以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る光コネクタについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る光コネクタの構成を示す断面図である。図2は、図1におけるA−A断面図である。図3は、スプリング止めの斜視図である。
図1に示すように、光コネクタ1は、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3同士を光学的に接続するための部材であって、第一光ファイバ2の端末に設けられるプラグ側光コネクタ4と、第二光ファイバ3の端末に設けられるレセプタクル側光コネクタ5とを備えて構成される。
先ず、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の構成及び構造について説明する。
第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3は、特に限定するものでないが同じものが用いられる。第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3は、光透過性を有する樹脂又はガラス製のコア/クラッド部6と、このコア/クラッド部6を被覆する被覆層7と、図示しない外被とを備えて構成される。外被及び被覆層7は、所定長さで除去され、コア/クラッド部6が露出するように加工される。第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3は、断面視円形となる形状に形成される。
尚、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3は、本第1実施形態において一芯にて図示されるが、図1の紙面垂直方向に第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3を複数並べて多芯としてもよいものとする。図中の第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3は短いが、実際にはもう少し長ものとする。
次に、光コネクタの構成及び構造を説明する。
まず、プラグ側光コネクタ4の構成及び構造について説明する。
プラグ側光コネクタ4は、第一光ファイバ2と、第一ハウジング9とを含んで構成されている。第一光ファイバ2は、先端側にて、所定寸法だけ被覆層7が除去されてコア/クラッド部6が露出されている。第一ハウジング9は、樹脂成形品であって、用いられる樹脂材料としては、レセプタクル側光コネクタ5の後述する第二ハウジング38との繰り返しの係合を行っても破損しないような樹脂材料(例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート))が選定される。このような第一ハウジング9は、第一ハウジング前部12と、第一ハウジング後部14とを有する。
第一ハウジング前部12は、第二ハウジング38との係合部分として形成される。第一ハウジング前部12の先端には、ハウジング端面15が形成される。このハウジング端面15は、第一ハウジング9における前端位置の面として形成される。
第一ハウジング前部12の内面には、ガイド面16が形成される。このガイド面16は、第二ハウジング38の後述するインナーハウジング40をガイドする面として形成される。第一ハウジング前部12の外面には、ガイド面25が形成される。このガイド面25は、第二ハウジング38の後述するアウターハウジング39をガイドする面として形成される。第一ハウジング前部12には、係合空間17が形成されている。この係合空間17は、ハウジング端面15よりも内方に配置形成され、且つ、ガイド面16にて区画形成される。係合空間17には、インナーハウジング40が挿入される。
第一ハウジング前部12には、調心部10が形成されている。調心部10は、第一ハウジング9に一体成形されている。調心部10は、その先端に、前方へ向かって次第に細くなるテーパ部18が形成されている。調心部10のテーパ部18よりも後方側は、前後方向へわたって同一厚さを有する非テーパ部19が形成されている。また、非テーパ部19の後方側には、後方へ向かって次第に厚さが厚くされた後部テーパ部20が形成されている。
第一ハウジング9は、前後にわたって貫通する貫通孔30を有している。貫通孔30には、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6が挿通される。図2に示すように、調心部10の貫通孔30の内径は、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6が挿入可能なように、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6の外径よりも僅かに大きくされている。貫通孔30は、第一ハウジング後部14部分が、大径に形成された被覆層挿通孔31とされている。被覆層挿通孔31には、第一光ファイバ2の被覆層7の部分が挿通される。被覆層挿通孔31の内径は、第一光ファイバ2の被覆層7の部分が挿入可能なように、第一光ファイバ2の被覆層7の部分の外径よりも僅かに大きくされている。
貫通孔30には、第一ハウジング9の後端側から、先端部で被覆層7を除去した第一光ファイバ2のコア/クラッド部6が挿入される。そして、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6が被覆層挿通孔31よりも前方側へ収容される。また、第一光ファイバ2の被覆層7の部分は、被覆層挿通孔31に挿通される。
貫通孔30は、調心部10の先端部分において、前方へ向かって次第に拡径する前端開口33を有している。また、貫通孔30における被覆層挿通孔31との境界部分には、前方へ向かって次第に窄まるガイドテーパ部34が形成されている。ガイドテーパ部34は、貫通孔30への第一光ファイバ2の挿入時に、コア/クラッド部6の先端部の引っ掛かりを防止する。また、前端開口33は、第二光ファイバ3の挿入時に、そのコア/クラッド部6の先端部の引っ掛かりを防止する。
貫通孔30に挿入されて収容される第一光ファイバ2は、コア/クラッド部6の先端が、調心部10の先端から引き込んだ位置に配置される。この第一光ファイバ2のコア/クラッド部6の先端位置は、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の先端と突き当たる位置である。第一光ファイバ2は、光ファイバ固定機構(図示略)によって第一ハウジング9に固定されて貫通孔30に収容された状態に維持される。
続いて、レセプタクル側光コネクタ5の構成及び構造について説明する。
レセプタクル側光コネクタ5は、第二光ファイバ3と、第二ハウジング38と、コイルスプリング(弾性部材)53と、を含んで構成されている。第二光ファイバ3は、先端側にて、所定寸法だけ被覆層7が除去されてコア/クラッド部6が露出されている。
第二光ファイバ3には、螺旋状のコイルスプリング53が装着されている。コイルスプリング53の内径は、被覆層7の外径よりも大きくされている。そして、このコイルスプリング53に第二光ファイバ3の被覆層7の部分が挿入されている。コイルスプリング53は、その前端側を加締めることで第二光ファイバ3の被覆層7の部分に固定されている。コイルスプリング53としては、第二光ファイバ3の被覆層7に加締めて固定できるように、塑性変形し易くかつ剛性が高い弾性材料が選定される。コイルスプリング53の材料としては、例えば、黄銅、アルミニウムあるいはステンレス等の金属材料が用いられる。
