JP6252177B2 - 固形製剤 - Google Patents

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本発明は、ロキソプロフェン又はその塩と硬化油を含有することを特徴とする固形製剤に関するものである。さらに詳しくは、ロキソプロフェン又はその塩と硬化油配合時に外観変化を抑制できる固形製剤に関するものである。
ロキソプロフェンはそのナトリウム塩が医療用医薬品として高い実績を誇るフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛剤である。本成分は消炎鎮痛剤として医療用での使用実績が高く、胃障害などの副作用が比較的軽いといった特徴を有している。
ロキソプロフェンはその優れた薬理作用から、様々な薬物と配合された検討が既になされている。例えば、ケトチフェンフマル酸塩との配合による解熱作用の増強(特許文献1)や、チキジウム臭化物の配合による胃障害の軽減(特許文献2)、プソイドエフェドリン塩酸塩との配合によるくしゃみ防止(特許文献3)などが挙げられる。
一方、硬化油は滑沢剤や安定化剤、結合剤、コーティング剤として固形製剤の製造において汎用されている成分である。ロキソプロフェン又はその塩及び硬化油を添加した例として、以下の特許文献が確認されている。
1)ロキソプロフェン又はその塩及び硬化油を配合した組成物(特許文献4〜8)
2)ロキソプロフェン又はその塩及び硬化油を配合したカプセル製剤(特許文献9)
しかしながら、ロキソプロフェン又はその塩と硬化油配合時に相互作用を生じることはこれまで知られておらず、示唆もされていない。
特開2004―83579号公報 特開2000―26313号公報 特開2004−2362号公報 特開2012−31158号公報 特開2012−158590号公報 特開2012−31131号公報 特開2012−46514号公報 特開2001−39861号公報 特開2001−31565号公報
本発明者らは、ロキソプロフェン又はその塩及び硬化油を含有する医薬用製剤を開発するため、まずはこれら混合品を製剤化させて保存安定性について検討したところ、意外にも、これらの化合物の間に相互作用が生じて褐色状への変色が認められ、商品価値の低下を招くおそれがあった。
従って、本発明はロキソプロフェン又はその塩と硬化油を含有しても、外観変化を抑制できる固形製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々検討した結果、ロキソプロフェン又はその塩と硬化油を含有する粉体に合成ヒドロタルサイトを含有せしめることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)ロキソプロフェン又はその塩、硬化油及び合成ヒドロタルサイトを含有することを特徴とする固形製剤、
(2)ロキソプロフェン又はその塩1質量部に対して0.04〜2.0質量部の硬化油及び1.0〜22.3質量部の合成ヒドロタルサイトを含有する(1)に記載の固形製剤、
である。
本発明の医薬製剤は、ロキソプロフェン又はその塩と硬化油の相互作用を抑制できる。従って、長期にわたって製剤の着色が防止されたロキソプロフェン又はその塩と硬化油を含有する固形製剤を提供することができる。
実施例1の錠剤及び比較例1、7〜8の錠剤を65℃条件下に2週間保存したときの外観である。
本発明の医薬製剤に用いられるロキソプロフェン又はその塩には、ロキソプロフェンの
みならず、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらには水やアルコール等との溶媒
和物が含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販
のものを用いることができる。本発明において、ロキソプロフェン又はその塩としては、
ロキソプロフェンナトリウム水和物が好ましい。
本発明の固形製剤中におけるロキソプロフェン又はその塩の含有量は、その薬効を示す量であれば特に限定されるものではないが、固形製剤全質量に対して、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1.7〜80.0質量%、好ましくは3.0〜72.0質量%、特に好ましくは4.0〜62.0質量%、最も好ましいのは4.0〜52.0質量%である。
本発明の固形製剤中における硬化油の含有量は、固形製剤全質量に対して1.0〜70.0質量%、好ましくは3.5〜62.0質量%,特に好ましくは7.5〜50.0質量%である。
また、本発明の固形製剤中における合成ヒドロタルサイトの含有量は、25.0〜90.0質量%、好ましくは25.0〜65.0質量%,特に好ましくは27.0〜63.0質量%含有するものが着色抑制の面で好ましい。
