排水へ流れ出し、余剰染料インクも排水に流れ出すので、排水負荷が多いと言う問題があった。(D)汎用の離型剤は融点の低いものが多く、転写性を向上する為に高温、例えば150℃以上で転写すると、メルトした有機溶剤可溶性の離型剤樹脂が布帛へ付着して洗浄で落ちない為、布帛の風合いが硬くなるという問題がある。或いはメルトした樹脂がインク受容層の一部を紙に接着・残留させ、不良品が発生してしまうと言う問題が生じやすい。(E)離型剤の融点が低いので、混合糊液塗工後の乾燥温度に制約があり、生産スピードを上げる事が出来ない等の生産効率上の問題もある。
特開2001−130776号 特開2010−234579号 特開2012−245704号 特開2010−260242号 特許第2925562号公報 特開06−287870号公報 特許第4058470号公報 特開平06−270596号公報
発明が解決しようとする課題
本発明者等は、インクジェットプリント方式、グラビア印刷方式又はフレキソ印刷方式等あらゆる印刷方式での布帛へのプリント方法について鋭意研究を重ねた結果、未処理布帛又は前処理布帛に一時的接着剤を塗布した紙或いはフイルムを貼り付ける事によって伸縮性を持つ布帛の形状を固定し、次に未処理布帛の場合は紙又はフイルムを貼り付けられた布帛に前処理剤を塗布し、次いで前処理剤を塗布された布帛に水性染料インキ又は水性顔料インキを用いて柄模様を付与した後、最後に紙又はフイルムを貼り付けたまま、又は紙又はフイルムを剥離してから布帛上の染料又は顔料を固着処理(スチーミング、キュアリング等)したあとソーピングして仕上げる新しい形状固定捺染法を確立して特許出願した。
しかしながらこの捺染法は、接着剤の付与工程、貼付工程、前処理工程、印刷工程、固着・仕上げ工程から成り立っており、工程数が多いのが難点である。
そこで我々は工程数を削減する事、即ち、前処理工程を無くす方法によるコストダウンに挑戦した。なお、公知のダイレクト法に使用されている前処理剤は形状を固定する為の接着性がやや不十分の為、そのまま使用するには難があるので、その点からも工夫を凝らして接着性糊剤を開発した。
この新形状固定捺染法によって、従来多くの課題を抱えていたダイレクト法の問題点を解決しただけでなく、水性染顔料インキによるグラビア印刷、フレキソ印刷を可能し、工程合理化による実用的価値を著しく高めた。本発明の特徴は、
1. 安価な少量の接着性糊剤を塗布された紙又はフイルムによって布帛の伸縮性が無くなり形状が固定化されるので、インクジェットプリンターの価格を押し上げていた搬送ベルトや洗浄装置は不要となる。
2. 搬送ベルトへの密着性不良による高価なノズルの故障が無くなる。
3. 搬送ベルトがインクで汚染される事による生地の汚染が無くなり不良品の発生が減少する。搬送ベルトに起因する問題は全て解決される。
4. 紙或いはフイルムと布帛との密着工程はプリンターとは別個の装置で自由に最適条件(圧力、温度、スピード)を調整できるので容易確実な密着作業が可能となる。
5. 布帛は紙或いはフイルムによって形状が固定化されるので、紙或いはフイルムと同様に扱う事が可能となり、安定生産が可能となるだけでなく、グラビア印刷機やフレキソ印刷機等、高速印刷機による印刷が可能となるので大量生産も可能となる。
6. 布帛の前処理工程が無くなり、前処理剤の代わりに接着性糊剤を使用する事によって加工コストを大幅に低減できる。
課題を解決するための手段
本発明の工程短縮による合理化目的を達成する為に、本発明は次の条件で構成される。繊維材料を捺染するにあたり、布帛又は紙(又はフイルム)のどちらかに、或いは両方に接着性を有すると同時にインク受容層となる接着性糊剤を付与する第1工程、糊剤を付与された布帛と紙(又はフイルム)を貼付ける第2工程、水性染料インキ又は水性顔料インキを用いて紙(又はフイルム)を貼付けられた布帛に柄模様を印刷する第3工程、次いで紙(又はフイルム)を貼付けたまま、又は紙(又はフイルム)を剥離してから布帛上の染料又は顔料の固着処理を行ったあと仕上げる最終工程を有する新形状固定捺染法である。
