JP6255991B2 - ワークの両面研磨装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ワークの両面研磨装置に関するものである。
研磨に供するワークの典型例であるシリコンウェーハなどの半導体ウェーハの製造において、より高精度なウェーハの平坦度品質や表面粗さ品質を得るために、ウェーハの表裏面を同時に研磨する両面研磨工程が一般的に採用されている。
特に近年、半導体素子の微細化と半導体ウェーハの大口径化により、露光時における半導体ウェーハの平坦度要求が厳しくなってきているという背景から、適切なタイミングで研磨を終了させることが重要であり、作業者が研磨時間を調整することにより、それを制御していた。
ところが、作業者による研磨時間の調整では、研磨副資材の交換時期や、装置の停止のタイミングのずれなど、研磨環境による影響を大きく受けてしまい、研磨量を必ずしも正確に制御できず、結局作業者の経験に頼るところが大きかった。
これに対し、例えば特許文献1では、図3に示すように、上定盤91(又は下定盤)に孔92が設けられ、上下定盤91の研磨面には孔92に対応する位置に孔92より径の大きい穴93の開いた研磨布94と、孔92より径が大きく研磨布94の穴93より径が小さく研磨布94より厚さの薄い窓材95とが設けられた両面研磨装置が提案されている。
この両面研磨装置では、測定機構(図示せず)を用いて、孔92からウェーハWの厚さを研磨中にリアルタイムで測定することができる。
特許4654275号公報
しかしながら、特許文献1の両面研磨装置では、研磨中に研磨スラリーが飛び跳ねて接着層96に接触し、接着層96を研磨スラリーに溶出させて、接着力を低下又は窓材95を剥離させ、剥がれた窓材95がウェーハWと接触することによりウェーハWに傷や汚染等を付けてしまい、ウェーハ品質を劣化させてしまうおそれがあった。
一方で、窓材95を付けずに孔92からウェーハ厚さを測定する手法では、研磨スラリーが孔92まで侵入し、孔92により区画される定盤91の内壁に研磨スラリーが固着し、あるいは、固着した研磨スラリーが剥離することにより、ウェーハWにスクラッチ等の傷を付けるおそれがあり、従って、ウェーハ品質の低下が懸念される。そして、これらのことは、ウェーハのみならず、円盤状のワークの両面研磨一般に生じうる問題である。
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、ワークの厚さをリアルタイムで計測可能であり、ワークに汚染や傷等が付くのを防止することのできる、ワークの両面研磨装置を提供することを目的とする。
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のワークの両面研磨装置は、上定盤及び下定盤を有する回転定盤と、前記回転定盤の中心部に設けられたサンギアと、前記回転定盤の外周部に設けられたインターナルギアと、前記上定盤と前記下定盤との間に設けられ、ワークを保持する1つ以上の保持孔が設けられたキャリアプレートと、を備え、前記上定盤の下面及び前記下定盤の上面に研磨パッドがそれぞれ貼布された、ワークの両面研磨装置であって、前記上定盤又は前記下定盤は、該上定盤又は該下定盤の上面から下面まで貫通した1つ以上の孔を有し、前記研磨パッドは、前記孔に対応する位置に穴が設けられ、前記ワークの両面研磨中に、前記ワークの厚さを前記1つ以上の孔及び穴からリアルタイムで計測可能な、ワーク厚み計測器をさらに備え、前記孔により区画される前記上定盤の側壁の底部、又は、前記孔により区画される前記下定盤の側壁の頂部に凹部が設けられ、前記凹部に、径が前記孔の径及び前記穴の径より大きい窓材を配置し、前記窓材は、接着層を介して、前記上定盤に設けた前記凹部により区画される上側面又は前記下定盤に設けた前記凹部により区画される下側面に固着されたことを特徴とする。
また、本発明のワークの両面研磨装置においては、前記窓材の径は、前記凹部と前記孔とがなす空洞部分の径に等しいことが好ましい。
さらに、本発明のワークの両面研磨装置では、前記凹部の高さは、前記窓材の厚さと前記接着層の厚さとの和に等しいことが好ましい。
本発明によれば、ワークの厚さをリアルタイムで計測可能であり、ワークに汚染や傷等が付くのを防止することのできる、ワークの両面研磨装置を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨装置の断面図である。 本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨装置の要部を示す部分断面図である。 従来のワークの両面研磨装置の要部を示す部分断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に例示説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるワークの両面研磨装置の断面図である。図1に示すように、この両面研磨装置1は、上定盤2及びそれに対向する下定盤3を有する回転定盤4と、回転定盤4の回転中心部に設けられたサンギア5と、回転定盤4の外周部に円環状に設けられたインターナルギア6とを備えている。図1に示すように、上下の回転定盤4の対向面、すなわち、上定盤2の研磨面である下面側及び下定盤3の研磨面である上面側には、それぞれ研磨パッド7が貼布されている。
