JP6244698B2 - レーザ印字カード - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、カードにレーザ印字を行う際に、印刷に使用するインキ層をカード表面に設け、当該インキ層とレーザ印字条件を組み合せることで、印字の発色状態を変えることを意図するものである。
特許文献1は、支持層とレーザビーム照射により発色する発色層を少なくとも一の面に有するカード用シートについて記載している。発色前の発色層は可視光透過性を有し、ポリエステル系樹脂からなることを要件としている。発色剤については、光熱変換による発熱によって有色金属酸化物を形成する各種金属を挙げているが、特に限定してはいない。
特許文献2は、ポリカーボネート系樹脂、もしくはポリカーボネート系樹脂と実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂とのポリマーアロイを主成分とする発色層樹脂と接着層からなるカード用シートについて記載している。
通常は、レーザ発色基材を用いて印字を行うと黒発色となるが、印刷時にAl(アルミニューム)やTiO2(酸化チタン)などの金属を含有するインク(シルクスクリーン印刷用の銀や白)で印刷を行い、レーザ印字条件やインキ層の金属含有量の調整によりレーザ発色層の発色度合いを変更し、グレイ文字や白色文字等の印字も可能とする。
本発明の適用されるカードは、代表的には接触型ICカード1であって、ISOで規定する所定位置に接触端子板11を有し、接触端子板11の下面には図示しないICチップが実装されている。接触型ICカード1の表面には、カード番号12や有効期限13、利用者氏名14等が印字されている。従来、このような印字は、カードの表裏から活字輪を押圧することで形成するエンボス文字が使用されてきたが、本発明では、このエンボスに代えて基材の発色層をレーザビーム印字する特徴がある。
従って、カード用基材には、表裏面(または少なくとも表面)にレーザ印字適性を有するものが使用される。単層基材の表裏に印刷後、裁断しICモジュールを装着し、レーザ印字してカードを完成する。従来のように、表裏のコアシートに印刷してからオーバーシートを積層して貼合し、プレスラミネートする工程を経ないで製造できる特徴がある。
図6は、本発明で使用するカード用基材の断面図である。カード用基材100は、白色の支持層101と該支持層の少なくとも一の面に、レーザビーム照射により黒色に発色する発色層102を有している特徴がある。図6では、支持層101の両面に発色層102を有する材料が図示されているが、裏面に印字を設けない場合は表面印字側にのみ発色層を有するものでも良い。
カード用基材100は、限定されるものではないが、本発明では、表裏の発色層102には、ポリカーボネート樹脂と非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(PET−G樹脂)のポリマーアロイ樹脂を、支持層101にはポリカーボネート樹脂を使用し、この3層を共押し出しした材料が使用されている。成型されてシートとなった複数枚のシートをラミネートして使用しないで、1回の押し出し成型によるシートであるから、層構成としては3層であっても単層基材と言っている。
発色層102中には、発色剤が分散されているが、発色層を形成する樹脂の屈折率と、混合する発色剤の屈折率との差は小さいことが好ましく、屈折率の差が小さくなるようにすることにより、発色層102の可視光透過性を高めることができる。
図2は、第1の実施形態によるカードの模式断面図である。図中に示す孔B1は、レーザビームによる印字状態を説明するものである。ただし、実際には数μmの深さであり、微細な文字幅であっても視覚で孔と認識されるものではない。以降の各例も同様である。
第1の実施形態のカードは、白色の支持層101と該支持層の少なくとも一の面に、レーザビーム照射により黒色に発色する発色層102を有するカード用基材100の該レーザ発色層102上に、透明なオフセットアンカー層103を形成してから、オフセット印刷による絵柄印刷104とオフセット印刷による透明オーバープリント印刷105を設けた構成になっている。
そしてその透明オーバープリント印刷105面上からレーザビーム照射を行って、ビームにより、オーバープリント印刷105と絵柄印刷104とアンカー層103を除去し、レーザ発色層102面に白色乃至黒色の文字印字を行ったことを特徴としている。オフセット印刷による絵柄印刷104と透明オーバープリント印刷105は、きわめて薄い層であるため、レーザビームにより焼散するかガス化して消失し易いからである。