布帛と紙(以降フイルムと言う言葉を省略する事がある)の接着性糊剤として使用可能な物としての天然系糊剤は動物系糊料、植物系糊料、具体的には、天然ガム糊(エーテル化タマリンドガム、エーテル化ローカストビーンガム、エーテル化グアガム、アカシアアラビア系ガム等)、繊維素誘導糊(エーテル化カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、多糖類(澱粉、グリコーゲン、デキストリン、アミロース、ヒアルロン酸、葛、片栗粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等)海藻類(アルギン酸ソーダ、寒天等)、動物性糊料(カゼイン、ゼラチン、卵蛋白等)から選択された1種又は2種以上の混合物が使用可能である。
また、この天然系糊剤に配合して接着効果を発揮する合成系樹脂類としては多種類の水性合成樹脂系バインダー、ホットメルト接着剤から選択された1種又は2種以上の混合物を挙げる事が出来る。
例えば、水溶性ポリビニルアルコール系バインダー、水溶性アクリル系バインダー、水溶性ウレタン系バインダー、水溶性ウレタン変性エーテル系バインダー、水溶性ポリエチレンオキサイド系バインダー、水溶性ポリアミド系バインダー、水溶性フェノール系バインダー、水溶性酢酸ビニル系バインダー、水溶性スチレンアクリル酸系バインダー、水溶性スチレンマレイン酸系バインダー、水溶性スチレンアクリルマレイン酸系バインダー、水溶性ポリエステル系バインダー、水溶性ポリビニルアセタール系バインダー、水溶性ポリエステル・ウレタン系バインダー、水溶性ポリエーテル・ウレタン系バインダー、水溶性ホットメルト接着剤等の水溶性接着剤から選択された1種又は2種以上の混合物が使用できる。
これらの合成樹脂系化合物は天然系糊剤に配合され接着性を高めるが、その好ましい配合率は両者の合計重量(固形分換算)に対して1〜80%である。接着性糊剤の塗布量は、生地の目付によって変化し、ドライ換算で好ましくは1〜50g/m2である。
これらの接着性糊剤を布帛又は紙に塗布する方法は、通常用いられる塗工機による塗工法、スプレー法、パッド法等が採用できる。工程の流れは、布帛又は紙へ接着性糊剤の付与→布帛と紙の貼り付け→染顔料インクによる印刷→染顔料の固着・仕上げ、以上の順番で行う事が可能である。
本発明では布帛に付与する前処理剤及び前処理工程は不要となる。その代わりに布帛と紙を接着する糊剤に接着性とインク受容性を持たせるのである。その結果、布帛の前処理工程と、布帛と紙の接着工程を1工程で行う事が出来る。その糊剤の中に助剤として固着剤、湿潤剤、浸透剤、ブリード防止剤、硬水軟化剤、帯電防止剤、均染剤、PH調整剤、濃染化剤、還元防止剤、防腐剤、防黴剤、脱気剤、消泡剤、水及び界面活性剤から選択された1種又は2種以上を配合する。
紙又はフイルムを貼り付けた布帛に対して、水性染料インク又は顔料インクを用いて柄模様(無地でもよい)を印刷する方法は、インクジェットプリンターを用いる方法、グラビア印刷機を用いる方法、フレキソ印刷機を用いる方法等、あらゆる印刷法が採用できる。染料或いは顔料を付与された布帛は紙を剥離して、又はそのまま常法でスチーミング処理、サーモゾル処理、キュアリング処理する事によって洗顔料を固着する事が出来る。
布帛を構成する繊維材料としては綿、麻、リヨセル、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維材料、絹、羊毛、獣毛等の蛋白質系繊維材料、又はナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリアクリルと呼ばれる合成繊維材料の織物、編物、不織布等の単独、混紡、混繊或いは交織品を対象として、形状固定化された布帛に対して染顔料を印刷して固着処理すれば、柄模様の滲みがなくシャープで高濃度な、再現性と精細性、鮮明性に優れた捺染物が得られる。
布帛に印刷する水性染料インク用の染料として、反応染料、酸性染料、金属錯塩型染料、直接染料、分散染料、カチオン染料を用いる事が出来、また、水性顔料インクの顔料としては2酸化チタン、亜鉛華、カーボン等の無機顔料、アントラキノン、キナクリドン、ジオキサジン、フタロシアニン、アゾ系等の有機顔料、蛍光顔料を用いる事が出来る。これらの染顔料の布帛への固着方法は、常法に従えばよい、例えば、反応染料の場合は接着性糊剤にアルカリ剤を配合しておき100℃で約10分間スチーミングすれば固着する。顔料の場合はインクに顔料用バインダーを配合しておきキュアリング等で固着する方法が一般的である。
