JP2009060044A - Cmp装置の研磨モニタ窓 - Google Patents

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隆 藤田
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Abstract

【課題】プラテンに研磨モニタ窓を設けたCMP装置において、窓の取付け部の隙間へスラリーが浸入して固化し、固化物がパッド上へ流出して研磨面にスクラッチを及ぼすことを防止する。
【解決手段】プラテン2に上下方向へ貫通する孔7を形成し、この孔7へ透明体の窓9を装着する。窓9の中心部を除いた周縁部とプラテンの孔7との境目を封止する防水性のシート11をプラテン2の上面に貼り、プラテン2と同様に孔8を形成したパッド5をシート11の上面に貼り付ける。パッド5上へスラリーが滴下され、ウェーハが押し当てられて研磨が行われるが、パッド5上のスラリーが窓9とプラテンの孔7との隙間に入り込むことがなく、スラリー固化物の発生を防止できる。
【選択図】図2

Description

この発明は、CMP装置(Chemical Mechanical Polishing装置)において研磨状態を検出するためのモニタ窓に関するものであり、特に、窓とその取付け部位との間隙を封止したCMP装置の研磨モニタ窓に関するものである。
CMP装置において、研磨工程中に研磨状態をリアルタイムに把握できるようにするために、回転テーブルであるプラテン及びプラテン上に載置されるポリッシング用のパッドに孔を形成し、この孔へ透明な窓を装着して、パッドへ接触しているウェーハの研磨状態をプラテンの下側から光学式検査装置などによりモニタできるようにした技術が提案されている(特許文献1,2,3など)。
しかしながら、プラテンの孔へ透明体の窓を嵌めた場合は、プラテンの孔と窓との隙間にスラリーが毛細管現象によって浸み込んで時間の経過とともに固化し、装置の使用に伴ってスラリーの固化物が成長する。このように固化したスラリーが付着部位から分離して研磨中のスラリー内に混じると、ウェーハのスクラッチが発生して致命的な問題となる。よって、或る程度の運転時間毎に窓を外し、隙間に入り込んで固化したスラリーを清掃して再度窓を嵌め込むというメンテナンス作業を頻繁に行う必要がある。
また、プラテン及びパッド内に設けた窓は頻繁に高さ調整を行う必要がある。これは窓の上に溜まったスラリーが研磨状態をモニタするための光の通過を妨げるからである。そのため、窓はウェーハに接触しない程度に十分近づけることが望ましく、中には窓を樹脂で形成してウェーハとの接触を許容するものもある(特許文献3)。
しかし、窓がウェーハと接触する程度に近接している場合は、パッドがドレッシングにより削り取られていくうちに、窓がパッドより若干突き出ることが予測される。なぜならば、透明で光を適す樹脂やガラスなどの窓よりも一般的に発泡ポリウレタンを材料とするパッドの硬度が低いため、パッドの磨耗の進行が早いからである。そして、パッドの磨耗により窓がパッドから若干突き出るようになると、ウェーハがこの窓部の上を通過する場合、ウェーハがパッドから浮く部分が生じて、ウェーハ上で均一な圧力分布が得られないために、研磨形状が悪化することが懸念される。
また、窓がウェーハに接触する場合においては、スラリーのドレッシング作用により窓もパッドと同様にその上面が削られることになる。そうした場合、窓の上面が荒くなり、ウェーハから反射された光が窓の荒れた上面で散乱し、ウェーハから反射されてきた光の収率が低下する問題がある。
このような問題に対処するため、窓の光反射状態に応じてリファレンス光量を補正しているが、窓の上面粗さによっては反射光量が著しく低下してしまうこともあり、反射光量の低下が研磨の終点検出精度を大きく劣化させる場合もある。
以上を要約すると、光を通す窓は、ウェーハに接触するかしないか程度に十分ウェーハに近づけるとともに、パッドの摩耗進行とともに随時窓の高さを調整可能とすることが望まれる。
