JP6244599B2 - 有機電解合成装置及び有機電解合成方法 - Google Patents

有機電解合成装置及び有機電解合成方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機電解合成装置及び有機電解合成方法に関する。
従来、有機合成反応では、ハロゲン化物と有機化合物を含有した溶液を電解し、有機合成の反応開始に用いることがある。このような有機合成反応は、有機化合物に官能基を導入する場合、単純な有機化合物から分子量の大きい有機化合物及び誘導体を製造する場合、有機ハロゲン化物及び誘導体を製造する場合、有機金属化合物及び誘導体を製造する場合などに用いられる。
また、上記の有機合成反応を行う反応槽として、従来、反応槽内に陰極と陽極とを備え、被反応物質を含む電解液を流通させ、有機物を電気化学的に酸化させて目的の有機化合物を製造する有機電気化学反応槽がある(例えば、特許文献1参照)。この有機電気化学反応槽は、多孔質板または網状構造板で形成された電極を備えている。これらの電極の両側に電解液の流通及び電解作用に適切な間隔で電極により仕切られた電解室が形成されており、電解液は、電解室を満たして液浸透性の反応電極の内部を直交方向に通電するように流通する。
特公平2−44910号公報
しかし、上記特許文献1に開示された反応槽では、有機物を酸化させる際に、製造目的となる目的有機化合物以外に過酸化物等が製造される。この過酸化物等が製造されることにより、目的有機化合物の収率が低下することがあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、目的有機化合物の収率の低下を抑制することができる有機電解合成装置及び有機電解合成方法を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様によれば、向かい合って配置された第1電極及び第2電極をそれぞれ備える複数の電解セルと、複数の前記電解セルにおける前記第1電極及び前記第2電極の間に電圧を印加する電源装置と、ハロゲン化物イオンと有機化合物とを含む電解液を前記第1電極と前記第2電極との間に層流状態で流通させる流通装置と、を備え、前記複数の電解セルは、前記電解液の流通方向の上流側に配置された上流側電解セルと、前記電解液の流通方向下流側に配置された下流側電解セルとを有するとともに、前記第1電極及び前記第2電極は、それぞれ前記電解液の流通方向に沿って延びる板状をなし、前記上流側電解セルの前記第1電極と前記下流側電解セルの前記第2電極とが、前記電解液の流通方向に沿って並んで配置されており、前記上流側電解セルの前記第2電極と前記下流側電解セルの前記第1電極とが、前記電解液の流通方向に沿って並んで配置されており、前記電源装置は、前記上流側電解セル及び前記下流側電解セルのうち、前記上流側電解セルにおける第1電極と、前記上流側電解セルにおける前記第1電極の下流側に配置された前記下流側電解セルにおける第2電極の極性と、が逆となる電圧を印加する。
このような構成によれば、ハロゲン化物イオンと有機化合物とを含む電解液は、第1電極と第2電極との間を層流状態で流通する。このため、第1電極で酸化反応が生じて目的有機化合物が製造される。また、第1電極では、目的有機化合物以外の過酸化物などの副生物が発生する。電解液中において、目的有機化合物と副生物とが長時間滞留すると、目的有機化合物と副生物とが反応してしまい、目的有機化合物の収率の低下につながるおそれがある。
この点、上記の有機電解合成装置では、複数の電解セルのうちの上流側電解セルにおける電解液を酸化分解させる第1電極の電解液の流通方向下流側に、複数の電解セルのうちの下流側電解セルの第2電極が設けられている。また、ハロゲン化物イオンと有機化合物とを含む電解液は、第1電極と第2電極との間を層流状態となって流通する。このため、上流側電解セルの第1電極で発生した副生物は、層流状態の電解液の流通によって下流側電解セルの第2電極へと誘導される。第2電極へ誘導された副生物は、第2電極で還元されて消失する。このため、目的有機化合物と副生物との反応を抑制することができるので、目的有機化合物の収率の低下を抑制することができる。
上記の有機電解合成装置において、前記電解液の流通方向に交差する方向に沿って前記電解セルが複数設けられていてもよい。
このような構成によれば、電解液の流通方向以外の方向にも電解セルが配置されているので、大量の電解液を短時間で流通させることができる。また、外側の電極に挟まれて配置される内側の電極を整流板として機能させることができるので、安定した層流の維持に寄与することができる。
上記の有機電解合成装置において、前記電解液の流通方向に沿って並んで配置された前記上流側電解セルの前記第1電極と前記下流側電解セルの前記第2電極との間と、前記上流側電解セルの前記第2電極と前記下流側電解セルの前記第1電極との間と、のうちの少なくとも一方に絶縁体のスペーサが配置されていてもよい。
このような構成によれば、上流側電解セルの第1電極と下流側電解セルの第2電極との間にスペーサが配置されるので、電解液の流通方向に並設された上流側電解セルの電極と下流側第2電解セルの電極との間における隙間を塞ぐことができる。このため、隙間による乱流の発生を抑制できるので、安定した層流の維持に寄与することができる。また、スペーサは絶縁性であるので、上流側電解セルの電極と下流側電解セルの電極とを電気的に絶縁することができる。
なお、上流側電解セルの第2電極における電解液の流通方向下流側に下流側電解セルの第1電極が設けられている場合には、上流側電解セルの第2電極と下流側電解セルの第1電極との間にスペーサが配置されていてもよい。この場合も安定した層流の維持に寄与できるとともに、上流側電解セルの電極と下流側電解セルの電極との短絡を抑制することができる。
上記の有機電解合成装置において、前記電解液の流通方向一方側の部分が前記第1電極とされるとともに他方側の部分が前記第2電極とされた複数の二極電極を含み、これら二極電極を前記電解液の流通方向に間隔をあけて設けられている電極群が、互いに平行をなすように複数配置され、互いに平行に隣り合う前記電極群同士の前記二極電極が、前記第1電極と前記第2電極とを対向させて配置されていてもよい。
このような構成によれば、第1電極及び第2電極を有する二極電極を集約的に配置することで、装置自体のコンパクト化を図ることができる。
さらに、互いに平行に隣り合う電極群同士の第1電極及び第2電極が対向していることから、これら第1電極及び第2電極の間に通電することで、電極間を流通する電解液に対して効率的に電気分解を施すことが可能となる。また、二極電極は、整流板としても機能させることができる。
上記の有機電解合成装置において、前記第1電極及び前記第2電極は、板状をなし、鉛直方向に沿って設けられており、前記電解液の流通方向は、鉛直上向き方向であってもよい。
このような構成によれば、電解液が鉛直上向き方向に流通するので、第1電極と電解液と接触時間を長くすることができる。したがって、目的有機化合物の製造量を多くすることができる。
上記の有機電解合成装置において、前記第1電極及び前記第2電極は、板状をなし、鉛直方向に沿って設けられおり、前記電解液の流通方向は、鉛直方向に交差する方向であってもよい。
