JP7354609B2 - レーザ印字カードおよびレーザ印字カードの製造方法 - Google Patents

レーザ印字カードおよびレーザ印字カードの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、クレジットカードやIDカードに対してレーザ光の照射により文字やパターンを形成する技術に関する。
クレジットカードやIDカード等のカード分野では、あらかじめ共通のデザインが印刷されたカードの券面に、カードユーザーの会員番号、氏名等の個別情報をレーザ光の照射によって印字する、いわゆるレーザマーキングの技術が知られている。レーザマーキングの方法として、例えばカード基材の中に微量添加された金属系粒子がレーザ光の照射時のエネルギーを吸収することによって高温となり、周囲の樹脂基材を加熱、炭化させて黒色や褐色に変色させてこれを文字等として視認させる方法がある。また、あらかじめ基材の表面に有彩色等の印刷をしておき、レーザ照射による発熱により当該印刷部分の一部を蒸発、飛散等させて除去し、異なる色を有する下地の基材を露出させることでこれを文字等として視認させる方法が考えられる。
いずれの方法であっても、カード基材にレーザ光が照射がされることにより、カード基材のレーザ照射部分には微細な凹部が形成されるため、印字部分を後から消去したとしても微細な凹部を完全になくすことはできず、改ざんが困難であり、セキュリティ性に優れている。特に、クレジットカードにおいては、カード番号や氏名等の個別情報をカードの厚み方向に沿った凹凸形状となるように加工することによって当該個別情報を立体的に表示させるエンボス加工方式と比べ、カードの品質向上や加工時の作業負荷の低減が図れることから、レーザ印字方式への移行が進みつつある。
特許文献1には、ポリカーボネート基材において、コントラストよく黒色に発色させることが可能なポリカーボネート樹脂組成物が記載されている。また、特許文献2には、白色の支持層の上にレーザ照射によって黒色に発色する透明の発色層と、さらにその上に絵柄印刷層とを設け、レーザ照射の強度を調整することにより、絵柄印刷層を除去して下地の白色またはレーザ照射により発色した黒色を文字等として視認することができるレーザ印字カードが記載されている。
特開2015-83621号公報 特開2015-13436号公報
ところで、クレジットカードやIDカードでは、磁気テープを隠蔽するため、または、高意匠性の確保のために、光輝性を有する隠蔽層と呼ばれる銀色または金色の印刷層を最表面に配置することがある。このとき、銀色の印刷層は通常、アルミニウム等の金属粉をバインダーに溶かしたインキを用いるため、金属粉自体が一種の発色剤としての機能を有し、レーザ照射時のエネルギー吸収効率が良い。このため、特許文献2にも記載されるように、レーザ照射の出力を調整することによって銀色印刷層の一部を蒸発、飛散等させて除去し、下地の白色基材を露出させることができる。よって、この場合には銀色の背景に対して、基材が露出した白色部分が形成する文字等を、コントラスト良く視認することができる。
しかしながら、金色の印刷層には、通常、銀色であるアルミニウム等の金属粉と黄色系の顔料を混合したもの、さらにはこれに赤色系の顔料を追加したものをバインダーに溶かしたインキが用いられる。このため、金色の印刷層に対してレーザ照射した場合には、金属粉自体が蒸発、飛散等することにより除去されたとしても、混合されている黄色系または赤色系の顔料成分が一部残留してしまい、下地の白色基材の色がこれら残留顔料を透過して見えることにより、着色された色として視認されてしまう。
この場合には、金色の背景に対して基材が露出した白色部分が残留する残留顔料によって着色された色彩、例えば黄色またはオレンジ色として視認されてしまうため、レーザ照射で金色の印刷層の一部を除去して形成した文字等を、コントラスト良く視認することができないという問題があった。
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、基材の表面に、有彩色を含む光輝性のある隠蔽層が形成されたカードにおいて、レーザ照射によって隠蔽層の一部を確実に除去し下地の基材を確実に露出させることにより、形成された文字やパターンを良好に視認することができるレーザ印字カードを提供すること、および、このようなレーザ印字カードの製造方法を提供することを課題とする。
本実施の形態によるレーザ印字カードは、基材と、前記基材の一方の面に形成された第1の隠蔽層と、前記第1の隠蔽層の、前記基材とは反対側の面に形成された第2の隠蔽層と、を備えたレーザ印字カードであって、前記第1の隠蔽層は、金属粉を含む第1のインキから構成され、前記第2の隠蔽層は、金属粉および有彩色の顔料または染料を含む第2のインキから構成され、前記第1のインキが有彩色の顔料または染料を含む場合には、前記第2のインキに含まれる有彩色の顔料または染料の前記第2のインキに対する質量比は、前記第1のインキに含まれる有彩色の顔料または染料の前記第1のインキに対する質量比よりも大きく、前記一方の面の側から前記第2の隠蔽層に向けてレーザ光を照射することによって、前記第2の隠蔽層の一部と前記第1の隠蔽層の一部とが除去され、前記基材の一部が露出する。
また、本実施の別の形態によるレーザ印字カードにおいて、前記第1の隠蔽層は、アルミニウム粉を含む第1のインキから構成される銀色の隠蔽層であり、前記第2の隠蔽層は、アルミニウム粉および黄色の顔料または染料を含む第2のインキから構成される金色の隠蔽層であってもよい。
また、本実施の別の形態によるレーザ印字カードにおいて、前記基材は透明または白色であり、前記基材の一部を露出させたときに当該基材の一部を白色として視認することができてもよい。
また、本実施の別の形態によるレーザ印字カードにおいて、前記基材は、コアシート層および透明なオーバーシート層の積層体を含み、前記基材の前記一方の面は、前記オーバーシート層が露出している面であり、前記積層体の前記コアシート層および前記オーバーシート層の間に印刷層が形成され、前記基材の一部を露出させたときに、前記印刷層の一部を、前記オーバーシート層を透過して視認することができてもよい。