第二ハウジング38は、樹脂成形品であって、用いられる樹脂材料としては、プラグ側光コネクタ4の第一ハウジング9との繰り返しの係合を行っても破損しないような樹脂材料(例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート))が選定される。このような第二ハウジング38は、第二ハウジング前部41と、第二ハウジング後部42と、スプリング止め55と、を有する。
第二ハウジング38は、第二ハウジング前部41に、アウターハウジング39と、インナーハウジング40とを有し、第二ハウジング後部42に、スプリング収容空間43を有する。
インナーハウジング40は、アウターハウジング39の内側に配置形成される。第二ハウジング後部42は、アウターハウジング39及びインナーハウジング40の後側に連続するように配置形成される。
アウターハウジング39は、第一ハウジング9との係合部分として形成される。アウターハウジング39の先端には、ハウジング端面44が形成される。このハウジング端面44は、第二ハウジング38における前端位置の面として形成される。アウターハウジング39の内面には、第一ハウジング9の外面側のガイド面25にガイドされるガイド面45が形成される。アウターハウジング39は、その先端に、前方へ向かって次第に広がるテーパ部49が形成されている。
インナーハウジング40は、アウターハウジング39と同様に、第一ハウジング9との係合部分として形成される。また、インナーハウジング40は、プラグ側光コネクタ4の調心部10との係合部分としても形成される。インナーハウジング40の外面には、第一ハウジング9の内面側のガイド面16にガイドされるガイド面46が形成される。
インナーハウジング40の先端面47には、この先端面47を凹ませてなる挿入部48が形成される。挿入部48は、略凹状となる凹み形状に形成されており、インナーハウジング40に一体成形されている。挿入部48は、調心部10を挿入することができるような形状に形成される。挿入部48は、第二光ファイバ3の外径よりも大きな内径を有している。
アウターハウジング39とインナーハウジング40との間には、第一ハウジング9の第一ハウジング前部12が挿入される溝部50が形成される。この溝部50は、第一ハウジング9のハウジング端面15が底に当接しない程度の深さに形成される。
第二ハウジング38は、前後にわたって貫通する貫通孔51を有している。貫通孔51は、インナーハウジング40の挿入部48の底面48aから第二ハウジング後部42の後端へ向かって真っ直ぐに貫通する断面円形の孔として形成される。貫通孔51には、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6が挿通される。貫通孔51を挿通する第二光ファイバ3は、軸方向へ沿って移動可能に該貫通孔51に保持される。貫通孔51の内径は、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6が挿入可能なように、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の外径よりも僅かに大きくされている。貫通孔51には、第二ハウジング後部42に形成されたスプリング収容空間43に連通されている。スプリング収容空間43は、第二光ファイバ3の被覆層7に装着されたコイルスプリング53が挿通される。スプリング収容空間43の内径は、コイルスプリング53が挿入可能なように、コイルスプリング53の外径よりも僅かに大きくされている。
また、貫通孔51におけるスプリング収容空間43との境界部分には、前方へ向かって次第に窄まるガイドテーパ部52が形成されている。ガイドテーパ部52は、貫通孔51への第二光ファイバ3の挿入時に、コア/クラッド部6の先端部の引っ掛かりを防止する。
貫通孔51には、第二ハウジング38の後端側から、先端部で被覆層7を除去した第二光ファイバ3のコア/クラッド部6が挿入される。そして、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6がスプリング収容空間43よりも前方側へ収容される。貫通孔51に挿入される第二光ファイバ3のコア/クラッド部6は、先端が挿入部48の底面48aから突き出るように配置される。また、第二光ファイバ3の被覆層7の部分におけるコイルスプリング53が装着された部分は、スプリング収容空間43に収容される。
スプリング止め55は、第二ハウジング38の第二ハウジング後部42の後端に装着される。図3に示すように、スプリング止め55は、第二ハウジング後部42への装着側に開口部56を有する箱型に形成されている。スプリング止め55は、開口部56に第二ハウジング後部42の後端が嵌合することで、第二ハウジング38に装着される。スプリング止め55の内面には、係合溝57が形成されている。このスプリング止め55の係合溝57には、第二ハウジング38へスプリング止め55を装着することで、第二ハウジング後部42の外面に形成された係合突起59が係合する。これにより、スプリング止め55が第二ハウジング38に装着された状態に維持される。スプリング止め55には、一つの側面を形成する側板61から底面を形成する底板62にわたって切欠き部63が形成されている。切欠き部63の幅寸法は、第二光ファイバ3の被覆層7の部分の外径よりも大きく、かつコイルスプリング53の外径よりも小さくされている。スプリング止め55を第二ハウジング後部42に装着する際には、まず、第二光ファイバ3を切欠き部63へ通し、その後、第二ハウジング後部42に嵌合する。そして、このスプリング止め55が第二ハウジング後部42に装着されることで、コイルスプリング53が係止され、第二ハウジング38のスプリング収容空間43に収容された状態に維持される。
なお、切欠き部63に代えて、第二光ファイバ3の被覆層7の部分の外径よりも大きく、かつコイルスプリング53の外径よりも小さい孔部をスプリング止め55の底板62に形成しても良い。この場合、予め、第二光ファイバ3をスプリング止め55の底板62の孔部に挿通しておき、第二光ファイバ3にコイルスプリング53を装着して貫通孔51に第二光ファイバ3を挿入した後に、スプリング止め55を第二ハウジング後部42に装着することとなる。
次に、光コネクタの組み立て方について説明する。
まず、プラグ側光コネクタ4の組み立て方について説明する。
プラグ側光コネクタ4を組み立てるには、まず、第一光ファイバ2の被覆層7を所定長さに剥いでコア/クラッド部6を露出させ、コア/クラッド部6の端面が平滑になるように加工する。
次に、被覆層7が調心部10の貫通孔30の段差に突き当たるまで、第一光ファイバ2を調心部10の貫通孔30に挿入する。このとき、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6の先端位置が、図1の範囲B内に配置されるように、第一光ファイバ2の被覆層7を剥ぐ長さを調整する。
レセプタクル側光コネクタ5との嵌合時に、調心部10の貫通孔30内に、第二光ファイバ3を挿入する長さが光ファイバの外径のおよそ4倍以上になるように第一光ファイバ2の先端位置を設定することで、第二光ファイバ3の先端部が傾くことを防止する。例えば、光ファイバの外径が0.5mmの場合では、第一光ファイバ2が調心部10の先端から2mm以上引き込むようにする。
その後、光ファイバ固定機構(例えば、カシメ、クサビ、接着、溶着等)によって第一ハウジング9に第一光ファイバ2の被覆層7を固定し、プラグ側光コネクタ4における第一光ファイバ2の抜けを防止する。
