以下、第1実施形態に係る部材間の接合構造100を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1実施形態に係る部材間の接合構造100は、例えば、図1に示すような2つの部材間の接合構造に適用される。この部材間の接合構造100において、柱状に形成され略鉛直方向に延びるいわゆる角形鋼管としての柱体41には、面内方向が鉛直方向となるように延長される第2部材26が設けられる。柱体41の下方には、柱状に形成され略鉛直方向に延びるいわゆる角形鋼管により構成される第1部材43が設けられる。この部材間の接合構造100は、柱体41と第1部材43とがそれぞれ鋼管柱として用いられる接合構造である。
図2は、かかる部材間の接合構造100の詳細な断面図を示している。図3は、かかる部材間の接合構造100の断面図のうち、介装構造体62近傍を拡大して示す図である。
第1部材43は、貫通された孔101が形成されている。各孔101には、ボルト63の軸が挿通され、内周面の両端部側に向けてそれぞれ拡径される傾斜内周面101aが形成される。この傾斜内周面101aの傾斜角度θ1としたとき、傾斜角度θ1が略45°で形成される。この傾斜角度θ1は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。第1部材43は、鋼板、アルミニウム板、ステンレス板、鉛板、スズ板、ベリリウム板、銅板、真鍮板、これら金属の合金板、レジン、ゴム、樹脂板等により構成されている。第1部材43は、上端部が柱体41の下端部に接触されている。
第2部材26は、第1部材43が接合される前において、柱体41に対して先に溶接により固定される。第2部材26は、断面略矩形状の角形鋼管により構成され、詳細には、柱体41の外周面に溶接により取り付けられる第2部材26aと、柱体41の内周面に溶接により取り付けられる第2部材26bとにより構成される。この第2部材26aと、第2部材26bとの間に、第1部材43が介装されることとなる。
第2部材26a、26bには、第2貫通孔33が形成されている。この第2貫通孔33には、それぞれ介装構造体62が嵌め込まれる。介装構造体62は、低降伏点鋼、アルミニウム、銅合金、鉛合金、すず合金、ベリリウム合金、ニッケル合金、亜鉛合金、銀合金、真鍮合金等の延性金属等で構成されている。この介装構造体62は、延性金属以外に、例えばレジン、ゴム、樹脂板等のような弾性変形又は塑性変形が容易ないかなる材料により構成されていてもよい。この介装構造体62にはほぼ中央に貫通孔62dが形成されていわゆる環を形成するように構成されている。この介装構造体62の外形及びサイズは、これが嵌め込まれる第2部材26の第2貫通孔33の形状、サイズに応じたものとなっている。即ち、第2貫通孔33が円形であれば、介装構造体62の外形は、第2貫通孔33よりも僅かに縮径された円形状とされている。同様に第2貫通孔33が角形状であれば、介装構造体62の外形も当該第2貫通孔33よりも僅かに縮径された同様の角形状となる。更に、この介装構造体62は、その板厚が第2部材26の板厚よりも大きく、第2部材26よりも外側に突出するように増厚される。ここでいう介装構造体62の板厚は、介装構造体62の一方の端部から他方の端部までの厚さのことをいう。
図4は、介装構造体62の斜視図を示す。介装構造体62は、外周面の一部が端部側に向けて縮径された傾斜外周面62aが形成され、先端部62bが平面状に形成されている。介装構造体62は、図3に示すように、傾斜外周面62aの傾斜角度θ2としたとき、傾斜角度θ2が略45°で形成され、孔101の傾斜内周面101aの傾斜角度θ1と略同一に形成される。この傾斜角度θ2は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。なお、介装構造体62は、外周面の一部が縮径された傾斜外周面62aに限らず、外周面の全てが縮径された傾斜外周面が形成されるもの、即ち、介装構造体62の外形が略円錐台形状であってもよい。また、介装構造体62は、先端部62bが平面状に形成されることなく、つまり傾斜外周面62aが外周面から貫通孔62dまで傾斜されて形成されるものであってもよい。また、介装構造体62は、傾斜外周面62aが凹凸なく形成されるものに限らず、波形状に形成されるものであってもよい。
ボルト63は、図2に示すように、その軸が介装構造体62における貫通孔62d、第1部材43における孔101にそれぞれ挿通されている。このボルト63の軸先端は、ナット64が螺着されている。第2部材26bに設けられる介装構造体62は、第2貫通孔33に嵌め込まれており、傾斜外周面62aの傾斜角度θ2が傾斜内周面101aの傾斜角度θ1と略同一に形成されることから、傾斜外周面62aが傾斜内周面101aに面接触されている。また、ナット64は、第1部材43の内側に設けられ、第1部材43と第2部材26との接合前に、第2部材26bに溶接固定されたナットキャップ164に嵌め込まれて固定されている。このナット64にボルト63を螺着させることで、ボルト63を締め付ける際の締結力に対する反力がナット64に作用するため、介装構造体62と第1部材43とを締結することが可能となる。このようなボルト63とナット64による締め付けを行うことで、ボルト63の頭部からの圧縮力が、第2部材26aにおける介装構造体62、第1部材43、第2部材26bにおける介装構造体62を介して伝達されることとなる。その結果、介装構造体62の傾斜外周面62aから第1部材43の孔101の傾斜内周面101aに対して押圧力が負荷された状態で固定することが可能となる。なお、ボルト63とナット64との間でいわゆる高力ボルト接合を行うようにしてもよい。また、図示は省略するが、ナット64は、ナットキャップ164に嵌め込まれて固定されることなく、第2部材26bに点溶接されて固定されるものであってもよい。
次に上述した構成からなる第1実施形態に係る部材間の接合構造を構築する接合方法について説明をする。
図5に示すように、先ず、柱体41に第2部材26a、26bを溶接固定する。第2部材26bには、ナットキャップ164が溶接固定され、ナットキャップ164にはナット64が嵌め込まれて固定されている。そして、介装構造体62を第2貫通孔33に接着剤、粘着剤、ホットメルト接着剤等を用いて嵌め込み仮留めする。このとき、介装構造体62の先端部62bが第2貫通孔33の内部に配置される、即ち、介装構造体62の先端部62bが第2部材の表面から突出されていないものとなる。また、第2部材26a、26bにおける第2貫通孔33の内部に配置された互いに向かい合う介装構造体62同士は、次に行う第2部材26a、26b間への第1部材43の挿入ができる程度に、離間距離が保たれている。即ち、介装構造体62の先端部62bを第2貫通孔33の内部に配置しておくことで、確実に第2部材26a、26b間に第1部材43を挿入することができる。
次に、図6に示すように、第2部材26a、26b間に第1部材43を挿入し、第1部材43に形成される孔101の内周面の両端部側に向けてそれぞれ拡径された傾斜内周面101aを介装構造体62の傾斜外周面62aに対向させる。上述したように第2部材26、26b間に第1部材43を挿入するためには、第2部材26aの第2貫通孔33に嵌め込み仮留めされた介装構造体62と第2部材26bの第2貫通孔33に嵌め込み仮留めされた介装構造体62との離間距離が、第1部材43の板厚以上とされている。
次に、図7に示すように、少なくとも介装構造体62及び第1部材43の孔101にボルト63の軸を貫通させ、ボルト63の軸の先端にナット64に螺着させてこれらを締結する。第2部材26bに溶接固定されたナットキャップ164に嵌め込まれたナット64にボルト63を螺着させることで、ボルト63を締め付ける際の締結力に対する反力がナット64に作用するため、介装構造体62と第1部材43とを締結することが可能となる。このようなボルト63とナット64による締め付けを行うことで、介装構造体62の傾斜外周面62aを第1部材43の孔101の傾斜内周面101aに面接触させる。
次に上述した構成からなる第1実施形態に係る部材間の接合構造100の作用効果について説明をする。
図3に示すように、地震による振動が構造物に加わった場合、柱体41が鉛直方向に向けて振動、変位するものとなる。かかる場合に、第2部材26a、26bの第2貫通孔33に嵌め込まれる介装構造体62の傾斜外周面62aが、第1部材43の孔101の傾斜内周面101aに面接触されている。これにより、介装構造体62は、鉛直変位しようとする力に抵抗しようとして、第1部材43の孔101の傾斜内周面101aと、介装構造体62の傾斜外周面62aとの間で互いに支圧が作用することとなる。このため、介装構造体62は、第1部材43に対して相対変位しないものとなり、これら支圧に応じて地震による振動に抵抗するものとなる。特に、地震による振動が加わったとき、柱体41が第1部材43に対して相対変位しないことで、柱体41と第1部材43との衝突やガタツキを防止できる。
