JP2021137968A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、レーザ描画時における発熱による汚れを防止可能な積層体を提供する。【解決手段】解決方法として、特定情報の印刷層をレーザ発色層の上部に位置する構成とし、さらに中間に透明樹脂層を配置することによって、レーザ発色層の熱が印刷層に伝わることを阻止でき、非照射領域が発色することによる髭状の汚れを防止することができる。本発明は、基材層と、所定のレーザ光により形成されたレーザ画像層を有するレーザ発色層と、レーザ発色層の少なくとも一方の面に積層された透明層を少なくとも積層して成り、透明層の上層及び/又は透明層とレーザ発色層の間に印刷層を少なくとも有することを特徴とする積層体である。【選択図】図1
Description
本発明は、印刷層を形成した透明樹脂シート(透明層)にレーザ発色シートを積層した積層体に関する。
本格的カード時代の到来により、日常生活において様々な種類のカードが用いられている。例えば、プラスチック基材表面に特定情報等が印刷されたカード、テレフォンカード等の磁気カード、あるいはICメモリを内蔵したクレジットカードに代表されるICカード、プラスチック基材に個人情報等を印刷したデータページを使用したパスポートなど、身分証明等の用途で顔写真等の画像が印刷されたものもある。
このような各種カードには、プラスチック基材表面に印刷により特定情報等を形成し、プラスチック基材に積層したレーザ発色シートに個人情報等をレーザ発色画像として形成して、印刷された特定情報の改竄を防止する技術がある。
その一例として、本出願人は、熱可塑性樹脂から成る中間層を有し、中間層の両面に熱可塑性樹脂から成る白色層と、レーザ発色層を積層して形成された積層体を提供している(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の技術の積層体(C1)は、図10に示すように、白色層(6)に白色系ポリカーボネートを使用し、白色層(6)とレーザ発色層(4)の中間に、UVインキにより印刷層(2)を形成した場合に、レーザ発色層(4)にレーザ光を照射してレーザ画像層(1)をビットマップデータ(1a)又はラスタデータ(1b)で形成する際に、レーザ光の発熱により印刷画線(2a)に沿って髭状の汚れ(7)が生じることがあった。
そこで、本出願人は、図11に示すように、UVインキにより印刷を施した白色系ポリカーボネートにポリプロピレンフィルムを積層して、ポリプロピレンフィルムとUVインキが密着している印刷領域(12)と、密着していない印刷領域(13)を作成してレーザ光を照射したところ、UVインキが密着している印刷領域(12)に髭状の汚れ(7)は確認できず、密着していない印刷領域(13)は、UVインキが黒色となり髭状の汚れ(7)が確認された。
この髭状の汚れの発生原因として考えられることは以下のとおりである。
レーザ発色層に照射されたレーザによりレーザ発色層中の発色剤成分が炭化して、黒色に発色する。発色剤としては、金属酸化物、熱応答性染色剤、光吸収材等があるがどれでも構わない。ポリプロピレンフィルムとの非密着領域は熱が白色層(6)の上に印刷された印刷画線(2a)に沿って熱伝導し、レーザを照射していない領域のレーザ発色層を部分的に炭化した。これが髭状の汚れ(7)になったと推察される。
レーザ発色層に照射されたレーザによりレーザ発色層中の発色剤成分が炭化して、黒色に発色する。発色剤としては、金属酸化物、熱応答性染色剤、光吸収材等があるがどれでも構わない。ポリプロピレンフィルムとの非密着領域は熱が白色層(6)の上に印刷された印刷画線(2a)に沿って熱伝導し、レーザを照射していない領域のレーザ発色層を部分的に炭化した。これが髭状の汚れ(7)になったと推察される。
以上の推察を基に、本出願人は白色系ポリカーボネートに印刷層(2)を形成してレーザ発色層(4)を隣接させて重ねる構成及びレーザ発色層(4)に印刷層(2)を形成して白色系ポリカーボネートを重ねる構成を避けることによって、髭状の汚れ(7)を防止できるとの考えに至った。
本発明は、上記課題を解決するものであり、レーザ描画時における髭状の汚れを防止する構成として、印刷層のインキ画線がレーザ光照射時の熱を熱伝導により非照射領域の一部を炭化し発色してしまう現象を起こさないように、印刷画線とレーザ発色層の層構成を入れ替えることで、すなわち透明樹脂シートを使用して、当該透明樹脂シートとレーザ発色層を隣接させて重ねる構成とすることによって、レーザ描画時における髭状の汚れを防止可能な積層体を提供する。