窓と孔の間隙にスラリーが堆積することを防止するためには、間隙にOリングなどを入れて強固に固定してシールすることが考えられるが、人為的に高さ調整をする場合には適さない。一方、Oリングなどを使用してフレキシブルにシールする場合、窓の傾きが発生したり、熱変形によって生じる寸法変化により、窓がプラテン内のガイドから抜け落ちたりする虞がある。研磨を行わない待機状態では、パッドやプラテンの温度は20度程度或いはそれ以下の比較的低温であるが、研磨時にパッドの上面温度は60度近くまで上昇する。それに伴って窓や窓を固定するプラテンも同様に温度上昇するため、その温度勾配によって窓やプラテンが変形することが予想される。その変形によって、光を通す窓とプラテン間の隙間も変化するため、Oリングなどのシール部材を使用してプラテン側壁と窓外周の問でシールしたとしても、その熱変形がOリングシールの寸法公差より大きくなる場合、研磨中もしくは待機中のいずれかで漏水してしまうことが考えられる。
よって、プラテンと窓の隙間部分においては、研磨時の熱上昇による寸法変化に耐えるような方法でシールしなくてはならない。また、シールする対象も水ではなく研磨を行うためのスラリーであり、金属膜を加工する場合や絶縁膜を加工する場合は、スラリーにアルカリ等をベースにした数多くの薬剤が含まれる場合が多く、それらの薬剤の中に材料を機械的に加工するための研磨砥粒が含まれている。通常の材料でシールする場合、この研磨砥粒によってシール部材までも加工される心配があるため、スラリーの特性を踏まえた耐摩耗性のあるシール部材を使用したシール構造が望まれる。
特開平7-52032号公報 特開平7−235520号公報 特許3327817号公報
本発明は、上述した問題をふまえて提案するものであり、以下に列挙する課題を解決することを目的とする。
1.光を透過する窓とプラテンの間の隙間にスラリーが入り込んで固化し、そのスラリーの固化した分がスラリー中に入り込んで、研磨の上面にスクラッチを及ぼす悪影響を排除する。
2.プラテンやパッドや窓が研磨の熱によって寸法が変化し、その結果、スラリーをシールすることができなくなって、スラリー漏れを起こしてしまうトラブルを防ぐ。
3.光を通す窓部分がパッドの上面に対して低い位置にある場合に、窓部分にスラリーが溜まってしまい、溜まったスラリーによってウェーハに照射する光の光量、およびウェーハから反射した光の収率が非常に劣化してしまうことを防ぐ。
4.窓がウェーハに接触する場合、窓の上面がパッドによって削り取られ、その結果ウェーハからの反射光の収率が著しく低下してしまう問題を回避する。
5.窓がウェーハに接触する場合、窓とパッドのドレッシングレートの違いにより、一般的にパッドより材質的に密である窓がパッドから盛り上がる結果、均一な圧力分布形成を阻害して不均一な研磨形状となる問題を回避する。
この発明は、上記目的を達成するために提案するものであり、請求項1記載の発明は、ウェーハをパッドに摺接させて、相対運動させながら研磨を行うCMP装置の研磨モニタ窓であって、プラテン及びプラテン上へ貼ったパッドに上下へ貫通する孔を形成し、前記プラテンの孔へ透明体の窓を装着し、研磨中にプラテンの下から前記窓を通じてパッド上のウェーハの研磨面へ光を照射し、その反射光をモニタできるようにしたCMP装置の研磨モニタ窓において、プラテンの上面に、前記窓の中心部を除いた周縁部とプラテンの孔との境目を封止するシートを設け、前記シート上にパッドを貼ったCMP装置の研磨モニタ窓を提供するものである。
この構成によれば、パッドの下にあるシートによってパッドの孔の部分に溜まったスラリーが窓とプラテンの間に入り込まない。比較的透明度の高いスラリーではこのようなパッドの孔の部分にスラリーが滞在しても問題はなく、このような方法を取ることが可能となる。また、窓とプラテンの間隙を封止していない場合は、間隙内で固化した粉末が新しく侵入してくるスラリー内に混ざり込んで研磨面に作用し、被加工対象物にスクラッチなどの悪影響を及ぼすが、防水用のシートで窓とプラテンの間隙を封止した本発明では窓とプラテンの間隙にスラリーが入り込まないため、上記のような問題を生じない。
また、シートの中央部に小さい孔を設けることで研磨終点検出用の光の侵入経路を妨げることもなく、ウェーハ上面に損失なく光を照射するとともに反射光を採光することも可能となる。尚、このシートは、パッドとは別にプラテンへ貼り付けてもよいが、パッドの裏面に貼付ける両面テープそのものに防水性を持たせて、パッドと一体化しても構わない。