従って第1実施形態に係る部材間の接合構造100は、大地震等による振動エネルギーを支圧によって抵抗することが可能な部材間の接合構造として具現化することが可能となる。
また、第1実施形態に係る部材間の接合構造100によれば、最初に柱体41に対して第2部材26a、26bを溶接により接合し、その後に第1部材43を第2部材26a、26b間に介装させ、第2貫通孔33に介装構造体62を嵌め込んだ上でボルト63、ナット64を介して固定している。このとき、第2部材26を柱体41に対して寸分の誤差も無く所定位置に調整して溶接することは困難であり、図2に示すように第2部材26a、26bの間隔が、第1部材43の板厚よりも広く構成される場合がある。
このように、第2部材26を柱体41に溶接する際の位置ずれや施工誤差が発生する場合には、第2部材26と第1部材43との間には間隙が生じることとなる。図2に示すように、第1部材43と第2部材26aとの間隙α1と、第1部材43と第2部材26bとの間隙α2とする。
このような間隙α1、α2が形成される場合には、図示は省略するが、これらの間隙α1、α2に鋼板等で構成されるスペーサーを介装させることが望ましい。これにより、ボルト63とナット64による締め付けを行うとき、第1部材43と一方の第2部材26aとの間隙α1、及び第1部材43と他方の第2部材26bとの間隙α2を保持することが可能となり、第2部材26a、26bと柱体41との接合部に、ボルト63とナット64の締め付けによる内力モーメントが発生するのを防止することが可能となる。なお、このスペーサーは、エポキシ樹脂やセメント系材料等で構成されるものであってもよい。
また、第1実施形態に係る部材間の接合構造100によれば、孔101の傾斜内周面101aの傾斜角度θ1と、傾斜外周面62aの傾斜角度θ2とがそれぞれ略45°で形成される例を示したが、これら傾斜角度θ1と傾斜角度θ2とは、それぞれ90°に近い値であることが望ましい。なぜならば、上下方向の振動に伴う力に抵抗する際の傾斜外周面62aに作用する支圧力は、傾斜外周面62aに対して鉛直方向に作用する力を傾斜角度θ2だけずらした分力となるからである。また、傾斜角度θ1と傾斜角度θ2とが略同一で形成されるものを例示したが、略同一とされなくてもよい。かかる形態であっても、傾斜外周面62aが傾斜内周面101aに線接触されるものとなり、傾斜外周面62aと傾斜内周面101aとの間で支圧力を発生させることが可能となるからである。
また、第1実施形態に係る部材間の接合構造100によれば、第1部材43の孔101の両端部側に向けて縮径されるのではなく、何れか一方の端部側に向けて縮径されるものであってもよい。
また、第1実施形態に係る部材間の接合構造100によれば、なお第2貫通孔33に介装構造体62を嵌め込む際において、第2貫通孔33と介装構造体62との間に、液体(接着剤、潤滑剤)を注入するようにしてもよい。液体として接着剤を使用する際には、例えばシリコン系接着剤と、エポキシ系接着剤からなる2液タイプのものを使用してもよい。また、直径差を更に小さくするため、潤滑剤を用いて現場にて注入するようにしてもよい。これにより、第2貫通孔33に介装構造体62を嵌め込む作業が容易となる。
さらに第1実施形態に係る部材間の接合構造100によれば、介装構造体62を冷却したまま第2貫通孔33へ挿入し、その後両者が同温度になると直径差が殆ど同一になるようにしてもよい。即ち冷却により介装構造体62を構成する材料が収縮することとなるが、その後温度が上がると、収縮した材料が膨張することとなる。かかる現象を利用し、第2貫通孔33へ嵌め込む際には、冷却により介装構造体62を縮径化することで嵌め込み容易性を向上させ、その後自然に冷却状態から温度が上昇することで、第2貫通孔33に嵌め込まれた介装構造体62が膨らむ。
図8は、第1実施形態に係る部材間の接合構造100における変形例を示す断面図であり、特に介装構造体62近傍を拡大して示す図である。図示の形態においては、介装構造体62の強度と第1部材43との強度を異ならせ、特に介装構造体62の降伏点が第1部材43の降伏点よりも小さくなるように、第1部材43と介装構造体62とが互いに異種材料で構成される。
図8に示すように、ボルト63による締め付けを行うことで、介装構造体62の傾斜外周面62aが第1部材43の孔101の傾斜内周面101aに接触された状態とされている。かかる状態からさらにボルト63による締め付けを行うことにより、介装構造体62が第2貫通孔33よりもわずかに縮径されているため、介装構造体62が弾性変形、又は塑性変形し、介装構造体62の外周面が第2貫通孔33に当接されることとなる。また、介装構造体62は、ボルト63の軸よりもわずかに拡径されているため、介装構造体62が弾性変形、又は塑性変形し、介装構造体62の貫通孔62dがボルト63の軸に当接されることとなる。このとき、介装構造体62の降伏点が第1部材43の降伏点よりも小さいため、介装構造体62は、第1部材43の孔101とボルト63の軸との隙間に圧入される圧入部67が形成されることとなる。即ち、この介装構造体62は、弾性変形、又は塑性変形して形成された圧入部67が第1部材43の孔101と、ボルト63の軸とに当接されることとなる。
次に上述した構成からなる第1実施形態に係る部材間の接合構造100の変形例における作用効果について説明をする。
地震による振動が構造物に加わった場合、柱体41が鉛直方向に向けて振動、変位するものとなる。かかる場合に、第2部材26a、26bの第2貫通孔33に嵌め込まれる介装構造体62の傾斜外周面62aが、第1部材43の孔101の傾斜内周面101aに面接触されている。これにより、介装構造体62は、鉛直変位しようとする力に抵抗しようとして、第1部材43の孔101の傾斜内周面101aと、介装構造体62の傾斜外周面62aとの間で互いに支圧が作用することとなる。加えて、第2部材26の第2貫通孔33に嵌め込まれる介装構造体62の圧入部67が、第1部材43の孔101とボルト63の軸との隙間に圧入されている。このとき介装構造体62は、鉛直変位しようとする力に抵抗しようとして、第1部材43の孔101と、介装構造体62の圧入部67との間で互いに支圧が作用することとなる。これにより、介装構造体62は、第1部材43に対して相対変位しないものとなる。同時に、介装構造体62は、第2貫通孔33に当接されているため、第2部材26の第2貫通孔33と、介装構造体62との間で互いに支圧が作用することとなる。これにより、介装構造体62は、第2部材26に対して相対変位しないものとなる。このように、これら支圧に応じて地震による振動に対して一層強く抵抗するものとなる。特に、地震による振動が加わったとき、柱体41が第1部材43に対して相対変位しないことで、柱体41と第1部材43との衝突やガタツキを防止できる。
従って第1実施形態に係る部材間の接合構造100は、大地震等による振動エネルギーを支圧によって抵抗することが可能な部材間の接合構造100として具現化することが可能となる。
特に第1実施形態に係る部材間の接合構造100によれば、第1部材43と介装構造体62とが互いに異種材料で構成されている。ここで、異種材料接触状態とは、鉄材又は鋼材とアルミニウムとが接触する異種金属接触状態や、鉄材又は鋼材と真鍮とが接触する異種金属接触状態、鉄材又は鋼材とステンレスとが接触する異種金属接触状態、鉄材又は鋼材と金属粉を含有する樹脂とが接触する異種材料接触状態、鉄材又は鋼材と金属粉を含有しない樹脂やゴムとが接触する異種材料接触状態等をいう。即ち、この異種材料接触状態は、第1部材43と介装構造体62を構成する材料が異なるものであれば、いかなるものであってもよい。これにより、上述したように、介装構造体62は、第1部材43の孔101とボルト63の軸との隙間に圧入される圧入部67が形成されることによって、支圧による抵抗力を効果的に作用させることが可能となる。なお上述した場合においては、介装構造体62の降伏点が第1部材43の降伏点よりも小さくなるように、第1部材43と介装構造体62とが互いに異種材料で構成されることとなる。なお、第1部材43自体と介装構造体62自体とが互いに異種材料で構成されている場合以外に、少なくとも第1部材43の孔101の傾斜内周面101aと介装構造体62の傾斜外周面62aとが異種材料で構成されていればよい。これにより、上述した効果を奏することは勿論である。
図9は、第1実施形態に係る部材間の接合構造における他の変形例を示す断面図であり、特に介装構造体62近傍を拡大して示す図である。図示の形態においては、介装構造体62の強度と第1部材43との強度を異ならせ、特に介装構造体62の降伏点が第1部材43の降伏点よりも大きくなるように、第1部材43と介装構造体62とが互いに異種材料で構成される。