また、本実施の別の形態によるレーザ印字カードにおいて、前記印刷層は複数色によって形成され、前記基材の一部を露出させたときに、前記印刷層の一部を、前記オーバーシート層を透過して複数色として視認することができてもよい。
また、本実施の別の形態によるレーザ印字カードにおいて、前記第1の隠蔽層の面積は、前記第2の隠蔽層の面積よりも小さく形成されていてもよい。
また、本実施の別の形態によるレーザ印字カードにおいて、前記基材の前記一方の面には磁気テープが貼られており、かつ、前記第1の隠蔽層は前記磁気テープと重ならないように配置されていてもよい。
本実施の形態によるレーザ印字カードの製造方法は、基材を準備する工程と、前記基材の一方の面に、金属粉を含む第1のインキから構成される第1の隠蔽層を形成する工程と、前記第1の隠蔽層の前記基材とは反対側の面に、金属粉および有彩色の顔料または染料を含み、かつ、前記第1のインキが有彩色の顔料または染料を含む場合には、前記第1のインキにおける顔料または染料のインキに対する質量比よりも大きい質量比を有する、第2のインキから構成される第2の隠蔽層を形成する工程と、前記一方の面の側から前記第2の隠蔽層に向けてレーザ光を照射することによって、前記第2の隠蔽層の一部と前記第1の隠蔽層の一部とを除去し、前記基材の一部を露出させる工程と、を含む。
本実施の形態によれば、基材の表面に、有彩色を含む光輝性のある隠蔽層が形成されたカードにおいて、レーザ照射によって隠蔽層の一部を確実に除去し下地の基材を確実に露出させることにより、形成された文字やパターンを良好に視認することができるレーザ印字カードを提供することができる。また、このようなレーザ印字カードの製造方法を提供することができる。
第1実施形態のレーザ印字カードの構造を説明する断面図である。 図1の印刷積層部の構造を説明する断面図である。 カードにレーザを照射して印字することを説明する断面図である。 印刷積層部を転写基材に形成する状態を説明する断面図である。 第1実施形態のレーザ印字カードの構造を説明する平面図である。 第2実施形態のレーザ印字カードの構造を説明する断面図である。 第2実施形態のレーザ印字カードの構造を説明する平面図である。 第3実施形態のレーザ印字カードの構造を説明する断面図である。 第3実施形態のレーザ印字カードの構造を説明する平面図である。 実施例および比較例のサンプルについてのレーザ照射印字テスト結果を示す画像である。
以下、図面等を参照して、本開示のレーザ印字カード、およびレーザ印字カードの製造方法の一例について説明する。ただし、本開示のレーザ印字カード、およびレーザ印字カードの製造方法は、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状、断面図における各層の厚さ等は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
1.第1実施形態
本開示のレーザ印字カードの第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態のレーザ印字カード10の一例を示す断面図である。レーザ印字カード10は、レーザ印字積層体の一形態である。図2は、図1のレーザ印字カード10において、一方の面を構成する印刷積層部1の、除去部41の周辺部分を拡大した断面図である。
(a)カードの構成
図1に示すとおり、レーザ印字カード10は中央にコアシート層3およびコアシート層4が、互いの一方の主面どうしが隣接するように積層されている。また、コアシート層3およびコアシート層4の、互いに隣接していない他方の主面側には、それぞれオーバーシート層2およびオーバーシート層5が積層されている。さらに、基材であるオーバーシート層2の、コアシート層3と隣接していない方の主面側には、複数の印刷層が積層されて構成される印刷積層部1が積層されている。言い換えると、オーバーシート層5、コアシート層4、コアシート層3、オーバーシート層2および印刷積層部1が、この順に積層されている。
なお、基材とは、一般的にはカード等の積層体を構成する、熱融着や接着剤による接着がされる前の各々のコアシート層またはオーバーシート層等を指す。しかしながら、本開示においては、熱融着や接着剤により固着された後の一体化した積層体における、各々のコアシート層またはオーバーシート層等をも指すものとし、さらには、熱融着や接着剤により固着されて一体化した積層体そのものをも指すものとする。
また、印刷積層部1には凹み部分である除去部41が形成されている。除去部41は図2に示すように、印刷積層部1を構成する第1隠蔽層14、第2隠蔽層13および絵柄印刷層12に跨る凹部として形成されている。これは後述するようにレーザ照射によって、印刷積層部1の一部が発熱し、蒸発または飛散してできるものである。以下、レーザ印字カード10の各構成について説明する。
(i)コアシート層
コアシート層3、4としては、白色または着色した各種のプラスチックシートを幅広く使用することができ、以下にあげる単独のフィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET-G(テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン等である。
コアシート層の厚さは、カードの全体厚さを勘案して適宜に選択することができるが、例えば、0.25mm~0.38mm程度とすることができる。コアシート層3および4を、それぞれ同一材料または同一厚さとしてもよく、それぞれが異なる材料または異なる厚さとしてもよい。コアシート層3および4を、それぞれ同一材料かつ略同一厚さとすることによって、コアシート層を厚み方向に対して対称的に配置することができるので、熱プレス加工時等による積層体またはカードの反りを低減することができる。また、コアシート層は、2層が重ね合わせられた構造ではなく、2層分の厚みを有する1層で構成されたものでもよい。