続いて、レセプタクル側光コネクタ5の組み立て方について説明する。
図4(a)から図4(d)は、レセプタクル側光コネクタの組み立て方を説明する図であって、それぞれ断面図である。
まず、図4(a)に示すように、第二光ファイバ3の被覆層7を所定長さに剥いでコア/クラッド部6を露出させ、コア/クラッド部6の端面が平滑になるように加工する。
次に、端末を加工した第二光ファイバ3をコイルスプリング53に挿入する。
そして、このコイルスプリング53の先端側を第二光ファイバ3の被覆層7の端部近傍部分で加締める。このようにすると、コイルスプリング53が第二光ファイバ3の被覆層7に固定される。コイルスプリング53を加締める際には、このコイルスプリング53の内径を被覆層7の外径の例えば、5%程度まで小さく変形させる。また、第二光ファイバ3からコイルスプリング53が抜けないようにすべく、コイルスプリング53の加締める部分と被覆層7との摩擦力を大きくなるように、コイルスプリング53の内面の表面粗さを粗くしておく。
次に、図4(c)に示すように、第二ハウジング38の後方側から第二光ファイバ3を第二ハウジング38の貫通孔51内に挿入し、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の先端位置が挿入部48の底面48aから突出した位置に配置する。挿入部48の底面48aからの第二光ファイバ3の突出長さL1は、プラグ側光コネクタ4との嵌合時の第一光ファイバ2の先端から挿入部48の底面48aまでの距離L2より長くする。そして、この突出長さL1と距離L2との差(L1−L2)が第二光ファイバ3の変位寸法とする。また、突出長さL1と距離L2との差である変位寸法(L1−L2)は、コイルスプリング53の圧縮変形可能な最大値からなる変形可能寸法L3よりも短くなるように調整されている。つまり、変位寸法(L1−L2)及び変形可能寸法L3の間に次式が成立するように調整する。なお、第二光ファイバ3の突出長さL1は、被覆層7を剥ぐ長さによって調整する。
0<L1−L2<L3
その後、図4(d)に示すように、第二ハウジング38の後端からスプリング止め55を嵌合する。このようにすると、スプリング止め55の係合溝57に、第二ハウジング後部42の係合突起59が係合することで、スプリング止め55が第二ハウジング38に固定される。このスプリング止め55を第二ハウジング38に固定して装着すると、コイルスプリング53がスプリング止め55によって前方へ押圧されて僅かに圧縮された状態でスプリング収容空間43に収容されて保持された状態となる。
次に、光コネクタの接続の仕方について説明する。
図5(a)及び図5(b)は、プラグ側光コネクタ及びレセプタクル側光コネクタの接続状態を示す図であって、それぞれ断面図である。
プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とを接続すべく、これらのプラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とを互いに近づける。
すると、図5(a)に示すように、レセプタクル側光コネクタ5のアウターハウジング39の内側にプラグ側光コネクタ4の第一ハウジング前部12が入り込み、レセプタクル側光コネクタ5のインナーハウジング40に形成された挿入部48にプラグ側光コネクタ4の調心部10が、テーパ部18によってガイドされながら入り込む。
また、レセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の先端部が、プラグ側光コネクタ4の調心部10の貫通孔30内に挿入される。これにより、プラグ側光コネクタ4の第一光ファイバ2の端面と、レセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3の端面とが互いに突き合わされる。
さらに、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とが互いに接近すると、図5(b)に示すように、プラグ側光コネクタ4の第一光ファイバ2の端面と、レセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3の端面とが互いに突き合わされた状態で、レセプタクル側光コネクタ5のアウターハウジング39の内側にプラグ側光コネクタ4の第一ハウジング前部12がさらに入り込み、レセプタクル側光コネクタ5のインナーハウジング40に形成された挿入部48にプラグ側光コネクタ4の調心部10がさらに入り込む。そして、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とが完全に嵌合されると、第一ハウジング9及び第二ハウジング38に設けられたロック機構(図示略)によって第一ハウジング9と第二ハウジング38とが互いに係合して嵌合状態に維持される。
このように、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とが嵌合すると、レセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3は、第二ハウジング38に対して後方へ押し込まれる。第二光ファイバ3が第二ハウジング38に対して後方へ押し込まれると、コイルスプリング53が長手方向に圧縮変形し、第二光ファイバ3の余長部分が第二ハウジング38の第二ハウジング後部42側へ引き込まれる。このとき、コイルスプリング53の弾性力からなる圧縮変形の反力により、第二光ファイバ3は、第一光ファイバ2へ付勢されて押圧される。これにより、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6と第二光ファイバ3のコア/クラッド部6とが、互いに突き当てられた状態に維持される。
また、レセプタクル側光コネクタ5に保持された第二光ファイバ3は、コイルスプリング53の圧縮変形により余長が吸収される。これにより、プラグ側光コネクタ4に保持された第一光ファイバ2の引き込み長さと第二光ファイバ3の突き出し長さの管理が容易になる。
以上、説明したように、第1実施形態に係る光コネクタによれば、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5の嵌合時に、コイルスプリング53が圧縮変形することにより、第二光ファイバ3の余長の吸収と第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の先端同士の押圧を実現することができる。このため、接続時における第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の撓みを防止することができる。したがって、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3として、ガラス光ファイバを用いても破損のおそれをなくすことができ、また、プラスチック光ファイバを用いても塑性変形により押圧力が確保できなくなる不具合をなくすことができる。
また、第二光ファイバ3が撓まずに変位するため、接続を解除しても第二光ファイバ3が塑性変形して先端位置が所定位置から引き込んでしまうようなことがない。このため、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5を繰り返し着脱しても、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の先端同士が接触しなくなるような不具合を防止できる。