請求項2記載の発明は、前記窓の上面はプラテンの上面より上方へ突出しており、柔軟なシートで窓の中心部を除いた周縁部及びプラテンの上面を覆い、前記シート上にパッドを貼ったCMP装置の研磨モニタ窓を提供するものである。
透明性の低いスラリーを使用する場合、窓の上面がパッドの上面よりも低いと、窓上にスラリーが堆積して光の透過率が悪くなり終点検出精度が低下する。そのため、窓の位置をプラテンよりも高いパッドの上面付近にまで上げて固定する必要がある。その際は窓とプラテンが、面一ではなく段差を有するようになるため、その隙間のシールも困難になる。この場合、あらかじめ防永シートとして撓み性と透明窓に密着する機能を有するものを用いることで、プラテンから少し上方に突き出る形で段差がある窓とプラテンとの間隙を封止することができる。
請求項3記載の発明は、前記窓はプラテンの上面より上方へ突出しており、シートに形成した孔へ前記窓を挿入し、シートの孔壁を窓の外周面へ接触させて封止し、前記シート上にパッドを貼ったCMP装置の研磨モニタ窓を提供するものである。
この構成によれば、窓の上面がプラテン上面のはるか上方に位置した状態でも、プラテンと窓との隙間にスラリーが入り込まないように、シールすることが可能となる。また、研磨時の熱上昇によってプラテンならびに窓が変形し、プラテンと窓の隙間の寸法が多少変化したとても、シートが撓んだ状態で変形して窓の外周壁との間でシールされているため、安定してスラリーなどが漏れることなくシールすることが可能となる。さらに、このような方法を取ることによって、窓の上面を、パッドの上面のごく近傍にまで上昇させることが可能となるため、窓の上面にスラリーが滞在することで光の透過性が劣化し、その結果終点検出精度が悪くなることはない。
請求項4記載の発明は、前記プラテンの孔と窓との境目を封止するシートは、プラテンの上面の一部を覆う寸法であるCMP装置の研磨モニタ窓を提供するものである。
この構成によれば、継目を覆うシートは撥水性のものを使用することが望まれるが、撥水性のものは、同時にパッドの密着性が悪くなると言う欠点がある。そこで、継ぎ目を覆うシートはプラテン全域ではなく継ぎ目の部分だけにして、窓を囲む部分以外は通常の接着手段でパッドを接着するようにすれば、パッドの接着性低下の問題を回避できる。
請求項5記載の発明は、ウェーハをパッドに摺接させて、相対運動させながら研磨を行うCMP装置の研磨モニタ窓であって、プラテン及びプラテン上へ取付けたパッドのそれぞれに上下へ貫通する孔を形成し、前記孔へ透明体の窓を装着し、研磨中にプラテンの下から前記窓を通じてパッド上のウェーハの研磨面へ光を照射し、その反射光をモニタできるようにしたCMP装置の研磨モニタ窓において、前記窓の外周面を囲むフランジ状またはスカート状の可撓性シール部材を設け、プラテンの孔へ装着した窓の前記シール部材が、プラテンの孔壁またはパッドの孔壁と接触して、窓の外周面とプラテンの孔壁またはパッドの孔壁との間隙を封止するCMP装置の研磨モニタ窓を提供するものである。
この構成によれば、窓部材そのものにシール構造を形成しているので、パッドの裏側に大きな防水用のシートを配置することや、窓以外のパッド部分にシール部材を形成する必要がなく、簡便にメンテナンスすることが可能となる。また、研磨による熱変形によって、プラテンと窓との隙間が変化したとしても、シール部材が撓んだ状態でプラテンもしくはパッドの側壁と接触しているため、スラリーなどが漏れることなく安定してシールすることが可能となる。
請求項6記載の発明は、上記窓の上面は凸形曲面或いは傾斜平面であるCMP装置の研磨モニタ窓を提供するものである。
従来は、パッドの上面に窓の上面を極近傍まで近づけたとしても、窓の上面の方が低いため、スラリーが窓の上面に滞留してしまい、光の透過性が悪くなって終点検出精度が低下するという問題があった。また、窓とパッドとを面一にする場合においては、窓の上面にスラリーが滞留することはないが、その一方で、窓の上面は、パッドと同様にパッドドレッシングなどによって荒らされることになるため、その上面荒れによって光が散乱し、光の取り込み量が悪くなるという問題があった。しかし、本発明によれば、窓をパッドの上面より少し低い位置に設定するとともに、凸形曲面或いは傾斜平面とすることにより、光が通る経路の部分はスラリーが滞留せず、研磨中に窓を通して安定した光の取り込みが可能となる。
