JP6245335B2 - リチウムイオン電池用外装材 - Google Patents
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Description
[1]基材層の一方の面に、少なくとも金属箔層、腐食防止処理層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層されたリチウムイオン電池用外装材において、
前記金属箔層の厚さが9〜200μmであり、
前記基材層が複数の二軸延伸フィルムが積層された積層フィルムからなり、
前記二軸延伸フィルムは、0度方向と90度方向に二軸延伸され、
前記積層フィルムにおける隣接する二軸延伸フィルムが下記条件(1)を満たすことを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
(1)一方の二軸延伸フィルムの延伸方向に対する45度方向と135度方向のうち引張強度が大きい方向と、他方の二軸延伸フィルムの延伸方向に対する45度方向と135度方向のうち引張強度が小さい方向が揃うように積層されている。
[2]前記基材層が、二軸延伸ポリエステルフィルムと二軸延伸ポリアミドフィルムが積層された積層フィルムである[1]に記載のリチウムイオン電池用外装材。
[3]前記基材層の最外層が二軸延伸ポリエステルフィルムである[1]又は[2]に記載のリチウムイオン電池用外装材。
[4]前記基材層の厚さが6〜40μmである[1]〜[3]のいずれかに記載のリチウムイオン電池用外装材。
[5]前記金属箔層と基材層の間に成型性を向上させる成型向上層が設けられている[1]〜[4]のいずれかに記載のリチウムイオン電池用外装材。
[6]前記金属箔層が、焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔からなる層である[1]〜[5]のいずれかに記載のリチウムイオン電池用外装材。
[7]前記腐食防止処理層が、平均粒径100nm以下の希土類元素系酸化物のゾルを用いる方法により形成された層である[1]〜[6]のいずれかに記載のリチウムイオン電池用外装材。
[8]前記腐食防止処理層が塗布型クロメート処理により形成された層である[1]〜[6]のいずれかに記載のリチウムイオン電池用外装材。
[9]前記接着樹脂層が無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含有し、前記シーラント層がポリプロピレンフィルムからなる[1]〜[8]のいずれかに記載のリチウムイオン電池用外装材。
[第1実施形態]
本実施形態のリチウムイオン電池用外装材1(以下、「外装材1」という。)は、図1に示すように、基材層11の一方の面に、接着剤層12、金属箔層13、腐食防止処理層14、接着樹脂層15、シーラント層16が順次積層された積層体である。
基材層11は、リチウムイオン電池を製造する際のシール工程における耐熱性を付与し、成型加工や流通の際に起こりうるピンホールの発生を抑制する役割を果たす。特に大型用途のリチウムイオン電池の外装材の場合等は、耐擦傷性、耐薬品性、絶縁性等も付与できる。
基材層11は、第1の二軸延伸フィルム11Aと第2の二軸延伸フィルム11Bが積層された積層フィルムからなる。基材層11として積層フィルムを使用することで、成型性、耐熱性、絶縁性、柔軟性、耐擦傷性、耐薬品性等の特性を有する基材層とすることができる。
第1の二軸延伸フィルム11A及び第2の二軸延伸フィルム11Bの組み合わせとしては、二軸延伸ポリエステルフィルムと二軸延伸ポリアミドフィルムの組み合わせが好ましい。つまり、基材層11は、二軸延伸ポリエステルフィルムと二軸延伸ポリアミドフィルムが積層された積層フィルムが好ましい。二軸延伸ポリアミドフィルムは、成型性、耐ピンホール性、絶縁性、柔軟性、折り曲げ強度等の点で優れている。二軸延伸ポリエステルフィルムは、剛性、耐擦傷性、耐薬品性等の点で優れている。
基材層11としては、成型性、耐熱性、絶縁性、柔軟性、耐電解液性、耐擦傷性が優れた基材層11が得られやすい点から、最外層側から二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルムが積層された積層フィルム、すなわち第1の二軸延伸フィルム11Aが二軸延伸ポリエステルフィルムで、第2の二軸延伸フィルム11Bが二軸延伸ポリアミドフィルムである積層フィルムが特に好ましい。
(1)第1の二軸延伸フィルム11Aの延伸方向に対する45度方向と135度方向のうち引張強度が大きい方向と、第2の二軸延伸フィルム11Bの延伸方向に対する45度方向と135度方向のうち引張強度が小さい方向が揃うように積層される。
本発明における引張強度は、各方向についての破断するまでの引張強度を意味する。引張強度は、JIS K7127に準拠し、Type5の抜き型を用いてサンプルを作製し、引張強度300mm/分の条件で測定される。
滑剤としては、例えば、脂肪酸アミド(オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等。)等が挙げられる。
アンチブロッキング剤としては、シリカ等の各種フィラー系のアンチブロッキング剤が好ましい。