このような構成によれば、電解液を短時間で大量に流通させることができる。
上記の有機電解合成装置において、複数の前記電解セルが、ケーシングに収容されていてもよい。
このような構成によれば、ケーシングによって電解液の流通方向を規制できるので、安定した層流の維持に寄与することができる。また、電解液の流通方向に設けられた上流側電解セルの電極と下流側電解セルの電極との間における隙間の電解液の流通を抑制できる。したがって、隙間による乱流の発生を抑制できるので、安定した層流の維持に寄与することができる。
上記の有機電解合成装置において、前記ケーシングの上部に、前記ケーシング内の気体を排出する排気構造が形成されていてもよい。
このような構成によれば、ケーシング内の気体の排出を促進することができるので、第2電極の表面に対する気体の付着を抑制することができる。したがって、第2電極における副生物の還元不良を抑制することができる。
上記の有機電解合成装置において、前記ケーシングに接続され、前記ケーシングから電解液が排出される配管に、前記ケーシング内の気体を排出する排出機構が設けられていてもよい。
このような構成によれば、種々の方法によるケーシング内の気体の排出に広く対応することができる。
上記の有機電解合成装置において、前記電解液の速度を制御する速度制御装置をさらに備えていてもよい。
このような構成によれば、電解液の流通速度を制御できるので、安定した層流を維持することができる。
上記の有機電解合成装置において、前記電解液の温度を制御する温度制御装置をさらに備えていてもよい。
このような構成によれば、電解液の粘度を制御できるので、安定した層流を維持することができる。
本発明の第一の態様によれば、有機電解合成方法は、上記の有機電解合成装置における前記第1電極と前記第2電極との間に前記電解液を流通させて、目的有機化合物を製造する。
このような構成によれば、ハロゲン化物イオンと有機化合物とを含む電解液は、第1電極と第2電極との間を層流状態として流通する。このため、上流側電解セルの第1電極で発生した副生物は、層流状態の電解液によって下流側電解セルの第2電極へと誘導される。第2電極へ誘導された副生物は、第2電極で還元されて消失する。このため、目的有機化合物と副生物との反応を抑制することができるので、目的有機化合物の収率の低下を抑制することができる。
本発明の有機電解合成装置及び有機電解合成方法によれば、目的有機化合物の収率の低下を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態における有機電解合成装置を模式的に示す図である。 (A)は、陽極と陰極が電解液の流通方向に対して交差する方向に配置された電解セルにおける副生物の流れを示す図、(B)は、陽極と陰極が電解液の流通方向に沿って配置された電解セルにおける副生物の流れを示す図である。 第2の実施形態における有機電解合成装置の要部を模式的に示す図である。 第3の実施形態における有機電解合成装置の要部を模式的に示す図である。 第4の実施形態における有機電解合成装置の要部を模式的に示す図である。 第5の実施形態における有機電解合成装置の要部を模式的に示す図である。 第6の実施形態における有機電解合成システムの構成図である。 第1の変形例における有機電解合成システムの構成図である。 第2の変形例における有機電解合成システムの構成図である。 層流の形成条件を説明するための電解セルの斜視図である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の有機電解合成装置の寸法関係とは異なる場合がある。また、各実施形態において、共通する部材については、共通する符号を付し、その説明を省略することがある。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における有機電解合成装置を模式的に示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態の有機電解合成装置1は、電解槽2と、流入配管3Aと、流出配管3Bと、ポンプ4と、熱交換器5と、電源装置7と、制御装置8と、を備えている。電解槽2は、電解セル10と、ケーシング25を備えており、ケーシング25には、複数の電解セル10として、上流側電解セルである下側電解セル10D及び下流側電解セルである上側電解セル10Uが設けられている。上側電解セル10Uは、下側電解セル10Dの上側に並設されている。また、下側電解セル10D及び上側電解セル10Uは、箱形のケーシング25に収容されている。
下側電解セル10Dは、第1電極である下側陽極11D及び第2電極である下側陰極12Dを備えている。上側電解セル10Uは、第1電極である上側陽極11U及び第2電極である上側陰極12Uを備えている。下側陽極11D、下側陰極12D、上側陽極11U、上側陰極12Uは、いずれも板状を成しており、鉛直方向に沿って設けられて配置されている。下側陽極11D、下側陰極12D、上側陽極11U、上側陰極12Uは、いずれもケーシング25の側壁に近接し、ケーシング25の側壁に沿って配設されている。下側陽極11Dと下側陰極12Dとの離間距離及び上側陽極11Uと上側陰極12Uとの離間距離は、いずれも例えば1〜30mmとされている。
ケーシング25には、流入口26及び流出口27が形成されている。流入口26は、ケーシング25の下側に形成され、流出口27は、ケーシング25の上側に形成されている。流入口26と流出口27との間に下側電解セル10D及び上側電解セル10Uが配置されている。
流入口26には、流入配管3Aの一端が接続されている。流入配管3Aの他端は、流通装置及び流速制御装置であるポンプ4に接続されている。流出口27には、流出配管3Bの一端が接続されている。流出配管3Bの他端は、図示しない貯留槽に接続されている。
ポンプ4は、流入配管3Aを介してケーシング25内に電解液を導入している。電解液には、目的有機化合物を製造するための化合物として、ハロゲン化物イオンを含むハロゲン化物及び有機化合物が含まれている。また、電解液には、ハロゲン化物と有機化合物とを高濃度(飽和に近い高濃度)まで含有している。
ポンプ4は、下側電解セル10Dの下側陽極11Dと下側陰極12Dとの間、及び上側電解セル10Uの上側陽極11Uと上側陰極12Uとの間で、電解液の乱流状態を抑制し、電解液を層流状態として流通させる。下側電解セル10Dの下側陽極11Dにおける電解液の流通方向下流側に、上側電解セル10Uの上側陰極12Uが配置される。また、下側電解セル10Dの下側陰極12Dにおける電解液の流通方向下流側に、上側電解セル10Uの上側陽極11Uが配置される。また、電解液の流通方向は、鉛直上向き方向とされており、下側陽極11Dと上側陰極12U、下側陰極12Dと上側陽極11Uとは、それぞれ電解液の流通方向に並設されている。なお、「層流状態」とは、乱流が抑制された状態であり、例えば乱流が最小限とされた状態をいう。また、乱流と層流とは、液体(電解液)の流速、粘度、流路寸法(電解セルにおける向かい合って配置された電極間距離、電極幅によって求められる相当長さ)によって定まるレイノルズ数を境界値として変化するが、ここでの「層流状態」とは、通常流体力学で定義されるレイノルズ数2000以下の状態をいう。
