JP2019189554A - 溶出性を改善させた医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 錠剤から活性成分であるシナカルセト塩酸塩の溶出性を改善した医薬組成物を提供すること。【解決手段】 活性成分としてシナカルセト塩酸塩、賦形剤として、(a)希釈剤である乳糖水和物、結晶セルロース、又はD−マンニトールから選択される1種以上、(b)崩壊剤であるクロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、又は部分α化デンプンから選択される1種以上、(c)結合剤であるヒドロキシプロピルセルロース、又はポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、或いは結合剤を含有せず、(d)滑沢剤であるステアリン酸マグネシウム、又はタルクから選択される1種以上を含有し、造粒・圧縮成形してなる、活性成分の溶出性を改善した医薬組成物である。【選択図】 図1

Description

本発明は、活性成分の放出性を改善させた医薬組成物に係り、詳細には、錠剤から活性成分であるシナカルセト塩酸塩の放出性を改善させた医薬組成物に関する。
シナカルセト塩酸塩は、カルシウム受容体作動薬として、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症、或いは、副甲状腺癌、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症に対する治療薬として臨床的に使用されている医薬品である(販売名:レグパラ(登録商標)錠)。
シナカルセト塩酸塩は、水に対する溶解性が極めて低く、例えば、中性のpHにおいては、1μg/mL未満しか水中に溶解せず、より低いpHにおいても若干水溶性が上昇するだけである。
また、シナカルセト塩酸塩は、嵩密度が高く、粉体としての流動性が低いため、製剤化に当たっては、乾式直打法による錠剤への製造が困難であり、いわゆる湿式造粒−打錠法により錠剤が製造されている。
しかしながら、湿式造粒−打錠法においての造粒工程にあっては、主薬であるシナカルセト塩酸塩の粒子径に起因して造粒効率が好ましくないことから、種々の賦形剤を選択して、造粒を行っている。
すなわち、シナカルセト塩酸塩の低い溶解性は製剤化における賦形剤の選択肢を狭めるものであり、更にシナカルセト塩酸塩のバイオアベイラビリティーに不都合な影響を与え得るのである。
例えば、錠剤中での主薬であるシナカルセト塩酸塩の占める重量比率が50重量%を超える場合には、崩壊時間が遅くなり、また崩壊剤を用いたとしても、一緒に添加する希釈剤の選択、並びにその配合量により崩壊時間の遅延が認められている。
したがって、シナカルセト塩酸塩を含有する錠剤にあっては、特定の賦形剤を特定の割合で添加することにより、目的とする溶解プロファイルを確保する工夫が検討されており(特許文献1)、その結果、臨床的に使用されているシナカルセト塩酸塩を含有する錠剤が提供されている。
具体的には、有効成分であるシナカルセト塩酸塩をシナカルセトとして12.5mg、25mg或いは75mg含有し、賦形剤として、微晶質セルロース、ポビドン、デンプン(部分α化デンプン)、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、タルク及びステアリン酸マグネシウムを特定の割合で組み合わせることで、錠剤を調製している(非特許文献1)。
ここで具体的に処方されている賦形剤としての微晶質セルロース、ポビドン、デンプン(部分α化デンプン)、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、タルク及びステアリン酸マグネシウムにあっては、希釈剤として微晶質セルロース、デンプン(部分α化デンプン)を選択し、崩壊剤としてクロスポビドンを、結合剤としてポビドンを、また、滑沢剤としてタルク及びステアリン酸マグネシウムを使用しているものである。
そして、これらの賦形剤を、錠剤重量に対して特定の比率で配合することにより、主薬であるシナカルセト塩酸塩の溶解性を高め、バイオアベイラビリティーを確保するというものである(前述の「特許文献1」)。