添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ドライラミネート用の接着剤としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等の主剤に、硬化剤として2官能以上の芳香族系又は脂肪族系イソシアネートを作用させる2液硬化型のポリウレタン系接着剤が好ましい。
前記ポリウレタン系接着剤は、塗布後、例えば40℃で4日以上のエージングを行うことで、主剤の水酸基と硬化剤のイソシアネート基の反応が進行して強固な接着が可能となる。主剤が有する水酸基に対する硬化剤が有するイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。
接着剤層12は、基材層11と金属箔層13を接着する層である。
接着剤層12を構成する接着剤としては、基材層11の積層フィルムにおける積層で挙げたドライラミネート用の接着剤が使用でき、好ましい態様も同じである。
接着剤層12の厚さは、接着強度、追随性、加工性等の点から、1〜10μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
金属箔層13としては、アルミニウム、ステンレス綱等の各種金属箔を使用することができ、防湿性、延展性等の加工性、コストの面から、アルミニウム箔が好ましい。
アルミニウム箔としては、例えば、公知の軟質アルミニウム箔が使用でき、耐ピンホール性、及び成型時の延展性の点から、鉄を含むアルミニウム箔が好ましい。アルミニウム箔(100質量%)中の鉄の含有量は、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が下限値以上であれば耐ピンホール性、延展性が向上する。鉄の含有量が上限値以下であれば、柔軟性が向上する。
また、アルミニウム箔としては、成型時の延展性を付与できる点から、焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔がさらに好ましい。
特に好ましい金属箔層13は、厚さ15〜150μmの焼鈍処理した軟質アルミニウム箔である。具体的には、JIS規格で8021材、8079材が好ましい。
脱脂処理としては、大きく区分するとウェットタイプとドライタイプに分けられ、製造工程の簡便化の点から、ドライタイプが好ましい。
ドライタイプの脱脂処理としては、例えば、アルミニウム箔を焼鈍処理する工程において、その処理時間を長くすることで脱脂処理を行う方法が挙げられる。アルミニウム箔を軟質化するために施される焼鈍処理の際に、同時に行われる脱脂処理程度でも充分な耐電解液性が得られる。また、該脱脂処理の他にも、フレーム処理、コロナ処理等が挙げられる。さらに、特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解及び除去する脱脂処理を採用してもよい。
腐食防止処理層14は、金属箔層13と接着樹脂層15を強固に密着させると共に、金属箔層13を、電解液や、電解液から発生するフッ酸から保護する役割を果たす。
腐食防止処理層14は、例えば、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれら処理の組み合わせにより形成できる。
熱水変成処理としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中にアルミニウム箔を浸漬処理することで得られるベーマイト処理が挙げられる。陽極酸化処理としては、例えば、アルマイト処理が挙げられる。化成処理としては、例えば、クロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらの混合層からなる各種化成処理が挙げられる。また、これらの化成処理は湿式型に限らず、これらの処理剤を樹脂成分と混合した塗布型タイプも適用できる。
以上、これらの腐食防止処理の中でも、その硬化を最大限にするとともに廃液処理の観点からも塗布型クロメート処理が好ましい。
接着樹脂層15は、シーラント層16と、腐食防止処理層14が形成された金属箔層13とを接着する層である。
接着樹脂層15を構成する樹脂は製法によって大きく異なる。シーラント層16と、腐食防止処理層14が形成された金属箔層13とをドライラミネートによって接着する場合は、接着剤層12に使用するものと同じ接着剤組成を用いることが可能である。この場合、電解液による膨潤やフッ酸による加水分解を抑制するため、使用する接着剤としては、加水分解しにくい骨格の主剤を使用する、架橋密度を向上させる、などの組成設計を行う必要がある。
前記主剤に対する硬化剤としては、ポリエステルポリオールの鎖伸長剤としても使用できるイソシアネート化合物を用いることが可能である。これにより、接着剤塗膜の架橋密度が高まり、溶解性や膨潤性の向上につながるとともに、ウレタン基濃度が高まることで基材密着性の向上も期待される。
接着樹脂層15を構成する樹脂としては、電解液が浸透してきてもシーラント層16と金属箔層13の密着力を維持しやすい点から、ポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸でグラフト変性させた、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましく、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
