JP3972149B2 - 回転式圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、可動部材と固定部材とによって形成される圧縮室で流体を圧縮する回転式圧縮機に関するものである。
従来より、圧縮室に連通する吐出通路を開閉する吐出弁がリード弁で構成されている回転式圧縮機が知られている。この種の吐出弁は、板状の弁体と、その弁体の変形量を制限する弁押さえとから構成され、前面が圧縮室に面する鏡板部の背面側に設けられる。弁体は鏡板部の背面に沿って設けられ、弁押さえは弁体の背面側に設けられる。
この種の吐出弁を用いる回転式圧縮機では、吐出通路が圧縮過程において吐出されない流体が残るデッドボリューム(死容積)になるため、吐出通路の長さを短くするのが望ましい。しかし、吐出通路の長さを短くするために鏡板部の吐出通路周辺の厚みを薄くして凹部を形成すると、その凹部で鏡板部の強度が弱くなる。この場合、圧縮室が低圧状態の時に、その圧縮室側と吐出空間側との圧力差よって凹部が圧縮室側に変形し、圧縮室から冷媒が漏れて圧縮機の効率が低下するという問題がある。また、弁体と弁押さえとは、薄肉の凹部にボルトで固定されるので、ボルトを締め付けた時にその凹部に歪みが生じるという問題もある。
そこで、このような問題を解決するための吐出弁を備える回転圧縮機が、特許文献1に開示されている。特許文献1の回転圧縮機の吐出弁の断面図を図14に示す。この回転圧縮機では、前面が圧縮室に面する鏡板部である軸受の背面側に凹部が形成され、その凹部の底面に吐出穴が開口している。凹部は、弁体と弁押さえとが取り付けられる側の壁面が斜面になっている。弁体と弁押さえとを固定するボルトは、比較的厚肉の斜面の上側に設けられている。
特開昭62−243984号公報
しかしながら、従来の回転式圧縮機では、凹部の斜面部分の厚みが凹部の底面部分よりも厚くなっているが、凹部の周囲よりも薄くなっている。このため、ボルトを締め付けた時の凹部の歪みを防止でき、さらに上述したような圧縮室が低圧状態の時の凹部の変形は抑制されるが、凹部は依然として強度が弱くその変形が問題となる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするこころは、吐出弁がリード弁で構成されている回転式圧縮機において、圧縮室で流体を圧縮する過程で発生する鏡板部の変形を低減させることにある。
第1の発明は、偏心運動する可動部材(38)と、該可動部材(38)と共に圧縮室(41,42)を形成する固定部材(39)とを備え、上記可動部材(38)を駆動することにより上記圧縮室(41,42)へ吸入した流体を圧縮する回転式圧縮機を対象とする。そして、上記固定部材(39)は、前面が上記圧縮室(41,42)に面する鏡板部(37)を備え、
上記鏡板部(37)は、背面側に凹部(25)が形成された平板状の本体部分を備え、該本体部分では該凹部(25)の底面部分の厚みが凹部(25)の周囲より薄くなっており、上記鏡板部(37)には、上記圧縮室(41,42)に連通して該凹部(25)の底面に開口する吐出通路(51,52)と、リード弁で構成されて該吐出通路(51,52)を開閉する吐出弁(21)とが設けられ、上記吐出弁(21)は、全体が上記凹部(25)の底面部分に配置されて該凹部(25)の底面に前面が当接する板状の弁体(18)と、該弁体(18)の変形量を制限する弁押さえ(16)とを備え、上記弁押さえ(16)は、上記弁体(18)の背面に当接可能な本体部(17)と、該本体部(17)と一体に形成されて上記鏡板部(37)の背面に沿って上記凹部(25)の外側へ延びる固定部(19a)とを備え、該本体部(17)の弁押さえ面が該固定部(19a)の前面よりも上記凹部(25)の底面側に位置すると共に、該本体部(17)の弁押さえ面と上記凹部(25)の底面との間に弁体の厚さよりも大きな隙間が存するように形成されて、該固定部(19a)を上記鏡板部(37)に固定することで該鏡板部(37)に取り付けられている。
第1の発明では、弁体(18)の変形量を制限する弁押さえ(16)が、弁体(18)の背面に当接可能な本体部(17)と、凹部(25)の外側へ延びる固定部(19a)とを備えている。弁押さえ(16)は、その固定部(19a)が鏡板部(37)の凹部(25)の外側に固定された状態で、該鏡板部(37)に取り付けられる。従って、この第1の発明では、弁押さえ(16)を固定するためのスペースを凹部(25)内に確保する必要がない。
第2の発明は、偏心運動する可動部材(38)と、該可動部材(38)と共に圧縮室(41,42)を形成する固定部材(39)とを備え、上記可動部材(38)を駆動することにより上記圧縮室(41,42)へ吸入した流体を圧縮する回転式圧縮機を対象とする。そして、上記固定部材(39)は、前面が上記圧縮室(41,42)に面する鏡板部(37)を備え、上記鏡板部(37)には、背面側に凹部(25)が形成されると共に、上記圧縮室(41,42)に連通して該凹部(25)の底面に開口する吐出通路(51,52)と、リード弁で構成されて該吐出通路(51,52)を開閉する吐出弁(21)とが設けられ、上記吐出弁(21)は、上記凹部(25)の底面に前面が当接する板状の弁体(18)と、該弁体(18)の変形量を制限する弁押さえ(16)とを備え、上記弁押さえ(16)は、上記弁体(18)の背面に当接可能で且つ、基端側に凹部(25)の壁面に当接可能な当接面が形成された本体部(17)と、該本体部(17)と一体に形成されて上記鏡板部(37)の背面に沿って上記凹部(25)の外側へ延びる固定部(19a)とを備え、上記本体部(17)の当接面が凹部(25)の壁面に当接するように該固定部(19a)を上記鏡板部(37)に固定することで該鏡板部(37)に取り付けられている。
第3の発明は、環状のシリンダ室(41,42)を有するシリンダ(40)と、該シリンダ(40)に対して偏心してシリンダ室(41,42)に収納され、シリンダ室(41,42)を外側シリンダ室(41)と内側シリンダ室(42)とに区画する環状ピストン(45)と、上記シリンダ室(41,42)に配置され、各シリンダ室(41,42)を第1室(41a,42a)と第2室(41b,42b)とに区画するブレード(46)と、該シリンダ(40)又は該環状ピストン(45)の一端部に形成されて前面が上記シリンダ室(41,42)に面する鏡板部(37)とを備え、上記シリンダ(40)と上記環状ピストン(45)とが相対的に偏心回転運動することによって上記シリンダ室(41,42)内の流体を圧縮する回転式圧縮機を対象とする。そして、上記鏡板部(37)は、背面側に凹部(25)が形成された平板状の本体部分を備え、該本体部分では該凹部(25)の底面部分の厚みが凹部(25)の周囲より薄くなっており、上記鏡板部(37)には、上記シリンダ室(41,42)に連通して該凹部(25)の底面に開口する吐出通路(51,52)と、リード弁で構成されて該吐出通路(51,52)を開閉する吐出弁(21)とが設けられ、上記吐出弁は、全体が上記凹部(25)の底面部分に配置されて該凹部(25)の底面に前面が当接する板状の弁体(18)と、該弁体(18)の変形量を制限する弁押さえ(16)とを備え、上記弁押さえ(16)は、上記弁体(18)の背面に当接可能な本体部(17)と、該本体部(17)と一体に形成されて上記鏡板部(37)の背面に沿って上記凹部(25)の外側へ延びる固定部(19a)とを備え、該本体部(17)の弁押さえ面が該固定部(19a)の前面よりも上記凹部(25)の底面側に位置すると共に、該本体部(17)の弁押さえ面と上記凹部(25)の底面との間に弁体の厚さよりも大きな隙間が存するように形成されて、該固定部(19a)を上記鏡板部(37)に固定することで該鏡板部(37)に取り付けられている。
第3の発明では、弁体(18)の変形量を制限する弁押さえ(16)が、弁体(18)の背面に当接可能な本体部(17)と、凹部(25)の外側へ延びる固定部(19a)とを備えている。弁押さえ(16)は、その固定部(19a)が鏡板部(37)の凹部(25)の外側に固定された状態で、該鏡板部(37)に取り付けられる。従って、この第3の発明では、弁押さえ(16)を固定するためのスペースを凹部(25)内に確保する必要がない。
