JP2016183421A - グラフェン膜の製造方法 - Google Patents

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【課題】ロールツーロールを利用して高品質な薄膜を製造することが可能なグラフェン膜の製造方法を提供すること。【解決手段】本技術に係るグラフェン膜の製造方法は、銅からなる成膜対象物をロールツーロール機構にセットし、ロールツーロール機構によって成膜対象物を搬送し、成膜対象物に成膜材料を供給し、ロールツーロール機構によって成膜対象物に印加されている張力が銅において双晶変形が生じる張力以下に緩和された状態で、成膜対象物を加熱する。【選択図】図1

Description

本技術は、ロールツーロールを利用するグラフェン膜の製造方法に関する。
ロールツーロール(Roll-to-Roll)を利用する成膜プロセスは、成膜対象物(金属箔等)を巻出ロールから巻取ロールに巻回させることによって搬送し、その間に成膜対象物に薄膜を成膜させるものである。ロールツーロールによって大面積の成膜対象物を搬送することが可能であり、薄膜の量産に適している。
例えば特許文献1には、ロールトロール(ロールツーロール)によって金属部材を搬送し、金属部材上にグラフィン(グラフェン)を成膜させる「グラフィンロールトロールコーティング装置」が開示されている。
特開2011−162877号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のようなロールツーロールを利用する成膜プロセスにおいては、ロールツーロールによって成膜対象物に張力が印加されることに起因して、ロールツーロールを利用しない成膜プロセスに比較して膜質の劣化が生じる場合がある。
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、ロールツーロールを利用して高品質な薄膜を製造することが可能なグラフェン膜の製造方法を提供することにある。
本技術の一形態に係るグラフェン膜の製造方法は、銅からなる成膜対象物をロールツーロール機構にセットし、
上記ロールツーロール機構によって上記成膜対象物を搬送し、
上記成膜対象物に成膜材料を供給し、
上記ロールツーロール機構によって上記成膜対象物に印加されている張力が銅において
双晶変形が生じる張力以下に緩和された状態で、上記成膜対象物を加熱する。
銅は、加熱された状態で張力を印加されることにより、金属結晶内で部分的に結晶の配向が変化する双晶変形を生じる。双晶変形は、塑性変形より低い張力でも生じるが、双晶変形によっても膜質に影響が生じることが本発明者らによって見出された。したがって、成膜対象物に印加される張力を成膜対象物において双晶変形が生じる張力以下に緩和することにより、双晶変形による膜質の低下を防止することが可能となる。
上記成膜対象物を加熱する工程は、上記成膜対象物に印加される張力を1MPa未満に緩和した後に実施してもよい。
加熱された銅(例えば950℃)は、8.3MPa程度の張力で塑性変形を生じるが、双晶変形はより低い1MPa程度の張力でも発生する。したがって、成膜対象物が、銅(銅合金を含む)を含む金属箔である場合には、成膜対象物に印加される張力を1MPa未満(より好ましくは0.1MPa未満)に緩和することによって銅の双晶変形による膜質の低下を抑制することが可能である。
上記成膜材料が、炭素を含む炭素源物質であってもよい。
加熱されている成膜対象物(銅を含む金属箔)に炭素源物質(メタン等)を供給すると、炭素源物質が分解され、成膜対象物上にグラフェンが成膜される。グラフェンの生成温度(例えば950℃)においては、上述のように銅の双晶変形が発生し得るが、双晶変形が発生するとグラフェンの膜質(電気特性等)が低下することが判明した。本技術においては上述のように、成膜対象物に印加される張力を緩和することによって銅の双晶変形の発生が防止されるため、銅の双晶変形に起因するグラフェンの膜質の低下を防止することができ、高品質のグラフェンを製造することが可能である。
上記炭素源物質がメタンガスであってもよい。
上記成膜対象物を加熱する工程は、抵抗加熱により実施されてもよい。
上記成膜対象物が金属箔であり、上記金属箔の厚みが1〜100μmであってもよい。
上記成膜材料とともに水素ガスを供給してもよい。
上記ロールツーロール機構が、弛み検出機構を有してもよい。
成膜対象物に印加される張力の緩和によって生じる成膜対象物の弛み量を弛み検出機構によって検出することが可能であり、成膜対象物の弛み量に応じて成膜対象物に印加される張力を調整することにより、張力を適当な範囲に収めることが可能となる。
上記弛み検出機構の出力に応じて上記成膜対象物に印加される張力を調整してもよい。
上記成膜対象物を加熱する工程は、上記ロールツーロール機構による上記成膜対象物の搬送を停止し、張力を緩和した後に実施してもよい。
この製造方法によれば、ロールツーロール機構による成膜対象物の搬送を停止させることにより、搬送によって成膜対象物に印加された張力を緩和することが可能である。
以上のように、本技術によれば、ロールツーロールを利用して高品質な薄膜を製造することが可能なグラフェン膜の製造方法を提供することが可能である。
