JP6243920B2 - ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents
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Description
従来のガラス基板の研磨方法は、酸化セリウムやコロイダルシリカ等の金属酸化物の研磨材を含有するスラリー(研磨液)を供給しながら、ポリウレタン等のポリシャの研磨パッドを用いて行っている。高い平滑性を有するガラス基板は、たとえば酸化セリウム系研磨材を用いて研磨した後、さらにコロイダルシリカ砥粒を用いた仕上げ研磨(鏡面研磨)によって得ることが可能である。
磁気ヘッドの浮上量(磁気ヘッドと媒体(磁気ディスク)表面との間隙)の大幅な低下(低浮上量化)が挙げられる。こうすることで、磁気ヘッドと媒体の磁性層との距離が近づくため、より小さい領域に信号を書き込むことや、より小さい磁性粒子の信号を拾うことができるようになり、高記録密度化を達成することができる。近年、DFH(Dynamic Flying Height)制御という機能が磁気ヘッドに搭載されている。これは、スライダーの浮上量を下げるのではなく、磁気ヘッドの記録再生素子部近傍に内蔵したヒーター等の加熱部の熱膨張を利用して、記録再生素子部のみを媒体表面方向に向けて突き出す(近づける)機能である。このような状況下で、磁気ヘッドの低浮上量化を実現するためには、ガラス基板表面のよりいっそうの平滑性が必要となってくる。
しかしながら、本発明者の検討によると、例えば従来の仕上げ研磨に使用するコロイダルシリカ砥粒の場合、例えば平均粒子径10nm以下のものを使用しても研磨後のガラス表面の粗さの低下傾向が見られなくなった。研磨時、研磨砥粒はガラス表面と研磨パッドの間に介在しているが、研磨パッドは所定の荷重によりガラス表面に圧接しているため、微小の砥粒は研磨パッドの内部に沈み込んでしまい、研磨に寄与する突出量が減少し、研削量が著しく低下することにより、研磨による表面粗さの低減効果が発揮できなくなったのではないかと推測される。
しかし、上記特許文献1に開示された研磨砥粒においては、例えばシリカ粒子等の無機粒子が実質的にはガラスに対する研削作用を発揮するものと考えられ、このような研磨砥粒を用いて研磨加工を行っても、従来の問題を根本的に解決することは困難である。
また、フォトリソグラフィー法によるLSI等の半導体装置の製造にはフォトマスクが使用されているが、半導体基板への高精細なパターン転写を実現するためには、このフォトマスクの製造に用いられるマスクブランクス用ガラス基板においても、基板表面の粗さについての更なる改善が求められている。
すなわち、本発明は上記目的を達成するために、以下の構成を有する。
ガラス基板の主表面を鏡面研磨する研磨処理を含むガラス基板の製造方法であって、有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて、ガラス基板の主表面を鏡面研磨した後、有機系洗浄剤を用いてガラス基板を洗浄することを特徴とするガラス基板の製造方法。
前記有機系粒子は、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂またはウレタン系樹脂からなることを特徴とする構成1に記載のガラス基板の製造方法。
(構成3)
前記有機系洗浄剤は、有機溶剤またはアミン化合物であることを特徴とする構成1又は2に記載のガラス基板の製造方法。
ガラス基板の主表面の研磨処理を含むガラス基板の製造方法であって、有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて、ガラス基板の主表面を研磨処理した後、ガラス基板表面に付着した前記有機系粒子又はその一部を膨潤させ得る有機溶剤をガラス基板表面に接触させる処理を行うことを特徴とするガラス基板の製造方法。
(構成5)
前記有機系粒子を構成する樹脂のモノマー成分の溶解度パラメータ(SP値)をSP1、前記有機溶剤の溶解度パラメータ(SP値)をSP2としたとき、SP2/SP1が0.9〜1.1の範囲となるような前記有機溶剤を選択し、この選択した前記有機溶剤を用いて前記ガラス基板表面に接触させる処理を行うことを特徴とする構成4に記載のガラス基板の製造方法。
(構成6)
前記有機系粒子を構成する樹脂のモノマー成分の分子量をMW1、前記有機溶剤の分子量をMW2としたとき、MW2/MW1が1.5以下となるような前記有機溶剤を選択し、この選択した前記有機溶剤を用いて前記ガラス基板表面に接触させる処理を行うことを特徴とする構成5に記載のガラス基板の製造方法。
シリカ砥粒を研磨砥粒として含む研磨液を用いてガラス基板の主表面を研磨した後、前記有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いてガラス基板の主表面を鏡面研磨することを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
(構成8)
前記有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて鏡面研磨する前のガラス基板主表面の粗さは、算術平均粗さRaが0.3nm以下であることを特徴とする構成1乃至7のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