しかも、第二光ファイバ3を撓ませる空間が必要なく、よって、第二ハウジング38の長手方向のサイズを小さくできる。
また、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3を固定するために接着剤を使用しないので、組み立てが容易であり、高い信頼性を確保することができる。
また、突き合わされる対向側の第一光ファイバ2によって変位する第二光ファイバ3の変位寸法(L1−L2)がコイルスプリング53の変形可能寸法(L3)よりも小さくされている。これにより、接続時に、コイルスプリング53の弾性力を第二光ファイバ3へ確実に付与することができ、よって、第一光ファイバ2と第二光ファイバ3との先端部を確実に突き合わせて良好に光接続することができる。
また、弾性部材としてコイルスプリング53を用いることにより、低コストで確実に第二光ファイバ3に弾性力を付与することができる。
しかも、コイルスプリング53の先端部を第二光ファイバ3に加締めることで第二光ファイバ3に固定するので、構造の簡略化によるコストダウンを図ることができる。
また、コイルスプリング53の第二光ファイバ3に加締められる前端部の内面を粗面化しておくことにより、第二光ファイバ3へ確実に固定することができる。
また、第二ハウジング38にスプリング止め55を装着することで、極めて容易に、コイルスプリング53の後端部を係止して第二光ファイバ3への弾性力の付与を可能とすることができる。
また、スプリング止め55の切欠き部63に第二光ファイバ3を通すことで、スプリング止め55を第二ハウジング38へ容易に後付けすることができ、組立作業の容易化を図ることができる。
特に、本第1実施形態によれば、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5の嵌合時に、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の外径と調心部10の貫通孔30の内径に隙間(クリアランス)がほとんどなく、よって、第一光ファイバ2と第二光ファイバ3との軸ずれを抑制できる。このため、低損失な光接続を実現できる。
また、調心部10に第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の先端を保持する機能を持たせたので、振動や衝撃等で光接続損失が増大するおそれをなくすことができる。
しかも、調心部10の貫通孔30には高精度が要求されないため、作製の容易化及び歩留まりの向上が図れる。
また、調心部10を第一ハウジング9に一体成形できるとともに、挿入部48を第二ハウジング38に一体成形できるため、光コネクタ1の部品コストを下げることができる。
なお、上記第1実施形態では、調心部10をプラグ側光コネクタ4の第一ハウジング9に設け、挿入部48をレセプタクル側光コネクタ5の第二ハウジング38に設けたが、調心部10をレセプタクル側光コネクタ5の第二ハウジング38に設け、挿入部48をプラグ側光コネクタ4の第一ハウジング9に設けても良い。
また、本第1実施形態では、レセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3をコイルスプリング53で押圧及び保持したが、プラグ側光コネクタ4の第一光ファイバ2をコイルスプリング53で押圧及び保持しても良く、また、プラグ側光コネクタ4の第一光ファイバ2及びレセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3の両方をコイルスプリング53で押圧及び保持しても良い。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る光コネクタについて説明する。
なお、上記第1実施形態に係る光コネクタと同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る光コネクタを説明するプラグ側光コネクタの断面図である。図7(a)及び図7(b)は、プラグ側光コネクタの調心部を説明する図であって、それぞれ図6におけるC−C断面図である。図8(a)及び図8(b)は、プラグ側光コネクタ及びレセプタクル側光コネクタの接続状態を示す図であって、それぞれ断面図である。
図6及び図7(a)に示すように、第2実施形態に係る光コネクタ1Aでは、プラグ側光コネクタ4の調心部10に、軸方向に沿う3つのスリット10aが中間部から先端部にわたって形成されている。これらのスリット10aは、周方向へ等間隔に形成されている。これにより、調心部10は、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6が挿通される貫通孔30の中心軸に対して点対称位置に配置された3つの分割体10bを備えている。この調心部10は、その非テーパ部19の外径が、レセプタクル側光コネクタ5の挿入部48の内径よりも僅かに大きくされている。なお、図7(b)に示すように、調心部10としては、軸方向に沿う4つのスリット10aを形成し、貫通孔30の中心軸に対して点対称位置に4つの分割体10bが配置された構造であっても良い。
なお、第2実施形態に係る光コネクタ1Aでのプラグ側光コネクタ4及びレセプタクル側光コネクタ5の組み立て方は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
次に、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とを接続する場合について説明する。
プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とを接続すべく、これらのプラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とを互いに近づける。
すると、図8(a)に示すように、レセプタクル側光コネクタ5のアウターハウジング39の内側にプラグ側光コネクタ4の第一ハウジング前部12が入り込み、レセプタクル側光コネクタ5のインナーハウジング40に形成された挿入部48にプラグ側光コネクタ4の調心部10が、テーパ部18によってガイドされながら入り込む。
また、レセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の先端部が、プラグ側光コネクタ4の調心部10の貫通孔30内に挿入される。これにより、プラグ側光コネクタ4の第一光ファイバ2の端面と、レセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3の端面とが互いに突き合わされる。
さらに、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とが互いに接近すると、図8(b)に示すように、プラグ側光コネクタ4の第一光ファイバ2の端面と、レセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3の端面とが互いに突き合わされた状態で、レセプタクル側光コネクタ5のアウターハウジング39の内側にプラグ側光コネクタ4の第一ハウジング前部12がさらに入り込み、レセプタクル側光コネクタ5のインナーハウジング40に形成された挿入部48にプラグ側光コネクタ4の調心部10がさらに入り込む。そして、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とが完全に嵌合されると、第一ハウジング9及び第二ハウジング38に設けられたロック機構(図示略)によって第一ハウジング9と第二ハウジング38とが互いに係合して嵌合状態に維持される。
