JP2008128098A - 回転式圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械損失を増大させることなく、高い圧縮効率を確保することである。
【解決手段】環状のシリンダ室(46,47)を有する第1ハウジング(35)と、シリンダ室(46,47)を外側シリンダ室(46)と内側シリンダ室(47)とに区画して第1ハウジング(35)に対して偏心回転するピストン(40)とを備えている。ピストン(40)の背圧空間(S3,S4)は、シールリング(55)によって内側背圧空間(S3)と外側背圧空間(S4)とに区画されている。外側背圧空間(S4)と吸入ポート(39)とが連通路(61)で繋がり、連通路(61)には、外側背圧空間(S4)と吸入ポート(39)の圧力差が所定値以上になると開く開閉弁(62)が設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転式圧縮機に関し、特に、圧縮効率の向上対策に係るものである。
従来より、例えば特許文献1に開示されているような回転式圧縮機が知られている。この回転式圧縮機は、シリンダと偏心回転するピストン部材とを備えている。シリンダとピストン部材は、閉空間となる圧縮室を形成している。また、シリンダとピストン部材のそれぞれには、端壁が形成されている。シリンダの端壁とピストン部材の端壁とは、圧縮室を挟んで向かい合っている。そして、この回転式圧縮機は、ピストン部材を偏心回転させることで、圧縮室へ吸入した流体を圧縮する。
この回転式圧縮機では、シリンダの端壁とピストン部材の端壁とのそれぞれに圧縮室の内圧が作用する。圧縮室内の流体が圧縮されると、圧縮室の内圧が上昇する。このため、何の対策も講じなければ、シリンダとピストン部材は、それぞれの端壁に作用する圧力(離反力)によって互いに離反する方向へ移動してしまい、その結果、圧縮室の気密を充分に保持できなくなって圧縮効率の低下を招いてしまう。
そこで、上記特許文献1に開示された回転式圧縮機では、ピストン部材の端壁に押し付け力を作用させ、ピストン部材とシリンダのクリアランスが拡大するのを回避して圧縮室の気密を確保するようにしている。これにより、圧縮効率の低下を防止している。
特開平6−288358号公報
ところで、上記回転式圧縮機は、低圧の流体を吸入して圧縮し、圧縮されて高圧となった流体を吐出している。しかしながら、この回転式圧縮機の用途によっては、圧縮室へ吸入される吸入流体の圧力と、圧縮室から吐出される吐出流体の圧力とが変動する場合がある。例えば、冷凍サイクルを行う空調機の圧縮機としてこの回転式圧縮機を用いる場合には、吸入流体や吐出流体の圧力が空調機の運転状態によって変化する。
吸入流体や吐出流体の圧力が変化すると、それに伴って、ピストン部材に作用させるべき押し付け力の大きさも変化する。このため、上記特許文献1の回転式圧縮機では、その運転条件によってピストン部材に作用する押し付け力が過剰になる場合もあり、このような場合には、ピストン部材とシリンダの摩擦が大きくなって機械損失の増大を招くおそれがあった。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転式圧縮機の運転条件が変化しても機械損失を増やさずに高い圧縮効率を確保することである。
第1の発明は、互いに圧接されて流体の圧縮室(46,47)を形成する固定部材(35)および可動部材(40)を備えると共に、該可動部材(40)の背面側に上記圧縮室(46,47)へ吸入される吸入流体の圧力より高い圧力となる背圧空間(S3,S4)が設けられ、上記可動部材(40)が固定部材(35)に対して偏心回転して圧縮室(46,47)で流体を圧縮する回転式圧縮機を前提としている。そして、本発明は、上記背圧空間(S3,S4)と、上記固定部材(35)に形成され、上記圧縮室(46,47)へ吸入流体を導入する吸入通路(38a)とを連通させる連通路(61)を有すると共に、上記背圧空間(S3,S4)と上記吸入通路(38a)の圧力差に応じて上記連通路(61)を開閉する開閉弁(62)を有する背圧調整機構(60)を備えているものである。
上記の発明では、圧縮室(46,47)で流体が圧縮されると、その圧縮室(46,47)の内圧によって、固定部材(35)と可動部材(40)を互いに引き離す力(離反力)が生じる。これに対し、可動部材(40)は背圧空間(S3,S4)の圧力によって固定部材(35)側へ押し付けられ、圧縮室(46,47)の気密性が確保される。ここで、背圧空間(S3,S4)の圧力は、固定部材(35)と可動部材(40)の離反力が最大となる場合を基準として設定されている。したがって、運転条件によって背圧空間(S3,S4)による押し付け力が離反力に比べて過大になると、固定部材(35)と可動部材(40)との間に作用する摩擦力が大きくなり、それに起因する動力の損失(即ち、摩擦損失)が増大してしまう。