接着樹脂層15に配合するエラストマーとしては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーが挙げられる。配合するエラストマーの平均粒径は、接着樹脂との相溶性が向上し、また接着樹脂層15の異方性を緩和する効果が向上する点から、200nm以下が好ましい。なお、前記平均粒径は、電子顕微鏡により、エラストマー組成物の断面を拡大した写真を撮影し、画像解析により、分散した架橋ゴム成分の平均粒径を測定することで測定される。
これらエラストマーは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
接着樹脂層15の厚さは、1〜40μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
シーラント層16は、外装材1の内層であり、電池組み立て時に熱溶着される層である。つまり、シーラント層16は、熱溶着性のフィルムからなる層である。
シーラント層16を構成するフィルムの成分としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸等でグラフト変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。なかでも、水蒸気バリア性に優れる点、ヒートシールによって過度に潰れることなく電池形態を形成しやすい点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。ポリプロピレンとしては、接着樹脂層15において例示したポリプロピレンが挙げられる。
シーラント層16は、前記した各種樹脂が混合されたフィルムにより形成してもよい。
シーラント層16は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。
シーラント層16が積層フィルムである場合は、そのいずれかの層のみにエラストマーを配合してもよく、全ての層に配合してもよい。例えば、シーラント層16がランダムポリプロピレン/ブロックポリプロピレン/ランダムポリプロピレンの3層構成の場合、エラストマーは、ブロックポリプロピレンの層のみに配合してもよく、ランダムポリプロピレンの層のみに配合してもよく、ランダムポリプロピレンの層とブロックポリプロピレンの層の両方に配合してもよい。
以下、外装材1の製造方法について説明する。ただし、外装材1の製造方法は以下に記載する方法には限定されない。
外装材1の製造方法としては、例えば、下記工程(I−1)〜(IV−1)を有する方法が挙げられる。
(I−1)金属箔層13上に、腐食防止処理層14を形成する工程。
(II−1)第1の二軸延伸フィルム11Aと第2の二軸延伸フィルム11Bを積層して積層フィルムからなる基材層11を形成する工程。
(III−1)金属箔層13における腐食防止処理層14を形成した側と反対側に、接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる工程。
(IV−1)金属箔層13の腐食防止処理層14側に、接着樹脂層15を介してシーラント層16を貼り合わせる工程。
金属箔層13の一方の面に、腐食防止処理剤を塗布し、乾燥、硬化、焼付けを行って腐食防止処理層14を形成する。腐食防止処理剤としては、例えば、塗布型クロメート処理用の腐食防止処理剤等が挙げられる。
腐食防止処理剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、ダイコート、バーコート、キスコート、コンマコート等が挙げられる。
なお、金属箔層13には、未処理の金属箔を使用してもよく、ウェットタイプ又はドライタイプにて脱脂処理を施した金属箔を使用してもよい。
第1の二軸延伸フィルム11Aと第2の二軸延伸フィルムを、ドライラミネート用の接着剤を使用して貼り合わせ、積層フィルムからなる基材層11を形成する。
二軸延伸フィルムを貼り合わせる方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーション等の手法が挙げられる。
工程(II−1)では、接着性の促進のため、室温〜100℃の範囲でエージング(養生)処理を行ってもよい。
金属箔層13における腐食防止処理層14を形成した側と反対側に、接着剤層12を形成する接着剤を用いて基材層11を貼り合わせる。
貼り合わせる方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーション等の手法が挙げられる。
工程(III−1)では、接着性の促進のため、室温〜100℃の範囲でエージング(養生)処理を行ってもよい。
基材層11、接着剤層12、金属箔層13及び腐食防止処理層14がこの順に積層された積層体の腐食防止処理層14側に、接着樹脂層15を形成する接着樹脂を介してシーラント層16を貼り合わせる。シーラント層16を積層する方法としては、ドライプロセスとウェットプロセスが挙げられる。
ドライプロセスの場合は、前記積層体の腐食防止処理層14上に接着樹脂を押出ラミネートし、さらにインフレーション法又はキャスト法により得られるシーラント層16を形成するフィルムを積層する。その後、腐食防止処理層14と接着樹脂層15との密着性を向上させる目的で、熱処理(エージング処理、熱ラミネーション等。)を施してもよい。