図9に示すように、ボルト63による締め付けを行うことで、介装構造体62の傾斜外周面62aが第1部材43の孔101の傾斜内周面101aに接触された状態とされている。かかる状態からさらにボルト63による締め付けを行うことにより、介装構造体62が第2貫通孔33よりもわずかに縮径されているため、介装構造体62の外周面が弾性変形、又は塑性変形し、第2貫通孔33に当接されることとなる。また、介装構造体62は、ボルト63の軸よりもわずかに拡径されているため、介装構造体62が弾性変形、又は塑性変形し、介装構造体62の貫通孔62dがボルト63の軸に当接されることとなる。このとき、介装構造体62の降伏点が第1部材43の降伏点よりも大きいため、第1部材43が弾性変形、又は塑性変形して、介装構造体62が第1部材43にめり込まれることとなる。その結果、第1部材43がボルト63の軸に当接されることとなる。
次に上述した構成からなる第1実施形態に係る部材間の接合構造の作用効果について説明をする。
地震による振動が構造物に加わった場合、柱体41が鉛直方向に向けて振動、変位するものとなる。かかる場合に、第2部材26a、26bの第2貫通孔33に嵌め込まれる介装構造体62の傾斜外周面62aが、第1部材43の孔101の傾斜内周面101aに面接触されている。これにより、介装構造体62は、鉛直変位しようとする力に抵抗しようとして、第1部材43の孔101の傾斜内周面101aと、介装構造体62の傾斜外周面62aとの間で互いに支圧が作用することとなる。加えて、第2部材26の第2貫通孔33に嵌め込まれる介装構造体62が第1部材43にめり込まれることにより、第1部材43がボルト63の軸に当接される。このとき第1部材43は、鉛直変位しようとする力に抵抗しようとして、第1部材43と、ボルト63の軸との間で互いに支圧が作用することとなる。これにより、ボルト63は、第1部材43に対して相対変位しないものとなる。同時に、介装構造体62は、第2貫通孔33に当接されているため、第2部材26の第2貫通孔33と、介装構造体62との間で互いに支圧が作用することとなる。これにより、介装構造体62は、第2部材26に対して相対変位しないものとなる。このように、これら支圧に応じて地震による振動に対して一層強く抵抗するものとなる。特に、地震による振動が加わったとき、柱体41が第1部材43に対して相対変位しないことで、柱体41と第1部材43との衝突やガタツキを防止できる。
従って第1実施形態に係る部材間の接合構造は、大地震等による振動エネルギーを支圧によって抵抗することが可能な部材間の接合構造として具現化することが可能となる。
特に第1実施形態に係る部材間の接合構造100によれば、介装構造体62の降伏点が第1部材43の降伏点よりも大きくなるように、第1部材43と介装構造体62とが互いに異種材料で構成されることとなる。なお、第1部材43自体と介装構造体62自体とが互いに異種材料で構成されている場合以外に、少なくとも第1部材43の孔101の傾斜内周面101aと介装構造体62の傾斜外周面62aとが異種材料で構成されていればよい。これにより、上述した効果を奏することは勿論である。
図10は、第1実施形態に係る部材間の接合構造における他の変形例を示す断面図であり、特に介装構造体62近傍を拡大して示す図である。
ここで、第2部材26a、26bは、柱体41に溶接される際に例えば熱による歪を受けた場合には、第1部材43の孔101に対して寸分の誤差も無く、第2部材26a、26bの第2貫通孔33を所定位置に調整することは困難である。このとき、図10に示すように、第2部材26の第2貫通孔33の中心線をC1とし、第1部材43の孔101の中心線をC2としたとき、一方の第2貫通孔33−1の中心線C1と一方の孔101−1の中心線C2とを一致させたとき、実際は、柱体41に溶接固定された第2部材26a、26bには施工誤差により、他方の第2貫通孔33−2の中心線C1と、他方の孔101−2の中心線C2とが距離eだけずれる場合がある。
かかる場合には、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62aが他方の孔101−2の傾斜内周面101aに線接触され、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a´と他方の孔101−1の傾斜内周面101aとの間に隙間sが形成される。
かかる場合であっても、一方のボルト63−1と一方のナット64−1により一方の介装構造体62及び第1部材43が締結されることで、一方の介装構造体62−1の傾斜外周面62aが一方の孔101−1の傾斜内周面101aに面接触される。これにより、介装構造体62は、鉛直変位しようとする力に抵抗しようとして、一方の孔101−1の傾斜内周面101aと、一方の介装構造体62−1の傾斜外周面62aとの間で互いに支圧が作用することとなる。このため、介装構造体62は、第1部材43に対して相対変位しないものとなり、これら支圧に応じて地震による振動に抵抗するものとなる。つまり、柱体41に溶接固定された第2部材26a、26bの施工誤差により、他方の第2貫通孔33−2の中心線C1と、他方の孔101−2の中心線C2とが距離eだけずれていた場合であっても、支圧に応じて地震による振動に抵抗するものとなる。
図11は、図10に示す形態からさらに他方のボルト63−2を締め付けた例を示す。図示の形態では、介装構造体62の降伏点が第1部材43の降伏点よりも小さくなるように、第1部材43と介装構造体62とが互いに異種材料で構成される。
さらに他方のボルト63−2及び他方のナット64−2を締め付けることによって、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a側が他方の孔101−2に圧入された圧入部が形成され、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a´が他方の孔101−2の傾斜内周面101aに線接触される。即ち、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a、62a´は、他方の孔101−2の傾斜内周面101aに面接触される。これにより、他方の介装構造体62−2は、鉛直変位しようとする力に抵抗しようとして、第1部材43の他方の孔101−2の傾斜内周面101aと、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a、62a´との間で互いに支圧が作用することとなる。
このとき、一方の介装構造体62−1の傾斜外周面62aが一方の孔101−1の傾斜内周面101aに面接触される。これにより、一方の介装構造体62−1は、鉛直変位しようとする力に抵抗しようとして、第1部材43の一方の孔101−1の傾斜内周面101aと、一方の介装構造体62−1の傾斜外周面62aとの間でも互いに支圧が作用することとなる。
このため、介装構造体62−1、62−2は、第1部材43に対して相対変位しないものとなり、これら支圧に応じて地震による振動に一層強く抵抗するものとなる。つまり、柱体41に溶接固定された第2部材26a、26bの施工誤差により、他方の第2貫通孔33の中心線C1と、他方の孔101の中心線C2とが距離eだけずれていた場合であっても、支圧に応じて地震による振動に抵抗するものとなる。
他方のボルト63−2及び他方のナット64−2を締め付けることによって、少なくとも他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a´が他方の孔101−2に線接触されていれば、上述した作用効果を奏する。このため、さらに他方のボルト63−2の締め付けを行い、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a´を他方の孔101−2に圧入させてもよい。このときも、上述した作用効果を奏するのは勿論である。
図12は、図10に示す形態からさらに他方のボルト63−2を締め付けた例を示す。図示の形態では、介装構造体62の降伏点が第1部材43の降伏点よりも大きくなるように、第1部材43と介装構造体62とが互いに異種材料で構成される。