前記有機系粒子の粒径は、0.5〜60μmであることを特徴とする構成1乃至8のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
(構成10)
前記ガラス基板は、磁気ディスク用ガラス基板であることを特徴とする構成1乃至9のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
(構成11)
構成10に記載の製造方法によって得られたガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
また、本発明の上記構成とすることで、例えば750ギガバイトを超えるような今まで以上に高記録密度の磁気ディスクを製造するのに好適な高品質のガラス基板を製造することが可能である。
また、上記ガラス基板を用いることにより、上記のような高記録密度の磁気ディスクを製造することが可能である。
磁気ディスク用ガラス基板は、通常、研削工程、形状加工工程、端面研磨工程、主表面研磨工程、化学強化工程、等を経て製造される。
この磁気ディスク用ガラス基板の製造は、まず、溶融ガラスからダイレクトプレスにより円盤状のガラス基板(ガラスディスク)を成型する。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。次に、この成型したガラス基板の主表面に対して寸法精度及び形状精度を向上させるための研削を行う。この研削工程は、通常両面研削装置を用い、ダイヤモンド等の硬質砥粒を用いてガラス基板主表面の研削を行う。こうしてガラス基板主表面を研削することにより、所定の板厚、平坦度に加工するとともに、所定の表面粗さを得る。
すなわち、ガラスよりも低硬度かつ弾性を有する有機系粒子を研磨砥粒として用いることにより、荷重下における研磨工程ではガラス表面に不均一な加工変質層を形成させることなく研磨が進行すると考えられるため、研磨後のガラス基板表面の粗さを低減させることができる。しかも、研磨後、ガラス基板表面に付着した砥粒を除去するための洗浄工程には、ガラスに対するエッチング作用を持たない洗浄液を選定して洗浄を行うことが可能であるため、洗浄後のガラス基板表面の粗さの上昇を抑制することができる。
要するに、本発明において、有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて、ガラス基板の主表面を研磨する処理は、換言すれば、ガラス基板表面の粗さ低減処理である。
有機系粒子の形状としては、荷重下で定盤を回転させるためには低摩擦でなければならないので、ほぼ球形状であることが好ましく、粒径の揃った樹脂ビーズが望ましい。
なお、上記有機系粒子は複数種の単量体を重合して得られる共重合体であってもよい。例えば、アクリル単量体、ウレタン単量体、スチレン単量体から2種類以上を選択して重合してもよい。また、異なる種類の有機系粒子を複数混合したものでもよい。
本発明においては、特に、表面粗さのいっそうの低減を図る観点から、粒径が1.5〜30μmの範囲のものを使用するのが好ましく、より好ましくは、粒径が10〜25μmの範囲のものを使用することである。
なお、研磨液に0.1μm以下の極めて小さい有機粒子や、水溶性高分子などの高分子化合物が含まれる場合、当該高分子化合物がガラス基板表面に吸着して残留しやすいため、洗浄処理後に清浄な表面を得にくくなり好ましくない。本発明の研磨液に含まれる有機系粒子は、近年の基板主表面の最終研磨に用いられているコロイダルシリカ等の研磨砥粒の粒径(例えば25nm)よりおおよそ20倍以上大きいため、洗浄処理において除去されやすく、最終洗浄において清浄な基板表面が得られやすい。
上記添加剤の添加量は、特に制約されないが、加工性の観点からは、0.01〜1重量%の範囲とすることが好適である。
そして、本発明の研磨液組成物からなる研磨液を用い、かつ、上記範囲内の加工面圧力でガラス基板の主表面を研磨することで、表面粗さをより一層低減できる。
上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、オルトクロルベンゼン等の塩化芳香族炭化水素類、ジクロルメタン、トリクロルメタン、テトラクロルメタン、1,2-ジクロルエタン、1,1,1-トリクロルエタン、1,1,2,2-テトラクロルエタン、1,2-ジクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン等の塩化脂肪族炭化水素類、メタノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、2-イソプロポキシエタノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、1-メトキシプロピル-2-アセテート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート等のエステル類、エチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等の脂環式炭化水素類、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素類、クレゾール、二硫化炭素、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
