JP5966067B1 - 部材間の接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】何れか一方の部材が支柱に対して先に溶接により固定される場合においても、これにより影響を受けることなく大地震等による振動エネルギーを十分に吸収することが可能な部材間の接合構造を提供する。【解決手段】孔が形成される第1部材43と、貫通孔33が形成され、第1部材43よりも先に構造体に固定される第2部材26と、第2部材26に形成された貫通孔33よりも径小とされ、当該貫通孔33に嵌め込まれ、第1部材43の表面に対して接触された状態とされる介装構造体62と、少なくとも介装構造体62及び第1部材43の孔にボルトの軸を貫通させることによりこれらを締結する締結部材とを備え、介装構造体62は、締結部材による締結力に基づいてその周端が外側に向けて膨出されて貫通孔33の内周面に近接又は接触させてなることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、構造物に導入される部材間の接合構造に関する。
従来より、大地震等の大きな振動エネルギーを効率良く吸収し、建築物の構造部材の損傷を防止することを目的として、特許文献1に開示される制震機構が提案されている。
特許文献1に開示される制震機構は、一対の枠部材の折れ曲り材が略X形状となるように、摩擦ダンパーを介して連結されることによって制震機構が構成され、これら枠部材の上下の連結プレートが土台や梁に固定され、直材が柱に固定されるものである。これにより、特許文献1に開示される制震機構は、大地震等が発生したときに、その振動エネルギーを摩擦ダンパーで吸収するとともに、柱の引き抜けやめり込みを防止するものとなる。
特開2001−336303号公報 特許第5422074号公報
しかし、特許文献1に開示される制震機構は、一対の折れ曲り材の枠部材を用いるものであり、これら一対の枠部材に作用する押圧力によって、摩擦ダンパーの摩擦抵抗を利用するものであることから、これら一対の枠部材に作用する押圧力が不十分となる場合に、振動エネルギーを十分に吸収することができず、建築物が倒壊するおそれがあるという問題点があった。
また、特許文献1に開示される制震機構は、一対の折れ曲り材の枠部材に作用する押圧力を利用するものであることから、建築物にブレース材を設けないものとする場合に適用することができないものとなり、大地震等による振動エネルギーを十分に吸収することができず、建築物が倒壊するおそれがあるという問題点があった。
さらに、特許文献1に開示される制震機構は、建築物にブレース材を設けるものとした場合であっても、ブレース材を設けた位置に限定して適用されるものとなることから、振動エネルギーを十分に吸収することができず、建築物が倒壊するおそれがあるという問題点があった。
また、特許文献2には、鉄板、鋼板、ステンレス板等の一対の第1部材が、面材の端部から面内方向に突出させて所定の間隔を空けて略平行に一対となって設けられ、アルミニウム等の第2部材が、一対の第1部材の間に挟み込まれて設けられることで、第1部材と第2部材との異種材料接触状態での褶動によって、地震等によって建築物に作用する振動を摩擦減衰によって吸収して、建築物の倒壊や面材の崩落を防止する技術が開示されている。
しかしながら、この特許文献2の開示技術には、鉛直に立設された柱体に対して第2部材を水平方向に向けて先に溶接固定し、その溶接された第2部材に対して、梁に連結され、又は梁のフランジを構成する第1部材を添設する際におけるより好適な構成については特段開示されていない。特に柱体に対して先に第2部材を溶接することにより、第1部材との間で施工誤差に伴う間隙が形成されることがあり、この間隙に影響を受けることなく上述した振動の摩擦減衰を吸収できる構成は従来において特段提案されていなかった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、何れか一方の部材が支柱に対して先に溶接により固定される場合においても、これにより影響を受けることなく大地震等による振動エネルギーを十分に吸収することが可能な部材間の接合構造を提供することにある。
第1発明は、孔が形成される第1部材と、貫通孔が形成され、前記第1部材よりも先に構造体に固定される第2部材と、前記第2部材に形成された前記貫通孔よりも径小とされ、当該貫通孔に嵌め込まれ、前記第1部材の表面に対して接触された状態とされる介装構造体と、少なくとも前記介装構造体及び前記第1部材の孔にボルトの軸を貫通させることによりこれらを締結する締結部材とを備え、前記介装構造体は、前記締結部材による締結力に基づいてその周端が外側に向けて膨出されて前記貫通孔の内周面に近接又は接触させてなることを特徴とする。