そこで、本発明では、背圧空間(S3,S4)と吸入通路(38a)の圧力差に応じて開閉弁(62)が開閉することにより、背圧空間(S3,S4)の圧力が調整される。つまり、背圧空間(S3,S4)と吸入通路(38a)の圧力差が過大になると、即ち背圧空間(S3,S4)の圧力が吸入通路(38a)の圧力(吸入圧力)に比べて過大になると、開閉弁(62)が開くように設定される。開閉弁(62)が開くと、背圧空間(S3,S4)の流体が連通路(61)を通じて吸入通路(38a)に流れて、背圧空間(S3,S4)の圧力が低下する。これにより、離反力に対して背圧空間(S3,S4)による押し付け力が過大となるのを防止できる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記可動部材(40)の背面側には、背圧空間(S3,S4)を内側背圧空間(S3)と外側背圧空間(S4)とに仕切るシールリング(55)が設けられ、上記内側背圧空間(S3)は、圧縮室(46,47)の吐出流体が存する高圧空間(S2)から第1部材(35)および第2部材(40)の摺動箇所へ供給された潤滑油が流入する一方、上記背圧調整機構(60)の連通路(61)は、上記外側背圧空間(S4)と吸入通路(38a)とを連通させている。そして、上記背圧調整機構(60)は、背圧空間(S4)と吸入通路(38a)の圧力差が所定値以上になると開閉弁(62)が開き、上記所定値未満になると閉じるように構成されているものである。
上記の発明では、内側背圧空間(S3)に高圧空間(S2)の潤滑油が流入する。つまり、内側背圧空間(S3)は、高圧空間(S2)とほぼ同じ圧力(即ち、吐出圧力)になる。一方、外側背圧空間(S4)は、シールリング(55)によって、吸入圧力よりも高く且つ吐出圧力よりも低い圧力(即ち、中間圧)になる。
上記背圧調整機構(60)では、外側背圧空間(S4)と吸入通路(38a)の圧力差が所定値以上になると(即ち、過大になると)、開閉弁(62)が開いて、外側背圧空間(S4)から中間圧の流体が連通路(61)を通じて吸入通路(38a)へ流れる。これにより、外側背圧空間(S4)の圧力が低下し、背圧空間(S3,S4)全体による押し付け力が低下する。
また、シールリング(55)によって完全に気密される訳ではないので、内側背圧空間(S3)から外側背圧空間(S4)へ潤滑油が漏れ出す。ここで、外側背圧空間(S4)に潤滑油が存在すると、その外側背圧空間(S4)の圧力が不安定になる。ところが、本発明では、外側背圧空間(S4)の潤滑油は、開閉弁(62)が開くと、中間圧の流体と共に連通路(61)通じて吸入通路(38a)へ流れる。したがって、外側背圧空間(S4)の圧力が安定し、背圧空間(S3,S4)による押し付け力が安定する。つまり、本発明では、連通路(61)は、外側背圧空間(S4)から潤滑油を排出させる排出通路も兼ねている。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記外側背圧空間(S4)には、内側背圧空間(S3)から漏れ出た潤滑油の油溜まり部(65)が設けられている。そして、上記背圧調整機構(60)の連通路(61)は、上記油溜まり部(65)と吸入通路(38a)とを連通させているものである。
上記の発明では、内側背圧空間(S3)から外側背圧空間(S4)へ漏れ出た潤滑油が油溜まり部(65)へ貯留される。そして、開閉弁(62)が開くと、油溜まり部(65)の潤滑油が確実に連通路(61)を通じて吸入通路(38a)へ流れる。これにより、外側背圧空間(S4)において、圧力が低下すると共に、確実に潤滑油が排出される。したがって、背圧空間(S3,S4)による押し付け力が一層安定する。
第4の発明は、上記第1または第2の発明において、上記固定部材(35)および可動部材(40)の一方は、環状のシリンダ室を形成するシリンダ部(38,39)を有し、他方は、環状に形成され、上記シリンダ室を外側の圧縮室(46)と内側の圧縮室(47)とに区画するピストン本体部(42)を有している。そして、本発明は、上記各圧縮室(46,47)を高圧室(46a,47a)と低圧室(46b,47b)とに区画するブレード(45)が上記ピストン本体部(42)をその径方向に貫通しているものである。
上記の発明では、シリンダ部(38,39)によって環状のシリンダ室が形成されている。このシリンダ室は、環状のピストン本体部(42)によって、外側と内側の圧縮室(46,47)に仕切られる。ピストン本体部(42)の外側に位置する圧縮室(46)は、ブレード(45)によって高圧室(46a)と低圧室(46b)に仕切られる。また、ピストン本体部(42)の内側に位置する圧縮室(47)も、ブレード(45)によって高圧室(47a)と低圧室(47b)に仕切られる。シリンダ部(38,39)とピストン本体部(42)が相対的に偏心回転すると、これら高圧室(46a,47a)と低圧室(46b,47b)の容積が変化し、低圧室(46b,47b)への流体の吸入と、高圧室(46a,47a)での流体の圧縮とが行われる。
したがって、本発明によれば、背圧空間(S3,S4)と吸入通路(38a)とを繋ぐ連通路(61)を設け、背圧空間(S3,S4)と吸入通路(38a)の圧力差に応じて連通路(61)を開閉する開閉弁(62)を設けるようにした。これにより、離反力が最大となる状態に合わせて背圧空間(S3,S4)による押し付け力を設計した場合、高負荷時に高低圧力差が大きくなって離反力が減少しても、押し付け力を低下させることができる。したがって、常に、離反力に対して適切な押し付け力を可動部材(40)に作用させることができ、可動部材(40)の挙動を安定させることができる。その結果、圧縮効率の向上を図ることができる。
