JP2023049494A - 積層体、積層体を用いたカードおよび冊子体 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ光の照射によって、視認し易いカードの発色が得られる積層体、積層体を用いたカードおよび冊子体を提供する。【解決手段】積層体1は、着色層5と、当該着色層5の一方の面側に設けられた、可視光に対する透過性を有する透明層6と、当該透明層6の着色層5とは反対の面側に設けられた発泡層120と、を備える。発泡層120は、所定条件でのレーザ光の照射時に発泡し、当該発泡した部分が、第1の色彩の所定パターンとして視認され、当該所定パターン以外の領域では、透明層6を透過して、第1の色彩とは異なる第2の色彩の着色層5が視認できる。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザマーキングが可能な積層体、積層体を用いたカードおよび冊子体に関する。
従来、レーザ光を照射することにより、基材を発色させて印字等を行う技術が知られている。対象物の表面に印字等をする技術として、インクジェットによる印刷方法や、インクリボンを用いてサーマルヘッドによりインクを熱転写する方法がある。しかし、これらの方法はインクを対象物の表面に付着させるだけであるため、強く擦ると印字が剥がれて読めなくなる等の問題がある。これに対して、レーザ光の照射により基材を発色させて印字する場合、対象物に不可逆的な痕跡を残すため、印字部分の削除や偽造が困難であり、セキュリティ性にも優れる。一方、レーザ光を発色層に照射すると、レーザ光のエネルギーにより熱が生じ、その熱により、発色層または発色層を含む積層体の印刷部分またはその付近に変形や発泡が生じることが知られている。
これについて、特許文献1には、発色層の厚みを調整する技術が開示されており、特許文献2には、カード用シートにおいて、所定のガラス転移温度の条件を満たす発色層および接着層を用いる技術が開示されている。これら技術は、それらの構成により、カード用シートの変形や発泡を防いでいる。
一方、特許文献3には、以下のようなレーザマーキング記録媒体が記載されている。すなわち、レーザ光を透過しないコア基材に、レーザ光の照射により発色する内発色層と、レーザ光を透過する表面材とが順次積層された記録媒体であって、表面材上に、レーザ光の照射により内発色層と異なる色の発色または白濁を発現する外発色層がさらに積層されている。当該文献は、レーザ光の照射により外発色層を積極的に発泡させることにより、発色または白濁を発現させるものである。
特開2004-148642号公報 特開2004-243685号公報 特開2019-64198号公報
レーザ光の照射によるカードへの発色印字の際に、カード基材が発泡することにより、品質低下を招く可能性がある。その一方、カード基材の発泡の程度が一定範囲であれば、この発泡により生じる色彩をカードの発色と捉えることにより、カードの発色印字の方法のバリエーションを増やすことができる。
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、レーザ光の照射によって、視認し易いカードの発色が得られる積層体、積層体を用いたカードおよび冊子体を提供することを課題とする。
本実施の形態による積層体は、着色層と、当該着色層の一方の面側に設けられた、可視光に対する透過性を有する透明層と、当該透明層の前記着色層とは反対の面側に設けられた発泡層と、を備え、前記発泡層は、所定条件でのレーザ光の照射時に発泡し、当該発泡した部分が、第1の色彩の所定パターンとして視認され、当該所定パターン以外の領域では、前記透明層を透過して、前記第1の色彩とは異なる第2の色彩の前記着色層が視認できる。
また、本実施の別の形態による積層体において、前記第1の色彩は無彩色の白色または灰色であり、前記第2の色彩は無彩色の灰色もしくは黒色、または有彩色であってもよい。
また、本実施の別の形態による積層体において、前記着色層は、着色されたコア層であってもよい。
また、本実施の別の形態による積層体において、前記着色層は、白色または有彩色のコア層の前記透明層を向く面に、インキによって印刷または塗布されることにより形成されていてもよい。
また、本実施の別の形態による積層体において、前記発泡層の、発泡していない面に対する発泡した部分の盛上がり高さが、100μm以下であってもよい。
また、本実施の別の形態による積層体において、前記着色層の他方の面側に設けられた、可視光に対する透過性を有する第2の透明層と、当該第2の透明層の前記着色層とは反対の面側に設けられた、有彩色または無彩色の顔料を含む第2の着色層と、前記第2の着色層の前記第2の透明層とは反対の面側に設けられた、第2の発泡層と、をさらに備え、前記第2の発泡層は、所定条件でのレーザ光の照射時に発泡し、当該発泡した部分が、第3の色彩の所定パターンとして視認され、当該所定パターン以外の領域では、前記第3の色彩とは異なる第4の色彩の前記第2の着色層が視認できるものでもよい。
本実施の形態による積層体を備えたカードは、上記のいずれかの積層体を備えてもよい。
本実施の形態による積層体を備えた冊子体は、上記のいずれかの積層体を備えてもよい。
本実施の形態によれば、レーザ光の照射によって、視認し易いカードの発色が得られる積層体、積層体を用いたカードおよび冊子体を提供することができる。
第1実施形態の積層体であるカードの構造を説明する平面図および断面図である。 第1実施形態の変形例に係るカードの構造を説明する断面図である。 第2実施形態の積層体である冊子体の構造を説明する概略斜視図および断面図である。 カードへのレーザ光の照射後の発色の状態を示す図である。
以下、図面等を参照して、本開示の積層体の一例について説明する。ただし、本開示の積層体は、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
1.第1実施形態
本開示の積層体の実施形態の一例である第1実施形態について説明する。図1(a)は、本開示の積層体の一種であるカード1を、その一方の面に垂直な方向から見た平面図である。当該一方の面を便宜的に表面1pと称するが、実際には、カード1の一方の面および他方の面のいずれを表面または裏面と称してもよい。カード1は、典型的にはクレジットカードやキャッシュカード、社員証等として用いられるISO/IEC7810に準拠する縦横寸法や厚さ、形状を有する。本開示の積層体は、主として複数の樹脂層や紙材層等が熱融着により、または接着剤により接合され、一体化したものを示し、例示的には、パスポートや貯金通帳等の冊子体、カード、およびこれらを製造するための積層されたシート等の中間生成物を含むものである。