請求項7記載の発明は、上記窓の上面は凸形曲面或いは傾斜平面であり、窓の上面の頂点と最下点との中間部を研磨状態モニタ用の光の通過経路とした請求項1または5記載のCMP装置の研磨モニタ窓を提供するものである。
窓の上面がパッドの上面よりも低い位置である場合、窓の上面にスラリーが滞留するため、光の透過性が悪くなる。その結果終点検出精度が低下する問題がある。窓の上面をパッドの上面より高い位置にすることは、パッドの上面で研磨を行う装置においてはありえない。窓の上面とパッドの上面を同じ高さ位置にする場合、窓の上面にはスラリーが滞留しないが、窓の上面はパッドの上面と同様にパッドドレッシングにより、荒らされてしまう。そのため窓の上面が荒らされることによって、ウェーハから反射された光は荒らされた窓の上面によって散乱され、光を取り込むことが難しくなる。この構成によれば、光が通る部分は窓部材の低い位置ではなく、その頂上部より下の中間位置から光を取り入れるため、光の透過する位置には、スラリーが滞留することはなく、安定して終点検出用の光を取り込むことが可能となる。
請求項8記載の発明は、前記窓はプラテンに対して上下へスライド可能であるCMP装置の研磨モニタ窓を提供するものである。
プラテン上面と窓の上面の高さ調整について、窓の上面がパッドの上面と面一とはならないまでも少しでもパッドの上面に近づく方が、光を取り込む割合が大きくなる。こうした窓高さの調整においても、本発明のように窓がスラスト方向へ移動可能であり、その隙間にスラリーが入り込まないように窓部材にシール部分を取り付けることで、窓部材の高さを簡便に調整できるほか、調整の際に窓が傾くことはない。また、高さ調整後もスラリーが侵入してこないため、安定した終点検出を行うことができる。
請求項9記載の発明は、前記窓はプラテンに対して上下へスライド可能に装着され、前記窓の頂点はプラテン上に貼られたパッドの上面と略同一であるCMP装置の研磨モニタ窓を提供するものである。
窓の上面をパッドの上面と略同一とすると、光を取り込む割合が大きくなり、終点検出精度も向上する。しかし、パッドドレッシングなどによってパッドは絶えず削り取られて減耗していくことから、パッドの上面の位置は次第に低くなる。パッドが摩耗していくに従って、窓の上面の最も高い部分も削り取られるが、その削り取られる際、もしくは研磨している際に、窓そのものがドレッサーおよびウェーハによって下方に押され、絶えずパッドの上面と窓の上面の最も高い部分は自動的に面一の状態が構成される。また、スラスト方向にずれた場合においても、シールする部材が存在することで、嵌めあいの部分にスラリーが混入することがない。よって、安定して光を取込むことができ、頻繁なメンテナンスも不要となる。
請求項10記載の発明は、前記窓の少なくとも上面部の素材を前記パッドと同程度の減耗度合いの材質としたCMP装置の研磨モニタ窓を提供するものである。
この構成では、窓の上面部分の減耗度合いとパッドの減耗度合いとが殆ど同じになり、使用時間の経過にともなって、パッドの高さと窓の高さに差が生じることがない。
請求項1記載の発明は、プラテンの孔と窓との間隙をシートで封止しているので、この間隙にスラリーが入り込んで固化することを防止でき、パッド上へ供給されるスラリーへ固化したスラリーが混じって被加工対象物にスクラッチが生じるおそれが解消される。
請求項2記載の発明は、撓み性と透明窓に密着する機能を有するものを用いることで、プラテンから少し上方に突き出る形で段差がある窓とプラテンとの間隙を封止することができ、窓の位置をプラテンよりも高くして光透過率及び終点検出精度を向上させることができる。
請求項3記載の発明は、シートに形成した孔へ前記窓を挿入し、シートの孔壁を窓の外周面へ接触させて封止するので、窓の上面がプラテン上面のはるか上方に位置した状態でも、プラテンと窓との隙間にスラリーが入り込まないように、シールすることが可能となる。これにより、窓の上面をパッドの上面のごく近傍にまで上昇させることが可能となるため、光透過率及び終点検出精度を向上させることができる。
請求項4記載の発明は、そこで、プラテン全域ではなく窓の継ぎ目の部分だけをシートで覆うので、撥水性のシートが介在することによるパッドとプラテンの密着性の低下を低減できる。