本発明は、基材層と、所定のレーザ光により形成されたレーザ画像層を有するレーザ発色層と、レーザ発色層の少なくとも一方の面に積層された透明層を少なくとも積層して成り、透明層の上層及び/又は透明層とレーザ発色層の間に印刷層を少なくとも有することを特徴とする積層体である。
また、本発明は、レーザ画像層と印刷層の印刷画線が近接、隣接又は重畳して成ることを特徴とする積層体である。
本発明は、レーザ描画時における髭状の汚れを防止することが可能な積層体を提供することができる。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他の様々な実施の形態が含まれる。
(実施形態)
(積層体)
図1に、本発明の積層体(A1)を示す。本実施形態は、積層体(A1)をカード形態として形成した例である。図1(a)は、積層体(A1)の平面図であり、積層体(A1)は、印刷層(2)と印刷層(2)に近接して形成されたレーザ画像層(1)を有する。また、図1(b)は、積層体(A1)のAA´断面図であり、積層体(A1)は、基材層(3)の一方の面に積層されたレーザ発色層(4)と、レーザ発色層(4)に積層された透明層(5)と、レーザ発色層(4)と透明層(5)の中間に形成された印刷層(2)を少なくとも有する。
(積層体)
図1に、本発明の積層体(A1)を示す。本実施形態は、積層体(A1)をカード形態として形成した例である。図1(a)は、積層体(A1)の平面図であり、積層体(A1)は、印刷層(2)と印刷層(2)に近接して形成されたレーザ画像層(1)を有する。また、図1(b)は、積層体(A1)のAA´断面図であり、積層体(A1)は、基材層(3)の一方の面に積層されたレーザ発色層(4)と、レーザ発色層(4)に積層された透明層(5)と、レーザ発色層(4)と透明層(5)の中間に形成された印刷層(2)を少なくとも有する。
(基材層)
基材層(3)は、後述するレーザ発色層(4)の発色性に影響を与えなければ特に限定されず、単層又は複数の公知の熱可塑性樹脂シートを積層して構成される。例えば、基材層(3)としては、ポリカーボネート(PC)又はポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリビニル塩化物(PVC)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の公知の熱可塑性樹脂シートがある。複数の熱可塑性樹脂シートとしては、単一の材料、異なる材料を組み合わせて使用してもよく、熱可塑性樹脂シート1枚1枚が複数の材料を混合した材料から成っていてもよい。
基材層(3)は、後述するレーザ発色層(4)の発色性に影響を与えなければ特に限定されず、単層又は複数の公知の熱可塑性樹脂シートを積層して構成される。例えば、基材層(3)としては、ポリカーボネート(PC)又はポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリビニル塩化物(PVC)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の公知の熱可塑性樹脂シートがある。複数の熱可塑性樹脂シートとしては、単一の材料、異なる材料を組み合わせて使用してもよく、熱可塑性樹脂シート1枚1枚が複数の材料を混合した材料から成っていてもよい。
基材層(3)の色彩は、後述するレーザ発色層(4)に形成されたレーザ画像層(1)の視認性に影響を与えなければ特に限定されないが、レーザ発色層(4)に形成されたレーザ画像層(1)の視認性を向上させるため、好ましくは白色系である。
本明細書において「白色系」とは、通常、本発明のシートに含まれる熱可塑性樹脂そのものの色を主とし、純白に限らず、青味、黄色味等の他の色が混じった白系であってもよく、後述するレーザ発色層(4)に形成されたレーザ画像層(1)の視認性を向上させるため、白色度が、80以上であることが好ましい。なお、一例として、基材層(3)として用いる材料の白色度をグレタグ濃度計により白色基準板で絶対白を合わせて測定した例について表1に示す。
なお、基材層(3)に使用可能な熱可塑性樹脂シートの例としては、ICシート、レーザ発色シート、保護シート、コアシート、ヒンジシート、印刷シートやホログラムシート(光学変化素子層)等の公知の熱可塑性樹脂シートを使用することができる。
(透明層)