本技術の第1の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。 低張力(0.1MPa)が印加された状態で加熱された銅箔の結晶配向分布を示す逆極点図である。 高張力(1MPa)が印加された状態で加熱された銅箔の結晶配向分布を示す逆極点図である。 低張力(0.1MPa)が印加された銅箔上に成膜されたグラフェンの光学顕微鏡像である。 高張力(1MPa)が印加された銅箔上に成膜されたグラフェンの光学顕微鏡像である。 本技術の第2の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。 本技術の変形例1に係る成膜装置の構成を示す模式図である。 本技術の変形例2に係る成膜装置の構成を示す模式図である。
(第1の実施形態)
本技術の第1の実施形態に係る成膜装置について説明する。図1は、本技術の第1の実施形態に係る成膜装置100を示す模式図である。なお、本実施形態に係る成膜装置100は、成膜対象物上にグラフェンを成膜する成膜装置であるものとする。
同図に示すように、成膜装置100は、チャンバ101、巻出ロール102、第1ガイドロール103、第2ガイドロール104、弾性ロール105、巻取ロール106、電流源107、ガス供給系108及び真空排気系109を有する。巻出ロール102、第1ガイドロール103、第2ガイドロール104、弾性ロール105及び巻取ロール106によってロールツーロール機構が構成されている。ロールツーロール機構及び電流源107はチャンバ101内に収容され、ガス供給系108及び真空排気系109はチャンバ101に接続されている。また、ロールツーロール機構には成膜対象物Sがセットされている。
チャンバ101は、ロールツーロール機構及び電流源107を収容するとともに、成膜雰囲気を提供する。チャンバ101は、例えば内部を真空に維持することが可能な真空チャンバであるものとすることができるが、成膜条件に応じて任意のものを選択することができる。
巻出ロール102は、成膜対象物Sが巻き出されるロールであり、ピンチロール110(後述)から巻出ロール102までの成膜対象物Sの張力を調整する。巻出ロール102は、図示しない駆動源(モータ等)によって回転駆動されるものとすることができる。巻出ロール102による成膜対象物Sの張力の調整は、駆動源からの動力をクラッチ制御により伝達すること等によってすることが可能である。
第1ガイドロール103は、成膜対象物Sの搬送をガイドすると共に、電流源107から供給された電流を成膜対象物Sに印加する。第1ガイドロール103は図示しない駆動源に接続され、回転駆動されるものとすることができる。第1ガイドロール103は、金属等の導電性を有する材料からなるものとすることができる。
第2ガイドロール104は、成膜対象物Sの搬送をガイドすると共に、電流源107から供給された電流を成膜対象物Sに印加する。第2ガイドロール104は図示しない駆動源に接続され、回転駆動されるものとすることができる。第2ガイドロール104は、金属等の導電性を有する材料からなるものとすることができる。
弾性ロール105は、第2ガイドロール104に押圧され、第2ガイドロール104と共に成膜対象物Sを挟持する。弾性ロール105は、少なくともその表面(ロール表面)が弾性を有する弾性材料からなり、その弾性によって成膜対象物Sが第2ガイドロール104に対して滑ることを防止する。弾性材料は例えばシリコンであるものとすることができる。
第2ガイドロール104と弾性ロール105によって、ロールツーロール機構によって搬送される成膜対象物Sを挟持するピンチロール110が構成されている。
巻取ロール106は、成膜対象物Sを巻き取るロールであり、ピンチロール110から巻取ロール106までの成膜対象物Sの張力を調整する。巻取ロール106は、図示しない駆動源(モータ等)によって回転駆動されるものとすることができる。巻取ロール106による成膜対象物Sの張力の調整は、駆動源からの動力をクラッチ制御により伝達すること等によってすることが可能である。
電流源107は、第1ガイドロール103及び第2ガイドロール104に接続され、これらの間に電流を印加する。これにより、成膜対象物Sの、第1ガイドロール103及び第2ガイドロール104の間の領域(以下、成膜領域とする)に電流が流れ、成膜対象物Sは抵抗加熱される。
なお、成膜対象物Sは抵抗加熱と異なる方法によって加熱されてもよく、その場合には電流源107は設けられないものとすることもできる。抵抗加熱と異なる加熱方法としては、例えばセラミックヒーター、ハロゲンランプ、レーザー等の照射による加熱、磁場の印加による誘導電流による加熱、熱伝導による加熱等が挙げられる。
成膜対象物Sが抵抗加熱と異なる加熱方法で加熱される場合、第1ガイドロール103及び第2ガイドロール104は、導電性を有する材料からなる必要はなく、プラスチックやセラミックス等からなるものとすることも可能である。
ガス供給系108は、チャンバ101内に成膜材料となる炭素源ガスを供給する。ガス供給系108は、図示しないガス源(ガスボンベ等)を有し、チャンバ101内にガスを供給することが可能に構成されている。ガス供給系108は、炭素源ガスとして例えばメタンを供給するものとすることができる。
