JP6252402B2 - 加熱ロールおよびそれを備えた成膜装置 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に金属薄膜が成膜される長尺樹脂フィルムを外周面に巻き付けて加熱する加熱ロールおよびそれを備えた成膜装置に関する。
液晶ディスプレイのドライバ回路にはフレキシブル性に優れ且つ微細配線にも適していることが望まれており、そのためフィルム状の回路基板の上に半導体デバイスを実装したCOF(Chip On Film)が多用されている。COFの回路基板の作製は、例えば真空雰囲気でポリイミドフィルム上にNi−Crの合金薄膜および銅薄膜を成膜し、電解めっきで銅薄膜を厚膜化していわゆる銅ポリイミド基板を形成した後、その金属膜部分を配線加工することが行われている。
上記のポリイミドフィルム上の金属薄膜の成膜は、一般にスパッタ装置が使用されており、該スパッタ装置では巻出ロールから引き出された長尺状の樹脂フィルムに対して加熱して水分を除去する乾燥工程と、プラズマで表面を前処理する前処理工程と、スパッタリングで表面に成膜するスパッタ工程とをこの順で連続的に施した後、巻取ロールで巻き取るようになっている。このようにいわゆるロールツーロールでの成膜処理には樹脂フィルムのような薄い長尺基板を用いるため、熱膨張後の伸縮時に該長尺基板にシワがはいりやすい。これを防ぐため、上記した一連の工程においてはフィルムを適切に加熱若しくは冷却することが必要になる。
上記したスパッタ装置で樹脂フィルムを加熱する場合は、樹脂フィルムを搬送するロールとロールの間の搬送経路に沿って設けた赤外線ヒーターからの輻射熱で加熱する方法と、加熱された搬送ロールからの熱伝導を使用して加熱する方法とがある。後者の方法としては、例えば特許文献1およびそこで引用されている文献に、誘導加熱を利用した加熱ロールが開示されている。また、特許文献2にはガイドロールの外周面に対向するように設けた外部ヒーターで当該外周面を加熱することで加熱されたガイドロールにする方法が開示されている。
特許第2698753号公報 特開2013−142177号公報
しかしながら、特許文献1の加熱ロールは電磁誘導で加熱を行うものであるため、加熱ロールの材質を熱伝導率の低い鉄系にすると共にその肉厚を10mm程度にする必要があった。そのため、外周面の温度分布が不均一になりやすく、ヒートパイプ等を補助的に使用するなどの必要性が生じて構造がより複雑になるうえ、重量が重くなって樹脂フィルムの搬送速度に合わせて自由に回転させることが困難になることがあった。このように、自由な回転が困難になるほど回転抵抗が大きい場合は、一般にモーター等の回転駆動手段で回転を行う回転駆動式ロールにすることが行われる。しかしながら、多数の加熱ロールを使用する場合は構造が複雑になるので好ましくない。また、張力センサー付き加熱ロールには通常は回転駆動手段を備えることができない。
一方、特許文献2のガイドロールはその外周面の一部を外部ヒーターで局所的に加熱するものであるため、ガイドロールの外周面全体を均一に加熱することが困難であった。更に、スペース的に制約の多いスパッタ装置内において外部ヒーターを設置するスペースを確保するのは困難になる場合が多かった。このように、連続的に搬送される長尺樹脂フィルムの搬送速度に合わせて連れ回り可能ないわゆるフリーロール(従動ロールとも称する)構造の加熱ロールが求められていた。
本発明はかかる従来の課題に着目してなされたものであり、連続的に搬送される長尺基板を外周面に巻き付けることによって該長尺基板に連れて回転し、これにより該長尺基板の搬送をガイドしながら加熱する簡易なフリーロール構造の加熱ロールを提供することを目的としている。特に、ロールツーロールで搬送される長尺基板を真空中で処理する真空処理装置に設けられる多数の加熱ロールや張力センサーを有する加熱ロールに好適に使用されるフリーロール構造の加熱ロールを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る加熱ロールは、真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺基板を巻き付けて加熱する外周面を備えた円筒部材と、前記円筒部材の中心軸部分に位置し、その両端部に設けられた軸受を介して前記円筒部材を回転可能に支持する固定軸とからなる加熱ロールであって、前記円筒部材の内周面より内側に複数の赤外線ヒーターが設けられており、前記円筒部材の周方向に沿って前記複数の赤外線ヒーターが等間隔に配されており、これら複数の赤外線ヒーターの各々の起動が前記真空チャンバーの外部で行われることを特徴としている。