特に、湿式造粒−打錠法による錠剤の調製にあっては、シナカルセト塩酸塩の嵩密度の高さに起因し、造粒時における結合剤の選択が不可欠なものである一方、所望の放出性を確保するためには、選択した結合剤、その含有量に対する崩壊剤の含有量の比率が錠剤の崩壊性に大きく影響している。
例えば、造粒効率を高めるために結合剤の添加比率を高めた場合には、崩壊時間の遅延が認められ、主薬の溶解速度が遅くなる傾向が認められ、放出性が低下する。
したがって、主薬であるシナカルセト塩酸塩の溶解性や放出性、更には生体適合性を高めるべく、添加剤である賦形剤が選択されている。
本発明者らも、シナカルセト塩酸塩の錠剤からの溶解性、放出性を高め、また、そのバイオアベイラビリティーを良好ならしめる製剤化検討を行ってきたなかで、驚くべきことに、結合剤を使用しなくても、特定の希釈剤、崩壊剤を選択した場合には、湿式造粒が良好に行われ、得られた造粒顆粒を圧縮成形することにより得られた錠剤について、錠剤からのシナカルセト塩酸塩の溶解性、放出性が良好であり、かつバイオアベイラビリティーも極めて良好なものであることを確認し、本発明を完成させるに至った。
さらに、結合剤として特定の結合剤を用いた場合であっても、特定の希釈剤、崩壊剤を選択した場合には、湿式造粒が良好に行われ、得られた造粒顆粒を圧縮成形することにより得られた錠剤について、錠剤からのシナカルセト塩酸塩の溶解性、放出性が良好であり、かつバイオアベイラビリティーも極めて良好なものであることを確認し、本発明を完成させるに至った。
特許第5026077号掲載公報
レグパラ(登録商標)錠 添付文書 2014年11月改訂
すなわち本発明は、錠剤から活性成分である主薬のシナカルセト塩酸塩の溶解性、放出性が良好なものであり、かつバイオアベイラビリティーが良好なものである、活性成分の溶出性を改善した医薬組成物を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するための本発明は、その基本的態様は、
(1)活性成分としてシナカルセト塩酸塩10〜45重量%、
賦形剤として、以下の(a)〜(d):
(a)希釈剤である乳糖水和物、結晶セルロース、又はD−マンニトールから選択される1種以上を30〜75重量%、
(b)崩壊剤であるクロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、又は部分α化デンプンから選択される1種以上を10〜30重量%、
(c)結合剤であるヒドロキシプロピルセルロース、又はポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーを1〜3重量%、
(d)滑沢剤であるステアリン酸マグネシウム、又はタルクから選択される1種以上を0.5〜5重量%、
であって、
(a)、(b)、(c)及び(d)からなる賦形剤、または(a)、(b)及び(d)からなる賦形剤を含有し、造粒・圧縮成形してなる、活性成分の溶出性を改善した医薬組成物である。
したがって、本発明はその一つの具体的態様として、
(2)活性成分としてシナカルセト塩酸塩10〜45重量%、
賦形剤として、
(a)乳糖水和物、結晶セルロース、又はD−マンニトールから選択される希釈剤の1種以上を30〜75重量%、
(b)クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、又は部分α化デンプンから選択される崩壊剤の1種以上を10〜30重量%、
(c)ヒドロキシプロピルセルロース、又はポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーから選択される結合剤を1〜3重量%、及び
(d)ステアリン酸マグネシウム、又はタルクから選択される滑沢剤の1種以上を0.5〜5重量%を含有し、
造粒・圧縮成形してなる、上記(1)に記載の活性成分の溶出性を改善した医薬組成物である。
さらに本発明は、更に別の具体的態様として、
(3)活性成分としてシナカルセト塩酸塩10〜45重量%、
賦形剤として、
(a)乳糖水和物、結晶セルロース、又はD−マンニトールから選択される希釈剤の1種以上を30〜75重量%、
(b)クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、又は部分α化デンプンから選択される崩壊剤の1種以上を10〜30重量%、