また、挿入部48の内径よりも僅かに大径に形成された調心部10が挿入部48に嵌合することで、調心部10の複数の分割体10bが貫通孔30の中心へ向かって弾性変形する。これにより、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6及び第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の互いに突き当てられた先端部分の周囲に調心部10の分割体10bが押し付けられる。したがって、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6及び第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の互いに突き当てられた先端部分の周囲は、均等に押し付けられる分割体10bによって確実に保持されることとなる。
なお、調心部10は、挿入部48に嵌合されて分割体10bが中心へ向かって弾性変形した際に、貫通孔30の内径が第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の外径よりも1%〜5%程度小さくなるように形成するのが好ましい。このようにすると、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の先端部を、がたつきなく確実に保持することができるとともに、衝撃等の外力が作用しても、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の先端部を十分に保持することができる。
この第2実施形態の場合も、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とが嵌合すると、レセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3は、第二ハウジング38に対して後方へ押し込まれる。第二光ファイバ3が第二ハウジング38に対して後方へ押し込まれると、コイルスプリング53が長手方向に圧縮変形し、第二光ファイバ3の余長部分が第二ハウジング38の第二ハウジング後部42側へ引き込まれる。このとき、コイルスプリング53の弾性力からなる圧縮変形の反力により、第二光ファイバ3は、第一光ファイバ2へ付勢されて押圧される。これにより、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6と第二光ファイバ3のコア/クラッド部6とが、互いに突き当てられた状態に維持される。
このように、第2実施形態に係る光コネクタ1Aの場合も、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5の嵌合時に、コイルスプリング53が圧縮変形することにより、第二光ファイバ3の余長の吸収と第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の先端同士の押圧を実現することができる。このため、接続時における第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の撓みを防止することができる。したがって、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3として、ガラス光ファイバを用いても破損のおそれをなくすことができ、また、プラスチック光ファイバを用いても塑性変形により押圧力が確保できなくなる不具合をなくすことができる。
また、第二光ファイバ3が撓まずに変位するため、接続を解除しても第二光ファイバ3が塑性変形して先端位置が所定位置から引き込んでしまうようなことがない。このため、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5を繰り返し着脱しても、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の先端同士が接触しなくなるような不具合を防止できる。
しかも、第二光ファイバ3を撓ませる空間が必要なく、よって、第二ハウジング38のサイズを長手方向に小さくできる。
また、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3を固定するために接着剤を使用しないので、組み立てが容易であり、高い信頼性を確保することができる。
特に、第2実施形態では、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の互いに突き当てられた先端部分の周囲に調心部10の分割体10bが均等に押し付けられるので、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3を分割体10bによってさらに確実に保持することができる。
なお、調心部10の断面形状は、挿入部48への嵌合時に、コア/クラッド部6の周囲に均等な圧力が付与される形状であれば良い。
また、上記第2実施形態の場合も、調心部10をプラグ側光コネクタ4の第一ハウジング9に設け、挿入部48をレセプタクル側光コネクタ5の第二ハウジング38に設けたが、調心部10をレセプタクル側光コネクタ5の第二ハウジング38に設け、挿入部48をプラグ側光コネクタ4の第一ハウジング9に設けても良い。
また、本第2実施形態の場合も、レセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3をコイルスプリング53で押圧及び保持したが、プラグ側光コネクタ4の第一光ファイバ2をコイルスプリング53で押圧及び保持しても良く、また、プラグ側光コネクタ4の第一光ファイバ2及びレセプタクル側光コネクタ5の第二光ファイバ3の両方をコイルスプリング53で押圧及び保持しても良い。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る光コネクタについて説明する。
なお、上記第1実施形態または第2実施形態に係る光コネクタと同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る光コネクタの構成を示す断面図である。図10(a)及び図10(b)は、プラグ側V溝及びレセプタクル側V溝を説明する図であって、図10(a)は図9におけるD−D断面図、図10(b)は図9におけるE−E断面図である。
図9に示すように、光コネクタ1Bは、第一光ファイバ2の端末に設けられるプラグ側光コネクタ64と、第二光ファイバ3の端末に設けられるレセプタクル側光コネクタ65とを備えて構成される。
プラグ側光コネクタ64は、第一光ファイバ2と、第一ハウジング69と、コイルスプリング53と、を含んで構成されている。
第一光ファイバ2は、先端側にて、所定寸法だけ被覆層7が除去されてコア/クラッド部6が露出されている。
第一光ファイバ2には、コイルスプリング53が装着されている。コイルスプリング53の内径は、被覆層7の外径よりも大きくされている。そして、このコイルスプリング53に第一光ファイバ2の被覆層7の部分が挿入されている。コイルスプリング53は、その先端側を加締めることで第一光ファイバ2の被覆層7の部分に固定されている。コイルスプリング53には、第一光ファイバ2の被覆層7に加締めて固定できるように、塑性変形し易くかつ合成が高い弾性材料が選定される。コイルスプリング53の材料としては、例えば、黄銅、アルミニウムあるいはステンレス等の金属材料が用いられる。
