JPH11236669A - 薄膜形成方法および薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成方法および薄膜形成装置

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JPH11236669A
JPH11236669A JP10040835A JP4083598A JPH11236669A JP H11236669 A JPH11236669 A JP H11236669A JP 10040835 A JP10040835 A JP 10040835A JP 4083598 A JP4083598 A JP 4083598A JP H11236669 A JPH11236669 A JP H11236669A
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JP
Japan
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substrate
thin film
flexible substrate
film
film forming
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JP10040835A
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English (en)
Inventor
Hidekazu Funo
布野  秀和
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Corporate Research and Development Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フィルム基板を所定の成膜温度に精度良く加熱
することができ、電極のテクスチャー化およびフィルム
基板と電極の高付着力化が可能な薄膜形成装置を提供す
る。 【解決手段】送りロール4から巻き取りロール5に向け
て可撓性基板10を搬送しながら、可撓性基板を所定の
成膜温度に保持し、可撓性基板表面に薄膜を形成する薄
膜形成方法において、前記可撓性基板を、成膜される基
板面と反対側面を、前記可撓性基板の搬送速度で同方向
に移動し、ヒータ9によって加熱されたエンドレスベル
ト30に接触することによって、成膜温度に保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜太陽電池製造
などのために可撓性基板上に電極層等を形成する場合に
用いる薄膜形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】厚さ数十ないし数百μm 程度の高分子材
料フィルムやステンレス鋼箔を可撓性基板として用い、
非結晶シリコン薄膜などから形成された光電変換層を用
いた薄膜太陽電池は、高い量産性が得られることから、
低コスト太陽電池として期待されている。この種の太陽
電池は、通常、高い変換効率を得るために反射率の高い
AgやAlの層が電極層として基板上に形成される。
【0003】さらなる高効率化技術として、テクスチャ
ー化、すなわち、電極層表面に高さ0.05〜0.5μ
m 程度の凸凹を形成し、光を太陽電池内部で散乱させる
ことが考案されている。このテクスチャー化の方法とし
て、特開平8−288529号公報に記載のようにAg
を約300〜400℃の基板上に凝集させる方法や、特
開平8−36406号公報に記載のようにAlを約25
0〜350℃の基板凝集させた凸凹層上に、さらに20
0℃程度でAg反射膜を形成する方法が挙げられる。い
ずれの場合もテクスチャー化には300℃程度に最適値
があり、温度が低すぎても高すぎても太陽電池の特性を
低下させることにつながる。
【0004】特に、可撓性基板としてポリイミドのよう
な耐熱性プラスチックフィルムを用いた場合、約300
℃の臨界温度以上で急激な熱収縮が生じることから、テ
クスチャー化電極形成時には臨界温度付近でこれを超え
ない温度領域に±10℃程度に保持する必要があり、非
常に精密な基板温度制御が要求される。従来のフィルム
基板上にテクスチャー電極を形成する薄膜形成装置に