本発明によれば、連続的に搬送される長尺基板をガイドしながら加熱する簡易なフリーロール構造の加熱ロールを低コストで提供することができる。
本発明の加熱ロールを備えた真空成膜装置の一具体例を示す正面図である。 本発明に係る加熱ロールの一具体例を示す断面図である。
以下、本発明の加熱ロールおよびこれを搭載した長尺基板の処理装置の一具体例について図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、図1を参照しながら、長尺基板の真空処理装置の一具体例として、ロールツーロールで搬送される長尺耐熱性樹脂フィルムに対して熱負荷の掛かるスパッタリング法で成膜処理を施す真空成膜装置50について説明する。この図1に示す真空成膜装置50はスパッタリングウェブコータとも称される装置であり、ロールツーロール方式で搬送される長尺状の耐熱樹脂フィルムFの表面に連続的に成膜処理を施す場合に好適に用いられる。
具体的に説明すると、真空成膜装置(スパッタリングウェブコータ)50は、真空チャンバー51内で巻出ロール52からキャンロール56を経て巻取ロール64に至る搬送経路に沿ってロールツーロール方式で搬送される長尺耐熱性樹脂フィルムFに対してスパッタリング成膜を行うものであり、この搬送経路を画定する各種のロールが後述するように配されている。
真空チャンバー51内は、当該スパッタリング成膜のため、到達圧力10−4Pa程度までの減圧と、その後のスパッタリングガスの導入による0.1〜10Pa程度の圧力調整及び減圧状態の維持のため、図示しないドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置が具備されている。スパッタリングガスにはアルゴンなど一般的な不活性ガスが使用され、目的に応じてさらに酸素などの反応性ガスが添加される。真空チャンバー51の形状や材質は、このような減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく、種々のものを使用することができる。
この真空チャンバー51内の巻出ロール52からキャンロール56までの搬送経路には、長尺耐熱性樹脂フィルムFを案内するフリーロール53、長尺耐熱性樹脂フィルムFの張力の測定を行う張力センサーロール54、およびキャンロール56の外周面に長尺耐熱性樹脂フィルムFを密着させるべくモータ駆動のキャンロール56の周速度に対して速度調整が可能なモータ駆動のフィードロール55がこの順で配置されている。
また、キャンロール56から巻取ロール64までの搬送経路も、上記同様に、キャンロール56の周速度に対する調整を行うモータ駆動のフィードロール61、長尺耐熱性樹脂フィルムFの張力の測定を行う張力センサーロール62、および長尺耐熱性樹脂フィルムFを案内するフリーロール63がこの順に配置されている。
上記巻出ロール52及び巻取ロール64では、パウダークラッチ等によるトルク制御によって長尺耐熱性樹脂フィルムFの張力バランスを保っている。キャンロール56の内部には冷却水などの冷媒が循環する流路が形成されており、該キャンロール56の外周面に巻き付く長尺耐熱性樹脂フィルムFを冷却できるようになっている。すなわち、長尺耐熱性樹脂フィルムFに対して後述するスパッタリング成膜手段による熱負荷のかかるスパッタリング成膜処理をキャンロール56で冷却しながら行えるので、シワの発生などの熱負荷に起因する問題を抑えることができる。
上記したキャンロール56の外周面によって画定される長尺耐熱性樹脂フィルムFの搬送経路に対向する位置に、スパッタリング成膜手段としてのマグネトロンスパッタリングカソード57、58、59および60がこの順に搬送経路に沿って設けられている。これらカソードにより、長尺耐熱性樹脂フィルムFの表面に効率よく金属膜をスパッタリング成膜することができる。