印刷積層部1が形成されない側のコアシート層4の、コアシート層3と隣接しない主面側には、適宜別個の印刷層を設けてもよい。この場合、後述するオーバーシート層5が透明基材であれば、当該印刷層が保護されるため、印刷された絵柄の視認性を良好に確保しつつ、絵柄部分の耐擦過性や耐薬品性等を向上させることができる。また、印刷積層部1が形成されている側のコアシート層3の、コアシート層4と隣接しない主面側に適宜別個の印刷層を設けてもよい。この場合、後述するオーバーシート層2が透明基材であれば、当該印刷層が保護されるだけではなく、後述する実施形態の説明にもあるとおり、レーザ印字カードの印字部分を、任意の異なる色として視認させることができる。
(ii)オーバーシート層
オーバーシート層2、5としては、通常、コアシート層3、4と同質の材料を使用するが、厚さが0.05~0.10mm程度の透明材料が使用されることが多い。コアシート層およびオーバーシート層の積層体を熱プレス等で一体化する際のカールの発生を防止する観点からは、オーバーシート層2および5の材質および厚さが同一であることが好ましいが、必ずしも同一でなくてもよい。
また、レーザ印字カード10を磁気カードとして使用する場合には、オーバーシート層2、6のいずれかまたは両方について、コアシート層3、4とは反対の主面側に磁気テープを熱転写等によりあらかじめ埋め込んでもよい。また、オーバーシート層2、5は必ずしも必要ではなく、その一方または両方がなくてもよい。オーバーシート層2がないカード構成の場合は、後述する印刷積層部1はコアシート層3を基材として、当該基材に対して形成されていればよい。
(iii)印刷積層部
図2は、図1に示したレーザ印字カード10の一方の面である表面に配置される印刷積層部1の詳細構成を示す断面図である。印刷積層部1は、オーバーシート層2に近い側から第1隠蔽層14、第2隠蔽層13および絵柄印刷層12がこの順に積層されて形成されている。
(iv)第1隠蔽層
第1隠蔽層14は、平均粒子径が4μm~12μm程度の金属粒子である金属アルミニウム(金属アルミ)粉末等をペースト状にし、これをビヒクル、すなわちバインダーに溶いてシルクスクリーン印刷用のインキとしたものを用いて印刷、塗付等により層形成したものである。金属粒子自体が銀色であるため、印刷された第1隠蔽層14は、光輝性を有する銀色に視認される。第1隠蔽層14をインキ化するためのバインダーとしては、例えば塩化ビニル・酢酸ビニ共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体や塩化ビニル・酢酸ビニル・マレイン酸共重合体、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル・アクリレート共重合体、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等、各種の樹脂を使用することができる。
バインダーに金属樹脂を溶かしたインキを用いて、例えば所定のスクリーンメッシュを用いたシルクスクリーン印刷を行うことにより、第1隠蔽層14を形成することができる。第1隠蔽層14の厚さは、後述する第2隠蔽層13の一部を除去する除去適性に応じて変えることが可能であるが、通常、1μm~5μm程度であり、中でも2μm~3μm程度とすることが好ましい。
第1隠蔽層14は、レーザ光の照射を受けた際に、エネルギーを吸収しやすく発熱しやすい金属アルミ等の金属粒子が含まれることによって、後述するとおり、第2隠蔽層13の一部を効果的に除去することに寄与する。さらに第1隠蔽層14は、オーバーシート層2に黒色または茶褐色の磁気テープが配置されている場合や、例えば非接触ICカード等のようにカード内部にアンテナやチップが内蔵されるカードにおいて、これらが透けて見えてしまう場合でも、最表面の絵柄印刷層12を透過してこれらが視認されないように隠蔽する機能も有している。
また、第1隠蔽層14を形成するインキには、金属アルミ等の金属粒子以外の顔料成分や染料成分が着色目的で添加されていないことが望ましい。さらに、第1隠蔽層14を形成するインキに含有される有彩色の顔料または染料のインキ全体に対する質量比は、後述する第2隠蔽層13に含有される有彩色の顔料または染料のインキ全体に対する質量比よりもできる限り小さいことが好ましい。第1隠蔽層14を形成するインキに有彩色の顔料または染料が多く含まれてしまうと、第2隠蔽層13の一部を除去する効果が低下するおそれがあるからである。
(v)第2隠蔽層
第2隠蔽層13は、第1隠蔽層14よりもやや粒子が大きい、平均粒子径が14μm~22μm程度の金属粒子である金属アルミ粉末をペースト状にし、これに例えば有彩色の顔料であるイエロー(黄色)顔料あるいはイエローおよびマゼンタ顔料を加え、これをバインダーに溶いてシルクスクリーン印刷用のインキとしたものを用いて印刷、塗付等により層形成したものである。有彩色の顔料の代わりに有彩色の染料を加えることとしてもよく、顔料及び染料を混合したものを用いてもよい。
このような配合とすることにより、金属粒子自体は光輝性のある銀色であるがこれにイエロー顔料等が加わることにより層全体としては光輝性のある金色として視認され、さらにマゼンタ顔料等が加わることによって赤味を調整した金色として視認されることとなる。金色の印刷としては、他にも銅と亜鉛の合金である真鍮の粉末を使用する方法がある。しかし、真鍮粉は酸化による光沢感の変化や色変化が起きやすい等の課題があり、銀色インキ、金色インキとも金属アルミ粉末を共通に使用する方がコスト的に有利なことから、金色用のインキとしては金属アルミ粉末と有彩色の顔料、染料との混合物を用いるものが多用されている。
なお、インキ化するためのバインダーとしては前述の第1隠蔽層14と同等のものが使用できる。バインダーに金属樹脂と所定の有彩色の顔料または染料を溶かしたインキを用いて、例えば所定のスクリーンメッシュを用いたシルクスクリーン印刷を行うことにより、第2隠蔽層13を形成することができる。第2隠蔽層13の厚さは、後述するレーザ照射による除去適性を考慮して変えることが可能であるが、通常、1μm~5μm程度であり、中でも2μm~3μm程度とすることが好ましい。