は、図3に示すようにフィルム基板を複数の反応室に直
線的に通過させたり、図4に示すようにフィルム基板を
キャンロール上に巻き付けて円筒面状にして、薄膜を形
成するものがある。
【0005】図3は従来の直線搬送の薄膜形成装置を示
し、(a)は基板搬送方向に沿った縦断面図であり、
(b)は(a)におけるYY断面図である。送り室1、
第一、第二、第三成膜室21、22、23および巻き取
り室3から構成されている。送り室1にはフィルムの巻
き出しのための送りロール4、巻き取り室3には巻き取
りロール5がそれぞれ設置され、各ロールはそれぞれモ
ータ11で駆動され基板10を搬送している。さらにガ
イドロール6が双方の部屋に設置され、基板10の位置
を保持している。各成膜室21、22、23には、マグ
ネトロンスパッタリングのために、フィルム加熱用のヒ
ータ9、カソード7および成膜領域を囲む環状のアノー
ド8が設置されている。カソード7はターゲット材料7
1、バッキングプレート72およびマグネット73によ
り構成され、直流あるいは高周波電圧を印加することに
よりマグネトロンスパッタリングが行われフィルム基板
10上に成膜される。
【0006】図4は従来のキャンロール式の薄膜形成装
置の基板搬送方向に沿った断面図である。送りロール4
から巻き取りロール5へフィルム基板10がキャンロー
ル12の表面に接して円筒面を保持しながら搬送され
る。そして、キャンロール12に対向する3組のカソー
ド7およびアノード8のそれぞれの間の電圧印加により
スパッタが行われる。
【0007】なお、これらの薄膜形成装置においては、
基板の既に1面に成膜された後、その反対面に成膜する
場合は、送りロールの向きを逆に装着するなどして基板
面を逆転させる。直線搬送の場合は、成膜機構が逆向き
に設置された成膜室を用いることもできるが、成膜面に
フレークなどが付着する恐れがあり注意を要する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】フィルム基板の加熱方
法としては、直線搬送の場合は(図3)、ヒータ9は抵
抗加熱やランプ加熱であり、加熱領域を通過するフィル
ム基板10を非接触で輻射加熱している。電極薄膜はフ
ィルム基板の表裏に必要である。表面(最初の成膜面)
に成膜する際には、熱反射率の低いフィルム基板自体を
直接的に加熱することができる。しかし、裏面に成膜す
る際には、既に表面に成膜された熱反射率の高いAgや
Al膜が放射熱を反射してしまい、フィルム基板を直接
加熱できる表面への成膜よりも基板温度は上がらない。
図5はフィルム基板温度の既成膜の有無への依存性を示
すグラフである。電極膜の有りおよび無しのフィルム基
板を350℃に設定した抵抗加熱ヒータの加熱領域を通
過させた結果である。加熱領域を通過直後のフィルム基
板温度を比較すると、電極膜無しは200℃まで昇温し
ているのに対し、電極膜有りの場合は100℃までしか
昇温しておらず、約100℃の温度差が生じている。こ
の様なフィルム基板の初期温度が低い状態で成膜を行う
とAgやAl膜とフィルム基板の界面との付着力が低下
し、電極剥離の原因となり、太陽電池の寿命低下に大き
く影響する。
【0009】さらに、非接触で電極膜側からフィルム基
板の温度を上げるためには、抵抗加熱では加熱体自体の
温度を上げて放射エネルギーを増大させる必要がある。
しかし、この種のヒーターでは温度制御性の良いアルミ
鋳込みヒーターで約400℃が限度である。また、耐熱
金属板、例えばインコネル等にシースヒータをロー付け
したヒータ、ではヒータ自身が700℃程度に加熱でき
るヒータもあるが、ヒータの温度を上げても電極膜から
の反射が大きいため、効率が悪く大電力が必要となり、
装置の運転コストが嵩むことになる。
【0010】また、ランプ加熱方式は抵抗加熱に比べ、
効率は良いが、成膜室内に配置、もしくは大気側にラン
プを配置し、石英ガラス窓を介してフィルム基板を加熱
する方式、どちらにおいてもスパッタリングによって形
成された膜が、ランプや石英窓表面に堆積し、放射エネ
ルギーの透過率が減少することによりフィルム基板の温
度も次第に低下し、プロセスの再現性が得られない。ま
た、堆積した膜を取り除く作業には多大な労力を要し、
薄膜形成装置のメンテナンス時間を増大させる結果とな
る。
【0011】また、可撓性基板としてポリイミドのよう