請求項5記載の発明は、窓部材そのものにシール構造を形成しているので、メンテナンスが簡便であり、また、シール部材が撓んだ状態でプラテンもしくはパッドの孔壁と接触しているため、温度変化によりプラテンと窓との隙間が変化したとしても封止性能が安定している。
請求項6記載の発明は、窓の上面を凸形曲面または傾斜平面とすることにより、光が通る経路の部分にはスラリーの滞留がなく、窓を通じて安定した光の取り込みが可能となる。
請求項7記載の発明は、窓の上面を凸形曲面または傾斜平面とし、窓の上面の頂点と最下点との中間部を研磨状態モニタ用の光の通過経路とすることによって、窓の頂点が研磨されたとしても、安定して終点検出用の光を取り込むことができる。
請求項8記載の発明は、窓をプラテンに対して上下へスライド可能とすることにより、窓の高さを簡便に調整できる。また、高さ調整によってスラリー封止機能が変化することもなく、安定した終点検出を行うことができる。
請求項9記載の発明は、窓がプラテンに対して上下へスライド可能であり、その頂点はプラテン上に貼られたパッドの上面と略同一であるので、光を取り込む割合が大きくなり、終点検出精度も向上する。パッドドレッシングによってパッドとともに窓の上面の最も高い部分も削り取られるが、研磨中は、窓そのものがドレッサーおよびウェーハによって下方に押され、パッドの上面と窓の上面の最も高い部分は自動的に面一となり、高さ調整などのメンテナンスの手間が軽減される。
請求項10記載の発明は、窓の少なくとも上面部の素材をパッドと同程度の減耗度合いの材質とすることにより、先の請求項8及び請求項9記載の発明の作用効果に加えて、窓の上面部分とパッドの減耗度をほとんど同一にすることが可能である。また、例えば、窓の頂部をパッドと同じ材料にすることによって、窓の頂部がドレッシングによって削り取られ、その削り取られた窓の削り屑が研磨面に混入したとしても、ウェーハ面にスクラッチを及ぼすなどの有害な事象は起こらない。
本発明は、ウェーハをパッドに摺接させて、相対運動させながら研磨を行うCMP装置の研磨モニタ窓であって、プラテン及びプラテン上へ貼ったパッドに上下へ貫通する孔を形成し、前記プラテンの孔へ透明体の窓を装着し、研磨中にプラテンの下から前記窓を通じてパッド上のウェーハの研磨面へ光を照射し、その反射光をモニタできるようにしたCMP装置の研磨モニタ窓において、プラテンの上面に、前記窓の中心部を除いた周縁部とプラテンの孔との境目を封止するシートを設け、前記シート上にパッドを貼る構成とすることにより、光を透過する窓とプラテンの間の隙間にスラリーが入り込んで固化し、そのスラリーの固化した分がスラリー中に入り込んで、研磨の上面にスクラッチを及ぼす悪影響を排除するという目的を達成した。
図1はCMP装置1を示し、円盤形のプラテン2はモータ3を用いた駆動機構4の上に取付けられていて、プラテン2の上面にパッド5が貼り付けられている。プラテン2の上方且つプラテン2の回転中心から変位した位置に配置された研磨ヘッド6は、プラテン2よりも小径の円盤形であり、その下面に研磨対象であるウェーハWが取付けられている。研磨工程においては、パッド5の上面にスラリー供給装置(図示せず)から研磨薬液であるスラリーが滴下され、研磨ヘッド6はウェーハWがパッド5の上面へ接触する高さまで下降されるとともに、プラテン2と研磨ヘッド6がそれぞれ回転駆動されてウェーハWの被研磨面(下面)が研磨される。
図2に示すように、プラテン2とパッド5とには上下へ貫通する孔7,8が形成されていて、プラテン2の孔7内に透明体の窓9が埋め込まれている。プラテン2が1回転するごとに、窓9は研磨ヘッド6に装着されたウェーハWの下面を通過する。図1に示すように、プラテン2の下面側、且つ研磨ヘッド6の鉛直下方には研磨終点検出装置の対物レンズ10が配置されている。図示は省略しているが、対物レンズ10は光ファイバー製の二分岐光ガイドを介して光源ユニットとポリクロメータとへ接続されていて、光源ユニットのハロゲンランプが発する白色光は対物レンズ10から垂直上方へ投射され、プラテン2並びにパッド5の孔7,8が対物レンズ10の上を通過するときに、窓9を通じて研磨ヘッド6の下面のウェーハWで反射した光が、対物レンズ10から二分岐光ガイドを通じてポリクロメータへ入射する。