第2隠蔽層13は、レーザ照射を受けた際に、エネルギーを吸収しやすく発熱しやすい金属アルミ等の金属粒子が含まれることによって、当該金属粒子の周囲を高温に発熱させ、第2隠蔽層13の一部が蒸発、飛散して除去される。ここで、第2隠蔽層13の下地層として前述の第1隠蔽層が配置されていない場合、後述する実験例のとおり、第2隠蔽層13の一部の蒸発、飛散は十分に行われず、金属粒子の部分は十分に除去されるものの、混合されたイエローおよびマゼンタ顔料は完全に除去されずに残留する。逆に、第2隠蔽層13の下地層として第1隠蔽層が適切な条件で配置されることにより、第2隠蔽層13の金属粒子部分のみならず、混合される有彩色の顔料等も一緒に除去されるため、基材面の一部を、その基材部分の着色状態を変化させることなく、明確に視認することができる。
また、第2隠蔽層13を形成するインキには、金属粒子以外の顔料成分や染料成分が必ず着色目的で添加されている。第2隠蔽層13を形成するインキに含有される有彩色の顔料または染料のインキ全体に対する質量比は、前述の第1隠蔽層14に含有される有彩色の顔料または染料のインキ全体に対する質量比よりも大きいことが必要である。例えば、第1隠蔽層14を形成するインキに含有される有彩色の顔料または染料のインキ全体に対する質量比の範囲は0%~1%であることが好ましく、第2隠蔽層13を形成するインキに含有される有彩色の顔料または染料のインキ全体に対する質量比の範囲は1%~3%であることが好ましい。
第1隠蔽層14を形成するインキに含有される有彩色の顔料または染料のインキ全体に対する質量比の範囲が上記の値よりも大きいと、レーザ光の照射時における第1隠蔽層14を形成するインキ中の有彩色の顔料または染料の残留部が増えることにより、下地の基材を完全に露出させることができなくなるおそれがある。また、第2隠蔽層13を形成するインキに含有される有彩色の顔料または染料のインキ全体に対する質量比の範囲が上記の値よりも大きいと、レーザ光の照射時における第1隠蔽層14の一部の蒸発、飛散の効果が得られたとしても、第2隠蔽層13を形成するインキの有彩色の顔料または染料の残留部が蒸発、飛散しきらずに残留部が増え、下地の基材を完全に露出させることができなくなるおそれがある。
(vi)絵柄印刷層
絵柄印刷層12は、前述の第2隠蔽層13の上層に、主にオフセット印刷により必要な色数分の印刷がされることによって形成され、色数やその配置領域により任意のデザインを構成することができる。例えば第2隠蔽層13の上面に絵柄用インキ層との密着性を確保するために透明なアンカー層を紫外線硬化型のインキを用いたオフセット印刷により形成する。その上層に順次、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の絵柄用インキ層を、同じく紫外線硬化型のインキを用いたオフセット印刷により形成後、UV照射によってインキを硬化させることによって絵柄印刷層12を設けることができる。絵柄印刷層12は必ずしも必要ではなく、第2隠蔽層13の上層の一部にのみ設けられていてもよい。また、反対に、第2隠蔽層13が設けられていない部分の上層に設けられていてもよい。
なお、当該絵柄印刷層の膜厚は通常1μm~5μm程度である。これ以上膜厚が大きくなると、レーザ光の照射の際に下層側の第2隠蔽層13や第1隠蔽層14へのエネルギー供給量が減り、当該絵柄印刷層12、第2隠蔽層13および第1隠蔽層14の除去したい部分が適切に除去できないおそれがあるからである。また、同様の理由により、絵柄印刷層12には、金属粒子や酸化チタン等の金属化合物粒子により構成される顔料、カーボンブラック等のレーザ光照射時のエネルギー吸収効率の高い成分をなるべく含まないようにすべきである。
(b)レーザ印字部の構成
図1および図2に示すように、印刷積層部1の一部領域には、当該印刷積層部1の凹みである除去部41が形成されている。除去部41の形成について図3に基づいて説明する。図3は、カードにレーザを照射して印字することを説明する断面図である。
図3(a)に示すとおり、印刷積層部1がカード9の基材であるオーバーシート層2に積層形成されている場合において、当該カード9の印刷積層部1側の主面から所定距離だけ離隔した位置から所定のレーザ光30を照射する。レーザ光30の焦点はおおむね印刷積層部1の第1隠蔽層14付近になるよう設定されている。すると、レーザ光30の照射によって印刷積層部1の一部に選択的に加えられた照射エネルギーは、エネルギー吸収効率の高い第1隠蔽層14に含有される金属アルミ等の金属粒子を発熱させるとともに周辺部分も昇温する。また、その上層である第2隠蔽層13においても、エネルギー吸収効率の高い金属アルミ等の金属粒子を発熱させるとともに周辺部分も昇温する。
ここで、第1隠蔽層と第2隠蔽部とが同時に昇温により蒸発または飛散した場合、第2隠蔽部に含有される金属粒子以外の有彩色の顔料成分、染料成分も、第1隠蔽層が蒸発または飛散することに連動して、一緒に外部に蒸発または飛散して除去されることが実験的に確認されている。よって、レーザ光30を照射した結果、図3(b)に示すように、印刷積層部1の厚み方向全体に渡る絵柄印刷層12、第2隠蔽層13および第1隠蔽層14をほぼ貫通する部分的な凹部である除去部41が形成され、基材であるオーバーシート層2が露出したレーザ印字カード10が得られることとなる。
なお、本実施形態の印刷積層部1とは異なる構成である、レーザ印字カード10Aを試作した場合について図3(c)により説明する。図3(c)は、本実施形態に対して第1隠蔽部14を備えず、その他の構成が同様であるレーザ印字カード10Aの断面図である。レーザ印字カード10Aは、基材であるオーバーシート層2の上層側に第2隠蔽層13および絵柄印刷層12をこの順に積層形成した印刷積層部1Aを備える。
この場合には、後述の実験例でも説明するとおり、レーザ照射によっても第2隠蔽層13の顔料成分、染料成分を完全に蒸発、飛散させることはできず、一部が残留部13Aとして残留する。残留部13Aには例えばイエローおよびマゼンタ顔料の一部が含まれるため、基材側の色がコアシート層の白色である場合においても基材の一部が完全に露出していないため、残留部13Aの色である黄色またはオレンジ色として視認されてしまう。