ここで、説明の便宜上、カード1についてXYZ直交座標系を設定する。図1(a)に示すように、カード1の表面の法線方向にZ軸をとり、カード1の長辺に沿う方向にX軸をとる。また、カード1の短辺に沿う方向にY軸をとる。Z軸に沿ったカード1の裏面1qから表面1pに向かう方向を+Z方向とし、その反対方向を-Z方向とする。Z軸に沿った方向を単に上下方向ともいう。また、X軸に沿った左側から右側に向かう方向を+X方向とし、その反対方向を-X方向とする。X軸に沿った方向を単に左右方向ともいう。さらに、Y軸に沿った紙面の下方から上方に向かう方向を+Y方向とし、その反対方向を-Y方向とする。
図1(b)は、図1(a)のカード1の表裏を反対にして、裏面1qが正面に見える向きに配置したカード1の平面図である。また、図1(c)は、図1(a)のカード1を、Y軸に沿ったA-A線について切った断面を+X方向側から見た断面図である。
(a)カードの構成
カード1は、図1(c)に示すように、裏面1q側、すなわち-Z方向側から順に、発泡層120、オーバーシート層6、着色コア層5、着色コア層4、オーバーシート層3、隠蔽着色層2、および発泡層110が積層されて一体化された態様で構成されている。このうち、発泡層110および120は、XY平面に沿ったカード1の略全面ではなく、その一部の領域にのみ配置されている。すなわち、発泡層110は、図1(a)に示すように、XY平面に沿ったカード1の-X方向側かつ-Y方向側の隅である略矩形の一部領域にのみ配置されている。また、発泡層120は、図1(b)に示すように、XY平面に沿ったカード1の磁気ストライプ220よりも-Y方向側の略矩形の一部領域にのみ配置されている。
したがって、カード1の表面1pは、発泡層110である領域と隠蔽着色層2である領域とを含み、カード1の裏面1qは、発泡層120である領域とオーバーシート層6である領域とを含む。オーバーシート層3および6は透明層とも称し、着色コア層4および5は着色層またはコア層とも称する。なお、本開示において、部材や印刷層等が透明である、もしくは透明色である、または、部材や印刷層等が透過性を有する、もしくは透明性を有する、とは、目視や機械読み取りが可能な程度に可視光に対する透過性を有すれば足りる。これについては、例えば、波長が380nm以上で780nm以下である可視光の透過率が50%以上あることを含んでもよい。
ただし、カード1の構成はこのようなものには限定されず、発泡層110および120のいずれかまたは両方が、XY平面に沿ったカード1の略全面にわたって配置されてもよい。また、互いに隣接する層間に別の異なる層が配置されていてもよい。
図1(a)に示すように、カード1の表面1pを平面視したとき、当該表面1pの全域には、カード1の+Z方向側の先端部分を構成する隠蔽着色層2が視認される。実際には、表面1pの-X方向側かつ-Y方向側の隅である略矩形の一部領域には発泡層110が配置されている。しかし、第1パターン310以外の発泡層110は下地の隠蔽着色層2と同系色の黒色または黒色系の透明色であるため、発泡層110の存在がほとんど意識されず、カード1の表面1pの全体が黒色である隠蔽着色層2であるかのように視認される。また、カード1の表面1pの平面視において、その-X方向側および-Y方向側の隅には、「A1234」の英数字の結合として例示される第1パターン310が白色または灰色の色彩を有するものとして視認される。
一方、カード1の裏面1qを平面視したとき、当該裏面1qの全域には、カード1の-Z方向側の先端部分を構成する透明なオーバーシート層6を透過して、その内側の着色コア層5が視認される。実際には、裏面1qの磁気ストライプ220よりも-Y方向側の隅である略矩形の一部領域には発泡層120が配置されている。しかし、第2パターン320以外の発泡層120は、オーバーシート層6の下地の着色コア層5と同系色の黒色または黒色系の透明色であるため、発泡層120の存在がほとんど意識されず、カード1の裏面1qの全体が黒色である着色コア層5であるかのように視認される。また、カード1の裏面1qの平面視において、その-Y方向側の隅には、「1234 5678」の数字の結合にて例示される第2パターン320が視認される。
図1(c)に示すように、レーザ光の照射によって、表面1pの発泡層110が所定パターンに沿って部分的に発泡し、当該発泡した部分が黒色の発泡層110に対して白色または灰色に変色した発泡部21を形成する。これにより、所定パターンである第1パターン310が視認される。また、レーザ光の照射によって、裏面1qの発泡層120が所定パターンに沿って部分的に発泡し、当該発泡した部分が黒色または黒色系の透明色の発泡層120に対して白色または灰色に変色した発泡部121を形成する。これにより、所定パターンである第2パターン320が視認される。
本実施形態のカード1は、基材層の全体が着色された着色層である着色コア層5と、当該着色コア層5の一方の面側である-Z方向側に設けられた、可視光に対する透過性を有する透明層であるオーバーシート層6と、当該オーバーシート層6の着色コア層5とは反対の面側に設けられた発泡層120と、を備える。発泡層120は、所定条件でのレーザ光の照射時に発泡し、当該発泡した部分である発泡部121が、第1の色彩として例示される白色または灰色の所定パターンの第2パターン320として視認される。また、当該所定パターン以外の領域では、オーバーシート層6を透過して、第1の色彩とは異なる第2の色彩として例示される黒色の着色コア層5が視認できる。
通常、レーザ光の照射によってカード基材を発色させるための発色剤は、当該発色剤がレーザ光のエネルギーを吸収して発熱し、周囲の樹脂を炭化させることにより黒色または茶褐色に発色させるものが多い。このとき、本実施形態のように下地色が黒色系のカードの場合は、レーザ光の照射によって発色されたパターンが黒色または茶褐色であると、下地とのコントラストが得られにくく、当該パターンを視認することが困難となる。
これに対して、本実施形態のカード1は、上述するように、発泡層120が、レーザ光の照射によって、そのエネルギーを吸収して白色または灰色に発泡する性質を利用して、下地の色彩とのコントラストを十分に確保したパターンが印字できるようにしたものである。よって、本実施の形態によれば、レーザ光の照射によって、視認し易いカードの発色が得られる積層体であるカード1を実現できる。以下にカード1の構成の詳細について説明する。