なお、ガス供給系108から炭素源ガスを供給する替わりに、他の方法によって炭素源物質を含む物質をチャンバ101内に供給してもよい。例えば、炭素源物質を含む液体(エタノール等)をチャンバ101内に収容してもよく、そのような液体の蒸気をチャンバ101内に供給してもよい。また、炭素源物質を含む固体(PMMA(Poly(methyl methacrylate)等)を予め成膜対象物Sに担持させておくことによって、成膜対象物Sと共に加熱することも可能である。また、チャンバ101が加熱される場合には、そのような固体をチャンバ101内に収容しておき、気化させることも可能である。
真空排気系109は、チャンバ101内を真空排気する。真空排気系109は、図示しない真空ポンプ等を有し、チャンバ101内を真空排気することが可能に構成されている。
成膜装置100は以上のような構成を有する。
[成膜対象物について]
上述のように成膜装置100のロールツーロール機構には成膜対象物Sがセットされる。成膜対象物Sは、金属箔であるものとすることができ、触媒活性や成膜条件等によって適宜選択することが可能であるが、銅(銅合金を含む)を含む材料が好適である。銅はグラフェンの成膜に対する触媒活性を有し、内部に炭素が溶け込まない性質を有するためである。また、銅はエッチング液(塩化鉄等)によって除去することができ、生成したグラフェンを別の物質に転写する(銅は除去される)際に好適である。さらに、銅は比較的に安価である。
他にも成膜対象物Sは例えば、白金(Pt)、ニッケル(Ni)あるいはコバルト(Co)等の純金属や銅−ニッケル合金等の合金からなる箔をとするができる。例えば銅に触媒機能が高い白金を加えた合金や、塑性変形が起こりにくくするために銅にジルコニウム(Zr)を0.02wt%加えた合金、銅にクロム(Cr)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)をそれぞれ0.25wt%加えた合金等を成膜対象物Sとすることも可能である。また、上述のように成膜対象物Sを抵抗加熱によって加熱する場合には、その電気抵抗も考慮される。
銅も含めた各種金属は、加熱された状態で張力を印加されると塑性変形を生じる。成膜対象物Sが変形すると、その上に成膜される薄膜の品質が劣化する場合があるため、成膜対象物Sの変形は防止する必要がある。特にロールツーロール機構においては、搬送に伴ない成膜対象物に張力が印加されるため、これを緩和する必要がある。
さらに、成膜対象物Sとして銅を含む材料を利用する場合、グラフェンの生成温度(例えば950℃)においては、銅に「双晶変形」が生じるおそれがある。双晶変形は、金属結晶内で部分的に結晶の配向が変化することによる変形であり、塑性変形よりも低い張力で生じる変形である。例えば、銅の場合、塑性変形は印加張力が8.3Pa(950℃)程度で発生するが、双晶変形は印加張力が1MPa程度でも発生し得る。
銅を含む材料からなる成膜対象物S上にグラフェンを成膜する場合、銅の双晶変形に起因してグラフェンの品質(電気的特性等)が低下することが本発明者らによって見いだされた。本実施形態においては、ロールツーロール機構によって成膜対象物Sに印加される張力が緩和され、成膜対象物Sの塑性変形及び双晶変形が防止されるため、成膜対象物の変形に起因する薄膜の品質低下を防止することが可能となっている。
成膜対象物Sとして利用する金属箔の厚みは特に限定されず、好ましくは1〜100μm、より好ましくは10〜50μmとすることができる。金属箔の幅や長さ(成膜領域(後述)の長さ)も特に限定されない。例えば幅、長さ共に10〜10000mmとすることができ、より好ましくは幅50〜2000mm、長さ100〜2000mmとすることができる。成膜対象物Sの搬送方向(成膜領域(後述)の伸張方向)も特に限定されず、鉛直方向、水平方向、あるいは斜め方向とすることも可能である。
[成膜方法]
(成膜方法1)
成膜装置100を利用した成膜方法(成膜方法1)について説明する。図1に示すように、ロールツーロール機構に成膜対象物Sをセットする。具体的には、巻出ロール102にロール状の成膜対象物Sを取り付け、成膜対象物Sの一端を第1ガイドロール103及びピンチロール110(第2ガイドロール104及び弾性ロール105)を介して巻取ロール106に接続する。成膜対象物Sは、ピンチロール110によって挟持される。
成膜対象物Sのセットの後、チャンバ101内を成膜環境に適合するように調整する。具体的には真空排気系109によってチャンバ101を真空排気するものとすることができる。
続いて、ガス供給系108から炭素源ガスをチャンバ101内に導入する。炭素源ガスは例えばメタンガス及び水素ガスとすることができ、その流量は例えば、メタンガス400sccm、水素ガス50sccmとすることができる。炭素源ガスは、チャンバ101内の圧力が例えば0.001〜120kPaになるように調整するものとすることができる。
続いて、電流源107によって、第1ガイドロール103及び第2ガイドロール104を介して成膜対象物Sに電流が印加され、成膜対象物Sの成膜領域が抵抗加熱される。加熱温度は特に限定されず、グラフェンの生成温度以上(例えば950℃)であればよい。この加熱によって、成膜対象物Sに供給された炭素源ガスが分解され、同時に成膜対象物S上にグラフェンが成膜される。
グラフェンの成膜と共に、ロールツーロール機構によって成膜対象物Sの搬送が実施される。具体的には、巻出ロール102及び巻取ロール106が回転され、成膜対象物Sが巻出ロール102から巻き出され、巻取ロール106に巻き取られる。また、第1ガイドロール103及びピンチロール110が回転され、成膜対象物Sが第1ガイドロール103からピンチロール110に搬送される。