流入配管3Aには、温度制御装置である熱交換器5が設けられている。熱交換器5は、流入配管3A内を流通する電解液の温度を制御する。ケーシング25内の電解液の粘度は、流入配管3Aから導入される電解液の温度に伴って変動する。
有機電解合成装置1は、電源装置7及び制御装置8を備えている。電源装置7は、電源71と、電流制御回路72と、を備えている。電源71は、電流制御回路72に対して定圧電流を供給する。
電流制御回路72は、下側陽極11D、下側陰極12D、上側陽極11U、上側陰極12Uに対してそれぞれ電気的に接続されている。電流制御回路72は、下側陽極11D及び上側陽極11Uに電流を供給し、下側陰極12D及び上側陰極12Uから流出する電流を受け入れる。こうして、電源装置7は、下側陽極11Dと下側陰極12Dとの間、及び上側陽極11Uと上側陰極12Uとの間に、極性が逆となる電圧を印加する。
電流制御回路72は、電源71から供給された定圧電流の電圧を、下側陽極11D及び上側陽極11Uに電流を供給する際の適切な電圧に調節している。
制御装置8は、流速制御部81及び温度制御部82を備えている。流速制御部81は、ポンプ4に電気的に接続されており、ポンプ4の出力を制御する。温度制御部82は、熱交換器5に接続されており、熱交換器5の出力を制御する。ポンプ4の出力が制御されることで、ケーシング25内の電解液の速度が制御される。熱交換器5の出力が制御されることで、ケーシング25に供給される電解液、さらには、ケーシング25内の電解液の粘度が所定の範囲とされるようにその温度が制御される。
次に、第1の実施形態の有機電解合成装置1を用いた有機電解合成方法によって、目的有機化合物としてアゾジカルボンアミドを製造する例について説明する。アゾジカルボンアミドを製造するにあたり、電解液には、ハロゲン化物と有機化合物とが含まれている。ハロゲン化物を構成するハロゲン化物イオンとしては、F、Cl、Br、Iなどを例示できる。また、有機化合物としては、尿素などを例示できる。
ハロゲン化物と有機化合物とが含まれる電解液をポンプ4によってケーシング25内に流通させる。制御装置8は、流速制御部81でポンプ4の出力を制御し、温度制御部82で熱交換器5の出力を制御している。こうして、ケーシング25内における電解液の速度及び温度を制御して、層流を維持している。ポンプ4は、本発明の速度制御装置の一例である。
このとき、電源装置7は、電流制御回路72から下側陽極11D及び上側陽極11Uに電流を供給する。下側電解セル10Dの下側陽極11Dは、ハロゲン化物と有機化合物とが含まれる電解液を陽極酸化によって電解し、有機合成の反応が開始される。この有機合成によってアゾジカルボンアミドが製造される。
さらに、上側電解セル10Uの上側陽極11Uは、ハロゲン化物と有機化合物とが含まれる電解液を陽極酸化によって電解し、アゾジカルボンアミドが製造される。こうして製造されたアゾジカルボンアミドを含む原料容器は、ケーシング25の流出口27から流出して、貯留槽に貯留される。
このような第1の実施形態における有機電解合成装置1では、アゾジカルボンアミドの製造過程において、ハロゲン化物及び有機化合物を含む電解液を下側陽極11Dで陽極酸化した場合、下側陽極11Dの表面のハロゲン化物イオンは、ハロゲン単体(F、Cl、Br、I)や過酸化物(FO、ClO、BrO、IO)にまで酸化されて副生物となる。副生物は、下側陽極11Dの表面から電解液中に拡散する。
電解液中に拡散した副生物が残存していると、電解液中の未反応の有機化合物や製造されたアゾジカルボンアミドが副生物によって酸化分解され、アゾジカルボンアミドの収率の悪化の原因となりえる。ここで、電解液中の副生物が消失すると、収率の悪化が抑制される。電解液中の副生物を消失させるためには、電解液にハロゲン単体や過酸化物を中和する薬剤を投入する方法がある。
ところが、このような薬剤を投入して副生物を消失させる方法では、電解液の性状の変質や使用薬剤の増加などの不具合をもたらすこととなる。また、副生物を消失させる方法として、副生物を陰極で還元する方法がある。ハロゲン化物は、例えばハロゲンが塩素である場合には、下記(1)式によって塩化物イオンに還元され、過酸化イオンは、下記(2)式によって塩化物イオンに還元される。
Cl+2e→2Cl ・・・(1)
ClO+HO+2e→Cl+2OH ・・・(2)
ここで、例えば図2(A)に示すように、電解セル10Xとして、陽極11Xと陰極12Xとを備える有機電解合成装置を想定する。この有機電解合成装置において、陽極11Xと陰極12Xとの間に対流がほとんどなく、副生物18が陰極表面に到達するまでの物質移動を自然拡散に依存したとする。この場合、副生物18と有機化合物との接触時間が長くなり、目的有機化合物(アゾジカルボンアミド)の酸化分解の抑制効果を十分に得ることが難しくなる。
また、電解液は、ハロゲン化物イオンや有機化合物を、飽和状態に近い高濃度まで含有するため、自然な物質拡散をほとんど期待できない。これに対して、電解液を対流させて副生物18を陰極表面へ移動・拡散させれば、副生物18と有機化合物との接触時間の短縮を図ることができる。
ところが、陽極11Xと陰極12Xとの離間方向に直交した方向に電解液が流通する。このため、電解液を層流状態で流通させると、副生物18が陰極12Xの方向へ拡散しにくくなる。
また、電解液を乱流で流通させると、陽極11Xから陰極12Xへ副生物18を移動させた際の陰極12Xと副生物18との接触効率が向上し、副生物18の消失効果が向上する。しかし、電解液を乱流で流通させると、陽極11Xの反応場が乱され、副生物18の離脱が促進されてしまい、電解液中に残存する副生物18の減少に対する寄与が小さくなってしまう。
この点、第1の実施形態における有機電解合成装置1では、電解液を層流状態で流通させるので、副生物18を電解液中に離脱しにくくできる。さらに、第1の実施形態における有機電解合成装置1では、下側電解セル10Dの下側陽極11Dにおける電解液の流通方向下流側に、上側電解セル10Uの上側陽極11Uが並設されている。このため、図2(B)に示すように、下側陽極11Dで発生した副生物18を目的有機化合物とともに層流状態で上側電解セル10Uの上側陰極12Uに搬送することができる。したがって、下側陽極11Dで発生した副生物18の多くは、上側陰極12Uで還元されて消失する。よって、目的有機化合物と副生物18との反応を抑制することができるので、目的有機化合物の収率の低下を抑制することができる。
また、第1の実施形態における有機電解合成装置1では、複数の電解セルとして、互いに上下に並設された下側電解セル10Dと上側電解セル10Uとを備えており、電解液の流通方向は、鉛直上向き方向とされている。このため、下側陽極11D及び上側陽極11Uと電解液と接触時間を長くすることができる。したがって、目的有機化合物の製造量を多くすることができる。
また、下側電解セル10D及び上側電解セル10Uは、ケーシング25に収容されている。このため、ケーシング25によって電解液の流通方向を規制できるので、安定した層流の維持に寄与することができる。また、電解液の流通方向に並設された下側陽極11Dと上側陰極12Uとの間、及び下側陰極12Dと上側陽極11Uとの間の隙間の電解液の流通を抑制できる。したがって、下側陽極11Dと上側陰極12Uとの間、及び下側陰極12Dと上側陽極11Uとの間の隙間による乱流の発生を抑制できるので、安定した層流の維持に寄与することができる。