また、インフレーション法又はキャスト法にて、接着樹脂層15とシーラント層16が積層された多層フィルムを作成し、該多層フィルムを前記積層体上に熱ラミネーションにより積層することで、接着樹脂層15を介してシーラント層16を積層してもよい。
なお、外装材1の製造方法は、前記工程(I−1)〜(IV−1)を順次実施する方法には限定されない。例えば、工程(II−1)を行ってから工程(I−1)を行ってもよい。
また、工程(II−1)と工程(III−1)を同時に行ってもよい。また、工程(IV−1)を行った後に工程(III−1)を行ってもよい。また、腐食防止処理層14の形成を、シーラント層16を積層する押出ラミネーションの際にインラインで行ってもよい。また、金属箔層の両面に腐食防止処理層を設けてもよい。
次に、本発明のリチウムイオン電池用外装材の他の例であるリチウムイオン電池用外装材2(以下、「外装材2」という。)について説明する。外装材2において外装材1と同じ部分は同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態の外装材2は、図2に示すように、基材層11の一方の面に、接着剤層12、成型向上層17、金属箔層13、腐食防止処理層14、接着樹脂層15、シーラント層16が順次積層された積層体である。
成型向上層17は、基材層11と金属箔層13の密着性を向上させ、外装材2の成型性を向上させる役割を果たす層である。成型向上層17としては、下記樹脂(A)及びカップリング剤(B)の少なくとも一方を含有する層が挙げられる。
樹脂(A):ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリル系樹脂及びアイオノマー樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂。
カップリング剤(B):シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコネート系カップリング剤からなる群から選ばれる1種以上のカップリング剤。
前記樹脂(A)は、その変性物を使用してもよい。また、成型向上層17は、樹脂(A)とカップリング剤(B)のいずれか一方を含有する層であってもよく、樹脂(A)とカップリング剤(B)の両方を含有する層であってもよい。
ポリエーテル系樹脂としては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
ポリウレタン系樹脂としては、ポリ−n−ブチルイソシアネート、ポリ−n−ヘキシルイソシアネート、2−6−ポリウレタン等が挙げられる。
ポリビニル系樹脂としては、エチレン・酢酸ビニル共重合、ポリ塩化ビニル、スチレンビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン等が挙げられる。
ポリアクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、ポリカルボン酸等が挙げられる。
フェノール系樹脂としては、ランダムノボラック型、ハイオルソノボラック型、アルカリレゾール型、アンモニアレゾール型、ベンジルエーテルレゾール型等の樹脂が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等が挙げられる。
メラミン系樹脂としては、グアナミン、アニリン等が挙げられる。
エポキシ系樹脂としては、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、環状脂肪族型等の樹脂が挙げられる。
不飽和ポリエステル系樹脂としては、オルソフタル酸系、イソフタル酸系、テレフタル酸系、ジシクロ系、脂肪式飽和酸系、ビスフェノール系等の樹脂が挙げられる。
シリコーン系樹脂としては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等が挙げられる。
ポリスルフォン系樹脂としては、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリアリルスルフォン、アリルポリフェニルスルフォン等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂としては、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート等が挙げられる。
ポリアリル系樹脂としては、ポリアリルアミン、ポリアリルアミド、ポリアリルエーテル、ポリアリルエーテルケトン等が挙げられる。
アイオノマー樹脂としては、エチレン系、スチレン系、エラストマー系の樹脂やエチレンカルボン酸共重合体をNa、K、Li、Zn等のイオン源で重合したもの等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤としては、トリメトキシジルコネート、テトラメトキシジルコネート、テトラプロポキシジルコネート、クロロトリエトキシジルコネート、エチルトリメトキシジルコネート、フェニルトリメトキシジルコネート等が挙げられる。
また、成型向上層17は、基材層11と金属箔層13との間で緩衝層としても機能する。つまり、成型向上層17により、成型時に加わる応力を緩和し、成型時に金属箔層13が破断することを抑制できるため、優れた成型性が得られる。特に、成型向上層17を樹脂(A)で形成した場合、成型時の緩衝層としての効果がより良好に発揮される。