また、第2の発明によれば、背圧空間(S3,S4)を高圧の潤滑油が流入する内側背圧空間(S3)と外側背圧空間(S4)とにシールリング(55)で仕切り、外側背圧空間(S4)と吸入通路(38a)とを連通路(61)で繋ぐようにした。これにより、内側背圧空間(S3)から外側背圧空間(S4)へ漏れ出た潤滑油を流体と共に吸入通路(38a)へ排出することができる。したがって、外側背圧空間(S4)の圧力を安定させることができ、離反力に対して背圧空間(S3,S4)による押し付け力を適切に調節することができる。
さらに、吸入通路(38a)へ流れた潤滑油が吸入流体と共に圧縮室(46,47)へ導入されるので、圧縮室(46,47)の気密性を潤滑油によって高めることができる。その結果、圧縮効率を一層向上させることができる。
また、第3の発明によれば、外側背圧空間(S4)に油溜まり部(65)を設け、その油溜まり部(65)と吸入通路(38a)とを連通路(61)で繋ぐようにした。これにより、内側背圧空間(S3)から外側背圧空間(S4)へ漏れ出た潤滑油を確実に吸入通路(38a)へ排出させることができる。したがって、背圧空間(S3,S4)による押し付け力を一層適切に調節することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本実施形態1の回転式圧縮機(10)は、例えば冷凍機の冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮するために利用される。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る回転式圧縮機(10)は、いわゆる全密閉型に構成されている。この回転式圧縮機(10)は、縦長の密閉容器状に形成されたケーシング(11)を備えている。このケーシング(11)は、縦長の円筒状に形成された円筒部(12)と、椀状に形成されて、該円筒部(12)の両端に外側に凸に配設される一対の端板部(13)とによって構成されている。そして、円筒部(12)の上端側を塞ぐ一方の端板部(13)には、該端板部(13)を厚み方向に貫通する吐出管(14)が設けられ、円筒部(12)には、該円筒部(12)を厚み方向に貫通する吸入管(15)が設けられている。
上記吐出管(14)は、ケーシング(11)内部に連通している一方、上記吸入管(15)は、ケーシング(11)内の圧縮機構(30)に繋がっている。すなわち、この回転式圧縮機(10)は、圧縮機構(30)で圧縮された冷媒がケーシング(11)の内部空間へ吐出されて、その後、吐出管(14)を通ってケーシング(11)外へ送出されるように構成されており、ケーシング(11)内が高圧の状態になる、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機である。したがって、この実施形態では、ケーシング(11)内の空間が高圧空間(S2)となる。
上記ケーシング(11)の内部には、上から下へ向かって順に、電動機(20)および圧縮機構(30)が配設されている。また、ケーシング(11)の内部には、上下方向に延びる駆動軸(25)が配設されており、この駆動軸(25)を介して、圧縮機構(30)および電動機(20)が連結されている。なお、密閉容器状のケーシング(11)内の底部には、圧縮機構(30)の各摺動部等に供給される潤滑油の貯留部(56)が設けられている。
上記駆動軸(25)は、主軸部(26)と偏心部(27)を有している。偏心部(27)は、主軸部(26)の下端寄りの位置に設けられ、主軸部(26)よりも大径の円柱状に形成されている。また、この偏心部(27)は、軸心が主軸部(26)の軸心に対して偏心している。さらに、この偏心部(27)は、後述する圧縮機構(30)のピストン(40)を貫通した状態で、該ピストン(40)に対して一体回転可能に固定されている。
また、上記駆動軸(25)の内部には、該駆動軸(25)の下端から上方へ延びる給油溝(28)が形成されている。駆動軸(25)の下端は、貯留部(56)に浸漬しており、貯留部(56)の潤滑油がケーシング(11)内の高い圧力によって給油溝(28)内を上昇し、圧縮機構(30)の各摺動部等へ供給される。
上記電動機(20)は、ステータ(21)およびロータ(22)を備えている。このステータ(21)は、円筒状に形成され、ケーシング(11)の円筒部(12)の内面に固定されている。ロータ(22)は、ステータ(21)の内部に配置され、駆動軸(25)の主軸部(26)が貫通している。
上記圧縮機構(30)は、第1ハウジング(35)と、第2ハウジング(50)と、ピストン(40)とを備えている。第1ハウジング(35)および第2ハウジング(50)は、上下方向に重なるように配置されている。そして、ピストン(40)が第1ハウジング(35)および第2ハウジング(50)によって囲まれた空間内に収容されている。なお、第1ハウジング(35)およびピストン(40)は、それぞれ本発明に係る固定部材および可動部材を構成している。