(i)発泡層
発泡層110および120は、所定波長のレーザ光の照射を受けたときに、そのエネルギーを吸収して発熱し、周囲の樹脂等が所定の色彩に発泡する性質を利用して、レーザ光の描画に対応したパターンが視認可能となる性質を有する。このように、対象物の炭化ではなく、発泡によって下地とは異なる色彩の発泡を促し、所定パターンの視認性を得る方法としては、種々の公知の方法を選択できる。例えば、国際公開WO2006/101063号には、下地部が黒色である所定の熱可塑性樹脂に、特定エネルギー吸収剤として、カーボンブラック、チタンブラック、雲母、四三酸化鉄等を含有させることが記載される。これにより、所定のレーザ光の照射時に当該熱可塑性樹脂の照射された部分が乖離発泡し、白文字、白色記号及び白色図柄のいずれか一つ以上が発現する(例えば明細書の段落[0019]、[0021])。
このような特定エネルギー吸収剤のような、特定波長のレーザ光の吸収性が高い吸収剤は、例えばオーバーシート層3や6に直接練りこんで含有させてもよい。しかしながら、本実施形態では、隠蔽着色層2の+Z方向側の面やオーバーシート層6の-Z方向側の面に、このような吸収剤を含有したインキを公知の印刷方法や塗布方法により発泡層110や120として形成する。具体的には、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、活版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、静電印刷、インクリボンからの熱転写等が挙げられる。
なお、発泡層110の印刷層は、隠蔽着色層2のオーバーシート層3とは反対側となる面の所定領域に均等な濃度で隙間なく、すなわちベタの印刷層としてシルクスクリーン印刷等により形成されることが好ましい。また、発泡層120の印刷層も、オーバーシート層6の着色コア層5とは反対側となる面の所定領域に、上記と同様の方法で形成されることが好ましい。これにより、当該吸収剤が発泡層110および120の所定領域に均等に分散および配置され、レーザ光の照射時における発泡品質の安定が図れるからである。
本実施形態では、このように、特定波長のレーザ光の吸収性が高い吸収剤を、直接、カード基材であるオーバーシート層6等に練りこまずに、当該吸収剤を含有したインキを印刷等することにより、発泡層110や120として形成する。よって、レーザ光の照射による発泡の必要性がないカードと、当該必要性があるカードとを、同一基材、すなわち同一のオーバーシート層やコア層により形成することができ、カード品種に対する基材の共通化や製造工程の負荷軽減が図れる。また、カード券面のレーザ光を照射して発泡を促したい必要箇所にのみ、発泡層を印刷等で形成すればよいので、発泡層の材料コストの低減や、意図しない場所での発泡の抑制による品質の向上やセキュリティの向上が図れる。
発泡層110や120は、例えば上述したような所定の吸収剤を透明色のワニスに分散させて印刷用のインキを生成することができるが、当該吸収剤がカーボンブラックやチタンブラック、酸化鉄等を含む場合、当該インキは黒色または黒色系の透明色となる。したがって、白色の基材であるコア層やオーバーシート層に発泡層110や120を印刷した場合には、当該基材とのコントラストにより、発泡層110や120が視認され得る。
しかし、本実施形態では、発泡層110の背景として、黒色の隠蔽着色層2が視認され、一方、発泡層120の背景として、透明色のオーバーシート層6を透過して黒色の着色コア層5が視認されるため、背景と類似の色彩である発泡層110や120の存在がカモフラージュされる。これにより、カード1の表面1pおよび裏面1qのいずれにおいても発泡層110や120の存在が目立たないため、意匠性が向上する。
発泡層110に対して所定のレーザ光を照射した場合には、発泡層110が含有する上述の吸収剤が、レーザ光のエネルギーを吸収して発熱し、硬化した周辺のワニスの樹脂成分等を発熱させることでガスを発生させ、発泡層110の内部に多数の細かい気泡が形成される。すなわち発泡層110自体が発泡する。このような多数の細かい気泡の中では、光が乱反射するため、この部分は白色として視認されるか、あるいは下地色を薄くした色彩として視認される。本実施形態では、発泡層110の下地として黒色の隠蔽着色層2が配置されているため、発泡層110の発泡した部分は、白色または灰色として視認され得る。
一方、発泡層120に対して所定のレーザ光を照射した場合にも、上記と同様の理由により、発泡層120自体が発泡し、この部分は白色として視認されるか、あるいは下地色を薄くした色彩として視認される。本実施形態では、発泡層120の下地として透明なオーバーシート層6およびその背後に黒色の着色コア層5が配置されているため、発泡層120の発泡した部分は、オーバーシート層6を透過した着色コア層5の黒色の影響を受けて、白色または灰色として視認され得る。
ただし、発泡層110や120の発泡した部分の色彩は、白色または灰色として視認されることに限定されない。発泡による発色は、樹脂成分において多数の細かい気泡が形成されることに起因するので、背景色が赤色の場合には、発泡層の発泡部分はピンク色または薄い赤色となり得る。また、背景色が青色の場合には、発泡層の発泡部分は水色または薄い青色となり得る。
このとき、カード1の表面1pの法線方向から見たときの、発泡層110の発泡によって形成された第1パターン310の色彩と、下地として視認される隠蔽着色層2の部分の色彩との色差△E*abは10以上あることが好ましく、25以上あることがさらに好ましい。色差△E*abが前者の範囲であることにより、第1パターン310が背景に対してコントラストよく視認できる。また、色差△E*abが後者の範囲であることにより、カード1がユーザから離れた位置や傾いた位置に配置されていても、第1パターン310を明確に識別できる。なお、当該色差は、例えば、JIS Z8730(2009)の7.1.1に規定するL***表色系における色差△E*abとすることができる。
また、カード1の裏面1qの法線方向から見たときの、発泡層120の発泡によって形成された第2パターン320の色彩と、着色コア層5の色彩がオーバーシート層6を透過して視認できる状態のオーバーシート層6の表面の色彩との色差△E*abについても同様である。すなわち、当該色彩△E*abは10以上あることが好ましく、25以上あることがさらに好ましい。その理由も上記のとおりである。
