JP6243244B2 - ジニトリル化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はジニトリル化合物の製造方法に関するものである。
誘電体バリア放電は、大気圧下で非平衡プラズマを発生させる方法の一つである。具体的には、1対の電極の一方、あるいは両方を誘電体で覆い、交流電圧を電極に印加することで放電した電子を電極間に存在する気体あるいは液体分子に照射して、気体あるいは液体分子をプラズマ状態に活性化させることにより非平衡プラズマを発生させる方法である。誘電体バリア放電では、間欠的に放電が起きるため、電子温度のみが上昇し、原子又は分子は常温に近い温度で存在するという、いわゆる非平衡プラズマが発生する。誘電体バリア放電によってプラズマ状態まで励起された分子は、解離エネルギーの低い結合から選択的に切断される。したがって、例えば、シアン化水素の場合は誘電体バリア放電によって解離エネルギーの低い水素原子と炭素原子との結合から切断されるため、炭素原子と窒素原子とが結合したままの励起された活性分子(ラジカル又はイオン)が得られる。この活性分子を繰り返し重合することにより、窒化炭素からなる重合体が得られる(例えば、特許文献1参照)。また、誘電体バリア放電により発生するプラズマは、アセトニトリルや二酸化炭素などの安定な分子も励起し、有用な化学品の原料とすることができる(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2012−176865号公報 特開2013−147411号公報
有用な化学品の原料一つとしてジニトリル化合物がある。ジニトリル化合物の例としては、アジポニトリルやスクシノニトリルが挙げられる。このようなジニトリル化合物は、ナイロン原料であるヘキサメチレンジアミンやブタンジアミンの製造原料や各種化学薬品の原料および中間体として有用な化合物である。
アジポニトリルは、シアン化水素を用いたブタジエンのヒドロシアノ化などで製造される。このようにジニトリル化合物を製造する場合、毒性の強いシアン化合物を原料として用いなければならないことが多い。また、ジニトリル化合物の製造において、触媒を用いる必要がある場合は、その製造コストが高くなり、触媒再生も必要となる。特許文献1に記載の方法のように、誘電体バリア放電により発生したプラズマによる重合反応では、例えば、アセトニトリルなどの安定かつ安全な物質を活性化することができ、原料として用いることができるため、低価格で安全に重合体を得ることができる。しかしながら、特許文献1に記載の方法は、重合体を得る方法であって、重合反応の生成物を2量体で留めることが通常困難であり、例えば、ニトリル化合物からジニトリル化合物を得ることについては検討されていない。
そこで、本発明は、ニトリル化合物からジニトリル化合物を製造する方法であって、例えば、アセトニトリルなどの安定かつ安全な物質を原料として用いることができ、高価な触媒を用いる必要が無いジニトリル化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、誘電体バリア放電により、ニトリル化合物からジニトリル化合物を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は次に示すとおりである。
[1]
誘電体バリア放電によりニトリル化合物を2量化させてジニトリル化合物を製造する方法。
[2]
ニトリル化合物を含む原料を、誘電体バリア放電の発生領域(放電場)に滞留させて、ジニトリル化合物を含む生成物を得る工程を含む、[1]に記載のジニトリル化合物の製造方法。
[3]
前記誘電体バリア放電の発生領域(放電場)にニトリル化合物を含む原料が滞留する間の放電回数Nが2以上500以下である、[1]又は[2]に記載のジニトリル化合物の製造方法。
[4]
前記ニトリル化合物が、アセトニトリル、プロピオニトリル及びシアン化水素からなる群より選択される少なくとも一種である、[1]〜[3]のいずれかに記載のジニトリル化合物の製造方法。
本発明により、高価な触媒を用いる必要が無く、例えば、アセトニトリルなどの安定かつ安全な物質を原料として用いて、ジニトリル化合物を製造できる。