第2発明は、貫通孔が形成される第2部材と、前記第2部材よりも先に構造体に固定され、孔が形成される第1部材と、前記第2部材に形成された前記貫通孔よりも径小とされ、当該貫通孔に嵌め込まれ、前記第1部材の表面に対して接触された状態とされる介装構造体と、少なくとも前記介装構造体及び前記第1部材の孔にボルトの軸を貫通させることによりこれらを締結する締結部材とを備え、前記介装構造体は、前記締結部材による締結力に基づいてその周端が外側に向けて膨出されて前記貫通孔の内周面に近接又は接触させてなることを特徴とする。
第3発明は、第1又は第2発明において、前記介装構造体は、前記第1部材の表面に対して接触される第1層と、上記第1層と上記締結部材との間に介装され、前記第1層よりも延性の高い材料で構成され、前記締結部材による締結力に基づいてその周端が外側に向けて膨出する第2層とを有していることを特徴とする。
第4発明は、第1〜第3の何れかの発明において、前記第1部材の孔は、前記介装構造体の孔よりも径大となるように構成され、前記介装構造体は、前記締結部材による締結力に基づいて、前記第1部材の孔内に凸出されることを特徴とする。
第5発明は、第1〜第4の何れかの発明において、前記介装構造体は、当該介装構造体よりも摩擦係数の高い材料により被覆されていることを特徴とする。
第6発明は、第1又は第2発明において、前記介装構造体は、上記ボルトの軸が貫通される孔から周端に向けて傾斜され、その周端に形成された頂部を介して前記第1部材の表面に接触されていることを特徴とする。
第7発明は、第1〜第6の何れかの発明において、前記介装構造体は、その頂部、又は頂部及びその近傍の硬度がより高く形成されていることを特徴とする。
第8発明は、第7発明において、前記介装構造体は、その頂部の硬度がより高く形成され、当該頂部を除くより低硬度の胴体部が上記締結力に基づいて外側に向けて膨出されて上記貫通孔に近接又は接触させてなることを特徴とする。
第9発明は、第1〜第8の何れかの発明において、前記介装構造体の周端と、前記貫通孔との間には硬化材が注入されていることを特徴とする。
上述した構成からなる本発明によれば、地震による振動が構造物に加わった場合、面材は、壁枠に対して相対的に水平方向に向けて、換言すれば面材の面内方向に向けて振動、変位することとなる。かかる場合に、面材及びこれに連結されている第2部材、更にはこの第2部材に嵌め込まれる介装構造体は、壁枠に連結されている第1部材に対して相対的に変位していくこととなる。実際には、この介装構造体における貫通孔に挿入されているボルトの軸が、第1部材における水平長孔を、その地震に応じて水平方向に往復振動することとなる。このとき介装構造体は、第1部材の表面に押圧されている状態になっているが、このようなボルトの軸による水平長孔中の水平変位に応じて、介装構造体が第1部材の表面上を摺動することとなる。即ち、介装構造体が第1部材に押圧された状態で紙面奥行き方向及び紙面手前方向に向けて交互に摺動することとなる。その結果、第1部材の表面とこれに対して押圧する介装構造体との間で互いに摩擦が作用することとなる。そして、この摩擦に応じて地震による振動エネルギーが摩擦減衰によって吸収されることとなる。
従って本発明は、大地震等による振動エネルギーを十分に吸収することが可能な接合構造100として具現化することが可能となる。
特に本発明によれば、締結部材による締結力が負荷された場合には、延性の高い介装構造体が上下方向に収縮されることとなり、その結果、外側に向けて膨出しようとする力が作用することとなる。この介装構造体の上下方向の収縮が更に強まることにより、介装構造体の周端が外側に向けて膨出され、貫通孔の内周面に近接又は接触されることとなる。このため、介装構造体の周端と貫通孔の内周面との間隔を狭めることができ、ひいては限りなく0に近づけ、或いは接触させることが可能となる。このようにして、介装構造体を外側に向けて変形させて貫通孔の内周面に近接又は接触させることにより、地震時の振動に応じて即座に荷重が負荷される構成とすることができ、耐震性能を好適に発揮させること可能となる。