さらに他方のボルト63−2及び他方のナット64−2を締め付けることによって、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a側が第1部材43にめり込まれ、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a´が他方の孔101−2の傾斜内周面101aに接触される。即ち、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a、62a´は、他方の孔101−2の傾斜内周面101aに面接触される。これにより、他方の介装構造体62−2は、鉛直変位しようとする力に抵抗しようとして、第1部材43の他方の孔101−2の傾斜内周面101aと、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a、62a´との間で互いに支圧が作用することとなる。
このとき、一方の介装構造体62−1の傾斜外周面62aが一方の孔101−1の傾斜内周面101aに面接触される。これにより、一方の介装構造体62−1は、鉛直変位しようとする力に抵抗しようとして、第1部材43の一方の孔101−1の傾斜内周面101aと、一方の介装構造体62−1の傾斜外周面62aとの間で互いに支圧が作用することとなる。
このため、介装構造体62−1、62−2は、第1部材43に対して相対変位しないものとなり、これら支圧に応じて地震による振動に一層強く抵抗するものとなる。つまり、柱体41に溶接固定された第2部材26a、26bの施工誤差により、他方の第2貫通孔33の中心線C1と、他方の孔101の中心線C2とが距離eだけずれていた場合であっても、支圧に応じて地震による振動に抵抗するものとなる。
他方のボルト63−2を締め付けることによって、少なくとも他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a´が他方の孔101−2に線接触されていれば、上述した作用効果を奏する。このため、さらに他方のボルト63−2の締め付けを行い、他方の介装構造体62−2の傾斜外周面62a´を第1部材43にめり込ませてよい。このときも、上述した作用効果を奏するのは勿論である。
図13は、第2部材26bの構成を省略し、第2部材26aと、第1部材43間のみで接合を行う例を示している。第1部材43の外側からボルト63を挿通させて、介装構造体62をボルト63とナット64により固定する。かかる形態においても同様に、第2部材26aに設けられた第2貫通孔33に介装構造体62を嵌め込み、傾斜外周面62aが孔101の傾斜内周面101aに面接触されている。この例においても、上述した効果を奏することは勿論である。
図14は、ボルト363が一体化された介装構造体362を示す。このボルト363は、傾斜外周面362aが形成された介装構造体362が一体成型されて一体化されている。傾斜外周面362a側には軸363aが一体成型され、軸363aの先端にネジ山部363bを有している。このボルト363における介装構造体362の径は、軸363aの径よりもわずかに大きく形成される。このように、介装構造体362の径が軸363aの径よりもわずかに(例えば、5ミリメートル〜10ミリメートル程度)大きく形成されることで、ボルト363の製造をより容易に行うことが可能となる。傾斜外周面362aの傾斜角度θ2としたとき、傾斜角度θ2が略45°で形成される。この傾斜角度θ2は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。また、このボルト363の軸363aの径は、ネジ山部363bの径よりも大きく形成されることが望ましい。なお、ボルト363は、傾斜外周面362aが形成された介装構造体362に軸363aが一体成型されて一体化される形態に限らず、例えば、別々の部材同士が用いられ、これらが互いに溶接固定されて一体化されるものであってもよい。
図15は、ナット364と一体化された介装構造体362を示す。このナット364は、傾斜外周面362aが形成された介装構造体362が一体成型されて一体化されている。また、このナット364は、孔362dが形成され、ネジ山部364bが形成される。このナット364における介装構造体362の径は、孔362dの径よりもわずかに(例えば、5ミリメートル〜10ミリメートル程度)大きく形成される。傾斜外周面362aの傾斜角度θ2としたとき、傾斜角度θ2が略45°で形成される。この傾斜角度θ2は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。また、このナット364の孔362dの径は、ネジ山部364bの径よりも小さく形成されることが望ましい。つまり、ネジ山部364bが孔362dよりも内側に向けて突出されていることが望ましい。
図16は、ボルト363と一体化された介装構造体362及びナット364と一体化された介装構造体362を用いた部材間の接合構造100を示す。図示の形態において、ボルト363における軸363aをナット364における孔362dに挿通させる。このとき、ボルト363の軸363aの径は、ネジ山部363bの径よりも大きく形成され、またナット364の孔362dの径は、ネジ山部364bの径よりも小さく形成されることにより、ナット364の孔362dにボルト363の軸363aを挿通することが可能となり、ボルト363のネジ山部363bをナット364のネジ山部364bに螺着させることが可能となる。
このとき、ボルト363における傾斜外周面362aが第1部材43の孔101の傾斜内周面101aに接触され、また、ナット364における傾斜外周面362aが第1部材43の孔101の傾斜内周面101aに接触されている。この例においても、上述した効果を奏することは勿論である。
締結部材としてのボルト363及びナット364に介装構造体362が一体成型されることによって、部材数を減らすことが可能となり、介装構造体362を第2貫通孔33に嵌め込みする作業を容易にすることが可能となる。その結果、施工コストを低減させることが可能となる。なお、このような図16の構成を前提とする場合においても、図1〜13に示す何れの技術思想が反映されていてもよい。
第1実施形態に係る接合構造100は、図17に示すような2つの鋼矢板間の接合構造に適用されてもよい。孔101が形成される鋼矢板で構成される第1部材43と、構造体としての鋼矢板141に固定されるとともに、第2貫通孔33が形成される第2部材26a、26bと、この第2部材26a、26bに設けられた第2貫通孔33に嵌め込まれ、第1部材43に接触する介装構造体62と、これら介装構造体62、第1部材43に挿通されるボルト63とこれに螺着されるナット64とを備えている。第1部材43の孔101は、内周面の端部側が拡径される傾斜内周面が形成され、介装構造体62は、外周面が縮径される傾斜外周面が形成され、傾斜外周面が傾斜内周面に接触される。このような接合構造100に作用させる場合においても上述と同様の効果を得ることが可能となる。このような図17の構成を前提とする場合においても、図1〜16に示す何れの技術思想が反映されていてもよい。
図18は、いわゆるダンパー160に本発明を適用する場合について示している。ダンパー160は、構造体181に溶接により先に固着される第2部材26a、26bと、この第2部材26a、26bに設けられた第2貫通孔33に嵌め込まれ、第1部材43に接触する介装構造体62と、これら介装構造体62、第1部材43に挿通されるボルト63とこれに螺着されるナット64とを備えている。第1部材43の他端は、一端にネジが形成されたネジ棒243の他端に溶接により固着される。第1部材43の孔101は、内周面の端部側が拡径される傾斜内周面101aが形成され、介装構造体62は、外周面が縮径される傾斜外周面62aが形成され、傾斜外周面62aが傾斜内周面101aに接触される。このようなダンパー160に作用させる場合においても上述と同様の効果を得ることが可能となる。このような図18の構成を前提とする場合においても、図1〜16に示す何れの技術思想が反映されていてもよい。
なお、第1実施形態に係る接合構造100は、図19及び図20に示すように、柱体41と梁42との接合構造であってもよい。梁42は、H形鋼で構成され、フランジで構成される第1部材43a、43bを有する。この接合構造100は、孔101が形成される第1部材43a、43bと、構造体としての柱体41に固定されるとともに、第2貫通孔33が形成される第2部材26a、26bと、この第2部材26a、26bに設けられた第2貫通孔33に嵌め込まれ、第1部材43に接触する介装構造体62と、これら介装構造体62、第1部材43に挿通されるボルト63とこれに螺着されるナット64とを備えている。第1部材43の孔101は、内周面の端部側が拡径される傾斜内周面101aが形成され、介装構造体62は、外周面が縮径される傾斜外周面62aが形成され、傾斜外周面62aが傾斜内周面101aに接触される。このような接合構造100に作用させる場合においても上述と同様の効果を得ることが可能となる。このような図19及び図20の構成を前提とする場合においても、図1〜16に示す何れの技術思想が反映されていてもよい。