電極に印加する交流電圧の波形の一例である。 電極に印加する交流電圧の波形の別の一例である。 同軸型電極リアクター7を含む2量化反応装置の一例の概略図である。 図3における2量化反応装置中のリアクター7の断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
≪ジニトリル化合物の製造方法≫
本実施形態の製造方法は、誘電体バリア放電によりニトリル化合物を2量化させてジニトリル化合物を製造する方法である。
また、本実施形態のジニトリル化合物の製造方法は、ニトリル化合物を含む原料を、誘電体バリア放電の発生領域(放電場)に滞留させて、ジニトリル化合物を含む生成物を得る工程を含むことが好ましく、前記誘電体バリア放電の発生領域(放電場)にニトリル化合物を含む原料が滞留する間の放電回数Nが2以上500以下であることがより好ましい。このような製造方法により、高価な触媒を用いる必要が無く、安定かつ安全なニトリル化合物(例えば、アセトニトリル)からジニトリル化合物を効率的に得ることができる。
〔誘電体バリア放電〕
誘電体バリア放電とは、一対の電極の対向する面の少なくとも一方を誘電体で遮った状態で、電極間に交流電圧を印加した場合に起こる放電のことをいう。
また、電極間距離とは、一対の電極の対向する面の両方に誘電体が設けられている場合、2つの誘電体の間の距離(例えば、図4参照)とし、あるいは、一対の電極の対向する面の一方だけに誘電体が設けられている場合、誘電体が設けられていない電極から誘電体までの距離とする。
誘電体バリア放電において、電極間距離dは、d≦5mmを満たすことが好ましい。安定した放電を保ちながら、電極間の短絡を防ぐためには0.01mm≦d≦1mmを満たすことがさらに好ましく、0.01mm≦d≦0.6mmを満たすことが特に好ましい。
誘電体としては、強誘電体であることが好ましい。誘電体の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ガラス、石英、ソーダガラス、石英ガラス、アルミナ、チタン酸バリウムが挙げられる。絶縁体や低導電率の材料であれば、誘電体として特に問題はない。
誘電体の誘電率が高いと、ある電圧を電極間に印加した場合に誘電体表面に蓄積される電荷の量が高く、放出される電子の量が多くなる傾向にある。放電される電子の量が多いと、(1)放電場に存在する原料に照射する電子が多くなり、同じ放電場の体積でも原料の転化率が高くなるという効果、(2)原料が絶縁破壊電圧の高い気体であってもプラズマ状態とさせ易く、安定したプラズマを得易いという効果を奏する。したがって、プラズマの安定性や原料の転化率の観点から、誘導体としては、誘電率が高い方が好ましい。高い誘電率を持つ誘電体としては、特に限定されないが、例えば、チタン酸バリウム、Pb(Zr,Ti)O3、RbHSO4、Sr2CeS4、K2SeO4が好ましい。特に好ましい誘電体はチタン酸バリウムである。
誘電体バリア放電を起こすために、一対の電極の少なくとも一方は誘電体で覆われている必要があるが、電極間に存在する誘電体の数は特に限定されない。一体の誘電体が両電極に挟持されていてもよいし、一方又は両方の電極の対向する面に誘電体が積層されていてもよいし、両電極間に複数の電極が積層されていてもよい。なお誘電体が電極を「覆う」とは、電子の通過を阻害するように誘電体が存在していることを意味し、物理的に一体物の誘電体が電極を被覆している必要はなく、電子の短絡により特定の箇所のみで放電してしまう構造でなければ、面方向にも垂直方向にも誘電体の切れ目や隙間が存在してもよい。
誘電体バリア放電において、電極間に印加する交流電圧としては、正弦波、矩形波または鋸波の交流電圧であることが好ましい。
誘電体バリア放電において、電極間に電圧を印加する際の周波数は1kHz以上1MHz以下であることが好ましく、3kHz以上100kHz以下がより好ましい。該周波数を前記範囲内とすることにより、エネルギー効率が高く、安定してプラズマを発生できるため、好ましい。