さらに、下側陽極11D、下側陰極12D、上側陽極11U、上側陰極12Uは、いずれもケーシング25の側壁に近接し、ケーシング25の側壁に沿って配設されている。このため、下側陽極11Dと上側陰極12Uとの間、及び下側陽極11Dと上側陰極12Uとの間の隙間による乱流の発生をさらに抑制し、さらに安定した層流の維持に寄与することができる。
また、電解液が層流となる条件は、電解液の速度、粘度、下側陽極11Dと下側陰極12Dとの離間距離、上側陽極11Uと上側陰極12Uとの離間距離等によって、影響を受ける。下側陽極11Dと下側陰極12Dとの離間距離、上側陽極11Uと上側陰極12Uとの離間距離は定められているので、電解液の速度または粘度を調整することで、電解液を安定した層流状態とすることができる。
有機電解合成装置1は、ケーシング25に電解液を流通させるポンプ4を備えており、ポンプ4の出力によってケーシング25内の電解液の速度が制御可能とされている。このため、有機電解合成装置1は、安定した層流を維持することができる。
また、有機電解合成装置1は、熱交換器5を備えており、ケーシング25に供給される電解液の温度が制御される。電解液の温度が高いと電解液の粘度は低くなり、電解液の温度が低いと電解液の粘度は高くなる。このように、電解液の粘度は、電解液の温度によって制御することができる。したがって、有機電解合成装置1は、熱交換器5によって電解液の温度を制御することができ、温度の制御によって電解液の粘度を制御することができる。よって、有機電解合成装置1は、安定した層流を維持することができる。
有機化合物とハロゲン化物イオンを電気分解することによる反応は、ハロゲン化物イオンをリサイクルできる点で有用である。有機化合物とハロゲン化物イオンを含む電解液が電解されると、陽極からハロゲン化物が生じる。その中に目的有機化合物が含まれ、他のハロゲン化物は、ハロゲン化物イオンを取り出すために循環しながら反応する。
例えば、アゾ化合物を電解合成する際には、カルボアミド化合物とハロゲン化物イオン(例えば塩素イオン)を含む電解液が電解され、ハロゲン化合物の中間体が製造される。製造されたハロゲン化合物の一部は目的有機化合物(アゾ化合物)として取り出され、他のハロゲン化合物は循環しながら反応する。ここでのアゾ化合物には、アゾジカルボンアミドやアゾジカルボン酸エステルが含まれる。これらのアゾ化合物の用途は、例えば発泡剤や重合開始材である。
また、エポキシ化合物を電解合成する場合には、オレフィンとハロゲン化物イオン(塩素イオン)を含む電解液が電解され、ハロゲン化合物の中間体が製造される。ハロゲン化合物の中間体には、塩素イオンが含まれており、製造されたハロゲン化合物の一部は目的有機化合物(エポキシ化合物)となって取り出される。他のハロゲン化合物は、塩素イオンを取り出すために循環しながら反応する。ここでのエポキシ化合物の用途は、例えばエポキシ樹脂原料である。
また、メトキシ化合物を電解合成する場合には、例えばフルオロアルキルスルフィドとメタノールを含む電解液が電解され、ハロゲン化合物の中間体が製造される。ハロゲン化合物の中間体には、フッ素イオンが含まれており、製造されたハロゲン化合物の一部は目的有機化合物(メトキシ化したフルオロアルキルスルフィド)となって取り出される。他のハロゲン化合物は、フッ素イオンを取り出すために循環しながら反応する。メトキシ化したフルオロアルキルスルフィドの用途は、例えば農薬である。
なお、第1の実施形態では、目的有機化合物は、アゾジカルボンアミドであるが、他の有機化合物であってもよい。他の目的有機化合物としては、アゾジカルボン酸エステルでもよいし、β−ラクタム誘導体を例示することができる。
また、第1の実施形態では、下側電解セル10D及び上側電解セル10Uの2つの電解セル及び4枚の電極を設けているが、より多くの電解セルや電極を設けてもよい。例えば、電解液の流通方向に沿って陽極と陰極とを直列状として交互に並設し、これらの複数の陽極と陰極とに向い合う陰極と陽極とを直列状として交互に並設してもよい。
この場合、向かい合う陰極と陽極とで電解セルが構成され、複数の電解セルが電解液の流通方向に沿って直列状に並設された状態となる。また、以後の実施形態でも同様に、電解液の流通方向に沿って陽極と陰極とを直列状として交互に並設し、これらの複数の陽極と陰極とに向い合う陰極と陽極とを直列状として交互に並設してもよい。また、上側電解セル10Uと下側電解セル10Dは、ケーシング25に収容されているが、ケーシング25に収容されていないようにしてもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、第2の実施形態における有機電解合成装置の要部を模式的に示す図である。第2の実施形態における有機電解合成装置は、第1の実施形態における有機電解合成装置と比較して、電解槽の構成が主に相違している。そこで、図3では、有機電解合成装置の要部として電解槽を中心に示して、第2の実施形態について説明する。
図3に示すように、第2の実施形態における有機電解合成装置1Bは、電解槽2Bを備えている。電解槽2Bは、ケーシング25Bを備えており、ケーシング25Bには、下側左陽極21DL、上側中陽極21UC、下側右陽極21DR、上側左陰極22UL、下側中陰極22DC、上側右陰極22URが設けられている。下側左陽極21DLと下側中陰極22DCとで下側左電解セル20DLが構成され、下側中陰極22DCと下側右陽極21DRとで下側右電解セル20DRが構成される。また、上側左陰極22ULと上側中陽極21UCとで上側左電解セル20ULが構成され、上側中陽極21UCと上側右陰極22URとで上側右電解セル20URが構成される。
下側左陽極21DL、上側中陽極21UC、下側右陽極21DR、上側左陰極22UL、下側中陰極22DC、上側右陰極22URは、いずれも板状をなしており、電源装置7(図1参照)の電流制御回路72に電気的に接続されている。
下側左陽極21DL、上側中陽極21UC、下側右陽極21DRには、電流制御回路72から電流が供給される。上側左陰極22UL、下側中陰極22DC、上側右陰極22URからは、電流制御回路72に電流が流出される。
下側左陽極21DLと下側中陰極22DCとの間には、ハロゲン化物及び有機化合物を含む電解液が層流状態で供給される。同様に、下側中陰極22DCと下側右陽極21DRとの間には、ハロゲン化物及び有機化合物を含む電解液が層流状態で供給される。これらの電解液の流通方向は、いずれも鉛直上向き方向とされている。有機電解合成装置1Bでは、複数の電解セルとして下側左電解セル20DLと下側右電解セル20DRとが電解液の流通方向に交差する方向、例えば直交する方向に沿って設けられている。
第2の実施形態における有機電解合成装置1Bでは、電解槽2Bのケーシング25Bにおいて、電解液を下側左陽極21DLや下側右陽極21DRで陽極酸化した場合、ハロゲン単体や過酸化物が酸化されて副生物となる。副生物は、層流状態の電解液によって下側左陽極21DLや下側右陽極21DRの下流側に配置された上側左陰極22ULや上側右陰極22URに搬送される。したがって、下側左陽極21DLや下側右陽極21DRで発生した副生物の多くは、上側左陰極22ULや上側右陰極22URで還元されて消失する。よって、目的有機化合物と副生物との反応を抑制することができるので、目的有機化合物の収率の低下を抑制することができる。