なお、金属膜のスパッタリング成膜の場合は、これらスパッタリングカソード57〜60には板状のターゲットを使用することができるが、板状ターゲットはターゲット上にノジュール(異物の成長)が発生することがある。これが問題になる場合は、ノジュールの発生がなく、ターゲットの使用効率も高い円筒形のロータリーターゲットを使用してもよい。また、長尺耐熱性樹脂フィルムFの成膜は上記したマグネトロンスパッタリングカソードによるスパッタリング成膜に限定されるものではなく、スパッタリングカソードに代えてCVD(化学蒸着)法や真空蒸着法などの真空成膜手段を用いても良い。
次に、図2を参照しながら、本発明の加熱ロールの一具体例について、該加熱ロールが上記真空成膜装置50のフリーロール53に用いられる場合を例に挙げて説明する。この本発明の一具体例の加熱ロール1は、ロールツーロールで搬送される長尺耐熱性樹脂フィルムが巻き付く外周面10aを備えた円筒部材10と、この円筒部材10の中心軸部分に位置し、該円筒部材10を回転可能に支持する固定軸20とを有している。
円筒部材10の材質としては、所定の速度で搬送される長尺耐熱性樹脂フィルムに連られて小さい抵抗で回転するためにはできるだけ軽いものが好ましく、且つ外周面の全面に亘って均一な温度分布が得られるためにはできるだけ高い熱伝導率を有するものが好ましい。これらの条件を満たす材質としては、アルミニウムもしくは銅、またはその合金を挙げることができる。
アルミニウムやアルミニウム合金では強度が不足する場合は、例えばステレンスなどヤング率の比較的高い材質で形成した筒状部材の外周面側にアルミニウムやアルミニウム合金を被覆させたいわゆるスタック材を使用してもよい。なお、円筒部材10の肉厚部内に流路を形成したり、円筒部材10の内周面に溶接等でパイプを取り付けたりしてヒートパイプを形成してもよい。
固定軸20の両端部にはそれぞれツバ状部材21が設けられており、各ツバ状部材21の周縁部に複数のベアリングボールまたはベアリングローラからなる軸受22が周方向に等間隔に配されている。この軸受22を介して円筒部材10は固定軸20を中心にして自由に回転できるようになっている。かかる構造により、加熱ロール1のうち搬送中の長尺耐熱性樹脂フィルムのガイドのために回転が必要となる部分をほぼ最小限度の重量にすることができ、長尺耐熱性フィルムの搬送速度に合わせて極めて小さい回転抵抗で自由に回転させることが可能になる。
これら円筒部材10、ツバ状部材21、および固定軸20で画定される環状の空間内に複数の赤外線ヒーター30が設けられている。これら赤外線ヒーター30は、支持部材23によって固定軸20に支持されている。なお、周方向に等間隔にヒーター支持用の切り欠き部もしくは開口部を有する円板状部材を用いることでこの支持部材23を後述する邪魔板と共用してもよい。赤外線ヒーター30の給電ケーブル30aはツバ状部材21に設けられた貫通孔を経て外部に引き出され、図示しない電源に接続している。上記の環状空間内に設置できるのであれば、赤外線ヒーター30の種類は特に制約はなく、あらゆるタイプの赤外線ヒーターを使用することができる。例えば石英ガラスの筐体の内側にヒーターが封じられたヘレウス社製の赤外線ヒーターを用いることができる。
赤外線ヒーター30は、その表面から等方的に輻射熱が放射される構造を有しているので、局部的な過熱が生じる電磁誘導に比べて円筒部材10の内周面を均等に加熱することができ、極めて高い温度均一性を有する円筒部材10を得ることができる。加えて、前述したように円筒部材10の材質を熱伝導率の高いアルミニウムもしくは銅またはその合金、あるいはそのスタック材を使用することで温度均一性をより一層高くすることができる。
このように、本発明の一具体例の加熱ロール1は、赤外線ヒーター30の全体が円筒部材10の内側の閉空間内に収容されているので、赤外線ヒーター30で発生した熱エネルギーの大部分を円筒部材10の加熱に使うことができ、熱効率に優れている。但し、円筒部材10に伝えられる熱にバランスするように円筒部材10から長尺耐熱性樹脂フィルムに熱が伝わらなければ、赤外線ヒーター30全体の温度が上昇し、許容温度を超えて破損するおそれがある。この問題を防ぐため、赤外線ヒーター30の表面には熱電対などの第1温度測定手段31を設置するのが好ましい。