本発明のロキソプロフェン又はその塩と硬化油の配合比は、ロキソプロフェン又はその塩1質量部に対して0.04〜2.0質量部、好ましくは0.1〜2.0質量部である。また、本発明のロキソプロフェン又はその塩と合成ヒドロタルサイトとの配合比は、1.0〜22.3質量部である。本発明の固形製剤の剤形としては散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、錠剤(フィルムコーティング錠、糖衣錠、積層錠を含む)、カプセル剤、ドライシロップ剤、トローチ剤等の経口製剤や外用剤などの非経口製剤が挙げられるが、特にカプセル剤、錠剤又は散剤が好ましい。
本発明の固形製剤の製造方法としては、直接打錠法、湿式造粒法、乾式造粒法及び溶融造粒法という方法が挙げられ、この中でも直接打錠法および湿式造粒法が好ましい。
本発明の医薬製剤には、ロキソプロフェン又はその塩と、硬化油及び合成ヒドロタルサイト以外にも、総合感冒薬及び解熱鎮痛剤との配合が考えられる成分との配合が可能である。
本発明の固形製剤は、ロキソプロフェン又はその塩と、硬化油及び合成ヒドロタルサイトを配合し、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤等を混合してもよい。
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づきさらに詳細に説明する。尚、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜11)
(1)製剤(錠剤)の製造方法
下記表1〜3の配合比に従い、各種原料(ステアリン酸マグネシウムを除く)を100錠分ビニールで混合した後、篩を通した。篩通過後の粉体に対して精製水を加えて乳鉢で練合させ、50℃条件下に2時間静置して十分乾燥させた後に、錠剤製造用の顆粒を得た。乾燥後、得た顆粒にステアリン酸マグネシウムを添加・混合し、卓上簡易錠剤成型機(商品名:HANDTAB;市橋精機)を用いて錠剤径10mmの錠剤を得た。得た錠剤は、25℃60%RH条件下に1日静置させた後にガラス瓶に入れて密閉し、65℃条件下に2週間保存させた後に製剤の外観評価を行った。
(2)官能評価
実施例、比較例で得られた錠剤について、官能評価によって専門パネラー2名による外観評価を実施した。製剤の外観の評価は、65℃環境下に2週間保存したサンプルと直後品との相対比較によって行い,以下に示す判定基準により評価を行った.
《判定基準》
○:変化なし、もしくはほぼ変化なし
×:明らかな変化が認められる
(3)色差測定
実施例,比較例で得られた錠剤について、直後品をコントロールとして65℃条件下に2週間保存させたサンプルの色差測定を実施した。色差の測定には分光測色計(商品名:SE6000;日本電色工業)を用い、以下の[数1]により算出した。各ポイントにつき3錠のサンプルの表面・裏面について色差を測定し、ΔE*(ab)が低いほど色調が変化していないことを示す。
Figure 0006252177
ΔL*=65℃2週間保存品のL*値−直後品のL*値(L*:明度 +は白方向,−は黒方向)
Δa*=65℃2週間保存品のa*値−直後品のa*値(a*:色度 +は赤方向,−は緑方向)
Δb*=65℃2週間保存品のb*値−直後品のb*値(b*:色度 +は黄方向,−は青方向)
官能評価結果及び色差測定結果を表1〜3に示す。
Figure 0006252177
Figure 0006252177
Figure 0006252177
表1〜3及び図1〜2から明らかなように、ロキソプロフェンナトリウムと硬化油を含有する錠剤の色差結果は高い値を示し、錠剤表面に斑点状の著しい変色が認められた(比較例1)。また、硬化油をロキソプロフェンナトリウムに対して0.04質量部以上配合した錠剤は、いずれも明らかな外観変化が認められた(比較例1〜6)。これに対し、実施例1〜4に示した合成ヒドロタルサイトを含有する錠剤の色差結果は低い値を示し、また官能評価結果からも外観変化が抑制されていることが分かった。
一方、合成ヒドロタルサイトと同じ制酸剤として知られる酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、炭酸水素ナトリウム、アミノ酢酸、又は炭酸マグネシウムを含有する錠剤の色差結果はΔEで7.0以上となり、錠剤表面に斑点状の変色が見られるなど、明らかな外観変化が認められた(比較例7〜11)。
本発明により、ロキソプロフェン又はその塩と硬化油との相互作用の抑制が可能となった。従って、保存安定性が優れた、ロキソプロフェン又はその塩及び硬化油を含む固形製剤を提供することが可能となった。

Claims (3)

  1. ロキソプロフェン又はその塩、硬化油及び合成ヒドロタルサイトを含有することを特徴とする固形製剤。
  2. ロキソプロフェン又はその塩1質量部に対して0.04〜2.0質量部の硬化油及び1.0〜22.3質量部の合成ヒドロタルサイトを含有する請求項1に記載の固形製剤。
  3. ロキソプロフェン又はその塩、硬化油及び合成ヒドロタルサイトを含有する固形製剤の製造方法であって、湿式造粒する工程を含むことを特徴とする固形製剤の製造方法。
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