JP6254569B2 - 冬虫夏草子実体の人工培養方法及び冬虫夏草を含有する機能性食品 - Google Patents

冬虫夏草子実体の人工培養方法及び冬虫夏草を含有する機能性食品 Download PDF

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Description

本発明は、冬虫夏草子実体の人工培養方法及び冬虫夏草を含有する機能性食品に関する。
冬虫夏草とは、広義には昆虫(宿主)に寄生する菌類であり、冬季に宿主である昆虫に寄生し、昆虫の養分を徐々に吸い取って、夏季になると昆虫を殺して発芽し子実体を形成する子嚢菌類バッカクキン科のキノコである。
冬虫夏草の子実体(一般にキノコと呼ばれる部分)は不老長寿の妙薬として古来より貴重な漢方薬として珍重されてきた。
冬虫夏草には、抗腫瘍作用が確認されているコルジセピン、癌細胞に有効な免疫物質であるβ−グルカン、体内の癌細胞を殺すナチュラルキラー細胞数を増やし活性化したり、睡眠をコントロールしたり、免疫力を強化するホルモンであるメラトニン、腫瘍壊死因子であるTNF−α、活性酸素を除去するスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)等が有効成分として豊富に含まれていることが知られている。
現在、冬虫夏草は、抵抗力や体力を高める栄養補助食品としての価値が非常に高まっており、種々の冬虫夏草類の人口栽培物が販売されている。しかしその中には広義の冬虫夏草類には分類され、人工栽培が容易であるものの、冬虫夏草本来の効能・効果が必ずしも得られないものもある。
しかしながら、古来より珍重されてきた天然の冬虫夏草類、即ち、昆虫に寄生して生育する菌種はほぼ絶滅状態にあり、現在では人口栽培に依存している。
天然の冬虫夏草と同様に、昆虫の身体から発芽した子実体が得られる栽培方法としては、生きた蚕のサナギ(宿主)に冬虫夏草菌を人工的に寄生させて冬虫夏草子実体を収穫する方法が知られているが、季節が限定され、時間も手間もかかり、大量に生産することは不可能である。
そこで、生きた昆虫を使用しない冬虫夏草子実体の人口栽培方法としては、死んだ蚕のサナギを宿主として利用する特許文献1に記載の方法等が知られている。この方法によって、季節に限定されることなく、冬虫夏草子実体を大量に生産できるようになった。
特許第2676502号公報
特許文献1の方法では、死んだ蚕のサナギを宿主として利用しているため、得られる冬虫夏草子実体の粉末に虫体の成分等の不純物が混入するという問題があった。
本発明の目的は、高品質の冬虫夏草子実体及びそれを含む機能性食品を提供することである。
宿主である昆虫又はその死骸を用いずに冬虫夏草、特に冬虫夏草として有用性の高いサナギタケを栽培するには、どのような培地及び成分が必要かは知られていなかった。
本発明者らは、生きた蚕や死んだ蚕のサナギを用いずに、天然に生育する冬虫夏草と同等の品質を有し、かつ安全性に優れ、臭気等に問題の生じない冬虫夏草子実体の人口栽培方法を鋭意研究した。その結果、冬虫夏草に養分を与える昆虫、即ち、宿主の代替物として絹糸フィブロイン膜及び所定の成分を含有する培養液を用いることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の冬虫夏草子実体の人口栽培方法、機能性食品等が提供される。
1.冬虫夏草子実体の人工栽培方法であって、
宿主代替物として絹糸フィブロイン膜を用い、当該膜の一部が空気中に露出するように培養液を入れた培地を準備する工程、
前記培地の絹糸フィブロイン膜の前記空気中に露出した部分に冬虫夏草の種菌を接種する工程、及び