第4の発明は、環状のシリンダ室(41,42)を有するシリンダ(40)と、該シリンダ(40)に対して偏心してシリンダ室(41,42)に収納され、シリンダ室(41,42)を外側シリンダ室(41)と内側シリンダ室(42)とに区画する環状ピストン(45)と、上記シリンダ室(41,42)に配置され、各シリンダ室(41,42)を第1室(41a,42a)と第2室(41b,42b)とに区画するブレード(46)と、該シリンダ(40)又は該環状ピストン(45)の一端部に形成されて前面が上記シリンダ室(41,42)に面する鏡板部(37)とを備え、上記シリンダ(40)と上記環状ピストン(45)とが相対的に偏心回転運動することによって上記シリンダ室(41,42)内の流体を圧縮する回転式圧縮機を対象とする。そして、上記鏡板部(37)には、背面側に凹部(25)が形成されると共に、上記シリンダ室(41,42)に連通して該凹部(25)の底面に開口する吐出通路(51,52)と、リード弁で構成されて該吐出通路(51,52)を開閉する吐出弁(21)とが設けられ、上記吐出弁は、上記凹部(25)の底面に前面が当接する板状の弁体(18)と、該弁体(18)の変形量を制限する弁押さえ(16)とを備え、上記弁押さえ(16)は、上記弁体(18)の背面に当接可能で且つ、基端側に凹部(25)の壁面に当接可能な当接面が形成された本体部(17)と、該本体部(17)と一体に形成されて上記鏡板部(37)の背面に沿って上記凹部(25)の外側へ延びる固定部(19a)とを備え、上記本体部(17)の当接面が凹部(25)の壁面に当接するように該固定部(19a)を上記鏡板部(37)に固定することで該鏡板部(37)に取り付けられている。
第5の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、上記吐出弁(21)が、上記弁体(18)の基端側を貫通して該弁体(18)の移動を制限するピン部材(24)を備えている。
第5の発明では、基端側を貫通するピン部材(24)によって弁体(18)の移動が制限されている。弁体(18)は、ピン部材(24)によって基端側の移動が制限された状態で、先端側が吐出通路(51,52)を開閉する。
第6の発明は、第2又は第4の発明において、上記吐出弁(21)は、上記弁体(18)の基端側を貫通して該弁体(18)の移動を制限するピン部材(24)を備え、上記弁押さえ(16)と上記凹部(25)の底面との間には、上記弁体(18)の基端側が上記ピン部材(24)の軸方向へ移動するのを許容するための隙間が形成されている。
第6の発明では、弁押さえ(16)と凹部(25)の底面との間に隙間が形成されて、弁体(18)がピン部材(24)の軸方向に移動可能になっている。すなわち、弁体(18)がピン部材(24)の軸方向へ移動することによって、吐出通路(51,52)の出口が開くようになっている。従って、流体が吐出通路(51,52)から吐出される際の弁体(18)の変形量が少なくてすむ。
第7の発明は、第2又は第4の発明において、上記弁体(18)の基端側が、上記弁押さえ(16)と上記凹部(25)の底面とに挟み込まれている。
第7の発明では、弁押さえ(16)と凹部(25)の底面とによって弁体(18)の基端部が挟み込まれて、弁体(18)が鏡板部(37)に固定される。つまり、弁押さえ(16)と凹部(25)の底面とを利用して、弁体(18)が鏡板部(37)に固定される。
第8の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、上記弁体(18)は、その基端側が背面側へ折り曲げられて、上記弁押さえ(16)と上記凹部(25)の壁面とに挟み込まれている。
第8の発明では、弁体(18)の先端側が凹部(25)の底面に当接し、折り曲げられた基端側が凹部(25)の壁面に当接している。弁体(18)は、この状態でその基端側が弁押さえ(16)と凹部(25)の壁面とに挟み込まれて固定されている。この第8の発明では、弁体(18)の先端側が当接する面と、弁体(18)の基端側が固定される面とが同一面内になっていない。従って、弁体(18)の先端側が当接する凹部(25)の底面の面上における弁体(18)の移動が制限され、弁体(18)の回転が防止される。
第9の発明は、第1乃至第8の発明の何れか1つにおいて、冷凍サイクルを行う冷凍装置の冷媒回路に設けられ、該冷媒回路に冷媒として充填された二酸化炭素を圧縮する。
第9の発明では、回転式圧縮機(10)が圧縮室(41,42)又はシリンダ室(41,42)で二酸化炭素を圧縮する。ここで、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍サイクルでは、圧縮室(41,42)又はシリンダ室(41,42)に吸入される低圧冷媒と該圧縮室(41,42)又はシリンダ室(41,42)から吐出される高圧冷媒との圧力差が大きくなる。このため、この第9の発明では、冷媒を圧縮する過程で圧縮室(41,42)又はシリンダ室(41,42)が低圧状態の時に、圧縮室(41,42)又はシリンダ室(41,42)側と吐出空間側と間で生じる圧力差が、一般的なフロン冷媒を用いる場合に比べて大きくなる。
本発明では、弁押さえ(16)の固定部(19a)が凹部(25)の外側へ延びるように設けられるので、その固定部(19a)を鏡板部(37)の凹部(25)の外側に固定することで弁押さえ(16)が該鏡板部(37)に取り付けられる。これによって、凹部(25)内に弁押さえ(16)を固定するためのスペースを確保する必要がなくなり、周囲に比べて強度が弱い凹部(25)の面積を小さくすることができる。従って、圧縮室(41,42)で流体を圧縮する過程で発生する鏡板部(37)の変形を低減させることができ、鏡板部(37)の変形に伴う圧縮室(41,42)からの冷媒漏れを低減させることができる。よって、この発明の回転式圧縮機(10)では圧縮効率を向上させることができる。
また、上記第6の発明では、弁体(18)をピン部材(24)の軸方向に移動可能にすることで、弁体(18)がピン部材(24)の軸方向へ移動することによって吐出通路(51,52)の出口が開くようになっている。従って、流体が吐出通路(51,52)から吐出される際の弁体(18)の変形量が少なくてすむので、その際の吐出圧力損失を減少させることができる。よって、流体が吐出通路(51,52)から吐出される際の過圧縮損失を低減させることができるので、この発明の回転式圧縮機(10)では圧縮効率をさらに向上させることができる。
また、上記第7の発明では、弁体(18)を固定するために、弁押さえ(16)と凹部(25)の底面とを利用している。従って、弁体(18)の固定するための手段を設ける必要がないので、吐出弁(21)の構成を簡素化することができる。
また、上記第8の発明では、背面側へ折り曲げられた弁体(18)の基端側を弁押さえ(16)と凹部(25)の壁面とで挟み込むことによって、弁体(18)の回転を防止するようにしている。この第8の発明よれば、弁体(18)の回転を防止するための手段を設けなくても、弁体(18)の基端側を折り曲げてその折り曲げた部分を凹部(25)の壁面側に固定するだけで弁体(18)の回転を防止している。従って、弁体(18)の回転を防止するための手段を設ける必要がないので、吐出弁(21)の構成を簡素化することができる。
また、上記第9の発明では、冷媒としての二酸化炭素を圧縮する過程で圧縮室(41,42)又はシリンダ室(41,42)が低圧状態の時に、圧縮室(41,42)又はシリンダ室(41,42)側と吐出空間側と間で生じる圧力差が、一般的なフロン冷媒を用いる場合に比べて大きくなる。ここで、従来は、鏡板部(37)において凹部(25)が占める面積が比較的大きいので、冷媒として二酸化炭素を用いる冷媒回路に回転式圧縮機(10)を設けると、鏡板部(37)を挟む上記圧力差によって鏡板部(37)の変形量が大きくなる傾向があった。それに対して、本発明の回転式圧縮機(10)によれば凹部(25)の面積が小さくなるので、鏡板部(37)の剛性が向上する。従って、本発明の回転式圧縮機(10)は、冷媒として二酸化炭素を用いる冷媒回路に設ける場合に特に有効である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1ついて説明する。実施形態1の圧縮機(10)の縦断面図を図1に示す。この圧縮機(10)は、後述する環状ピストン(45)とシリンダ(40)とが相対的に偏心回転運動することによってシリンダ室(41,42)内の冷媒を圧縮する回転式圧縮機(10)である。この回転式圧縮機(10)は、冷媒として二酸化炭素が充填されて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置の冷媒回路に設けられている。この回転式圧縮機(10)は、蒸発器から吸入した冷媒を圧縮して凝縮器へ吐出する。この冷媒回路では、冷凍サイクルの高圧が二酸化炭素の臨界圧力以上になる。なお、この回転式圧縮機(10)を二酸化炭素以外の冷媒を用いる冷媒回路に設けてもよい。