また、一般に赤外線ヒーター30は両端部の耐熱性が低いので、これら両端部をツバ状部材21を貫通させて外側にはみ出るような構造にしてもよい。このように赤外線ヒーター30の両端部をツバ状部材21からはみ出す構造にせずに図2に示すように赤外線ヒーター30全体を上記環状空間内に納める場合は、上記第1温度測定手段31を赤外線ヒーター30の端部に当接させた状態で設けるのが好ましい。更に、円筒部材10の内周面近くに熱電対等の第2温度測定手段32を設置し、この第2温度測定手段32で測定した温度に基づいて赤外線ヒーター30への給電量を制御するのが好ましい。これにより円筒部材10の温度を常時一定に保つことが可能になる。あるいは、第2温度測定手段32に代えて図1に示すように加熱ロールの外周面のうち長尺耐熱性樹脂フィルムFが巻き付かない部分に対向するように赤外線輻射温度計33を設け、これにより赤外線ヒーター30への給電量を制御してもよい。
上記加熱ロール1は図1に示すような真空中のみならず大気中でも使用することが可能であるが、真空中で使用する場合は通常は円筒部材10の内側の上記環状空間も真空となるため、赤外線ヒーター30から円筒部材10への熱伝達は輻射が主となる。従って、円筒部材10の内周面10bは輻射熱を吸収しやすいように輻射率が高いことが好ましい。具体的には円筒部材10の内周面10bの輻射率は0.7以上であるのが好ましい。この輻射率が0.7未満では赤外線ヒーター30から円筒部材10への熱伝達の効率が低下して加熱ロール1の外周面の温度を一定に保つのが難しくなる。
このような輻射率の高い内周面にするには、例えば円筒部材10の材質がアルミニウムまたはアルミニウム合金であれば、アルマイト処理を行うことで輻射率を0.80程度にすることができる。特に黒色アルマイト処理を施すのが好ましく、これにより輻射率を0.95程度にすることができる。基材がアルミニウム以外の場合は、輻射率0.7〜0.8程度のアルミナ薄膜を数十μmから数百μmの厚さで塗布してもよいし、輻射率が約0.9程度のSiO薄膜を塗布してもよい。なお、輻射率とはJISA1423(赤外線放射温度計による放射率の簡易測定方法)に規定される指標であり、赤外線カメラによって測定することができる。
一方、固定軸20の表面およびツバ状部材21の内側表面は、エネルギーの効率的利用の観点から輻射熱を吸収しにくくすることが望ましい。例えば固定軸20の表面を低輻射率にすることで固定軸の加熱を防止するとともに、固定軸20の表面に入射した輻射熱を良好に反射することができる。具体的には、固定軸20の表面の輻射率は0.2以下であるのが好ましく、これにより、効率よく円筒部材10を加熱することができる。
逆に固定軸20の表面の輻射率が0.2を超えると、固定軸20が局所的に加熱されやすくなり、その結果、固定軸20が偏芯してガイドロールとして良好に機能しなくなるおそれがある。また、円筒部材10の外周面全体の温度分布の均一化に対しても悪影響を及ぼすおそれがある。このような輻射率の低い表面にするには、例えば固定軸20の材質にステンレス、ニッケル又はアルミニウム合金を使用し、その表面を鏡面仕上げ加工すればよい。
上記した筒状部材10の内側の環状空間にガスを導入して当該環状空間の伝熱効率を高めてもよい。例えばツバ状部材21の少なくとも一方にガス供給口21aを設け、該ガス供給口21aから微量のガスを導入することで、当該導入ガスを介した対流伝熱を上記した輻射伝熱に加えることができるので、赤外線ヒーター30で発生させた熱をより効率よく円筒部材10に伝えることができる。
上記環状空間に導入するガスには、水素、ヘリウム、アルゴン、酸素等の熱伝達性のよいガスが好ましく、これらの中では軸受22の隙間等からリークしたガスが真空チャンバー内に拡散しても成膜に悪影響を及ぼしにくいヘリウムやアルゴンが特に好ましい。なお、上記リークが問題になる場合は、赤外線ヒーター30の給電ケーブル30aや温度測定手段31、32のコード31a、32aを挿通させる貫通孔に耐熱性樹脂やバイトンゴムなどで封止したり、軸受22の近傍にガスの流れを遮る邪魔板24を設けたりすることが望ましい。
また、固定軸20、ツバ状部材21及び軸受22が熱により悪影響を受けるのを抑えるため、固定軸20の両端部に各々半径方向に貫通する流路20aを設けて該流路に冷却水を流してもよい。なお、固定軸20の流路は軸方向に延在するように設けてもよい。また、固定軸20を過度に冷却すると熱効率が低下するので、上記流路に流す冷却水の温度や流量を適切に設定するのが望ましい。