前記冬虫夏草の種菌を培養して冬虫夏草の子実体を形成させる工程
を含む冬虫夏草子実体の人工栽培方法。
2.前記冬虫夏草の種菌が、サナギタケ(学名:Cordyceps militaris)である1に記載の冬虫夏草子実体の人口栽培方法。
3.前記絹糸フィブロイン膜が、天蚕絹糸フィブロインからなる1又は2に記載の冬虫夏草子実体の人口栽培方法。
4.上記培養液が、麦芽エキス1.0〜3重量%、酵母エキス0.1〜0.4重量%、及びグルコース0.5〜1.5重量%を含む1〜3のいずれかに記載の冬虫夏草子実体の人口栽培方法。
5.前記絹糸フィブロイン膜を予め水に浸漬して含水させて用いる1〜4のいずれかに記載の冬虫夏草子実体の人口栽培方法。
6.1〜5のいずれかに記載の冬虫夏草子実体の人口栽培方法によって得られた冬虫夏草子実体及び宿主代替物である前記絹糸フィブロイン膜を凍結乾燥した後、粉砕する冬虫夏草子実体粉体の製造方法。
7.6に記載の冬虫夏草子実体粉体の製造方法で得られた冬虫夏草子実体粉体に、水を加えてオートクレーブで加圧・加熱して抽出液を得る工程、
前記抽出液を遠心分離して上清を得る工程、及び
前記上清を凍結乾燥して粉末を得る工程
を含む冬虫夏草子実体粉末の製造方法。
8.7に記載の冬虫夏草子実体粉末の製造方法で得られた冬虫夏草子実体粉末を含有する機能性食品。
本発明によれば、高品質の冬虫夏草子実体及びそれを含む機能性食品が提供できる。
本発明によれば、高品質の冬虫夏草子実体を季節に関係無く安定して供給することができる。
現在、NBRCより入手可能な冬虫夏草類の菌株のリストである。 現在、NBRCより入手可能な冬虫夏草類の菌株のリストの続きである。 現在、NBRCより入手可能な冬虫夏草類の菌株のリストの続きである。
<冬虫夏草子実体の人工栽培方法>
本発明の冬虫夏草子実体の人工栽培方法(以下、本発明の方法という)は、
宿主代替物として絹糸フィブロイン膜を用い、当該膜の一部が空気中に露出するように培養液を入れた培地を準備する工程、
前記培地の絹糸フィブロイン膜の前記空気中に露出した部分に冬虫夏草の種菌を接種する工程、及び
前記冬虫夏草の種菌を培養して冬虫夏草の子実体を形成させる工程
を含むことを特徴とする。
「冬虫夏草」とは、広義には本願明細書の背景技術に記載したような、昆虫(宿主)に寄生する菌類であり、例えば、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NITE Biological Resource Center;NBRC)等から入手可能な種類が挙げられる。現在、NBRCより入手可能な冬虫夏草類の菌株のリストを図1に示す。
図1に示したリストのうち、サナギタケ(学名:Cordyceps militaris)が特に有効成分を豊富に含有しており価値が高く、好ましい。
「子実体」とは、通常、キノコの上の部分、つまり傘と太い柄のような部分を意味する。子実体は胞子をつくる器官で、糸状の菌糸体が多数集まってできたものである。ここで、冬虫夏草の菌糸体は液体培地でも生育させることがでる。菌糸体は人工栽培の種菌として使用でき、薬効成分を抽出することもできるが、市場価値という点では子実体に遠く及ばない。冬虫夏草の子実体は有効成分を多く含むが、人工栽培することが困難なためである。
宿主代替物として用いる絹糸フィブロイン膜は、天蚕、家蚕、野蚕等が生産する絹糸の主成分である絹糸フィブロインを溶解し、この溶解液から形成された膜である。従来は、絹糸フィブロイン膜は、新素材の膜として利用することしか意図されていなかった。本発明は、これを冬虫夏草等の菌類を人工栽培するための固体培地として利用するものであり、絹糸フィブロイン膜の新たな用途をも提案するものである。