布帛に貼り付けられる紙又はフイルムとしては、クラフトパルプ等の化学パルプ、グラインドパルプ等の機械パルプ、古紙を原料とする古紙パルプに各種填料、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、各種添加剤を配合して抄紙されたパルプ紙、再生紙、各種コート紙、ポリエステルフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリアミドフイルム、ポリ乳酸フイルム等、布帛の形状を一時的に固定化するに適した坪量20〜200gの安価な上質紙、晒し・未晒しクラフト紙、各種コート紙、又は各種合成樹脂フイルムを用いる事が出来る。
本発明は風合、繊細性、堅牢性、発色性等の卓越した捺染性能を提供し、更に設備費の大幅低減、加工の再現性向上による不良品発生の撲滅、排水負荷の削減、生産効率の向上と安定生産の達成を目指したものであって、本発明方法によりエコロジカルで、且つエコノミカルな捺染法の提供を可能ならしめた。
本発明に於いて布帛とは、綿、麻、リヨセル、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維材料、絹、羊毛等の蛋白質系繊維材料、動物系皮革、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリアクリル等の合成繊維材料の織物、編物、不織布等の単独、混紡、混繊或いは交織品が挙げられる。更に複合系繊維でも良い。
また、本発明で用いられる布帛に貼り付けられる紙又はフイルムとしては、一般的に使用されている安価な紙又はフイルムで、コート紙等の加工紙でも良いが高価な紙を用いる必要はない。重さは20g〜200g/m2、好ましくは30〜100g/m2のクラフトパルプ又はグラインドパルプ等のパルプ或いはリサイクル紙を原料として抄紙されたパルプ紙、再生紙等が用いられる。作業性から厚さは0.02〜1.0mm程度が好ましい。具体例を挙げると、日本製紙社製の上質紙、晒し又は未晒しクラフト紙、日本大昭和板紙社製の銘柄で銀竹、銀嶺、白銀等、大昭和製紙社製の片艶クラフト紙、グラシン紙、晒しクラフト紙、未晒しクラフト紙、三島製紙社製の各種コート紙などを挙げる事が出来るが、これらはほんの一例に過ぎない。
フイルムについては、ポリエステルフイルム、例えばテイジンテトロンフイルム、東レルミラー、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルムに粘着剤を塗布した既製品でもよく、厚さが0.05〜1mm程度の物を使用できる。
これらの布帛(又はフイルム)又は紙に対して接着性糊剤として、一時的接着力が強く、染色性を妨害せず、風合いを阻害する事のない天然系糊剤として[0011]及び[0012]に具体例を記載した天然ガム糊、繊維素誘導糊、多糖類、海藻類、動物性糊料、水性合成樹脂系バインダー、水溶性ホットメルト接着剤等の水溶性接着剤から選定された1種又は2種以上の混合物を塗布する。
塗布する接着性糊剤の付与量は生地の目付によって変化し、ドライ換算で好ましくは1〜50g/m2である。
接着性混合糊液の塗布装置の具体例を挙げると、コンマコーター、バーコーター、メイヤーバーコーター、グラビアコーター、リップダイコーター、スロットダイコーター、リバースコーター、エアナイフコーター、ジェットコーター、パッディングマシン、スプレーガン方式等がある。
この様にして接着性糊剤が付与された布帛と紙(又はフイルム)を貼り合わせる事によって布帛に接着性糊剤を浸透させる。
貼り付ける方法は公知のローラー型又は平板型貼り合わせ機、ラミネート機、マングル等を用いて皺や空気が入ら様に貼り合わせる事が出来る。