また、第2の実施形態における有機電解合成装置1Bでは、複数の電解セルとして下側左電解セル20DLと下側右電解セル20DRとが電解液の流通方向に直交する方向に沿って設けられている。このため、電解液の流通方向以外の方向にも電解セルが配置されているので、大量の電解液を短時間で流通させることができる。また、有機電解合成装置が大型化した場合にも対応することができる。また、下側左陽極21DL及び下側右陽極21DRにとって下側中陰極22DCが挟まれ配置されており、上側左陰極22UL及び上側右陰極22URによって上側中陽極21UCが挟まれて配置されている。このため、下側中陰極22DC及び上側中陽極21UCを整流板として機能させることができるので、安定した層流の維持に寄与することができる。なお、下側中陰極22DC及び上側中陽極21UCに加えて、例えば導電性の隔膜を設けて整流させるようにしてもよい。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図4は、第3の実施形態における有機電解合成装置の要部を模式的に示す図である。第3の実施形態における有機電解合成装置は、第1の実施形態における有機電解合成装置と比較して、電解槽の構成が主に相違している。図4では、有機電解合成装置の要部として電解槽を中心に示して、第3の実施形態について説明する。
図4に示すように、第3の実施形態における有機電解合成装置1Cは、電解槽2Cを備えている。電解槽2Cは、ケーシング25Cを備えており、ケーシング25Cには、下側電解セル30D及び上側電解セル30Uが設けられている。下側電解セル30Dは、下側陽極31D及び下側陰極32Dを備えており、上側電解セル30Uは、上側陰極32U及び上側陽極31Uを備えている。また、下側陽極31Dと上側陰極32U、下側陰極32Dと上側陽極31Uは、いずれも板状を成しており、電解液の流通方向に沿って並設されている。
下側陽極31Dと上側陰極32Uとの間には、左スペーサ33Lが配設されており、下側陰極32Dと上側陽極31Uとの間には右スペーサ33Rが配設されている。左スペーサ33L及び右スペーサ33Rは、いずれも絶縁体によって形成されている。下側陽極31Dと上側陰極32Uと左スペーサ33Lとにおけるケーシング25(図1参照)の内側の面は、層流状態を維持できる程度の段差を有していても良い。下側陽極31Dと上側陰極32Uと左スペーサ33Lとの間には隙間がなく、その内側の面は、層流状態を維持できる程度の段差を有していても良い。同様に、下側陰極32Dと上側陽極31Uと右スペーサ33Rとのケーシング25の内側の面は層流状態を維持できる程度の段差を有していても良い。下側陰極32Dと上側陽極31Uと右スペーサ33Rとの間には隙間がなく、その内側の面は層流状態を維持できる程度の段差を有していても良い。
第3の実施形態における有機電解合成装置1Cでは、電解槽2Cのケーシング25Cにおいて、下側陽極31Dで発生した副生物の多くは、上側陰極32Uで還元されて消失する。よって、目的有機化合物と副生物との反応を抑制することができるので、目的有機化合物の収率の低下を抑制することができる。
また、第3の実施形態における有機電解合成装置1Cでは、電解槽2Cにおいて、下側陽極31Dと上側陰極32Uとの間に左スペーサ33Lが配設され、下側陰極32Dと上側陽極31Uとの間に右スペーサ33Rが配設されている。このため、下側陽極31Dと上側陰極32U及び下側陰極32Dと上側陽極31Uをそれぞれ機械的に一体とし、電気的には絶縁して別体とすることができる。したがって、電解液の流通方向に並設された下側陽極31Dと上側陰極32Uとの間及び下側陰極32Dと上側陽極31Uとの間における隙間を塞ぐことができる。よって、隙間による乱流の発生を抑制できるので、安定した層流の維持に寄与することができる。
また、左スペーサ33L及び右スペーサ33Rはいずれも絶縁体である。このため、下側陽極31Dと上側陰極32Uとの短絡及び下側陰極32Dと上側陽極31Uとの短絡を電気的に絶縁することで抑制することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図5は、第4の実施形態における有機電解合成装置の要部を模式的に示す図である。第4の実施形態における有機電解合成装置は、第1の実施形態における有機電解合成装置と比較して、電解槽及び電源装置と電極との接続関係が主に相違している。図5では、有機電解合成装置の要部として電解槽及び電源と電極との接続関係を中心に示して、第4の実施形態について説明する。
図5に示すように、第4の実施形態における有機電解合成装置1Dは、電解槽2Dを備えている。電解槽2Dは、ケーシング25Dを備えており、ケーシング25Dには、接続陽極41と、接続陰極42と、複数の二極電極43と、が設けられている。接続陽極41及び接続陰極42には、電源装置7が接続されている。二極電極43は、一枚の板状電極であって電解液の流通方向一方側の部分が陽極とされるとともに他方側の部分が陰極とされている。
有機電解合成装置1Dは、複数の二極電極43を電解液の流通方向に間隔をあけて設けられてなる中電極群44Cを備えている。また、接続陽極41と、接続陰極42と、複数の二極電極43と、を電解液の流通方向に間隔をあけて設けられてなる左電極群44L、右電極群44Rを備えている。
左電極群44Lにおける二極電極43と、中電極群44Cにおける二極電極43とは、電解液の流通方向に二極電極43の約2分の1ピッチ分だけずれた状態で配置されている。こうして、左電極群44Lにおける二極電極43と、中電極群44Cにおける二極電極43とは、千鳥に配置されている。これにより、互いに平行に隣り合う二極電極43における電解液の流通方向下流側が陽極部43Aとなり、上流側が陰極部43Bとなる。また、左電極群44Lにおける二極電極43と、中電極群44Cにおける二極電極43とにおいて、互いに平行に隣り合う二極電極43の陽極部43Aと陰極部43Bとが対向状態となる。また、左電極群44Lでは、電解液の流通方向の最上流側に接続陰極42が配置され、電解液の流通方向の最下流側に接続陽極41が配置されている。
同様に、中電極群44Cにおける二極電極43と、右電極群44Rにおける二極電極43とは、電解液の流通方向に二極電極43の約2分の1ピッチ分だけずれた状態で配置されている。また、右電極群44Rでは、電解液の流通方向の最上流側に接続陰極42が配置され、電解液の流通方向の最下流側に接続陽極41が配置されている。有機電解合成装置1Dでは、このように陽極部43Aと陰極部43Bとが配置され、電源装置7が接続陽極41及び接続陰極42に接続されている。
第4の実施形態における有機電解合成装置1Dでは、電解槽2Dのケーシング25Dにおいて、電解液の流通方向上流側に配置された二極電極43の陽極部43Aで発生した副生物の多くは、電解液の流通方向下流側に配置された二極電極43の陰極部43Bで還元されて消失する。よって、目的有機化合物と副生物との反応を抑制することができるので、目的有機化合物の収率の低下を抑制することができる。