第一ハウジング69は、樹脂成形品であって、用いられる樹脂材料としては、レセプタクル側光コネクタ65の後述する第二ハウジング88との繰り返しの係合を行っても破損しないような樹脂材料(例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート))が選定される。このような第一ハウジング69は、第一ハウジング前部72と、第一ハウジング後部74と、スプリング止め55とを有する。
第一ハウジング前部72は、第二ハウジング88との係合部分として形成される。第一ハウジング前部72の先端には、ハウジング端面75が形成される。このハウジング端面75は、第一ハウジング69における前端位置の面として形成される。
第一ハウジング前部72には、前方へ延びるガイド部77及び押圧部78が形成されている。第一ハウジング前部72には、ガイド部77と押圧部78との間に、押さえ部挿入空間79が形成されている。ガイド部77には、押圧部78側に、軸方向に沿って第一ハウジング69の先端まで延びるプラグ側V溝80が形成されている。プラグ側V溝80には、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6が収容される。図10(a)に示すように、プラグ側V溝80の各壁面80aの角度は、鉛直下方向に対してそれぞれ45°とされている。これにより、このプラグ側V溝80に収容される第一光ファイバ2は、各壁面80aから均等に圧力を受けることとなる。プラグ側V溝80の深さは、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6の半径よりも僅かに小さくされている。これにより、プラグ側V溝80に収容される第一光ファイバ2のコア/クラッド部6は、その中心Oがガイド部77の下面よりも下方のプラグ側V溝80の外部に配置される。
また、押圧部78には、第一ハウジング後部74側に、段差部82が形成されている。段差部82には、第一ハウジング後部74へ向かって次第にガイド部77側へ傾斜する押圧ガイド面83が形成されている。押圧ガイド面83は、レセプタクル側光コネクタ65の後述する押さえ部93をガイド部77側へ押圧する機能を有する。
第一ハウジング後部74には、前後にわたって貫通する貫通孔84が形成されている。また、第一ハウジング後部74には、その後端側に、貫通孔84と連通するスプリング収容空間85が形成されている。貫通孔84は、プラグ側V溝80と連通されている。貫通孔84には、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6が挿通される。貫通孔84を挿通する第一光ファイバ2は、軸方向へ沿って移動可能に該貫通孔84に保持される。貫通孔84の内径は、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6が挿入可能なように、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6の外径よりも僅かに大きくされている。スプリング収容空間85には、第一光ファイバ2の被覆層7に装着されたコイルスプリング53が挿通される。スプリング収容空間85の内径は、コイルスプリング53が挿入可能なように、コイルスプリング53の外径よりも僅かに大きくされている。
また、貫通孔84とスプリング収容空間85との境界部分には、前方へ向かって次第に窄まるガイドテーパ部86が形成されている。ガイドテーパ部86は、貫通孔84への第一光ファイバ2の挿入時に、コア/クラッド部6の先端部の引っ掛かりを防止する。
貫通孔84には、第一ハウジング69の後端側から、先端部で被覆層7を除去した第一光ファイバ2のコア/クラッド部6が挿入される。そして、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6がスプリング収容空間85よりも前方側へ収容される。貫通孔84に挿入される第一光ファイバ2のコア/クラッド部6は、その先端部が、第一ハウジング後部74から第一ハウジング前部72側へ突き出るように配置される。この第一ハウジング前部72側へ突き出たコア/クラッド部6の先端部は、プラグ側V溝80に収容される。また、第一光ファイバ2の被覆層7の部分におけるコイルスプリング53が装着された部分は、スプリング収容空間85に収容される。
第一ハウジング後部74には、その後端側に、スプリング止め55が装着される。第一ハウジング後部74には、スプリング止め55の係合溝57と係合してスプリング止め55を装着された状態に維持する係合突起87が形成されている。そして、このスプリング止め55を第一ハウジング後部74に装着することで、コイルスプリング53が第一ハウジング69のスプリング収容空間85に収容された状態に維持される。
レセプタクル側光コネクタ65は、第二光ファイバ3と、第二ハウジング88とを含んで構成されている。
第二光ファイバ3は、先端側にて、所定寸法だけ被覆層7が除去されてコア/クラッド部6が露出されている。
第二ハウジング88は、樹脂成形品であって、用いられる樹脂材料としては、プラグ側光コネクタ64の第一ハウジング69との繰り返しの係合を行っても破損せず、また、後述する押さえ部93が弾性変形できる樹脂材料(例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート))が選定される。このような第二ハウジング88は、第二ハウジング前部91と、第二ハウジング後部92とを有する。
第二ハウジング前部91は、第一ハウジング69との係合部分として形成される。第二ハウジング前部91の先端には、ハウジング端面91aが形成される。このハウジング端面91aは、第二ハウジング88における前端位置の面として形成される。
第二ハウジング前部91には、前方へ延びる押さえ部93及び保持部94が形成されている。第二ハウジング前部91には、押さえ部93と保持部94との間に、ガイド部挿入空間95が形成されている。押さえ部93には、保持部94側に、軸方向に沿って第二ハウジング88の先端まで延びるレセプタクル側V溝96が形成されている。レセプタクル側V溝96には、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6が収容される。図10(b)に示すように、レセプタクル側V溝96の各壁面96aの角度は、それぞれ45°とされている。これにより、このレセプタクル側V溝96に収容される第二光ファイバ3は、各壁面96aから均等に圧力を受けることとなる。レセプタクル側V溝96の深さは、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の半径の(√2)倍よりも僅かに小さくされている。これにより、レセプタクル側V溝96に収容される第二光ファイバ3のコア/クラッド部6は、その中心Oが押さえ部93の上面よりも上方のレセプタクル側V溝96の外部に配置される。
押さえ部93の第二ハウジング後部92近傍部分には、厚さが薄くされた薄肉部97が形成されている。また。押さえ部93の先端には、後方へ向かって次第に保持部94と反対側へ傾斜する押さえガイド面98が形成されている。押さえガイド面98は、プラグ側光コネクタ64の押圧部78の押圧ガイド面83と摺接して押さえ部93を保持部94側へ案内する機能を有する。