圧縮機(10)は、縦長で円筒形の密閉容器であるケーシング(15)を備えている。このケーシング(15)の内部には、下寄りの位置に圧縮機構(20)が配置され、上寄りの位置に電動機(30)が配置されている。
ケーシング(15)には、その胴部を貫通する吸入管(14)が設けられている。吸入管(14)は、圧縮機構(20)に接続されている。また、ケーシング(15)には、その上部を貫通する吐出管(13)が設けられている。吐出管(13)は、その入口が電動機(30)の上側の空間に開口している。
ケーシング(15)の内部には、上下方向に延びるクランク軸(33)が設けられている。このクランク軸(33)は、主軸部(33a)と偏心部(33b)とを備えている。偏心部(33b)は、クランク軸(33)の下寄りの位置に設けられ、主軸部(33a)よりも大径の円柱状に形成されている。この偏心部(33b)は、その軸心が主軸部(33a)の軸心から所定量だけ偏心している。
圧縮機構(20)は、偏心運動する可動部材(38)と、その可動部材(38)と共に後述する圧縮室(41,42)を形成する固定部材(39)とを備えている。可動部材(38)は、シリンダ(40)とブレード(46)とを備えている。シリンダ(40)とブレード(46)とは、一体に形成されている。固定部材(39)は、環状ピストン(45)と、鏡板部である円板状の下部ハウジング(37)と、円板状の上部ハウジング(36)とを備えている。環状ピストン(45)と下部ハウジング(37)とは、一体に形成されている。圧縮機構(20)は、シリンダ(40)が上部ハウジング(36)と下部ハウジング(37)とに挟み込まれて一体となり、上部ハウジング(36)の外周部でケーシング(15)に固定されている。
シリンダ(40)は、外側シリンダ(40a)と内側シリンダ(40b)とを備えている。外側シリンダ(40a)と内側シリンダ(40b)とは、上部が連結部材(47)で連結されて一体になっている。連結部材(47)は、環状ピストン(45)の一端部(上側)に形成され、後述するシリンダ室(41,42)に面している。
図2に示すように、外側シリンダ(40a)と内側シリンダ(40b)とは、共に円環状に形成されている。外側シリンダ(40a)の内周面と内側シリンダ(40b)の外周面とは、互いに同一中心上に配置された円筒面になっている。外側シリンダ(40a)の内周面と内側シリンダ(40b)の外周面との間には、環状のシリンダ室(41,42)が形成されている。
環状ピストン(45)は、円環の一部分が分断されたC型形状に形成されている。環状ピストン(45)は、外周面が外側シリンダ(40a)の内周面よりも小径で、内周面が内側シリンダ(40b)の外周面よりも大径に形成されている。環状ピストン(45)は、シリンダ(40)に対して偏心した状態でシリンダ室(41,42)内に収納されている。これにより、環状ピストン(45)がシリンダ室(41,42)を内側と外側とに区画している。環状ピストン(45)の外周面と外側シリンダ(40a)の内周面との間には、圧縮室である外側シリンダ室(41)が形成され、環状ピストン(45)の内周面と内側シリンダ(40b)の外周面との間には、圧縮室である内側シリンダ室(42)が形成されている。
環状ピストン(45)とシリンダ(40)とは、環状ピストン(45)の外周面と外側シリンダ(40a)の内周面とが1点で実質的に接する状態(厳密にはミクロンオーダーの隙間があるが、その隙間での冷媒の漏れが問題にならない状態)において、その接点と位相が180°異なる位置で、環状ピストン(45)の内周面と内側シリンダ(40b)の外周面とが1点で実質的に接するようになっている。
内側シリンダ(40b)の内周面には、クランク軸(33)の偏心部(33b)が摺動自在に嵌め込まれている。本実施形態1の回転式圧縮機(10)では、可動部材(38)を構成するシリンダ(40)が偏心回転運動を行うことで、固定部材(39)を構成する環状ピストン(45)とシリンダ(40)とが相対的に回転するように構成されている。
ブレード(46)は、環状ピストン(45)の分断箇所を挿通して、外側シリンダ(40a)の内周面から内側シリンダ(40b)の外周面までシリンダ室(41,42)の径方向に延びるように構成されている。ブレード(46)は、外側シリンダ(40a)の内周面と内側シリンダ(40b)の外周面とに固定されている。これによって、ブレード(46)は、上記各シリンダ室(41,42)を第1室である高圧室(41a,42a)と第2室である低圧室(41b,42b)とに区画している。
圧縮機構(20)には、環状ピストン(45)の分断部(円環の一部分が抜き取られたC型形状の開口部)において、環状ピストン(45)とブレード(46)とを相互に可動に連結する揺動ブッシュ(27)が設けられている。揺動ブッシュ(27)は、ブレード(46)に対して高圧室(41a,42a)側に位置する吐出側ブッシュ(27a)と、ブレード(46)に対して低圧室(41b,42b)側に位置する吸入側ブッシュ(27b)とから構成されている。吐出側ブッシュ(27a)と吸入側ブッシュ(27b)とは、いずれも断面形状が略半円形で同一形状に形成され、フラット面同士が対向するように配置されている。そして、両ブッシュ(27a,27b)の対向するフラット面の間のスペースがブレード溝(28)を構成している。
このブレード溝(28)には、ブレード(46)が挿入されている。揺動ブッシュ(27a,27b)のフラット面(ブレード溝(28)の両側面)は、ブレード(46)と実質的に面接触している。揺動ブッシュ(27a,27b)の円弧状の外周面は、環状ピストン(45)と実質的に面接触している。揺動ブッシュ(27a,27b)は、ブレード溝(28)にブレード(46)を挟んだ状態で、ブレード(46)がその面方向にブレード溝(28)内を進退するように構成されている。同時に、揺動ブッシュ(27a,27b)は、環状ピストン(45)に対してブレード(46)と一体的に揺動するように構成されている。従って、揺動ブッシュ(27)は、該揺動ブッシュ(27)の中心点を揺動中心としてブレード(46)と環状ピストン(45)とが相対的に揺動可能となり、かつブレード(46)が環状ピストン(45)に対して該ブレード(46)の面方向へ進退可能となるように構成されている。
なお、この実施形態1では両ブッシュ(27a,27b)を別体とした例について説明したが、両ブッシュ(27a,27b)は、一部で連結することにより一体構造としてもよい。
上部ハウジング(36)と下部ハウジング(37)とには滑り軸受けである軸受部(36a,37a)がそれぞれ形成されている。クランク軸(33)は、その軸受部(36a,37a)に回転自在に支持されている。本実施形態1の回転式圧縮機(10)では、クランク軸(33)が圧縮機構(20)を上下方向に貫通している。クランク軸(33)は、上部ハウジング(36)と下部ハウジング(37)とを介してケーシング(15)に保持されている。
下部ハウジング(37)は、シリンダ(40)の一端部(下側)に形成され、前面(図1において上面)がシリンダ室(41,42)に面している。また、下部ハウジング(37)の下側には、マフラー(23)が取り付けられている。下部ハウジング(37)とマフラー(23)との間には、吐出空間(53)が形成されている。また、上部ハウジング(36)と下部ハウジング(37)との外縁部には、吐出空間(53)と圧縮機構(20)の上側の空間とを連通する接続通路(57)が形成されている。
電動機(30)は、ステータ(31)とロータ(32)とを備えている。ステータ(31)は、ケーシング(15)の胴部の内壁に固定されている。ロータ(32)は、ステータ(31)の内側に配置されてクランク軸(33)の主軸部(33a)と連結されており、クランク軸(33)がロータ(32)とともに回転するように構成されている。
クランク軸(33)の下端部には、給油ポンプ(34)が設けられている。この給油ポンプ(34)は、クランク軸(33)の軸心に沿って延びて圧縮機構(20)と連通する給油路(図示省略)と接続されている。そして、給油ポンプ(34)は、ケーシング(15)内の底部に貯留された潤滑油を給油路を通じて圧縮機構(20)の摺動部に供給するように構成されている。