図21は、第1部材43を柱体41に取り付ける例を示す図である。この例では、1枚の第1部材43を、2枚の第2部材26a、26bに挟持させている。また、介装構造体62、第2部材26に挿通されるボルト63とこれに螺着されるナット64とを備えている。第2部材26には例えばH型鋼のフランジで構成される他の部材301が溶接等により取り付けられる。かかる形態において、第1部材43の孔101は、内周面の端部側が拡径される傾斜内周面101aが形成され、介装構造体62は、外周面が縮径される傾斜外周面62aが形成され、傾斜外周面62aが傾斜内周面101aに接触される。なお、このような図21の構成を前提とする場合においても、図1〜20に示す何れの技術思想が反映されていてもよい。
図22は、第1部材43を柱体41に取り付ける他の例を示す図である。この例では、1枚の第1部材43を、連結された2枚の第2部材26a、26bに挟持させている。これら2枚の第2部材26a、26bはU字状に折り曲げられた1枚の鋼板226で構成される。鋼板226は、事前に工場等で折り曲げ加工がなされ、折曲部227の外面が切り欠かれた切欠部227aが形成される。これにより、工場等での折り曲げ加工を容易に行うことが可能となる。切欠部227aは、H型鋼等のフランジで構成される部材301に溶接固定される。即ち、この切欠部227aが部材301に溶接されるとき、開先として機能するものとなる。
U字状に折り曲げられた鋼板226の第2部材26a、26bには第2貫通孔33が形成される。第2部材26aにおける第2貫通孔33と、第2部材26bにおける第2貫通孔33とは、事前に工場等においてU字状に折り曲げた鋼板226の第2部材26a、26bに、例えば、レーザー等により削孔される。これにより、第2部材26aにおける第2貫通孔33と、第2部材26bにおける第2貫通孔33とは、それぞれの位置がずれることなく、上下方向で位置が合わせられているものとなる。
ボルト363は、介装構造体362が一体化されており、介装構造体362が第2部材26bの第2貫通孔33に嵌め込まれている。第1部材43の孔101は、内周面の端部側が拡径される傾斜内周面101aが形成され、介装構造体362は、外周面が縮径される傾斜外周面362aが形成され、傾斜外周面362aが傾斜内周面101aに接触される。
ナット364は、介装構造体362が一体化されており、介装構造体362が第2部材26aの第2貫通孔33に嵌め込まれている。第1部材43の孔101は、内周面の端部側が拡径される傾斜内周面101aが形成され、介装構造体362は、外周面が縮径される傾斜外周面362aが形成され、傾斜外周面362aが傾斜内周面101aに接触される。
このようなボルト363の軸363aにナット364が螺着されることで、第1部材43と第2部材26とが締結される。かかる形態においては、大地震等による振動エネルギーを支圧によって抵抗することが可能なものとしながら、部材点数を削減することで、施工時間の短縮化と、それに伴う施工費用の削減が可能となる。なお、このような図22の構成を前提とする場合においても、図1〜21に示す何れの技術思想が反映されていてもよい。
次に、第2実施形態に係る部材間の接合構造100について説明をする。この第2実施形態において、上述した第1実施形態と同一の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
図23は、第2実施形態に係る部材間の接合構造100の断面図を示す。
第2実施形態に係る部材間の接合構造100は、図23に示すように、鋼管柱としての柱体41に鋼板としての第2部材26が2枚溶接固定される。第2部材26は、第2貫通孔33が形成され、この第2貫通孔33には第2介装構造体262が嵌め込まれる。2枚の第2部材26の間には、梁42のフランジとしての第1部材43が介装される。第1部材43は、第1貫通孔133が形成され、この第1貫通孔133には第1介装構造体162が嵌め込まれる。
図24(a)は、第1介装構造体162を示す斜視図であり、図24(b)は、その側断面図である。第1介装構造体162は、低降伏点鋼、アルミニウム、銅合金、鉛合金、すず合金、ベリリウム合金、ニッケル合金、亜鉛合金、銀合金、真鍮合金等の延性金属等で構成されている。この第1介装構造体162は、延性金属以外に、例えばレジン、ゴム、樹脂板等のような弾性変形又は塑性変形が容易ないかなる材料により構成されていてもよい。この第1介装構造体162にはほぼ中央に貫通孔162dが形成されていわゆる環を形成するように構成されている。この第1介装構造体162の外形及びサイズは、これが嵌め込まれる第1部材43の第1貫通孔133の形状、サイズに応じたものとなっている。即ち、第1貫通孔133が円形であれば、第1介装構造体162の外形は、第1貫通孔133よりも僅かに縮径された円形状とされている。同様に第1貫通孔133が角形状であれば、第1介装構造体162の外形も当該第1貫通孔133よりも僅かに縮径された同様の角形状となる。第1介装構造体162は、貫通孔162dの内周面が端部側に向けて拡径される第1傾斜内周面162aが形成される。第1介装構造体162は、第1傾斜内周面162aが両端部側に形成される。第1介装構造体162は、第1傾斜内周面162aの傾斜角度θ1としたとき、この傾斜角度θ1は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。
図25(a)は、第2介装構造体262を示す斜視図であり、図25(b)は、その側断面図である。第2介装構造体262は、低降伏点鋼、アルミニウム、銅合金、鉛合金、すず合金、ベリリウム合金、ニッケル合金、亜鉛合金、銀合金、真鍮合金等の延性金属等で構成されている。この第2介装構造体262は、延性金属以外に、例えばレジン、ゴム、樹脂板等のような弾性変形又は塑性変形が容易ないかなる材料により構成されていてもよい。この第2介装構造体262にはほぼ中央に貫通孔262dが形成されていわゆる環を形成するように構成されている。この第2介装構造体262の外形及びサイズは、これが嵌め込まれる第2部材26の第2貫通孔33の形状、サイズに応じたものとなっている。即ち、第2貫通孔33が円形であれば、第2介装構造体262の外形は、第2貫通孔33よりも僅かに縮径された円形状とされている。同様に第2貫通孔33が角形状であれば、第2介装構造体262の外形も当該第2貫通孔33よりも僅かに縮径された同様の角形状となる。第2介装構造体262は、外周面の端部側に向けて縮径される第2傾斜外周面262aが形成される。第2介装構造体262は、第2傾斜外周面262aの傾斜角度θ2としたとき、この傾斜角度θ2は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。
第2介装構造体262は、図23に示すように、第2部材26よりも外側に突出するように増厚されるとともに、第2傾斜外周面262aが第1介装構造体162の第1傾斜内周面162aに接触される。第2介装構造体262の傾斜角度θ2は、貫通孔162dの第1傾斜内周面162aの傾斜角度θ1と略同一に形成される。また、一方の第2介装構造体262における第2傾斜外周面262aの先端は、他方の第2介装構造体262における第2傾斜外周面262aの先端から離間される。
ボルト63は、第2介装構造体262の貫通孔262dに挿通される。このボルト63の軸先端は、ナット64が螺着されている。第2介装構造体262は、第2部材26の第2貫通孔33に嵌め込まれ、第2傾斜外周面262aの傾斜角度θ2が第1傾斜内周面162aの傾斜角度θ1と略同一に形成されることから、第2傾斜外周面262aが第1傾斜内周面162aに面接触されている。このようなボルト63とナット64による締め付けを行うことで、ボルト63の頭部及びナット64からの圧縮力が、第2部材26の第2貫通孔33に嵌め込まれた第2介装構造体262へ伝達される。このとき、第2介装構造体262は、この圧縮力、即ち締結部材の締結力に基づいて、弾性変形又は塑性変形され、第2貫通孔33に当接されるとともに、ボルト63の軸に当接されることとなる。また、第2介装構造体262に伝達された圧縮力は、第2傾斜外周面262aから第1介装構造体162の第1傾斜内周面162aに伝達される。このとき、第1介装構造体162は、この圧縮力に基づいて、弾性変形又は塑性変形され、第1貫通孔133に当接されるとともに、ボルト63の軸に当接されることとなる。
次に上述した構成からなる第2実施形態に係る部材間の接合構造100における作用効果について説明をする。