請求項1において「レーザビーム照射により黒色に発色するレーザ発色層」とは、発色層102を完全に発色させた場合のことで、未照射の場合は透明状態である。
もっとも、オフセットアンカー層103も除去し、孔B1のように、ビームが発色層102までに達し、発色層102を僅かでも発色させれば薄い灰色になる。
発色層の濃淡は、照射するレーザビームの出力と照射密度dpi(インチ当たりのドット数)で変化するが、通常、出力(レーザパワー)は一定に維持し、主としてdpiで調整することになる。ドット数が多くなるに従い、黒化濃度が高くなるからである。
レーザ発色層102は厚みが50〜100μm(本例では65μm)はあるからレーザビーム照射して黒化しても焼失してしまうことはない。
オフセット印刷による絵柄印刷104と透明オーバープリント印刷105も同様なUV硬化型インキが使用される。絵柄印刷104は、各種の絵柄に対応するため各種の色彩が採用される。透明オーバープリント印刷を含め、厚みは、0.1〜3μm程度となる。
第2の実施形態のカードは、白色の支持層101と該支持層の少なくとも一の面に、レーザビーム照射により黒色に発色する発色層102を有するカード用基材100の該発色層上に、シルクスクリーン印刷による銀色印刷層106と白色印刷層107を形成してから、オフセット印刷による絵柄印刷104とオフセット印刷による透明オーバープリント印刷105を設けた構成になっている。
カード用基材100の構成は、第1実施形態と同様であり、レーザ発色層102上に、シルクスクリーン印刷による銀色印刷層106と白色印刷層107を形成しているところが第1実施形態と相違している。
そしてその透明オーバープリント印刷105面上からレーザビーム照射を行って、ビームにより透明オーバープリント印刷105と絵柄印刷104を除去する。さらに、レーザ照射を行い、ビームが孔B2のように、シルクスクリーン印刷による白色印刷層107にまで達するようにすれば、印字は白色を呈し、孔B3のように、より深く銀色印刷層106まで達するようにすれば、印字は銀色を呈するようになる。
シルクスクリーン印刷による印刷層は、比較的に厚肉(2〜3μm)でありアルミニューム箔粉または酸化チタン(TiO2)が入るため、銀色印刷層106と白色印刷層107は残存し易いからである。
孔B4のように、銀色印刷層106と白色印刷層107の両層を消失させる程度にレーザビームを照射すれば、発色層102が露出し、当該発色層102をビームが照射することになる。この段階では前記のように照射量に応じて、発色層102は、白色乃至黒色の文字印字を呈することになる。
第3の実施形態のカードは、白色の支持層101と該支持層の少なくとも一の面に、レーザビーム照射により黒色に発色する発色層102を有するカード用基材100の該発色層上に、透明なオフセットアンカー層103を形成してから、オフセット印刷による灰色印刷層108と絵柄印刷104と透明オーバープリント印刷105を設けた構成になっている。オフセット印刷による灰色印刷層108は、白色インキと黒色インキの混色によるインキであり、白色の酸化チタン(TiO2)が入るため、オフセット印刷であってもレーザビームによる消失はし難くなっている。
第4の実施形態のカードは、白色の支持層101と該支持層の少なくとも一の面に、レーザビーム照射により黒色に発色する発色層102を有するカード用基材100の該発色層上に、シルクスクリーン印刷による銀色印刷層106を形成してから、オフセット印刷による絵柄印刷104と透明オーバープリント印刷105を設けた構成になっている。
カードへのレーザ印字は、カード発行機を用いて行う。カード発行機には各種モジュールの一つとして、レーザ印字機が備えられている機種を使用する。
レーザビームにはファイバーレーザ(発振波長1.06μm)が使用される。
パルスエナジーは、10mJであり、レーザビームで刻印される黒点1つあたりのサイズは20〜90μmの径である。
レーザ発色層102の黒化濃度は、レーザビームの出力と照射密度dpi(インチ当たりのドット数)で変化させ得るが、通常は出力を一定にして照射密度dpiで調整する。すなわち、dpiが小さければ白色に近い灰色になり、dpiの増加に伴い濃度を増して黒化する。従って、諧調印刷も可能になる。
総厚が800μであって、中心の支持層101が厚み670μmの白色ポリカーボネート樹脂からなり、その両面に厚み65μmのPET−G樹脂からなりモリブデン化合物による黒色発色剤を含む透明なレーザ発色層102を全面に有する3層共押出ししたカード用基材(三菱樹脂株式会社製造)100を使用して、接触型ICカードを製造した。