本発明を適用した部材間の接合構造の斜視図である。 本発明を適用した部材間の接合構造の側面図である。 本発明を適用した部材間の接合構造の詳細な側面図である。 介装構造体と、貫通孔との間に硬化材が注入される例について説明するための図である。 荷重−変形曲線上に示される挙動α、挙動βを示す図である。 本発明を適用した部材間の接合構造の作用効果について説明するための図である。 第1部材を先に柱体に取り付ける例を示す図である。 図7の形態を実際に応用し、第1部材を上下フランジとしたウェブを柱体に取り付ける例を示す図である。 介装構造体を2層構造で構成した例を示す図である。 第1部材の孔について、介装構造体の貫通孔よりも径大となるように構成した例を示す図である。 介装構造体の表面に摩擦係数の高い被覆材料を被覆した例を示す図である。 本発明を適用した接合構造の他の実施形態について説明するための図である。 他の実施形態に適用される介装構造体の拡大斜視図である。 本発明を適用した接合構造の他の実施形態の作用効果について説明するための図である。 介装構造体につき、少なくとも頂部について焼き入れ処理を施すことにより、介装構造体の胴体部よりも頂部を高硬度に形成した例を示す図である。 本発明を適用した接合構造の他の実施形態について、第1部材を先に柱体に取り付ける例を示す図である。 本発明を適用した部材間の接合構造を柱体間の接合に使用する場合における斜視図である。 本発明を適用した部材間の接合構造を柱体間の接合に使用する場合における側断面図である。
以下、本発明を適用した部材間の接合構造100を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した接合構造100は、図1に示すような柱体41と梁42の接合構造に適用される。この接合構造100において、略鉛直方向に立設されたいわゆる鋼管柱としての柱体41には、第2部材26が、面内方向が水平方向となるように延長されている。また、梁42は、ウェブ44の上端において、フランジを構成する第1部材43aが取り付けられ、ウェブ44の下端において、同じくフランジを構成する第1部材43bがそれぞれ取り付けられる。
図2は、本発明を適用した接合構造100の断面図であり、図3は、かかる接合構造100の詳細な断面図を示している。
第1部材43a、43bは、ウェブ44に対して面内方向が水平方向となるように外側に延長されている。第1部材43a、43bには、それぞれ孔101が形成されている。各孔101には、ボルト63の軸が挿通される。第1部材43は、鋼板、アルミニウム板、ステンレス板、真鍮板等のようにあらゆる種類の金属製の板材で構成されている。
第2部材26は、柱体41に対して溶接により固定される。この第2部材26は、柱体41に対して梁42が接合される前において、先に柱体41に固定される。第2部材26は、詳細には、第2部材26aとこれに対して下方に離間して取り付けられる第2部材26bとからなる。この第2部材26aと、第2部材26bとの間に、梁42を構成する第1部材43が介装されることとなる。
第2部材26a、26bには、貫通孔33が形成されている。この貫通孔33には、それぞれ介装構造体62が嵌め込まれる。介装構造体62は、低降伏点鋼、アルミニウム、銅合金、鉛合金、すず合金、ベリリウム合金、ニッケル合金、亜鉛合金、銀合金等の延性金属等で構成されている。この介装構造体62は、延性金属以外に、例えばゴム、樹脂板等のような弾性変形又は塑性変形が容易ないかなる材料により構成されていてもよい。この介装構造体62の平面外形及びサイズは、これが嵌め込まれる第2部材26の貫通孔33の平面形状、サイズに応じたものとなっている。即ち、貫通孔33が円形であれば、介装構造体62の平面形状は、貫通孔33よりも径小とされた円形状とされている。同様に貫通孔33が角形状であれば、介装構造体62の平面形状も当該貫通孔33よりも僅かに縮径された同様の角形状となる。
この介装構造体62は、第2部材に形成された貫通孔33よりも径小とされていることにより、介装構造体62の周端と貫通孔33の内周面との間には間隙が形成されることとなる。なお、この介装構造体62は、貫通孔33に対してほぼ隙間無く嵌合されるものであってもよい。
第1実施形態
このような介装構造体62を第1部材43に対して接触させた場合、この介装構造体62の接触面が第1部材43に対して面接触されることとなる。介装構造体62の板厚は、いかなるもので構成されていてもよいが、図2の例では、第2部材26a、26bの表面から突出しない程度の厚みとされている。また図3の例では、第2部材26a、26bの表面から突出する程度の厚みとされている。
ボルト63は、その軸が介装構造体62における貫通孔62d、第1部材43における孔101にそれぞれ挿通されている。このボルト63の軸先端は、ナット64により螺着されている。このようなボルト63とナット64による締め付けを行うことで、ボルト63の頭部からの圧縮力がボルト63の頭部とナット64との間で発生する圧縮力は、第2部材26aにおける介装構造体62、第1部材43、第2部材26bにおける介装構造体62を介して伝達されることとなる。特に介装構造体62は、その接触面が第1部材43に対して面接触される状態にあることから、上述した圧縮力が負荷された場合には、第1部材43に対して面圧が負荷されることとなる。