発泡層110および120の膜厚については特に制限はないが、例えば、1μm以上、10μm以下とすることができる。また、レーザ光のエネルギーを吸収する吸収剤の粒子の平均粒子径は、2μm以上、30μm以下であることが好ましい。平均粒子径がこの範囲であることにより、印刷による吸収剤のビヒクル中の均等な分散が図れ、印刷面の全面において、安定した発泡品質を得ることができる。また、吸収剤の粒子の平均厚さが0.05μm以上、1.05μm以下であることが好ましい。吸収剤の粒子の平均厚さがこの範囲であることにより、印刷による吸収剤のビヒクル中の均等な分散を図りつつ、下地色の隠蔽効果の強弱を適切に調整可能である。
発泡層110および120を構成するインキの固形後の重量に対する、当該発泡層110および120における吸収剤の粒子の重量の割合は1以下であってもよい。言い換えると、吸収剤の粒子の重量を、固形化したインキの重量で割った値が1以下であってもよい。当該割合を1以下とし、吸収剤の粒子の量を所定割合に抑えることにより、吸収剤を含む発泡層110および120が他の層から剥離することを防止し、当該他の層と接着をより強固に行うことができる。
なお、吸収剤の粒子の平均粒子径は、JIS Z8825に規定される、レーザ回折、散乱法による粒度分布測定機によって計測される粒度分布についての、体積基準とした積算値50%での粒子径を指す。また、吸収剤の粒子の平均厚さは、原子間力顕微鏡により基準面との差を測定して、これらを相加平均したものを指す。
ここで、発色剤をレーザ光の照射によって発熱させ、周囲の樹脂を炭化させることで黒色または茶褐色の発色をさせるレーザ印字方法と、本実施形態のように、所定の吸収剤をレーザ光の照射によって発熱させ、周囲の樹脂を発泡させて、白色または灰色の発色をさせるレーザ印字方法と、のレーザ印字の違いについて図4(a)および図4(b)に基づいて説明する。図4(a)は、カード1bの正面側、すなわち-Z方向側の端面に、特定波長のレーザ光の照射で黒色に発色する発色剤を含有する、背景色が白色であるレーザ発色基材が配置され、これに対してレーザ光の条件を変えて照射した場合の印字結果の画像を縦横に並べて表示したものである。発色剤は例えば、アンチモンドープ酸化錫等が使用される。
印字結果としてマトリックス状に配列された正方形のパターンの画像は、それぞれ、X軸である横軸に沿ってレーザ光の発振周波数を50kHzから110kHzまで、10kHzずつ変化させ、かつ、Y軸である縦軸に沿って印字密度を200DPI(ドット・パー・インチ)から500DPIまで、50DPIずつ変化させて印字したものである。例えば図4(a)の+X方向側かつ+Y方向側の端の正方形のパターンの画像はレーザ光の発振周波数を110kHzとし、かつ、印字密度を500DPIとしたときの印字結果を示すものである。また、-X方向側かつ-Y方向側の端の正方形のパターンはレーザ光の発振周波数を50kHzとし、かつ、印字密度を200DPIとしたときの印字結果を示すものである。
その結果、印字結果として、マトリックス状に配列された正方形のパターンの画像のうち、おおむね、-X方向側に進むにつれて-Y方向側に傾斜する破線で表示した直線mよりも+Y方向側の領域の条件ではコントラストの大きい黒色の印字が得られている。その半面、直線mよりも-Y方向側の領域の条件ではコントラストが小さく、視認し難い薄いグレー色の印字となっている。したがって、レーザ光の照射条件のうち、発振周波数および印字密度が所定条件に入る場合にのみ、コントラストの良い、濃い印字が得られることが分かる。
これに対して、図4(b)は、カード1cの正面側、すなわち-Z方向側の端面に、特定波長のレーザ光の照射で発泡して白色に発色する吸収剤を含有する背景色が黒色である基材が配置され、これに対してレーザ光の条件を変えて照射した場合の印字結果の画像を縦横に並べて表示したものである。
印字結果としてマトリックス状に配列された正方形のパターンの配列は、上述の図4(a)と同様となっている。その結果、印字結果として、マトリックス状に配列された正方形のパターンの画像のうち、おおむね、破線で表示した曲線nよりも+Y方向側の領域の条件ではコントラストの大きい白色の印字が得られているものの、発泡が外観品質に影響を及ぼす程度に生じている。一方、曲線nとは間隔を隔ててその-Y方向側に配置される曲線oよりも-Y方向側の領域の条件ではコントラストが小さく、視認し難い薄いグレー色の印字となっている。
これに対して、曲線nと曲線oとで挟まれた領域においては、コントラストの大きい白色の印字が得られており、かつ、発泡が外観品質に影響を及ぼす程度には生じていない。すなわち、レーザ光の照射条件のうち、発振周波数および印字密度がY軸方向に沿って曲線nおよび曲線oに挟まれる領域となる所定条件に入る場合にのみ、外観品質が著しく低下しない程度の発泡により、コントラストの良い、濃い印字が得られることが分かる。
また、曲線nと曲線oとで挟まれた領域においては、発泡層の、発泡していない面に対する発泡した部分の盛上がり高さが、0.5μm以上、100μm以下であった。中でも、外観が良好なものは、当該盛上がり高さが、0.5μm以上、50μm以下であった。一方、発泡が外観品質に影響を及ぼす程度に生じている、曲線nよりも+Y方向側の領域の条件では、発泡層の、発泡していない面に対する発泡した部分の盛上がり高さが、最低でも115μm以上あった。このように、発泡層の、発泡していない面に対する発泡した部分の盛上がり高さが、100μm以下である場合、外観が良好であるばかりでなく、指で触った際に平滑なため、触ったときの違和感を低減できる。なお、発泡層の、発泡していない面に対する発泡した部分の盛り上がり高さは、ISO/IEC10373-2の5.2.3.2の磁気ストライプの盛上がり高さの試験方法に準じて、磁気ストライプの部分を発泡層に置き換えて測定できる。
(ii)オーバーシート層
オーバーシート層6および3は、後述する着色コア層5および4をそれぞれ外側から挟み込む部材であり、典型的には透明色の各種のプラスチックシートを幅広く使用することができる。オーバーシート層6および3には、以下にあげる単独のフィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET-G(テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン等である。