また、図1に示すように、この装置1は、上定盤2と下定盤3との間に設けられ、ワークを保持する1つ以上の保持孔8を有する、図示例で1つのキャリアプレート9を備えている。なお、図示例では、この装置1は、キャリアプレート9を1つのみ有しているが、複数のキャリアプレート9を有していても良い。図示例では、保持孔8にワーク(本実施形態ではウェーハ)Wが保持されている。
ここで、この装置1は、サンギア5とインターナルギア6とを回転させることにより、キャリアプレート9に、公転運動及び自転運動の遊星運動をさせることができる。すなわち、研磨スラリーを供給しながら、キャリアプレート9を遊星運動させ、同時に上定盤2及び下定盤3をキャリアプレート9に対して相対的に回転させることにより、上下の回転定盤4に貼布した研磨パッド7とキャリアプレート9の保持孔8に保持したウェーハWの両面とを摺動させてウェーハWの両面を同時に研磨することができる。
さて、図1に示すように、上定盤2は、該上定盤2の上面から下面まで貫通した1つ以上(図示例では1つ)の孔10を有している。また、研磨パッド7には、孔10に対応する位置に穴11が設けられている。この例では、孔10の径d1と穴11の径d3は等しい。そして、この孔10の上方には、ワーク厚み計測器12を備えており、ウェーハWの両面研磨中に、ウェーハWの厚さを孔10及び穴11からリアルタイムで計測可能である。なお、ワーク厚み計測器12は、例えば、波長可変型の赤外線レーザ計測器とすることができる。このような計測器によれば、ウェーハWの表面での反射光と裏面での反射光との干渉を評価して、ウェーハWの厚さを計測することができる。
ここで、図2は、図1に示す実施形態にかかるワークの両面研磨装置1の要部を示す部分断面図である。図1、図2に示すように、孔10により区画される上定盤2の側壁2aの底部2b(すなわち、側壁2aの底面側の角部)には、凹部13が設けられている。
この実施形態では、凹部13は、底部2bを円環状にくり抜いた形状をした空洞部分である。
そして、図1、2に示すように、凹部13には、径d2が、孔10の径d1及び穴11の径d3より大きい窓材14が配置されている。図示例では、窓材14は、円盤状の形状であり、例えばプラスチックといった、光を透過させる材料でできている。
また、この例では、窓材14の径d2は、凹部13及び孔10がなす空洞部分の径と同一であり、窓材14は、その径方向において凹部13にぴったりと嵌まっている。
さらに、窓材14は、接着層15を介して、上定盤2に設けた凹部13により区画される上側面16に固着されている。
図示例では、凹部13の高さhが、窓材14の厚さt1と接着層15の厚さt2との和に等しく、上記窓材14(の一部分)及び接着層15により、凹部13がぴったりと埋められている構成となっている。従って、この実施形態では、窓材14の端部が研磨パッド7の上に載置された構成となっている。
なお、本発明では、凹部13の高さhは、窓材14の厚さt1と接着層15の厚さt2との和より大きくすることもでき、この場合は、研磨パッド7と窓材14との間に隙間が生じる構成となる。
ここで、接着層15は、窓材14を上側面16に固着させることができるものであれば良く、特には限定しないが、例えば、両面テープなどを用いることができる。
以下、本実施形態のワークの両面研磨装置の作用効果について説明する。
本実施形態のワークの両面研磨装置1によれば、まず、上定盤2に孔10を設け、研磨パッド7に穴11を設けているため、ウェーハWの両面研磨中に、ワーク厚み計測器12により、孔10及び穴11から光を透過させる窓材14を介して、ウェーハWの厚さをリアルタイムで計測可能である。
そして、本実施形態のワークの両面研磨装置1では、径d2が孔10の径d1及び穴11の径d3より大きい窓材14を凹部13に配置しており、接着層15は、その径d2の大きい窓材14を挟んで研磨面とは反対側に位置しているため、研磨中に研磨スラリーが接着層15まで入り込むのを窓材14により阻止される構造となっており、接着層15と研磨スラリーとの接触がなく、従って、接着層15の研磨スラリーへの溶出や接着力の低下による窓材14の剥離等のおそれがない。
さらに、凹部13は、孔10により区画される上定盤2の側壁2aの底部2bにおいて設けられており、その凹部13に径d2の大きい窓材14が配置された構造になっているため、側壁2aと研磨スラリーとの接触も防止され、研磨スラリーが孔10により区画される側壁2aに固着するおそれもない。
また、窓材14の径d2は、穴11の径d3より大きいため、仮に窓材14が剥がれるようなことがあっても、窓材14は研磨パッド7の上に載置されたままであり、窓材14がウェーハWと接触することはなく、ウェーハWに汚れや傷を付けるおそれがない。