(c)結合剤を含有せず、及び
(d)ステアリン酸マグネシウム、又はタルクから選択される滑沢剤の1種以上を0.5〜5重量%を含有し、
造粒・圧縮成形してなる、上記(1)に記載の活性成分の溶出性を改善した医薬組成物である。
より具体的には、本発明は、希釈剤が、乳糖水和物、結晶セルロースおよびD−マンニトールから選択される1種以上であり、崩壊剤がクロスポビドンまたは部分α化デンプンから選択され、滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の活性成分の溶出性を改善した医薬組成物である。
さらに本発明は、当該医薬組成物が錠剤であり、また、当該錠剤がフィルムコーティング錠である上記の活性成分の溶出性を改善させた医薬組成物である。
本発明が提供する活性成分であるシナカルセト塩酸塩の溶出性を改善させた医薬組成物、特に圧縮成形した錠剤は、特定の賦形剤を使用することで、嵩密度の高いシナカルセト塩酸塩であっても特定の結合剤を使用すること、或いは、当該結合剤を使用しなくてもその造粒工程における造粒効率が高く、得られた造粒顆粒を圧縮成形した錠剤からの有効成分の溶解性、放出性が良好なものであり、かつそのバイオアベイラビリティーも高く、臨床的に好適なシナカルセト含有錠剤である。
したがって、実際の製造過程で簡便な工程により目的とする放出性が改善されたシナカルセト含有錠剤を提供し得る利点を有している。
実施例1におけるシナカルセト塩酸塩の溶出性の結果を示した図である。 実施例2におけるシナカルセト塩酸塩の溶出性の結果を示した図である。
上記したように、本発明は、錠剤から活性成分である主薬のシナカルセト塩酸塩の溶解性、放出性が良好なものであり、かつバイオアベイラビリティーが良好なものである、活性成分の溶出性を改善した医薬組成物であり、特に基本的態様として、特定の賦形剤を使用することで、嵩密度の高いシナカルセト塩酸塩であっても特定の結合剤を使用することにより、或いは、当該結合剤を使用しなくてもその造粒工程における造粒効率が高く、その結果、得られた造粒顆粒を圧縮成形した錠剤からの有効成分の溶解性、放出性が良好なものである。
活性成分としてのシナカルセト塩酸塩は、カルシウム受容体作動薬として、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症、或いは、副甲状腺癌、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症に対する治療薬として臨床的に使用されている医薬品である。
したがって、その医薬組成物中における含有量は、例えば、錠剤として、臨床的に使用されているシナカルセトとして12.5mg含有錠(塩酸塩として13.78mg)、25mg含有錠(塩酸塩として27.55mg)、並びに75mg含有錠(塩酸塩として82.65mg)として調製するのが良い。
活性成分であるシナカルセト塩酸塩は、嵩密度が高く、粉体としての流動性は低いことから、直接打錠法(乾式打錠法)による錠剤の調製は困難である。
したがって、賦形剤を用いて湿式造粒により造粒顆粒を調製し、得られた造粒顆粒を圧縮成形する湿式打錠法による錠剤の調製によらざるを得ないが、シナカルセト塩酸塩自体が水に対する溶解性が低いことから、適切な結合剤を選択し、その上で崩壊剤を添加し、錠剤からの溶解性を確保しなければならなかった。
しかしながら、本発明者らの検討の結果、驚くべきことに、結合剤を使用しなくても、或いは特定の結合剤を使用することにより、賦形剤としての特定の希釈剤、崩壊剤を選択することで湿式造粒することができ、得られた造粒物を圧縮成形することにより、目的とするシナカルセト塩酸塩含有錠剤が得られることが判明した。
賦形剤である希釈剤としては、例えば、乳糖水和物、デンプン、結晶セルロース、リン酸二カルシウム、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、D−マンニトール、スクロース、メチルデキストリン等を挙げることができるが、本発明にあっては、その中でも乳糖水和物、結晶セルロース、又はD−マンニトールから選択される希釈剤の1種以上を用いることに特徴がある。
その場合の医薬組成物中の希釈剤の配合量は、シナカルセト塩酸塩の含有量に基づく医薬組成物の総重量により異なるが、30〜75重量%で配合されるのが良い。