以上の構成において、クランク軸(33)が回転すると、外側シリンダ(40a)及び内側シリンダ(40b)は、ブレード溝(28)の方向(シリンダ室(41,42)の径方向)に進退しながら、揺動ブッシュ(27)の中心点を揺動中心として揺動する。この揺動動作により、シリンダ(40)は、クランク軸(33)に対して偏心しながら回転(公転)運動する(図5(A)から(D)参照)。
また、外側シリンダ(40a)の外側には、吸入空間(6)が形成されている(図1参照)。ケーシング(15)の胴部を貫通する吸入管(14)の出口端は、吸入空間(6)に開口している。また、下部ハウジング(37)には、シリンダ(40)の径方向に延びる吸入通路(7)が形成されている。この吸入通路(7)は、内側シリンダ室(42)から吸入空間(6)に跨って、長穴状に形成されている。吸入通路(7)は、シリンダ室(41,42)の低圧室(41b,42b)と吸入空間(6)とを連通している。また、外側シリンダ(40a)には、吸入空間(6)と外側シリンダ室(41)の低圧室(41b)とを連通する貫通孔(43)が形成され、環状ピストン(45)には、外側シリンダ室(41)の低圧室(41b)と内側シリンダ室(42)の低圧室(42b)とを連通する貫通孔(44)が形成されている。
図3に示すように、下部ハウジング(37)の背面(吐出空間(53)側の面)には、凹部(25)が形成されている。下部ハウジング(37)の凹部(25)の底面部分の厚みは、その周囲に比べて薄くなっている。図4に示すように、凹部(25)は、略長方形状の窪みで、下部ハウジング(37)の中心と外周との真ん中付近に形成されている。
下部ハウジング(37)には、シリンダ室(41,42)に連通して凹部(25)の底面に開口する外側吐出通路(51)及び内側吐出通路(52)が設けられている。外側吐出通路(51)と内側吐出通路(52)とは、凹部(25)の長手方向の一端側(図4において右側)で凹部(25)の短手方向に並んで設けられている。外側吐出通路(51)の入口端は外側シリンダ室(41)の高圧室(41a)に開口し、内側吐出通路(52)の入口端は内側シリンダ室(42)の高圧室(42a)に開口している。この両吐出通路(51,52)は、シリンダ室(41,42)の高圧室(41a,42a)と吐出空間(53)とを接続している。
凹部(25)には、第1弁体(18a)と第2弁体(18b)とが設けられている。この両弁体(18a,18b)は、共に細長い板状で、その先端が吐出通路(51,52)の出口よりもひと回り大きい円形になっている。第1弁体(18a)と第2弁体(18b)とは、その長手方向が共に凹部(25)の長手方向と一致し、その前面が該凹部(25)の底面に当接するように配置されている。第1弁体(18a)は、先端部の前面が弁座面である外側吐出通路(51)の出口の周囲に当接するように配置されている。第2弁体(18b)は、先端部の前面が弁座面である内側吐出通路(52)の出口の周囲に当接するように配置されている。
下部ハウジング(37)には、基部(19)と第1本体部(17a)と第2本体部(17b)とからなる弁押さえ(16)が設けられている。弁押さえ(16)は、基部(19)の側面から同じ方向へ2つの本体部(17a,17b)が離れた状態で延びるように形成され、平面視でコ字状になっている。本体部(17)は、上面が湾曲して先端にゆくほど厚みが減少するように形成され、弁体(18)の背面側に設けられてその上面が弁押さえ面になっている。この弁押さえ(16)と上記弁体(18)とは、それぞれ本発明に係る吐出弁(21)を構成している。吐出弁(21)は、リード弁であって、弁体(18)が弾性変形することにより吐出通路(51,52)を開閉するように構成されている。
弁押さえ(16)の基部(19)は、本体部(17)側が厚肉に形成され、逆側が薄肉に形成されている。基部(19)の薄肉の部分にはボルト(22)を通すための貫通孔が1つ形成されている。この基部(19)の薄肉の部分は、弁押さえ(16)を下部ハウジング(37)に取り付けるための固定部(19a)となっている。基部(19)の下面は、平らに形成され本体部(17)の下面と面一になっている。基部(19)の上面は、本体部(17)の上面と連続しているが、厚肉の部分と薄肉の固定部(19a)との境界に段差が形成されている。
弁押さえ(16)は、その固定部(19a)が凹部(25)の外周部にボルト(22)によって固定された状態で、下部ハウジング(37)に取り付けられている。弁押さえ(16)は、その基部(19)の段差面が凹部(25)の吐出通路(51,52)が設けられている方と逆側(図4において左側)の壁面に当接し、その固定部(19a)の上面が下部ハウジング(37)の背面(下面)に当接している。固定部(19a)は、下部ハウジング(37)の背面に沿って凹部(25)の外側に延びている。
凹部(25)の底面と弁押さえ(16)との間には、弁体(18)の厚み以上の隙間が形成されている。つまり、弁体(18)が凹部(25)の底面に密着した状態において、弁体(18)と弁押さえ(16)との間には隙間が形成される。この隙間は、弁体(18)の先端側ほど大きくなっている。
また、吐出弁(21)には、第1弁体(18a)の基端部と第2弁体(18b)の基端部とを貫通するピン部材(24,24)が設けられている。ピン部材(24)は、1つの弁体(18a,18b)に対して2本設けられている。ピン部材(24)は、一端部が弁押さえ(16)の基部(19)の厚肉の部分に嵌め込まれ、他端部が凹部(25)の底面に嵌め込まれている。これにより、第1弁体(18a)と第2弁体(18b)とは、ピン部材(24)の軸方向に可動となる一方で、その回転が防止される。
−運転動作−
次に、この回転式圧縮機(10)の運転動作について図5を参照しながら説明する。
電動機(30)を起動すると、ロータ(32)の回転がクランク軸(33)を介して圧縮機構(20)の外側シリンダ(40a)及び内側シリンダ(40b)に伝達される。その結果、ブレード(46)が揺動ブッシュ(27a,27b)の間で往復運動(進退動作)を行い、かつ、ブレード(46)と揺動ブッシュ(27a,27b)が一体的となって、環状ピストン(45)に対して揺動動作を行う。そして、外側シリンダ(40a)及び内側シリンダ(40b)が環状ピストン(45)に対して揺動しながら公転し、圧縮機構(20)が所定の圧縮動作を行う。
ここで、外側シリンダ室(41)においては、図5(D)の状態(低圧室(41b)がほぼ最小容積となる状態)からシリンダ(40)が図の右回りに公転することで、吸入通路(7)から低圧室(41b)に冷媒(二酸化炭素)が吸入される。同時に、冷媒は、吸入空間(6)から貫通孔(43)を介して低圧室(41b)に吸入される。そして、シリンダ(40)が図5の(A)、(B)、(C)の順に公転して再び図5の(D)の状態になると、上記低圧室(41b)への冷媒の吸入が完了する。
ここで、この低圧室(41b)は、冷媒が圧縮される高圧室(41a)となる一方、ブレード(46)を隔てて新たな低圧室(41b)が形成される。この状態でシリンダ(40)がさらに回転すると、新たに形成された低圧室(41b)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(41a)の容積が減少し、該高圧室(41a)で冷媒が圧縮される。そして、高圧室(41a)の圧力が第1弁体(18a)に作用する背圧を上回ると、第1弁体(18a)が弁押さえ(16)側へ変形すると共にその弁押さえ(16)側へ移動して、その先端部が弁座面である外側吐出通路(51)の出口の周囲から離れる。これによって、外側シリンダ室(41)内で圧縮された高圧冷媒が、外側吐出通路(51)を通過して、吐出空間(53)へ吐出される。
内側シリンダ室(42)においては、図5(B)の状態(低圧室(42b)の容積がほぼ最小となる状態)からシリンダ(40)が図の右回りに公転することで、吸入通路(7)から低圧室(42b)に冷媒が吸入される。同時に、冷媒は、吸入空間(6)から貫通孔(44)を介して低圧室(42b)に吸入される。そして、シリンダ(40)が図5の(C)、(D)、(A)の順に公転して再び図5の(B)の状態になると、上記低圧室(42b)への冷媒の吸入が完了する。