また、第4の実施形態における有機電解合成装置1Dでは、複数の二極電極43が左電極群44L、中電極群44C、右電極群44Rで集約的に配置されている。このため、有機電解合成装置1Dのコンパクト化を図ることができる。また、互いに平行に隣り合う電極群同士の陽極部43A及び陰極部43Bが対向していることから、接続陽極41及び接続陰極42を電源装置7に接続し、陽極部43A及び陰極部43Bの間に通電することで、電極間を流通する電解液に対して効率的に電気分解を施すことが可能となる。
また、隣り合う電極群では、二極電極43が電解液の流通方向に二極電極43の約2分の1ピッチ分だけずれた状態で配置されており、電源装置7が接続陽極41及び接続陰極42に接続されている。このため、隣り合う電極群間の二極電極43の陽極部43Aと陰極部43Bとの間に分極によって電流が通電する。したがって、複数の二極電極43のそれぞれに対して電源装置7を接続することなく、二極電極43の陽極部43Aと陰極部43Bとの間に電圧を印加することができるので、配線の引き回しを容易にすることができる。
また、二極電極43は、整流板としても機能することができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図6は、第5の実施形態における有機電解合成装置の要部を模式的に示す斜視図である。第5の実施形態における有機電解合成装置は、第1の実施形態における有機電解合成装置と比較して、電解槽が主に相違している。また、第5の実施形態では、電解液の流通方向が第1の実施形態と異なっている。
図6に示すように、第5の実施形態における有機電解合成装置1Eは、電解槽2Eを備えている。電解槽2Eは、ケーシング25Eを備えており、ケーシング25Eには、水平方向に並設された左後陽極51LB、中後陰極52CB、右後陽極51RBが設けられている。また、ケーシング25Eには、複数の電極として、水平方向に並設された左中陰極52LC、中中陽極51CC、右中陰極52RCが設けられている。また、ケーシング25Eには、水平方向に並設された左前陽極51LF、中前陰極52CF、右前陽極51RFが設けられている。これらの電極は、板状をなし、鉛直方向に沿って設けられて配置されている。
有機電解合成装置1Eでは、左後陽極51LBと左中陰極52LCとが並んで配置されており、電解セルを構成している。同様に、中後陰極52CBと中中陽極51CC、右後陽極51RBと右中陰極52RCが並んで配置されてそれぞれ電解セルを構成する。また、左中陰極52LCと左前陽極51LF、中中陽極51CCと中前陰極52CF、右中陰極52RCと右前陽極51RFとが並んで配置されてそれぞれ電解セルを構成する。
電解液は、左後陽極51LBと左中陰極52LC、中後陰極52CBと中中陽極51CC、右後陽極51RBと右中陰極52RCの間を流通する。また、電解液は、左中陰極52LCと左前陽極51LF、中中陽極51CCと中前陰極52CF、右中陰極52RCと右前陽極51RFの間を流通する。電解液の流通方向は、鉛直方向に交差する方向、具体的には水平方向である。複数の電解セルは、電解液の流通方向に直交する方向に並設されている。また、電解液は、層流状態となって流通されている。
第5の実施形態における有機電解合成装置1Eでは、電解槽2Eのケーシング25Eにおいて、電解液を左後陽極51LB、左前陽極51LF、中中陽極51CCで陽極酸化した場合、ハロゲン単体や過酸化物が酸化されて副生物となる。副生物は、層流状態の電解液によって左後陽極51LB、左前陽極51LF、中中陽極51CCにおける電解液の流通方向の下流側に配置された中後陰極52CB、中前陰極52CF、右中陰極52RCに搬送される。したがって、左後陽極51LB、左前陽極51LF、中中陽極51CCで発生した副生物の多くは、中後陰極52CB、中前陰極52CF、右中陰極52RCで還元されて消失する。よって、目的有機化合物と副生物との反応を抑制することができるので、目的有機化合物の収率の低下を抑制することができる。
また、第5の実施形態における有機電解合成装置1Eでは、ケーシング25Eにおいて、複数の陽極及び陰極が水平方向に並設されている。このため、複数の電極を高さ方向に並べることなく、多数の電極を設けることができる。したがって、電解液を短時間で大量に流通させることができる。また、電解液の流路を高さ方向に高くせずに済むので、有機電解合成装置1Eの高層化を抑制することができる。さらには、電解液の配管を鉛直方向に引き回すことなく、例えば水平な配管の途中にインラインで設けることができる。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態では、第1の実施形態で示した有機電解合成装置1を備える有機電解合成システムについて説明する。図7は、第6の実施形態における有機電解合成システムの構成図である。
図7に示すように、第6の実施形態における有機電解合成システム100は、有機電解合成装置1の電解槽2と同様の第1電解槽2Xと、第2電解槽2Yとを備えている。
第1電解槽2Xの流入口101Xには、流入配管103の一端が接続されており、第1電解槽2Xの流出口102Xには、中間配管104の一端が接続されている。流入配管103の他端は、ポンプ105に接続されており、第1電解槽2Xの第1ケーシング25Xに電解液を導入可能とされている。
中間配管104の他端は、第2電解槽2Yの流入口101Yに接続されている。第2電解槽2Yの流出口102Yには、流出配管106の一端が接続されている。流出配管106の他端は、図示しない貯留槽に接続されている。
第1電解槽2Xの下流側に配置された中間配管104には、排気構造である第1ガス抜きバルブ107が設けられている。第2電解槽2Yの下流側に配置された流出配管106には、排気構造である第2ガス抜きバルブ108が設けられている。第1ガス抜きバルブ107は、第1ケーシング25X内の気体を排出する。第2ガス抜きバルブ108は、第2電解槽2Yの第2ケーシング25Y内の気体を排出する。また、流入配管103には、熱交換器109が設けられている。
第6の実施形態における有機電解合成システム100では、第1ケーシング25X内の気体及び第2ケーシング25Y内の気体を排出する。ここで、図1に示す有機電解合成装置1のケーシング25内における気体の流れ等について説明する。
ケーシング25内では、電解液の電解に伴い、下側陰極12D及び上側陰極12Uから水素(H)ガスが発生する。このため、ケーシング25内には、気体が溜まることがある。特に、リサイクル電解を行う場合や電解槽2をプラグフロー式で連結した電解を行う場合などの電解時間が長時間に及ぶ場合には、H気泡率が著しく増大する。気泡率が増大すると、気泡の蓄積によって大きな気泡が発生し、流速や圧力の変化の原因となってしまう。
このため、電解液の液流は、気泡率が高い箇所に向かって発生するため、局所的に高気泡率となる場所が生じると、予期しない方向へ電解液が流れたり、電解液の流速が早まったりすることがある。このような場合には、下側電解セル10D及び上側電解セル10Uを流通する電解液の層流を維持することが困難となる場合がある。同様の現象は、上記の第1の実施形態における有機電解合成装置1のほか、第2の実施形態から第4の実施形態における有機電解合成装置1B〜1Dにおいても生じ得る。
このような不具合を解消するため、有機電解合成システム100では、第1ガス抜きバルブ107によって第1ケーシング25X内の気体を排出可能とし、第2ガス抜きバルブ108によって第2ケーシング25Y内の気体を排出可能としている。