また、本発明にあっては、シナカルセト塩酸塩の含有量に基づく医薬組成物、特に錠剤からの主役であるシナカルセト塩酸塩の放出性を良好ならしめるために、崩壊剤を希釈剤と一緒に配合する必要がある。
そのような崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、又は部分α化デンプンから選択される崩壊剤を挙げることができ、前記した希釈剤である乳糖水和物、結晶セルロース、又はD−マンニトールとの組み合わせからみれば、特に、崩壊剤として、クロスポビドン、部分α化デンプンから選択される崩壊剤を選択するのが良い。
その場合の崩壊剤の配合量は、シナカルセト塩酸塩の含有量に基づく医薬組成物の総重量、並びに一緒に配合する希釈剤の種類により異なるが、10〜30重量%の範囲で添加するのが良い。
本発明が提供する医薬組成物にあっては、上記のシナカルセト塩酸塩、希釈剤、崩壊剤の混合物を湿式造粒するが、当該造粒に際して結合剤を添加しないこと、或いは、特定の結合剤を選択して使用することを特徴とする。
そのような結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、またはポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(コリコートIR:商品名)を挙げることができる。
本発明にあっては、特に、後記する実施例からも判明するように、結合剤を添加しなくても、また上記した特定の結合剤を添加した場合であっては、従来から結合剤として使用されているポビドン(ポリビニルピロリドン:PVP)を添加した場合に比較して錠剤からのシナカルセト塩酸塩の溶出性がすぐれたものであった。
当該造粒は、具体的には以下の方法により行うことができる。
例えば、有効成分であるシナカルセト塩酸塩、希釈剤、および崩壊剤を撹拌造粒機により撹拌混合し、精製水、或いは結合剤を溶解した精製水にて練合・造粒する。
造粒物をパワーミルにて解砕し、流動層造粒乾燥機にて乾燥後、更にパワーミルにて粉砕し、整粒する。
かくして調製された造粒顆粒(整粒)を乾燥した後、通常の打錠機、例えば、単発打錠機またはロータリー打錠機で打錠し、錠剤を調製することができる。
その打錠に当たっては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、又はタルクから選択される滑沢剤の1種以上を添加し、圧縮成形するのが良い。
滑沢剤の添加量は、例えば、0.5〜5重量%含有するのが良い。
本発明が提供する医薬組成物としての錠剤の重量は、含有する活性成分であるシナカルセト塩酸塩の含有量により異なるが、シナカルセト塩酸塩をシナカルセトとして12.5mg含有する場合の医薬組成物である錠剤の総重量は、95mg〜105mg程度、好ましくは100mgであり、また、シナカルセト塩酸塩をシナカルセトとして25mg、或いは75mg含有する場合の医薬組成物である錠剤の総重量は、195mg〜205mg程度であり、好ましくは200mgである。
上記により打錠成型して得られる錠剤の大きさ等は、例えば、シナカルセト塩酸塩をシナカルセトとして12.5mg含有する場合の医薬組成物である錠剤の場合には、厚み3.4mm、直径6mm程度の錠剤として、また、シナカルセト塩酸塩をシナカルセトとして25mg或いは75mg含有する場合の医薬組成物である錠剤の場合には、厚み4.0mm、直径8mm程度の錠剤として調製することができる。
本発明が提供するシナカルセト塩酸塩を含有する場合の医薬組成物である錠剤は、フィルムコーティング錠として提供される。
フィルムコーティングは、例えば、精製水にコリコートIRを溶解させフィルムコーティング液を用いて、通常のコーティング機によりフィルムコーティングすることにより調製することができる。
なお、フィルムコーティングに当たっては、顔料として酸化チタン並びに色素等を適宜溶解し、白色ないし着色フィルムコーティング錠として調製することができる。
以下に本発明を実施例、試験例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、以下は、活性成分であるシナカルセト塩酸塩をシナカルセトとして25mg、或いは75mg含有する場合の医薬組成物である錠剤についての例を示すが、12.5mg含有の場合にあっても同様に実施されることはいうまでもない。