成膜対象物Sの搬送と共に、成膜対象物Sが順次成膜領域に供給され、グラフェンの薄膜が成膜される。例えば、ロールツーロール機構により0.1m/minで搬送されている幅230mmの銅箔の成膜領域に、電流源107によって8kA/cmの電流が印加されると、長さ400mmの成膜領域のうち、200mm程度が1000℃まで加熱される。この温度の銅表面にメタンガスが接触すると、銅の触媒作用によってメタンが分解され、グラフェンが生成する。なお、グラフェンによる銅箔の被覆率は特に限定されず、グレイン(結晶片)同士がつながっていなくてもよい。
成膜の間、ピンチロール110で銅箔を押さえることにより、成膜対象物Sのピンチロール110よりも巻取ロール106側に大きな張力を印加して緩みなく(固く)巻取ることが可能である。一方で、成膜対象物Sのピンチロール110よりも巻出ロール102側
は張力を弱めることにより、成膜領域での張力を下げることが可能である。
成膜対象物Sに印加される張力は、双晶変形の発生を防止するために1MPa未満が好適であり、特に0.1MPa以下が好適である。この張力は、上述した塑性変形が生じる張力(銅の場合950℃において8.3Pa)より大幅に小さい。
このような成膜対象物Sに印加される張力の緩和は、巻取ロール106による巻取りの張力と成膜領域での張力が、ピンチロール110による成膜対象物Sの挟持によって切り離されることにより可能となる。
成膜対象物Sに印加される張力が緩和されることにより、成膜対象物Sの変形(塑性変形及び双晶変形)が防止され、その上に成膜されるグラフェンを高品質なものとすることが可能である。
(成膜方法2)
成膜装置100を利用した成膜方法(成膜方法2)について説明する。上記成膜方法1と同様に、ロールツーロール機構に成膜対象物Sをセットする(図1参照)。成膜対象物Sのセットの後、上述のようにチャンバ101内を成膜環境に適合するように調整し、ガス供給系108から炭素源ガスを導入する。
ロールツーロール機構によって成膜対象物Sを搬送した後、ロールツーロール機構を停止する。これにより、成膜対象物Sに印加されていた張力が緩和される。また、ロールツーロール機構の停止後、ピンチロール110(第2ガイドロール104及び弾性ロール105)をわずかに逆回転させ、成膜対象物Sに印加されていた張力を緩和することも可能である。
この後、成膜対象物Sの成膜領域を所定温度まで加熱し、炭素源ガスが成膜領域において成膜対象物Sの熱により分解され、同時に成膜対象物S上にグラフェンが成膜される。所定時間経過後、成膜対象物Sの加熱を停止し、グラフェンの生成を停止させる。
グラフェンの生成を停止させた後、ロールツーロール機構によって、成膜対象物Sの新たな領域が成膜領域となるように成膜対象物Sを搬送し、上記のように張力を緩和する。当該新たな領域を加熱し、グラフェンを生成さた後、加熱を停止する。以降、ロールツーロール機構による成膜対象物Sの搬送と、張力の緩和、グラフェンの生成が順に繰返される。
このような成膜方法によっても、成膜対象物Sに印加される張力が緩和されることにより、成膜対象物Sの変形(塑性変形及び双晶変形)が防止され、その上に成膜されるグラフェンを高品質なものとすることが可能である。
[本実施形態による効果]
上述のように、本実施形態においては、成膜対象物Sに印加される張力が緩和されるため、成膜対象物Sの双晶変形が防止される。図2及び図3は、EBSD(electron backscatter diffraction:電子線後方散乱回折)によって銅箔の結晶配向分布を測定した結果である。図2は低張力(0.1MPa)が印加された状態で加熱された銅箔の、図3は高張力(1MPa)が印加された状態で加熱された銅箔の測定結果である。
図2に示すように、銅箔が低張力を印加された状態で加熱された場合、銅の結晶構造は、X、Y及びZの各方向において加熱前と同じ<001>方向の配向をとっていることが分かる。一方、図3に示すように、銅箔が高張力を印加された状態で加熱された場合、銅の結晶構造に双晶粒界がみられ、双晶変形が生じていることがわかる。なお、<101>方向の配向は保たれており、<101>方向を回転軸として結晶が回転していることがわかる。即ち、図2及び図3から、銅箔に印加される張力を緩和することにより、双晶変形が防止されることがわかる。なお、双晶変形は塑性変形より十分に低い張力において発生することから、双晶変形が発生しない低い張力においては塑性変形は問題とならない。
図4及び図5は、銅箔上に形成されたグラフェンの光学顕微鏡像である。図4は低張力(0.1MPa)が印加された銅箔上に成膜されたグラフェン、図5は高張力(1MPa)が印加された銅箔上に成膜されたグラフェンである。図4においては、均一にグラフェンが成膜されているが、図5おいてはグラフェンにひび割れが発生していることがわかる。即ち、成膜対象物Sに印加される張力を緩和することにより、高品質のグラフェンを製造することが可能であるといえる。
(第2の実施形態)
本技術の第2の実施形態に係る成膜装置について説明する。図6は、本技術の第2の実施形態に係る成膜装置200を示す模式図である。なお、本実施形態に係る成膜装置200は、成膜対象物上にグラフェンを成膜する成膜装置であるものとする。