オーバーシート層6および3の厚さについては特に制限はないが、例えば0.01mm以上、0.2mm以下とすることができ、好適には0.05mm以上、0.1mm以下とすることができる。また、後述する着色コア層5および4と同様に、オーバーシート層6および3のそれぞれの厚さを略同一厚さとすることができるが、互いに異なる厚さとしてもよい。着色コア層4および5、並びにオーバーシート層6および3、のそれぞれの厚さが略同一であることにより、積層体を熱プレス等で一体化する工程やその後の経時変化による反りの発生が抑制され得る。
なお、本実施形態では、オーバーシート層6の外側を向く面、すなわち着色コア層5とは反対側の面に磁気ストライプ220が熱転写により埋め込まれている。また、オーバーシート層3の外側を向く面、すなわち着色コア層4とは反対側の面に磁気ストライプ210が熱転写により埋め込まれている。磁気ストライプ210および220には、例えばISO/IEC7811-2、ISO/IEC7811-6またはJISX6302-2附属書JA等に規定される磁気データが、対応する磁気リーダーにて読み書き可能であるように記録される。
オーバーシート層3の磁気ストライプ210が形成された側の面、すなわちオーバーシート層3のさらに+Z方向側の面には、全面にわたって磁気ストライプ210を視認し難くなるようにこれを隠蔽する印刷層である黒色で例示される隠蔽着色層2が形成されている。
(iii)着色コア層
着色コア層5および4としては、典型的には有彩色または無彩色に着色された各種のプラスチックシートを幅広く使用することができ、例えば、上述したオーバーシート層6および3の部材として例示した部材を挙げることができる。典型的なカード用の基材として使用するコア層は白色であることが多いが、白色も本実施形態における着色コア層に含まれる。その他、着色コア層には、グレー色、黒色、黄色、緑色、青色、赤色、橙色、紫色や、これらを薄くした色や濃くした色、これらの複数色の合成色や中間色を含み、各色の蛍光色や光沢色も含む。本実施形態における着色コア層5および4は、いずれも同一色の黒色とする。
着色コア層5および4の厚さについては特に制限はないが、例えば0.05mm以上、0.5mm以下とすることができ、好適には0.15mm以上、0.3mm以下とすることができる。着色コア層5および4のそれぞれの厚さは、前述したように、カード1の厚さ方向に沿った各層の対称性を考慮して略同一厚さとすることができるが、互いに異なる厚さとしてもよい。
なお、特に着色コア層5の色彩は、発泡層120の発泡により形成された第2パターン320の色彩と対応して定められることが好ましい。例えば、第2パターン320の色彩が無彩色の白色または灰色である場合、着色コア層5の色彩は、無彩色の灰色もしくは黒色、または有彩色であることが好ましい。第2パターン320の色彩が白色または白色に近い灰色である場合、着色コア層5の色彩を黒色または黒色に近い灰色とすることで、透明なオーバーシート層6を透過した着色コア層5の色彩と第2パターン320の色彩とにコントラストが付け易くなる。これにより、第2パターン320が視認し易くなるからである。
また、第2パターン320の色彩が白色または白色に近い灰色であれば、着色コア層5の色彩を黒色以外の有彩色としても、透明なオーバーシート層6を透過した着色コア層5の色彩と第2パターン320の色彩とにコントラストが付け易くなる。これにより、第2パターン320が視認し易くなる。第2パターン320の色彩が白色に近い灰色であり、透明なオーバーシート層6を透過した着色コア層5の色彩が黒色に近い灰色である場合、両者の色差△E*abが、上述のように10以上あることが好ましく、25以上あることがさらに好ましい。
なお、本実施形態のカード1では、第2パターン320の下地色を呈する着色コア層5と、第2パターン320が形成される発泡層120との間には、透明色のオーバーシート層6が配置されている。したがって、レーザ光が発泡層120に焦点を合わせて照射されたとしても、オーバーシート層6の厚さ分だけ離隔した着色コア層5にはレーザ光のエネルギーは到達し難く、着色コア層5を加熱する可能性は低くなる。
着色コア層5がカーボンブラックや金属アルミ紛等の顔料を含有する場合には、所定のレーザ光のエネルギーを吸収しやすいため、着色コア層5が発熱し易くなる。しかし、着色コア層5がこのような顔料を含有していても、オーバーシート層6を挟まない場合と比べて、着色コア層5の意図しない発泡やそれによる外観不良を低減できる。したがって、基材や着色剤の成分等も含めた着色コア層5の選定の自由度が高まる。
また、レーザ光が発泡層120を発泡させる場合、そのエネルギーは、これと隣接するオーバーシート層6にも伝達し、若干ではあるがオーバーシート層6自体が発熱によって内部にガスを発生させ、気泡を生じることが考えられる。これにより、発泡層120の発泡による白色または灰色の発色に加えて、その下層に配置されるオーバーシート層6にも若干の発泡が生じ、透過性が阻害された変質部61が形成される。
よって、当該変質部61の形成により、発泡層120の発泡による白色または灰色の発色の効果をさらに強めることが期待できる。外部から視認したときに、このようなオーバーシート層6自体の発泡は、着色コア層5の手前側で発生するため、カード1の外観不良とはなり難く、逆に第2パターン320の視認性を高めることに寄与する。
一方、第1パターン310の下地色を呈する隠蔽着色層2と、第1パターン310が形成される発泡層110とは直接、隣接しており、両者の間にはオーバーシート層等は存在しない。よって、レーザ光が発泡層110に焦点を合わせて照射されたとき、その直下に配置される隠蔽着色層2には、レーザ光のエネルギーが到達する可能性が高い。これより、隠蔽着色層2はカーボンブラックや金属アルミ紛等の、レーザ光の吸収性の高い顔料を含まないことが好ましい。
もし、隠蔽着色層2を黒色とする場合は、シアン、マゼンタ、イエローの各顔料を含むインキを重ね合わせて印刷することにより実現するか、カーボンレス仕様のブラック顔料から構成されるインキを使用することが好ましい。隠蔽着色層2がカーボンブラックや金属アルミ紛を含まないことにより、レーザ光が発泡層110に焦点を合わせて照射されたとき、隠蔽着色層2の意図しない発泡等により外観不良となるリスクを低減できる。
(b)カードの製造方法
次に、上述した各部材を用いたカード1の製造方法の一例を説明する。
