JP6254765B2 - メサ型半導体素子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
従来、半導体基板及びガラス膜を切断する工程として、特許文献1には、ブレーキング(劈開)により半導体基板及びガラス膜を切断する手法が開示されている。また、特許文献2には、ブレードダイシングにより半導体基板及びガラス膜を切断する手法が開示されている。
また、ガラス膜を切断する工程自体がないため、ガラス膜にクラックが発生することを防ぐことができる。さらに、半導体素子形成用基板の切断位置がずれることも防止できるため、メサ型半導体素子の歩留まり向上を図ることもできる。
上記製造方法によれば、従来のように半導体基板の他方の主面にパターンや切り込みを形成する等の処理を施すことなく、半導体素子形成用基板を製造できるため、メサ型半導体素子を製造する工程数を削減し、製造効率の向上を図ることができる。
シリコン酸化膜は電気絶縁性を有しているため、上記粉末付着工程を実施する際にはガラス粉末がシリコン酸化膜上に付着することを抑制できる。その結果、製造後の半導体素子形成用基板において、メサ溝内に形成されたシリコン酸化膜がガラス膜によって覆われることを防止できる。
上記酸化膜形成工程は、メサ溝を形成する工程(溝形成工程)と同様であるため、これら溝形成工程及び酸化膜形成工程を同一の装置で実施でき、製造効率の向上をさらに図ることができる。
上記製造方法によれば、レジストをメサ溝の内面に成膜されたシリコン酸化膜上に均一の厚さで形成することが可能となる。すなわち、レジスト塗布工程においてメサ溝がレジストで埋まってしまうことを防止できる。
上記製造方法では、少ない工程数かつ短時間でシリコン酸化膜をメサ溝の底部に形成することが可能となる。
以下、図1〜10を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、この実施形態に係るメサ型半導体素子1はメサ型ダイオードであり、半導体基板2と、半導体基板2の両主面2a,2bに形成された電極層3,4と、を備えて大略構成されている。また、各電極層3,4上には、例えば半田層(不図示)が形成されていてもよい。
本実施形態の半導体基板2は、第一導電型(n型及びp型の一方の導電型)及び第一導電型とは反対の第二導電型(n型及びp型の他方の導電型)の半導体層(不図示)を半導体基板2の厚さ方向(図1において上下方向)に適宜重ねて構成されている。
メサ型半導体素子1を製造するためには、予め図7に示す半導体素子形成用基板10を製造しておく必要がある。半導体素子形成用基板10を製造する際には、はじめに、半導体基板2の一方の主面2a側や他方の主面2b側に、第一導電型や第二導電型の不純物を拡散して、第一導電型や第二導電型の半導体層を形成する拡散工程を適宜実施した上で、図2に示すように、半導体基板2の一方の主面2aにメサ溝7を形成する溝形成工程を実施する。
その後、フォトリソグラフィによりレジストに所定パターンを形成し(露光現像工程)、パターン化されたレジストをマスクとして上記シリコン酸化膜をエッチングする(エッチング工程)。これにより、上記シリコン酸化膜にレジストと同様の所定パターンが形成される。なお、上述したシリコン酸化膜及びレジストの所定パターンは、一方の主面2aのうちメサ溝7の形成予定領域が露出するように形成される。
なお、上記溝形成工程におけるエッチングは、ドライエッチングやウェットエッチングなどの任意のエッチングであってよい。
最初の成膜工程では、図3に示すように、メサ溝7の内面全体にシリコン酸化膜9を形成する。次のレジスト塗布工程では、シリコン酸化膜9全体に感光性樹脂からなるレジスト11を重ねて塗布する。
なお、図3では、上記成膜工程及びレジスト塗布工程の実施により、シリコン酸化膜9及びレジスト11が半導体基板2の一方の主面2a全体にも順次重ねて形成されているが、例えば一方の主面2aに形成されなくてもよい。
上記酸化膜形成工程後には、上述したレジスト11を除去する。
はじめに、電着によりガラス粉末をメサ溝7の内面に付着させる粉末付着工程を実施する。ここで、シリコン酸化膜9は電気絶縁性を有するため、上記工程においてガラス粉末はシリコン酸化膜9上に付着することが抑制され、シリコン酸化膜9の形成領域(メサ溝7の底部)を除くメサ溝7の内面に付着する。その後、ガラス粉末を焼成してガラス膜8とする焼成工程を実施することで、メサ溝7の底部を除くメサ溝7の内面にガラス膜8が形成される。
また、上記ガラス膜形成工程後の状態においては、シリコン酸化膜9がガラス膜8によって覆われていない。また、シリコン酸化膜9に隣り合う位置におけるガラス膜8の厚みが、シリコン酸化膜9の厚みよりも大きい。すなわち、シリコン酸化膜9とガラス膜8との間には段差が形成されている。
本実施形態の半導体基板2は、第一導電型(n型及びp型の一方の導電型)及び第一導電型とは反対の第二導電型(n型及びp型の他方の導電型)の半導体層(不図示)を半導体基板2の厚さ方向(図7において上下方向)に適宜重ねて構成されている。
電極層3,4は、例えば、半導体基板2の各主面2a,2b上にニッケル・シリサイド膜(Ni−Si膜)とニッケルめっき層とを順番に積層して構成されている。
また、本実施形態の半導体素子形成用基板10では、シリコン酸化膜9がガラス膜8によって覆われていない。さらに、本実施形態では、シリコン酸化膜9の厚みが、これと隣り合う位置におけるガラス膜8の厚みよりも小さい。すなわち、シリコン酸化膜9とガラス膜8との間には、段差が形成されている。