図6に示すように、成膜装置200は、チャンバ201、巻出ロール202、第1ガイドロール203、第1弾性ロール204、第2ガイドロール205、第2弾性ロール206、第3弾性ロール207、第4弾性ロール208、巻取ロール209、電流源210、弛み検出センサ211、ガス供給系212及び真空排気系213を有する。
巻出ロール202、第1ガイドロール203、第1弾性ロール204、第2ガイドロール205、第2弾性ロール206、第3弾性ロール207、第4弾性ロール208及び巻取ロール209によってロールツーロール機構が構成されている。ロールツーロール機構、電流源210及び弛み検出センサ211はチャンバ201内に収容され、ガス供給系212及び真空排気系213はチャンバ201に接続されている。また、ロールツーロール機構には成膜対象物Sがセットされている。
チャンバ201は、ロールツーロール機構及び電流源210を収容するとともに、成膜雰囲気を提供する。チャンバ201は、例えば内部を真空に維持することが可能な真空チャンバであるものとすることができるが、成膜条件に応じて任意のものを選択することができる。
巻出ロール202は、成膜対象物Sが巻き出されるロールであり、第1ピンチロール214(後述)から巻出ロール202までの成膜対象物Sの張力を調整する。巻出ロール202は、図示しない駆動源(モータ等)によって回転駆動されるものとすることができる。巻出ロール202による成膜対象物Sの張力の調整は、駆動源からの動力をクラッチ制御により伝達すること等によってすることが可能である。
第1ガイドロール203は、成膜対象物Sの搬送をガイドすると共に、電流源210から供給された電流を成膜対象物Sに印加する。第1ガイドロール203は図示しない駆動源に接続され、回転駆動されるものとすることができる。第1ガイドロール203は、金属等の導電性を有する材料からなるものとすることができる。
第1弾性ロール204は、第1ガイドロール203に押圧され、第1ガイドロール203と共に成膜対象物Sを挟持する。第1弾性ロール204は、少なくともその表面(ロール表面)が弾性を有する弾性材料からなり、その弾性によって成膜対象物Sが第1ガイドロール203に対して滑ることを防止する。弾性材料は例えばシリコンであるものとすることができる。
第1ガイドロール203と第1弾性ロール204によって、ロールツーロール機構によって搬送される成膜対象物Sを挟持する第1ピンチロール214が構成されている。
第2ガイドロール205は、成膜対象物Sの搬送をガイドすると共に、電流源210から供給された電流を成膜対象物Sに印加する。第2ガイドロール205は図示しない駆動源に接続され、回転駆動されるものとすることができる。第2ガイドロール205は、金属等の導電性を有する材料からなるものとすることができる。
第2弾性ロール206は、第2ガイドロール205に押圧され、第2ガイドロール205と共に成膜対象物Sを挟持する。第2弾性ロール206は、少なくともその表面(ロール表面)が弾性を有する弾性材料からなり、その弾性によって成膜対象物Sが第2ガイドロール205に対して滑ることを防止する。弾性材料は例えばシリコンであるものとすることができる。
第2ガイドロール205と第2弾性ロール206によって、ロールツーロール機構によって搬送される成膜対象物Sを挟持する第2ピンチロール215が構成されている。
第3弾性ロール207及び第4弾性ロール208は、第2ピンチロール215と巻取ロール209の間に配置され、第2ピンチロール215から巻取ロール209に導く。第3弾性ロール207及び第4弾性ロール208は、少なくともその表面(ロール表面)が弾性を有する弾性材料からなり、弾性材料は例えばシリコンであるものとすることができる。第3弾性ロール207及び第4弾性ロール208は、クラッチ機構等によってその回転トルクが調節可能なものが好適である。
巻取ロール209は、成膜対象物Sを巻き取るロールであり、第2ピンチロール215から巻取ロール209までの成膜対象物Sの張力を調整する。巻取ロール209は、図示しない駆動源(モータ等)によって回転駆動されるものとすることができる。巻取ロール209による成膜対象物Sの張力の調整は、駆動源からの動力をクラッチ制御により伝達すること等によってすることが可能である。
電流源210は、第1ガイドロール203及び第2ガイドロール205に接続され、これらの間に電流を印加する。これにより、成膜対象物Sの、第1ガイドロール203及び第2ガイドロール205の間の領域に電流が流れ、成膜対象物Sは抵抗加熱される。第1の実施形態と同様に、成膜対象物Sは抵抗加熱と異なる加熱方法によって加熱されるものとすることもでき、その場合には電流源210の替わりの各種加熱源を設けるものとすることができる。
弛み検出センサ211は、ロールツーロール機構によって搬送される成膜対象物Sの弛みを検出する。弛み検出センサ211は、第1光センサ216と第2光センサ217を有するものとすることができる。第1光センサ216及び第2光センサ217は共に、その放出光(検出光)が成膜対象物Sに概ね平行になるように配置され、第1光センサ216は第2光センサ217より成膜対象物Sに近接する位置に設けられるものとすることができる。
