JP6248184B2 - 変圧器 - Google Patents

Description

本発明は、変圧器に関する。

本技術分野の背景技術として、特開2006-294673号公報（特許文献１）がある。この公報には、解決手段として「コイル２内に鉄心１を挿入した後、鉄心１を支える下部クランプ５および鉄心１の上部に設けられる上部クランプ４を配した後、鉄製バンド６を鉄心１とコイル２の間を挿通し、上部クランプ４および下部クランプ５に設けたバンド挿入穴（１７ａ，１７ｂ，１８ａ，１８ｂ）を通した後、鉄製バンド６を締め上げることにより、構成される変圧器中身支持装置において、コイル２内に挿入した鉄心１とコイル２間の鉄心１の側面に、長さ寸法が鉄心１の鉄心高さと略同一寸法または鉄心高さより長い支持板７を挿入し、鉄製バンド締付け時に上部クランプ４および下部クランプ５とこの支持板７が箱形を形成するようにしたものである。バンド締付け時に鉄心に加わる圧縮荷重を軽減できる変圧器中身支持装置を得る。」と、課題として「バンド締付け時に鉄心に加わる圧縮荷重を軽減できる変圧器中身支持装置を得る。」と、記載されている（要約参照）。

特開2006-294673号公報

バンドの締付により鉄心に圧縮加重がかかり、鉄心の特性が悪化する。

上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、「巻鉄心と、該巻鉄心の下部に配置される下部金具と、該巻鉄心と下部金具とを締めるバンドとを少なくとも備えた変圧器において、 前記下部金具は、前記巻鉄心の下部を支持する平板部と、該平板部から前記巻鉄心の外周側かつ上方に伸びる折り曲げ部と、を有し、前記折り曲げ部の巻鉄心外周側の端部は、前記巻鉄心の外周と同等か、又はそれよりも外側まで伸びており、前記バンドは、前記下部金具の平板部と前記折り曲げ部とに沿って前記巻鉄心と前記下部金具とを締め付け固定している」ことを特徴とする。

バンドで締付をしても鉄心の特性が悪化しない変圧器を提供する。

本発明の実施例１に係る変圧器中身の斜視図。 本発明の実施例１に係る変圧器の断面斜視図。 本発明の実施例１に係るバンド締付構造の斜視図。 本発明の実施例１に係る下部金具とバンドの接触面の拡大図である。 実施例１に係る下部金具の斜視図。 実施例２に係る下部金具の斜視図。 実施例３に係る下部金具の斜視図。 従来の変圧器中身の斜視図。

以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。

図８は、従来の変圧器中身の斜視図である。変圧器中身１０１は、巻鉄心１と、これに巻きつけるように取り付けたコイル２とから構成される。巻鉄心１とコイル２の上部には上部金具３が配置され、巻鉄心１とコイル２を挟んで上部金具３と対向する位置に下部金具２１が配置される。コイル２と上部金具３の間に上部コイル支え８が配置されており、コイル２と下部金具２１の間に下部コイル支え２２が配置されている。また、巻鉄心１、上部金具３、下部金具２１が鉄製のバンド７で固定されている。X軸方向に伸びたバンド７で巻鉄心、上部金具３、下部金具２１を締め付けるものであり、巻鉄心１のコーナー部では、直接にバンド７が巻鉄心１と接触した状態で締め付ける構造である。したがって、鉄心材料として圧縮応力に弱いアモルファス材を採用した場合には、巻鉄心がこのバンドから受ける応力により特性が悪化してしまうという問題があった。また、下部金具２１は平板状の部材であり、板厚の薄い板材で下部金具２１を構成した場合には下部鉄心２１のバンドで締め付けられた領域付近がX軸方向に沿って窪むように変形してしまう可能性があった。さらに、下部金具２１と下部コイル支え２２はX軸方向には固定されていないため、地震等でX軸方向の揺れが生じた際には、コイル支え２２がずれる可能性があった。

図１は、本発明の変圧器中身の斜視図を示す。変圧器中身１００は、巻鉄心１と、これに巻きつけるように取り付けたコイル２とから構成される。巻鉄心１とコイル２の上部には上部金具３が配置され、巻鉄心１とコイル２を挟んで上部金具３と対向する位置に下部金具４が配置される。コイル２と上部金具３の間に上部コイル支え８が配置されており、コイル２と下部金具４の間に下部コイル支え９が配置されている。また、巻鉄心１、上部金具３、下部金具４が鉄製のバンド７で固定されている。この上部コイル支え８は、バンド７で巻鉄心１を締付した際に、巻鉄心１に直接に応力が加わるのを防止する。下部金具４の上に変圧器中身１００を配置すると、変圧器中身１００の自重による応力が鉄心に加わり特性が悪化するが、これを防止するために、本発明では下部コイル支え９がコイル２の位置を高く支持し、巻鉄心１と下部金具９の接触を避ける構造としている。