第二ハウジング後部92には、前後にわたって貫通する貫通孔99が形成されている。貫通孔99は、レセプタクル側V溝96と連通されている。貫通孔99には、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6が挿通される。貫通孔99の内径は、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6が挿入可能なように、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の外径よりも僅かに大きくされている。
貫通孔99には、第二ハウジング88の後端側から、先端部で被覆層7を除去した第二光ファイバ3のコア/クラッド部6が挿入される。そして、貫通孔99に挿入される第二光ファイバ3のコア/クラッド部6は、その先端部が、第二ハウジング後部92から第二ハウジング前部91側へ突き出るように配置される。この第二ハウジング前部91側へ突き出たコア/クラッド部6の先端部は、レセプタクル側V溝96に収容される。
第二光ファイバ3は、光ファイバ固定機構(例えば、カシメ、クサビ、接着、溶着等)によって第二ハウジング88に固定されて貫通孔99に収容された状態に維持される。
上記構造の光コネクタ1Bでは、プラグ側光コネクタ64に保持された第一光ファイバ2の中心Oの位置とレセプタクル側光コネクタ65に保持された第二光ファイバ3の中心Oの位置が、図9における上下方向(矢印Y方向)に僅かにずらされている。具体的には、プラグ側光コネクタ64の第一光ファイバ2の中心Oに対してレセプタクル側光コネクタ65の第二光ファイバ3の中心Oが、ガイド部77と反対側である図9における下方側へ僅かにずらされて配置され、他方、レセプタクル側光コネクタ65の第二光ファイバ3の中心Oに対してプラグ側光コネクタ64の第一光ファイバ2の中心Oが、押さえ部93と反対側である図9における上方側へ僅かにずらされて配置されている。
なお、第3実施形態に係る光コネクタ1Bでのプラグ側光コネクタ64及びレセプタクル側光コネクタ65の組み立て方は、第1実施形態と略同様であるので説明を省略する。
次に、プラグ側光コネクタ64とレセプタクル側光コネクタ65とを接続する場合について説明する。
図11(a)から図11(c)は、プラグ側光コネクタ及びレセプタクル側光コネクタの接続状態を示す図であって、それぞれ断面図である。図12(a)及び図12(b)は、光ファイバの保持状態を説明する図であって、図12(a)は図11(b)におけるF−F断面図、図12(b)は図11(c)におけるG−G断面図である。
プラグ側光コネクタ64とレセプタクル側光コネクタ65とを接続すべく、これらのプラグ側光コネクタ64とレセプタクル側光コネクタ65とを互いに近づける。
すると、図11(a)に示すように、プラグ側光コネクタ64の押さえ部挿入空間79にレセプタクル側光コネクタ65の押さえ部93が入り込み、レセプタクル側光コネクタ65のガイド部挿入空間95にプラグ側光コネクタ64のガイド部77が入り込む。
このとき、プラグ側光コネクタ64の第一光ファイバ2の中心Oに対して、レセプタクル側光コネクタ65の第二光ファイバ3の中心Oの位置がガイド部77と反対側にずらされ、他方、レセプタクル側光コネクタ65の第二光ファイバ3の中心Oに対して、プラグ側光コネクタ64の第一光ファイバ2の中心Oの位置が押さえ部93と反対側にずらされている。したがって、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の端面がプラグ側光コネクタ64のガイド部77に接触することによる損傷が防止され、また、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6の端面がレセプタクル側光コネクタ65の押さえ部93に接触することによる損傷が防止される。
さらに、プラグ側光コネクタ64とレセプタクル側光コネクタ65とが互いに接近すると、図11(b)に示すように、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6の端面と、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の端面とが互いに突き合わされる。このとき、プラグ側光コネクタ64の第一光ファイバ2の中心Oに対して、レセプタクル側光コネクタ65の第二光ファイバ3の中心Oの位置がガイド部77と反対側にずらされているので、図12(a)に示すように、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6は、プラグ側光コネクタ64のガイド部77から離間した状態とされている。同様に、レセプタクル側光コネクタ65の第二光ファイバ3の中心Oに対して、プラグ側光コネクタ64の第一光ファイバ2の中心Oの位置が押さえ部93と反対側にずらされているので、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6は、レセプタクル側光コネクタ65の押さえ部93から離間した状態とされている。
この状態から、さらに、プラグ側光コネクタ4とレセプタクル側光コネクタ5とが互いに接近すると、図11(c)に示すように、レセプタクル側光コネクタ65の押さえ部93の押さえガイド面98がプラグ側光コネクタ64の押圧部78の押圧ガイド面83と摺接する。これにより、レセプタクル側光コネクタ65の押さえ部93は、薄肉部97が弾性変形して保持部94側であるガイド部77側へ変位される。
これにより、図12(b)に示すように、第二光ファイバ3のコア/クラッド部6がガイド部77のプラグ側V溝80に押圧され、ガイド部77のプラグ側V溝80と押さえ部93のレセプタクル側V溝96とで第二光ファイバ3のコア/クラッド部6が挟持される。同様に、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6が押さえ部93のレセプタクル側V溝96に押圧され、ガイド部77のプラグ側V溝80と押さえ部93のレセプタクル側V溝96とで第一光ファイバ2のコア/クラッド部6が挟持される。したがって、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6及び第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の互いに突き当てられた先端部分は、ガイド部77のプラグ側V溝80と押さえ部93のレセプタクル側V溝96とで押圧されて確実に保持されることとなる。
なお、プラグ側V溝80及びレセプタクル側V溝96は、押さえ部93がガイド部77へ向かって弾性変形した際に、プラグ側V溝80及びレセプタクル側V溝96の各壁面80a,96aに接する円の径が第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の外径よりも1%〜5%程度小さくなるように形成するのが好ましい。このようにすると、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の先端部を、がたつきなく確実に保持することができるとともに、衝撃等の外力が作用しても、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3のコア/クラッド部6の先端を十分に保持することができる。
このように、プラグ側光コネクタ64とレセプタクル側光コネクタ65とが完全に嵌合されると、第一ハウジング69及び第二ハウジング88に設けられたロック機構(図示略)によって第一ハウジング69と第二ハウジング88とが互いに係合して嵌合状態に維持される。
