JP6661729B2 - ロキソプロフェンナトリウムとクレマスチンフマル酸塩を含有する固形製剤 - Google Patents

ロキソプロフェンナトリウムとクレマスチンフマル酸塩を含有する固形製剤 Download PDF

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Description

本発明は、安定性に優れたロキソプロフェンナトリウムを含有する固形製剤に関する。
現在、総合感冒薬や解熱鎮痛薬等においては、複数の薬効成分を配合した医薬製剤が広く使用されている。例えば、総合感冒薬においては、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎薬などの多くの薬効成分が配合された一般用医薬品が広く販売されている。多くの薬効成分が配合された製剤においては、配合成分の相互作用による分解物の生成等、予期しない副作用等を防ぐという安全性の観点から、製剤の安定性の確保は重要な課題である。
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物は、非ステロイド系解熱鎮痛薬として臨床で広く使用されている。また、クレマスチン又はその塩は、抗ヒスタミン薬として知られており、総合感冒薬の有効成分として配合されている。
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、クレマスチン又はその塩との併用や、同時配合の医薬組成物については、すでに報告がある(例えば、特許文献1参照)。
また、ロキソプロフェン又はその塩に、クレマスチン又はその塩を混和すると色調、性状の変化を起こす問題点があること、その変化を抑制するために、ロキソプロフェン又はその塩とクレマスチン又はその塩とを、実質的に互いに接しないような製剤的な工夫が必要であった(例えば、特許文献2参照)。一般的に、これらの変化を回避するためには、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とクレマスチン又はその塩を接触(混和)させないこと、例えば、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とクレマスチン又はその塩を、各々別顆粒に配合するか、或いは多層錠とする等の両成分を接触させない工夫が必要であり、製造時間や製造操作の煩雑さ、及び製造コストの問題点等があった。
特開2009−185058号公報 特開2012−031147号公報
本発明者らは、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩を同時に含有する組成物において、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とクレマスチン又はその塩を含む物理混和物を調製後、保存中に経時的な色調・性状の変化とともにクレマスチン又はその塩の含量が低下する問題があることを見出した。
したがって、本発明の課題は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物及びクレマスチン又はその塩が均質に混和された固形製剤で、顆粒分けを行わなくとも製剤の色調・性状の変化及びクレマスチン又はその塩の含量低下がない、安定な固形製剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく製剤の研究を重ねた結果、塩基性の医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することにより、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩が均質に配合された組成物であっても、当該組成物の色調・性状の変化がなく、クレマスチン又はその塩の含量低下が抑制し、かつ製造性が改善されるという結果を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(15)を提供する。
(1)塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩を含有する、固形製剤。
(2)塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩を含有し、均質に混和後、湿式造粒された固形製剤。
(3)塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩を含有し、均質に混和、湿式造粒後、圧縮成型された固形製剤。
(4)塩基性医薬品添加物が、メタケイ酸アルミン酸マグネシム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、及びケイ酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上である、(1)〜(3)のいずれか1に記載の固形製剤。
(5)塩基性医薬品添加物が、軽質無水ケイ酸及び重質無水ケイ酸からなる群より選ばれる1種以上である、(1)〜(3)のいずれか1に記載の固形製剤。
(6)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が、ロキソプロフェンナトリウム2水和物である、(1)〜(5)のいずれか1に記載の固形製剤。
(7)クレマスチン又はその塩が、クレマスチンフマル酸塩である、(1)〜(6)のいずれか1に記載の固形製剤。
(8)剤形が錠剤である、(3)〜(7)のいずれか1に記載の固形製剤。
(9)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、クレマスチン又はその塩、及び、塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を含有する固形製剤の製造方法であって、
均質に混和する工程、湿式造粒する工程を含むことを特徴とする、固形製剤の製造方法。
(10)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、クレマスチン又はその塩、及び、塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を含有する固形製剤の製造方法であって、
均質に混和する工程、湿式造粒する工程、さらに圧縮成型する工程を含むことを特徴とする、固形製剤の製造方法。
(11)塩基性医薬品添加物が、メタケイ酸アルミン酸マグネシム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、及びケイ酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上である、請求項9又は10に記載の方法。
(12)塩基性医薬品添加物が、軽質無水ケイ酸及び重質無水ケイ酸からなる群より選ばれる1種以上である、(9)又は(10)に記載の方法。