図２は、本実施例の変圧器の断面斜視図を示す。上部金具３に備えたバンド挿入穴１６と下部金具４に備えたバンド挿入穴１７とを通してバンド７が巻鉄心１、上部金具３、下部金具４を締め付け固定する。これにコイル２が巻き付けられた状態のものを、更にスタッドボルト１４でタンク１０に固定する。タンク１０は、タンク下部を構成する底板１１、底板１１に溶接され底面に固定されるベース１２を備え、タンクの上面には変圧器中身全体を覆うカバー１５が配置される。

図３は、本実施例の巻鉄心１、上部金具３、下部金具９、バンド７の位置関係を示すために、変圧器中身からコイルを除いたものの斜視図である。図２でも説明したように、バンド７は、上部金具３の備えたバンド挿入穴１６から挿入され、巻鉄心１とコイル２の間を通り、下部金具４に備えたバンド挿入穴１７に挿入され、下部金具４の底面を沿い、反対側の上下金具の挿入穴１６及び１７を通って上部金具３の上面で締付しカシメられる。 図４は、本実施例の下部金具４とバンド７の接触面を拡大した図である。バンド７は例えば鉄製のものを用いることができる。バンド７を強く締めると、下部金具４にはバンド７の締め付け力によりＺ軸方向の力が加わるため、下部金具４が曲げ変形を起こす可能性があるが、本実施例では下部金具４の一部が下部コイル支え９に沿うように接触させて配置しているため、下部金具４の変形を防止できる。これにより、下部金具４を介してバンドの締め付け応力が巻鉄心１に作用することを防止することができる。この構造を採用した場合には構造的な方法で変形を抑制できるので、下部金具４の板厚を、バンド７の締付により変形する程度まで薄い板厚とすることも出来る。

また、地震等のX方向の揺れが発生した場合の巻鉄心１のX軸方向へのずれ防止について、本実施例では下部金具４が巻鉄心１の下面に沿った単なる平板ではなく折り曲げ部１８aを備えているため、Y軸方向のみならずX軸方向についても、巻鉄心１及び下部コイル支え９を支持することができる。これにより、震災時に巻鉄心１に大きな応力をかけることなく強固に固定することができ、耐震性が向上する。

更に、下部金具４に折り曲げ部１８aを備えることにより、タンク１０の底板１１に圧出し部を有している場合であっても、変圧器中身１００を納めることが可能である。このように底板１１に圧出し成形を施して変圧器中身を落し込んだ形状とすることで、変圧器全体を低重心化することができる。さらに、底板１１が巻鉄心１の形状に沿った形状とすることにより、この底板１１で巻鉄心１のX軸方向の振れを抑制する機能を備えることができ、耐震特性の向上が図れる。

図５は、本実施例に係る下部金具の斜視図である。下部金具４の一部は折り曲げ部１８aを有し、先に述べたように、圧出し成形された底板１１を有する変圧器においても納めることが出来る。また、折り曲げ部１８aには挿入穴１７が施されており、バンド締付の際にバンド7が下部金具の角に接触し破断しないようにするためにバンド当て部１９を設け、バンド7がこれに沿うようにしている。また、折り曲げ部１８bを形成し、ここに、該巻鉄心１と、該下部コイル支え９を挟むことで、鉄心端面方向(Y軸方向)への振れにも強い構造になっている。従来構造では折り曲げ部１８bしか形成していなかったため、下部コイル支え９を支持するために折り曲げ部１８bにはある程度長さが必要であったが、折り曲げ部１８aを形成することにより、X軸方向でもコイル支えを支持し、Y軸方向の倒れを抑制することが可能となるため、折り曲げ部１８bの長さを短くすることができ、材料費の削減に繋がる。また、従来の変圧器では、下部金具が平坦であったため、金具の板厚が薄い場合、バンド締付により金具がＹ軸方向に変形し、コイル支えに不均一な加重が加わることや、鉄心端面の押えも弱くなるが、本実施例では、金具の一部に折り曲げ部１８aが入ることで剛性が高まりバンド締付の力を受けても金具が変形しにくいため、コイル支えを均等に締めることが出来る。その結果、折り曲げ部１８bが外側に開き、鉄心の形が崩れることによって特性悪化することを防止できる。

図６は、本発明の実施例２における下部金具の斜視図である。本実施例では、専用の型を用いない下部金具の構造の例を説明する。図１〜５に示された構成と同一の符号及び機能を有する部材については、説明を省略する。