まず、カード用基材100の表面側の発色層102面上に、アクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット用アンカーインキを印刷して透明なオフセットアンカー層103を形成し、続いて、いずれもアクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット印刷による絵柄印刷104と全面の透明オーバープリント印刷105を行った。それぞれのインキ膜厚は、何れも1μm未満のものである(図2参照)。
なお、カード用基材100の裏面側発色層102に対しては、通常のオフセット印刷のみを行い、レーザ印字は行っていない。以降の各実施例も同様であり、記載を省略する。
まず、1行目のカードナンバー印字を透明オーバープリント印刷105面上から、レーザパワー24Wの300dpiでレーザビーム照射すると、オフセット印刷によるアンカー層103、絵柄印刷104と透明オーバープリント印刷105が消失し、発色層102がグレイに印字された文字列が得られた。次に、2行目の有効期限と3行目の利用者名を同様に、透明オーバープリント印刷面上から同一出力の500dpiでレーザビーム照射すると、カード用基材100の発色層102面に濃いグレイの文字列を有するレーザ印字カード1が得られた。
実施例1と同一のカード用基材100を使用して、接触型ICカードを製造した。
まず、カード用基材100の表面側の発色層102面上に、シルクスクリーン印刷インキ(アクリル系紫外線硬化型インキ)による銀色印刷層106と白色印刷層(アクリル系紫外線硬化型インキ)107を形成した。なお、銀色インキは鱗片状のアルミニューム箔粉を含み、白色インキは酸化チタン顔料を含むものである。また、インキ層の膜厚は、2〜3μmの範囲である。
その白色印刷層107の上からアクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット印刷による絵柄印刷104と全面の透明オーバープリント印刷105を行った。インキ膜厚は、いずれも1μm未満のものである(図3参照)。
まず、1行目のカードナンバー印字を透明オーバープリント印刷面上から、出力24Wの300dpiでレーザビームを照射すると、オフセット印刷による透明オーバープリント印刷105と絵柄印刷104、前記白色印刷層107、銀色印刷層106が消失し、カード用基材100の発色層102が露出し、さらに発色層102が発色に至らないため、白色であるカード用基材100で形成された白色の文字列が得られた。次に2行目の有効期限と3行目の利用者名を同様に、透明オーバープリント印刷面上から同一出力の500dpiでレーザビームを照射するとカード用基材100の発色層102面にグレイの文字列を有するレーザ印字カード1が得られた。
実施例1と同一のカード用基材100を使用して、接触型ICカードを製造した。
まず、カード用基材100の表面側のレーザ発色層102面上に、アクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット用アンカーインキを印刷して透明なオフセットアンカー層を103形成した。続いて、いずれもアクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット印刷による灰色印刷層108と絵柄印刷104と、全面の透明オーバープリント印刷105を行った。それぞれのインキ膜厚は、何れも1μm未満のものである(図4参照)。
まず、1行目のカードナンバー印字を透明オーバープリント印刷面上から、出力24Wの400dpiでレーザビームを照射すると、オフセット印刷による透明オーバープリント印刷105と絵柄印刷104が消失し、前記オフセット灰色印刷層108による灰色印刷が見え、灰色印字された文字列が得られた。さらに、2行目の有効期限と3行目の利用者名を同様に、透明オーバープリント印刷面上から同一出力(24W)の500dpiでレーザビームを照射するとカード用基材100の発色層102面に発色によるグレイの文字列を有するレーザ印字カード1が得られた。
実施例1と同一のカード用基材100を使用して、接触型ICカードを製造した。
まず、カード用基材100の表面側の発色層102面上に、シルクスクリーン印刷インキ(アクリル系紫外線硬化型インキ)による銀色印刷層106を形成した。なお、銀色インキは鱗片状のアルミニューム箔粉を含むものである。また、インキ層の膜厚は、2〜3μmの範囲である。