これに対して本実施形態である図3(a)、(b)の場合には、印刷積層部1の厚み方向全体である絵柄印刷層12、第2隠蔽層13および第1隠蔽層14をほぼ貫通するように部分的な除去が行われる。そのため、この部分は、当該レーザ印字カード10の印刷積層部1側の主面の法線方向に沿って離隔した位置から当該レーザ印字カード10の印刷積層部1を視認したときに、コアシート層3の白色が、基材である透明なオーバーシート層2を透過して見えることとなる。すなわち、レーザ照射によって印刷積層部1が部分的に除去された領域が形成する文字やデザインがあたかも白色で印字されたかのように視認されることとなる。
したがって、本開示においては、レーザ照射によってカード等の表面部分の着色部を選択的に除去することにより、基材等の部材色または基材等に形成された印刷色を選択的な除外部を透過して結果的に文字やデザインとして視認できる場合にも、当該文字やデザインがその色によって印字されたものと考える。そして、当該カードをレーザ印字カードとして取り扱うものとしている。
(c)レーザ印字カードの製造方法
レーザ印字カードの製造方法について図1~図4に基づいて説明する。ただし、図1~図4は、コアシート層3、4やオーバーシート層2、5等の層構成の一部を抜き出した断面図となっているが、実際の製造においては、長辺が約86mm、短辺が約54mmとなるカードサイズの製品が多面付けにレイアウトできる大判のシート状基材を用いて進行し、最後に、カードサイズに打ち抜き加工する。まず、図1に示すように、互いに向い合わせとなるように大判のシート状のコアシート層3およびコアシート層4が重ねられ、当該コアシート層3およびコアシート層4の互いに隣接していない他方の主面側に、それぞれ、大判のシート状のオーバーシート層2およびオーバーシート層5が重ねられる。
また、図4に示すように、印刷積層部1をあらかじめ準備する工程として、PET等から構成される転写基材11に対して、絵柄印刷層12、第2隠蔽層13および第1隠蔽層14をこの順に印刷形成する。絵柄印刷層12は、前述したとおり、紫外線硬化型インキから構成されるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の絵柄用インキ層および透明なアンカー層をオフセット印刷により順次印刷形成してUV照射により硬化させる。その上層に第2隠蔽層13として、金属アルミ粉末と有彩色のイエロー顔料等を含有するインキをシルクスクリーン印刷し、その後乾燥させる。さらに、その上層に第1隠蔽層14として、金属アルミ粉末と有彩色のイエロー顔料等を含有するインキをシルクスクリーン印刷し、その後乾燥させる。
ここで、第1隠蔽層14にも有彩色の顔料または染料を添加する場合には、第2隠蔽層13を形成するインキに含有される有彩色の顔料または染料のインキ全体に対する質量比が、第1隠蔽層14に含有される有彩色の顔料または染料のインキ全体に対する質量比よりも大きいことに留意する必要がある。
次に、前述したコアシート層3、4とオーバーシート層2、5とが重ねられた熱融着前の積層体のオーバーシート層2と、印刷積層部1が形成された転写基材11とを、当該オーバーシート層2と第1隠蔽層14とが対向するように重ねる。次に、これら全体の積層体の表裏面をステンレス板で挟み込み、当該ステンレス板を介して所定時間、所定の熱圧を加える熱プレス加工を行う。これによって、コアシート層3、4、オーバーシート層2、5および印刷積層部1が一体的に融着された積層体を得ることができる。また、融着温度が高い転写基材11は、これら積層体と融着することなく剥がすことができる。
なお、上述した方法以外の方法として、あらかじめ、コアシート層3、4とオーバーシート層2、5とを重ねた状態でステンレス板にて挟み込み、所定時間の所定熱圧を掛けることにより、熱融着されて一体化した積層体を作っておいてもよい。その後、オーバーシート層2の面上に、第1隠蔽層14、第2隠蔽層13および絵柄印刷層12を順次印刷することで印刷積層部1を形成することができる。
あるいは、積層前のオーバーシート層2に直接、第1隠蔽層14、第2隠蔽層13および絵柄印刷層12を順次印刷して印刷積層部1を形成しておく。その後、当該オーバーシート層2をコアシート層3、4およびオーバーシート層5と重ねてから各層間を接着剤で接着する方法としてもよく、各層が重ねられた状態で熱プレスにより融着させる方法をとってもよい。また、オーバーシート層2、5がなく、コアシート層3、4および印刷積層部1から構成される積層体としてもよい。
次に、当該積層体をカードサイズに打ち抜くことにより、図5(a)に示すようなレーザ印字前のカード9が得られる。図5(a)は、上記製造方法で製造されたカード9を、印刷積層部1側の主面の法線方向側から見た平面図である。また、図5(b)は、当該カード9に、レーザ光を照射させて所定のパターン部44を印字したレーザ印字カード10を、上記と同じ向きから見た平面図である。
カード9は、一方の表面の全面に渡って印刷積層部1を構成する第2隠蔽層13が印刷され、さらにそのうちの一部の領域に、絵柄印刷層12が形成されている。このカード9の表面から所定距離だけ離隔した位置から所定のレーザ光30を照射し、一定速度で当該レーザ光30の照射位置を移動させ、所定のパターンとして例えば「1234」の数字を描画する。
その結果、図5(b)のように、レーザ光30が照射された軌跡に沿って、レーザ光の照射エネルギーによって印刷積層部1の一部が蒸発、飛散する。これによってできた除去部41によってオーバーシート層2の一部が露出し、透明なオーバーシート層2の下層に配置されたコアシート層3の色である白色の所定のパターン部44が認識される。すなわち、パターン部44が印字される。以上の工程を経て、所定パターン部44が形成されたレーザ印字カード10が製造される。
以上のように、基材であるオーバーシート層2の一方の面に形成された第1隠蔽層14と、第1隠蔽層14の、オーバーシート層2とは反対側の面に形成された第2隠蔽層13とを備えたレーザ印字カード10は、第1隠蔽層14が金属アルミ等の金属粉を含む第1のインキから構成される。また、第2隠蔽層13が金属アルミ等の金属粉およびイエロー顔料やマゼンタ顔料等の有彩色の顔料または染料を含む第2のインキから構成される。