透明層(5)は、透明であれば特に限定されず、単層又は複数の熱可塑性樹脂シートを積層して構成される。熱可塑性樹脂シートの材料は、ポリカーボネート(PC)又はポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリビニル塩化物(PVC)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の公知の熱可塑性樹脂シートを使用することができる。複数の熱可塑性樹脂シートとして単一の材料を使用してもよいし、異なる材料を組み合わせて使用してもよい。また、熱可塑性樹脂シート1枚1枚が複数の材料を混合した材料から成っていてもよい。なお、熱可塑性樹脂シートの例としては、保護シート、コアシート、印刷シート等の公知の熱可塑性樹脂シートを使用することができる。
透明層(5)は、透明であれば特に限定されず、単層又は複数の熱可塑性樹脂シートを積層して構成される。熱可塑性樹脂シートの材料は、ポリカーボネート(PC)又はポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリビニル塩化物(PVC)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の公知の熱可塑性樹脂シートを使用することができる。複数の熱可塑性樹脂シートとして単一の材料を使用してもよいし、異なる材料を組み合わせて使用してもよい。また、熱可塑性樹脂シート1枚1枚が複数の材料を混合した材料から成っていてもよい。なお、熱可塑性樹脂シートの例としては、保護シート、コアシート、印刷シート等の公知の熱可塑性樹脂シートを使用することができる。
(印刷層)
印刷層(2)は、凸形状を形成する印刷方式でなければ特に限定されず、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷法等の公知の印刷方法を使用できる。使用するインキは、特に限定されず、蛍光インキ、赤外線透過・吸収インキ、メタメリックインキ、カラーシフトインキ、パールインキ、金属光沢インキ等を使用してもよい。なお、印刷層(2)の色彩は、複数色又は連続した階調(グラデーション)により形成してもよい。
印刷層(2)は、凸形状を形成する印刷方式でなければ特に限定されず、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷法等の公知の印刷方法を使用できる。使用するインキは、特に限定されず、蛍光インキ、赤外線透過・吸収インキ、メタメリックインキ、カラーシフトインキ、パールインキ、金属光沢インキ等を使用してもよい。なお、印刷層(2)の色彩は、複数色又は連続した階調(グラデーション)により形成してもよい。
印刷層(2)は、画線及び画素のいずれか又はそれらの組合せで形成することできる。なお、本明細書で言う「画線」とは、印刷画像を形成する最小単位である印刷網点を特定の方向に連続して配置したものであり、点線や破線の分断線、直線、曲線及び波線を言う。一方、本明細書で言う「画素」とは、少なくとも一つの印刷網点又は印刷網点を一塊にしたものであり、円や三角形、四角形を含む多角形、星型等の各種図形、あるいは文字や記号、数字、顔画像等も含まれる。
本実施の形態1では、レーザ発色層(4)に印刷層(2)を形成することによって、印刷層(2)とレーザ画像層(1)が重畳して形成されているが、レーザ画像層(1)の視認性に影響を与えなければ、印刷層(2)は、レーザ画像層(1)と近接、隣接又は重畳して形成することができる。例えば、図2(a)に示すように、透明層(5)上に印刷層(2)を形成し、透明層(5)を介してレーザ画像層(1)と近接、隣接又は重畳する構成であってもよい。また、図2(b)に示すように、基材層(3)の両面にレーザ発色層(4)を積層し、各レーザ発色層(4)の表面に積層した透明層(5)の表裏面に印刷層(2)をそれぞれ形成してもよい。なお、近接及び隣接とは、印刷層(2)とレーザ画像層(1)の一端が接しているものを隣接、印刷層(2)とレーザ画像層(1)の一端が接していないものを近接という。さらには、印刷層(2)の表面に透明性の保護層(9)、レーザ発色層(4)と透明層(5)の中間にホログラム(8)を積層してもよい。
また、印刷層(2)は、面積率が0.1%から50%までの範囲で形成することが好ましい。印刷層(2)が、0.1%未満の場合では印刷が困難であり、50%を超えた場合は、後述する透明層(5)と印刷層(2)のインキが付与されていない箇所との密着性が不良と成り、透明層(5)が印刷層(2)から剥がれる恐れがある。
