JP7354609B2 - レーザ印字カードおよびレーザ印字カードの製造方法 - Google Patents
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Description
本開示のレーザ印字カードの第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態のレーザ印字カード10の一例を示す断面図である。レーザ印字カード10は、レーザ印字積層体の一形態である。図2は、図1のレーザ印字カード10において、一方の面を構成する印刷積層部1の、除去部41の周辺部分を拡大した断面図である。
図1に示すとおり、レーザ印字カード10は中央にコアシート層3およびコアシート層4が、互いの一方の主面どうしが隣接するように積層されている。また、コアシート層3およびコアシート層4の、互いに隣接していない他方の主面側には、それぞれオーバーシート層2およびオーバーシート層5が積層されている。さらに、基材であるオーバーシート層2の、コアシート層3と隣接していない方の主面側には、複数の印刷層が積層されて構成される印刷積層部1が積層されている。言い換えると、オーバーシート層5、コアシート層4、コアシート層3、オーバーシート層2および印刷積層部1が、この順に積層されている。
コアシート層3、4としては、白色または着色した各種のプラスチックシートを幅広く使用することができ、以下にあげる単独のフィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET-G(テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン等である。
オーバーシート層2、5としては、通常、コアシート層3、4と同質の材料を使用するが、厚さが0.05~0.10mm程度の透明材料が使用されることが多い。コアシート層およびオーバーシート層の積層体を熱プレス等で一体化する際のカールの発生を防止する観点からは、オーバーシート層2および5の材質および厚さが同一であることが好ましいが、必ずしも同一でなくてもよい。
図2は、図1に示したレーザ印字カード10の一方の面である表面に配置される印刷積層部1の詳細構成を示す断面図である。印刷積層部1は、オーバーシート層2に近い側から第1隠蔽層14、第2隠蔽層13および絵柄印刷層12がこの順に積層されて形成されている。
第1隠蔽層14は、平均粒子径が4μm~12μm程度の金属粒子である金属アルミニウム(金属アルミ)粉末等をペースト状にし、これをビヒクル、すなわちバインダーに溶いてシルクスクリーン印刷用のインキとしたものを用いて印刷、塗付等により層形成したものである。金属粒子自体が銀色であるため、印刷された第1隠蔽層14は、光輝性を有する銀色に視認される。第1隠蔽層14をインキ化するためのバインダーとしては、例えば塩化ビニル・酢酸ビニ共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体や塩化ビニル・酢酸ビニル・マレイン酸共重合体、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル・アクリレート共重合体、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等、各種の樹脂を使用することができる。
第2隠蔽層13は、第1隠蔽層14よりもやや粒子が大きい、平均粒子径が14μm~22μm程度の金属粒子である金属アルミ粉末をペースト状にし、これに例えば有彩色の顔料であるイエロー(黄色)顔料あるいはイエローおよびマゼンタ顔料を加え、これをバインダーに溶いてシルクスクリーン印刷用のインキとしたものを用いて印刷、塗付等により層形成したものである。有彩色の顔料の代わりに有彩色の染料を加えることとしてもよく、顔料及び染料を混合したものを用いてもよい。
絵柄印刷層12は、前述の第2隠蔽層13の上層に、主にオフセット印刷により必要な色数分の印刷がされることによって形成され、色数やその配置領域により任意のデザインを構成することができる。例えば第2隠蔽層13の上面に絵柄用インキ層との密着性を確保するために透明なアンカー層を紫外線硬化型のインキを用いたオフセット印刷により形成する。その上層に順次、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の絵柄用インキ層を、同じく紫外線硬化型のインキを用いたオフセット印刷により形成後、UV照射によってインキを硬化させることによって絵柄印刷層12を設けることができる。絵柄印刷層12は必ずしも必要ではなく、第2隠蔽層13の上層の一部にのみ設けられていてもよい。また、反対に、第2隠蔽層13が設けられていない部分の上層に設けられていてもよい。
図1および図2に示すように、印刷積層部1の一部領域には、当該印刷積層部1の凹みである除去部41が形成されている。除去部41の形成について図3に基づいて説明する。図3は、カードにレーザを照射して印字することを説明する断面図である。
