JP6246012B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
3Dタイプのスクロール圧縮機でも、このチップシールが設けられている。特許文献1では、ラップの内周側からラップの外周側が立ち上がる段差の根元部にまで内周側チップシールを設け、段差の上側には外周側チップシールを設けるとともに、内周側チップシールと外周チップシールとの間にはL字状のチップシールを設けることにより、圧縮空間からの冷媒の漏れを防いでいる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、外周側チップシールに十分な背圧を作用させることのできるスクロール圧縮機を提供すること目的とする。
このように窪みを介して背圧導入通路を内周側シール溝に連通させれば、外周側シール溝からラップの高さ方向に沿って穿孔するだけで背圧導入通路を形成できるので、背圧導入孔を形成するのが容易である。
同様の目的のために、内周側チップシールが、外周側の先端に、内周側に向けて後退する切欠きを備えることもできる。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る圧縮機1は、図1に示すように、縦型のスクロール型で、ハウジング10内に、電動モータ12と、電動モータ12により駆動されるスクロール圧縮機構2とを備えている。この圧縮機1は、例えば空気調和機や冷凍機などを構成している。
ハウジング本体101の側面には、図示しないアキュムレータからハウジング本体101内に冷媒を導入する吸入管13が設けられている。
ハウジングトップ102には、スクロール圧縮機構2によって圧縮された冷媒を吐出する吐出管14が設けられている。ハウジング10の内部は、ディスチャージカバー25によって低圧室10Aと高圧室10Bとに仕切られている。
ステータ15には、ハウジング本体101の側面に取り付けられた図示しない電源ユニットによって通電される。ロータ16には、回転軸17が一体に結合されている。
上部軸受18に形成される内部空間190には、回転軸17の上端に設けられる偏心ピン17Aが突出している。
固定スクロール20は、円板状の固定端板200と、固定端板200の内面側に立設される渦巻状のラップ21とを備えている。
旋回スクロール30も、円板状の旋回端板300と、旋回端板300の内面側に立設される渦巻状のラップ31とを備えている。
なお、旋回スクロール30が、公転しつつも自転はしないよう、旋回スクロール30と回転軸17との間には、自転を拘束するオルダムリング(図示を省略)が設けられている。
なお、ここでいう上下は、固定スクロール20および旋回スクロール30のいずれか一方を基準とする相対的な位置関係である。
また、固定端板200の内周底部20Aと外周底部20Bとの間に形成される段差側面20Cも段差側面30Cと同様に形成されており、その稜線部(図示せず)も面取りされている。
図2及び図3に示すように、固定スクロール20のラップ21には、その巻き始めの始端から段差部21Cの根元部Rまで延びる内周側チップシール41と、外周側ラップ21Bの外周始端部Sから巻き終わりの手前まで延びる外周側チップシール42とが設けられている。図4(A)に示すように、内周側チップシール41は内周側シール溝23に収容され、外周側チップシール42は外周側シール溝24に収容されている。
一方、旋回スクロール30のラップ31にも、図3に示すように、巻き始めの始端から段差部31Cの根元部Rまで延びる内周側チップシール51と、外周側ラップ31Bの外周始端部Sから巻き終わりの手前まで延びる外周側チップシール52とが設けられている。図示を省略するが、固定スクロール20と同様に、内周側チップシール51は内周側シール溝に収容され、外周側チップシール52は外周側シール溝に収容される。
チップシール41,42は、全体に亘り、外周側ラップ21Bの先端面と平行に、平面状とされている。
チップシール41,42,51,52は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリフェニレンエーテル(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の樹脂材料から作製されるのが好ましい。但し、鉄、アルミニウム等の金属材料からチップシールを形成することもできる。
その後、順次、図6の(B)、(C)に示すように変位する過程で、段差側面30Cの内側に内周側ラップ21Aが最大に挿入されるのを経て、根元部Rは内周底部30A側に向けて戻り始める。
根元部Rが内周底部30A側に向けて後退すると、それに伴って内周側チップシール41も内周底部30Aへと抜けていく。図6(D)のように外周始端部Sが段差側面30Cのほぼ中央に接触するとき、内周側チップシール41は、段差側面30Cから脱した位置に戻る。
上記は、旋回スクロール30のラップ31についても同様である。
以上により、圧縮空間内の気密を安定して保つことができるので、圧縮機1の効率および信頼性を向上させることができる。
また、背圧導入通路26は、図4(B)に示すように形成することができる。図4(A)のように内周側通路27を内周側シール溝23の底面に平行に形成すると、内周側通路27を先行するドリルなどの工具を差し込み、かつ回転させるスペースが不足する恐れがある。これに対して、図4(B)に示すように、内周側通路27を内周側シール溝23の底面に対して傾斜させると、当該スペースを確保しやすい。
次に、本発明の第2実施形態について、図7を参照して説明する。
第2実施形態では、内周側チップシール41を収容する内周側シール溝23は、渦方向の外方に延長されて段差部21Cに達し、段差部21Cから渦方向にさらに掘り進んで形成された窪み40に連なっている。内周側チップシール41は、内周側シール溝23の形状に合わせて延長され、先端が窪み40にはめ込まれている。