誘電体バリア放電において、電極間に印加する電圧は2kV以上20kV以下であることが好ましい。より好ましい印加電圧は、原料、電極間距離、周波数によっても異なるが、プラズマが発生する電圧であればよい。例えば電極間距離0.5mm、周波数40kHzの場合、プラズマを発生させるには3kV以上7kV以下の電圧を印加するのが好ましい。
(ジニトリル化合物の生成メカニズム)
誘電体バリア放電は間欠的な放電によりプラズマを発生させる手法である。誘電体バリア放電によると、電子温度のみが上昇し、原子あるいは分子は常温に近い温度で存在する非平衡プラズマが発生する。誘電体バリア放電によって励起された分子は、解離エネルギーの低い結合から選択的に順次励起、切断される。ニトリル化合物の場合、誘電体バリア放電によって末端の水素が励起、切断されやすい。したがって、誘電体バリア放電によってニトリル化合物を適度にプラズマ状態まで励起させ、ニトリル化合物が2量化した時点で放電が終了し、生成した2量体(ジニトリル化合物)が放電場を通り抜けるよう、滞留時間及び放電回数などの条件を調節すれば、ニトリル化合物からジニトリル化合物を選択的に生成させることができる。一方、アーク放電のような平衡プラズマは、瞬時に単原子ラジカルまで解離されてしまうため、放電回数の制御が難しく、2量化された時点で反応を止めるのは極めて困難である。
以上のことから、本実施形態のジニトリル化合物の製造方法は、誘電体バリア放電により、ニトリル化合物をプラズマ状態まで励起させる工程を含むことが好ましい。
〔放電回数〕
ニトリル化合物を適度にプラズマ状態まで励起させ、2量体で反応を停止させる方法としては、特に限定されないが、例えば、誘電体バリア放電の発生領域(放電場)に、ニトリル化合物を含む原料が滞留する間の放電回数Nを調整する方法が挙げられる。ここで、放電回数Nとは、誘電体バリア放電において、電極間に印加する交流電圧の電圧波形の絶対値が放電電圧(絶縁破壊電圧)を超える回数を言い、以下の方法で求めることができる。例えば、電極に印加する周波数Z[Hz]の交流電圧の電圧波形の1周期の中において、絶対値が放電電圧を超える極大値と極小値とをそれぞれN1とN2とした場合、電圧波形が図1に示した正弦波の場合はN1=1、N2=1である。図2に示したような電圧波形の場合、N1=2、N2=2である。ニトリル化合物を含む原料ガスの流速をVcc/minとし、誘電体バリア放電を行う電極に挟まれた放電場における、ガス流路の断面積をSmm2、ガス流路方向の電極の長さ(放電場の長さ)をLmmとした時、ニトリル化合物を含む原料ガスが放電場を通過する時間(滞留時間)T(sec)はL÷{(V×10-6÷60)÷S}で求められる。ニトリル化合物を含む原料ガスが放電場を通過する間に電極間に印加する交流電圧の電圧波形の絶対値が放電電圧を超える回数(放電回数N)は(N1+N2)×Z×Tで求められる。この放電回数Nを適当な回数になるように、例えば、ニトリル化合物を含む原料ガスの流量、電極間距離、電極の長さ、印加する交流電圧の周波数、電圧、波形を制御すれば、効率よく2量化反応を行うことができる。誘電体バリア放電の発生領域(放電場)にニトリル化合物を含む原料が滞留する間の好ましい放電回数Nの値は、2以上500以下であり、より好ましくは50以上300以下である。当該放電回数Nが前記範囲内であると高い選択率でジニトリル化合物を得ることができるため、より好ましい。
〔原料〕
本実施形態に用いるニトリル化合物は、特に限定されない。ニトリル化合物として、好ましくは、アセトニトリル、アクリロニトリル、プロピオニトリル、シアン化水素であり、より好ましくはアセトニトリル、プロピオニトリル、シアン化水素である。このようなニトリル化合物を用いると、異性体の生成が少なく高選択率となり、好ましい。ニトリル化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、ニトリル化合物は適当な気体と混合し、原料ガスとして用いてもよい。原料ガスとしては、ニトリル化合物を含有しているガスであれば、特に限定されない。