レーザ印字カードの製造方法について図1~図4に基づいて説明する。ただし、図1~図4は、コアシート層3、4やオーバーシート層2、5等の層構成の一部を抜き出した断面図となっているが、実際の製造においては、長辺が約86mm、短辺が約54mmとなるカードサイズの製品が多面付けにレイアウトできる大判のシート状基材を用いて進行し、最後に、カードサイズに打ち抜き加工する。まず、図1に示すように、互いに向い合わせとなるように大判のシート状のコアシート層3およびコアシート層4が重ねられ、当該コアシート層3およびコアシート層4の互いに隣接していない他方の主面側に、それぞれ、大判のシート状のオーバーシート層2およびオーバーシート層5が重ねられる。
次に、本開示のレーザ印字カードの第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態のレーザ印字前のカード9Bを用いて、レーザ光30の照射によってレーザ印字カード10Bを製造する工程を説明する断面図である。また、図7は、本実施形態のレーザ印字前のカード9Bおよびレーザ印字カード10Bを図6の紙面の上方側から見た平面図である。レーザ印字カード10Bも、レーザ印字積層体の一形態である。
図6(a)に示すとおり、本実施形態のカード9Bは、基材の層構成は第1実施形態のカード9と同じであるため図示を省略している。すなわち、カード9Bは中央にコアシート層3およびコアシート層4が互いの一方の主面どうしが隣接するように積層され、コアシート層3およびコアシート層4の互いに隣接していない他方の主面側に、それぞれオーバーシート層2およびオーバーシート層5が積層されている。基材であるオーバーシート層2の、コアシート層3と隣接していない方の主面側には、複数の印刷層が積層形成されている印刷積層部1Bが配置されている。オーバーシート層5、コアシート層4、コアシート層3、オーバーシート層2および印刷積層部1Bが、この順に積層されている。
印刷積層部1Bが、第1実施形態のカード9の印刷積層部1と異なるのは、図6(a)および図7(a)に示すように、第1隠蔽層14Aが、カード9Bのオーバーシート層2の主面全域に形成されず、一部の領域にのみ形成されている点である。第2隠蔽層13は、カード9Bのオーバーシート層2の主面全域に対応する領域に形成されている。絵柄印刷層12は、第2隠蔽層13の領域と重なる全領域に形成されていてもよく、図7(a)のように、一部の領域のみが重なるように形成されていてもよい。
続いて、本開示のレーザ印字カードの第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態のレーザ印字前のカード9Cを用いて、レーザ光30の照射によってレーザ印字カード10Cを製造する工程を説明する断面図である。また、図9は、本実施形態のレーザ印字前のカード9Cおよびレーザ印字カード10Cを図8の紙面の上方側から見た平面図である。レーザ印字カード10Cも、レーザ印字積層体の一形態である。
図8(a)に示すとおり、本実施形態のカード9Cは、基材の層構成は第1、第2実施形態のカード9、9Bと同じであるが、コアシート層3のオーバーシート層2と接する方の面に印刷層50が設けられている点が異なる。印刷層50は、本実施形態では第1色部51、第2色部52、第3色部53および第4色部54に分割していわゆるベタ印刷として配置されているが、これは単なる例示であり、印刷色は1色でもよく2色以上の複数色が任意の領域にベタ印刷または網点印刷で配置されていてもよい。また、当該印刷層50はオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、溶融転写方式または昇華転写方式による熱転写、インクジェット印刷等、任意の方法で任意の色彩として形成することができる。
印刷積層部1は、第1実施形態のカード9の印刷積層部1と同様の構成である。第1隠蔽層14は、カード9Cのオーバーシート層2の主面全域に配置されていてもよく、一部の領域にのみ形成されていてもよい。また、第2隠蔽部は、印刷積層部1と同様、カード9Cのオーバーシート層2の主面全域に対応する領域に形成されているが、一部の領域であっても差し支えない。絵柄印刷層12は、第2隠蔽部の領域と重なる全領域に形成されていてもよく、一部の領域のみが重なるように形成されていてもよい。
まず、コアシート層3、4として白色硬質塩化ビニルシート(厚さ:0.30mm)を2枚使用し、オーバーシート層2、5として、透明硬質塩化ビニルシート(厚さ:0.10mm)を2枚使用した。
上記の実施例のサンプルおよび比較例のサンプルの各カードについて、レーザの照射時間と解像度の条件を振って、レーザ照射による長方形のパターンをマトリックス状に形成するレーザ照射印字テストを行った。その結果のサンプル画像を、実施例のサンプルとして図8(a)に、比較例のサンプルとして図8(b)に示す。図8(a)に示すように、実施例のサンプルでは、レーザの照射時間が長い側でかつ解像度が高い側で、レーザ印字後に形成された長方形のパターンの色彩が、下地の基材と同色の白色となっている(特に外観が良好な結果を丸で囲んだ)。なお、最もエネルギーが高い、照射時間が長く、かつ解像度が高い条件では、基材が焦げ始める等、品質が悪化している(図8(a)の右上隅の四角で囲んだ部分)。これに対して、図8(b)に示す、比較例のサンプルでは、レーザの照射時間および解像度の条件に関わらず、レーザ印字後に形成された長方形のパターンの色彩を、オレンジ色から白色に近づけることは不可能であった。これより、印刷積層部1として、所定条件の第1隠蔽層14を第2隠蔽層13の下層に設けることが良好なレーザ印字を得るために必須であることが分かった。