まず、カード1の積層体を構成する各々の層となる部材を準備する。すなわち、-Z方向側から見て、オーバーシート層6、着色コア層5、着色コア層4、オーバーシート層3、がこの順に積層できるよう、各層部材を準備する。これらの各層部材は、通常はカード1枚分ではなく、複数枚のカードが縦横に配置された大判状態で準備され、多面付けの積層体、積層シートとして加工される。すなわち、各層部材は、厚さ方向の平面視において、複数のカードが重畳せずに配置可能な面積を有する。そして、大判状態の多面付けの積層体を個々のカード形状に打ち抜く工程を経て、カード形状の積層体であるカード1を得る。
ここで、オーバーシート層6の着色コア層5とは反対側の面には、あらかじめ、上述した所定の領域について、発泡層120を、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、活版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、静電印刷、インクリボンからの熱転写等により形成しておく。また、必要に応じて、オーバーシート層3の+Z方向側の面と、オーバーシート層6の-Z方向側の面とに、それぞれ磁気ストライプ210および220を熱転写形成しておく。
また、オーバーシート層3の着色コア層4とは反対側の面には、そのXYへ面の略全面にわたって磁気ストライプ210を隠蔽するための隠蔽着色層2を、上述した印刷方式等により形成しておく。さらに、この隠蔽着色層2のオーバーシート層3とは反対側の面には、所定の領域について、発泡層110を上述した印刷方式等により形成しておく。
同様に、オーバーシート層6の着色コア層5とは反対側の面には、所定の領域について、発泡層120を上述した印刷方式等により形成しておく。隠蔽着色層2および発泡層110は、積層前の磁気ストライプ210付きのオーバーシート層3に直接印刷してもよく、発泡層120は、積層前の磁気ストライプ220付きのオーバーシート層6に直接印刷してもよい。
また、その代わりに、あらかじめ、軟化点が高いPETフィルムにオフセット印刷やシルクスクリーン印刷等によって発泡層110および隠蔽着色層2の所定のパターンを形成しておき、これを後から積層前または積層後の磁気ストライプ210付きのオーバーシート層3に熱転写してもよい。同じく、PETフィルムに印刷等によって発泡層120の所定のパターンを形成しておき、これを後から積層前または積層後の磁気ストライプ220付きのオーバーシート層6に熱転写してもよい。これにより、比較的、膜厚の厚い印刷層をオーバーシート層3および6の上に容易に形成でき、磁気ストライプ210の隠蔽性を高めることができる。
上記により得られた、大判シート単位の積層体を、打ち抜き機によりISO/IEC7810のカードサイズであるカード1となるように打ち抜く。打ち抜きは凸形状の雄刃と、これと嵌合する凹形状または貫通孔を有する雌刃とが組み合わされた抜き型を使用してもよく、または外周刃を有し内部が中空であるトムソン刃もしくはビク刃を抜き型として使用してもよい。このようにして、レーザ光の照射前の第1パターン310や第2パターン320が形成される前のカード1が完成する。
次に、カード1の表面1pおよび裏面1qに、例えば「A1234」と例示される英数字の結合の第1パターン310、および「1234 5678」と例示される数字の結合の第2パターン320を形成する。このような第1パターン310および第2パターン320の形成は、レーザマーキング機能を備えた発行機等において、所定波長のレーザ光を所定パターンに描画させながら当該カード1の指定領域に照射させることにより行う。レーザ光の種類としては、YAGレーザ、YVO4レーザ、CO2レーザ、およびファイバーレーザ等を挙げることができ、特に、YAGレーザ、YVO4レーザやファイバーレーザを使用することが好ましい。
カード1の表面1pについては、発行機のレーザ光の焦点をカード1の厚さ方向の発泡層110に合わせてレーザ光を照射し、レーザ光が描画した軌跡に沿って、当該発泡層110の所定パターンに対応する部位が発泡し、その結果、白色または灰色に発色する。発泡層110の発泡は、レーザ光のエネルギーによって加熱された発泡層110の吸収剤の周囲のワニス等に含まれる樹脂にガスが発生し、多数の細かい気泡が生じることにより行われる。その結果、発泡層110が発泡することにより形成された所定パターンは、隠蔽着色層2の黒色の色彩を背景とする、白色または灰色の色彩を有する第1パターン310として視認される。
一方、カード1の裏面1qについては、発行機のレーザ光の焦点をカード1の厚さ方向の発泡層120に合わせてレーザ光を照射し、レーザ光が描画した軌跡に沿って、当該発泡層120の所定パターンに対応する部位が発泡し、その結果、白色または灰色に発色する。その結果、発泡層110と同様の原理により、発泡層120が発泡して所定パターンが形成される。この所定パターンは、+Z方向側に隣接するオーバーシート層6を透過して、さらにその+Z方向側に隣接する着色コア層5の黒色の色彩を背景とする、白色または灰色の色彩を有する第2パターン320として視認される。
なお、カード1の表面1pおよび裏面1qにレーザ光の照射により形成された第1パターン310や第2パターン320は、英数字や数字が結合したものとして例示した。しかし、第1パターン310や第2パターン320はこれには限定されず、例えば、任意の国内外の文字、英数字、ローマ数字、記号、模様、写真、イラスト、図形等が適宜組み合わされたものであってもよい。
また、着色コア層5および4並びに隠蔽着色層2の色彩がいずれも同一色の黒色とし、発泡層110および120に形成される第1パターン310および第2パターン320の色彩が白色または灰色として説明した。しかしこれに限らず、着色コア層5および4並びに隠蔽着色層2は互いに異なる色彩であってもよく、着色された色であれば、蛍光色や光沢色であることを含めていかなる色彩を有していてもよい。また、発泡層110および120に形成される第1パターン310および第2パターン320も、着色コア層5および隠蔽着色層2とのコントラストが確保できることを条件に、任意の色彩を有していてもよい。
(c)第1実施形態のカードについて
以上、説明したように、第1実施形態による積層体であるカード1は、着色層である着色コア層5と、当該着色コア層5の一方の面側に設けられた、可視光に対する透過性を有する透明層であるオーバーシート層6と、当該オーバーシート層6の着色コア層5とは反対の面側に設けられた発泡層120と、を備える。発泡層120は、所定条件でのレーザ光の照射時に発泡し、当該発泡した部分が、白色または灰色として例示される第1の色彩の所定パターンとして視認され、当該所定パターン以外の領域では、オーバーシート層6を透過して、第1の色彩とは異なる黒色等で例示される第2の色彩の着色コア層5が視認できる。