ニトリル化合物を適切にプラズマ状態まで励起させ、ジニトリル化合物の収率を高める観点から、誘電体バリア放電の発生領域(放電場)にニトリル化合物を含む原料が滞留する間の放電回数Nを上述した範囲に制御することが好ましい。当該放電回数Nの具体的な制御方法としては、例えば、上述した原料ガス流速や周波数を調節する方法を挙げることができるが、ニトリル化合物のみで原料ガス流速を十分に速くできない場合は、例えば、不活性ガスなどを原料ガス中に含ませ、原料ガスの体積を大きくすることで放電場において原料ガスを素早く通過させ、原料ガスが受ける放電回数Nを制御することができる。このとき、原料ガス中に含ませる不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、Ar、He、N2が好ましい。希ガスは絶縁破壊電圧が低く、プラズマ状態を維持する時間が比較的長いことから、安定したプラズマ状態を保ちやすい。原料ガス中に含ませる不活性ガスとしては、経済性の高さから、Arがより好ましい。キャリアガスの温度は特に限定されないが、原料のニトリル化合物が常温で液体の場合、キャリアガスをあらかじめ原料のニトリル化合物の沸点以上に加熱しておくことで、液体の原料のニトリル化合物を気化して原料ガスとすることができる。
原料ガス中に不活性ガス以外の不純物が含有していても構わないが、ニトリル化合物および不活性ガス以外の気体の含有量が多いと、その気体の励起に照射した電子が消費されてしまうため、投入したエネルギーに対する2量化反応効率が低下する傾向にある。したがって、高いエネルギー効率で2量化反応を行うためには、原料ガス中のニトリル化合物および不活性ガス以外の不純物の含有量は低い方が好ましい。原料ガス中の不純物の含有量は、好ましくは3容量%以下であり、より好ましくは1容量%以下であり、さらに好ましくは0.1容量%以下である。
原料ガスとしては、2量化反応後にジニトリル化合物を除去したガスをリサイクルして用いてもよい。ニトリル化合物とジニトリル化合物とは沸点の差が大きく、容易に分離が可能である。また、不活性ガスとジニトリルとも同様に分離が容易である。したがって、原料の転化率を下げて、3量体以上の生成を防いで2量体の選択率を上げ、未反応物をリサイクルする方法は経済的に有利となることが多い。
本実施形態において、2量体(ジニトリル化合物)の選択率は、20%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%であることがさらに好ましい。
原料ガスの流量は、特に限定されないが、例えば、電極間距離、放電場におけるガス流通面の断面積および長さ、印加する高周波の周波数にあわせ、放電場にニトリル化合物を含む原料が滞留する間の放電回数Nが2以上500以下となるようになる範囲に調整することが好ましい。反応ガス中のニトリル化合物や生成したジニトリル化合物の凝集等を防ぐという観点では、原料ガスの流量が多い方が好ましい。好ましい原料ガスの流量は、200cc/min以上である。原料ガスの流量の上限値は、特に限定されないが、例えば、50000cc/minである。
なお、本実施形態において、放電場とは、誘電体バリア放電の発生領域であって、例えば、リアクター内部に配置され、一対の電極の間に形成される空間をいう。
〔その他の工程〕
本実施形態のジニトリル化合物の製造方法は、原料精製工程を含んでもよく、また、反応生成物から2量体と未反応の原料ニトリル化合物や不活性ガスとの分離工程や、生成物中の2量体の精製工程等のその他の工程をさらに含んでいてもよい。
≪2量化反応装置≫
本実施形態のジニトリル化合物の製造方法において使用される反応装置について、以下に一例を説明する。
本実施形態の製造方法において使用される反応装置は、
リアクターと、
前記リアクターに配置された一対の電極と、
前記一対の電極の対向する面の少なくとも一方に設けられた誘電体と、
前記一対の電極に接続され、電極間に電圧を印加させる高周波電源と、
前記リアクターに原料分子を含有する原料ガスを供給する原料ガス供給装置と、
を有することが好ましい。
前記リアクターにおいて、電極間に電圧を印加して誘電体バリア放電を行うことによりニトリル化合物をプラズマ状態に励起し、2量化反応させることにより、ジニトリル化合物を生成させることができる。
上述した2量化反応装置は、本実施形態の製造方法に好適に使用することができる。以下、2量化反応装置の一例について、図3及び4を参照して詳細に説明する。