この入射光は、ポリクロメータ内の回折格子によって所定の波長ごとに分光され、分光されたそれぞれの光強度に応じた電気信号に変換されてコンピュータへ出力される。コンピュータは、ポリクロメータから出力された反射光の波長ごとの光強度信号に基づいて研磨の終点判定を行う。すなわち、ウェーハWが研磨されて異なる膜が露出すると、反射光のスペクトルが変化するので、コンピュータはこれに基づき研磨の終点判定を行う。
そして、研磨終点に達したときは、自動または手動でCMP装置1が停止されて研磨ヘッド6は初期位置へ上昇し、研磨が終了したウェーハWは研磨ヘッド66から取外される。尚、ここでは研磨終点検出手段として、ポリクロメータを用いた例を述べたが、これに限らず公知である他の光学的或いは電気的な距離計測手段、画像解析手段など種々の手段を適用することができ、研磨終点検出手段を限定するものではない。
尚、研磨する条件は次の条件を使用するとよい。
研磨パッド:発泡ポリウレタンパッド(ニッタハース社製IC1000)
研磨スラリー:酸化膜の場合は、ヒュームドシリカスラリー、キャボット社製SS12
タングステンの場合、キャボット社製SSW2000など
銅の場合、東京磁気印刷社製Cu01など
研磨対象膜:酸化膜、タングステン膜、Cu膜
パッド(プラテン)回転数:50rpm
ウェーハ回転数:50rpm
研磨時間:1min
図2は、プラテン2及びパッド5の窓部分を横切る断面図である。プラテン2にはT形断面形状の孔7が形成されていて、この孔7と対偶をなす形状の窓9が孔へ嵌めこまれている。光学樹脂などで形成された透明な窓9の上面はプラテン2の上面と同一高さであり、プラテン2上へシート11が貼り付けられている。シート11は防水性の素材のもので、窓9の上面の面積よりも小さい孔12が形成されており、シート11の孔12の中心と窓9の中心とが一致するようにプラテン2へ貼付されて、シート11が窓9の外縁部とプラテン2の孔7との間隙を封止している。
研磨時にウェーハWの上面へ滴下されたスラリーの一部はパッド5の孔8内へ溜まるが、シート11によって窓9の外縁部とプラテン2の孔7との間隙を封止しているので、この間隙にスラリーが入り込むことはない。また、透明度の高いスラリーを使用する場合は、パッド5の孔8内へスラリーが溜まっても、研磨終点検出装置の光の減衰は無視できる程度である。しかし、透明度の低いスラリーを使用する場合は、窓9の上に存在するスラリーの光学的影響を軽減する必要が生じる。
図3は、窓9の高さを上げて、孔8内へ溜まるスラリーの光学的影響を軽減するもので、窓9の上部はプラテン2の上面から上方へ突出しており、パッド5の上面と窓9の上面との高さの差を減少させている。この場合、防水用のシートとして伸縮性のある柔軟な防水素材を用いることで、シート11の孔12部分が窓9の突出形状に合わせて窓9の上面縁部に密着し、窓9の外縁部とプラテン2の孔7との間隙を封止している。
図4は、他の実施形態を示し、シート11に窓の平面寸法よりもやや小さい寸法の孔12を設け、シート11の孔12を窓9の上部が貫通している。この場合、シート11の孔部分が窓9の外周面に密着して窓9の外周面とプラテン2の孔7との間隙を封止している。図3の実施形態においては、シート11の柔軟度等の物性によっては窓9の高さをあげることに制限が生じることがあるが、図4のようにシート11の孔12を窓9が貫通するようにすることで、窓9の高さについての制約はなくなり、窓9の上面をパッド5の上面とほぼ同一の高さとすることも容易である。
上述した実施例では、プラテン2の上面全部を覆う防水用のシート11を用いた例を示したが、図5に示すように、窓9を囲む部分のみをシート11で覆うようにしてもよい。窓9とプラテン2の孔7との継目を覆うシート11は防水性のものを使用することが望まれるが、防水性のものは撥水性も高いためパッド5の接着性が悪くなる。したがって、本実施例のように窓9を囲む部分以外は通常の接着手段でパッド5をプラテン2へ接着するようにすれば、パッド5の接着性低下の問題を回避できる。尚、継目を覆う部分だけにシート11を配置した場合、その上からパッド5を貼付けると、プラテン2上にシート11が存在する部分だけパッド5が盛上がることになる。そのため、パッド5の下面のシート11に当たる部分を、シート11の厚さと等しい深さの凹面とし、継目を覆うシート11上にパッド5を貼り付けても、パッド5が盛り上がらないように対処することが望ましい。