上記した構造の加熱ロール1を用いてロールツーロールで搬送される長尺耐熱樹脂フィルムをガイドする場合、円筒部材10は前述したように長尺耐熱樹脂フィルムに伴って回転するので、複数の赤外線ヒーター30のうちの1個だけ給電しても単位時間当たりで考慮した場合は円筒部材10の内周面に均等に対向させることができるので円筒部材10の周方向の温度分布をほぼ均一に加熱することができる。一方、例えば成膜前の準備段階では長尺耐熱樹脂フィルムの搬送が行われないので、円筒部材10は回転せずに停止状態にある。この停止状態においても円筒部材10の周方向の温度分布がほぼ均一であることが望ましい場合は、複数の赤外線ヒーター30を全て均等に給電するのが好ましい。
特にアルミニウムや銅などの熱伝導率の高い金属からなる筒状部材10を赤外線ヒーター30で加熱するときは、高い輻射率が得られる短波長赤外線での加熱が望ましいので、赤外線ヒーター30の表面温度を高くすることが望ましい。従って、上記した準備段階などの円筒部材10を回転させない状態での予備加熱では、複数の赤外線ヒーター30の全てに給電することで素早く且つ外周面を均一に加熱することができる。そして、成膜段階では円筒部材10が回転するので、定常になった時点で例えば複数の赤外線ヒーター30のうち半分への給電を停止すると共に残る半分に対して給電量を増やしてそれらの赤外線ヒーター30の温度を高めることで赤外線ヒーター30の温度制御性を高めることができるうえ、熱効率を向上させることができる。
上記のような赤外線ヒーター30の個別の制御を可能にするため、真空チャンバー51の外部で複数の赤外線ヒーター30の各々のオンオフや給電量の調整が行えるようになっているのが好ましい。なお、比較的低い温度範囲で加熱ロール1を使うときは、赤外線ヒーター30の温度を低く維持する必要が生じ、これにより輻射率が少なくなることがあり得る。この場合は、輻射熱の補助手段として、前述したように環状空間内にガスを導入して対流伝熱を生じさせたりヒートパイプを用いたりすることが効果的である。
<実施例1>
図2に示すような円筒部材10とこれを回転可能に支持する固定軸20とからなる加熱ロール1を作製し、これを図1に示すような真空成膜装置50のフリーロール53として使用して長尺耐熱性樹脂フィルムを搬送させずに回転を停止した状態での外周面の温度分布を測定した。具体的に説明すると、円筒部材10には肉厚3mm、直径76mm、長さ600mmのアルミ合金製の円筒部材を用いた。その内周面は輻射熱を吸収しやすいように黒アルマイト処理を施し、外周面はキズ防止のために硬質Crめっきを施した。
固定軸20にはSUS304製の直径25mmの丸棒を用い、その周りに4本の直径10mmの1kWの近赤外線ヒ−ターを周方向に等間隔に配した。近赤外線ヒ−ターは金属製の支持部材23で固定軸20に取り付けた。これら近赤外線ヒ−ターを両側から挟み込むように固定軸20の両端部に円板状のツバ状部材21を設けた。このツバ状部材21の周縁部に周方向に等間隔に耐熱性の軸受22を配した。この軸受22を介して円筒部材10を固定軸20に回転可能に支持させた。
近赤外線ヒーターのガラス表面に接触するように第1温度測定手段31としてKタイプ熱電対をSUSワイヤーで巻き付けて固定した。更に、第2温度測定手段32としてKタイプ熱電対を円筒部材10の内周面の近傍に位置するように図示しない金具で固定軸20に取り付けた。固定軸20においてツバ状部材21よりも末端側の両端部に半径方向に貫通する流路20aを設け、それらの各々に毎分1Lで冷却水を流した。
このようにして作製した加熱ロール20を真空チャンバー51内のフリーロール53の位置に設置し、真空度0.01Paまで減圧した後、アルゴンガスを導入して0.1Paに保持して全ての近赤外線ヒ−ターに給電した。これら近赤外線ヒーターの温度制御は、第1温度測定手段31の温度が200℃で一定になるようにヒーター電力をPID制御した。その結果、第1温度測定手段31では30分程度で安定した。また、第2温度測定手段32の温度は第1温度測定手段31よりも数十度低く、1時間程度かかり約180℃に達した。
円筒部材10表面に温度測定用の黒色テープを貼り付け、図1に示すように設置した赤外線輻射温度計33にて円筒部材10の外周面の温度を測定した。その結果、円筒部材10の軸方向の温度分布は、中央部分が149〜151℃であったのに対して、両端部分の温度は144〜146℃であった。このような両側が中央部より5℃程度低い温度分布であれば、実用上は十分に使用可能である。