な耐熱性プラスチックフィルムを用いた場合、約300
℃以上から急激な熱収縮が生じる。図6はポリイミド基
板の幅の収縮の搬送方向の張力依存性を示すグラフであ
る。基板温度は250℃である。この状態で33N/m 以
上の張力でフィルム基板を搬送すると、収縮率が0.2
%を超えて基板の搬送方向に波形の皺が生じ、変換効率
低下の原因となる。
【0012】上記の皺発生の対策として、33N/m 以下
の低張力で搬送することが必要となるが、低張力ではフ
ィルム基板の自重により弧を描いた状態(弛み状態)に
なり、フィルム基板が成膜室の開口部分に擦れたり、フ
ィルム基板の幅方向で膜厚が不均一になる。この弛みを
防止するため図3に示した各成膜室間に搬送ガイドロー
ルを設けることが考えられている。図7は搬送ガイドロ
ールが設けられた従来の薄膜形成装置の断面図である。
搬送ガイドロール14および補助ロール15が成膜室間
に搬送されている。搬送ガイドロール14はモーター1
3により駆動され、張力を精度良く懸けている。しかし
ながら、成膜領域はフィルム基板の搬送方向で、ある程
度の距離が必要であり、フィルム基板の自重により発生
する弧状の弛みを完全に防止することは出来ない。
【0013】一方、図5に示したキャンロール方式の薄
膜形成装置の場合、フィルム基板10がキャンロール1
2の表面に長い時間接触しているため、フィルム基板1
0の表面状態に関係なく高精度な温度制御ができる。し
かしながら、薄膜形成装置が大型になり装置コストもア
ップする。その上、ターゲット7の交換や、キャンロー
ル12に付着した膜の処理等のメンテナンスが困難であ
り、また、基板温度が一つのロール12で限定されるた
め、異なる基板温度で多層膜を形成することに適してい
ない等の問題点がある。
【0014】以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、ロ
ールツーロール成膜方式において、フィルム基板を、既
成薄膜の有無に関わらず、所定の成膜温度に精度良く加
熱することができ、電極のテクスチャー化およびフィル
ム基板と電極の高付着力化が可能な薄膜形成装置を提供
することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、送りロールから巻き取りロールに向けて可撓性基
板を搬送しながら、可撓性基板を所定の成膜温度に保持
し、可撓性基板表面に薄膜を形成する薄膜形成方法にお
いて、前記可撓性基板は、成膜される基板面と反対側面
を、前記可撓性基板の搬送速度で同方向に移動する加熱
されたエンドレスベルトに接触することによって、成膜
温度に保持されることとする。こうすることにより、可
撓性基板はエンドレスベルトに接触して熱伝導により加
熱されるので、フィルム基板の表面状態に関係なく、目
的の温度に精度良く制御でき、電極膜のテクスチャー化
や基板との付着力が向上し、それらのばらつきが少な
い。また、基板とエンドレスベルトとは等速なのでフィ
ルム基板がベルト上でスリップすることがなく基板表面
やすでに形成された薄膜を損傷しない。
【0016】回転駆動される送りロールから巻き取りロ
ールに向けて可撓性基板を搬送し、可撓性基板を所定の
成膜温度に保持し、可撓性基板表面上に薄膜を成膜する
薄膜形成装置において、可撓性基板の成膜する面と対向
する反対側面に接触するエンドレスベルトと、前記エン
ドレスベルトを所定位置に張架し、可撓性基板の搬送速
度で同方向に移動させる少なくとも2つのプーリーと、
前記ベルトを加熱するヒータを備えたこととする。この
ような機構を備えた薄膜形成装置は上記の薄膜形成方法
を実現することができる。
【0017】前記プーリーの他に前記エンドレスベルト
の張力を維持するテンションプーリーを備えると良い。
こうすることにより、ベルトの温度上昇によって発生す
る伸びを吸収し、ベルトは僅かに弛んだ一平面状に安定
して張架され、基板は自重による搬送方向および幅方向
の弧状の弛みがあってもベルトに密着でき、基板は過度
の張力を懸けることはなくなり、皺が発生することはな
く、また熱伝導により安定した温度に保持され、基板と
の付着力やテクスチャー化が容易となり、また膜厚分布
向上にも寄与する。
【0018】前記テンションプーリーを所定の位置に保
持し、また所定の位置から回避する機構を備えると良