第2実施形態は、背圧導入通路26が、内周側シール溝23の一部である窪み40と外周側シール溝24の間に形成されている。この背圧導入通路26は、ラップ21の高さ方向に沿って形成されている。なお、旋回スクロール30にも同様の構造が設けられていることはいうまでもない。
しかも、第2実施形態においても、背圧導入通路26を介して、ガス冷媒が外周側シール溝24の内部に流入するので、外周側シール溝24に収容される外周側チップシール42を確実に浮上させることができる。
さらに、第2実施形態においては、ラップ21の高さ方向に沿って切削するだけで背圧導入通路26を形成できるので、第1実施形態に比べて背圧導入通路26の加工が格段に容易である。
次に、第3実施形態について図8を参照して説明する。
第2実施形態のように、内周側チップシール41の先端が窪み40に挿入される場合には、差圧によって内周側チップシール41が窪み40の奥(外周側)に押し込まれることもある。そうすると、内周側チップシール41の先端が背圧導入通路26を塞いでしまう恐れがある。第3実施形態は、内周側チップシール41により背圧導入通路26が塞がれるのを防止するいくつかの例を示す。
図8(B)は、内周側チップシール41の段差41Bを設ける点では図8(A)の例と共通するが、段差41Bを内周側チップシール41の下面側に設けるとともに、窪み40に段差40Aを設ける。そして、段差41Bを段差40Aに係止させることで、内周側チップシール41が外周側に移動するのを規制する。
図8(A)及び図8(B)は、内周側チップシール41の高さ(厚さ)方向に段差41A,41Bを設ける例を示したが、図8(D)に示すように、内周側チップシール41の幅方向に段差41Dを設けるとともに、内周側シール溝23の先端側に段差23Aを設けることもできる。この例では、段差41Dに段差23Aを係止させることで、内周側チップシール41が外周側に移動するのを規制する。
ここでは、内周側チップシール41を係止する三つの例を示したが、あくまで一例であり、他の係止機構を採用することもできる。
例えば、本発明が適用される圧縮機は、空気調和機や冷凍機に用いられるものに限定されず、他の用途、例えば空気を圧縮する圧縮機に適用することもできる。
2 スクロール圧縮機構
10 ハウジング
10A 低圧室
10B 高圧室
12 電動モータ
13 吸入管
14 吐出管
15 ステータ
16 ロータ
17 回転軸
17A 偏心ピン
18 下部軸受
19 上部軸受
20 固定スクロール
20A 内周底部
20B 外周底部
20C 段差側面
21 ラップ
21A 内周側ラップ
21B 外周側ラップ
21C 段差部
21S 先端面
23 内周側シール溝
24 外周側シール溝
25 ディスチャージカバー
26 背圧導入通路
27 内周側通路
28 外周側通路
30 旋回スクロール
30A 内周底部
30B 外周底部
30C 段差側面
31 ラップ
31A 内周側ラップ
31B 外周側ラップ
31C 段差部
34 ボス
36 ドライブブッシュ
40 窪み
40A 段差
41,51 内周側チップシール
41A,41B,41D 段差
41C 切欠き
42,52 外周側チップシール
101 ハウジング本体
102 ハウジングトップ
190 内部空間
200 固定端板
251 吐出ポート
300 旋回端板
G 空隙
R 根元部
S 外周始端部
Claims (4)
- 一対のスクロールがいずれも、外周側から内周側にかけて一つ以上の段差部を経て順次高さが低くなる渦巻き状のラップと、
相手側の前記ラップの前記段差部に倣って立ち上がる一つ以上の段差側面が形成される端板と、
前記段差部よりも内周側の前記ラップに設けられ、内周側チップシールを収容する内周側シール溝と、
前記段差部よりも外周側の前記ラップに設けられ、外周側チップシールを収容する外周側シール溝と、を有するスクロール圧縮機であって、
前記内周側シール溝と前記外周側シール溝は、前記ラップの内部に形成される背圧導入通路を介して連通している、
ことを特徴とするスクロール圧縮機。 - 前記内周側シール溝に連なり、前記段差部を超えて外周側に向けて形成された窪みが前記ラップに形成されるとともに、前記内周側チップシールの先端が前記窪みに挿入され、
前記背圧導入通路は、
その一方端が、前記窪みを介して前記内周側シール溝に連通する、
請求項1に記載のスクロール圧縮機。 - 前記内周側チップシールが前記外周側に向けて移動するのを規制する係止機構を備える、
請求項2に記載のスクロール圧縮機。 - 前記内周側チップシールは、
前記外周側の前記先端に、前記内周側に向けて後退する切欠きを備える、
請求項2に記載のスクロール圧縮機。
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JP2014027428A JP6246012B2 (ja) | 2014-02-17 | 2014-02-17 | スクロール圧縮機 |
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Family Applications (1)
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JP2014027428A Active JP6246012B2 (ja) | 2014-02-17 | 2014-02-17 | スクロール圧縮機 |
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2014
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