接着性糊剤の中に混合する助剤としては固着剤、湿潤剤、浸透剤、ブリード防止剤、硬水軟化剤、帯電防止剤、均染剤、PH調整剤、濃染化剤、還元防止剤、防腐剤、防黴剤、脱気剤、消泡剤、水及び界面活性剤等の混合物を挙げる事が出来る。例を挙げると、尿素、重曹(反応インクの場合)、メタニトロベンゼンスルフォン酸ソーダ、サンフローレンSN(濃染剤・日華化学社製)、EDTA、硫安(酸性インクの場合)、酒石酸(分散インクの場合)、水等の混合物である。
次いで、紙が貼り付けられ、インク受容層が形成された布帛に水性染顔料インクでプリントする。布帛に印刷する水性染料インク用の染料として、反応染料、酸性染料、金属錯塩型染料、直接染料、分散染料、カチオン染料を用いる事が出来る。また、水性顔料インクの顔料としては2酸化チタン、亜鉛華、カーボン等の無機顔料、アントラキノン、キナクリドン、ジオキサジン、フタロシアニン、アゾ系等の有機顔料、蛍光顔料を用いて常法によりインク化したものをプリントすればよい。プリント後原則的に紙又はフイルムを剥離する。剥離された布帛上の染顔料の固着方法は、常法に従えばよい。例えば、反応染料の1相スチーム固着法では、100〜105℃、5〜20分間のスチーミング処理、アルカリを含まないインク受容層の場合は、2相法(例えばコールドフィックス法等)が適用できる。酸性染料では100〜105℃・10〜30分間のスチーミング処理を行う。分散染料の場合は、160〜220℃1〜20分間のHTスチーミング又は乾熱処理を行う。染料の固着処理後は常法の洗浄条件(水洗、ソーピング、水洗。分散染料の場合は水洗、還元洗浄、水洗)で処理する事で、風合が良好で精細、濃厚な捺染物を得る事が出来る。
顔料の場合はインク又は接着性糊剤に顔料用バインダーを配合しておきキュアリングで固着する方法が一般的である。
本発明に於いてインクジェットプリントに使用する場合のインクとしては、染料と染料溶解剤、例えば水、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ブチルカルビトール、εカプロラクタム、尿素、チオ尿素並びに分散剤等と、必要に応じて乾燥防止剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、PH調整剤、防腐剤、防黴剤、金属イオン封鎖剤、消泡剤、脱気剤等を添加・混合して、微量の不溶物を1ミクロン以下のメンブレンフィルターでろ過・脱気したものが使用される。
染料の種属は布帛を構成する繊維の種類に応じて選択されるが、反応染料、直接染料、酸性染料、金属錯塩型染料、分散染料、カチオン染料等が適用できる。
なお、分散染料をインクジェット用にインク化する場合は、0.1〜0.3mmのジルコニュウムビーズを用いて染料の平均粒径を0.1μm程度に微粒化してからインク化する事が望ましい。
以下実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。なお、例中、%は重量%を意味する。
実施例1
紙として坪量75g/m2、1.6m幅の未晒しクラフト紙を用いた。
布帛として綿ニット(目付120g/m2)を用い、接着性糊剤としてFDアルギンBL(古川化学工業社製:アルギン酸ソーダ粉体)20g、NKバインダーAS−93HN(水溶性アクリル酸エステル系33%水溶液:新中村化学工業社製)20g、尿素70g、m−ニトロベンゼンスルフォン酸ソーダ15g、重曹25g、水160gを混合したペーストを綿ニットに対してパッド法で50g/m2付与し、直ぐ前記の紙を貼り合わせ機を用いて貼り合わせて乾燥する事によってニットの形状を固定化すると共にインク受容層を布帛に形成した。
次いで反応染料インク液(C.I.Reactive Red 226 10%、ポエチレングリコール5%、グリセリン15%、εカプロラクタム5%、イオン交換水65%)を、上記布帛にインクジェットプリンター(HYPERECO:武藤工業社製:オンデマンド型ピエゾインクジェットプリンター)によってプリントを行い、次いで紙を剥離した。
次いでこの反応染料で印刷した綿ニットを100℃・10分間、HTスチーム処理を行い、その後、常法により水洗・ソーピング・水洗・乾燥した。この様にして得られた捺染布は繊細なデザインが精細・堅牢・濃厚に染着しており、柔軟な風合を示す捺染布であった。
実施例2