上記ピストン(40)は、軸受部(43)とピストン本体部(42)と鏡板部(41)とを備えている。軸受部(43)は、鏡板部(41)の中央部分から上方へ向かって円筒状に膨出し、駆動軸(25)の偏心部(27)が摺動自在に嵌合されている。ピストン本体部(42)は、軸受部(43)の外周側で鏡板部(41)から上方へ向かって膨出している。ピストン本体部(42)は、軸受部(43)と同心円状に位置し、円環の一部分が分断された略C字型状に形成されている。
上記第1ハウジング(35)は、平板部(36)と軸受部(37)と外側シリンダ部(38)と内側シリンダ部(39)とを備えている。この第1ハウジング(35)は、外側シリンダ部(38)がケーシング(11)の内面に溶接等によって固定され、軸受部(37)が駆動軸(25)を回転可能に支持している。
具体的に、上記平板部(36)は、厚肉の円板状に形成されていて、その外周側に外側シリンダ部(38)が形成されている。軸受部(37)は、平板部(36)の中央部分から上方へ向かって膨出している。この軸受部(37)の内部には、駆動軸(25)の主軸部(26)を回転可能に支持する滑り軸受(37a)が設けられている。
上記外側シリンダ部(38)は、平板部(36)の下面の外縁部から下方へ向かって膨出する略円筒状に形成されている。この外側シリンダ部(38)には、その径方向に貫通する吸入ポート(38a)が形成されている。この吸入ポート(38a)の一端は、後述する外側シリンダ室(46)の低圧室(46b)に開口し、他端は、吸入管(15)が接続されている。つまり、吸入ポート(38a)は、吸入管(15)から外側シリンダ室(46)へ冷媒を導入するための吸入通路を構成している。
上記内側シリンダ部(39)は、平板部(36)の下面における外側シリンダ部(38)よりも内側から、該外側シリンダ部(38)と同心円状に且つ略円筒状に突設されている。この内側シリンダ部(39)と外側シリンダ部(38)の間には、冷媒の圧縮室として環状のシリンダ室(46,47)が形成されている。そして、このシリンダ室(46,47)にピストン(40)のピストン本体部(42)が収容され、該シリンダ室(46,47)が外側シリンダ室(46)と内側シリンダ室(47)とに区画される。具体的に、平板部(36)と鏡板部(41)と外側シリンダ部(38)とピストン本体部(42)との間に外側シリンダ室(46)が形成され、平板部(36)と鏡板部(41)と内側シリンダ部(39)とピストン本体部(42)との間に内側シリンダ室(47)が形成されている。また、平板部(36)と鏡板部(41)とピストン(40)の軸受部(43)と内側シリンダ部(39)との間には、軸受部(43)の偏心回転動作を許容するための動作空間(48)が形成されている。本実施形態において、この動作空間(48)も高圧空間(S2)になっている。
上記第2ハウジング(50)は、厚肉の円板状の部材で、その外周側がケーシング(11)の内周面に固定される一方、その外縁部が第1ハウジング(35)に対して密着状態で固定されている。また、第2ハウジング(50)の中央部分には駆動軸(25)の主軸部(26)が貫通する貫通孔が形成され、その貫通孔の内周面には主軸部(26)を回転可能に支持する滑り軸受(50a)が設けられている。
また、上記圧縮機構(30)は、ブレード(45)と揺動ブッシュ(53)を備えている。ブレード(45)は、シリンダ室(46,47)の径方向に直線的に延び、両端部が外側シリンダ部(38)の内周面(シリンダ室(46,47)の外周壁)および内側シリンダ部(39)の外周壁(シリンダ室(46,47)の内周壁)に固定されている。そして、ブレード(45)は、ピストン本体部(42)の分断箇所を挿通してシリンダ室(46,47)を高圧室(46a,47a)と低圧室(46b,47b)とに区画するように構成されている。揺動ブッシュ(53)は、ピストン本体部(42)の分断箇所に設けられ、該ピストン本体部(42)をブレード(45)に対して揺動可能に連結する連結部材を構成している。なお、本実施形態は、ブレード(45)を別部材として外側シリンダ部(38)および内側シリンダ部(39)に固定するようにした例であるが、ブレード(45)を両シリンダ部(38,39)と一体形成するようにしてもよい。
具体的に、上記揺動ブッシュ(53)は、ブレード(45)に対して高圧室(46a,47a)側に位置する吐出側ブッシュ(図2における左側)と、ブレード(45)に対して低圧室(46b,47b)側に位置する吸入側ブッシュ(図2における右側)とから構成されている。この吐出側ブッシュおよび吸入側ブッシュは、いずれも断面形状が略半円形の同一形状に形成され、フラット面同士が対向するように配置されている。そして、両ブッシュの対向面の間のスペースがブレード溝(54)を構成している。
このブレード溝(54)にブレード(45)が挿入され、揺動ブッシュ(53)のフラット面が該ブレード(45)と実質的に面接触し、揺動ブッシュ(53)の円弧状の外周面がピストン本体部(42)と実質的に面接触している。揺動ブッシュ(53)は、ブレード溝(54)にブレード(45)を挟んだ状態で、該ブレード(45)の長さ方向に摺動可能に構成されている。つまり、揺動ブッシュ(53)は、その中心点を揺動中心としてピストン本体部(42)がブレード(45)に対して揺動すると共に、ピストン本体部(42)がブレード(45)に対して該ブレード(45)の長さ方向へ摺動するように構成されている。