い。こうすることにより、ベルトの交換など薄膜形成装
置のメンテナンスが容易になる。前記エンドレスベルト
と前記可撓性基板の接触する加熱領域は前記可撓性基板
の搬送方向に前記成膜領域よりも長いと良い。こうする
ことにより、搬送されてくるフィルム基板が成膜領域に
入る前に予備加熱され、基板の温度は成膜初期から所定
温度に達し、膜のテクスチャー化や基板との付着力が向
上し、それらのばらつきが少なくなる。
【0019】前記エンドレスベルトは厚さ0.03mm以
上0.3mm以下の耐熱性金属板からなると良い。こうす
ることにより、ベルトの可撓性は適度となりプーリーの
曲率に馴染み、またプーリーによる張力で凹凸無く平面
状に張られ、基板との密着が保持できる。また、ベルト
の熱容量が小さいので例えばマグネトロンスパッタリン
グの放電によるエネルギー入射によって、フィルム基板
を介してベルトも加熱されるため、その分ヒータの消費
電力が少なくてすむ。また、軽量であるため、交換時に
おける作業性も向上する。
【0020】前記エンドレスベルトの温度検出器として
赤外線温度計が設けられていると良い。こうすることに
より、移動しているエンドレスベルトに非接触で温度検
出ができ、温度検出器の損傷はない。前記ヒータは平板
状であり、前記エンドレスベルトはヒータの近傍に非接
触で対向して配置されていると良い。こうすることによ
り、広い面積でベルトに対向し、ヒータの両面の放射エ
ネルギーをベルトに吸収し、熱伝導でフィルム基板を効
率よく加熱することにより、装置の低電力化が可能とな
る。
【0021】前記ヒータは前記2つのプーリーおよび前
記テンションプーリーであると良い。こうすることによ
り、ベルトはテンションプーリーから熱伝導で加熱さ
れ、非接触による放射加熱よりも効率良く加熱でき、更
なる低電力化が可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明に係る薄膜形成方法および
薄膜形成装置においては、可撓性基板としては、ポリイ
ミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテ
ルサルホン、ポリフェキレンサルファド、バラ系アラミ
ド、ポリエーテルケントあるいはフッ素樹脂などの高分
子プラスチックフィルムを用いることができる。成膜手
段としては、スパッタリング、真空蒸着、プラズマCV
D(化学気相成長)、MOCVD(有機金属化学気相成
長)などを実施することができる。 Al、Ag、Cr
等の金属およびITO(酸化インジウム)などの酸化物
や化合物などの薄膜を形成することができる。また、こ
れらの多重膜も形成でき、特に前述した薄膜光電変換変
換素子の形成には有用である。
【0023】各成膜室間に搬送ガイドロールを設けてあ
るので、送りロールから巻き取りロールまでの距離を長
くとれるので、複数の成膜室を連絡することも容易であ
り、異なる種類の成膜法により多層膜を形成することも
可能である。成膜室を真空にするには、クライオポンプ
あるいはターボ分子ポンプなどを用いる。
【0024】以下実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。 実施例1 図1は本発明に係る薄膜形成装置と1成膜室内の詳細を
示し、(a)は搬送方向に沿った断面図であり、(b)
は(a)におけるYY断面図である。薄膜形成装置の全
体構成は従来の搬送ガイドロールを増設された薄膜形成
装置(図7)と同じであり、送り室1、複数の成膜室2
1、22、23および巻き取り室3から構成されてい
る。送り室1には、フィルム基板10の巻き出しのため
の送りロール4、巻き取り室3にはフィルム基板10の
巻き取りのための巻き取りロール5が設置され、それぞ
れモータ11で駆動される。また、送り室1および巻き
取り室3にはそれぞれガイドロール6が設置されてい
る。また、送り室1、成膜室21、22、23および巻
き取り室3の各室の間にも、従回転駆動モータ13によ
り駆動される搬送ガイドロール14と、フィルム基板1
0をエンドレスベルト30(以下ベルトと略称する)に
密着させるための補助ロール15とが設置されている。
搬送ガイドロール14は冷却または/および加熱機構を
備えている。
【0025】フィルム基板10は、送りロール4から巻