また、カップリング剤(B)及び比較的硬い樹脂(ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂等。)の場合、成型性の向上に影響を与えるのは成型向上層17による基材層11と金属箔層13の密着性の向上であると考えられる。この場合、成型向上層17の厚さは、20nm〜500nmがより好ましく、20nm〜100nmがより好ましい。成型向上層17の厚さが20nm以上であれば、皮膜ヌケ、ムラ等の発生を抑制しやすく、成型向上層17による効果を充分に発揮させやすくなる。成型向上層17の厚さが500nm以下であれば、成型向上層17が硬くなりすぎることを抑制しやすく、優れた成型性が得られやすい。
成型向上層17に弾性に富む成分(ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等。)を使用し、応力を緩和する機能を付与する場合、成型向上層17の厚さは、500nm〜50μmがより好ましい。成型向上層17の厚さが500nm以上であれば、成型向上層17による効果を充分に発揮させやすくなる。また、成型向上層12の厚さが50μmを超えても応力を緩和する効果はあまり変化しないので、コスト面で不利である。
外装材2は、成型向上層17によって成型性がより優れる点で外装材1よりも好ましい。
以下、外装材2の製造方法について説明する。ただし、外装材2の製造方法は以下の方法には限定されない。
外装材2の製造方法としては、例えば、下記工程(I−2)〜(IV−2)を有する方法が挙げられる。
(I−2)金属箔層13上に、腐食防止処理層14を形成する工程。
(II−2)第1の二軸延伸フィルム11Aと第2の二軸延伸フィルム11Bを積層して積層フィルムからなる基材層11を形成する工程。
(III−2)金属箔層13における腐食防止処理層14を形成した側と反対側に、成型向上層17を形成し、接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる工程。
(IV−2)金属箔層13の腐食防止処理層14側に、接着樹脂層15を介してシーラント層16を貼り合わせる工程。
工程(I−2)は、前記外装材1の製造方法における工程(I−1)と同様に行える。
工程(II−2)は、前記外装材1の製造方法における工程(II−1)と同様に行える。
例えば、樹脂(A)及びカップリング剤(B)を水、溶剤等の溶媒で適宜希釈し、その希釈液を塗工、ディッピング、スプレー法等の公知の方法によって金属箔層13における腐食防止処理層14の反対側に塗布し、適宜乾燥することで成型向上層17を形成する。
塗工方式としては、前記工程(I−1)で挙げた公知の塗工方式を採用できる。
また、樹脂(A)を使用する場合、樹脂(A)の融点より高い温度にて溶融させ、押出し等の方法で成型向上層17を形成してもよい。
工程(IV−2)は、前記外装材1の製造方法における工程(IV−1)と同様に行える。
なお、外装材2の製造方法は、前記工程(I−2)〜(IV−2)を順次実施する方法には限定されない。例えば、工程(II−2)を行ってから工程(I−2)を行ってもよい。
また、工程(II−2)と工程(III−2)を同時に行ってもよい。また、工程(IV−2)を行った後に工程(III−2)を行ってもよい。また、腐食防止処理層14の形成を、シーラント層16を積層する押出ラミネーションの際にインラインで行ってもよい。また、金属箔層の両面に腐食防止処理層を設けてもよい。
例えば、基材層を形成する積層フィルムは、2枚の二軸延伸フィルムが積層された積層フィルムには限定されず、3枚以上の二軸延伸フィルムが積層された積層フィルムであってもよい。この場合、隣接する二軸延伸フィルムがそれぞれ前記条件(1)を満たすように積層されていればよい。
また、外装材2は、成型向上層17と接着剤層12を別々に設けた形態であるが、接着剤層12を設けずに、成型向上層17が接着剤層を兼ねるようにしてもよい。例えば、成型向上層17を形成する樹脂(A)及びカップリング剤(B)の少なくとも一方と、ドライラミネート用の接着剤を含有する混合物を使用して、接着剤層を兼ねる成型向上層を形成してもよい。また、樹脂(A)のなかでも熱融着可能な樹脂を使用して、接着剤層を兼ねる成型向上層を形成してもよい。
また、外装材2では、成型向上層17と接着剤層12の積層構成は、基材層11側から成型向上層17/接着剤層12という順序であるが、接着剤層12/成型向上層17という積層順序であってもよく、成型向上層17/接着剤層12/成型向上層17という積層順序であってもよい。
なお、本発明のリチウムイオン電池用外装材を使用したリチウムイオン電池は、前記方法で製造したものには限定されない。
[引張強度の測定]
本実施例におけるフィルムの引張強度は、JIS K7127に準拠し、Type5の抜き型を用いてサンプルを作製し、引張強度300mm/分の条件で測定した。
本実施例に使用した材料を以下に示す。
(基材層11)
フィルムA−1:二軸延伸ポリアミドフィルム(厚さ25μm)。
フィルムA−2:二軸延伸PETフィルム(厚さ12μm)。
フィルムA−1とフィルムA−2における延伸方向に対する0度、45度、90度、135度の4方向の破断するまでの引張強度を測定した結果を表1に示す。