実施例１では折り曲げ部１８aにバンド挿入穴１７を形成し、ここにバンド当て部１９を備えていたが、本実施例では、折り曲げ部１８aの外側に折り曲げ部１９を形成している点が異なっている。
この折り曲げ部１９は、鉄心のコーナー部よりもX軸方向の外側に形成することで巻鉄心１には圧縮加重を加えない構造としている。また、折り曲げ部１８aの一部に切欠き２０を形成することで、コイル支え９と下部金具５の間の隙間が小さくても組込が可能となっている。また、バンド当て部１９を形成することにより、実施例１の下部金具４よりも下部金具５全体としてのY軸方向の曲げ応力に対する強度が強化されているため、バンド締付によるＹ軸方向の変形を抑制することができる。本実施例の下部金具５は実施例１とは異なり挿入穴を開けないため、専用の型が無くても製作することが出来る。

図７は本発明の実施例３における下部金具の斜視図の例である。本実施例では、折り曲げ部１８aを鉄心コーナー部に沿う円弧の形状とした下部金具の構造の例を説明する。

実施例３の下部金具６においては、鉄心のコーナー部に沿うように折り曲げ部１８aを形成している。折り曲げ部１８a先端の角にバンドが接触しないように曲げRを調整することで、実施例１、実施例２のバンド挿入穴や、バンド当て部位を形成せずに、鉄心コーナー部に圧縮加重を加えない構造が可能である。また、鉄心コーナー部のRに合わせて曲げRを調整することにより、輸送時の鉄心形状の崩れを抑制できる。さらに、底板圧出し部に近いRとすることで輸送時等に変圧器中身が振動した場合でも、底板に接触する振れをより少なく調整できる。
以上、実施例毎に説明してきたが、各実施例の構成を組み合わせて実施することも可能である。

１００…変圧器中身
１０１…変圧器中身(従来構造)
１…巻鉄心
２…コイル
３…上部金具
４…下部金具
５…下部金具
６…下部金具
７…バンド
８…上部コイル支え
９…下部コイル支え
１０…タンク
１１…底板
１２…ベース
１３…吊耳
１４…スタッドボルト
１５…カバー
１６…バンド挿入穴
１７…バンド挿入穴
１８a…折り曲げ部
１８b…折り曲げ部
１８c…折り曲げ部
１９…バンド当て部
２０…切欠き
２１…従来構造の下部金具
２２…従来構造の下部コイル支え

Claims (8)

1. 巻鉄心と、
   前記巻鉄心に巻き付けられたコイルと、
   該巻鉄心の下部に配置される下部金具と、
   該巻鉄心と下部金具とを締めるバンドと、
   前記コイルと前記下部金具との間に配置される下部コイル支えとを備え、
   前記下部金具は、前記巻鉄心の下部を支持する平板部と、該平板部から前記巻鉄心の外周側かつ上方に伸びると共に前記下部コイル支えに沿うように接触されて配置される折り曲げ部と、前記折り曲げ部のうち前記巻鉄心の最外周側で前記折り曲げ部の一部を上方に更に折り曲げたバンド当て部とを有し、
   前記折り曲げ部の巻鉄心外周側の端部は、前記巻鉄心の外周と同等か、又はそれよりも外側まで伸びており、
   前記バンドは、前記下部金具の前記平板部と前記折り曲げ部と前記バンド当て部とに沿って前記巻鉄心と前記下部金具とを締め付け固定していることを特徴とする変圧器。
2. 請求項１記載の変圧器であって、
   更に、前記巻鉄心の形状に沿って圧出した形状を有する底板を備え、前記変圧器が前記圧出した形状内に落とし込むように配置されることを特徴とする変圧器。
3. 請求項１記載の変圧器であって、
   前記折り曲げ部は、一部に前記バンドを貫通させる穴を備え、該穴の前記巻鉄心内周側に前記バンド当て部を有していることを特徴とする変圧器。
4. 請求項１記載の変圧器であって、
   更に、前記巻鉄心と前記コイルの上部に上部金具を備え、該上部金具は前記巻鉄心と前記コイルとを挟んで前記下部金具と対向する位置に配置されることを特徴とする変圧器。
5. 請求項１乃至４のいずれかに記載の変圧器であって、
   前記下部金具は、前記巻鉄心の軸方向端面に沿う方向に前記平板部から折り曲げられた折り曲げ部を備えていることを特徴とする変圧器。
6. 請求項１記載の変圧器であって、
   前記下部金具は、前記折り曲げ部の前記巻鉄心外周側の一部に切欠きを設けたことを特徴とした変圧器。
7. 請求項１記載の変圧器であって、
   前記折り曲げ部は、曲面形状を有していることを特徴とする変圧器。
8. 請求項４に記載の変圧器であって、
   更に、前記コイルと前記上部金具との間に配置される上部コイル支えを備え、
   前記バンドは、更に、前記巻鉄心と前記上部金具とを締め付け固定していることを特徴とする変圧器。

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