実施例1:シナカルセト塩酸塩をシナカルセトとして75mg含有錠剤での検討
結合剤の種類と、結合剤を配合しない場合での比較検討を行った。
<結合剤種類の検討>
下記表1に記載の処方により、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL:日本曹達株式会社製)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L:日本曹達株式会社製)、及びポビドン(Kollidon30:BASF株式会社製)を配合した錠剤(素錠)を調製した。
Figure 2019189554
<結合剤なしでの検討>
下記表2に示した結合剤を添加しない処方に基づき錠剤(素錠)を調製した。
Figure 2019189554
上記により調製した素錠の物性を、以下の表3に示した。
なお、崩壊時間は、日本薬局方崩壊試験法を準用し、試験液は日本薬局方規定の精製水を用い、補助盤なしにおける崩壊時間を測定した。
試験は、各6錠で行い、その平均値を示した。
Figure 2019189554
上記の表3に示した結果からも明らかなように、結合剤を配合しない場合の錠剤の崩壊時間は、結合剤を配合した錠剤より短いものであった。
また、結合剤を添加した場合には、結合剤として、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL、HPC−L)を用いた場合の方が、ポビドン(PVP:Kollidon30)を用いた場合よりも崩壊時間が短いものであった。
<溶出性の検討>
上記で得られた各錠剤について溶出性の検討を行った。
すなわち、溶出試験法として、錠剤(素錠)中のシナカルセト塩酸塩の溶出率を測定する。溶出試験装置を使用し、試験液として日局溶出試験第1液(pH=1.2)900mLを用い、パドル法により、毎分50rpmで行った。
溶出試験開始から規定時間の溶出液を孔径0.45μmのフィルターでろ過し、紫外吸光光度計を用いて吸収波長281.5nmにて吸光度を測定し、溶出率を計算した。
<結果>
その結果を、下記表4及び図1に示した。
Figure 2019189554
表4及び図1に示した結果からも明らかなように、結合剤を配合しない場合であっても、結合剤を配合した場合と同様の溶出性のパターンを示しており、崩壊時間の点からみれば、結合剤を添加しない場合の方が、錠剤からの有効成分であるシナカルセト塩酸塩の溶解性、放出性が良好であり、かつバイオアベイラビリティーも極めて良好なものであることが確認された。
なお、従来から結合剤として使用されているPVP(ポビドン)は、溶出率が若干劣るものであった。
実施例2:シナカルセト塩酸塩をシナカルセトとして25mg含有錠剤での検討
結合剤の種類と、結合剤を配合しない場合での比較検討を行った。
<結合剤種類の検討>
下記表5に記載の処方により、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL:日本曹達株式会社製)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L:日本曹達株式会社製)、及びポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(コリコートIR:BASF株式会社製)を配合した錠剤(素錠)を調製した。
Figure 2019189554
<結合剤なしでの検討>
下記表6に示した結合剤を添加しない処方に基づき錠剤(素錠)を調製した。
Figure 2019189554
上記により調製した素錠の物性を、以下の表7に示した。
表中に示した結果からも明らかなように、結合剤を配合しない場合の方が錠剤の崩壊性に優れていた。
Figure 2019189554
<溶出性の検討>
上記で得られた各錠剤について溶出性の検討を、75mg含有錠剤と同様に行った。
<結果>
その結果を、下記表8及び図2に示した。
Figure 2019189554
表8及び図2に示した結果からも明らかなように、シナカルセト25mg含有錠剤の場合にも、結合剤を配合しない場合であっても、結合剤を配合した場合と同様の溶出性のパターンを示しており、崩壊時間の点からみれば、結合剤を添加しない場合の方が、錠剤からの有効成分であるシナカルセト塩酸塩の溶解性、放出性が良好であり、かつバイオアベイラビリティーも極めて良好なものであることが確認された。