第1ガス抜きバルブ107を閉じているときには、中間配管104は気密状態に維持されている。第1ガス抜きバルブ107を開くと、中間配管104は、気密状態から開放され、中間配管104及び第1ケーシング25X内の気体が第1ガス抜きバルブ107を介して中間配管104及び第1ケーシング25Xの外部に排出される。こうして、第1ケーシング25X内におけるガス溜りを抑制することができるので、電解液の層流状態の維持に寄与することができる。
また、第2ガス抜きバルブ108を閉じているときには、流出配管106は気密状態に維持されている。第2ガス抜きバルブ108を開くと、流出配管106は、気密状態から開放され、流出配管106及び第2ケーシング25Y内の気体が第2ガス抜きバルブ108を介して流出配管106及び第2ケーシング25Yの外部に排出される。こうして、第2ケーシング25Y内におけるガス溜りを抑制することができるので、電解液の層流の維持に寄与することができる。
なお、第6の実施形態における有機電解合成システム100では、2つの電解槽を備えているが、電解槽を1つ備える有機電解合成システムとしてもよい。この場合、電解槽の流入口と流出口とを配管で接続し、電解槽から排出された電解液を、同じ電解槽に戻して循環させながら反応させるようにしてもよい。
(第1の変形例)
次に、第6実施形態の第1の変形例について説明する。図8は、第1の変形例における有機電解合成システムの構成図である。
図8に示すように、第1の変形例における有機電解合成システム200は、第6の実施形態における有機電解合成システム100と同様の第1電解槽2Xと、第2電解槽2Yとを備えている。
第1電解槽2Xの流入口101Xには、流入配管201一端が接続されており、第1電解槽2Xの流出口102Xには、第1中間配管202の一端が接続されている。流入配管201の他端は、ポンプ105に接続されており、第1電解槽2Xの第1ケーシング25Xに電解液を導入可能とされている。
第1中間配管202の他端は、ガス抜き貯留槽203の流入口203Aに接続されている。ガス抜き貯留槽203には、第1中間配管202を通して搬送された電解液が貯留されている。貯留槽203の流出口203Bには、第2中間配管204の一端が接続されている。
第2中間配管204の他端は、第2電解槽2Yの流入口101Yに接続されている。第2電解槽2Yの流出口102Yには、流出配管205の一端が接続されている。流出配管205の他端は、図示しない貯留槽に接続されている。
ガス抜き貯留槽203の上端部には、減圧機構206が設けられている。ガス抜き貯留槽203内では、貯留された電解液の上方にガス(気体)が溜められている。減圧機構206は、ガス抜き貯留槽203内の上方に貯められた気体の圧力(気圧)を調整できる。減圧機構206によってガス抜き貯留槽203内の気圧を大気圧より高くすることにより、ガス抜き貯留槽203に貯められた気体がガス抜き貯留槽203の外部に排出される。
上記の第1の変形例における有機電解合成システム200では、減圧機構206によってガス抜き貯留槽203内の気圧を高くして、ガス抜き貯留槽203内の気体を排出可能としている。減圧機構206によってガス抜き貯留槽203内の気圧を大気圧以上とすることにより、ガス抜き貯留槽203内の気体を強制的に外部に排出することができる。ガス抜き貯留槽203内の気体が外部に排出され、第1ケーシング25X内の気体がガス抜き貯留槽203に導入されやすくなる。こうして、第1ケーシング25X内におけるガス溜りを抑制することができるので、電解液の層流の維持に寄与することができる。
なお、第1の変形例における有機電解合成システム200では、第1電解槽2X及び第2電解槽2Yを備えているが、第1電解槽2Xを1つ備える有機電解合成システムとしてもよい。この場合、第1電解槽2Xの流入口101Xとガス抜き貯留槽203の流出口203Bとを配管によって接続し、第1電解槽2Xの流出口102Xとガス抜き貯留槽203の流入口203Aとを配管によって接続して、第1電解槽2Xから排出された電解液を、第1電解槽2Xに戻して循環させながら反応させるようにしてもよい。
(第2の変形例)
次に、第6実施形態の第2の変形例について説明する。図9は、第2の変形例における有機電解合成システムの構成図である。
図9に示すように、第2の変形例における有機電解合成システム300は、第5の実勢形態における電解槽2Eと同様の電解槽301を備えている。電解槽301は、ケーシング302を備えており、ケーシング302には、複数の陽極及び陰極が設けられている。複数の陽極及び陰極は、ケーシング302の底板に対して、鉛直方向に沿って設けられている。
ケーシング302は、流入口303と流出口304とを備えている。流出口304は、流入口303よりも高い位置に配置されている。ケーシング302は、底板305と天板306を備え、底板305と天板306とは略平行に設けられており、底板305が水平面に対して傾斜して設けられている。このため、ケーシング302内では、電解液が斜め上方に流通する。このため、電解液の流通方向は、鉛直方向に交差する方向の斜め上方向となる。
複数の陽極及び陰極は、電解液の流通方向に沿って並設され、陽極と陰極とが交互に配置される。また、電解液の流通方向に沿って並設された陽極及び陰極に向かい合う位置には、それぞれ陰極及び陽極が設けられている。
ケーシング302の天板306には、第1ガス溜307A〜第3ガス溜307C及び第1ガス抜きバルブ308A〜第3ガス抜きバルブ308Cが設けられている。第1ガス溜307Aは、第2ガス溜307Bよりも電解液の流通方向上流側に配置されており、第2ガス溜307Bは、第3ガス溜307Cよりも電解液の流通方向上流側に配置されている。第1ガス抜きバルブ308Aは、第1ガス溜307Aに設けられている。また、第2ガス抜きバルブ308Bは、第2ガス溜307Bに設けられ、第3ガス抜きバルブ308Cは、第3ガス溜307Cに設けられている。
例えば、電解液を水平方向に流通させると、電解時間の増大に伴って気泡率が上昇し、電極間にガス溜りが生じやすくなる。電極間にガス溜りが生じると、電極間の上部で液面揺らぎが生じて流れが不安定になりやすくなり、その結果、層流を維持するのが難しくなる。この問題は、鉛直方向に交差する方向、例えば第2の変形例のように、斜め上方向に電解液が流通する場合にも同様に生じる。
この問題に対して、電極間のガス溜りを解消することにより、このような液面揺らぎを抑制することができる。第2の変形例における有機電解合成システムでは、ケーシング302の上面には、第1ガス溜307A〜第3ガス溜307C及び第1ガス抜きバルブ308A〜第3ガス抜きバルブ308Cが設けられているため、電極間に生じた気体を第1ガス溜307A〜第3ガス溜307Cに溜めることができる。したがって、電極間のガス溜りを解消することができ、液面揺らぎを抑制して、安定した層流の維持に寄与することができる。
また、第1ガス抜きバルブ308A〜第3ガス抜きバルブ308Cを開放することにより、第1ガス溜307A〜第3ガス溜307Cに溜められた気体をケーシング302の外部に排出することができる。したがって、第1ガス溜307A〜第3ガス溜307Cに溜められた気体の量が増えたとしても、第1ガス抜きバルブ308A〜第3ガス抜きバルブ308Cを開放することで、第1ガス溜307A〜第3ガス溜307Cに溜められた気体の量を減らすことができる。よって、電極間のガス溜りを好適に解消することができ、液面揺らぎをさらに抑制して、安定した層流の維持に寄与することができる。