フィブロインは10数種類のアミノ酸が交互に連結してできており、約35%がグリシン、約27%がアラニンで占められ、他にセリン、チロシンの割合が高いという特徴を持っている。他の多くのタンパク質と比較しても、これら側鎖の小さいアミノ酸が90%にも及ぶ高い比率で含まれている例はなく、特に、成分で最も多いグリシンは、コラーゲンや天然保湿因子の原料になる他、神経を静める作用、目覚めがよくなる作用、あるいはコレステロール値の抑制や免疫力の向上などの働きがあることが知られている。また、アラニンは、グリシン同様、コラーゲンや天然保湿因子の原料になる他、体内でエネルギーに変わるとともに、疲れにくく、肝機能をサポートする働き、体脂肪を分解する働きも認められている。さらに、セリンは表皮や爪、髪をつくるシステインの基でもある。本発明者は、こうした有用なアミノ酸を豊富に含み、高い吸水性と高い粘着性を有するフィブロインに着目し、冬虫夏草類の宿主代替物として利用することを思いついた。
本発明の方法で用いる絹糸フィブロイン膜は、天蚕、家蚕、野蚕等が生産する絹糸を原料として製造することができるが、特に有用で良質なアミノ酸を豊富に含む天蚕絹糸フィブロインから製造されたものであることが好ましい。
尚、本発明において「天蚕」とは、ヤママユだけでなく、ブナアオシャチホコも含む。
天蚕絹糸フィブロイン膜は、例えば、特許第2824630号に記載の天蚕絹糸フィブロイン膜の製造方法で得ることができる。上記特許方法の最終生産物は、不溶化した天蚕絹糸フィブロイン膜であるが、本発明では、最終生産物である不溶化したフィブロイン膜だけでなく、不溶化処理する前の中間物質である水溶性天蚕絹糸フィブロイン膜も使用できる。
天蚕絹糸フィブロイン膜は、具体的には次のようにして製造できる。
天蚕絹糸フィブロインは、天蚕絹糸から製造することもできるが、天蚕の繭層及び天蚕を繰糸する際の副産物である諸糸やビスを精錬して得ることが経済的で望ましい。精錬は、天蚕絹糸フィブロインに、例えば、0.67%のマルセル石鹸を100倍容加え、98℃で40分間加熱を2回繰り返すことが好ましい。
精錬された天蚕絹糸フィブロインを、タンパク質と結合してキレート化合物を作り可溶化する銅エチレンジアミン溶液で溶解する。具体的には、水酸化第二銅:エチレンジアミン=6.0:8.3〜8.6(g/100mL,水)の範囲の配合比率による銅エチレンジアミン溶液を用いることが好ましい。
次に、天蚕絹糸フィブロイン溶解溶液から銅イオンを除去する。銅イオンはフィブロインと強固に結合しており解離し難いので、フィブロインをゲル化することなく銅イオンを解離できる銅イオン解離剤溶液を用いることが好ましい。銅イオン解離剤溶液としては、例えば、1.23〜1.24規定の硫酸、クエン酸、酒石酸及び酢酸等が好ましい。
フィブロイン溶解溶液に銅イオン解離剤溶液を加えて銅イオンを解離させた後、フィブロイン溶液を透析して銅イオンを除去し、再生天蚕絹糸フィブロイン溶液を得る。
再生天蚕絹糸フィブロイン溶液を、例えば、アクリル板上に展開し、常温で、緩やかな気流によって乾燥することによって、水溶性天蚕絹糸フィブロイン膜を得る。水溶性天蚕絹糸フィブロイン膜の含水率は、通常5〜10重量%程度である。
水溶性天蚕絹糸フィブロイン膜を、例えば、60℃の75%エタノールに30分程度漬けて不溶化することで、水不溶性のフィブロイン膜とすることができる。水不溶性とすることで、取扱いが容易となる。