以上記載のように、本発明により、活性成分であるシナカルセト塩酸塩の溶出性が改善された医薬組成物が提供される。
本発明が提供する、特に圧縮成形した錠剤は、特定の賦形剤を使用することで、嵩密度の高いシナカルセト塩酸塩であっても特定の結合剤を使用すること、或いは、当該結合剤を使用しなくてもその造粒工程における造粒効率が高く、得られた造粒顆粒を圧縮成形した錠剤からの有効成分の溶解性、放出性が良好なものであり、かつそのバイオアベイラビリティーも高く、臨床的に好適なシナカルセト含有錠剤であり、実際の製造過程で簡便な工程により目的とする放出性が改善されたシナカルセト含有錠剤を提供し得る利点を有するものであり、医療上の貢献度は多大なものである。

Claims (6)

  1. 活性成分としてシナカルセト塩酸塩10〜45重量%、及び、
    賦形剤として、以下の(a)〜(d):
    (a)希釈剤である乳糖水和物、結晶セルロース、又はD−マンニトールから選択される1種以上を30〜75重量%、
    (b)崩壊剤であるクロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、又は部分α化デンプンから選択される1種以上を10〜30重量%、
    (c)結合剤であるヒドロキシプロピルセルロース、又はポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーを1〜3重量%、
    (d)滑沢剤であるステアリン酸マグネシウム、又はタルクから選択される1種以上を0.5〜5重量%、
    であって、
    (a)、(b)、(c)及び(d)からなる賦形剤、または(a)、(b)及び(d)からなる賦形剤を含有し、造粒・圧縮成形してなる、活性成分の溶出性を改善した医薬組成物。
  2. 活性成分としてシナカルセト塩酸塩10〜45重量%、及び、
    賦形剤として、
    (a)乳糖水和物、結晶セルロース、又はD−マンニトールから選択される希釈剤の1種以上を30〜75重量%、
    (b)クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、又は部分α化デンプンから選択される崩壊剤の1種以上を10〜30重量%、
    (c)ヒドロキシプロピルセルロース、又はポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーから選択される結合剤を1〜3重量%、及び
    (d)ステアリン酸マグネシウム、又はタルクから選択される滑沢剤の1種以上を0.5〜5重量%を含有し、
    造粒・圧縮成形してなる、請求項1に記載の活性成分の溶出性を改善した医薬組成物。
  3. 活性成分としてシナカルセト塩酸塩10〜45重量%、及び、
    賦形剤として、
    (a)乳糖水和物、結晶セルロース、又はD−マンニトールから選択される希釈剤の1種以上を30〜75重量%、
    (b)クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、又は部分α化デンプンから選択される崩壊剤の1種以上を10〜30重量%、
    (c)結合剤を含有せず、及び
    (d)ステアリン酸マグネシウム、又はタルクから選択される滑沢剤の1種以上を0.5〜5重量%を含有し、
    造粒・圧縮成形してなる、請求項1に記載の活性成分の溶出性を改善した医薬組成物。
  4. 希釈剤が、乳糖水和物、結晶セルロースおよびD−マンニトールから選択される1種以上であり、崩壊剤がクロスポビドンまたは部分α化デンプンから選択され、滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである請求項1〜3のいずれかに記載の活性成分の溶出性を改善した医薬組成物。
  5. 医薬組成物が錠剤である請求項1〜4のいずれかに記載の活性成分の溶出性を改善させた医薬組成物。
  6. フィルムコーティング錠である請求項5に記載の錠剤。
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