実施例1に於けるNKバインダーAS−93HNの代わりにボンコートAB−901(DIC社製:水溶性アクリル酸エステル系60%水溶液)を20g用いる以外は同様に処理した結果、実施例1と同様に繊細なデザインが精細・堅牢・濃厚に染着した柔軟な風合を示す捺染布が得られた。
実施例3
実施例1に於けるNKバインダーAS−93HNの代わりにバナレジンKS−200(水溶性ポバール系20%水溶液:新中村化学工業社製)を30g用いる以外は同様に処理した結果、実施例1と同様に繊細なデザインが精細・堅牢・濃厚に染着した柔軟な風合を示す捺染布が得られた。
実施例4
実施例1に於ける繊維材料として綿ニットの代わりにリヨセル(コートルズ社登録商標:テンセル)のサテン生地を密着させ、印刷機としてはインクジェットプリンターの代りにグラビア印刷機と水性顔料グラビアインキを用いて150℃で3分間キュアリングする以外は同様に処理した結果、実施例1と同様に繊細なデザインが精細・堅牢・濃厚に染着した捺染布が得られた。
実施例5
実施例1に於ける綿ニット生地の代わりにナイロンタフタ生地を用い、混合糊剤から重曹を省く代わりに酒石酸を3g加え、染料インクとして酸性染料インク、スチーミングは100℃で30分間処理する以外は同様に処理した結果、ナイロンタフタの捺染布は繊細なデザインを有し、繊維の風合は柔軟で、耐光、洗濯、汗等の各種堅牢性も良好であった。
実施例6
実施例1に於ける混合糊剤として、ソルビトーゼC−5(エーテル化澱粉:AVEBE社製)60g、EX−100S(タマリンドガム:トモエ製糊社製)30g、ポバールAP−17(水溶性ポリビニルアルコール系 バインダー15%水溶液:日本酢ビ・ポバール社製)24g、ハイドランAP−20(水性 ポリエステル・ウレタン系バインダー45%液:DIC社製)20g、酒石酸3g、EDTA3g、水800gの混合糊液を、ポリエステルサテン生地にパッドしてマングルで絞り、次いで坪量70g/m2の上質紙を貼り付けて乾燥した。
分散染料インク液(C.I.Disperse Blue60:6%、エチレングリコール5%、グリセリン15%、ノニオン系分散剤5%、アニオン系分散剤5%、イオン交換水64%)を使用して紙を貼り付けて形状固定されたポリエステルサテン生地にプリントし、次いで紙を剥離したポリエステル生地を180℃・8分間、HTスチーム処理を行い、その後常法により水洗・還元洗浄・水洗・乾燥した。この様にして得られたポリエステル捺染布は繊細なデザインを有し、繊維の風合は柔軟であり、各種堅牢性も4級以上であった。
実施例7
実施例1に於ける原紙・未晒しクラフト紙の代わりに坪量50g/m2のポリエステルフイルムを用い、綿ニットに対するパッド・スキーズ法に於ける混合糊ペーストの付与量を30g/m2とする以外は同様に処理した結果、実施例1と同様に繊細なデザインが精細・堅牢・濃厚に染着した柔軟な風合を示す捺染布が得られた。
発明の効果
本発明は従来の捺染技術で問題の多かった柄模様のずれや汚れ等による不良品発生問題を解決し、精細な捺染図柄の表現を優れた経済性とエコロジー性の元に再現性良く安定生産できる技術を提供する全繊維材料を対象とする新形状固定捺染法に関するものである。
特に本発明方法はインクジェットプリンターの高額な部品であるノズルの故障を減らし、搬送ベルトや洗浄装置などの高額な装置を不要ならしめ、滲み、汚れ図柄のズレ等による不良品の発生を減らして効率的で安定した生産を可能とすると同時に、工程数を減らす合理化によって環境適合性と共に経済性と品質効果に一層優れた捺染法であり、捺染繊維製品の付加価値向上と用途拡大に大きく寄与する新形状固定捺染法である。

Claims (8)

  1. 布帛又は紙(又はフイルム)に接着性を有すると同時にインク受容層となる接着性糊剤を付与する第1工程、接着性糊剤を付与された布帛と紙(又はフイルム)を貼付ける第2工程、水性染料インキ又は水性顔料インキを用いて紙(又はフイルム)を貼付けられた布帛に印刷する第3工程、次いで紙(又はフイルム)を貼付けたまま、又は紙(又はフイルム)を剥離してから布帛上の染料又は顔料の固着処理を行ったあと仕上げる最終工程を有する事を特徴とする繊維材料の新形状固定捺染法。