地震による振動が構造物に加わった場合、柱体41が振動、変位するものとなる。かかる場合に、第2部材26の第2貫通孔33に嵌め込まれる第2介装構造体262の第2傾斜外周面262aが、第1部材43の第1貫通孔133に嵌め込まれる第1介装構造体162の第1傾斜内周面162aに面接触されている。これにより、第2介装構造体262は、振動、変位しようとする力に抵抗しようとして、第1介装構造体162の第1傾斜内周面162aと、第2介装構造体262の第2傾斜外周面262aとの間で互いに支圧が作用することとなる。加えて、締結部材であるボルト63及びナット64の締結力に基づいて、第1介装構造体162は弾性変形又は塑性変形されて第1部材43における第1貫通孔133に当接されるとともに、ボルト63の軸に当接される。これにより、第1介装構造体162は、第1部材43に対して相対変位しないものとなる。また、締結部材であるボルト63及びナット64の締結力に基づいて、第2介装構造体262は、弾性変形又は塑性変形されて第2部材26における第2貫通孔33に当接されるとともに、ボルト63の軸に当接される。これにより、第2介装構造体262は、第2部材26に対して相対変位しないものとなる。このように、これら支圧に応じて地震による振動に対して抵抗するものとなる。特に、地震による振動が加わったとき、柱体41が第1部材43に対して相対変位しないことで、柱体41と第1部材43との衝突やガタツキを防止できる。
従って第2実施形態に係る部材間の接合構造100は、大地震等による振動エネルギーを支圧によって抵抗することが可能な部材間の接合構造100として具現化することが可能となる。
また、第2実施形態に係る部材間の接合構造100は、第1傾斜内周面162aが形成された第1介装構造体162が第1貫通孔133に嵌め込められるため、第1部材43の第1貫通孔133に傾斜を設ける必要がないため、第1貫通孔133に傾斜を加工する作業を省略することができ、製造費用を低減させることが可能となる。
図26は、第2実施形態に係る部材間の接合構造100の第1変形例を示す。図26に示すように、第2実施形態に係る部材間の接合構造100の変形例では、2枚の第2部材26のうちの1枚を省略してもよい。このとき、第2部材26の第2貫通孔33に第2介装構造体262が嵌め込まれることとなる。かかる形態においても上述した作用効果を示すことは言うまでもない。
図27は、第2実施形態に係る部材間の接合構造100の第2変形例を示す。図27に示すように、第2実施形態に係る部材間の接合構造100の第2変形例では、例えば、3枚の鋼板の第1部材43と、2枚の鋼板の第2部材26との接合に用いられてもよい。第2実施形態に係る部材間の接合構造100の第2変形例では、鋼管柱としての柱体41に鋼板としての第2部材26が2枚溶接固定され、各々の第2部材26は、2枚の第1部材43にそれぞれ介装される。このとき、第1介装構造体162は、2枚の第2部材26に介装される第1部材43の第1貫通孔133に嵌め込まれる。また、第2介装構造体262は、第2部材26の第2貫通孔33及び当該第2部材26よりも外側に配置される第1部材43の第1貫通孔133に嵌め込まれ、第1部材43よりも外側に突出するように増厚される。
地震による振動が構造物に加わった場合、柱体41が振動、変位するものとなる。かかる場合に、第2部材26の第2貫通孔33及び第1部材43の第1貫通孔133に嵌め込まれる第2介装構造体262の第2傾斜外周面262aが、第1部材43の第1貫通孔133に嵌め込まれる第1介装構造体162の第1傾斜内周面162aに面接触されている。これにより、第2介装構造体262は、振動、変位しようとする力に抵抗しようとして、第1介装構造体162の第1傾斜内周面162aと、第2介装構造体262の第2傾斜外周面262aとの間で互いに支圧が作用することとなる。加えて、締結部材であるボルト63及びナット64の締結力に基づいて、第1介装構造体162は、弾性変形又は塑性変形されて2枚の第2部材26に介装される第1部材43の第1貫通孔133に当接されるとともに、ボルト63の軸に当接される。これにより、第1介装構造体162は、第1部材43に対して相対変位しないものとなる。また、締結部材であるボルト63及びナット64の締結力に基づいて、第2介装構造体262は、弾性変形又は塑性変形されて第2部材26の第2貫通孔33及び当該第2部材26よりも外側に配置される第1部材43の第1貫通孔133に当接されるとともに、ボルト63の軸に当接される。これにより、第2介装構造体262は、第2部材26に対して相対変位しないものとなる。このように、これら支圧に応じて地震による振動に対して抵抗するものとなる。特に、地震による振動が加わったとき、柱体41が第1部材43に対して相対変位しないことで、柱体41と第1部材43との衝突やガタツキを防止できる効果をより高めることが可能となる。
なお、第2実施形態に係る部材間の接合構造100は、鋼管柱と梁との接合に用いられる形態について説明したが、鋼管と鋼管との接合に用いられてもよい。
次に、第3実施形態に係る部材間の接合構造100について説明をする。この第3実施形態において、上述した各実施形態と同一の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
図28は、第3実施形態に係る部材間の接合構造100の斜視図を示し、図29は、かかる部材間の接合構造100の詳細な断面図を示している。
図28及び図29に示す形態において、鋼管柱としての柱体41に鋼板としての第2部材26a、26bが溶接固定される。2枚の第2部材26a、26bの間には、鋼管柱としての第1部材43が介装される。第1部材43は、第1貫通孔133が形成される。柱体41の外側に配置される第2部材26a及び柱体41の内側に配置される第2部材26bは、それぞれ第2貫通孔33が形成される。第2部材26aの第2貫通孔33及び第1部材43における第1貫通孔133には、ボルト363と一体化された第1介装構造体362が嵌め込まれる。また、第2部材26bの第2貫通孔33には、ナット464と一体化された第2介装構造体462が嵌め込まれる。ナット464は、第2部材26bに溶接固定されたナットキャップ164に嵌め込まれて固定される。第2介装構造体462は、ボルト363の先端側に配置される第2部材26bの第2貫通孔33に嵌め込まれる。
図30(a)は、ボルト363と一体化された第1介装構造体362を示す斜視図であり、図30(b)は、その側断面図である。第1介装構造体362は、ボルト363が一体成型されて一体化されており、ボルト363の先端側に向けて外周面が縮径される傾斜外周面362aが形成される。傾斜外周面362aの傾斜角度θ2としたとき、この傾斜角度θ2は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。ボルト363は、頭部が角形状に形成され、傾斜外周面362aの先端側にネジ山部363bを有している。
図31(a)は、ボルト363の変形例を示す斜視図であり、図31(b)は、その側断面図であり、図31(c)は、その平面図である。ボルト363は、頭部が形成されることなく、基端部に角形状に形成される孔362cが形成される。このとき、孔362cに嵌め込まれる例えばインパクトレンチ等により、ネジ山部363bをナットに螺着させることが可能となる。
図32(a)は、ナット464と一体化された第2介装構造体462を示す斜視図であり、図32(b)は、その側断面図である。第2介装構造体462は、ナット464が一体成型されて一体化されている。第2介装構造体462は、貫通孔462dが形成され、内周面が端部側に向けて拡径された第2傾斜内周面462aが形成される。この第2傾斜内周面462aは、ナット464に遠ざかるにつれて拡径されて形成される。第2傾斜内周面462aの傾斜角度θ1は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。ナット464は、ネジ山を有する孔464dが形成される。
なお、図33は、第3実施形態に係る部材間の接合構造100の変形例を示す。図33に示すように、第3実施形態の変形例に係る部材間の接合構造100では、ナット464と、第2介装構造体462とが分離独立されていてもよい。