き取りロール5まで各ガイドロール6、搬送ガイドロー
ル14および補助ロール15を介して搬送される。搬送
ガイドロール14は、送りロール4および巻き取りロー
ル5を駆動する主回転駆動モータ11の回転速度により
定められる搬送速度に同調する回転速度をもつ従回転駆
動モータ13により駆動されて回転するので、低張力で
搬送してもフィルム基板10と搬送ロール14との間に
スリップは生じない。従ってフィルム基板10に傷は付
かない。
【0026】フィルム基板10の加熱のために、基板を
挟んでカソードおよびアノード側と対向する側に、フィ
ルム基板10の幅よりも広いエンドレス状のベルト30
を備えてある。ベルト30はその内側の主回転プーリー
31と従回転プーリー32とによって、基板10の搬送
方向にある程度の張力を懸けられて、ベルト30は僅か
に弧を描く様に張架されており、基板10の搬送速度に
等しい移動速度で移動する。そのため、2つの補助ガイ
ドロール15で持ち上げられた基板10は過度の張力を
懸けられずにベルト30に密着されることができ、皺が
発生することはなく、また基板10とベルト30との間
にはスリップはなく基板10には傷は付かない。
【0027】また、ベルト30の平面状に張られた部分
は成膜領域の基板の搬送方向の長さよりも長く設定さ
れ、フィルム基板10の初期温度を高く成膜することが
でき、電極膜のテクスチャー化や高付着力化が可能とな
る。ヒータ9は赤外線ランプもしくはアルミ鋳込みヒー
タのような抵抗加熱ヒータを用い、ベルト30の内側の
フィルム基板10と平行で平面状に配置し、赤外線温度
計17によりベルト30の温度をモニタリングし、それ
に基づいて制御装置18にフィードバックして、ヒータ
9をパワーコントロールをして輻射加熱でベルト30を
温度制御している。ベルト30とヒータ9とは接触して
いないので擦れ合う時に発生する塵埃は生じず、欠陥の
ない薄膜を形成できる。ベルト30の内側およびヒータ
9の表面には放射率0.96以上となるように黒体化処
理を施し、輻射加熱による効率を向上させている。黒体
化処理としては、例えば高耐熱性の黒体スプレー(タス
コジャパン (株) 製、THI−1B、輻射率0.94、
耐熱温度500℃)で塗装をした。
【0028】ベルト30には0.3mm以下の薄肉の耐熱
性金属板、例えばステンレス鋼板等を使用したので、常
温から加熱温度になると熱膨張により、主回転プーリー
31と従回転プーリー32で保持していたベルト30の
張力が保てなくなり、フィルム基板10に密着できなく
なる。これを防止するため、ヒータ9を挟んでベルト3
0のフィルム基板10の反対側にテンションプーリー3
3を配置し、バネ38によって高温時においても常にベ
ルト30に張力が懸かるように維持している。耐熱性金
属板が薄く熱容量が余り小さいと基板を十分に加熱でき
ないので0.03mm程度が限界である。また、テンショ
ンプーリー33は大気側に設置されたロータリアクチュ
エータ35にシャフト36、アーム37を介して接続さ
れており、テンションプーリー33を回転して回避し、
ベルト30にかかる張力を解除することにより、ベルト
30を容易に交換することができる。
【0029】特にフィルム基板にφ0.3〜φ1mm程度
の集電用コンタクトホールが複数箇所空いている光電変
換素子の電極膜形成の場合は、成膜する際にベルト表面
に電極膜が堆積するため、テンションプーリーを回避し
て容易にベルトを交換することができることは装置の非
稼働時間の短縮化に有効である。各成膜室21、22、
23でマグネトロンスパッタリングを行うためにカソー
ド7、リング状のアノード8が設置されており、カソー
ド7は、ターゲット材料71、バッキングプレート72
およびマグネット73により構成される。また、巻き取
り室3にはポンプ16が接続されている。本装置の送り
ロール1にフィルム基板10をセットし、ポンプ16に
より装置内部を10-2〜10-5Paに排気し、アルミ鋳込
みヒータを予め250〜350℃に加熱した。次に、不
活性ガスとしてArガスを導入し、装置内部の圧力を圧
力コントローラにより103 〜10 -1Paに制御する。そ
して、フィルム基板10を0.3〜1m/min の速度で搬
送し、赤外線温度計17によるモニタリングに基づいて
制御装置18にフィードバックして、ヒータ9のパワー