(レーザ発色層)
レーザ発色層(4)は、IRレーザ又はUVレーザにより黒色系又は赤茶色系に発色する透明性の樹脂から成るレーザ発色シートにより形成される。透明性を有すれば、特に限定されず、単層又は複数の熱可塑性樹脂シートを積層して構成される。熱可塑性樹脂シートの材料は、ポリカーボネート(PC)又はポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリビニル塩化物(PVC)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の公知の熱可塑性樹脂シートを使用することができる。複数の熱可塑性樹脂シートとしては、単一の材料、異なる材料を組み合わせて使用してもよく、熱可塑性樹脂シート1枚1枚が複数の材料を混合した材料から成っていてもよい。
レーザ発色層(4)は、IRレーザ又はUVレーザにより黒色系又は赤茶色系に発色する透明性の樹脂から成るレーザ発色シートにより形成される。透明性を有すれば、特に限定されず、単層又は複数の熱可塑性樹脂シートを積層して構成される。熱可塑性樹脂シートの材料は、ポリカーボネート(PC)又はポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリビニル塩化物(PVC)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の公知の熱可塑性樹脂シートを使用することができる。複数の熱可塑性樹脂シートとしては、単一の材料、異なる材料を組み合わせて使用してもよく、熱可塑性樹脂シート1枚1枚が複数の材料を混合した材料から成っていてもよい。
また、レーザ発色層(4)は、基材層(3)の上層又は下層に積層されて成る。レーザ発色層(4)と基材層(3)が積層することによって、レーザ発色層(4)に形成されたレーザ画像層(1)の黒色度とコントラストが良好となる。
(レーザ画像層)
レーザ画像層(1)は、レーザ発色層(4)にIRレーザ又はUVレーザを照射することによって、レーザ発色層(4)が黒色系又は赤茶色系に発色して形成される。本実施の形態1では、レーザ画像層(1)は、文字により形成されているが、円や三角形、四角形を含む多角形、星型等の各種図形、記号、数字、あるいは顔画像等も含まれる。また、図2(a、b)のレーザ画像層(1)は、レーザ発色層(4)の中層の一部に形成されているが、IRレーザ又はUVレーザの焦点の調整により、図2(c)に示すようにレーザ発色層(4)の表層又は下層の一部にのみ形成してもよく、レーザ発色層(4)の一部に表層から下層にかけて連続して形成してもよい。
レーザ画像層(1)は、レーザ発色層(4)にIRレーザ又はUVレーザを照射することによって、レーザ発色層(4)が黒色系又は赤茶色系に発色して形成される。本実施の形態1では、レーザ画像層(1)は、文字により形成されているが、円や三角形、四角形を含む多角形、星型等の各種図形、記号、数字、あるいは顔画像等も含まれる。また、図2(a、b)のレーザ画像層(1)は、レーザ発色層(4)の中層の一部に形成されているが、IRレーザ又はUVレーザの焦点の調整により、図2(c)に示すようにレーザ発色層(4)の表層又は下層の一部にのみ形成してもよく、レーザ発色層(4)の一部に表層から下層にかけて連続して形成してもよい。
レーザ画像層(1)の形成は、前述したIRレーザ又はUVレーザにより行われる。前述の各レーザの照射エネルギー、焦点又は時間等のレーザの照射条件は、使用するレーザの種類、レーザ発色層(4)の厚さ、材料等に応じて適宜設定される。
次に、本発明の積層体(A1)が、基材層(3)の上層又は下層にレーザ発色層(4)を積層することによって、レーザ画像層(1)の黒色度及びコントラストが良好であることを説明する。まず、本発明の積層体(A1)として、表2に示す材料を図3(a)の構成に使用し、透明層(5)の厚さを異ならせた水準1から水準4まで、SD型成形プレス機(株式会社ダンベル社製「SDOP−1042−2HC−AT−WC1V−PG3」)を使用して、160℃から185℃まで、300秒、2.5MPaの機械設定で熱圧着を行い、熱溶着後50℃まで冷却して作製した。