また、上記アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、2-[(2-アミノエチル)アミノ]エタノール、2-[メチル[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]エタノール、2,2’-(エチレンビスイミノ)ビスエタノール、N-(2-ヒドロキシエチル)-N’-(2-アミノエチル)エチレンジアミン、2,2’-(2-アミノエチルイミノ)ジエタノール、N1,N4-ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N1,N7-ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、ピペラジン、1-メチルピペラジン、3-(1-ピペラジニル)-1-アミン、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、4-メチルピペラジン-1-アミン、1-ピペラジンメタンアミン、4-エチル-1-ピペラジンアミン、1-メチル-4-(2-アミノエチル)ピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン等が挙げられる。
従って、本発明は、以下の構成Aに係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法についても提供するものである。
ガラス基板の主表面の研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて、ガラス基板の主表面を研磨処理した後、ガラス基板表面に付着した前記有機系粒子又はその一部を膨潤させ得る有機溶剤をガラス基板表面に接触させる処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
なお、上記の溶解度パラメータ(Solubility Parameter)とは、ヒルデブラントによって導入された正則溶液論により定義されたいわゆる「SP値」であり、以下の式に基づいて求められる値である。
溶解度パラメータδ[(cal/cm3)1/2]=(ΔE/V)1/2
(式中、ΔEはモル蒸発エネルギー[cal]、Vはモル体積[cm3]を示す。)
また、本発明においては、上記有機溶剤の分子量は60以上のものが好適である。
なお、有機系粒子が複数のモノマー成分を含む共重合体樹脂材料である場合、いずれかのモノマー成分について、上記の関係を満たすような有機溶剤を選択することができる。
また、上記ガラスは、結晶化ガラスであってもよく、アモルファスガラスであってもよい。アモルファスガラスとすることで、ガラス基板としたときの主表面の表面粗さをより一層下げることができる。
また、マスクブランクス基板用としては、石英ガラス等を用いることが好ましい。
また、本発明において表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて例えば1μm×1μmの範囲を256×256ピクセルの解像度で測定したときに得られる表面形状の表面粗さとすることが実用上好ましい。
以上説明した実施形態では、本発明を主に磁気ディスク用のガラス基板の研磨処理に適用した場合について説明したが、本発明をマスクブランクス用のガラス基板の研磨処理に適用する場合についても同様である。
(実施例1〜7、比較例1〜4)
以下の(1)粗研削工程、(2)形状加工工程、(3)精研削工程、(4)端面研磨工程、(5)主表面研磨工程、(6)化学強化工程、(7)主表面仕上げ研磨工程、(8)主表面最終仕上げ研磨工程、を経て磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.0mmの円盤状のアルミノシリゲートガラスからなるガラス基板を得た。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。
(3)精研削工程
この精研削工程は両面研削装置を用いた。
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)を研磨した。そして、上記端面研磨を終えたガラス基板の表面を洗浄した。
次に、主表面研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアを太陽歯車(サンギア)と内歯歯車(インターナルギア)とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、研磨工程を実施した。研磨液としては酸化セリウムを研磨剤として分散したものとした。上記研磨工程を終えたガラス基板を、洗浄し、乾燥した。
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。
次いで上記の主表面研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッド(発泡ポリウレタン)に替えて仕上げ研磨工程を実施した。この仕上げ研磨工程は、上述した最初の研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRaで0.2nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨液としてはコロイダルシリカ(粒径:18nm)を水に分散させたものを酸性に調整した。上記仕上げ研磨工程を終えたガラス基板を、洗浄し、乾燥した。