尚、図2、図3、図4、図5において、例えば、パッド5として発泡ポリウレタンパッドが使用され、ニッタハース社製IC1000などが好適である。シート11の材質としては、PETフィルム、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどが使用可能である。シート11とパッド5を一体化させる両面テープは、母材にもよるが市販の両面テープを使用できる。窓9の材質は、アクリルや透明塩化ビニル、或いは石英ガラスなどのいずれでもよい。
図6は、プラテン2側ではなく、窓9にシール部材13を設けた例を示し、窓9の外周面に可撓性のスカート状シール部材13が貼りつけられている。窓9を装着するためのプラテン2の孔7は、シール部材13が入り込めるように窓9よりも大きい寸法であり、窓9をプラテン2の孔7へ上方から挿入すると、スカート状のシール部材13の下縁部が孔7の壁面に当たり、摩擦抵抗によりシール部材13の下部が孔7へ接触したまま上方へ折曲がって、窓9の外周面とプラテン2の孔7との間隙を封止する。シール部材13の素材は、例えばクロロプレンゴムなどがよく、耐食性が問題になる場合はシリコーンゴムなどが好適である。
ここでは、窓9そのものにシール部材13を設けているので、窓部分のメンテナンスを簡単に行え、プラテン2に大きな防水用のシートを配置する必要がない。また、研磨による熱変形によって、プラテン2の孔7と窓9との隙間が変化したとしても、シール部材13は常にプラテン2もしくはパッド5の孔壁7,8と接触しているため、スラリーがプラテン2の孔7と窓9との隙間に入ることはない。
図7は、窓の上面を凸形曲面とした例で、凸形曲面の窓14とプラテン2の孔7との封止構造は、図4の例と同一であるが、図6のように窓14にシール部材を設けてもよい。このように窓14の上面を水平面ではなく凸形曲面とすることにより、窓14上にスラリーが落下しても、スラリーは重力により窓14の曲面に沿って外周へ流れていくので、窓14の中心部にスラリーが滞留することがなく、下方の対物レンズ10からの投射光量及びウェーハからの反射光量の減衰やノイズ的変動を軽減できる。窓14の表面は、球面以外の断面が台形形状をした凸状体でもよい。窓材のトップ部分にスラリーがたまらない構成であればどのような形状でも好適に使用できる。
図8は、同一目的の他の実施例を示し、窓の上面を傾斜平面としたもので、傾斜平面の窓15の作用効果は図7の凸形曲面の窓14と同様である。窓15の表面はスラリーが流れ落ちる程度の傾斜がついていればよい。例えば、5mm幅に対して1mm下降する程度の傾斜でもよい。
図9は、プラテン2に対して窓14を上下へスライド可能とした例で、シール部材13による封止構造は前述した図6の例と同一である0。窓14の下部の小径なガイド部14aは、プラテン2のT形断面の孔7の下部小径部7aへ上下スライド自在に嵌合していて、窓14の高さを簡便に調整でき、窓14の高さ調整により研磨終点検出装置の光の損失を低減できるとともに、窓14とプラテン2の孔7との間隙をシール部材13によって封止しており、高さ調節を行っても封止性能が変化することがなく、安定した研磨状態計測を行うことができる。
図9のように、窓14の頂点をプラテン2上に貼られたパッド5の上面と略同一の高さとして窓14とウェーハWの面との間隙をなくした場合、パッド5はスラリーにより削られて減耗し、パッド5の上面の高さは次第に低くなり、これに伴って窓14の上面頂点部分は研磨作用を受けるが、窓14はウェーハWによって下方へ押され、窓14の頂点はパッド5の上面と自動的に面一となる。したがって、窓14がパッド5から盛上がることがないので、ウェーハWの接触状態が不均一になることはなく、窓の高さを頻繁に調整する必要はなくなる。
窓の上面をウェーハの研磨面へ可及的に接近させた場合、凸形曲面の窓14においては、窓の中心、即ち凸形曲面の頂点がパッド5の上面と同様にドレッシングにより荒らされて、窓14の頂点を通過する光は散乱してしまうことになる。したがって、研磨される可能性がある窓14の頂点を避けて、光が窓の頂点と周縁部との中間を通過するように、研磨終点検出装置の対物レンズ10の光軸を窓の中心から変位させることにより、光は無傷の面を通ることになって、安定して研磨状態を計測することができる。