2、5 オーバーシート層
3、4 コアシート層
6 磁気テープ
9、9B、9C カード
10、10A、10B、10C レーザ印字カード
11 転写基材
12 絵柄印刷層
13 第2隠蔽層
13A 残留部
14、14A 第1隠蔽層
30 レーザ光
41、41A、42、43A、43B、43C、43D 除去部
44 44A、44B パターン部
50 印刷層
51 第1色部
52 第2色部
53 第3色部
54 第4色部
Claims (8)
- 基材と、
前記基材の一方の面に形成された第1の隠蔽層と、
前記第1の隠蔽層の、前記基材とは反対側の面に形成された第2の隠蔽層と、を備えたレーザ印字カードであって、
前記第1の隠蔽層は、金属粉を含む第1のインキから構成され、
前記第2の隠蔽層は、金属粉および当該金属粉と混合される有彩色の顔料または染料を含む第2のインキから構成され、
前記第1のインキが有彩色の顔料または染料を含む場合には、前記第2のインキに含まれる有彩色の顔料または染料の前記第2のインキに対する質量比は、前記第1のインキに含まれる有彩色の顔料または染料の前記第1のインキに対する質量比よりも大きく、
前記一方の面の側から前記第2の隠蔽層に向けてレーザ光を照射することによって、前記第2の隠蔽層の一部と前記第1の隠蔽層の一部とが除去され、前記基材の一部が露出することを特徴とする、レーザ印字カード。 - 基材と、
前記基材の一方の面に形成された第1の隠蔽層と、
前記第1の隠蔽層の、前記基材とは反対側の面に形成された第2の隠蔽層と、を備えたレーザ印字カードであって、
前記第1の隠蔽層は、金属粉を含む第1のインキから構成され、
前記第2の隠蔽層は、金属粉および有彩色の顔料または染料を含む第2のインキから構成され、
前記第1のインキが有彩色の顔料または染料を含む場合には、前記第2のインキに含まれる有彩色の顔料または染料の前記第2のインキに対する質量比は、前記第1のインキに含まれる有彩色の顔料または染料の前記第1のインキに対する質量比よりも大きく、
前記一方の面の側から前記第2の隠蔽層に向けてレーザ光を照射することによって、前記第2の隠蔽層の一部と前記第1の隠蔽層の一部とが除去され、前記基材の一部が露出するものであり、
前記第1の隠蔽層は、アルミニウム粉を含む第1のインキから構成される銀色の隠蔽層であり、
前記第2の隠蔽層は、アルミニウム粉および黄色の顔料または染料を含む第2のインキから構成される金色の隠蔽層である、レーザ印字カード。 - 前記基材は透明または白色であり、前記基材の一部を露出させたときに当該基材の一部を白色として視認することができる、請求項1または請求項2に記載のレーザ印字カード。
- 前記基材は、コアシート層および透明なオーバーシート層の積層体を含み、
前記基材の前記一方の面は、前記オーバーシート層が露出している面であり、
前記積層体の前記コアシート層および前記オーバーシート層の間に印刷層が形成され、
前記基材の一部を露出させたときに、前記印刷層の一部を、前記オーバーシート層を透過して視認することができる、請求項1または請求項2に記載のレーザ印字カード。 - 前記印刷層は複数色によって形成され、
前記基材の一部を露出させたときに、前記印刷層の一部を、前記オーバーシート層を透過して複数色として視認することができる、請求項4に記載のレーザ印字カード。 - 前記第1の隠蔽層の面積は、前記第2の隠蔽層の面積よりも小さく形成されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のレーザ印字カード。
- 前記基材の前記一方の面には磁気テープが貼られており、かつ、前記第1の隠蔽層は前記磁気テープと重ならないように配置されている、請求項6に記載のレーザ印字カード。
- 基材を準備する工程と、
前記基材の一方の面に、金属粉を含む第1のインキから構成される第1の隠蔽層を形成する工程と、
前記第1の隠蔽層の前記基材とは反対側の面に、金属粉および当該金属粉と混合される有彩色の顔料または染料を含み、かつ、前記第1のインキが有彩色の顔料または染料を含む場合には、前記第1のインキにおける顔料または染料のインキに対する質量比よりも大きい質量比を有する、第2のインキから構成される第2の隠蔽層を形成する工程と、
前記一方の面の側から前記第2の隠蔽層に向けてレーザ光を照射することによって、前記第2の隠蔽層の一部と前記第1の隠蔽層の一部とを除去し、前記基材の一部を露出させる工程と、を含む、レーザ印字カードの製造方法。
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WO2015129346A1 (ja) | 2014-02-27 | 2015-09-03 | 大日本印刷株式会社 | カード、カードの製造方法 |
JP2017222083A (ja) | 2016-06-15 | 2017-12-21 | 凸版印刷株式会社 | カード |
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