天蚕絹糸フィブロイン膜は、予め水に浸漬して含水させてから用いることが好ましい。水への浸水時間は、特に制限されず、フィブロイン膜が十分に含水できればよい。具体的には浸漬時間は、1時間程度で十分である。
フィブロイン膜が十分に含水されていると、冬虫夏草の種菌への養分の供給が促進される。
本発明の方法で用いる培養液は、冬虫夏草類が当該培養液中で菌糸体を形成できるものであればよい。具体的には、麦芽エキス1.0〜3重量%、酵母エキス0.1〜0.4重量%、及びグルコース0.5〜1.5重量%を含むことが好ましい。尚、培養液には必要に応じてペプトン等や、通常の菌類の培養液に用いる添加剤を添加してもよい。
本発明の方法では、天蚕絹糸フィブロイン膜の一部が空気中に露出するように培養液を入れた培地を用いる。培地が準備できた段階で、オートクレーブによる滅菌処理を行うことが好ましい。
培地を収容する容器は特に制限されず、フィブロイン膜の一部が培養液から空気中に露出した状態を保持できる形状、サイズを有していればよい。例えば、試験管や、特許文献1に開示されているような、上部を開口した箱状の容器を複数の小室に区切ったものでもよい。
次に、上記培地のフィブロイン膜が空気中に露出した部分に冬虫夏草の種菌を接種する。
冬虫夏草の子実体の形成に用いる種菌は、例えば、上述したNBRCから入手した菌株を、上述したのと同様の培養液に寒天を添加した寒天培地に接種して、15〜25℃の温度で数日培養して菌糸体を成長させた寒天種菌であることが好ましい。寒天種菌は、菌糸体が成長した寒天培地を例えば、直径5mm程度に小さく切断して用いることができ好ましい。
尚、フィブロイン膜の空気中に露出した部分に冬虫夏草の種菌を接種する理由は、種菌が培養液中に漬かってしまうと、菌糸体は生育するが、子実体が形成され難いからである。
冬虫夏草の種菌を接種した後、培養器に通気性の蓋をし、温度を制御しながら培養する。
培養温度は、室温程度でよく、例えば、20℃が好ましい。
本発明の方法によれば、培養開始(種菌接種)から約4週間で分生子が形成され、約6週間で子実体が形成され、適時に収穫を行う。
<冬虫夏草子実体粉体の製造方法>
本発明の冬虫夏草子実体粉体の製造方法は、上記本発明の方法によって得られた冬虫夏草子実体及び宿主代替物である前記絹糸フィブロイン膜を凍結乾燥した後、粉砕することを特徴とする。
本発明の方法では、虫体を用いていないため、培地であるフィブロイン膜ごと生成物を凍結乾燥し粉砕した粉体には不純物が少なく、臭気等にも問題は生じない。
<冬虫夏草子実体粉末の製造方法>
本発明の冬虫夏草子実体粉末の製造方法は、
上記本発明の冬虫夏草子実体粉体の製造方法で得られた冬虫夏草子実体粉体に、水を加えてオートクレーブで加圧・加熱して抽出液を得る工程、
前記抽出液を遠心分離して上清を得る工程、及び
前記上清を凍結乾燥して粉末を得る工程
を含むことを特徴とする。
用いる水は、超純水であることが好ましい。
本発明の冬虫夏草子実体「粉末」の製造方法によれば、上記本発明の冬虫夏草子実体粉体の製造方法で得られた冬虫夏草子実体の「粉体」をさらに精製して、冬虫夏草の有効成分が濃縮され、より不純物が少ない子実体の「粉末」が得られる。
尚、上記抽出液を得る工程を2回繰り返すことが好ましい。
具体的には、1回目のオートクレーブによる抽出液を遠心分離し、濾過して濾液(上清)を回収する。残渣に再び超純水を添加し、1回目と同様にオートクレーブ処理によって得た抽出液を濾過して得た濾液(上清)を1回目の濾液と合わせ、吸引濾過して濾液を回収する。このように抽出操作を2回繰り返すことで、さらに不純物を低減した高純度の子実体粉末が得られる。
<冬虫夏草子実体粉末を含有する機能性食品>