また、図9の例に限らず、窓の頂点をプラテン上に貼られたパッドの上面と略同一の高さとして、窓とウェーハの面との間隙をなくす場合は、窓の上面部或いは全体の素材をパッドと同程度の減耗度合いの材質とすれば、パッドと窓の減耗度が殆ど同じになり、使用時間の如何に関わらずパッドの高さと窓の高さに差が生じることがなく、窓の高さを頻繁に調整する手間が省ける。
尚、この発明は上記の実施形態に限定するものではなく、この発明の技術的範囲内において種々の改変が可能であり、この発明がそれらの改変されたものに及ぶことは当然である。
CMP装置の一例の斜視図。 本発明の研磨モニタ窓の実施形態を示す断面図。 本発明の研磨モニタ窓の他の実施形態を示す断面図。 本発明の研磨モニタ窓の他の実施形態を示す断面図。 本発明の研磨モニタ窓の他の実施形態を示す断面図。 本発明の研磨モニタ窓の他の実施形態を示す断面図。 本発明の研磨モニタ窓の他の実施形態を示す断面図。 本発明の研磨モニタ窓の他の実施形態を示す断面図。 本発明の研磨モニタ窓の他の実施形態を示す断面図。
符号の説明
1 CMP装置
2 プラテン
3 モータ4 駆動機構
5 パッド
6 研磨ヘッド
7 孔
8 孔
9 窓
10 対物レンズ
11 シート
12 孔
13 シール部材
14 窓
15 窓

Claims (10)

  1. ウェーハをパッドに摺接させて、相対運動させながら研磨を行うCMP装置の研磨モニタ窓であって、プラテン及びプラテン上へ貼ったパッドに上下へ貫通する孔を形成し、前記プラテンの孔へ透明体の窓を装着し、研磨中にプラテンの下から前記窓を通じてパッド上のウェーハの研磨面へ光を照射し、その反射光をモニタできるようにしたCMP装置の研磨モニタ窓において、
    プラテンの上面に、前記窓の中心部を除いた周縁部とプラテンの孔との境目を封止するシートを設け、前記シート上にパッドを貼ったCMP装置の研磨モニタ窓。
  2. 前記窓の上面はプラテンの上面より上方へ突出しており、柔軟なシートで窓の中心部を除いた周縁部及びプラテンの上面を覆い、前記シート上にパッドを貼った請求項1記載のCMP装置の研磨モニタ窓。
  3. 前記窓はプラテンの上面より上方へ突出しており、シートに形成した孔へ前記窓を挿入し、シートの孔壁を窓の外周面へ接触させて封止し、前記シート上にパッドを貼った請求項1記載のCMP装置の研磨モニタ窓。
  4. 前記プラテンの孔と窓との境目を封止するシートは、プラテンの上面の一部を覆う寸法である請求項1記載のCMP装置の研磨モニタ窓。
  5. ウェーハをパッドに摺接させて、相対運動させながら研磨を行うCMP装置の研磨モニタ窓であって、プラテン及びプラテン上へ取付けたパッドのそれぞれに上下へ貫通する孔を形成し、前記孔へ透明体の窓を装着し、研磨中にプラテンの下から前記窓を通じてパッド上のウェーハの研磨面へ光を照射し、その反射光をモニタできるようにしたCMP装置の研磨モニタ窓において、
    前記窓の外周面を囲むフランジ状またはスカート状の可撓性シール部材を設け、プラテンの孔へ装着した窓の前記シール部材が、プラテンの孔壁またはパッドの孔壁と接触して、窓の外周面とプラテンの孔壁またはパッドの孔壁との間隙を封止するCMP装置の研磨モニタ窓。
  6. 上記窓の上面は凸形曲面或いは傾斜平面である請求項1または5記載のCMP装置の研磨モニタ窓。
  7. 上記窓の上面は凸形曲面或いは傾斜平面であり、窓の上面の頂点と最下点との中間部を研磨状態モニタ用の光の通過経路とした請求項1または5記載のCMP装置の研磨モニタ窓。
  8. 前記窓はプラテンに対して上下へスライド可能である請求項1または5記載のCMP装置の研磨モニタ窓。
  9. 前記窓はプラテンに対して上下へスライド可能に装着され、前記窓の頂点はプラテン上に貼られたパッドの上面と略同一である請求項6または7記載のCMP装置の研磨モニタ窓。
  10. 前記窓の少なくとも上面部の素材を前記パッドと同程度の減耗度合いの材質とした請求項9記載のCMP装置の研磨モニタ窓。
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