第1光センサ216は発光部216aと受光部216bを有し、発光部216aから放出された光(レーザー等)を受光部216bが受光するものとすることができる。本実施形態においては、発光部216aの放出光が受光部216bによって受光された場合には、成膜対象物Sに弛みが生じていない、即ち成膜対象物Sの張力が緩和されていないと判断することができる。また、発光部216aの放出光が受光部216bによって受光されなかった場合には、成膜対象物Sによって放出光が遮られていることから、即ち成膜対象物Sに弛みが生じていると判断することができる。
第2光センサ217は発光部217aと受光部217bを有し、発光部217aから放出された光(レーザー等)を受光部217bが受光するものとすることができる。本実施形態においては、発光部217aの放出光が受光部217bによって受光されなかった場合には、成膜対象物Sの弛みが過剰となっていると判断することができる。また、発光部217aの放出光が受光部217bによって受光された場合には、成膜対象物Sの弛みが過剰ではないと判断することができる。
即ち弛み検出センサ211(第1光センサ216及び第2光センサ217)の出力から、成膜対象物Sの弛みが適当な範囲(例えば10mm以下)であるか否かを取得することが可能である。なお、弛み検出センサ211はここに示したような光センサを利用するものに限られず、成膜対象物Sの弛みを検出できるものであればよい。
例えば、弛み検出センサ211は、抵抗加熱中に成膜領域(成膜対象物Sの第1ピンチロール214と第2ピンチロール215の間の領域)の抵抗値(成膜領域の長さに依存)を測定するセンサであってもよい。また、成膜対象物Sの弛みの許容限界位置に配置された電気的な接点を有し、成膜対象物Sが過剰に弛みを生じた場合には当該接点の成膜対象物Sへの接触を検出するセンサであってもよい。また、イメージセンサによって成膜領域を撮像し、画像認識によって、成膜対象物Sの弛みを検出するセンサであってもよい。
ガス供給系212は、チャンバ201内に成膜材料となるガスを供給する。ガス供給系108は、図示しないガス源(ガスボンベ等)を有し、チャンバ201内に炭素源ガスを供給することが可能に構成されている。第1の実施形態と同様に、ガス供給系212に替わり、成膜材料を含む液体や固体をチャンバ201内に収容しておくことも可能である。
真空排気系213は、チャンバ201内を真空排気する。真空排気系213は、図示しない真空ポンプ等を有し、チャンバ201内を真空排気することが可能に構成されている。
成膜装置200は以上のような構成を有する。なお、成膜対象物Sについては第1の実施形態と同様に、銅等からなる金属箔であるものとすることが可能である。
[成膜方法]
成膜装置200を利用した成膜方法について説明する。図6に示すように、ロールツーロール機構に成膜対象物Sをセットする。具体的には、巻出ロール202にロール状の成膜対象物Sを取り付け、成膜対象物Sの一端を第1ピンチロール214、第2ピンチロール215、第3弾性ロール207及び第4弾性ロール208を介して巻取ロール209に接続する。成膜対象物Sは、第1ピンチロール214及び第2ピンチロール215によって挟持される。
成膜対象物Sのセットの後、チャンバ201内を成膜環境に適合するように調整する。具体的には真空排気系213によってチャンバ201を真空排気するものとすることができる。
続いて、ガス供給系212から炭素源ガスをチャンバ201内に導入する。炭素源ガスは例えばメタンガス及び水素ガスとすることができ、その流量は例えば、メタンガス400sccm、水素ガス50sccmとすることができる。炭素源ガスは、チャンバ201内の圧力が例えば0.001〜120kPaになるように調整するものとすることができる。
続いて、電流源210によって、第1ガイドロール203及び第2ガイドロール205を介して成膜対象物Sに電流が印加され、成膜対象物Sが抵抗加熱される。ここで、成膜対象物Sが加熱される領域は、第1ガイドロール203と第2ガイドロール205の間の領域(成膜領域)となる。加熱温度は特に限定されず、グラフェンの生成温度以上(例えば950℃)であればよい。
成膜対象物Sがグラフェンの生成温度以上まで加熱されると、炭素源ガスが成膜領域において成膜対象物Sの熱により分解され、同時に成膜対象物S上にグラフェンが成膜される。
グラフェンの成膜と共に、ロールツーロール機構によって成膜対象物Sの搬送が実施される。具体的には、巻出ロール202及び巻取ロール209が回転され、成膜対象物Sが巻出ロール202から巻き出され、巻取ロール209に巻き取られる。また、第1ピンチロール214及びピンチロール215が回転され、成膜対象物Sが第1ピンチロール214から第2ピンチロール215に搬送される。さらに、第3弾性ロール207及び第4弾性ロール208も回転され、成膜対象物Sが巻取ロール209に導かれる。
ここで、第1ピンチロール214又は第2ピンチロール215の回転速度を調整することにより、成膜領域における成膜対象物Sに印加される張力を緩和することが可能である。具体的には、弛み検出センサ211の出力に基づいて、成膜対象物Sの弛みが適当な範囲となるように、第1ピンチロール214又は第2ピンチロール215の回転速度を調整することができる。
また、第3弾性ロール207及び第4弾性ロール208は、巻取ロール209によって、成膜対象物Sを固く巻き上げるために印加されている高い張力を緩和することができる。第2ピンチロール215の一箇所で大きな張力勾配を発生させると、成膜対象物Sと第2ピンチロール215の間で滑りが発生する等の問題がある。しかし、第3弾性ロール207及び第4弾性ロール208によって、巻取ロール209と成膜領域の間で徐々に張力を緩和することによって、このような問題を解消することができる。