ここで、この低圧室(42b)は、冷媒が圧縮される高圧室(42a)となる一方、ブレード(46)を隔てて新たな低圧室(42b)が形成される。この状態でシリンダ(40)がさらに回転すると、新たに形成された低圧室(42b)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(42a)の容積が減少し、該高圧室(42a)で冷媒が圧縮される。そして、高圧室(42a)の圧力が第2弁体(18b)に作用する背圧を上回ると、第2弁体(18b)が弁押さえ(16)側へ変形すると共にその弁押さえ(16)側へ移動して、その先端部が弁座面である内側吐出通路(52)の出口の周囲から離れる。これによって、内側シリンダ室(42)内で圧縮された高圧冷媒が、内側吐出通路(52)を通過して、吐出空間(53)へ吐出される。
吐出空間(53)へ吐出された冷媒は、接続通路(57)を流通して圧縮機構(20)の上側の空間へ流入し、電動機(30)の周囲に形成される隙間を流通して吐出管(13)から吐出される。
なお、弁体(18)の移動量及び変形量は、弁押さえ(16)によって制限されている。また、高圧室(41a,42a)の圧力が低圧状態になると、弁体(18)の先端部は、吐出空間(53)と高圧室(41a,42a)との圧力差によって凹部(25)の底面側へ吸い寄せられる。これによって、弁体(18)の先端部が吐出通路(51,52)の弁座面に再び密着し、その吐出通路(51,52)の出口が閉まる。
−実施形態1の効果−
この実施形態1では、弁押さえ(16)の固定部(19a)が凹部(25)の外側へ延びるように設けられるので、その固定部(19a)を下部ハウジング(37)の凹部(25)の外側に固定することで弁押さえ(16)が該下部ハウジング(37)に取り付けられる。これによって、凹部(25)内に弁押さえ(16)を固定するためのスペースを確保する必要がなくなり、周囲に比べて強度が弱い凹部(25)の面積を小さくすることができる。従って、シリンダ室(41,42)で冷媒を圧縮する過程で発生する下部ハウジング(37)の変形を低減させることができ、下部ハウジング(37)の変形に伴うシリンダ室(41,42)からの冷媒漏れを低減させる。よって、この実施形態1の回転式圧縮機(10)では圧縮効率を向上させることができる。
また、この実施形態1では、弁体(18)の基端部を2本のピン部材(24,24)が貫通している。2本のピン部材(24,24)は、両端がそれぞれ弁押さえ(16)と凹部(25)の底面とに嵌め込まれている。これによって、弁体(18)の移動は制限され、弁体(18)の回転を防止することができる。
また、この実施形態1では、弁押さえ(16)と凹部(25)の底面との間に隙間が形成されて、弁体(18)がピン部材(24)の軸方向に移動可能になっている。つまり、弁体(18)がピン部材(24)の軸方向へ移動することによって吐出通路(51,52)の出口が開くようになっている。従って、冷媒が吐出通路(51,52)から吐出される際の弁体(18)の変形量が少なくてすむので、その際の吐出圧力損失を減少させることができる。よって、冷媒が吐出通路(51,52)から吐出される際の過圧縮損失を低減させることができるので、この実施形態1の回転式圧縮機(10)では圧縮効率をさらに向上させることができる。
また、この実施形態1では、冷媒としての二酸化炭素を用いる冷媒回路に回転式圧縮機(10)が設けられているので、冷媒を圧縮する過程でシリンダ室(41,42)が低圧状態の時に、シリンダ室(41,42)側と吐出空間側と間で生じる圧力差が、一般的なフロン冷媒を用いる場合に比べて大きくなる。ここで、従来は、下部ハウジング(37)において凹部(25)が占める面積が比較的大きいので、冷媒として二酸化炭素を用いる冷媒回路に回転式圧縮機(10)を設けると、下部ハウジング(37)を挟む上記圧力差によって下部ハウジング(37)の変形量が大きくなる傾向があった。それに対して、本実施形態1の回転式圧縮機(10)によれば凹部(25)の面積が小さくなるので、下部ハウジング(37)の剛性が向上する。従って、本実施形態1の回転式圧縮機(10)は、冷媒として二酸化炭素を用いる冷媒回路に設ける場合に特に有効である。
また、この実施形態1では、弁押さえ(16)の本体部(17)が比較的厚肉になっているので、本体部(17)の側面と凹部(25)の壁面との間や第1本体部(17a)の側面と第2本体部(17b)の側面の間の冷媒流路の長さが長くなっている。ここで、冷媒として二酸化炭素を用いる場合は、一般的なフロン冷媒に比べて冷媒の流量当たりの冷凍能力が大きいので、同じ冷凍能力で比較するとシリンダ室(41,42)から吐出される冷媒の流速が小さい。従って、冷媒として二酸化炭素を用いる場合は、この冷媒流路を通過する冷媒の圧力損失が小さくなる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2ついて説明する。実施形態2の圧縮機(10)の縦断面図を図6に示す。この圧縮機(10)は、後述する可動スクロール(40)が固定スクロール(45)に対して公転運動することによって圧縮室(41)内の冷媒を圧縮するスクロール型の回転式圧縮機(10)である。この圧縮機(10)は、上記実施形態1と同様に、冷媒として二酸化炭素が充填されて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置の冷媒回路に設けられている。
圧縮機(10)は、縦長で円筒形の密閉容器であるケーシング(15)を備えている。このケーシング(15)の内部には、上寄りの位置に圧縮機構(20)が配置され、下寄りの位置に電動機(30)が配置されている。
ケーシング(15)には、その上部を貫通する吸入管(14)が設けられている。吸入管(14)は、圧縮機構(20)に接続されている。また、ケーシング(15)には、その胴部を貫通する吐出管(13)が設けられている。吐出管(13)は、その入口が圧縮機構(20)と電動機(30)との間の空間に開口している。
ケーシング(15)の内部には、上下方向に延びるクランク軸(33)が設けられている。このクランク軸(33)は、主軸部(33a)と偏心部(33b)とを備えている。主軸部(33a)は、その上端部がやや大径に形成されている。偏心部(33b)は、主軸部(33a)よりも小径の円柱状に形成され、主軸部(33a)の上端面に立設されている。この偏心部(33b)は、その軸心が主軸部(33a)の軸心から所定量だけ偏心している。
電動機(30)の下側には、ケーシング(15)の胴部の下端部に固定される下部軸受部材(12)が設けられている。下部軸受部材(12)の中心部には滑り軸受けが形成されており、この滑り軸受けは主軸部(33a)の下端部を回転自在に支持している。
電動機(30)は、ステータ(31)とロータ(32)とを備えている。ステータ(31)は、ケーシング(15)の胴部の内壁に固定されている。ロータ(32)は、ステータ(31)の内側に配置されてクランク軸(33)の主軸部(33a)と連結されており、クランク軸(33)がロータ(32)とともに回転するように構成されている。
圧縮機構(20)は、偏心運動する可動部材である可動スクロール(38)と、その可動スクロール(38)と共に後述する圧縮室(41,42)を形成する固定部材である固定スクロール(39)と、ハウジング(11)とを備えている。ハウジング(11)は、その中央部が窪んだ比較的厚肉の円板状に形成されており、その外周部がケーシング(15)の胴部の上端部と接合されている。また、ハウジング(11)の中央部には、クランク軸(33)の主軸部(33a)が挿通されている。このハウジング(11)は、クランク軸(33)の主軸部(33a)を回転自在に支持する軸受けを構成している。
可動スクロール(38)は、円板状の鏡板部(56)と、その鏡板部(56)の前面側(図6において上面側)に立設された渦巻き壁状の可動側ラップ(48)と、その鏡板部(56)の背面側(図6において下面側)に突出した円筒状の突出部(35)とを備えている。この可動スクロール(38)は、図外のオルダムリングを介してハウジング(11)の上面に載置されている。また、可動スクロール(38)の突出部(35)には、クランク軸(33)の偏心部(33b)が挿入されている。つまり、可動スクロール(38)は、クランク軸(33)に係合されている。