研磨砥粒として粒径1.3μmのスチレン樹脂を原料とした有機系粒子を水に1重量%加え、pH2〜10に調整したものを研磨液とした。研磨方法は、上記の仕上げ研磨工程と同様にして行った。上記最終仕上げ研磨工程を終えたガラス基板を、洗浄し、乾燥した。
この最終仕上げ研磨終了後の洗浄方法として、洗浄液に水分量1.0重量%以下のアセトンを使用し、洗浄液にガラス基板を浸漬させた状態で超音波を加えて洗浄を行った。
また、上記主表面最終仕上げ研磨工程において使用する研磨砥粒を粒径2.0μmのウレタン樹脂を原料とした有機系粒子に変更したこと以外は、上記実施例1と同様に最終仕上げ研磨、洗浄を行い、磁気ディスク用ガラス基板(実施例3)を得た。
また、上記主表面最終仕上げ研磨終了後の洗浄方法として、洗浄液を水分量1.0重量%以下のイソプロピルアルコールに変更したこと以外は、上記実施例3と同様に最終仕上げ研磨終了後の洗浄を行い、磁気ディスク用ガラス基板(実施例5)を得た。
また、上記主表面最終仕上げ研磨終了後の洗浄方法として、洗浄液を水分量1.0重量%以下のエチレンジアミンに変更したこと以外は、上記実施例3と同様に最終仕上げ研磨終了後の洗浄を行い、磁気ディスク用ガラス基板(実施例7)を得た。
また、上記主表面最終仕上げ研磨終了後の洗浄方法として、洗浄液を濃度0.01〜1モル/Lの水酸化カリウムに変更したこと以外は、上記実施例2と同様に最終仕上げ研磨終了後の洗浄を行い、磁気ディスク用ガラス基板(比較例2)を得た。
また、上記主表面最終仕上げ研磨工程において使用する研磨砥粒を粒径0.02μmのコロイダルシリカ砥粒に変更したこと以外は、上記実施例4と同様に最終仕上げ研磨、洗浄を行い、磁気ディスク用ガラス基板(比較例4)を得た。
これに対し、有機系粒子を研磨砥粒として用いて最終仕上げ研磨を行った後の洗浄方法において、有機溶剤やアミン化合物などの有機系洗浄剤を用いると、洗浄後の表面粗さの上昇は殆ど無く、異物付着欠陥も確認されなかった。つまり、有機系粒子を研磨砥粒として用いて最終仕上げ研磨を行った後の洗浄方法としては、有機系洗浄剤を用いた洗浄が最適であることがわかる。
上記主表面最終仕上げ研磨工程において使用する研磨砥粒を粒径20μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂(モノマー成分はメタクリル酸メチル)を原料とした有機系粒子を用い、上記主表面最終仕上げ研磨終了後の洗浄方法として、下記表2に示す有機溶剤をそれぞれガラス基板表面に接触させる処理を行ったこと以外は、上記実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
なお、上記PMMA有機系粒子のモノマー成分であるメタクリル酸メチルのSP値は9.1(SP1)、分子量は100(MW1)であるため、これらの値を元に、各有機溶剤におけるSP2/SP1およびMW2/MW1を求め、表2に示した。
また、上記表2の結果から、有機系粒子を構成する樹脂のモノマー成分の分子量に対する有機溶剤の分子量の比、MW2/MW1が0.5〜1.5の範囲となるような有機溶剤を選択し、この選択した有機溶剤を用いて洗浄処理を行うことも好適であることがわかる。
また、実施例Eと実施例4,5(いずれもIPA)を比較すると、実施例Eでは粒径がより好適な範囲である20μmと大きくなったことによりRaがさらに改善(−0.02nm)している。
上記実施例1で得られた磁気ディスク用ガラス基板にそれぞれ以下の成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
すなわち、上記ガラス基板上に、Ti系合金薄膜からなる付着層、CoTaZr合金薄膜からなる軟磁性層、Ru薄膜からなる下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、カーボン保護層、潤滑層を順次成膜した。保護層は、磁気記録層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、水素化カーボンからなり、耐磨耗性が得られる。また、潤滑層は、アルコール変性パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成した。
得られた磁気ディスクについて、DFHヘッドを用いて、グライド特性試験を行った結果ヘッドクラッシュは起こらず良好な結果が得られた。
2 太陽歯車
3 内歯歯車
4 キャリア
5 上定盤
6 下定盤
7 研磨パッド
Claims (14)
- ガラス基板の主表面を鏡面研磨する研磨処理を含むガラス基板の製造方法であって、
研磨砥粒が、ガラス基板より低硬度で且つ弾性を有する有機材料からなる有機系粒子である研磨液を用いて、ガラス基板の主表面を鏡面研磨した後、有機系洗浄剤を用いてガラス基板を洗浄することを特徴とするガラス基板の製造方法。 - ガラス基板の主表面の研磨処理を含むガラス基板の製造方法であって、
研磨砥粒が、ガラス基板より低硬度で且つ弾性を有する有機材料からなる有機系粒子である研磨液を用いて、ガラス基板の主表面を研磨処理した後、ガラス基板表面に付着した前記有機系粒子又はその一部を膨潤させ得る有機溶剤をガラス基板表面に接触させる処理を行うことを特徴とするガラス基板の製造方法。 - ガラス基板の主表面の研磨処理を含むガラス基板の製造方法であって、