その結果、介装構造体62から第1部材43の両面に対して局所的に押圧力が負荷された状態で固定することが可能となる。なお、ボルト63とナット64との間でいわゆる高力ボルト接合を行うようにしてもよい。また、上述した例では、ボルト63を下側から挿入してそのネジ部を上側からナット64により螺着する場合を例にとり説明をした。つまりボルト63を下側から、またナット64を上側から取り付ける場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではなく、ボルト63を上側から、ナット64を下側から取り付けるようにしてもよい。
なお、図4に示すように、介装構造体62と、貫通孔33との間には硬化材169が注入されていてもよい。この硬化材169は、例えば低粘度のエポキシ材や、無機系の液体等、液状に近い状態から硬質化する材料で構成されている。このような硬化材169が、介装構造体62の周端と、貫通孔33との間に充填されていることにより、仮に介装構造体62と、貫通孔33との間に隙間が形成されていた場合にこれを埋めることができる。その結果、介装構造体62が第1部材43の表面上を摺動する際において、介装構造体62が貫通孔33内において動いてしまうのを防止できる。
また、本発明によれば、介装構造体62の径が貫通孔33の内径よりも径小とされているため、介装構造体62の周端と、貫通孔33の内周面との間に間隔が生じることとなる。このため、介装構造体62を貫通孔33内に嵌め込む際には、このような間隔がいわゆるクリアランスとしての役割を果たすこととなり、嵌め込み作業性を向上させることができる。
一方、このような介装構造体62の径を貫通孔33の内径よりも径小とした形態の下で地震時に水平方向の振動が加わった場合には、介装構造体62が貫通孔33内において往復移動することになる。即ち、図5に示す荷重−変形曲線において挙動βを示すこととなる。この挙動βは、地震による水平方向の振動が加わった場合において、先ずは介装構造体62が貫通孔33内を移動する際には特に荷重Pが負荷されず、変形δのみが生じることとなる。ちなみに、この図5の例では介装構造体62の径が貫通孔33の内径よりも0.2mm径小とされている場合を例にとり説明をする。介装構造体62が貫通孔33の内周面に接触して初めて荷重Pが負荷されることとなる。
このような挙動βでは、実際に荷重Pが負荷されるまで変形δがある程度必要となることから、建造物において期待されている耐震性能を好適に発揮することができない場合が多々ある。従って、耐震性能の面からは、介装構造体62の周端と貫通孔33の内周面との間隔が0に近い状態とされていることで、荷重が負荷された場合に挙動αの如く、即座に荷重が負荷される構成とすることにより、耐震性能を好適に発揮させることができる。
本発明では、介装構造体62の径を貫通孔33の内径よりも径小とすることにより、嵌め込み作業性を向上させるとともに、図5に示すところの挙動αと同様の機能を発揮させる構成としている。即ち、ボルト63とナット64とによる締結力が図6(a)に示す矢印方向に向けて負荷された場合には、延性の高い介装構造体62が上下方向に収縮されることとなり、その結果、外側に向けて膨出しようとする。この介装構造体62の上下方向の収縮が更に強まることにより、図6(b)に示すように実際にこの介装構造体62の周端が外側に向けて膨出され、貫通孔33の内周面に近接又は接触されることとなる。このため、介装構造体62の周端と貫通孔33の内周面との間隔を狭めることができ、ひいては限りなく0に近づけ、或いは接触させることが可能となる。
このようにして、介装構造体62を外側に向けて変形させて貫通孔33の内周面に近接又は接触させることにより、荷重が負荷された場合に図5に示す挙動αの如く、即座に荷重が負荷される構成とすることができ、耐震性能を好適に発揮させることも可能となる。
また図7は、第1部材43を先に柱体41に取り付ける例を示している。第2部材26a、26bは、柱体41には取り付けられることなく、梁部材301に添接されることとなる。この図7においても上述した図3と同一の構成要素、部材に関しては同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
図8は、この図7の形態を実際に応用し、第1部材43を上下フランジとしたウェブ302を柱体41に取り付ける。このウェブ302には、添接板402が添接されている。また、梁部材301を上下フランジとしたウェブ44を構成し、これに添接板401を添接する。ちなみに添接板401、402は金属製の板で構成され、その添接方法としては、例えば溶接等により取り付けられる。