そして、上記圧縮機構(30)では、ピストン(40)が第1ハウジング(35)に対して偏心回転運動を行う。その偏心回転運動では、ピストン本体部(42)の外周面と外側シリンダ部(38)の内周面とが実質的に1点で摺接し(厳密には、冷媒の漏れが問題にならないミクロンオーダーの隙間がある状態)、その摺接点と位相が180°ずれた位置においてピストン本体部(42)の内周面と内側シリンダ部(39)の外周面とが実質的に1点で摺接するようになっている。
上記ピストン本体部(42)には、外側シリンダ室(46)の低圧室(46b)と内側シリンダ室(47)の低圧室(47b)とを連通させる貫通孔(44)が形成されている。また、上記第1ハウジング(35)には、外側吐出ポート(51)および内側吐出ポート(52)が設けられている。これら吐出ポート(51,52)は、第1ハウジング(35)の平板部(36)をその軸方向に貫通して形成されている。外側吐出ポート(51)の下端は、外側シリンダ室(46)の高圧室(46a)に臨むように開口し、内側吐出ポート(52)の下端は、内側シリンダ室(47)の高圧室(47a)に臨むように開口している。なお、図示しないが、圧縮機構(30)には、吐出ポート(51,52)を開閉するための吐出弁が設けられている。
上記ピストン(40)のピストン本体部(42)および軸受部(43)の先端面(図1における上端面)は、共に第1ハウジング(35)の平板部(36)に摺接する一方、第1ハウジング(35)の内側シリンダ部(39)の先端面(図1における下端面)は、ピストン(40)の鏡板部(41)に摺接する。これにより、シリンダ室(46,47)が気密状態になっている。なお、詳しくは後述するが、この気密状態を保持するために、ピストン(40)に対してその鏡板部(41)の背面(図1における下端面)から押し付け力が作用するように構成されている。
また、上記第2ハウジング(50)の上面には、ピストン(40)の鏡板部(41)の中央部に対応してシールリング(55)が設けられている。すなわち、このシールリング(55)は、第2ハウジング(50)とピストン(40)との間の空間を径方向に分割するように設けられている。そして、シールリング(55)の内側および外側の空間がそれぞれ内側背圧空間(S3)および外側背圧空間(S4)となり、これら2つの空間が本発明の背圧空間を構成している。
上記内側背圧空間(S3)は、ケーシング(11)内の高圧空間(S2)と連通しており、貯留部(56)の高圧の潤滑油が駆動軸(25)の給油溝(28)を通じて供給されるように構成されている。これにより、内側背圧空間(S3)が高圧空間(S2)と同等の高圧状態になり、ピストン(40)の鏡板部(41)に対して第1ハウジング(35)側に押し付ける背圧が作用する。
一方、上記シールリング(55)によって完全にはシールされないため、内側背圧空間(S3)から潤滑油が外側背圧空間(S4)へ漏れる。これにより、外側背圧空間(S4)の圧力は、低圧空間(S1)よりも高く且つ内側背圧空間(S3)よりも低い中間圧となる。この外側背圧空間(S4)の圧力は、内側背圧空間(S3)と同様、ピストン(40)を第1ハウジング(35)側へ押し付ける背圧として作用する。つまり、ピストン(40)には、内側背圧空間(S3)および外側背圧空間(S4)の合わせた圧力が押し付け力として作用する。
ここで、圧縮機構(30)では、シリンダ室(46,47)の内圧によってピストン(40)が第1ハウジング(35)に対して離反するような力(離反力)が生じる。これに対して、上述のようにピストン(40)を鏡板部(41)に押し付け力が作用することにより、ピストン(40)が第1ハウジング(35)から離反するのを防止できる。これにより、シリンダ室(46,47)の気密性が保たれ、圧縮効率の低下が抑制される。
ところで、上述した圧縮機構(30)では、運転条件によっては高低圧力差(すなわち、低圧空間(S1)と高圧空間(S2)との圧力差)が小さくなり、ピストン(40)に作用する背圧(押し付け力)が不足する場合がある。そうすると、ピストン(40)の挙動が不安定になる。そこで、ピストン(40)の挙動を安定させるために、シールリング(55)の径を大きくして、ピストン(40)の鏡板部(41)に対する内側背圧空間(S3)の背圧の作用面積を増大させることが考えられる。しかしながら、このような構成にすると、圧縮機構(30)における高低圧差が大きい場合には、ピストン(40)に作用する背圧が過剰となり、該ピストン(40)と第1ハウジング(35)との摩擦が増大する。
そこで、本実施形態の圧縮機構(30)には、ピストン(40)に作用する背圧(押し付け力)を高低圧力差の変化に応じて調整する背圧調整機構(60)が設けられている。具体的には、背圧調整機構(60)によって外側背圧空間(S4)の背圧が調整される。