第1のインキが有彩色の顔料を含む場合には、第2のインキに含まれる有彩色の顔料の第2のインキに対する質量比は、第1のインキに含まれる有彩色の顔料の第1のインキに対する質量比よりも大きい。これらの条件下で、一方の面の側から第2隠蔽層13に向けてレーザ光30を照射することによって、第2隠蔽層13の一部と第1隠蔽層14の一部とが除去部41として除去され、オーバーシート層2の一部を露出させることができる。
もし、第1隠蔽層14がなく、第2隠蔽層13のみが基材であるオーバーシート層2に形成されている場合には、レーザ光の照射を行っても第2隠蔽層13の一部を完全に除去することができない。この場合、下地の透明なオーバーシート層2を透過して下層のコアシート層3の色である白色をそのままカードの外部から視認することができない。したがって、第2隠蔽層13のレーザ光の照射部分に残留する顔料成分によって意図しない着色された色を視認してしまうこととなる。
これに対し、本実施形態においては、レーザ照射を行った場合に、第2隠蔽層13の下層に配置された、第2のインキに含まれる有彩色の顔料等の第2のインキに対する質量比よりも小さい質量比となる有彩色の顔料等しか含まない、第1隠蔽層14の蒸発または飛散の効果が得られる。これによって、上層の第2隠蔽層13に残留する顔料成分が一緒に蒸発または飛散する効果が得られ、オーバーシート層2の一部を意図したとおりに露出させることができる。その結果、下地の透明なオーバーシート層2を透過して下層のコアシート層3の色である白色をそのままカードの外部から視認することができ、所定のパターンが印字されたものとして、カードの外部から視認することが可能となる。
2.第2実施形態
次に、本開示のレーザ印字カードの第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態のレーザ印字前のカード9Bを用いて、レーザ光30の照射によってレーザ印字カード10Bを製造する工程を説明する断面図である。また、図7は、本実施形態のレーザ印字前のカード9Bおよびレーザ印字カード10Bを図6の紙面の上方側から見た平面図である。レーザ印字カード10Bも、レーザ印字積層体の一形態である。
(a)カードの構成
図6(a)に示すとおり、本実施形態のカード9Bは、基材の層構成は第1実施形態のカード9と同じであるため図示を省略している。すなわち、カード9Bは中央にコアシート層3およびコアシート層4が互いの一方の主面どうしが隣接するように積層され、コアシート層3およびコアシート層4の互いに隣接していない他方の主面側に、それぞれオーバーシート層2およびオーバーシート層5が積層されている。基材であるオーバーシート層2の、コアシート層3と隣接していない方の主面側には、複数の印刷層が積層形成されている印刷積層部1Bが配置されている。オーバーシート層5、コアシート層4、コアシート層3、オーバーシート層2および印刷積層部1Bが、この順に積層されている。
(b)レーザ印字部の構成
印刷積層部1Bが、第1実施形態のカード9の印刷積層部1と異なるのは、図6(a)および図7(a)に示すように、第1隠蔽層14Aが、カード9Bのオーバーシート層2の主面全域に形成されず、一部の領域にのみ形成されている点である。第2隠蔽層13は、カード9Bのオーバーシート層2の主面全域に対応する領域に形成されている。絵柄印刷層12は、第2隠蔽層13の領域と重なる全領域に形成されていてもよく、図7(a)のように、一部の領域のみが重なるように形成されていてもよい。
このように、第2実施形態のカード9Bにおいては、第1隠蔽層14Aが部分的な領域にしか設けられていないため、例えば、カード9Bのオーバーシート層2の主面上の、第1隠蔽層14Aが設けられない領域に磁気テープ6を配置することができる。第1実施形態のカード9のように、第1隠蔽層14Aおよび第2隠蔽層13がオーバーシート層2の主面全域に設けられ、さらにオーバーシート層2の主面上に磁気テープ6が設けられていると、当該磁気テープ6を2重の隠蔽層が覆うことになる。このため、磁気出力が低下し、磁気ヘッドによる磁気データの読み書きに支障が出るおそれがある。
本実施形態では、図6(a)および図7(a)のように、一部の領域にのみ第1隠蔽層14Aを配置することにより、図6(b)に示すとおり、第1隠蔽層14Aの配置部分にのみレーザ光30を照射することができる。その結果、図6(c)および図7(b)に示すとおり、第1隠蔽層14Aの一部が蒸発または飛散し、かつ、その上層である第2隠蔽層13の顔料成分または染料成分や絵柄印刷層12の一部を同時に蒸発または飛散させることによってオーバーシート層2を露出させ、除去部42が形成される。当該除去部42は、図5(b)のパターン部44である「1234」の数字のように、一定のパターン部44Aとして視認されるように形成し得ることは、第1実施形態と同様である。
上記の通り、本実施形態では、第1隠蔽層14Aの面積は、第2隠蔽層13の面積よりも小さく形成されており、基材であるオーバーシート層2の一方の面には磁気テープ6が貼られており、かつ、第1隠蔽層14Aは磁気テープ6と重ならないように配置されている。このことによって、磁気テープ6上に第1隠蔽層14Aと第2隠蔽層13とが重なって配置されることが避けられ、磁気出力の低下による読み書きの不具合を抑制することができる。また、レーザ印字させたい領域に限定して第1隠蔽層14Aの配置領域を狭く設定することができるので、カードあたりのインキの消費量を低減させることができる。
2.第3実施形態
続いて、本開示のレーザ印字カードの第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態のレーザ印字前のカード9Cを用いて、レーザ光30の照射によってレーザ印字カード10Cを製造する工程を説明する断面図である。また、図9は、本実施形態のレーザ印字前のカード9Cおよびレーザ印字カード10Cを図8の紙面の上方側から見た平面図である。レーザ印字カード10Cも、レーザ印字積層体の一形態である。
(a)カードの構成