第3実施形態に係る部材間の接合構造100は、図29に示すように、ボルト363のネジ山部363bにナット464が螺着される。そして第3実施形態に係る接合構造100は、第1部材43の第1貫通孔及び第2部材26aの第2貫通孔33に第1介装構造体362が嵌め込まれ、第2部材26bの第2貫通孔33に第2介装構造体462が嵌め込まれる。このとき、第1介装構造体362の傾斜外周面362aが第2介装構造体462の第2傾斜内周面462aに接触されており、特に、傾斜外周面362aの傾斜角度が第2傾斜内周面462aの傾斜角度と略同一に形成されることから、傾斜外周面362aが第2傾斜内周面462aに面接触されている。このようなボルト363とナット464による締め付けを行うことで、ボルト363の頭部及びナット464からの圧縮力が、第1介装構造体362へ伝達される。このとき、第1介装構造体362は、この圧縮力、即ち締結部材であるボルト363及びナット464の締結力に基づいて、弾性変形又は塑性変形され、第1部材43の第1貫通孔133及び第2部材26aの第2貫通孔33に当接される。また、第1介装構造体362に伝達された圧縮力は、傾斜外周面362aから第2介装構造体462の第2傾斜内周面462aに伝達される。このとき、第2介装構造体462は、この圧縮力に基づいて、弾性変形又は塑性変形され、第2部材26bの第2貫通孔33に当接されることとなる。
次に上述した構成からなる第3実施形態に係る接合構造100における作用効果について説明をする。
地震による振動が構造物に加わった場合、柱体41が振動、変位するものとなる。かかる場合に、第1部材43の第1貫通孔133及び第2部材26aの第2貫通孔33に嵌め込まれる第1介装構造体362の傾斜外周面362aが、第2部材26bの第2貫通孔33に嵌め込まれる第2介装構造体462の第2傾斜内周面462aに面接触されている。これにより、第1介装構造体362は、振動、変位しようとする力に抵抗しようとして、傾斜外周面362aと第2介装構造体462の第2傾斜内周面462aとの間で支圧が作用することとなる。加えて、締結部材の締結力に基づいて、第1介装構造体362は弾性変形又は塑性変形されて第1部材43における第1貫通孔133に当接されるとともに、第2部材26aにおける第2貫通孔33に当接される。これにより、第1介装構造体362は、第1部材43及び第2部材26aに対して相対変位しないものとなる。また、第2介装構造体462は、締結部材であるボルト363及びナット464の締結力に基づいて、弾性変形又は塑性変形されて第2部材26bの第2貫通孔33に当接されるため、第2部材26bに対して相対変位しないものとなる。このように、これら支圧に応じて地震による振動に対して抵抗するものとなる。特に、地震による振動が加わったとき、柱体41が第1部材43に対して相対変位しないことで、柱体41と第1部材43との衝突やガタツキを防止できる。
従って第3実施形態に係る部材間の接合構造100は、大地震等による振動エネルギーを支圧によって抵抗することが可能な部材間の接合構造100として具現化することが可能となる。
特に、第3実施形態に係る部材間の接合構造100は、柱体41の内側に配置される第2部材26bに固定されたナット464に、ボルト363を柱体41の外側から螺着させることができるため、現場での施工期間を短縮することも可能となる。また、第3実施形態に係る部材間の接合構造100は、第1介装構造体362がボルト363と一体化され、第2介装構造体462がナット464と一体化されるため、現場で必要となる部材数を減少させることが可能となる。
ここで、第3実施形態に係る部材間の接合構造100は、第1貫通孔133の中心線C3と第2貫通孔33の中心線C4とが一致された状態で、ボルト363が貫通されることが望ましいが、施工の過程において、図34に示すように、第1貫通孔133の中心線C3と第2貫通孔33の中心線C4とが距離eだけずれている場合がある。
かかる場合、図35に示すように、ボルト363のネジ山部363bをナット464に螺着させる。第1部材43の外面から第2部材26bのナット464が設けられる側の面までの距離L1とし、ネジ山部363bの長さL2としたとき、L1≦L2とされることで、ボルト363のネジ山部363bの先端側をナット464に螺着させることができる。
ボルト363のネジ山部363bの先端側がナット464に螺着され、ボルト363を回転させることで、ボルト363が徐々に図中矢印方向に向けて挿通されることとなる。このとき、第1介装構造体362の傾斜外周面362aが第1貫通孔133に接触されることとなる。
そして、図36に示すように、第1介装構造体362の傾斜外周面362aが、第1貫通孔133に接触するのに伴って、第1部材43を移動させるものとなり、第1貫通孔133の中心線C3と第2貫通孔33の中心線C4とが一致された状態となる。即ち、第1貫通孔133の中心線C3と第2貫通孔33の中心線C4とが距離eだけずれている場合であっても、第1介装構造体362により、第1貫通孔133の中心線C3と第2貫通孔33の中心線C4とがいわばセンタリングされるため、施工を容易に行うことができる。
図37は、第3実施形態に係る部材間の接合構造100において、第2部材26aの構成を省略し、第2部材26bと、第1部材43間のみで接合を行う例を示している。第1部材43の外側からボルト363を挿通させて、ナット64により螺着固定する。このとき、第1介装構造体362の傾斜外周面362aは、第2介装構造体462の第2傾斜内周面462aに接触される。これにより、地震動が作用したとき第1介装構造体362が鉛直変位しようとする力に抵抗しようとして、第2介装構造体462の第2傾斜内周面462aと、第1介装構造体362の傾斜外周面362aとの間で互いに支圧が作用することとなる。その結果、大地震等による振動エネルギーを支圧によって抵抗することが可能な部材間の接合構造100として具現化することが可能となる。
なお、第3実施形態に係る部材間の接合構造100は、鋼管と鋼管との接合に用いられる形態について説明したが、鋼管柱と梁との接合に用いられてもよい。
次に、第4実施形態に係る部材間の接合構造100について説明をする。この第4実施形態において、上述した各実施形態と同一の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
図38は、第4実施形態に係る部材間の接合構造100の断面図を示す。
第4実施形態に係る部材間の接合構造100は、図38に示すように、鋼管柱としての柱体41に鋼板としての第2部材26が2枚溶接固定される。2枚の第2部材26a、26bは、それぞれ第2貫通孔33が形成され、一方の第2貫通孔33には第2介装構造体262が嵌め込まれ、他方の第2貫通孔33には第3介装構造体562が嵌め込まれる。2枚の第2部材26a、26bの間には、梁42のフランジとしての第1部材43が介装される。第1部材43は、第1貫通孔133が形成され、この第1貫通孔133には第1介装構造体162が嵌め込まれる。
第1介装構造体162は、内周面が端部側に向けて拡径される第1傾斜内周面162aと、外周面が端部側に向けて縮径される第1傾斜外周面162bとが形成される。第1介装構造体162は、第1傾斜内周面162aの傾斜角度θ1としたとき、この傾斜角度θ1は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。第1介装構造体162は、第1傾斜外周面162bの傾斜角度θ2としたとき、この傾斜角度θ2は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。
第2介装構造体262は、外周面が端部側に向けて縮径される第2傾斜外周面262aが形成される。第2介装構造体262は、第2傾斜外周面262aの傾斜角度θ2としたとき、この傾斜角度θ2は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。
第3介装構造体562は、低降伏点鋼、アルミニウム、銅合金、鉛合金、すず合金、ベリリウム合金、ニッケル合金、亜鉛合金、銀合金、真鍮合金等の延性金属等で構成されている。この第3介装構造体562は、延性金属以外に、例えばレジン、ゴム、樹脂板等のような弾性変形又は塑性変形が容易ないかなる材料により構成されていてもよい。この第3介装構造体562にはほぼ中央に貫通孔562dが形成されていわゆる環を形成するように構成されている。この第3介装構造体562の外形及びサイズは、これが嵌め込まれる他方の第2部材26bの第2貫通孔33の形状、サイズに応じたものとなっている。即ち、第2貫通孔33が円形であれば、第3介装構造体562の外形は、第2貫通孔33よりも僅かに縮径された円形状とされている。同様に第2貫通孔33が角形状であれば、第3介装構造体562の外形も当該第2貫通孔33よりも僅かに縮径された同様の角形状となる。第3介装構造体562は、第2部材26bよりも外側に突出するように増厚されるとともに、内周面が端部側に向けて拡径される第3傾斜内周面562aが形成される。第3傾斜内周面562aの傾斜角度θ1としたとき、この傾斜角度θ1は、0°より大きく、また90°より小さい値をとる。