次に、本発明の積層体(A1)の白色系基材層(3)上にレーザ発色層(4)を形成した例に対する比較例として、表3に示す材料を使用し、基材層(3)とレーザ発色層(4)の間に透明層(11)を配置した構成の図3(b)に示す比較例1から比較例4の比較積層体(B1)を、SD型成形プレス機(株式会社ダンベル社製「SDOP−1042−2HC−AT−WC1V−PG3」)を使用して、160℃から185℃まで、300秒、2.5MPaの機械設定で熱圧着を行い、熱溶着後50℃まで冷却して作製した。なお、前述の各水準の積層体(A1)と比較例の比較積層体(B1)の厚さは、各水準と各比較例と対比して同一とした。
水準1から水準4及び比較例1から比較例4において、以下の条件で作製した。レーザ光としては、赤外レーザ(キーエンス製レーザーマーカー(3Axis YVO4LaserMarker MD−V9900))を使用した。レーザ光の波長は、1064nmとして、照射強度は、15%と25%でそれぞれ作製した。また、レーザ画像層(1)は、ビットマップ形式とアウトライン形式により作製した。
次に、熱圧着した透明層(5)の上から、レーザ画像層(1)の黒色度をX−rite exactポータブル濃度計により測定した結果について表4に示す。なお、黒色度は、0〜2の範囲であり、0に近いほど白く、2に近いほど黒いことを示す。
表4に示すように、水準1から水準4に示す白色系基材層(3)上にレーザ発色層(4)に形成されたビットマップ形式及びアウトライン形式で形成した場合は、比較例1から比較例4に示す比較積層体(B1)のレーザ発色層(4)の下層に透明層(11)が形成されている場合と比較して、レーザ発色画像(1)の黒色度が高く、鮮明であることが確認できた。なお、印刷層(2)が、レーザ発色層(4)に形成されたレーザ発色画像(1)より内層(下層)にある場合は、個人情報としてレーザ発色画像(1)を印字した部分を削り取るなどの改ざんを行った際、印刷層(2)が削られていないことから、改ざんの痕跡が判明しにくい。したがって、本発明の積層体(A1)は、基材層(3)として白色系基材層上にレーザ発色層(4)を形成することにより、レーザ発色画像(1)の黒色濃度が良好であり、改ざんの痕跡が容易に判明可能できることから、本出願人の積層体の構成は、改ざん防止の抑制効果が高い。
次に、本発明によるレーザ画像層(1)のコントラスト値を測定した結果について説明する。レーザ画像層(1)のコントラスト値は、(白色の輝度−黒色の輝度)/(白色の輝度+黒色の輝度)として算出され、1に近いほど明暗の差がはっきりして中間色がなくなり、0に近いほど明暗の差がなくなっていくことから、文字、記号、画像等の視認性を考慮して、1に近い方が好ましい。
表5に示すように、各水準と各比較例の熱圧着した透明層(5)の上から、レーザ画像層(1)の輝度について、輝度計(トプコン株式会社製:BM−9A)により、所定の条件下(光源:富士通LEDビューアーST−A4、標準白色板:BASO4(204.1)、照射角度:45度)で測定した。
次に、表6に示すように、各水準と各比較例のコントラスト値を計算した(白色の輝度Lmax−黒色の輝度Lmin)/(白色の輝度Lmax+黒色の輝度Lmin)。前述に示すいずれの水準も、比較例よりコントラスト値が高く、明暗が良好であることを確認できた。
本発明の実施例について、前述の実施の形態と同様に図を用いて説明をする。なお、本発明の内容は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例)
本実施例は、図4に示すように、白色系基材層(3)を中心に、レーザ発色層(4)、透明層(5)、印刷層(2)、保護層(9)の順に各シートを積層し、SD型成形プレス機(株式会社ダンベル社製「SDOP−1042−2HC−AT−WC1V−PG3」)を使用して、160℃から185℃まで、300秒、2.5MPaの機械設定で熱圧着を行い、熱溶着後50℃まで冷却してブランク積層体(Z1)を作製した。
本実施例は、図4に示すように、白色系基材層(3)を中心に、レーザ発色層(4)、透明層(5)、印刷層(2)、保護層(9)の順に各シートを積層し、SD型成形プレス機(株式会社ダンベル社製「SDOP−1042−2HC−AT−WC1V−PG3」)を使用して、160℃から185℃まで、300秒、2.5MPaの機械設定で熱圧着を行い、熱溶着後50℃まで冷却してブランク積層体(Z1)を作製した。
なお、白色系基材層(3)は、ICシートとして、白色系IC内蔵ポリカーボネート(白色度84.7、厚さ0.40mm、寸法300mm(縦)×100mm(横))を使用した。レーザ発色層(4)は、レーザ発色シートとして、透明性のレーザ発色シート(厚さ0.40mm、寸法300mm(縦)×100mm(横))を使用した。熱圧着前にあらかじめ印刷層(2)は、淡色の緑色と赤色の紫外線硬化型ドライオフセットインキ(DICグラフィック社製:ダイキュアRTXインキ)を使用し、ドライオフセット印刷機により透明層(5)上に模様として形成した。透明性の保護層(9)は、透明フィルムシートとして、透明ポリカーボネート(厚さ0.10mm、寸法300mm(縦)×100mm(横))を使用した。