その銀色印刷層106の上からアクリル系紫外線硬化型インキからなるオフセット印刷による絵柄印刷104と全面の透明オーバープリント印刷105を行った。インキ膜厚は、いずれも1μm未満のものである(図5参照)。
まず、1行目のカードナンバー印字を透明オーバープリント印刷面上から、出力24Wの300dpiでレーザビームを照射すると、オフセット印刷による透明オーバープリント印刷105と絵柄印刷104、前記銀色印刷層106が消失し、カード用基材100の発色層102が露出し、さらに発色層102が発色に至らないため、白色であるカード用基材100で形成された白色の文字列が得られた。2行目の有効期限と3行目の利用者名を透明オーバープリント印刷面上から同一出力の500dpiでレーザビームを照射するとカード用基材100の発色層102面に濃いグレイの文字列を有するレーザ印字カード1が得られた。
11 接触端子板
12 カード番号
13 有効期限
14 利用者氏名
100 カード用基材
101 支持層
102 発色層
103 オフセットアンカー層
104 オフセット印刷による絵柄印刷
105 オフセット印刷による透明オーバープリント印刷
106 シルクスクリーン印刷による銀色印刷層
107 シルクスクリーン印刷による白色印刷層
108 オフセット印刷による灰色印刷層
Claims (6)
- 白色の支持層と該支持層の少なくとも一の外面に、レーザビーム照射により黒色に発色するレーザ発色層を有するカード用基材の該レーザ発色層上に、透明なオフセットアンカー層を形成してから、オフセット印刷による絵柄印刷と透明オーバープリント印刷を設け、該透明オーバープリント印刷面上からレーザビーム照射を行って、オフセット印刷による絵柄印刷と透明オーバープリント印刷を除去して、前記支持層による白色の文字が覗き見えるようにするか、前記レーザ発色層面に灰色乃至黒色の文字印字を行ったことを特徴とするレーザ印字カード。
- 白色の支持層と該支持層の少なくとも一の外面に、レーザビーム照射により黒色に発色するレーザ発色層を有するカード用基材の該レーザ発色層上に、シルクスクリーン印刷による銀色印刷層と白色印刷層を形成してから、オフセット印刷による絵柄印刷と透明オーバープリント印刷を設け、該透明オーバープリント印刷面上からレーザビーム照射を行って、オフセット印刷による絵柄印刷と透明オーバープリント印刷を除去して、前記白色印刷層面に白色の文字を呈せしめるか、より深く銀色印刷層までに達するようにして、前記銀色印刷層面に銀色の文字を呈せしめるか、さらに白色印刷層と銀色印刷層をも消失させて、前記レーザ発色層面に灰色乃至黒色の文字印字を行ったことを特徴とするレーザ印字カード。
- 白色の支持層と該支持層の少なくとも一の面に、レーザビーム照射により黒色に発色するレーザ発色層を有するカード用基材の該レーザ発色層上に、透明なオフセットアンカー層を形成してから、オフセット印刷による灰色印刷層と絵柄印刷と透明オーバープリント印刷を設け、該透明オーバープリント印刷面上からレーザビーム照射を行って、オフセット印刷による絵柄印刷と透明オーバープリント印刷を除去して、前記灰色印刷層面に灰色の文字を呈せしめるか、さらに灰色印刷層を消失させて、前記支持層による白色の文字が覗き見えるようにするか、前記レーザ発色層面に灰色乃至黒色の文字印字を行ったことを特徴とするレーザ印字カード。
- 白色の支持層と該支持層の少なくとも一の面に、レーザビーム照射により黒色に発色するレーザ発色層を有するカード用基材の該レーザ発色層上に、シルクスクリーン印刷による銀色印刷層を形成してから、オフセット印刷による絵柄印刷と透明オーバープリント印刷を設け、該透明オーバープリント印刷面上からレーザビーム照射を行って、オフセット印刷による絵柄印刷と透明オーバープリント印刷を除去して、前記銀色印刷層に銀色の文字を呈せしめるか、さらに銀色印刷層を消失させて、前記支持層による白色の文字が覗き見えるようにするか、前記レーザ発色層面に灰色乃至黒色の文字印字を行ったことを特徴とするレーザ印字カード。
- カード用基材のレーザ発色層の黒化濃度がレーザビームの照射密度により調整されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1の請求項記載のレーザ印字カード。
- カード用基材の支持層がポリカーボネート樹脂からなり、レーザ発色層がポリカーボネートとPET−G樹脂のポリマーアロイ樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1の請求項記載のレーザ印字カード。
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