図8(a)に示すとおり、本実施形態のカード9Cは、基材の層構成は第1、第2実施形態のカード9、9Bと同じであるが、コアシート層3のオーバーシート層2と接する方の面に印刷層50が設けられている点が異なる。印刷層50は、本実施形態では第1色部51、第2色部52、第3色部53および第4色部54に分割していわゆるベタ印刷として配置されているが、これは単なる例示であり、印刷色は1色でもよく2色以上の複数色が任意の領域にベタ印刷または網点印刷で配置されていてもよい。また、当該印刷層50はオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、溶融転写方式または昇華転写方式による熱転写、インクジェット印刷等、任意の方法で任意の色彩として形成することができる。
(b)レーザ印字部の構成
印刷積層部1は、第1実施形態のカード9の印刷積層部1と同様の構成である。第1隠蔽層14は、カード9Cのオーバーシート層2の主面全域に配置されていてもよく、一部の領域にのみ形成されていてもよい。また、第2隠蔽部は、印刷積層部1と同様、カード9Cのオーバーシート層2の主面全域に対応する領域に形成されているが、一部の領域であっても差し支えない。絵柄印刷層12は、第2隠蔽部の領域と重なる全領域に形成されていてもよく、一部の領域のみが重なるように形成されていてもよい。
第3実施形態のカード9Cにおいては、図8(a)のように、オーバーシート層2およびその上層である印刷積層部1の構成は第1実施形態と同じである。したがって、図8(b)に示すように、レーザ光30を照射した場合には、図8(c)および図9(b)に示すとおり、レーザ光30の照射により第1隠蔽層14の一部が蒸発または飛散し、かつ、その上層である第2隠蔽層13の顔料成分または染料成分や絵柄印刷層12の一部を同時に蒸発または飛散させる。このため、オーバーシート層2を完全に露出させることができ、除去部43A、43B、43Cおよび43Dが形成される。
当該除去部43A、43B、43Cおよび43Dが、図5(b)のパターン部44である「1234」のように、一定のパターン部44Bとして視認されるように形成し得ることは、第1、第2実施形態と同様である。しかしながら、除去部43A、43B、43Cおよび43Dは、それぞれが露出させているオーバーシート層2の下層のコアシート層3の印刷層50の影響により、それぞれ異なる色が視認されることとなる。例えば第1色部51が黄色、第2色部52が緑色、第3色部53が赤色、第4色部54が青色であるとすると、図8(c)および図9(b)のようにレーザ印字カード10Cの除去部43A、43B、43Cおよび43Dが形成するパターンは、それぞれ、露出された透明なオーバーシート層2を透過して下地のコアシート層3の印刷層50の色彩である黄色、緑色、赤色および青色として視認される。
上記の通り、本実施形態では、基材はコアシート層3および透明なオーバーシート層2の積層体を含み、基材の一方の面はオーバーシート層2が露出している面であり、積層体のコアシート層3およびオーバーシート層2の間に印刷層50が形成され、基材の一部を露出させたときに、印刷層50の一部を、オーバーシート層2を透過して視認することができる。また、オーバーシート層2の下層であるコアシート層3のオーバーシート層2側の面に形成された印刷層50が複数色によって形成されている場合、レーザ照射によってオーバーシート層2の一部を露出させたときに、当該印刷層50の一部を、オーバーシート層2を透過して複数色として視認することができる。
これにより、レーザ照射によって印刷積層部1の領域内でオーバーシート層2の一部を露出させたとき、レーザ印字カード10Cの除去部が形成し、顕出させるパターンの視認できる色を部分的に変化させることができ、カードデザインの内容等に応じて、当該パターンの視認性を向上させることができる。
次に、実施例を挙げて本開示をさらに詳細に説明するが、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
(a)実験サンプルの作成
まず、コアシート層3、4として白色硬質塩化ビニルシート(厚さ:0.30mm)を2枚使用し、オーバーシート層2、5として、透明硬質塩化ビニルシート(厚さ:0.10mm)を2枚使用した。
次に、転写基材11として厚さ150μmの2軸延伸PETフィルムを使用し、これに、絵柄印刷部12は設けず、第2隠蔽層13を、シルクスクリーン印刷により印刷形成した。印刷には270メッシュ版を用い、第1隠蔽層14の乾燥後の膜厚が4μmであった。さらに、当該第2隠蔽層13の上に第1隠蔽層14を、同じく、シルクスクリーン印刷により印刷形成した。印刷には270メッシュ版を用い、第1隠蔽層14の乾燥後の膜厚が5μmであった。なお、第1隠蔽層14および第2隠蔽層13に含まれる金属粒子は、厳密には球形ではなく、フレーク状であり、印刷後に粒子の長手方向が水平方向に向いて並ぶため、平均粒子径とは異なる厚みとなっている。
以上のように転写基材11に形成された印刷積層部1を、あらかじめ、オーバーシート層5、コアシート層4、コアシート層3およびオーバーシート層2をこの順に積み重ねた積層体に、その第2隠蔽層13がオーバーシート層2と当接するように重ねて、その上下端をステンレス板で挟み込み、これに一定温度の熱圧を一定時間掛けて熱プレスした。これにより、オーバーシート層5、コアシート層4、コアシート層3およびオーバーシート層2が互いに熱融着して一体化し、かつ、オーバーシート層2の主面に印刷積層部1が転写形成された、熱プレス後の積層体を得た。なお、印刷積層部1がない転写基材11は耐熱性を有し、当該熱プレスの温度では融着しないため、熱プレス後の積層体から容易に剥がすことができた。
なお、上記の条件で作成したカードを実施例のサンプルとした。また、上記の条件で、第1隠蔽層14のみを設けず、それ以外は実施例1と同条件とした比較例のサンプルを作成した。
その後、熱プレス後の積層体である大判シートをカードサイズに打ち抜き加工し、長辺方向が約86mm、短辺方向が約54mm、厚さが約0.8mmのISO7810規格に準拠するカードを得た。このカードは、第1実施形態のカード9と同等の仕様である。次に、このカードを、図3(a)のようにレーザ光30を所定条件で照射し、所定の数字から構成される番号を描画、印字した。レーザ光30の照射条件は、レーザ方式:ファイバーレーザ、波長:1064nm、設定距離:カードの印刷積層部の表面から約70mm離隔した地点、解像度:200~500dpi、出力:25Wとした。