本発明の機能性食品は、上記本発明の冬虫夏草子実体粉末の製造方法で得られた冬虫夏草子実体粉末を含有することを特徴とする。
本発明の冬虫夏草子実体粉末の製造方法で得られた子実体粉末は、従来の人口栽培方法によって得られる子実体粉末に比べて純度が高く、異臭等もないため、ヒトや動物の医薬や機能性食品の有効成分として有用であり、かつ使用しやすい。
本発明の機能性食品には、冬虫夏草子実体粉末以外に、目的とする効能・効果に応じて他の有効成分を含有させてもよい。また、医薬や機能性食品に用いられる固体状や液体状の賦形剤、添加剤等を適宜添加してもよい。
子実体粉末の投与量は、剤型や目的とする効能等に応じて濃度を調整してヒトや動物に投与すればよい。投与量は、特に制限されるものではないが、ヒトであれば、子実体粉末投与量が10〜50mg/(kg・day)の範囲が好ましく、25mg/(kg・day)程度がより好ましい。
本発明の機能性食品の形態は、液状であってもよいし、粉末や錠剤、カプセル剤等であってもよい。
以下、製造例及び実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの製造例及び実施例によって何ら限定されるものではない。
製造例1:天蚕絹糸フィブロイン膜の製造
絹糸繊維の表面を被覆しているセリシンや単繊維間を固着させているセリシン等を除去するために、マルセル石鹸を混合溶解した精練液に原料の天蚕繭層(1/4カット)を浸漬して精錬を行った。その後、繭層フィブロインを乾燥させた。
精錬し乾燥させた天蚕繭層約50gに、銅エチレンジアミン溶液(水酸化第二銅:エチレンジアミン=9.0:12.9(g/130mL、水)150mLを加え、20〜25℃で3分間攪拌し、フィブロイン溶解溶液を得た。
この溶解溶液のpHを7.4〜7.7に調整し、透析チューブへ充填し、20℃の水道水で3日、さらに純水で1日透析を行って銅イオンを除去し、再生フィブロイン分散溶液を得た。
再生フィブロイン分散溶液を、展開トレー上に展開し、25℃の清浄環境での緩やかな気流により2日間かけて乾燥させてフィブロイン膜を形成した。乾燥した膜を展開トレーから剥離して、水溶性フィブロイン膜を得た。この膜を60℃の75%エタノールに30分程度漬けて不溶化し、宿主代替物となる天蚕絹糸フィブロイン膜を得た。得られたフィブロイン膜の含水率は7重量%であった。
下記実施例1では、得られたフィブロイン膜を3×3cmのサイズにカットして用いた。
製造例2:培養液の作成
麦芽エキス2.0重量%、酵母エキス0.2重量%、グルコースを1.0重量%添加して培養液を作成した。この培養液は、実施例1で子実体形成用の培地に用いた他、製造例3の種菌の作成にも用いた。
製造例3:寒天種菌の作成
麦芽エキス2.0重量%、酵母エキス0.2重量%、グルコースを1.0重量%添加した培養液に寒天を添加して寒天培地を作成した。この寒天培地にサナギタケを接種して、15〜25℃の温度で培養して菌糸体を育成した。
菌糸体が成長した寒天培地を直径5mm程度となるようにカットして寒天種菌とした。
実施例1:子実体の栽培
(1)製造例1で製造した乾燥した天蚕絹糸フィブロイン膜を1時間水に浸漬して十分に含水させた後、試験管に入れ、ここに製造例2で作成した培養液1mLを注入し、フィブロインゲルの一部が空気中に露出するようにした。
この後、オートクレーブで120℃、30分間の加熱滅菌を行い、子実体形成のための培地とした。
(2)種菌の接種及び子実体の栽培
製造例3で作成した寒天種菌を、上記(1)の培地のフィブロイン膜の空気中に露出した部分に載せて接種した。
この後、通気性を有する栓を試験管の上部開口部に取り付けて、20℃の培養室で培養した。