コントロールをしてベルト30を温度制御し、搬送ガイ
ドロール14による加熱あるいは冷却と併せて基板温度
を制御しながらAg等の電極膜を形成することにより、
基板との付着力の高い、テクスチャー化したAg電極が
得られ、フィルム基板10にもダメージは生じない。
【0030】また、複数の成膜室は、例えばAl膜上の
ZnO膜、Ag膜の積層あるいはAg膜の複数回に分け
ての成膜に利用することができる。 実施例2 図2は本発明に係る他の実施例の薄膜形成装置の1成膜
室を示し、(a)は搬送方向に沿った断面図であり、
(b)は(a)におけるYY断面図である。図1の装置
と同様に送り室1、第一、第二、第三成膜室21、2
2、23および巻き取り室3で構成された薄膜形成装置
の第二成膜室22のみを示す。
【0031】実施例1と同様に搬送されてくるフィルム
基板10を加熱するために、基板を挟んでカソード7お
よびアノード8側と反対側に、フィルム基板10の幅よ
りも広いエンドレス状のベルト30の内側に加熱手段を
備える主回転プーリー31と従回転プーリー32を、ベ
ルト30がフィルム基板10に平行になるように基板の
搬送方向に対し垂直に配置する。さらに、主回転プーリ
ー31と従回転プーリー32の近傍に平行に、ベルト3
0を挟んでフィルム基板10と対向する位置に、加熱手
段を備えるテンションプーリー33を各々配置してベル
ト30の張力を保持し、基板の搬送方向にある程度の張
力を懸けて、ベルト30を僅かに弧を描く様に張してい
る。そのため、2つの補助ガイドロール15で持ち上げ
られたフィルム基板10は過度の張力を懸けられないで
ベルト30に密着されることができ、皺が発生すること
はない。
【0032】主回転プーリー31、従回転プーリー32
およびテンションプーリー33はプーリー内に空気、水
あるいは油を通して加熱する方式もしくは誘導加熱方式
を用い加熱され、ベルト30は各プーリー31、32、
33に接触して加熱されるので、実施例1の輻射加熱方
式よりも効率良く加熱できる。また、ベルト30の温度
制御は、赤外線温度計17でベルト30の温度をモニタ
リングし、それに基づいて制御装置18にフィードバッ
クして、各プーリーをパワーコントロールしている。
【0033】主回転プーリー31は、ベルト30を基板
の搬送速度と等速度の移動させるようにプーリー駆動モ
ータ34により駆動されるので、フィルム基板10とベ
ルト30との間にスリップは生じない。従ってフィルム
基板10に傷は付かない。テンションプーリー33は、
大気側に設置されたロータリアクチュエータ35にシャ
フト36、アーム37を介して接続されており、テンシ
ョンプーリー33を張力印加する所定の位置から回避し
て、ベルト30にかかる張力を解除することにより、ベ
ルト30を容易に交換することができる。また、ベルト
30の張力調整は、ロータリアクチュエータ35の駆動
源、例えば空圧等の圧力を調整することによって行う。
【0034】実施例1の固定されたヒータと実施例2の
加熱できる主および従回転プーリーとを組み合わせて設
置することも可能である。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、送りロールから巻き取
りロールに向けて可撓性基板を搬送しながら、可撓性基
板を所定の成膜温度に保持し、可撓性基板表面に薄膜を
形成する薄膜形成方法において、前記可撓性基板を、成
膜される基板面と反対側面を、前記可撓性基板の搬送速
度で同方向に移動する加熱されたエンドレスベルトに接
触させることによって、成膜温度に保持するようにし
た。こうすることにより、可撓性基板はエンドレスベル
トに接触して熱伝導により加熱されるので、フィルム基
板の表面状態に関係なく、目的の温度に精度良く制御で
きる。また、基板とエンドレスベルトとは等速なのでフ
ィルム基板がベルト上でスリップすることがなく基板表
面やすでに形成された薄膜を損傷しない。従って、電極
膜のテクスチャー化や基板との付着力が向上し、それら
のばらつきが減少する。
【0036】また、本発明に係る薄膜形成装置を光電変
換素子用の電極形成に用いて、非常に良好な形状のテク
スチャー電極を異なる成膜温度で多層状に安定して形成
できる。これによって生産性良く、且つ長寿命で変換効
率の高いアモルファスシリコン太陽電池などの光電変換