また、ケーシング302の天板306は、底板305と略平行であり、水平面に対して傾斜して設けられている。このため、ケーシング302の上面まで浮上した気体は、例えばケーシング302の上面に沿って電解液の通流方向下流側に移動する。そして、最終的には、電解液の通流方向下流側に配置された第3ガス溜307Cに溜められ第3ガス抜きバルブ308Cを開放することで、ケーシング302の外部に排出される。このため、ケーシング302内における気体の残留を好適に抑制することができる。
(層流状態の形成条件)
次に、層流状態を形成する条件に付いて説明する。ここでの層流状態とは、レイノルズ数Reが2000以下の状態である。レイノズル数Reは相当長さL、液流速v、液密度ρ、液粘度μとすると
Re=Lvρ/μ
で表される。相当長さLは、電解セル10における陽極11と陰極12との電極間距離α、陽極11(陰極12)の電極幅β、及び液流速vで求められる。
層流状態でのレイノルズ数Reの適正値は反応によって異なる。上記の第1の実施形態の有機電解合成装置1を用いた有機電解合成方法によって、目的有機化合物としてアゾジカルボンアミドを製造する例に示した反応例について示すと高い電流効率を維持する適正レイノルズ数は1〜100である。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記の各実施形態は、互いに組み合わせてもよい。例えば、第3の実施形態で示したようなスペーサを第1の実施形態で示した下側陽極11Dと上側陰極12Uとの間や第5の実施形態で示した左後陽極51LBと中後陰極52CBの間、中後陰極52CBと右後陽極51RBの間に配置してもよい。あるいは、第6の実施形態の第1の変形例で示したような減圧機構が設けられたガス抜き貯留槽を、第2の変形例で示したような有機電解合成装置に設けてもよい。
1,1B〜1E…有機電解合成装置
2,2B〜2E…電解槽
4…ポンプ(流通装置,速度制御装置)
5…熱交換器(温度制御装置)
7…電源装置
8…制御装置
10D…下側電解セル(上流側電解セル)
10U…上側電解セル(下流側電解セル)
11D…下側陽極(第1電極)
11U…上側陽極(第1電極)
12D…下側陰極(第2電極)
12U…上側陰極(第2電極)
18…副生物
26…流入口
22…流出口
25,25B〜25E…ケーシング
33L…左スペーサ(スペーサ)
33R…右スペーサ(スペーサ)
41…接続陽極
42…接続陰極
43…二極電極(電極群)
43A…陽極部(第1電極)
43B…陰極部(第2電極)
81…流速制御部
82…温度制御部
100,200,300…有機電解合成システム
107,108,308A〜308C…バルブ(排気構造)

Claims (12)

  1. 向かい合って配置された第1電極及び第2電極をそれぞれ備える複数の電解セルと、
    複数の前記電解セルにおける前記第1電極及び前記第2電極の間に電圧を印加する電源装置と、
    ハロゲン化物イオンと有機化合物とを含む電解液を前記第1電極と前記第2電極との間に層流状態で流通させる流通装置と、
    を備え、
    前記複数の電解セルは、前記電解液の流通方向の上流側に配置された上流側電解セルと、前記電解液の流通方向下流側に配置された下流側電解セルとを有するとともに、
    前記第1電極及び前記第2電極は、それぞれ前記電解液の流通方向に沿って延びる板状をなし、
    前記上流側電解セルの前記第1電極と前記下流側電解セルの前記第2電極とが、前記電解液の流通方向に沿って並んで配置されており、
    前記上流側電解セルの前記第2電極と前記下流側電解セルの前記第1電極とが、前記電解液の流通方向に沿って並んで配置されており、
    前記電源装置は、前記上流側電解セル及び前記下流側電解セルのうち、前記上流側電解セルにおける第1電極と、前記上流側電解セルにおける前記第1電極の下流側に配置された前記下流側電解セルにおける第2電極の極性と、が逆となる電圧を印加することを特徴とする有機電解合成装置。
  2. 前記電解液の流通方向に交差する方向に沿って前記電解セルが複数設けられている請求項1に記載の有機電解合成装置。
  3. 前記電解液の流通方向に沿って並んで配置された前記上流側電解セルの前記第1電極と前記下流側電解セルの前記第2電極との間と、前記上流側電解セルの前記第2電極と前記下流側電解セルの前記第1電極との間と、のうちの少なくとも一方に絶縁体のスペーサが配置されている請求項1または2に記載の有機電解合成装置。
  4. 前記電解液の流通方向一方側の部分が前記第1電極とされるとともに他方側の部分が前記第2電極とされた複数の二極電極を含み、
    これら二極電極を前記電解液の流通方向に間隔をあけて設けられている電極群が、互いに平行をなすように複数配置され、
    互いに平行に隣り合う前記電極群同士の前記二極電極が、前記第1電極と前記第2電極とを対向させて配置されている請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の有機電解合成装置。
  5. 前記第1電極及び前記第2電極は、板状をなし、鉛直方向に沿って設けられており、 前記電解液の流通方向は、鉛直上向き方向である請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の有機電解合成装置。
  6. 前記第1電極及び前記第2電極は、板状をなし、鉛直方向に沿って設けられており、 前記電解液の流通方向は、鉛直方向に交差する方向である請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の有機電解合成装置。
  7. 複数の前記上流側電解セル及び前記下流側電解セルが、ケーシングに収容されている請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の有機電解合成装置。
  8. 前記ケーシングの上部に、前記ケーシング内の気体を排出する排気構造が設けられている請求項7に記載の有機電解合成装置。
  9. 前記ケーシングに接続され、前記ケーシングから電解液が排出される配管に、前記ケーシング内の気体を排出する排気構造が設けられている請求項7に記載の有機電解合成装置。
  10. 前記電解液の速度を制御する速度制御装置をさらに備える請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の有機電解合成装置。
  11. 前記電解液の温度を制御する温度制御装置をさらに備える請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の有機電解合成装置。
  12. 請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載の有機電解合成装置における前記第1電極と前記第2電極との間に前記電解液を流通させて、目的有機化合物を製造することを特徴とする有機電解合成方法。
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