通常の、金属酸化物を主体とする発色剤を含有したレーザ発色基材では、所定波長のレーザ光の照射により発色剤が発熱し、周囲の基材の樹脂が炭化して黒色または茶褐色の印字が可能である。しかし、カードの基材であるコア層やオーバーシート層が黒色または有彩色である場合には、黒色系の印字色では印字パターンの視認が困難な場合がある。これに対して、本実施形態のカード1は、オーバーシート層6の着色コア層5とは反対側の面に発泡層120を設け、発泡層120を発泡させることにより、通常の発色剤等では実現し難い白色または灰色のレーザ印字が可能となる。このため、印字パターンの背景色となる、オーバーシート層6を透過して視認される着色コア層5の色彩が黒色等であったとしても、当該印字パターンをコントラストよく視認することができる。
さらには、第2パターン320の下地色を呈する着色コア層5と、第2パターン320が形成される発泡層120との間には、透明色のオーバーシート層6が配置されている。したがって、レーザ光が発泡層120に焦点を合わせて照射されたとしても、オーバーシート層6の厚さ分だけ離隔した着色コア層5には、レーザ光のエネルギーは到達し難く、着色コア層5を加熱する可能性は低くなる。よって、着色コア層5は、カーボンブラックや金属アルミ紛等のレーザ吸収率が比較的高い顔料等を含有しても外観品質の低下が起き難く、着色コア層5の部材選定の自由度が高められる。
さらには、レーザ光が発泡層120を発泡させる場合、これと隣接するオーバーシート層6にも伝熱するため、オーバーシート層6自体の発泡が生じ得る。この場合、発泡層120の発泡による白色または灰色の発色に加えて、その下層に配置されるオーバーシート層6にも若干の発泡が生じ、発泡層120の発泡による白色または灰色の発色の効果をさらに強めることが期待できる。
以上により、本実施形態の積層体であるカード1により、レーザ光の照射によって、視認し易いカードの発色が得られる。
2.第1実施形態の変形例
次に、本開示の積層体の第1実施形態の変形例について説明する。図2は、変形例に係る積層体の一種であるカード1aを、図1(a)のY軸に沿ったA-A線と同様の線について切った断面を、+X方向側から見た図1(c)と同様の断面図である。変形例に係るカード1aは、コア層4aおよび5aが例えば白色の基材であり、コア層4aとオーバーシート層3との間に印刷等による着色層71が設けられ、コア層5aとオーバーシート層6との間に印刷等による着色層72が設けられている点が、第1実施形態に係るカード1の構成とは異なる。
着色層71および72は、任意の印刷方法等で形成された着色顔料を含むインキ等で構成され、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー等の顔料を含んでもよく、その他の特殊な色彩の顔料を含んでいてもよい。本変形例では、着色層71および72の色彩は、第1実施形態の着色コア層5および4と同様に、黒色である。
着色層71および72の形成は以下のように行う。すなわち、上述したカード1の製造方法において、コア層5aのオーバーシート層6の側を向く面に、あらかじめ着色層72を発泡層110および120について例示したような印刷方法等によって形成する。なお、着色層72は単色の印刷層として設けてもよく、複数色の印刷層が積層されたものとして設けてもよい。また、コア層4aのオーバーシート層3の側を向く面に、あらかじめ着色層71を着色層72と同様の印刷方法等によって形成する。
本実施形態のカード1aは、第1実施形態のカード1と同様に、オーバーシート層6のコア層5aとは反対側の面に発泡層120を設け、発泡層120を発泡させることにより、通常の発色剤等では実現し難い白色または灰色のレーザ印字が可能となる。このため、印字パターンの背景色となる、オーバーシート層6を透過して視認される着色層72の色彩が黒色等であったとしても、当該印字パターンをコントラストよく視認することができる。
さらには、第2パターン320の下地色を呈する着色層72と、第2パターン320が形成される発泡層120との間には、透明色のオーバーシート層6が配置されている。したがって、レーザ光が発泡層120に焦点を合わせて照射されたとしても、オーバーシート層6の厚さ分だけ離隔した着色層72には、レーザ光のエネルギーは到達し難く、着色層72を加熱する可能性は低くなる。
よって、着色層72は、カーボンブラックや金属アルミ紛等のレーザ吸収率が比較的高い顔料等を含有したインキ等で形成しても外観品質の低下が起き難く、着色層72のインキの選定の自由度が高められる。さらには、コア層5aは白色でもよく、その他の色彩を有してもよい。このため、色彩を含めてコア層5aの基材選定の自由度が広げられ、複数品種についての部材の共通化が図れる。
3.第2実施形態
次に、本開示の積層体の第2実施形態について説明する。図3(a)は、第2実施形態に係る積層体の一種である冊子体10を説明する概略斜視図である。図3(b)は、図3(a)の冊子体10に含まれるデータページ410に対して、これをデータページ410の主面に平行なY軸に沿ったB-B線について切った断面を+X方向側から見た断面図である。図3(c)は、第2実施形態の冊子体10のデータページ410に関する変形例であるデータページ411を説明する、図3(b)と同様の断面図である。
冊子体10は、例えばパスポートや貯金通帳のように、複数の頁の一端が綴じられて冊子状になるものを指す。本実施形態の冊子体10はパスポートである。冊子体10は略矩形状の表紙420および裏表紙430を備え、当該表紙420および当該裏表紙430の間に1枚または複数枚のページが挟まれて綴じられており、各々のページが不正により、あるいは不用意に取り外されないように構成されている。
これらのページの中には、パスポートの所有者の資格情報等が記載されたデータページ410が含まれる。データページ410には、パスポートの所有者の資格を証明する各種情報として、例えば、所有者の顔写真、氏名、生年月日、パスポート番号、有効期限等が表示され得る。本開示の冊子体10では、図3(a)に示すように、データページ410を外部から見たときに、例えば黒色の色彩の背景を備える発泡層130およびオーバーシート層6aを透過した着色コア層5bを背景として、レーザ光の照射により例えば白色または灰色に発色して形成された第3パターン330を視認できる。第3パターン330は、「ABCD 1234」として例示される英数字の結合である。