(b)視認性試験結果
上記の実施例のサンプルおよび比較例のサンプルの各カードについて、レーザの照射時間と解像度の条件を振って、レーザ照射による長方形のパターンをマトリックス状に形成するレーザ照射印字テストを行った。その結果のサンプル画像を、実施例のサンプルとして図8(a)に、比較例のサンプルとして図8(b)に示す。図8(a)に示すように、実施例のサンプルでは、レーザの照射時間が長い側でかつ解像度が高い側で、レーザ印字後に形成された長方形のパターンの色彩が、下地の基材と同色の白色となっている(特に外観が良好な結果を丸で囲んだ)。なお、最もエネルギーが高い、照射時間が長く、かつ解像度が高い条件では、基材が焦げ始める等、品質が悪化している(図8(a)の右上隅の四角で囲んだ部分)。これに対して、図8(b)に示す、比較例のサンプルでは、レーザの照射時間および解像度の条件に関わらず、レーザ印字後に形成された長方形のパターンの色彩を、オレンジ色から白色に近づけることは不可能であった。これより、印刷積層部1として、所定条件の第1隠蔽層14を第2隠蔽層13の下層に設けることが良好なレーザ印字を得るために必須であることが分かった。
1、1A、1B 印刷積層部
2、5 オーバーシート層
3、4 コアシート層
6 磁気テープ
9、9B、9C カード
10、10A、10B、10C レーザ印字カード
11 転写基材
12 絵柄印刷層
13 第2隠蔽層
13A 残留部
14、14A 第1隠蔽層
30 レーザ光
41、41A、42、43A、43B、43C、43D 除去部
44 44A、44B パターン部
50 印刷層
51 第1色部
52 第2色部
53 第3色部
54 第4色部

Claims (8)

  1. 基材と、
    前記基材の一方の面に形成された第1の隠蔽層と、
    前記第1の隠蔽層の、前記基材とは反対側の面に形成された第2の隠蔽層と、を備えたレーザ印字カードであって、
    前記第1の隠蔽層は、金属粉を含む第1のインキから構成され、
    前記第2の隠蔽層は、金属粉および当該金属粉と混合される有彩色の顔料または染料を含む第2のインキから構成され、
    前記第1のインキが有彩色の顔料または染料を含む場合には、前記第2のインキに含まれる有彩色の顔料または染料の前記第2のインキに対する質量比は、前記第1のインキに含まれる有彩色の顔料または染料の前記第1のインキに対する質量比よりも大きく、
    前記一方の面の側から前記第2の隠蔽層に向けてレーザ光を照射することによって、前記第2の隠蔽層の一部と前記第1の隠蔽層の一部とが除去され、前記基材の一部が露出することを特徴とする、レーザ印字カード。
  2. 基材と、
    前記基材の一方の面に形成された第1の隠蔽層と、
    前記第1の隠蔽層の、前記基材とは反対側の面に形成された第2の隠蔽層と、を備えたレーザ印字カードであって、
    前記第1の隠蔽層は、金属粉を含む第1のインキから構成され、
    前記第2の隠蔽層は、金属粉および有彩色の顔料または染料を含む第2のインキから構成され、
    前記第1のインキが有彩色の顔料または染料を含む場合には、前記第2のインキに含まれる有彩色の顔料または染料の前記第2のインキに対する質量比は、前記第1のインキに含まれる有彩色の顔料または染料の前記第1のインキに対する質量比よりも大きく、
    前記一方の面の側から前記第2の隠蔽層に向けてレーザ光を照射することによって、前記第2の隠蔽層の一部と前記第1の隠蔽層の一部とが除去され、前記基材の一部が露出するものであり、
    前記第1の隠蔽層は、アルミニウム粉を含む第1のインキから構成される銀色の隠蔽層であり、
    前記第2の隠蔽層は、アルミニウム粉および黄色の顔料または染料を含む第2のインキから構成される金色の隠蔽層である、レーザ印字カード。
  3. 前記基材は透明または白色であり、前記基材の一部を露出させたときに当該基材の一部を白色として視認することができる、請求項1または請求項2に記載のレーザ印字カード。
  4. 前記基材は、コアシート層および透明なオーバーシート層の積層体を含み、
    前記基材の前記一方の面は、前記オーバーシート層が露出している面であり、
    前記積層体の前記コアシート層および前記オーバーシート層の間に印刷層が形成され、
    前記基材の一部を露出させたときに、前記印刷層の一部を、前記オーバーシートを透過して視認することができる、請求項1または請求項2に記載のレーザ印字カード。
  5. 前記印刷層は複数色によって形成され、
    前記基材の一部を露出させたときに、前記印刷層の一部を、前記オーバーシートを透過して複数色として視認することができる、請求項4に記載のレーザ印字カード。
  6. 前記第1の隠蔽層の面積は、前記第2の隠蔽層の面積よりも小さく形成されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のレーザ印字カード。
  7. 前記基材の前記一方の面には磁気テープが貼られており、かつ、前記第1の隠蔽層は前記磁気テープと重ならないように配置されている、請求項6に記載のレーザ印字カード。
  8. 基材を準備する工程と、
    前記基材の一方の面に、金属粉を含む第1のインキから構成される第1の隠蔽層を形成する工程と、
    前記第1の隠蔽層の前記基材とは反対側の面に、金属粉および当該金属粉と混合される有彩色の顔料または染料を含み、かつ、前記第1のインキが有彩色の顔料または染料を含む場合には、前記第1のインキにおける顔料または染料のインキに対する質量比よりも大きい質量比を有する、第2のインキから構成される第2の隠蔽層を形成する工程と、
    前記一方の面の側から前記第2の隠蔽層に向けてレーザ光を照射することによって、前記第2の隠蔽層の一部と前記第1の隠蔽層の一部とを除去し、前記基材の一部を露出させる工程と、を含む、レーザ印字カードの製造方法。
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