次に、図5に示すように、ブランク積層体(Z1)にレーザ光(R1)として赤外レーザ(キーエンス製レーザーマーカー(3Axis YVO4LaserMarker MD−V9900))を使用して、波長1064nmのレーザ光(R1)をレーザ発色層(4)に照射してラスタデータ(1a)とビットマップデータ(1b)のそれぞれのレーザ画像層(1a、1b)を形成し、水準5の積層体(A2)を作製した。なお、レーザ光(R1)の照射強度は、15%とした。
また、積層体(A2)の印刷層(2)を淡色の緑色と赤色の紫外線硬化型オフセットインキを使用し、オフセット印刷機により透明層(5)上に形成した水準6の積層体(A2)を作製した。
次に、図6に示すように、白色系基材層(3)を中心に、透明層(5)、印刷層(2)、レーザ発色層(4)、保護層(9)の順に各シートを積層して形成した水準7の積層体(A3)を作製した。なお、作製条件については、水準5の積層体(A2)と同様であるため省略する。
水準5の積層体(A2)について印刷層(2)の髭状の汚れの有無について拡大鏡を用いて目視により確認した。確認の結果、図7に示すように、水準5の積層体(A2)の印刷層(2)に髭状の汚れ(7)は確認できなかった。また、水準6の積層体(A2)及び水準7の積層体(A3)の印刷層(2)も同様であった
(比較例)
比較例は、図8に示すように、基材層(3)の両面に白色層(10)、白色層(10)上にレーザ発色層(4)を積層し、白色層(10)上に印刷層を形成した例である。実施例と同様な箇所については省略し、異なる箇所のみ説明する。白色系の印刷用熱可塑性樹脂シート(寸法300mm(縦)×100mm(横))を使用して、印刷層(2)を実施例と同様にドライオフセット印刷機により形成した比較積層体(B1)と、オフセット印刷機により形成した比較積層体(B2)(図示せず)を作製した。
比較例は、図8に示すように、基材層(3)の両面に白色層(10)、白色層(10)上にレーザ発色層(4)を積層し、白色層(10)上に印刷層を形成した例である。実施例と同様な箇所については省略し、異なる箇所のみ説明する。白色系の印刷用熱可塑性樹脂シート(寸法300mm(縦)×100mm(横))を使用して、印刷層(2)を実施例と同様にドライオフセット印刷機により形成した比較積層体(B1)と、オフセット印刷機により形成した比較積層体(B2)(図示せず)を作製した。
次に、比較例5の積層体5(B1)について髭状の汚れ(7)の有無について拡大鏡を用いて目視により確認した。確認の結果、図9に示すように、比較積層体(B2)の印刷層(2)に髭状の汚れ(7)が確認された。なお、比較積層体(B2)も同様であった。
A1、A2、A3 積層体
B1、B2 比較積層体
C1 従来の積層体
1 レーザ画像層
2 印刷層
3 基材層
4 レーザ発色層
5 透明層
6 白色層
7 髭状の汚れ
8 ホログラム
9 保護層
10 白色層
11 透明層
12 インキと密着している印刷領域
13 インキと密着していない印刷領域
B1、B2 比較積層体
C1 従来の積層体
1 レーザ画像層
2 印刷層
3 基材層
4 レーザ発色層
5 透明層
6 白色層
7 髭状の汚れ
8 ホログラム
9 保護層
10 白色層
11 透明層
12 インキと密着している印刷領域
13 インキと密着していない印刷領域
Claims (2)
- 基材層と、所定のレーザ光により形成されたレーザ画像層を有するレーザ発色層と、前記レーザ発色層の少なくとも一方の面に積層された透明層を少なくとも積層して成り、前記透明層の上層及び/又は前記透明層と前記レーザ発色層の間に印刷層を少なくとも有することを特徴とする積層体。
- 前記レーザ画像層と前記印刷層の印刷画線が近接、隣接又は重畳して成ることを特徴とする請求項1記載の積層体。
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2020
- 2020-03-02 JP JP2020034564A patent/JP2021137968A/ja active Pending
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