冊子体10に含まれるデータページ410は、図3(b)に示すように、-Z方向側から順に、着色コア層5b、オーバーシート層6a、および発泡層130がこの順に積層されて一体化された態様で構成されている。発泡層130は、図3(a)に示すように、XY平面に沿ったデータページ410の一部の略矩形領域にのみ配置されている。
データページ410の着色コア層5b、オーバーシート層6a、および発泡層130の配置および部材の詳細の構成は、第1実施形態のカード1における着色コア層5、オーバーシート層6、および発泡層120のそれと対応している。
データページ410は、着色層である着色コア層5bと、当該着色コア層5bの一方の面側に設けられた、可視光に対する透過性を有するオーバーシート層6aと、当該オーバーシート層6aの着色コア層5bとは反対の面側に設けられた発泡層130と、を備える。発泡層130は、所定条件でのレーザ光の照射時に発泡し、当該発泡した部分が、白色または灰色として例示される第1の色彩の所定パターンとして視認される。また、当該所定パターン以外の領域では、オーバーシート層6aを透過して、第1の色彩とは異なる黒色として例示される第2の色彩の着色コア層5bが視認できる。
ここで、冊子体10のデータページ410の+Z方向側の面を平面視したとき、データページ410の+Z方向側の先端部分を構成する発泡層130と、透明なオーバーシート層6aを透過した、その内側の着色コア層5bとが視認される。発泡層130は着色コア層5bと同系色であり、例えば黒色である。また、データページ410の+Z方向側からの平面視において、当該着色コア層5bの色彩を背景色として、レーザ光の照射によって発泡層130の一部が発泡することにより、白色または灰色に発色して形成された第3パターン330が視認される。
第3パターン330は、オーバーシート層6aを透過して視認される着色コア層5bの色彩を下地色とし、発泡層130が発泡した発泡部22の白色または灰色の色彩が当該下地色とコントラストを有することにより、当該発泡部22の第3パターン330が視認し易くなっている。
本実施形態の冊子体10のデータページ410は、第1実施形態のカード1の一部と同様の層構成を備えているため、これと同様の作用効果を備えている。
さらに、冊子体10のデータページ410の構成の変形例として、図3(c)に示すデータページ411を挙げることができる。データページ411は、-Z方向側から順に、白色であるコア層5c、印刷等で形成される着色層73、オーバーシート層6a、および発泡層130がこの順に積層されて一体化された態様で構成されている。着色コア層5bに代えて白色であるコア層5cおよび着色層73が配置されている点が、データページ410の構成とは異なる。
データページ411のコア層5c、着色層73、オーバーシート層6a、および発泡層130の配置および部材の詳細の構成は、第1実施形態の変形例のカード1aにおけるコア層5a、着色層72、オーバーシート層6、および発泡層120のそれと対応している。したがって、本実施形態においても、第1実施形態の変形例で述べたものと同様の作用効果を有する。
なお、カードおよび冊子体として例示した本開示の積層体は、矛盾が生じない限りにおいて第1実施形態およびその変形例、並びに第2実施形態およびその変形例の一部または全部の態様を互いに組み合わせた別の実施形態として構成することができ、これらも当然に本開示に含まれる。
1、1a、1b、1c カード
2 隠蔽着色層
3、6、6a オーバーシート層
4、5、5b 着色コア層
4a、5a、5c コア層
10 冊子体
21、22、121 発泡部
61 変質部
71、72、73 着色層
110、120、130 発泡層
210、220 磁気ストライプ
230 サインパネル
310 第1パターン
320、321 第2パターン
322 一部
330 第3パターン
410、411 データページ
420 表紙
430 裏表紙

Claims (8)

  1. 着色層と、
    当該着色層の一方の面側に設けられた、可視光に対する透過性を有する透明層と、
    当該透明層の前記着色層とは反対の面側に設けられた発泡層と、を備え、
    前記発泡層は、所定条件でのレーザ光の照射時に発泡し、当該発泡した部分が、第1の色彩の所定パターンとして視認され、当該所定パターン以外の領域では、前記透明層を透過して、前記第1の色彩とは異なる第2の色彩の前記着色層が視認できる、積層体。
  2. 前記第1の色彩は無彩色の白色または灰色であり、前記第2の色彩は無彩色の灰色もしくは黒色、または有彩色である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記着色層は、着色されたコア層である、請求項1または請求項2に記載の積層体。
  4. 前記着色層は、白色または有彩色のコア層の前記透明層を向く面に、インキによって印刷または塗布されることにより形成されている、請求項1または請求項2に記載の積層体。
  5. 前記発泡層の、発泡していない面に対する発泡した部分の盛上がり高さが、100μm以下である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記着色層の他方の面側に設けられた、可視光に対する透過性を有する第2の透明層と、
    当該第2の透明層の前記着色層とは反対の面側に設けられた、有彩色または無彩色の顔料を含む第2の着色層と、
    前記第2の着色層の前記第2の透明層とは反対の面側に設けられた、第2の発泡層と、
    をさらに備え、
    前記第2の発泡層は、所定条件でのレーザ光の照射時に発泡し、当該発泡した部分が、第3の色彩の所定パターンとして視認され、当該所定パターン以外の領域では、前記第3の色彩とは異なる第4の色彩の前記第2の着色層が視認できる、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の積層体を備えた、カード。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の積層体を備えた、冊子体。
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