固定スクロール(39)は、円板状の鏡板部(37)と、その鏡板部(37)の前面側(図6において下面側)に立設された渦巻き壁状の固定側ラップ(49)と、その鏡板部(37)の外周から外側に連続して形成された比較的厚肉の外周部(29)とを備えている。
図7に示すように、圧縮機構(20)では、固定スクロール(39)の固定側ラップ(49)と、可動スクロール(38)の可動側ラップ(48)とが噛み合わされている。そして、固定側ラップ(49)と可動側ラップ(48)とが互いに噛み合うことによって、複数の圧縮室(41)が形成される。
図8に示すように、固定スクロール(39)の鏡板部(37)の背面(図8において上面)には、凹部(25)が形成されている。鏡板部(37)の凹部(25)の底面部分の厚みは、その周囲に比べて薄くなっている。凹部(25)は、略長方形状の窪みで、鏡板部(37)の中心付近に形成されている。
鏡板部(37)には、圧縮室(41)に連通して凹部(25)の底面に開口する吐出通路(51)が設けられている。吐出通路(51)は、凹部(25)の長手方向の一端側(図8において左側)に設けられている。吐出通路(51)は、圧縮室(41)と圧縮機構(20)の上側の空間とを接続している。
凹部(25)には、弁体(18)が設けられている。この弁体(18)は、細長い板状で、その先端が吐出通路(51)の出口よりもひと回り大きい円形になっている。弁体(18)は、その長手方向が凹部(25)の長手方向と一致し、その前面が該凹部(25)の底面に当接するように配置されている。弁体(18)は、先端部の前面が弁座面である吐出通路(51)の出口の周囲に当接するように配置されている。
鏡板部(37)には、基部(19)と本体部(17)とからなる弁押さえ(16)が設けられている。本体部(17)は、下面が湾曲して先端にゆくほど厚みが減少するように形成され、弁体(18)の背面側に設けられてその下面が弁押さえ面になっている。この弁押さえ(16)と上記弁体(18)とは、それぞれ本発明に係る吐出弁(21)を構成している。吐出弁(21)は、リード弁であって、弁体(18)が弾性変形することにより吐出通路(51)を開閉するように構成されている。
弁押さえ(16)の基部(19)は、本体部(17)側が厚肉に形成され、逆側が薄肉に形成されている。基部(19)の薄肉の部分にはボルト(22)を通すための貫通孔が1つ形成されている。この基部(19)の薄肉の部分は、弁押さえ(16)を鏡板部(37)に取り付けるための固定部(19a)となっている。基部(19)の上面は、平らに形成され本体部(17)の上面と面一になっている。基部(19)の下面は、本体部(17)の下面と連続しているが、厚肉の部分と薄肉の固定部(19a)との境界に段差が形成されている。
弁押さえ(16)は、その固定部(19a)が凹部(25)の外周部にボルト(22)によって固定された状態で、鏡板部(37)に取り付けられている。弁押さえ(16)は、その基部(19)の段差面が凹部(25)の吐出通路(51)が設けられている方と逆側(図8において右側)の壁面に当接し、その固定部(19a)の下面が鏡板部(37)の背面(上面)に当接している。固定部(19a)は、鏡板部(37)の背面に沿って凹部(25)の外側に延びている。
凹部(25)の底面と弁押さえ(16)との間には、弁体(18)の厚み以上の隙間が形成されている。つまり、弁体(18)が凹部(25)の底面に密着した状態において、弁体(18)と弁押さえ(16)との間には隙間が形成される。この隙間は、弁体(18)の先端側ほど大きくなっている。
また、吐出弁(21)には、弁体(18)の基端部を貫通するピン部材(24,24)が2本設けられている。ピン部材(24)は、一端部が弁押さえ(16)の基部(19)の厚肉の部分に嵌め込まれ、他端部が凹部(25)の底面に嵌め込まれている。これにより、弁体(18)は、ピン部材(24)の軸方向に可動となる一方で、その回転が防止される。
−運転動作−
次に、このスクロール型の回転式圧縮機(10)の運転動作について説明する。
電動機(30)を起動すると、ロータ(32)の回転がクランク軸(33)を介して圧縮機構(20)の可動スクロール(38)に伝達される。クランク軸(33)の偏心部(33b)と係合する可動スクロール(38)は、オルダムリングによって案内され、自転することなく公転運動だけを行う。
可動スクロール(38)が公転運動を行うと、低圧のガス冷媒が吸入管(14)を通って可動側ラップ(48)及び固定側ラップ(49)の外周側から圧縮室(41)へ流入する。さらに、可動スクロール(38)が公転運動すると、圧縮室(41)に閉じ込められたガス冷媒が圧縮機構(20)の内側へ徐々に移動し、それに伴い圧縮室(41)の容積が減少してガス冷媒が圧縮されてゆく。そして、圧縮されたガス冷媒が吐出通路(51)の入口端が開口する圧縮機構(20)の内側まで導かれ、そのガス冷媒の圧力が弁体(18)に作用する背圧を上回ると、弁体(18)が弁押さえ(16)側へ変形すると共にその弁押さえ(16)側へ移動する。そして、弁体(18)が弁座面である吐出通路(51)の出口の周囲から離れ、圧縮されて高圧となったガス冷媒が吐出通路(51)を通って圧縮機構(20)の上側の空間へ吐出される。圧縮機構(20)から吐出されたガス冷媒は、図外の通路を通って圧縮機構(20)の下側の空間へ流入し、その後に吐出管(13)からケーシング(15)外へ吐出される。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3ついて説明する。実施形態3の圧縮機(10)の縦断面図を図9に示す。この圧縮機(10)は、後述するピストン(40)がシリンダ(45)内で揺動運動することによって圧縮室(41)内の冷媒を圧縮するスイング型の回転式圧縮機(10)である。この圧縮機(10)は、上記実施形態1と同様に、冷媒として二酸化炭素が充填されて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置の冷媒回路に設けられている。
圧縮機(10)は、縦長で円筒形の密閉容器であるケーシング(15)を備えている。このケーシング(15)の内部には、下寄りの位置に圧縮機構(20)が配置され、上寄りの位置に電動機(30)が配置されている。
ケーシング(15)には、その胴部を貫通するように吸入管(14)が設けられている。吸入管(14)は、圧縮機構(20)に接続されている。また、ケーシング(15)には、その上部を貫通する吐出管(13)が設けられている。吐出管(13)は、その入口が電動機(30)の上側の空間に開口している。
ケーシング(15)の内部には、上下方向に延びるクランク軸(33)が設けられている。このクランク軸(33)は、主軸部(33a)と偏心部(33b)とを備えている。偏心部(33b)は、クランク軸(33)の下寄りの位置に設けられ、主軸部(33a)よりも大径の円柱状に形成されている。この偏心部(33b)は、その軸心が主軸部(33a)の軸心から所定量だけ偏心している。
圧縮機構(20)は、揺動ピストン型のロータリ圧縮機を構成し、偏心運動する可動部材(38)と、その可動部材(38)と共に後述する圧縮室(41,42)を形成する固定部材(39)とを備えている。可動部材(38)は、円環状のピストン(45)を備えている。固定部材(39)は、シリンダ(40)と、そのシリンダ(40)の上面側に当接する円板状の鏡板部(37)と、そのシリンダ(40)の下面側に当接する円板状のハウジング(11)とを備えている。
図10に示すように、ピストン(45)は、円環状に形成されて、シリンダ(40)内に配置されている。ピストン(45)の内周面には、クランク軸(33)の偏心部(33b)が摺動自在に嵌め込まれている。ピストン(45)の外周面とシリンダ(40)の内周面との間に圧縮室(41)が形成されている。また、ピストン(45)の側面には平板状のブレード(46)が突設されており、このブレード(46)は揺動ブッシュ(27)を介してシリンダ(40)に支持されている。これによって、ブレード(46)は、圧縮室(41)を第1室である高圧室(41a)と第2室である低圧室(41b)とに区画している。
シリンダ(40)には、吸入ポート(50)が形成されている。吸入ポート(50)は、シリンダ(40)を半径方向に貫通し、その終端がシリンダ(40)の内周面に開口している。吸入ポート(50)には、吸入管(14)が挿入されている。