この切断工程においては、図9に示すように、レーザー光Lを半導体基板2の一方の主面2a側からシリコン酸化膜9に照射する。この際、シリコン酸化膜9がレーザーエネルギーを吸収して溶融するため、レーザー光Lが半導体基板2(メサ溝7の底部)に到達し、半導体基板2をメサ溝7に沿って切断することができる。なお、本実施形態では、シリコン酸化膜9がガラス膜8によって覆われないため、ガラス膜8にレーザー光Lが照射されることはなく、レーザー光Lがガラス膜8において散乱することもない。
そして、本実施形態ではレーザー光Lの照射によって第二電極層4も切断される。なお、図9において二点鎖線で囲まれる領域CAは、レーザー光Lによる半導体素子形成用基板10の切断部分の一例を示している。
また、上記切断工程においては、レーザー光Lによる半導体素子形成用基板10の切断部分の外側に位置するガラス膜8が過剰に溶けたり変性しないように、また、半導体基板2全体が過剰に加熱されないように、メサ溝7の長手方向に移動するレーザー光Lの移動速度を調整するとよい。
また、例えば切断工程においてシリコン酸化膜9が全て溶融された場合、製造後のメサ型半導体素子1においてはガラス膜8の外周縁にシリコン酸化膜9が存在しない。なお、この場合には、切断工程においてガラス膜8のうちシリコン酸化膜9に隣接する部分が溶融されるため、ガラス膜8の切断面の表面粗さが、ガラス膜8の他の面よりも粗く、また、従来のように半導体素子形成用基板10を劈開により切断した場合のガラス膜8の切断面よりも粗くなる。
また、切断工程においてガラス膜8を切断する工程自体がないため、ガラス膜8にクラックが発生することを防ぐことができる。さらに、劈開の場合と比較して半導体素子形成用基板10の切断位置がずれることも抑制できるため、メサ型半導体素子1の歩留まり向上を図ることもできる。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態と比較して、半導体素子形成用基板10の一部製造工程のみが異なっており、その他については、第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同様の構成については同一符号を付す等して、その説明を省略する。
したがって、上記製造方法によって得られる半導体素子形成用基板10、及び、これを用いて製造されるメサ型半導体素子1は、第一実施形態と同様となる。
また、本実施形態の半導体素子形成用基板10の製造方法では、酸化膜形成工程においてレーザー光の照射によりシリコン酸化膜9を形成するため、第一実施形態のようにフォトリソグラフィ等を利用したシリコン酸化膜9の形成と比較して、少ない工程数かつ短時間でシリコン酸化膜9をメサ溝7の底部に形成することができる。
例えばシリコン酸化膜9の厚みは、ガラス膜8の厚みより小さいことに限らず、例えばガラス膜8の厚み以上であってもよい。
さらに、上記実施形態の半導体素子形成用基板10及びメサ型半導体素子1は、電極層3,4を備えているが、例えば備えていなくてもよい。
2 半導体基板
2a 一方の主面
2b 他方の主面
7 メサ溝
8 ガラス膜
9 シリコン酸化膜
10 半導体素子形成用基板
L レーザー光
Claims (2)
- 半導体基板の一方の主面にメサ溝が形成され、該メサ溝の内面にガラス膜を形成した半導体素子形成用基板であって、
前記メサ溝の内面のうち底部にシリコン酸化膜が形成され、
前記シリコン酸化膜の形成領域を除く前記メサ溝の内面に前記ガラス膜が形成されている半導体素子形成用基板の製造方法であって、
前記半導体基板の一方の主面に前記メサ溝を形成する溝形成工程と、
前記メサ溝の内面のうち底部にシリコン酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、
該酸化膜形成工程後に、前記ガラス膜を前記メサ溝の内面に形成するガラス膜形成工程と、を備え、
前記酸化膜形成工程が、
前記メサ溝の内面全体にシリコン酸化膜を形成する成膜工程と、
前記シリコン酸化膜上全体にレジストを塗布するレジスト塗布工程と、
フォトリソグラフィにより前記レジストが前記メサ溝の底部上にのみ残るように前記レジストをパターニングする露光現像工程と、
前記パターニングされた前記レジストをマスクとして前記シリコン酸化膜をエッチングするエッチング工程と、を備え、
前記レジスト塗布工程において、霧状の前記レジストを前記メサ溝内に吹きつけることを特徴とする半導体素子形成用基板の製造方法
によって製造される半導体素子形成用基板を用いてメサ型半導体素子を製造するメサ型半導体素子の製造方法であって、
メサ溝に沿って前記半導体素子形成用基板を切断する切断工程を備え、
該切断工程において、レーザー光を前記半導体基板の一方の主面側から前記シリコン酸化膜に照射することによって、前記シリコン酸化膜を溶融させて前記レーザー光を前記メサ溝の内面に到達させ、
該切断工程において、YAGレーザーを使用することを特徴とするメサ型半導体素子の製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法によって製造されるメサ型半導体素子であって、
前記メサ溝に形成された前記ガラス膜の外周縁に前記シリコン酸化膜が形成されていることを特徴とするメサ型半導体素子。
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