ボルト63は、第1介装構造体162の貫通孔162d、第2介装構造体262の貫通孔262d及び第3介装構造体562の貫通孔562dに貫通される。このボルト63の軸先端は、ナット64が螺着されている。一方の第2部材26aに設けられる第2介装構造体262は、第2貫通孔33に嵌め込まれ、第1介装構造体162の第1傾斜内周面162aに接触される。特に、第2傾斜外周面262aの傾斜角度θ2が第1傾斜内周面162aの傾斜角度θ1と略同一に形成されることで、第2傾斜外周面262aが第1傾斜内周面162aに面接触される。また、他方の第2部材26bに設けられる第3介装構造体562は、第2貫通孔33に嵌め込まれ、第1介装構造体162の第1傾斜外周面162bに接触される。特に、第3傾斜内周面562aの傾斜角度θ1が第1傾斜外周面162bの傾斜角度θ2と略同一に形成されることで、第3傾斜内周面562aが第1傾斜外周面162bに面接触される。
このようなボルト63とナット64による締め付けを行うことで、ボルト63の頭部及びナット64からの圧縮力が、第2介装構造体262及び第3介装構造体562へ伝達される。このとき、第2介装構造体262及び第3介装構造体562は、この圧縮力、即ち締結部材の締結力に基づいて、弾性変形又は塑性変形され、それぞれ第2貫通孔33に当接されることとなる。また、第2介装構造体262及び第3介装構造体562に伝達された圧縮力は、第2傾斜外周面262aから第1介装構造体162の第1傾斜内周面162aに伝達されるとともに、第3傾斜内周面562aから第1介装構造体162の第1傾斜外周面162bに伝達される。このとき、第1介装構造体162は、これらの圧縮力に基づいて、弾性変形又は塑性変形され、第1貫通孔133に当接されることとなる。また、第1介装構造体162、第2介装構造体262及び第3介装構造体562は、それぞれ弾性変形又は塑性変形されることで、ボルト63の軸に当接される。
次に上述した構成からなる第4実施形態に係る部材間の接合構造100における作用効果について説明をする。
地震による振動が構造物に加わった場合、柱体41が振動、変位するものとなる。かかる場合に、一方の第2部材26aの第2貫通孔33に嵌め込まれる第2介装構造体262の第2傾斜外周面262aが、第1部材43の第1貫通孔133に嵌め込まれる第1介装構造体162の第1傾斜内周面162aに面接触されている。これにより、第2介装構造体262は、振動、変位しようとする力に抵抗しようとして、第1介装構造体162の第1傾斜内周面162aと、第2介装構造体262の第2傾斜外周面262aとの間で互いに支圧が作用することとなる。また、他方の第2部材26bの第2貫通孔33に嵌め込まれる第3介装構造体562の第3傾斜内周面562aが、第1部材43の第1貫通孔133に嵌め込まれる第1介装構造体162の第1傾斜外周面162bに面接触されている。これにより、第3介装構造体562は、振動、変位しようとする力に抵抗しようとして、第1介装構造体162の第1傾斜外周面162bと、第3介装構造体562の第3傾斜内周面562aとの間で互いに支圧が作用することとなる。加えて、締結部材であるボルト63及びナット64の締結力に基づいて、第1介装構造体162は弾性変形又は塑性変形されて第1部材43における第1貫通孔133に当接されるとともに、ボルト63の軸に当接される。これにより、第1介装構造体162は、第1部材43に対して相対変位しないものとなる。また、締結部材であるボルト63及びナット64の締結力に基づいて、第2介装構造体262は、弾性変形又は塑性変形されて第2部材26aにおける第2貫通孔33に当接されるとともに、ボルト63の軸に当接される。第3介装構造体562は、弾性変形又は塑性変形されて第2部材26bにおける第2貫通孔33に当接されるとともに、ボルト63の軸に当接される。これにより、第2介装構造体262及び第3介装構造体562は、第2部材26a、26bに対して相対変位しないものとなる。このように、これら支圧に応じて地震による振動に対して抵抗するものとなる。特に、地震による振動が加わったとき、柱体41が第1部材43に対して相対変位しないことで、柱体41と第1部材43との衝突やガタツキを防止できる。
従って第4実施形態に係る部材間の接合構造は、大地震等による振動エネルギーを支圧によって抵抗することが可能な部材間の接合構造100として具現化することが可能となる。
また、第4実施形態に係る部材間の接合構造100は、第1傾斜内周面162a及び第1傾斜外周面162bが形成された第1介装構造体162が第1貫通孔133に嵌め込められるため、第1部材43の第1貫通孔133に傾斜を設ける必要がないため、第1貫通孔133に傾斜を加工する作業を省略することができ、施工費用を低減させることが可能となる。
なお、第4実施形態に係る部材間の接合構造100は、鋼管柱と梁との接合に用いられる形態について説明したが、鋼管と鋼管との接合に用いられてもよい。
次に、第5実施形態に係る部材間の接合構造100について説明をする。この第5実施形態において、上述した各実施形態と同一の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
図39は、第5実施形態に係る部材間の接合構造100の断面図を示す。
第5実施形態に係る部材間の接合構造100は、図39に示すように、鋼管柱としての柱体41に鋼板としての第2部材26が2枚溶接固定される。2枚の第2部材26a、26bは、それぞれ第2貫通孔33が形成され、2枚の第2部材26a、26bの間には、梁42のフランジとしての第1部材43が介装される。第1部材43は、第1貫通孔133が形成される。第1部材43の第1貫通孔133及び一方の第2部材26aの第2貫通孔33には、第1介装構造体162が嵌め込まれ、第1部材43の第1貫通孔133及び他方の第2部材26bの第2貫通孔33には第2介装構造体262が嵌め込まれる。第1介装構造体162は、第2部材26aよりも外側に突出するように増厚される。第2介装構造体262は、第2部材26bよりも外側に突出するように増厚されるとともに、第1介装構造体162に接触される。
ボルト63は、第1介装構造体162の貫通孔162d及び第2介装構造体262の貫通孔262dに貫通される。このボルト63の軸先端は、ナット64が螺着されている。
このようなボルト63とナット64による締め付けを行うことで、ボルト63の頭部及びナット64からの圧縮力が、第1介装構造体162及び第2介装構造体262へ伝達される。このとき、第1介装構造体162及び第2介装構造体262は、この圧縮力、即ち締結部材の締結力に基づいて、弾性変形又は塑性変形され、第1貫通孔133、第2貫通孔33及びボルト63の軸に当接されることとなる。
次に上述した構成からなる第5実施形態に係る部材間の接合構造100における作用効果について説明をする。
地震による振動が構造物に加わった場合、柱体41が振動、変位するものとなる。かかる場合に、第1介装構造体162及び第2介装構造体262は、圧縮力、即ち締結部材の締結力に基づいて、弾性変形又は塑性変形され、第1貫通孔133、第2貫通孔33及びボルト63の軸に当接されることとなる。これにより、第1介装構造体162及び第2介装構造体262は、振動、変位しようとする力に抵抗しようとして、第1介装構造体162及び第2介装構造体262並びに第1貫通孔133及び第2貫通孔33の間で互いに支圧が作用することとなる。これにより、第1介装構造体162及び第2介装構造体262は、第1部材43及び第2部材26a、26bに対して相対変位しないものとなる。このように、これら支圧に応じて地震による振動に対して抵抗するものとなる。特に、地震による振動が加わったとき、柱体41が第1部材43に対して相対変位しないことで、柱体41と第1部材43との衝突やガタツキを防止できる。
従って第5実施形態に係る部材間の接合構造は、大地震等による振動エネルギーを支圧によって抵抗することが可能な接合構造100として具現化することが可能となる。
また、第5実施形態に係る部材間の接合構造100は、第1傾斜内周面162a及び第1傾斜外周面162bが形成された第1介装構造体162が第1貫通孔133に嵌め込められるため、第1部材43の第1貫通孔133に傾斜を設ける必要がないため、第1貫通孔133に傾斜を加工する作業を省略することができ、施工費用を低減させることが可能となる。
図39は、第5実施形態に部材間の係る接合構造100の変形例を示す。図40に示すように、第5実施形態に係る部材間の接合構造100の変形例では、2枚の第2部材26のうちの1枚を省略してもよい。このとき、第1介装構造体162は、第1貫通孔133に嵌め込まれ、第2介装構造体262は、第1部材43の第1貫通孔133及び第2部材26の第2貫通孔33に第2介装構造体262が嵌め込まれることとなる。かかる形態においても上述した作用効果を示すことは言うまでもない。
なお、第5実施形態に係る部材間の接合構造100は、鋼管柱と梁との接合に用いられる形態について説明したが、鋼管と鋼管との接合に用いられてもよい。