図3は、本実施形態の製造方法において使用される2量化反応装置の一例を示す図である。該反応装置には、円筒形の同軸型電極リアクター7、高周波電源10に接続された一対の電極8および9が設けられている。電極8はリアクター7の外表面を覆うように配置され、電極9はリアクター7内部の中央に配置される。電極8の幅Lはガス流路方向の電極の長さLに相当する。
なお、本実施形態に用いる2量化反応装置において、一対の電極の少なくとも一方は、リアクター内部に配置されていることが好ましい。
リアクター7の一端にはマスフロー2を介して原料タンク1が接続されている。図3に示す例では1つの原料タンク1がリアクター7に接続されているが、原料タンク1の数は原料ガスの構成成分数によって変更できる。原料タンク1には主に不活性ガスの供給に用いる。原料タンク1から供給される原料ガスの流量はマスフロー2を用いて制御される。原料タンク4には主にニトリル化合物(原料)などの供給に用いる。原料タンク4はポンプ5に接続され、混合器6でマスフロー2から供給されるガスと混合される。マスフロー2から供給された原料ガスはヒーター3で原料タンク4に入れた原料の沸点以上に加熱される。混合器4では、高温に加熱された原料タンク1の原料ガスにより、原料タンク4に入れた原料が気化、混合され、原料ガスとなってリアクター7に供給される。図3に示す例では1つの原料タンク4が接続されているが、原料タンク4の数は原料の構成成分数によって変更できる。リアクター7の他端は生成物分離塔12に接続されている。生成物分離塔12では2量体を含む生成物と未反応原料とに分離される。反応生成物は生成物タンク13に一時保管される。反応生成物を一時保管する必要が無ければ、生成物用タンク13は必ずしも必要ではない。分離された未反応原料は混合器15で再び原料タンク1および原料タンク4から供給される原料ガスと混合し、リアクター7に供給してもよい。
図4はリアクター7の横断面を示す。リアクター7に誘電体を用いた場合、円筒状の電極8によって円筒状の誘電体7が包囲されており、棒状の電極9は誘電体11によって包囲されている。図4に示す例では、両電極8および9が誘電体7および11で覆われているが、一方の電極8または9だけが誘電体に覆われていてもよい。すなわち、一方の電極8または9が露出していてもよい。両電極8および9に誘電体7および11が設けられている場合、電極間距離dは、誘電体7と誘電体11との間隙とする。電極8または9の一方にのみ誘電体が設けられている場合には、誘電体が設けられている電極の対向する側の電極表面から誘電体の表面までの距離を電極間距離dとする。また、この電極間距離dを含む断面をガス流路断面とし、その断面積をSとする。
本実施形態に用いる2量化反応装置において、電極間距離dは5mm以下に設定されることが好ましい。電極間距離dの下限は、プラズマの様子の観察のしやすさや短絡防止の観点で0.01mm以上とするのが好ましい。電極間距離dを前記範囲内とすることにより、安定した放電を保ちながら、電極間の短絡を防ぐことができる。電極9の直径は任意に決められるが、取り扱いのしやすさから1mm以上、100mm以下が好ましい。誘電体7および誘電体11の厚さは任意に決められるが、取り扱いのしやすさから0.1mm以上、2mm以下が好ましい。誘電体7および誘電体11は、それぞれ電極8および電極9に隙間無く接触していればよく、安定して設置できるのであれば電極8および9に固定する必要はない。
電極8および9の素材としては、十分な電気伝導性があれば特に限定はなく、例えば、Cu、Al、Fe、W、Ag、Au、Ptなどの金属やステンレス(SUS304、SUS316等)を用いることができる。
誘電体7および11の素材としては、例えば、ガラス、石英、ソーダガラス、石英ガラス、アルミナ、チタン酸バリウムなど、絶縁体や低導電率の材料であればよい。誘電体7および11における導電率の上限は、高電圧印加時の漏電防止の観点で6×10-4S/m以下が好ましい。