<実施例2>
上記実施例1と同様にして作製した加熱ロールを図1に示すような真空成膜装置50の張力センサーロール54、62として使用し、実際に長尺耐熱性樹脂フィルムFを搬送しながらスパッタリング成膜を行った。具体的には、巻出ロール52には長尺耐熱性樹脂フィルムFとして幅500mm、厚さ25μmのカプトン(登録商標)をセットし、キャンロール56内の流路に冷却水を流して20℃に温度制御した。マグネトロンスパッタリングカソード57にはNi−Cr合金ターゲットを装着し、マグネトロンスパッタリングカソード58、59、60には純銅ターゲットを装着した。
そして、上記実施例1と同様に真空チャンバー51内の真空度を維持しながら全ての近赤外線ヒ−ターに給電し、第1温度測定手段31の温度が200℃で一定になるようにヒーター電力をPID制御した。この状態で長尺耐熱性樹脂フィルムFを一定の速度で搬送しながらこれらカソード57〜60への印加電力を電力制御して成膜を開始した。その結果、張力センサーロール54、62は、いずれも張力センサーロールとして機能しながら長尺耐熱性樹脂フィルムFを良好に加熱することができ、スパッタリング成膜後のフィルムにシワ等の問題が生じていなかった。
1 加熱ロール
10 円筒部材
10a 外周面
10b 内周面
20 固定軸
20a 流路
21 ツバ状部材
21a ガス供給口
22 軸受(ベアリング)
23 支持部材
24 邪魔板
30 赤外線ヒーター
31 第1温度測定手段
32 第2温度測定手段
33 赤外線輻射温度計
50 成膜装置(スパッタリングウェブコータ)
51 真空チャンバー
52 巻出ロール
53 フリーロール
54 張力センサーロール
55 フィードロール
56 キャンロール
57 マグネトロンスパッタリングカソード
58 マグネトロンスパッタリングカソード
59 マグネトロンスパッタリングカソード
60 マグネトロンスパッタリングカソード
61 フィードロール
62 張力センサーロール
63 フリーロール
64 巻取ロール
F 長尺耐熱性樹脂フィルム(長尺基板)

Claims (8)

  1. 真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺基板を巻き付けて加熱する外周面を備えた円筒部材と、前記円筒部材の中心軸部分に位置し、その両端部に設けられた軸受を介して前記円筒部材を回転可能に支持する固定軸とからなる加熱ロールであって、前記円筒部材の内周面より内側に複数の赤外線ヒーターが設けられており、前記円筒部材の周方向に沿って前記複数の赤外線ヒーターが等間隔に配されており、これら複数の赤外線ヒーターの各々の起動が前記真空チャンバーの外部で行われることを特徴とする加熱ロール。
  2. 前記円筒部材の内周面の輻射率が0.7以上であり、前記固定軸の表面の輻射率が0.2以下であることを特徴とする、請求項1に記載の加熱ロール。
  3. 前記複数の赤外線ヒーターの各々の表面に過熱防止用の熱電対が設置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の加熱ロール。
  4. 前記軸受は前記固定軸の両端部に設けられたツバ状部材の周縁部に配されており、前記円筒部材、ツバ状部材および固定軸で囲まれた空間に導入するガスの供給口が前記ツバ状部材に設けられていることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載の加熱ロール。
  5. 前記円筒部材の外周面に巻き付いている長尺基板の張力を検出する張力センサーが前記固定軸の両端部に設けられていることを特徴とする、請求項1からの何れかに記載の加熱ロール。
  6. 請求項1からの何れかに記載の加熱ロールを有することを特徴とする真空処理装置。
  7. 前記円筒部材の外周面の温度を測定する赤外線輻射温度計を有することを特徴とする、請求項に記載の真空処理装置。
  8. 前記赤外線輻射温度計および/または前記円筒部材の内周面より内側に近接して設けられた熱電対の出力値に基づいて前記複数の赤外線ヒーターへの給電量を制御する温度制御手段を有することを特徴とする、請求項に記載の真空処理装置。
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