特に、この実施形態では、凹部13に窓材14(の一部分)及び接着層15がぴったりと埋められるように各要素の寸法が決められているため、重力や研磨中の遠心力等に対しても窓材14が周囲の構成要素に支えられてより安定的となり、接着層15の剥離がさらに抑制される。
このように、本実施形態のワークの両面研磨装置1によれば、ウェーハWの厚さをリアルタイムで計測可能であり、且つ、ウェーハWに汚染や傷等が付くのを防止することができ、高品質のウェーハを提供することができる。
ここで、本発明にあっては、上述したように、窓材14の径d2は、凹部13と孔10とがなす空洞部分の径に等しいことが好ましい。隙間なく窓材14を配置することにより、より一層、研磨スラリーと接着層15及び側壁2aとの接触を抑制することができ、また、窓材14がより安定的に固定されるからである。
また、本発明にあっては、図2に示すように、凹部13の高さhは、窓材14の厚さt1と接着層15の厚さt2との和に等しいことが好ましい。隙間なく窓材14を配置することにより、凹部13により区画される回転定盤4の側壁にも研磨スラリーが接触しないようにすることができ、また、窓材14が研磨パッド7に接することで窓材14がより安定的に配置されることになるからでる。
ここで、孔10の径d1及び穴11の径d3は、この孔10及び穴11を介してワーク厚み計測器12によりウェーハWの厚さを計測可能な程度の大きさを確保すればよい。特に、孔10及び穴11を複数設ける場合には、研磨レートの低下を避けるため、ワーク厚み計測器12によりウェーハWの厚さを計測可能な最小限の大きさとすることが好ましい。
なお、孔10の径d1と穴11の径d3は、同じ大きさとすることが好ましいが、異なる大きさとすることもでき、この場合、穴11の径d3を孔10の径d1より大きくすることも小さくすることもできる。
また、窓材の径d2は、上述したように、孔10の径d1及び穴11の径d3より大きいものであるが、具体的には、特には限定しないが、例えば、径d2を径d1及び径d3より2mm以上大きくすることが、接着層15の幅を確保して窓材14を上側面16に固着させやすくするのに好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、上定盤2に孔10を設け、上定盤2に貼布した研磨パッド7に穴11を設けているが、下定盤3に孔10を設けて、下定盤3に貼布した研磨パッド7に穴11を設けても良い。
この場合は、下定盤2の側壁2aの頂部に凹部13が設けられ、凹部13に、径が孔10の径及び穴11の径より大きい窓材14を配置し、窓材14を、接着層15を介して下定盤3に設けた凹部13により区画される下側面に固着させればよい。
また、本発明では、孔10は1つのみ設けているが、2つ以上の孔10を設けてワークWの様々な位置(例えば、中央部と外周部)でのワークWの厚みを計測するようにすることもできる。この場合、例えば各孔10に対応する位置にワーク厚み計測器12を設けることができる。その他、種々の変形が可能である。
1 両面研磨装置
2 上定盤
3 下定盤
4 回転定盤
5 サンギア
6 インターナルギア
7 研磨パッド
8 保持孔
9 キャリアプレート
10 孔
11 穴
12 ワーク厚み計測器
13 凹部
14 窓材
15 接着層
16 上側面
W ワーク(ウェーハ)

Claims (3)

  1. 上定盤及び下定盤を有する回転定盤と、前記回転定盤の中心部に設けられたサンギアと、前記回転定盤の外周部に設けられたインターナルギアと、前記上定盤と前記下定盤との間に設けられ、ワークを保持する1つ以上の保持孔が設けられたキャリアプレートと、を備え、前記上定盤の下面及び前記下定盤の上面に研磨パッドがそれぞれ貼布された、ワークの両面研磨装置であって、
    前記上定盤又は前記下定盤は、該上定盤又は該下定盤の上面から下面まで貫通した1つ以上の孔を有し、
    前記研磨パッドは、前記孔に対応する位置に穴が設けられ、
    前記ワークの両面研磨中に、前記ワークの厚さを前記1つ以上の孔及び穴からリアルタイムで計測可能な、ワーク厚み計測器をさらに備え、
    前記孔により区画される前記上定盤の側壁の底部、又は、前記孔により区画される前記下定盤の側壁の頂部に凹部が設けられ、
    前記凹部に、径が前記孔の径及び前記穴の径より大きい窓材を配置し、
    前記窓材は、該窓材の一方側の面が、接着層を介して、前記上定盤に設けた前記凹部により区画される上側面又は前記下定盤に設けた前記凹部により区画される下側面に固着され
    前記窓材の他方側の面の端部が、前記研磨パッドの上面又は下面で直接覆われることを特徴とする、ワークの両面研磨装置。
  2. 前記窓材の径は、前記凹部と前記孔とがなす空洞部分の径に等しい、請求項1に記載のワークの両面研磨装置。
  3. 前記凹部の高さは、前記窓材の厚さと前記接着層の厚さとの和に等しい、請求項1又は2に記載のワークの両面研磨装置。
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