(13)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が、ロキソプロフェンナトリウム2水和物である、(9)〜(12)のいずれか1に記載の製造方法。
(14)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩を含有する組成物において、
塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とする、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とクレマスチン又はその塩の混和による、配合変化の抑制方法。
(15)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩を含有する組成物において、
塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とする、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とクレマスチン又はその塩の混和による、クレマスチン又はその塩の含量低下の抑制方法。
本発明の固形製剤は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩とを含有する組成物に、塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することにより、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とクレマスチン又はその塩との共存による変色などの配合変化を回避した安定な固形製剤を提供できることを特徴とする。
本発明の「固形製剤」は、第15改正日本薬局方に記載されている顆粒剤、散剤、カプセル剤、錠剤、及び丸剤等で、好適には、顆粒剤、散剤、カプセル剤及び錠剤である。
また、本発明の顆粒剤又は錠剤の態様として、水溶性の高分子などで製剤をコーティングしたものや、糖で錠剤をコーティングしたものも好適である。すなわち、フィルムコーティング顆粒、フィルムコーティング錠、糖衣錠等を好適なものとして挙げることができる。
さらに、本発明の固形製剤が錠剤の場合、組成の異なる粉末又は顆粒を2層又は3層以上に積み重ねて圧縮成型した多層錠も好ましい態様として挙げることができる。
本発明に用いられる「ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物」としては、例えば、ロキソプロフェンナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム1水和物、ロキソプロフェンナトリウム2水和物を挙げることができ、ロキソプロフェンナトリウム2水和物が好ましい。ロキソプロフェンナトリウム2水和物は、第15改正日本薬局方に収載されている。
本発明に用いられる「クレマスチン又はその塩」は、第15改正日本薬局方に収載されている。クレマスチン又はその塩としては、クレマスチンフマル酸塩が好ましい。
本発明に用いられる「塩基性医薬品添加物」とは、5%懸濁液のpHが7以上の添加物、若しくは第15改正日本薬局方に収載されている制酸力試験法で制酸力を示す添加物を意味する。塩基性医薬品添加物の具体例としては、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈生成物、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、烏賊骨、石決明、ボレイ、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、及びケイ酸カルシウム等を挙げることができ、これらの添加剤は一般用医薬品製造(輸入)承認基準(2000年度版)、2007医薬品添加物事典、及び2007医薬品添加物ハンドブックに収載されている。
本発明における塩基性医薬品添加物としては、メタケイ酸アルミン酸マグネシム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及びケイ酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明における「含水二酸化ケイ素」としては、2007医薬品添加物事典に収載されているものを使用すればよいが、特に多孔性で給油能がすぐれていることが特徴とされているグレードのものが望ましく、例えば、アドソリダー102(フロイント産業)、カープレックス♯67(DSL.ジャパン)、カープレックス♯80(DSL.ジャパン)、含水二酸化ケイ素(東ソー・シリカ)等が挙げられる。
本発明において、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩に配合する成分としては、メタケイ酸アルミン酸マグネシム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び含水二酸化ケイ素からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明の固形製剤は、必要に応じて、さらに「乾燥剤」を添加してもよい。本発明における「乾燥剤」としては、特開2010−215611号公開公報に記載されたものを挙げることができ、例えば、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、天然ゼオライト、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、塩化カルシウム、生石灰(酸化カルシウム)、ベントナイトクレイ(モンモリロナイト)、塩化マグネシウム及び酸化マグネシウムから選択される1種又は2種以上を挙げることができ、これらと活性炭を混合したものであってもよい。シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、塩化カルシウムからなる群より選択される1種又は2種以上がより好ましく、合成ゼオライトがさらに好ましい。
本発明の固形製剤における、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、クレマスチン又はその塩、及び塩基性医薬品添加物の含有比は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物1重量部に対し、それぞれ0.001〜0.5重量部、及び0.01〜30重量部であり;好ましくは、それぞれ0.001〜0.3重量部、及び0.01〜15重量部である。
本発明の固形製剤の製造方法としては、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、クレマスチン又はその塩、及び塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素が均質に混和する工程が含まれていれば、特に制限はない。