また、第3実施形態の光コネクタ1Bでは、プラグ側光コネクタ64とレセプタクル側光コネクタ65とが嵌合すると、プラグ側光コネクタ64の第一光ファイバ2は、第一ハウジング69に対して後方へ押し込まれる。第一光ファイバ2が第一ハウジング69に対して後方へ押し込まれると、コイルスプリング53が長手方向に圧縮変形し、第一光ファイバ2の余長部分が第一ハウジング69の第一ハウジング後部74側へ引き込まれる。このとき、コイルスプリング53の弾性力からなる圧縮変形の反力により、第一光ファイバ2は、第二光ファイバ3へ付勢されて押圧される。これにより、第一光ファイバ2のコア/クラッド部6と第二光ファイバ3のコア/クラッド部6とが、互いに突き当てられた状態に維持される。
このように、第3実施形態に係る光コネクタ1Bの場合も、プラグ側光コネクタ64とレセプタクル側光コネクタ65の嵌合時に、コイルスプリング53が圧縮変形することにより、第一光ファイバ2の余長の吸収と第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の先端同士の押圧を実現することができる。このため、接続時における第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の撓みを防止することができる。したがって、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3として、ガラス光ファイバを用いても破損のおそれをなくすことができ、また、プラスチック光ファイバを用いても塑性変形により押圧力が確保できなくなる不具合をなくすことができる。
また、第一光ファイバ2が撓まずに変位するため、接続を解除しても第一光ファイバ2が塑性変形して先端位置が所定位置から引き込んでしまうようなことがない。このため、プラグ側光コネクタ64とレセプタクル側光コネクタ65を繰り返し着脱しても、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の先端同士が接触しなくなるような不具合を防止できる。
しかも、第一光ファイバ2を撓ませる空間が必要なく、よって、第一ハウジング69の長手方向のサイズを小さくできる。
また、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3を固定するために接着剤を使用しないので、組み立てが容易であり、高い信頼性を確保することができる。
特に、上記第3実施形態によれば、プラグ側光コネクタ64とレセプタクル側光コネクタ65の嵌合時に、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の先端部をガイド部77のプラグ側V溝80と押さえ部93のレセプタクル側V溝96とで調心して保持する。よって、第一光ファイバ2と第二光ファイバ3との軸ずれを抑制でき、低損失な光接続を実現できる。
また、プラグ側V溝80とレセプタクル側V溝96に第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3の先端部を保持する機能を持たせたので、振動や衝撃等で光接続損失が増大するおそれをなくすことができる。
しかも、プラグ側V溝80及びレセプタクル側V溝96には高精度が要求されないため、作製の容易化及び歩留まりの向上が図れる。
また、プラグ側V溝80を第一ハウジング69に一体成形できるとともに、レセプタクル側V溝96を第二ハウジング88に一体成形できるため、光コネクタ1Bの部品コストを下げることができる。
なお、本第3実施形態では、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3を保持する溝部としてガイド部77にプラグ側V溝80を形成し、押さえ部93にプラグ側V溝96を形成したが、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3を保持する溝部は、第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3を保持可能であればV溝に限らない。第一光ファイバ2及び第二光ファイバ3を保持する溝部としては、例えば、U溝または凹状の溝でも良い。
また、上記第3実施形態では、プラグ側光コネクタ64とレセプタクル側光コネクタ65との嵌合時に、レセプタクル側光コネクタ65の押さえ部93が弾性変形してプラグ側V溝80とレセプタクル側V溝96とが接近する構成としたが、プラグ側光コネクタ64のガイド部77が弾性変形してプラグ側V溝80とレセプタクル側V溝96とが接近する構成でも良く、また、プラグ側光コネクタ64のガイド部77及びレセプタクル側光コネクタ65の押さえ部93の両方が弾性変形してプラグ側V溝80とレセプタクル側V溝96とが接近しても良い。
また、本第3実施形態では、プラグ側光コネクタ64の第一光ファイバ2をコイルスプリング53で押圧及び保持したが、レセプタクル側光コネクタ65の第二光ファイバ3をコイルスプリング53で押圧及び保持しても良く、また、プラグ側光コネクタ64の第一光ファイバ2及びレセプタクル側光コネクタ65の第二光ファイバ3の両方をコイルスプリング53で押圧及び保持しても良い。
なお、上記第1〜第3実施形態では、コイルスプリング53の先端部を加締めることで第一光ファイバ2または第二光ファイバ3にコイルスプリング53を固定して装着したが、コイルスプリング53は、他の装着構造によって第一光ファイバ2または第二光ファイバ3へ装着しても良い。
ここで、第一光ファイバ2または第二光ファイバ3へのコイルスプリング53の他の装着構造を、第1及び第2実施形態におけるレセプタクル側光コネクタ5を組み立てる場合を例にとって説明する。
図13(a)から図13(d)は、変形例に係る装着構造でコイルスプリングを装着したレセプタクル側光コネクタの組み立て方を説明する図であって、それぞれ断面図である。
予めコイルスプリング53を通した第二光ファイバ3の被覆層7を所定長さに剥いでコア/クラッド部6を露出し、コア/クラッド部6の端面が平滑になるように加工したら、図13(a)に示すように、第二光ファイバ3を環状に形成されたフランジ100に挿入する。
次に、図13(b)に示すように、フランジ100を加締め、このフランジ100を第二光ファイバ3の被覆層7の端部近傍部分に固定する。
そして、図13(c)に示すように、第二ハウジング38の後方側から第二光ファイバ3を第二ハウジング38の貫通孔51内に挿入し、予め通しておいたコイルスプリング53を第二光ファイバ3の先端側へ移動しスプリング収容空間43に収容し、その後、第二ハウジング38の後端からスプリング止め55を装着する。
このようにすると、図13(d)に示すように、レセプタクル側光コネクタ5が組み立てられ、コイルスプリング53がスプリング止め55によって前方へ押圧されて僅かに圧縮された状態でスプリング収容空間43に収容されて保持された状態となる。したがって、加締められて固定されたフランジ100がコイルスプリング53によって前方へ付勢されることで、第二光ファイバ3も前方へ付勢された状態で第二ハウジング38に保持される。
このように、フランジ100を用いれば、コイルスプリング53を加工することなく、コイルスプリング53が第二光ファイバ3に係止して弾性力を付与することができる。
また、上記第1〜第3実施形態では、第一光ファイバ2及び/または第二光ファイバ3に弾性力を付与する弾性部材として、コイルスプリング53を用いたが、弾性部材としては、コイルスプリング53に限らず、例えば、板バネやゴム等を用いても良い。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。