図3に示すように、上記背圧調整機構(60)は、外側背圧空間(S4)と吸入ポート(38a)とを連通させる連通路(61)を備えている。この連通路(61)は、第1ハウジング(35)から第2ハウジング(50)へ亘って形成され、一端が吸入ポート(38a)に、他端が外側背圧空間(S4)に繋がっている。この連通路(61)の外側背圧空間(S4)側の端部には、該連通路(61)の一部として油溜まり部(65)が設けられている。油溜まり部(65)は、外側背圧空間(S4)に開口するように、第2ハウジング(50)の上面において平面視環状に且つ断面視凹状に形成されている。そして、この油溜まり部(65)は、内側背圧空間(S3)から外側背圧空間(S4)へ漏れ出た潤滑油が貯留される。また、連通路(61)の途中には、弁室(64)が形成されている。この弁室(64)には、球状の開閉弁(62)およびバネ(63)が収納されている。具体的に、弁室(64)において、外側背圧空間(S4)側から順に、開閉弁(62)およびバネ(63)が配置されている。バネ(63)は、開閉弁(62)を外側背圧空間(S4)側へ押し付ける付勢手段を構成している。
この背圧調整機構(60)は、外側背圧空間(S4)と吸入ポート(38a)の圧力差が所定値未満の場合に、開閉弁(62)が外側背圧空間(S4)側へ押されて連通路(61)が閉状態になるように構成されている(図3(A)参照)。つまり、本実施形態の圧縮機構(30)では、高低圧力差が最小となるときの外側背圧空間(S4)と吸入ポート(38a)の圧力差を設計圧力差として、そのときに生じる離反力に対して適切な押し付け力がピストン(40)に作用するようにシールリング(55)の位置が設計される。
そして、上記背圧調整機構(60)は、外側背圧空間(S4)と吸入ポート(38a)の圧力差が所定値以上になると、開閉弁(62)が吸入ポート(38a)側へ押されて連通路(61)が開状態になるように構成されている(図3(B)参照)。そうすると、外側背圧空間(S4)から中間圧の冷媒が連通路(61)を通って吸入ポート(38a)へ流れ、外側背圧空間(S4)の圧力が低下する。そして、外側背圧空間(S4)と吸入ポート(38a)の圧力差が所定値未満になると、開閉弁(62)が戻って連通路(61)が閉状態になる。つまり、圧縮機構(30)における高低圧力差が小さいときには、連通路(61)が閉状態になって外側背圧空間(S4)の圧力が一定に維持され、離反力に対して適切な押し付け力が維持される。また、高低圧力差が大きくなると、連通路(61)が開状態になって外側背圧空間(S4)の圧力が低下し、押し付け力が低下する。これにより、ピストン(40)に対する押し付け力が過剰となるのを防止でき、摩擦損失の増大を防止できる。
−運転動作−
次に、上記圧縮機(10)の運転動作について図4を参照しながら説明する。
先ず、電動機(20)を起動すると、ロータ(22)の回転が駆動軸(25)を介して圧縮機構(30)のピストン(40)に伝達される。そうすると、ピストン本体部(42)がブレード(45)に沿って往復運動(進退動作)を行うと共に揺動動作を行う。その際、揺動ブッシュ(53)は、ピストン本体部(42)およびブレード(45)に対して実質的に面接触をする。そして、ピストン本体部(42)が外側シリンダ部(38)および内側シリンダ部(39)に対して揺動しながら公転し、圧縮機構(30)が所定の圧縮動作を行う。
具体的に、外側シリンダ室(46)では、図4(B)の状態で低圧室(46b)の容積がほぼ最小であり、ここから駆動軸(25)が図の右回りに回転して図4(C)〜図4(A)の状態へ変化するのに伴って該低圧室(46b)の容積が増大するときに、冷媒が吸入ポート(38a)を通って低圧室(46b)へ吸入される。
上記駆動軸(25)が一回転して再び図4(B)の状態になると、上記低圧室(46b)への冷媒の吸入が完了する。そして、この低圧室(46b)は、冷媒が圧縮される高圧室(46a)となり、ブレード(45)を隔てて新たな低圧室(46b)が形成される。駆動軸(25)がさらに回転すると、低圧室(46b)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(46a)の容積が減少し、該高圧室(46a)で冷媒が圧縮される。高圧室(46a)の圧力が所定値となって吐出空間との差圧が設定値に達すると、吐出弁が開き、高圧室(46a)の高圧冷媒が外側吐出ポート(51)を通じてケーシング(11)内の高圧空間(S2)へ流出する。
上記内側シリンダ室(47)では、図4(F)の状態で低圧室(47b)の容積がほぼ最小であり、ここから駆動軸(25)が図の右回りに回転して図4(G)〜図4(E)の状態へ変化するのに伴って該低圧室(47b)の容積が増大するときに、冷媒が吸入ポート(38a)および貫通孔(144)を通って内側シリンダ室(47)の低圧室(47b)へ吸入される。
上記駆動軸(25)が一回転して再び図4(F)の状態になると、低圧室(47b)への冷媒の吸入が完了する。そして、この低圧室(47b)は、冷媒が圧縮される高圧室(47a)となり、ブレード(45)を隔てて新たな低圧室(47b)が形成される。駆動軸(25)がさらに回転すると、低圧室(47b)において冷媒の吸入が繰り返される一方、高圧室(47a)の容積が減少し、該高圧室(47a)で冷媒が圧縮される。高圧室(47a)の圧力が所定値となって吐出空間との差圧が設定値に達すると、吐出弁が開き、高圧室(47a)の高圧冷媒が内側吐出ポート(52)を通じてケーシング(11)内の高圧空間(S2)へ流出する。