ここで、「均質に混和する」とは、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、クレマスチン又はその塩、及び塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を、通常使用される混合機、例えば攪拌型混合機等により混合・混和すればよい。
また、本発明に用いられる「混合」、「混和」とは、「混合」は2種以上の成分を、例えば製剤的に通常使用される混合機、例えば攪拌型混合機等を用いた「混合」を意味し、「混和」とは2種以上の成分が均質に混ざり合った状態で、元の成分が識別できない状態を意味する。
さらに、本発明の固形製剤の製造方法としては、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、クレマスチン又はその塩、及び塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を含む組成物を造粒するのが好ましい。かかる造粒としては、乾式造粒や湿式造粒を挙げることができるが、本発明においては、湿式造粒が好ましい。本発明の固形製剤を製造する際の湿式造粒としては、攪拌造粒、噴霧造粒、転動造粒、流動層造粒、押し出し造粒等の通常に医薬品等の分野で使用されている湿式造粒法であれば、特に限定されない。
さらに本発明においては、前記造粒によって得られた造粒物を圧縮成型し、錠剤とするのが好ましい。
本発明の固形製剤を調製する際には、必要により他の薬効成分を配合し、さらに必要に応じて、前記に挙げられた塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素以外の製剤添加剤を添加してもよい。本発明の固形製剤の製剤化に使用される製剤添加剤としては、薬学的に許容される担体、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊補助剤、滑沢剤、流動化剤、光沢化剤、発砲剤、防湿剤、界面活性剤、安定化剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、防腐剤、保存剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、香料、芳香剤、着色剤、基剤、コーティング剤、糖衣剤、可塑剤、分散剤、及び消泡剤等が挙げられ、従来公知の固形製剤に使用しうる製剤添加剤を上記の目的で使用し得る。
本発明をより詳細に説明するため、以下に実施例及び比較例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明で使用した次の薬効成分の入手先は、ロキソプロフェンナトリウム2水和物(第一三共プロファーマ株式会社)、ブロムヘキシン塩酸塩(第一ファインケミカル株式会社)、クレマスチンフマル酸塩(積水メディカル株式会社)、及びdl−メチルエフェドリン塩酸塩(第一ファインケミカル株式会社)である。
試験例:保存安定性試験
1.物理混和物及び固形製剤の製造
(比較例1)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物19.87g及びクレマスチンフマル酸塩0.13gを、ポリ袋にて混合した後、混合末を篩(42号)にて篩過して物理混和物を得た。
(比較例2)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物45.9g、ブロムヘキシン塩酸塩2.7g、クレマスチンフマル酸塩0.3g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩13.5g、D−マンニトール337.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒529.2gを調製した。造粒顆粒480.0gにクロスカルメロースナトリウム14.4g、及びステアリン酸マグネシウム7.2gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
(実施例1)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物12.55g、クレマスチンフマル酸塩0.08g及び軽質無水ケイ酸を7.37g、ポリ袋にて混合した後、混合末を篩(42号)にて篩過して物理混和物を得た。
(実施例2)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物12.55g、クレマスチンフマル酸塩0.08g及び含水二酸化ケイ素を7.37g、ポリ袋にて混合した後、混合末を篩(42号)にて篩過して物理混和物を得た。
(実施例3)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物12.55g、クレマスチンフマル酸塩0.08g及び合成ヒドロタルサイトを7.37g、ポリ袋にて混合した後、混合末を篩(42号)にて篩過して物理混和物を得た。
(実施例4)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物12.55g、クレマスチンフマル酸塩0.08g及びケイ酸カルシウムを7.37g、ポリ袋にて混合した後、混合末を篩(42号)にて篩過して物理混和物を得た。
(実施例5)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物12.55g、クレマスチンフマル酸塩0.08g及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを7.37g、ポリ袋にて混合した後、混合末を篩(42号)にて篩過して物理混和物を得た。
(実施例6)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g、クレマスチンフマル酸塩1.0g、軽質無水ケイ酸10.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒49.5gにステアリン酸マグネシウム0.5gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
(実施例7)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物45.9g、ブロムヘキシン塩酸塩2.7g、クレマスチンフマル酸塩0.3g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩13.5g、D−マンニトール337.0g、含水二酸化ケイ素27.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒529.2gを調製した。造粒顆粒480.0gにクロスカルメロースナトリウム14.4g、及びステアリン酸マグネシウム7.2gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