本実施形態に用いる2量化反応装置の一例において、高周波電源により前記一対の電極間に電圧を印加させる際の周波数は、1kHz以上1MHz以下であることが好ましく、3kHz以上100kHz以下がより好ましい。前記周波数で電圧を印加することにより、エネルギー効率が高く、安定な放電が行えるため、好ましい。
[実施例1]
図3に示す反応装置を用いて、誘電体バリア放電によりニトリル化合物を2量化させてジニトリル化合物を以下のとおり製造した。図3および図4における内部電極9として直径7.35mmの円柱状のSUS304を用い、誘電体リアクター7として内径8.2mmの石英管を用いた。この時の電極間距離は0.425mmであり、ガス流路の断面積は10.38mm2であった。石英管外側に幅2mmのCu線を巻き、外部電極8とした。なお、外部電極8の幅は、放電場の長さLに相当する。また、内部電極用誘電体11は用いなかった。原料ガスは、Arおよびアセトニトリルの混合ガスとした。Arは、キャリアガスとして加熱ヒーター3により270℃に加熱して1000cc/minで原料混合器6へ流し、アセトニトリルは、0.4g/minで原料混合器6へ滴下し、前記Arと混合し気化させてリアクター7に供給した。リアクター7において、電極間に周波数40kHz、電圧5.25kVの正弦波電圧を印加して、誘電体バリア放電を発生させて、該誘電体バリア放電の発生領域(放電場)に原料ガス(Arおよびアセトニトリルの混合ガス)を通過させることにより、アセトニトリルの2量化反応を行った。この時の原料ガス(Arおよびアセトニトリルの混合ガス)が放電場を通過する間に、電極間に印加する交流電圧の電圧波形の絶対値が放電電圧を超える回数(放電回数N)は81.8であった。生成ガスを生成物分離塔12で150℃まで冷却し、アセトニトリルの2量体(スクシノニトリル)を含む液体生成物を分離、精製した。当該精製した液体生成物からサンプル液1μLを採取した。該サンプル液1μLをテトラメチルシラン0.05vol%を含むクロロホルム−d液3ccに滴下して、得られた溶液をH−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)測定サンプルとした。該サンプルを用いてH−NMRを測定した。H−NMR測定装置はBruker製のAVANCE 400MHz(商品名)を用い、積算回数100回測定した。得られたスペクトルのピーク面積から生成物の定量評価を行ったところ、アセトニトリルの2量体であるスクシノニトリルが選択率89.1%、転化率3.1%で生成していた。
[実施例2〜6]
原料ガスおよび反応条件を表1のとおり変更した以外は実施例1と同様にして2量化反応を行い、生成物の定量評価を行った。当該反応成績を表1に示す。
なお、実施例4では、生成したスクシノニトリルの含有量が極めて少なかったことから、あらかじめサンプル液を200倍に濃縮してからH−NMR測定を行った。また、実施例5では、電極付近にポリマーが生成し、スクシノニトリルはごくわずかに生成した。
1:原料タンク1、2:マスフロー、3:加熱ヒーター、4:原料タンク2、5:ポンプ6:原料混合器、7:誘電体リアクター、8:外部電極、9:内部電極、10:高周波電源、11:内部電極用誘電体、d:電極間距離、S:原料ガス流路断面積、L:外部電極長さ、12:生成物分離塔、13:生成物タンク、14:リサイクルガスマスフロー、15:リサイクルガス混合器

Claims (4)

  1. 誘電体バリア放電によりニトリル化合物を2量化させてジニトリル化合物を製造する方法。
  2. ニトリル化合物を含む原料を、誘電体バリア放電の発生領域(放電場)に滞留させて、ジニトリル化合物を含む生成物を得る工程を含む、請求項1に記載のジニトリル化合物の製造方法。
  3. 前記誘電体バリア放電の発生領域(放電場)にニトリル化合物を含む原料が滞留する間の放電回数Nが2以上500以下である、請求項1又は2に記載のジニトリル化合物の製造方法。
  4. 前記ニトリル化合物が、アセトニトリル、プロピオニトリル及びシアン化水素からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のジニトリル化合物の製造方法。
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