  2. 布帛と紙(又はフイルム)を貼付けた状態で水性染料インキ又は水性顔料インキを用いて布帛に印刷し、次いで紙(又はフイルム)を貼付けたまま、又は紙(又はフイルム)を剥離してから布帛上の染料又は顔料の固着処理を行って仕上げる捺染法において、布帛と紙(又はフイルム)を貼付ける接着性糊剤が天然系糊剤と合成樹脂系化合物、並びに助剤の1種又は2種以上の配合によりインク受容層を形成している事を特徴とする請求項1記載の繊維材料の新形状固定捺染法。
  3. 布帛と紙(又はフイルム)の接着性糊剤に含有する助剤として固着剤、湿潤剤、浸透剤、ブリード防止剤、硬水軟化剤、帯電防止剤、均染剤、PH調整剤、濃染化剤、還元防止剤、防腐剤、防黴剤、脱気剤、消泡剤、水及び界面活性剤から選択された1種又は2種以上を含有する事を特徴とする請求項1乃至2記載の新形状固定捺染法。
  4. 紙(又はフイルム)を貼付けられた接着性糊剤含有の布帛に対して、水性染料インキ又は顔料インキを用いてインクジェット印刷方式、グラビア印刷方式、又はフレキソ印刷方式で印刷した後、染料或いは顔料を固着処理して仕上げる事を特徴とする請求項1乃至3記載の新形状固定捺染法。
  5. 布帛を構成する繊維材料として綿、麻、リヨセル、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維材料、絹、羊毛、獣毛等の蛋白質系繊維材料、又はナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリアクリル等の合成繊維材料の織物、編物、不織布等の単独、混紡、混繊或いは交織品を対象として、形状固定捺染する事を特徴とする請求項1乃至4に記載の新形状固定捺染法。
  6. 水性染料インク用の染料として、反応染料、酸性染料、金属錯塩型染料、直接染料、分散染料、カチオン染料を用いる事を、また、水性顔料インクの顔料として、2酸化チタン、亜鉛華、カーボン等の無機顔料、アントラキノン、キナクリドン、ジオキサジン、フタロシアニン、アゾ系等の有機顔料、蛍光顔料を用いる事を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の新形状固定捺染法。
  7. 布帛に貼り付けられる紙(又はフイルム)として、クラフトパルプ等の化学パルプ、グラインドパルプ等の機械パルプ、古紙を原料とする古紙パルプに各種填料、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、強度増強剤、各種添加剤を配合して抄紙されたパルプ紙、再生紙、コート紙、ポリエステルフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリアミドフイルム、ポリ乳酸フイルム等を用いる事を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の新形状固定捺染法。
  8. 繊維材料を捺染するにあたり、布帛又は紙(又はフイルム)のどちらかに接着性を有すると同時にインク受容層となる糊剤を付与する第1工程、どちらか一方に糊剤を付与された布帛と紙(又はフイルム)を貼付ける第2工程、水性染料インキ又は水性顔料インキを用いて紙(又はフイルム)を貼付られた布帛に柄模様(無地を含む)を印刷する第3工程、次いで紙(又はフイルム)を貼付けたまま、又は紙(又はフイルム)を剥離してから布帛上の染料又は顔料の固着処理を行ったあと仕上げる最終工程を有する事を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の新形状固定捺染法で捺染された繊維材料。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018144319A (ja) * 2017-03-03 2018-09-20 ワールド海綿株式会社 インクジェットプリンター専用の綿布用紙
WO2019208048A1 (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 インク吐出装置、印刷装置、及び、インク吐出装置の制御方法

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