素子を安定して生産することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜形成装置と1成膜室内の詳細
を示し、(a)は搬送方向に沿った断面図であり、
(b)は(a)におけるYY断面図である。
【図2】本発明に係る他の実施例の薄膜形成装置の1成
膜室を示し、(a)は搬送方向に沿った断面図であり、
(b)は(a)におけるYY断面図である。
【図3】従来の直線搬送の薄膜形成装置を示し、(a)
は基板搬送方向に沿った縦断面図であり、(b)は
(a)におけるYY断面図である。
【図4】従来のキャンロール式の薄膜形成装置の基板搬
送方向に沿った断面図である。
【図5】フィルム基板温度の既成膜の有無への依存性を
示すグラフである。
【図6】ポリイミド基板の幅の収縮の搬送方向の張力依
存性を示すグラフである。
【図7】搬送ガイドロールが設けられた従来の薄膜形成
装置の断面図である。
【符号の説明】
1 送り室 21、22、23 成膜室 3 巻き取り室 4 送りロール 5 巻き取りロール 6 ガイドロール 7 カソード 71 ターゲット材料 72 バッキングプレート 73 マグネット 8 アノード 9 ヒータ 10 可撓性基板 14 搬送ガイドロール 15 補助ロール 16 ポンプ 17 赤外線温度計 18 制御装置 30 エンドレスベルト 31 主回転プーリー 32 従回転プーリー 33 テンションプーリー 34 プーリー駆動モータ 35 ロータリアクチュエータ 36 シャフト 37 アーム 38 バネ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】送りロールから巻き取りロールに向けて可
    撓性基板を搬送しながら、可撓性基板を所定の成膜温度
    に保持し、可撓性基板表面に薄膜を形成する薄膜形成方
    法において、前記可撓性基板は、成膜される基板面と反
    対側面を、前記可撓性基板の搬送速度で同方向に移動す
    る加熱されたエンドレスベルトに接触することによっ
    て、成膜温度に保持されることを特徴とする薄膜形成方
    法。
  2. 【請求項2】回転駆動される送りロールから巻き取りロ
    ールに向けて可撓性基板を搬送し、可撓性基板を所定の
    成膜温度に保持し、可撓性基板表面上に薄膜を成膜する
    薄膜形成装置において、可撓性基板の成膜する面と対向
    する反対側面に接触するエンドレスベルトと、前記エン
    ドレスベルトを所定位置に張架し、可撓性基板の搬送速
    度で同方向に移動させる少なくとも2つのプーリーと、
    前記ベルトを加熱するヒータを備えたことを特徴とする
    薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】前記プーリーの他に前記エンドレスベルト
    の張力を維持するテンションプーリーを備えたことを特
    徴とする請求項2に記載の薄膜形成装置。
  4. 【請求項4】前記テンションプーリーを所定の位置に保
    持し、また所定の位置から回避する機構を備えたことを
    特徴とする請求項3に記載の薄膜形成装置。
  5. 【請求項5】前記エンドレスベルトと前記可撓性基板の
    接触する加熱領域は前記可撓性基板の搬送方向に前記成
    膜領域よりも長いことを特徴とする請求項2ないし4に
    記載の薄膜形成装置。
  6. 【請求項6】前記エンドレスベルトは厚さ0.03mm以
    上0.3mm以下の耐熱性金属板からなることを特徴とす
    る請求項2ないし5に記載の薄膜形成装置。
  7. 【請求項7】前記エンドレスベルトの温度検出器として
    赤外線温度計が設けられていることを特徴とする請求項
    2ないし6に記載の薄膜形成装置。
  8. 【請求項8】前記ヒータは平板状であり、前記エンドレ
    スベルトは前記ヒータの近傍に非接触で対向して配置さ
    れていることを特徴とする請求項2ないし7に記載の薄
    膜形成装置。
  9. 【請求項9】前記ヒータは前記2つのプーリーおよび前
    記テンションプーリーであることを特徴とする請求項2
    ないし7に記載の薄膜形成装置。
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