上記外側シリンダ室(46)ではほぼ図4(E)のタイミングで冷媒の吐出が開始され、内側シリンダ室(47)ではほぼ図4(A)のタイミングで吐出が開始される。つまり、外側シリンダ室(46)と内側シリンダ室(47)とでは、吐出のタイミングがほぼ180°ずれている。ケーシング(11)内の高圧空間(S2)へ流出した高圧冷媒は、吐出管(14)から吐出される。ない、冷媒回路において、圧縮機(10)から吐出された冷媒は、凝縮行程、膨張行程および蒸発行程を経て、再び圧縮機(10)に吸入される。
一方、上記貯留部(56)の潤滑油は、駆動軸(25)下端の遠心ポンプ作用により、該駆動軸(25)の給油溝(28)内を上方へ押し上げられて、圧縮機構(30)の各滑り軸受(37a,50a)や内側背圧空間(S3)に供給される。
上記内側背圧空間(S3)は、高圧空間(S2)に連通しているため高圧状態になり、ピストン(40)がその背面側から第1ハウジング(35)側へ押し付けられる。この押し付け力は、シリンダ室(46,47)の内圧による離反力とは逆向きの力である。
ここで、例えば圧縮機(10)が低負荷で運転された場合、高低圧力差、即ち高圧空間(S2)と吸入ポート(38a)との圧力差が小さくなる。この場合、外側背圧空間(S4)と吸入ポート(38a)の圧力差が所定値未満になり、背圧調整機構(60)の連通路(61)が閉状態になる。そうすると、離反力に対して適切な押し付け力が確保され、ピストン(40)の挙動が安定する。また、圧縮機(10)が高負荷で運転された場合、高低圧力差が大きくなる。この場合、外側背圧空間(S4)と吸入ポート(38a)の圧力差が所定値以上になり、背圧調整機構(60)の連通路(61)が開状態になる。そうすると、ピストン(40)に作用する押し付け力が設計値より低くなる。これにより、押し付け力が離反力に対して過剰とならず、ピストン(40)の挙動が安定する。
また、背圧調整機構(60)の連通路(61)が開状態になると、外側背圧空間(S4)から中間圧の冷媒が吸入ポート(38a)へ流出するが、その際、油溜まり部(65)の潤滑油も吸入ポート(38a)へ流出する。これにより、外側背圧空間(S4)における圧力(中間圧)が安定する。つまり、油溜まり部(65)に潤滑油が貯留されたままの状態では、ガス冷媒のみが充満している状態に比べて、外側背圧空間(S4)における圧力が変動しやすくなるが、それが防止される。外側背圧空間(S4)の中間圧が安定すると、ピストン(40)に対する押し付け力が安定するので、ピストン(40)の挙動を安定させることができる。
また、外側背圧空間(S4)から吸入ポート(38a)へ流出した潤滑油は、冷媒と共にシリンダ室(46,47)へ導入される。これにより、シリンダ室(46,47)の気密性が向上し、圧縮効率を向上させることができる。
−実施形態1の効果−
以上説明したように、本実施形態によれば、外側背圧空間(S4)と吸入ポート(38a)とを繋ぐ連通路(61)を設け、外側背圧空間(S4)と吸入ポート(38a)の圧力差が所定値未満の場合には連通路(61)を閉じ、所定値以上になると連通路(61)を開くようにした。これにより、低負荷時の高低圧力差が小さいときに合わせてピストン(40)の押し付け力を設計した場合、高負荷時に高低圧力差が大きくなっても、離反力の減少に合わせて押し付け力を低下させることができる。したがって、常に、離反力に対して適切な押し付け力をピストン(40)に作用させることができ、ピストン(40)の挙動を安定させることができる。その結果、圧縮効率の向上を図ることができる。
また、外側背圧空間(S4)に開口する油溜まり部(65)を連通路(61)の一部として設けるようにしたので、冷媒と共に潤滑油も吸入ポート(38a)へ流出させることができる。これにより、外側背圧空間(S4)における中間圧を安定させることができる。したがって、ピストン(40)に作用する押し付け力が安定し、ピストン(40)の挙動を一層安定させることができる。
さらに、連通路(61)を吸入ポート(38a)に接続して油溜まり部(65)の潤滑油を吸入ポート(38a)へ流出させるので、シリンダ室(46,47)に潤滑油を冷媒と共に吸入させることができる。そのため、シリンダ室(46,47)の気密性を潤滑油によって一層確保することができる。その結果、圧縮効率を一層向上させることができる。
《発明の実施形態2》
本実施形態2の回転式圧縮機(10)は、上記実施形態1の背圧調整機構(60)の構成を変更したものである。
図5に示すように、本実施形態の背圧調整機構(60)は、第1ハウジング(35)のみに形成されている。背圧調整機構(60)は、上記実施形態1と同様、外側背圧空間(S4)と吸入ポート(38a)を連通させる連通路(61)を備えている。この連通路(61)は、一端が外側背圧空間(S4)に直接繋がり、他端は弁室(64)を介して吸入ポート(38a)に繋がっている。弁室(64)においては、上記実施形態1と同様に、外側背圧空間(S4)側から順に、開閉弁(62)およびバネ(63)が配置されている。この背圧調整機構(60)は、上記実施形態1と同様、外側背圧空間(S4)と吸入ポート(38a)の圧力差が所定値未満の場合に連通路(61)が閉状態になり(図5(A)参照)、所定値以上になると連通路(61)が開状態になる(図5(B)参照)。したがって、離反力に対して適切な押し付け力をピストン(40)に作用させることができる。その結果、ピストン(40)の挙動が安定し、圧縮効率が向上する。