成膜対象物Sに印加される張力は、双晶変形の発生を防止するために1MPa未満が好適であり、特に0.1MPa以下が好適である。この張力は、上述した塑性変形が生じる張力(銅の場合950℃において8.3Pa)より大幅に小さい。
以上のように本実施形態においても、成膜対象物Sに印加される張力が緩和されることにより、成膜対象物Sの変形(塑性変形及び双晶変形)が防止され、その上に成膜されるグラフェンを高品質なものとすることが可能である。
本技術は、上記各実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において変更することが可能である。
[変形例]
本技術の変形例について説明する。
(変形例1)
図7は変形例1に係る成膜装置300を示す模式図である。同図に示すように、成膜装置300は、チャンバ301、巻出ロール302、第1ガイドロール303、第1弾性ロール304、第2ガイドロール305、第3ガイドロール306、第4ガイドロール307、第2弾性ロール308、巻取ロール309及び搬送ベルト310を有する。なお、ガス供給系、真空排気系及び成膜対象物の加熱源については第1及び第2の実施形態と同様であり、記載を省略する。
巻出ロール302、第1ガイドロール303、第1弾性ロール304、第2ガイドロール305、第3ガイドロール306、第4ガイドロール307、第2弾性ロール308及び巻取ロール309によってロールツーロール機構が構成され、ロールツーロール機構には成膜対象物Sがセットされている。第1ガイドロール303及び第1弾性ロール304によって第1ピンチロール311が構成され、第4ガイドロール307及び第2弾性ロール308によって第2ピンチロール312が構成されている。
成膜装置300においては、巻出ロール302から巻き出された成膜対象物Sは、第1ピンチロール311、第2ガイドロール305、第3ガイドロール306、第2ピンチロール312を介して巻取ロール309に巻き取られる。成膜対象物Sは、第1ピンチロール311及び第2ピンチロール312によって挟持されている。
搬送ベルト310は、第1ピンチロール311及び第2ピンチロール312の間において成膜対象物Sの鉛直下方に配置され、成膜対象物Sは重力によって搬送ベルト310に接触する。搬送ベルト310は、そのベルトが回転することによって成膜対象物Sを搬送する。
成膜対象物Sへの成膜は、第1ピンチロール311及び第2ピンチロール312の間の成膜領域において実施される。成膜対象物Sは搬送ベルト310によって搬送されるため、ロールツーロール機構による張力が印加されない。したがって、張力による成膜対象物Sの変形(塑性変形及び双晶変形)が発生せず、成膜対象物Sの変形に起因する膜質の低下を防止することが可能である。
(変形例2)
図8は変形例2に係る成膜装置400を示す模式図である。同図に示すように、成膜装置400は、チャンバ401、巻出ロール402、第1ガイドロール403、第1弾性ロール404、第2ガイドロール405、第3ガイドロール406、第4ガイドロール407、第2弾性ロール408、巻取ロール409及び搬送ロール410を有する。なお、ガス供給系、真空排気系及び成膜対象物の加熱源については第1及び第2の実施形態と同様であり、記載を省略する。
巻出ロール402、第1ガイドロール403、第1弾性ロール404、第2ガイドロール405、第3ガイドロール406、第4ガイドロール407、第2弾性ロール408及び巻取ロール409によってロールツーロール機構が構成され、ロールツーロール機構には成膜対象物Sがセットされている。第1ガイドロール403及び第1弾性ロール404によって第1ピンチロール411が構成され、第4ガイドロール407及び第2弾性ロール408によって第2ピンチロール412が構成されている。
成膜装置400においては、巻出ロール402から巻き出された成膜対象物Sは、第1ピンチロール411、第2ガイドロール405、第3ガイドロール406、第2ピンチロール412を介して巻取ロール409に巻き取られる。成膜対象物Sは、第1ピンチロール411及び第2ピンチロール412によって挟持されている。
搬送ロール410は、第1ピンチロール411及び第2ピンチロール412の間において成膜対象物Sの鉛直下方に一つ又は複数が配置され、成膜対象物Sは重力によって搬送ロール410に接触する。搬送ロール410は、その各ロールが回転することによって成膜対象物Sを搬送する。
成膜対象物Sへの成膜は、第1ピンチロール411及び第2ピンチロール412の間の成膜領域において実施される。成膜対象物Sは搬送ロール410によって搬送されるため、ロールツーロール機構による張力が印加されない。したがって、張力による成膜対象物Sの変形(塑性変形及び双晶変形)が発生せず、成膜対象物Sの変形に起因する膜質の低下を防止することが可能である。
本技術に係る成膜装置はグラフェンの成膜に利用されるものに限られず、各種薄膜の成膜に利用されるものとすることが可能である。その成膜方法もCVD(Chemical Vapor Deposition)に限られず、PVD(Physical Vapor Deposition)やその他成膜方法であって、ロールツーロール機構を利用して成膜が可能なものであればよい。