培養開始から28日で分生子が形成され、44日には子実体が形成された。培養開始から子実体形成までの日数は、例えば、特許文献1の栽培方法と同等であった。
実施例2:子実体粉体の製造
実施例1で得られた子実体を、培地のフィブロイン膜と共に凍結乾燥させた後、粉砕し、子実体粉体を得た。
実施例3:子実体粉末の製造
実施例2で得られた子実体粉体63gに、500mL(子実体粉体の約8倍容(W/V))の超純水を加え、オートクレーブで105℃、60分間処理して抽出液を得た。
この抽出液を4℃で、10,000rpmで10分間遠心分離を行い、上清を定性濾紙で濾過し回収した。
定性濾紙上に残った残渣に再び超純水500mLを添加し、上記と同じ条件で2回目の抽出を行った。
2回目の抽出液を濾過して得た濾液を回収し、1回目の抽出で得られた上清(濾液)と混合し、吸引濾過を行って濾液を回収した。
吸引濾過で得られた濾液を凍結乾燥し、子実体粉末を得た。
実施例3で得た子実体粉末の成分分析結果を表1に示す。また、比較例1として、特許文献1に記載の栽培方法によって得られた冬虫夏草子実体から上記実施例2及び3と同様にして得た子実体粉末の成分分析結果を比較例1として示す。
Figure 0006254569
表1から、本発明の方法によって得られる冬虫夏草子実体は、従来の虫体を用いる栽培方法によって得られるものとほぼ同様の組成を有していることがわかる。
また、冬虫夏草の主な有効成分の1つであるβ−グルカンについては、従来の約1.5倍と多く含まれることがわかる。
本発明の方法で得られた冬虫夏草子実体は、医薬や機能性食品の高品質な原料として有用である。

Claims (8)

  1. 冬虫夏草子実体の人工栽培方法であって、
    宿主代替物として絹糸フィブロイン膜を用い、当該膜の一部が空気中に露出するように培養液を入れた培地を準備する工程、
    前記培地の絹糸フィブロイン膜の前記空気中に露出した部分に冬虫夏草の種菌を接種する工程、及び
    前記冬虫夏草の種菌を培養して冬虫夏草の子実体を形成させる工程
    を含む冬虫夏草子実体の人工栽培方法。
  2. 前記冬虫夏草の種菌が、サナギタケ(学名:Cordyceps militaris)である請求項1に記載の冬虫夏草子実体の人口栽培方法。
  3. 前記絹糸フィブロイン膜が、天蚕絹糸フィブロインからなる請求項1又は2に記載の冬虫夏草子実体の人口栽培方法。
  4. 上記培養液が、麦芽エキス1.0〜3重量%、酵母エキス0.1〜0.4重量%、及びグルコース0.5〜1.5重量%を含む請求項1〜3のいずれかに記載の冬虫夏草子実体の人口栽培方法。
  5. 前記絹糸フィブロイン膜を予め水に浸漬して含水させて用いる請求項1〜4のいずれかに記載の冬虫夏草子実体の人口栽培方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の冬虫夏草子実体の人口栽培方法によって得られた冬虫夏草子実体及び宿主代替物である前記絹糸フィブロイン膜を凍結乾燥した後、粉砕する冬虫夏草子実体粉体の製造方法。
  7. 請求項6に記載の冬虫夏草子実体粉体の製造方法で得られた冬虫夏草子実体粉体に、水を加えてオートクレーブで加圧・加熱して抽出液を得る工程、
    前記抽出液を遠心分離して上清を得る工程、及び
    前記上清を凍結乾燥して粉末を得る工程
    を含む冬虫夏草子実体粉末の製造方法。
  8. 請求項7に記載の冬虫夏草子実体粉末の製造方法で得られた冬虫夏草子実体粉末を含有する機能性食品。
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