接着剤B−1:ポリウレタン系接着剤。
金属箔C−1:焼鈍処理した軟質アルミニウム箔8079材(厚さ40μm)。
処理剤D−1:3価クロム、リン酸、アクリル系樹脂を主体とした塗布型クロメート処理用の処理剤。
接着樹脂E−1:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。
フィルムF−1:ポリプロピレンフィルム(厚さ40μm)。
金属箔C−1の一方の面に、処理剤D−1をマイクログラビアコートにより塗工し、乾燥ユニットにて150〜250℃で焼き付け処理を施して腐食防止処理層14を形成した。処理剤D−1の塗布量はクロム換算で15mg/m2とした。
次いで、フィルムA−1とフィルムA−2を、表2に示す条件(1)を満たすように、ドライラミネート工法により接着剤B−1を用いて積層して積層フィルムとした。その後、金属箔層13における腐食防止処理層14と反対側の面に、前記積層フィルムをドライラミネート工法により接着剤B−1を用いて積層することで、接着剤層12(厚さ4μm)を介して基材層11を積層した。次いで、得られた積層体を押出ラミネート機の巻出し部に設置し、フィルムF−1をサンド基材部に設置し、接着樹脂E−1を押出し温度250℃で押出して20μmの厚さでサンドラミネートすることで、前記積層体の腐食防止処理層14上に接着樹脂層15を介してシーラント層16を積層した。その後、熱圧着(熱処理)を施して、図1に例示した積層構成の外装材を得た。
フィルムA−1とフィルムA−2の積層を表2に示す条件(2)を満たすように行った以外は、実施例1と同様にして外装材を得た。
得られた外装材に対して以下の評価を行った。
(成型性評価)
得られた外装材に対し、絞り部分が80mm×100mmの冷間成型が可能な成型装置を使用し、絞り深さ6mmで冷間成型を行った。その後、冷間成型を行った部分の破断やピンホールを確認した。成型性の評価は以下の基準に従って行った。
○:破断やピンホールが無かった。
×:破断もしくはピンホールが発生した。
各例の評価結果を表2に示す。
以上の結果は、比較例1の基材層11を形成する積層フィルムに比べて、実施例1における基材層11を形成する積層フィルムにおける異方性が緩和されて小さくなったためであると考えられる。
11 基材層
11A 第1の二軸延伸フィルム
11B 第2の二軸延伸フィルム
12 接着剤層
13 金属箔層
14 腐食防止処理層
15 接着樹脂層
16 シーラント層
17 成型向上層
Claims (9)
- 基材層の一方の面に、少なくとも金属箔層、腐食防止処理層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層されたリチウムイオン電池用外装材において、
前記金属箔層の厚さが9〜200μmであり、
前記基材層が複数の二軸延伸フィルムが積層された積層フィルムからなり、
前記二軸延伸フィルムは、0度方向と90度方向に二軸延伸され、
前記積層フィルムにおける隣接する二軸延伸フィルムが下記条件(1)を満たすことを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
(1)一方の二軸延伸フィルムの延伸方向に対する45度方向と135度方向のうち引張強度が大きい方向と、他方の二軸延伸フィルムの延伸方向に対する45度方向と135度方向のうち引張強度が小さい方向が揃うように積層されている。 - 前記基材層が、二軸延伸ポリエステルフィルムと二軸延伸ポリアミドフィルムが積層された積層フィルムである請求項1に記載のリチウムイオン電池用外装材。
- 前記基材層の最外層が二軸延伸ポリエステルフィルムである請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用外装材。
- 前記基材層の厚さが6〜40μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
- 前記金属箔層と基材層の間に成型性を向上させる成型向上層が設けられている請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
- 前記金属箔層が、焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔からなる層である請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
- 前記腐食防止処理層が、平均粒径100nm以下の希土類元素系酸化物のゾルを用いる方法により形成された層である請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
- 前記腐食防止処理層が塗布型クロメート処理により形成された層である請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
- 前記接着樹脂層が無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含有し、前記シーラント層がポリプロピレンフィルムからなる請求項1〜8のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
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