電動機(30)は、ステータ(31)とロータ(32)とを備えている。ステータ(31)は、ケーシング(15)の胴部の内壁に固定されている。ロータ(32)は、ステータ(31)の内側に配置されてクランク軸(33)の主軸部(33a)と連結されており、クランク軸(33)がロータ(32)とともに回転するように構成されている。
クランク軸(33)の下端部には、給油ポンプ(34)が設けられている。この給油ポンプ(34)は、クランク軸(33)の軸心に沿って延びて圧縮機構(20)と連通する給油路(図示省略)と接続されている。そして、給油ポンプ(34)は、ケーシング(15)内の底部に貯留された潤滑油を給油路を通じて圧縮機構(20)の摺動部に供給するように構成されている。
鏡板部(37)は、前面(図9において下面)が圧縮室(41)に面している。図11に示すように、鏡板部(37)の背面(図11において上面)には、凹部(25)が形成されている。鏡板部(37)の凹部(25)の底面部分の厚みは、その周囲に比べて薄くなっている。凹部(25)は、略長方形状の窪みで、鏡板部(37)の中心と外周との真ん中付近に形成されている。
鏡板部(37)には、圧縮室(41)に連通して凹部(25)の底面に開口する吐出通路(51)が設けられている。吐出通路(51)は、凹部(25)の長手方向の一端側(図11において右側)に設けられている。吐出通路(51)は、圧縮室(41)と圧縮機構(20)の上側の空間とを接続している。
凹部(25)には、弁体(18)が設けられている。この弁体(18)は、細長い板状で、その先端が吐出通路(51)の出口よりもひと回り大きい円形になっている。弁体(18)は、その長手方向が凹部(25)の長手方向と一致し、その前面が該凹部(25)の底面に当接するように配置されている。弁体(18)は、先端部の前面が弁座面である吐出通路(51)の出口の周囲に当接するように配置されている。
鏡板部(37)には、基部(19)と本体部(17)とからなる弁押さえ(16)が設けられている。本体部(17)は、下面が湾曲して先端にゆくほど厚みが減少するように形成され、弁体(18)の背面側に設けられてその下面が弁押さえ面になっている。この弁押さえ(16)と上記弁体(18)とは、それぞれ本発明に係る吐出弁(21)を構成している。吐出弁(21)は、リード弁であって、弁体(18)が弾性変形することにより吐出通路(51)を開閉するように構成されている。
弁押さえ(16)の基部(19)は、本体部(17)側が厚肉に形成され、逆側が薄肉に形成されている。基部(19)の薄肉の部分にはボルト(22)を通すための貫通孔が1つ形成されている。この基部(19)の薄肉の部分は、弁押さえ(16)を鏡板部(37)に取り付けるための固定部(19a)となっている。基部(19)の上面は、平らに形成され本体部(17)の上面と面一になっている。基部(19)の下面は、本体部(17)の下面と連続しているが、厚肉の部分と薄肉の固定部(19a)との境界に段差が形成されている。
弁押さえ(16)は、その固定部(19a)が凹部(25)の外周部にボルト(22)によって固定された状態で、鏡板部(37)に取り付けられている。弁押さえ(16)は、その基部(19)の段差面が凹部(25)の吐出通路(51)が設けられている方と逆側(図11において左側)の壁面に当接し、その固定部(19a)の下面が鏡板部(37)の背面(上面)に当接している。固定部(19a)は、鏡板部(37)の背面に沿って凹部(25)の外側に延びている。
凹部(25)の底面と弁押さえ(16)との間には、弁体(18)の厚み以上の隙間が形成されている。つまり、弁体(18)が凹部(25)の底面に密着した状態において、弁体(18)と弁押さえ(16)との間には隙間が形成される。この隙間は、弁体(18)の先端側ほど大きくなっている。
また、吐出弁(21)には、弁体(18)の基端部を貫通するピン部材(24,24)が2本設けられている。ピン部材(24)は、一端部が弁押さえ(16)の基部(19)の厚肉の部分に嵌め込まれ、他端部が凹部(25)の底面に嵌め込まれている。これにより、弁体(18)は、ピン部材(24)の軸方向に可動となる一方で、その回転が防止される。
−運転動作−
次に、このスイング型の回転式圧縮機(10)の運転動作について説明する。
電動機(30)を起動すると、ロータ(32)の回転がクランク軸(33)を介して圧縮機構に伝達されると、偏心部(33b)が回動する。偏心部(33b)が回動すると、この偏心部(33b)に摺動自在に外接するピストン(45)がシリンダ(40)内で揺動運動を行う。
冷媒は、ピストン(45)の揺動運動に従って吸入ポート(50)からシリンダ(40)の圧縮室(41)に吸入される。吸入された冷媒は、圧縮室(41)で圧縮される。そして、高圧室(41a)の圧力が弁体(18)に作用する背圧を上回ると、弁体(18)が弁押さえ(16)側へ変形すると共にその弁押さえ(16)側へ移動して、弁座面である吐出通路(51)の出口の周囲から離れる。これによって、圧縮室(41)内で圧縮された高圧冷媒が、吐出通路(51)を通過して、圧縮機構(20)と電動機(30)との間の空間へ吐出される。
圧縮機構(20)と電動機(30)との間の空間へ吐出された冷媒は、電動機(30)の周囲に形成される隙間を流通して吐出管(13)から吐出される。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
吐出弁(21)は、ピン部材(24)を設けずに、弁体(18)の基端部を弁押さえ(16)と凹部(25)の底面とによって挟み込むようにしてもよい(図12参照)。弁押さえ(16)は、基部(19)の厚肉の部分と薄肉の固定部(19a)との段差が凹部(25)の深さよりも大きくなるように形成されている。固定部(19a)と鏡板部(37)の背面との間には、隙間が形成されている。これによって、固定部(19a)でボルト(22)を締め付けると、弁押さえ(16)と凹部(25)の底面とによって弁体(18)の基端部を強固に挟み込むことができる。従って、弁体(18)を強固に固定することができるので、ピン部材(24)のような弁体(18)の回転を防止するための手段を設けなくても、その回転を抑制することができる。よって、吐出弁(21)の構成を簡素化することができる。
また、吐出弁(21)は、その基端側を背面側へ折り曲げて、弁押さえ(16)と凹部(25)の壁面とに挟み込むようにしてもよい(図13参照)。弁体(18)は、凹部(25)の底面から壁面に亘って当接するように配置されている。これによって、ピン部材(24)のような弁体(18)の回転を防止するための手段を設けなくても、弁体(18)の基端側を折り曲げてその折り曲げた部分を凹部(25)の壁面側に固定するだけで弁体(18)の回転を防止することができる。よって、吐出弁(21)の構成を簡素化することができる。
また、矩形断面のピン部材(24)を用いて、弁体(18)の回転を防止するようにしてもよい。この場合、1本のピン部材(24)で弁体(18)の回転を防止することができる。
また、回転式圧縮機(10)を二酸化炭素以外の冷媒を用いる冷媒回路に設けてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、可動部材と固定部材とによって形成される圧縮室で流体を圧縮する回転式圧縮機について有用である。
実施形態1に係る回転式圧縮機の縦断面図である。 実施形態1に係る回転式圧縮機の圧縮機構の横断面図である。 実施形態1に係る回転式圧縮機の吐出弁の断面図である。 実施形態1に係る回転式圧縮機の下部ハウジングの平面図である。 実施形態1に係る回転式圧縮機の圧縮機構の動作を示す横断面図である。 実施形態2に係る回転式圧縮機の縦断面図である。 実施形態2に係る回転式圧縮機の圧縮機構の横断面図である。 実施形態2に係る回転式圧縮機の吐出弁の断面図である。 実施形態3に係る回転式圧縮機の縦断面図である。 実施形態3に係る回転式圧縮機の圧縮機構の横断面図である。 実施形態3に係る回転式圧縮機の吐出弁の断面図である。 その他の実施形態に係る回転式圧縮機の吐出弁の断面図である。 その他の実施形態に係る回転式圧縮機の吐出弁の断面図である。 従来の回転圧縮機の吐出弁の断面図である。
符号の説明
10 回転式圧縮機
16 弁押さえ
17 本体部
18 弁体
19a 固定部
21 吐出弁
24 ピン部材
25 凹部
37 鏡板部(鏡板部)
38 可動部材
39 固定部材
40 シリンダ
41 外側シリンダ室(圧縮室)
41a 高圧室(第1室)
41b 低圧室(第2室)