有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて、ガラス基板の主表面を研磨処理した後、ガラス基板表面に付着した前記有機系粒子又はその一部を膨潤させ得る有機溶剤をガラス基板表面に接触させる処理を行い、
前記有機系粒子を構成する樹脂のモノマー成分の溶解度パラメータ(SP値)をSP1、前記有機溶剤の溶解度パラメータ(SP値)をSP2としたとき、SP2/SP1が0.9〜1.1の範囲となるような前記有機溶剤を選択し、この選択した前記有機溶剤を用いて前記ガラス基板表面に接触させる処理を行うことを特徴とするガラス基板の製造方法。 - ガラス基板の主表面の研磨処理を含むガラス基板の製造方法であって、
有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて、ガラス基板の主表面を研磨処理した後、ガラス基板表面に付着した前記有機系粒子又はその一部を膨潤させ得る有機溶剤をガラス基板表面に接触させる処理を行い、
前記有機系粒子を構成する樹脂のモノマー成分の分子量をMW1、前記有機溶剤の分子量をMW2としたとき、MW2/MW1が1.5以下となるような前記有機溶剤を選択し、この選択した前記有機溶剤を用いて前記ガラス基板表面に接触させる処理を行うことを特徴とするガラス基板の製造方法。 - ガラス基板の主表面の研磨処理を含むガラス基板の製造方法であって、
有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて、ガラス基板の主表面を研磨処理した後、ガラス基板表面に付着した前記有機系粒子又はその一部を膨潤させ得る有機溶剤をガラス基板表面に接触させる処理を行い、
前記有機系粒子を構成する樹脂のモノマー成分の溶解度パラメータ(SP値)をSP1、前記有機溶剤の溶解度パラメータ(SP値)をSP2としたとき、SP2/SP1が0.9〜1.1の範囲内であって、且つ、前記有機系粒子を構成する樹脂のモノマー成分の分子量をMW1、前記有機溶剤の分子量をMW2としたとき、MW2/MW1が1.5以下となるような前記有機溶剤を選択し、この選択した前記有機溶剤を用いて前記ガラス基板表面に接触させる処理を行うことを特徴とするガラス基板の製造方法。 - ガラス基板の主表面を鏡面研磨する研磨処理を含むガラス基板の製造方法であって、
シリカ砥粒を研磨砥粒として含む研磨液を用いてガラス基板の主表面を研磨した後、有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いてガラス基板の主表面を鏡面研磨し、その後、有機系洗浄剤を用いてガラス基板を洗浄することを特徴とするガラス基板の製造方法。 - ガラス基板の主表面を鏡面研磨する研磨処理を含むガラス基板の製造方法であって、
有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて、ガラス基板の主表面を鏡面研磨した後、有機系洗浄剤を用いてガラス基板を洗浄し、
前記有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて鏡面研磨する前のガラス基板主表面の粗さは、算術平均粗さRaが0.3nm以下であることを特徴とするガラス基板の製造方法。 - ガラス基板の主表面の研磨処理を含むガラス基板の製造方法であって、
シリカ砥粒を研磨砥粒として含む研磨液を用いてガラス基板の主表面を研磨した後、有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いてガラス基板の主表面を鏡面研磨処理し、その後、ガラス基板表面に付着した前記有機系粒子又はその一部を膨潤させ得る有機溶剤をガラス基板表面に接触させる処理を行うことを特徴とするガラス基板の製造方法。 - ガラス基板の主表面の研磨処理を含むガラス基板の製造方法であって、
有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて、ガラス基板の主表面を研磨処理した後、ガラス基板表面に付着した前記有機系粒子又はその一部を膨潤させ得る有機溶剤をガラス基板表面に接触させる処理を行い、
前記有機系粒子を研磨砥粒として含む研磨液を用いて鏡面研磨する前のガラス基板主表面の粗さは、算術平均粗さRaが0.3nm以下であることを特徴とするガラス基板の製造方法。 - 前記有機系粒子は、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂またはウレタン系樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
- 前記有機系洗浄剤は、有機溶剤またはアミン化合物であることを特徴とする請求項1、6、7のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
- 前記有機系粒子の粒径は、0.5〜60μmであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
- 前記ガラス基板は、磁気ディスク用ガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
- 請求項13に記載の製造方法によって得られたガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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