第1部材43を上下フランジとしたウェブ302を柱体41に取り付けた後、梁部材301を上下フランジとしたウェブ44をほぼ水平方向から近づける。そして、梁部材301に取り付けられている第2部材26a、26b間に第1部材43を挟み込む。このとき、ウェブ44には、第1部材43側に向けて切欠410が形成されている。この切欠410には、第2部材26a、26bが挿入されることとなる。その後、上述した介装構造体62を貫通孔33に嵌め込み、この第1部材43に接触させてボルトにより固定する。また添接板401、402は、それぞれ相手側のウェブ44,302に取り付けられることとなる。
なお、第1部材43を上下フランジとしたウェブ302に対して、梁部材301を上下フランジとしたウェブ44を水平方向から近接させることにより取り付ける場合に限定されるものではない。例えば、上から見た場合に、この梁部材301を上下フランジとしたウェブ44のほぼ中央を回転中心とし、当該ウェブ44を回転させることにより、取り付けるようにしてもよい。このとき、ウェブ44を回転すると、ちょうど切欠410に第2部材26a、26bが挿入され、しかも介装構造体62がちょうど孔101と整合する位置に調整されていることが前提となる。
また、この図8の形態は、図3に示すように第2部材26を先に柱体41に取り付ける場合においても適用可能であることは勿論である。
なお、この第1の実施形態は、上述した例に限定されるものではない。図9(a)は、介装構造体62を2層構造で構成した例を示している。この例では、介装構造体62について、第1部材43へ接触する第1層62aと、ボルト63及びナット64へ接触する第2層62bとにより構成した例を示している。ちなみに、第2層62bがボルト63及びナット64へ接触することの意味するところは、図示しないワッシャー111を介してボルト63及びナット64等の締結部材に接触することも含まれる。
ここで、第1部材43と第1層62aとは、互いに異種材料で構成されている。これにより、上述した異種材料接触状態でこれらを互いに褶動させることもできる。即ち、この異種材料接触状態は、第1部材43と第1層62aとを構成する材料が異なるものであれば、いかなるものであってもよい。これにより、上述した摩擦抵抗力をより効果的に作用させることが可能となる。特に第1部材43を鉄板、鋼板等で構成し、第1層62aをアルミニウム板や、アルミニウム合金、銅合金、青銅、ステンレス等からなる板材で構成することで、両者間でより好適な異種材料接触状態を形成させることが可能となる。このとき、第1部材43及び第1層62aのそれぞれの接触面が少なくとも異種材料で構成されていてもよい。
また、第2層62bは、第1層62aよりも延性の高い材料で構成されている。この第2層62bは、上述した低降伏点鋼、アルミニウム、銅合金、鉛合金、すず合金、ベリリウム合金、ニッケル合金、亜鉛合金、銀合金等の延性金属等で構成されている。この介装構造体62は、延性金属以外に、例えばゴム、樹脂板等のような弾性変形又は塑性変形が容易ないかなる材料により構成されていてもよい。
第1層62aと第2層62bとの接合方法としては、超音波接合、スポット溶接、粘着、接着、かしめ等により接合を行うようにしてもよいし、互いに接合することなく単に接触されているのみで構成されていてもよい。
このような構成においても、ボルト63とナット64とによる締結力が負荷された場合には、図9(b)に示すように、延性の高い第2層62bが上下方向に収縮されることとなり、その結果、外側に向けて膨出しようとする力が作用することとなる。この第2層62bの上下方向の収縮が更に強まることにより、第2層62bの周端が外側に向けて膨出され、貫通孔33の内周面に近接又は接触されることとなる。このため、第2層62bの周端と貫通孔33の内周面との間隔を狭めることができ、ひいては限りなく0に近づけ、或いは接触させることが可能となる。このようにして、第2層62bを外側に向けて変形させて貫通孔33の内周面に近接又は接触させることにより、荷重が負荷された場合に図5に示す挙動αの如く、即座に荷重が負荷される構成とすることができ、耐震性能を好適に発揮させることも可能となる。
つまり、この図9の構成によれば、第2層62bの膨出により、効果的に支圧伝達させることができる。
また図10(a)の形態は、第1部材43の孔101について、介装構造体62の貫通孔62dよりも径大となるように構成した例を示している。介装構造体62は、ボルト63とナット64とによる締結力が負荷された場合には、図10(b)に示すように第1部材43の孔101内に介装構造体62が凸出された凸出部262が形成される。この凸出部262は、介装構造体62における孔101に対面している領域であり、上述した締結力に応じて介装構造体62が孔101内に押し出されてあたかも凸状に凸出されたものである。