また、本実施形態では、油溜まり部(65)が上記実施形態1と同様の位置に形成されるが、連通路(61)の一部としてではなく独立して設けられている。したがって、連通路(61)が開状態になると、油溜まり部(65)へ流入せずに外側背圧空間(S4)における連通路(61)付近に存在する潤滑油が冷媒と共に吸入ポート(38a)へ流出する。これにより、潤滑油がシリンダ室(46,47)へ流入し、シリンダ室(46,47)の気密性が向上する。その他の構成、作用および効果は、実施形態1と同様である。
《その他の実施形態》
上記各実施形態は、以下のような構成としてもよい。
上記各実施形態では、圧縮機構(30)と電動機(20)とが上下方向に延びる駆動軸(25)によって連結された縦置き型のスクロール圧縮機であるが、この限りではなく、例えば、圧縮機構とモータとが横方向に延びる駆動軸によって連結された横置き型のスクロール圧縮機であってもよい。また、下から順に電動機(20)および圧縮機構(30)を配置するようにしてもよい。
また、上記実施形態1において、連通路(61)を油溜まり部(65)の側壁の最下端に接続しているが、油溜まり部(65)の底面に接続するようにしてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、可動部材の背面側に背圧空間が形成された回転式圧縮機として有用である。
実施形態1に係る回転式圧縮機の縦断面図である。 圧縮機構の要部を示す横断面図である。 実施形態1に係る圧縮機構の背圧調整機構を拡大して示す縦断面図であり、(A)は開閉弁が閉じた状態を示し、(B)は開閉弁が開いた状態を示す図である。 圧縮機構の動作を回転角毎に示す横断面図である。 実施形態2に係る圧縮機構の背圧調整機構を拡大して示す縦断面図であり、(A)は開閉弁が閉じた状態を示し、(B)は開閉弁が開いた状態を示す図である。
符号の説明
10 回転式圧縮機
35 第1ハウジング(固定部材)
38 外側シリンダ部(シリンダ部)
39 内側シリンダ部(シリンダ部)
38a 吸入ポート(吸入通路)
40 ピストン(可動部材)
42 ピストン本体部
45 ブレード
46 外側シリンダ室(圧縮室)
47 内側シリンダ室(圧縮室)
46a,47a 高圧室
46b,47b 低圧室
55 シールリング
60 背圧調整機構
61 連通路
62 開閉弁
65 油溜まり部
S2 高圧空間
S3 内側背圧空間(背圧空間)
S4 外側背圧空間(背圧空間)

Claims (4)

  1. 互いに圧接されて流体の圧縮室(46,47)を形成する固定部材(35)および可動部材(40)を備えると共に、該可動部材(40)の背面側に上記圧縮室(46,47)へ吸入される吸入流体の圧力より高い圧力となる背圧空間(S3,S4)が設けられ、上記可動部材(40)が固定部材(35)に対して偏心回転して圧縮室(46,47)で流体を圧縮する回転式圧縮機であって、
    上記背圧空間(S3,S4)と、上記固定部材(35)に形成され、上記圧縮室(46,47)へ吸入流体を導入する吸入通路(38a)とを連通させる連通路(61)を有すると共に、上記背圧空間(S3,S4)と上記吸入通路(38a)の圧力差に応じて上記連通路(61)を開閉する開閉弁(62)を有する背圧調整機構(60)を備えている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記可動部材(40)の背面側には、背圧空間(S3,S4)を内側背圧空間(S3)と外側背圧空間(S4)とに仕切るシールリング(55)が設けられ、
    上記内側背圧空間(S3)は、圧縮室(46,47)の吐出流体が存する高圧空間(S2)から固定部材(35)および可動部材(40)の摺動箇所へ供給された潤滑油が流入する一方、 上記背圧調整機構(60)の連通路(61)は、上記外側背圧空間(S4)と吸入通路(38a)とを連通させ、
    上記背圧調整機構(60)は、背圧空間(S4)と吸入通路(38a)の圧力差が所定値以上になると開閉弁(62)が開き、上記所定値未満になると閉じるように構成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  3. 請求項2において、
    上記外側背圧空間(S4)には、内側背圧空間(S3)から漏れ出た潤滑油の油溜まり部(65)が設けられ、
    上記背圧調整機構(60)の連通路(61)は、上記油溜まり部(65)と吸入通路(38a)とを連通させている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  4. 請求項1または2において、
    上記固定部材(35)および可動部材(40)の一方は、環状のシリンダ室を形成するシリンダ部(38,39)を有し、他方は、環状に形成され、上記シリンダ室を外側の圧縮室(46)と内側の圧縮室(47)とに区画するピストン本体部(42)を有し、
    上記各圧縮室(46,47)を高圧室(46a,47a)と低圧室(46b,47b)とに区画するブレード(45)が上記ピストン本体部(42)をその径方向に貫通している
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
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