42 内側シリンダ室(圧縮室)
42a 高圧室(第1室)
42b 低圧室(第2室)
45 環状ピストン
46 ブレード
51 外側吐出通路(吐出通路)
52 内側吐出通路(吐出通路)

Claims (9)

  1. 偏心運動する可動部材(38)と、該可動部材(38)と共に圧縮室(41,42)を形成する固定部材(39)とを備え、上記可動部材(38)を駆動することにより上記圧縮室(41,42)へ吸入した流体を圧縮する回転式圧縮機であって、
    上記固定部材(39)は、前面が上記圧縮室(41,42)に面する鏡板部(37)を備え、
    上記鏡板部(37)は、背面側に凹部(25)が形成された平板状の本体部分を備え、該本体部分では該凹部(25)の底面部分の厚みが凹部(25)の周囲より薄くなっており、
    上記鏡板部(37)には、上記圧縮室(41,42)に連通して該凹部(25)の底面に開口する吐出通路(51,52)と、リード弁で構成されて該吐出通路(51,52)を開閉する吐出弁(21)とが設けられ、
    上記吐出弁(21)は、全体が上記凹部(25)の底面部分に配置されて該凹部(25)の底面に前面が当接する板状の弁体(18)と、該弁体(18)の変形量を制限する弁押さえ(16)とを備え、
    上記弁押さえ(16)は、上記弁体(18)の背面に当接可能な本体部(17)と、該本体部(17)と一体に形成されて上記鏡板部(37)の背面に沿って上記凹部(25)の外側へ延びる固定部(19a)とを備え、該本体部(17)の弁押さえ面が該固定部(19a)の前面よりも上記凹部(25)の底面側に位置すると共に、該本体部(17)の弁押さえ面と上記凹部(25)の底面との間に弁体の厚さよりも大きな隙間が存するように形成されて、該固定部(19a)を上記鏡板部(37)に固定することで該鏡板部(37)に取り付けられていることを特徴とする回転式圧縮機。
  2. 偏心運動する可動部材(38)と、該可動部材(38)と共に圧縮室(41,42)を形成する固定部材(39)とを備え、上記可動部材(38)を駆動することにより上記圧縮室(41,42)へ吸入した流体を圧縮する回転式圧縮機であって、
    上記固定部材(39)は、前面が上記圧縮室(41,42)に面する鏡板部(37)を備え、
    上記鏡板部(37)には、背面側に凹部(25)が形成されると共に、上記圧縮室(41,42)に連通して該凹部(25)の底面に開口する吐出通路(51,52)と、リード弁で構成されて該吐出通路(51,52)を開閉する吐出弁(21)とが設けられ、
    上記吐出弁(21)は、上記凹部(25)の底面に前面が当接する板状の弁体(18)と、該弁体(18)の変形量を制限する弁押さえ(16)とを備え、
    上記弁押さえ(16)は、上記弁体(18)の背面に当接可能で且つ、基端側に凹部(25)の壁面に当接可能な当接面が形成された本体部(17)と、該本体部(17)と一体に形成されて上記鏡板部(37)の背面に沿って上記凹部(25)の外側へ延びる固定部(19a)とを備え、上記本体部(17)の当接面が凹部(25)の壁面に当接するように該固定部(19a)を上記鏡板部(37)に固定することで該鏡板部(37)に取り付けられていることを特徴とする回転式圧縮機。
  3. 環状のシリンダ室(41,42)を有するシリンダ(40)と、該シリンダ(40)に対して偏心してシリンダ室(41,42)に収納され、シリンダ室(41,42)を外側シリンダ室(41)と内側シリンダ室(42)とに区画する環状ピストン(45)と、上記シリンダ室(41,42)に配置され、各シリンダ室(41,42)を第1室(41a,42a)と第2室(41b,42b)とに区画するブレード(46)と、該シリンダ(40)又は該環状ピストン(45)の一端部に形成されて前面が上記シリンダ室(41,42)に面する鏡板部(37)とを備え、上記シリンダ(40)と上記環状ピストン(45)とが相対的に偏心回転運動することによって上記シリンダ室(41,42)内の流体を圧縮する回転式圧縮機であって、
    上記鏡板部(37)は、背面側に凹部(25)が形成された平板状の本体部分を備え、該本体部分では該凹部(25)の底面部分の厚みが凹部(25)の周囲より薄くなっており、
    上記鏡板部(37)には、上記シリンダ室(41,42)に連通して該凹部(25)の底面に開口する吐出通路(51,52)と、リード弁で構成されて該吐出通路(51,52)を開閉する吐出弁(21)とが設けられ、
    上記吐出弁は、全体が上記凹部(25)の底面部分に配置されて該凹部(25)の底面に前面が当接する板状の弁体(18)と、該弁体(18)の変形量を制限する弁押さえ(16)とを備え、
    上記弁押さえ(16)は、上記弁体(18)の背面に当接可能な本体部(17)と、該本体部(17)と一体に形成されて上記鏡板部(37)の背面に沿って上記凹部(25)の外側へ延びる固定部(19a)とを備え、該本体部(17)の弁押さえ面が該固定部(19a)の前面よりも上記凹部(25)の底面側に位置すると共に、該本体部(17)の弁押さえ面と上記凹部(25)の底面との間に弁体の厚さよりも大きな隙間が存するように形成されて、該固定部(19a)を上記鏡板部(37)に固定することで該鏡板部(37)に取り付けられていることを特徴とする回転式圧縮機。
  4. 環状のシリンダ室(41,42)を有するシリンダ(40)と、該シリンダ(40)に対して偏心してシリンダ室(41,42)に収納され、シリンダ室(41,42)を外側シリンダ室(41)と内側シリンダ室(42)とに区画する環状ピストン(45)と、上記シリンダ室(41,42)に配置され、各シリンダ室(41,42)を第1室(41a,42a)と第2室(41b,42b)とに区画するブレード(46)と、該シリンダ(40)又は該環状ピストン(45)の一端部に形成されて前面が上記シリンダ室(41,42)に面する鏡板部(37)とを備え、上記シリンダ(40)と上記環状ピストン(45)とが相対的に偏心回転運動することによって上記シリンダ室(41,42)内の流体を圧縮する回転式圧縮機であって、
    上記鏡板部(37)には、背面側に凹部(25)が形成されると共に、上記シリンダ室(41,42)に連通して該凹部(25)の底面に開口する吐出通路(51,52)と、リード弁で構成されて該吐出通路(51,52)を開閉する吐出弁(21)とが設けられ、
    上記吐出弁は、上記凹部(25)の底面に前面が当接する板状の弁体(18)と、該弁体(18)の変形量を制限する弁押さえ(16)とを備え、
    上記弁押さえ(16)は、上記弁体(18)の背面に当接可能で且つ、基端側に凹部(25)の壁面に当接可能な当接面が形成された本体部(17)と、該本体部(17)と一体に形成されて上記鏡板部(37)の背面に沿って上記凹部(25)の外側へ延びる固定部(19a)とを備え、上記本体部(17)の当接面が凹部(25)の壁面に当接するように該固定部(19a)を上記鏡板部(37)に固定することで該鏡板部(37)に取り付けられていることを特徴とする回転式圧縮機。
  5. 請求項1乃至4の何れか1つにおいて、
    上記吐出弁(21)は、上記弁体(18)の基端側を貫通して該弁体(18)の移動を制限するピン部材(24)を備えていることを特徴とする回転式圧縮機。
  6. 請求項2又は4において、
    上記吐出弁(21)は、上記弁体(18)の基端側を貫通して該弁体(18)の移動を制限するピン部材(24)を備え、
    上記弁押さえ(16)と上記凹部(25)の底面との間には、上記弁体(18)の基端側が上記ピン部材(24)の軸方向へ移動するのを許容するための隙間が形成されていることを特徴とする回転式圧縮機。
  7. 請求項2又は4において、
    上記弁体(18)の基端側が、上記弁押さえ(16)と上記凹部(25)の底面とに挟み込まれていることを特徴とする回転式圧縮機。
  8. 請求項1乃至4の何れか1つにおいて、
    上記弁体(18)は、その基端側が背面側へ折り曲げられて、上記弁押さえ(16)と上記凹部(25)の壁面とに挟み込まれていることを特徴とする回転式圧縮機。
  9. 請求項1乃至8の何れか1つにおいて、
    冷凍サイクルを行う冷凍装置の冷媒回路に設けられ、該冷媒回路に冷媒として充填された二酸化炭素を圧縮することを特徴とする回転式圧縮機。
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