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
銅からなる成膜対象物をロールツーロール機構にセットし、
上記ロールツーロール機構によって上記成膜対象物を搬送し、
上記成膜対象物に成膜材料を供給し、
上記ロールツーロール機構によって上記成膜対象物に印加されている張力が銅において
双晶変形が生じる張力以下に緩和された状態で、上記成膜対象物を加熱する
グラフェン膜の製造方法。
(2)
上記(1)に記載のグラフェン膜の製造方法であって、
上記成膜対象物を加熱する工程は、上記成膜対象物に印加される張力を1MPa未満に緩和した後に実施する
グラフェン膜の製造方法。
(3)
上記(1)または(2)に記載のグラフェン膜の製造方法であって、
上記成膜材料が、炭素を含む炭素源物質である
グラフェン膜の製造方法。
(4)
上記(3)に記載のグラフェン膜の製造方法であって、
上記炭素源物質がメタンガスである
グラフェン膜の製造方法。
(5)
上記(1)から(4)のうちいずれか一つに記載のグラフェン膜の製造方法であって、
上記成膜対象物を加熱する工程は、抵抗加熱により実施される
グラフェン膜の製造方法。
(6)
上記(1)から(5)のうちいずれか一つに記載のグラフェン膜の製造方法であって、
上記成膜対象物が金属箔であり、
上記金属箔の厚みが1〜100μmである
グラフェン膜の製造方法。
(7)
上記(1)から(6)のうちいずれか一つに記載のグラフェン膜の製造方法であって、
上記成膜材料とともに水素ガスを供給する
グラフェン膜の製造方法。
(8)
上記(1)から(7)のうちいずれか一つに記載のグラフェン膜の製造方法であって、
上記ロールツーロール機構が、弛み検出機構を有する
グラフェン膜の製造方法。
(9)
上記(8)に記載のグラフェン膜の製造方法であって、
上記弛み検出機構の出力に応じて上記成膜対象物に印加される張力を調整する
グラフェン膜の製造方法。
(10)
上記(1)から(9)のうちいずれか一つに記載のグラフェン膜の製造方法であって、
上記成膜対象物を加熱する工程は、上記ロールツーロール機構による上記成膜対象物の搬送を停止し、張力を緩和した後に実施する
グラフェン膜の製造方法。
100、200、300、400…成膜装置
102、202、302、402…巻出ロール
103、104、203、205、303、307、403、407…ガイドロール
105、204、206、303、304、308、404、408…弾性ロール
110、214、215、311、312、411、412…ピンチロール
106、209、309、409…巻取ロール
107、210…電流源
211…弛み検出センサ

Claims (10)

  1. 銅からなる成膜対象物をロールツーロール機構にセットし、
    前記ロールツーロール機構によって前記成膜対象物を搬送し、
    前記成膜対象物に成膜材料を供給し、
    前記ロールツーロール機構によって前記成膜対象物に印加されている張力が銅において
    双晶変形が生じる張力以下に緩和された状態で、前記成膜対象物を加熱する
    グラフェン膜の製造方法。
  2. 請求項1に記載のグラフェン膜の製造方法であって、
    前記成膜対象物を加熱する工程は、前記成膜対象物に印加される張力を1MPa未満に緩和した後に実施する
    グラフェン膜の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のグラフェン膜の製造方法であって、
    前記成膜材料が、炭素を含む炭素源物質である
    グラフェン膜の製造方法。
  4. 請求項3に記載のグラフェン膜の製造方法であって、
    前記炭素源物質がメタンガスである
    グラフェン膜の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一つに記載のグラフェン膜の製造方法であって、
    前記成膜対象物を加熱する工程は、抵抗加熱により実施される
    グラフェン膜の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一つに記載のグラフェン膜の製造方法であって、
    前記成膜対象物が金属箔であり、
    前記金属箔の厚みが1〜100μmである
    グラフェン膜の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一つに記載のグラフェン膜の製造方法であって、
    前記成膜材料とともに水素ガスを供給する
    グラフェン膜の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれか一つに記載のグラフェン膜の製造方法であって
    前記ロールツーロール機構が、弛み検出機構を有する
    グラフェン膜の製造方法。
  9. 請求項8に記載のグラフェン膜の製造方法であって、
    前記弛み検出機構の出力に応じて前記成膜対象物に印加される張力を調整する
    グラフェン膜の製造方法。
  10. 請求項1に記載のグラフェン膜の製造方法であって、
    前記成膜対象物を加熱する工程は、前記ロールツーロール機構による前記成膜対象物の搬送を停止し、張力を緩和した後に実施する
    グラフェン膜の製造方法。
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