(実施例8)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g、クレマスチンフマル酸塩1.0g、合成ヒドロタルサイト10.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒49.5gにステアリン酸マグネシウム0.5gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
(実施例9)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g、クレマスチンフマル酸塩1.0g、ケイ酸カルシウム10.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒49.5gにステアリン酸マグネシウム0.5gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
(実施例10)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物45.9g、ブロムヘキシン塩酸塩2.7g、クレマスチンフマル酸塩0.3g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩13.5g、D−マンニトール337.0g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム27.0g、及び結晶セルロース適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒529.2gを調製した。造粒顆粒480.0gにクロスカルメロースナトリウム14.4g、及びステアリン酸マグネシウム7.2gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
2.試験方法
比較例1の物理混和物、及び実施例1−5の物理混合末をガラス瓶に充填し、60℃密栓の条件で1週間(60℃密栓1W)放置した。保管後に冷蔵庫保存品を対照として色調変化、性状変化を確認した。
くわえて、比較例2、及び実施例6−10の錠剤をガラス瓶(4k規格瓶)に充填し、60℃密栓の条件で4週間(60℃密栓4W)放置した。保管後に冷蔵庫保存品を対照として色調変化、性状変化を確認した。また、ロキソプロフェンナトリウム2水和物、及びクレマスチンフマル酸塩の残存率を測定した。
色調変化は;A:変色なし、B:わずかな変色、C:変色あり、D:著しい変色、の4段階で評価した。
性状変化は;A:変化なし、B:わずかな変化、C:変化あり、D:著しい変化、の4段階で評価した。
色差は分光式色差計(SE2000:日本電色工業株式会社)を用い、イニシャル品を比較対照として60℃4週間保存品のL*(明度)、a*、b*(色相彩度)の差により、下記式1で色差(ΔE)を求めた。測定は3回実施し、色差の平均値を採用した。
3.試験結果
表1〜表4に示すように、ロキソプロフェンナトリウム2水和物、及びクレマスチンフマル酸塩が均一に存在してなる組成物に、塩基性の医薬品添加物を添加した場合には、顆粒分け等の特殊な工程を追加する必要はなく、造粒時の缶体付着等のトラブル無く製造することができる。さらに、外観変化(色調、性状及び色差)及びクレマスチンフマル酸塩の含量低下を抑制できることから、従来の製造方法に比較して有利である。
本発明により、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とクレマスチン又はその塩を含有する固形製剤を、簡便かつ低コストに製造することができる。かかる固形製剤は、感冒等の治療に利用できるので、有用である。

Claims (9)

  1. ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物1重量部に対して0.01〜30重量部のケイ酸カルシウムを添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩を含有する錠剤。
  2. ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が、ロキソプロフェンナトリウム2水和物
    である、請求項1に記載の錠剤。
  3. クレマスチン又はその塩が、クレマスチンフマル酸塩である、請求項1又は請求項2に記載の錠剤。
  4. ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、クレマスチン又はその塩、並びに、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物1重量部に対して0.01〜30重量部のケイ酸カルシウムを含有する錠剤の製造方法であって、
    均質に混和する工程、湿式造粒する工程を含むことを特徴とする、錠剤の製造方法。
  5. ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、クレマスチン又はその塩、並びに、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物1重量部に対して0.01〜30重量部のケイ酸カルシウムを含有する錠剤の製造方法であって、
    均質に混和する工程、湿式造粒する工程、さらに圧縮成型する工程を含むことを特徴とする、錠剤の製造方法。
  6. ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が、ロキソプロフェンナトリウム2水和物である、請求項4又は請求項5に記載の錠剤の製造方法。
  7. クレマスチン又はその塩が、クレマスチンフマル酸塩である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の錠剤の製造方法。
  8. ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩を含有する錠剤において、
    ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物1重量部に対して0.01〜30重量部のケイ酸カルシウムを添加することを特徴とする、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とクレマスチン又はその塩の混和による、配合変化の抑制方法。
  9. ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及びクレマスチン又はその塩を含有する錠剤において、
    ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物1重量部に対して0.01〜30重量部のケイ酸カルシウムを添加することを特徴とする、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とクレマスチン又はその塩の混和による、クレマスチン又はその塩の含量低下の抑制方法。
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