このような凸出部262が形成されることにより、水平方向に地震動が加わった場合において、この凸出部262が孔101に対して水平方向に引っ掛かり、変形を抑えるように作用することとなる。特に介装構造体62を延性材料で構成することにより、このような締結力に応じた凸出が比較的に容易に実現できる。なお、この図10に示す形態によれば、介装構造体62と、貫通孔33との間に間隙が形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
また図11の形態は、介装構造体62の表面に摩擦係数の高い被覆材料264を被覆した例を示している。被覆材料264は、電気めっき、溶融亜鉛めっき等を施すものであってもよいし、アルミニウムや銅等をめっきするか又はコーティングするようにしてもよい。即ち、この被覆材料264は、アルミニウム合金又は銅合金で構成されているが、これに限定されるものではなく、いかなる材料で構成されていてもよい。
この形態によれば介装構造体62は、上述した延性材料により構成されていることにより、上述した締結力に応じて介装構造体62の周端と貫通孔33の内周面とを近接又は接触させることができる点は上述と同様である。これに加えて、摩擦係数の高い被覆材料264が第1部材43に接触することにより、互いの摩擦係数の相違により、摩擦力をより強く作用させることができ、より摩擦伝達を働かせることが可能となる。
第2実施形態
以下、本発明を適用した接合構造の第2実施形態について説明をする。図12は、第2実施形態の側断面図であり、図13は、第2実施形態における介装構造体62の拡大斜視図を示している。この第2実施形態において適用される介装構造体62は、ちょうど中央の貫通孔62dから周端に形成される頂部163に向けて肉厚が厚くなるように傾斜された傾斜面162が形成されていている。この傾斜面162は、第1部材43に対面する側とされている。即ち、傾斜面162は、第1部材43の表面に対して非平行なものとされている。頂部163は、断面が略鋭角状とされている。この傾斜面は、頂部163がちょうど介装構造体62の周端に位置するように形成されている。
このような介装構造体62を第1部材43に対して接触させた場合、この介装構造体62における周端に形成された頂部163が第1部材43に対して線接触されることとなる。ちなみに頂部163は、介装構造体62の周端に形成される場合に限定されるものではなく、その周端から貫通孔62dの間において形成されるものであってもよい。また、この頂部163は、貫通孔62dの近傍において形成されるものであってもよい。
更に、この介装構造体62の板厚は、いかなるもので構成されていてもよいが、図12の例では、第2部材26a、26bの表面から突出しない程度の厚みとされていてもよい。介装構造体62の板厚は、第2部材26a、26bの表面から突出する程度の厚みとされていてもよい。ちなみに、この介装構造体62は、貫通孔33に対してほぼ隙間無く嵌合されている場合以外に、遊びを持たせた状態で遊嵌させるようにしてもよい。かかる場合には、この介装構造体62の径は、貫通孔33の内径よりも径小とされていることが前提となる。
ボルト63及びナット64の構成は、第1実施形態と同様であるため、以下での説明を省略するが、特に介装構造体62は、その周端に形成されている頂部163が第1部材43に対して線接触される状態にあることから、上述した圧縮力が負荷された場合には、その頂部163に応力が集中することとなり、その結果、かかる頂部163を介して第1部材43に対して局所的に大きな応力が負荷され、頂部163が第1部材43に対してめり込むこととなる。
その結果、介装構造体62から第1部材43の両面に対して局所的に押圧力が負荷された状態で固定することが可能となる。なお、ボルト63とナット64との間でいわゆる高力ボルト接合を行うようにしてもよい。
次に上述した構成からなる本発明における作用について説明をする。
本発明によれば、第1部材43に対して介装構造体62の周端に形成された頂部163を介して接触させている。この頂部163は、断面が略鋭角状とされており、その頂部163を介して第1部材43に対して線接触される状態にある。このため、ボルト63を介して圧縮力が負荷された場合には、その頂部163に応力が集中し、第1部材43に対して局所的に大きな応力が負荷され、場合により頂部163を第1部材43にめり込ませることが可能となる。かかる状態の下で、上述したように介装構造体62の頂部163が第1部材43の表面上を摺動した場合、第1部材43の表面とこれに対して押圧する介装構造体62の頂部163との間でより大きな互いに摩擦が作用することとなる。特に頂部163が第1部材43にめり込んでいることで、その摩擦力をより大きなものにすることができる。そして、この摩擦に応じて荷重の負荷による変形エネルギーが摩擦伝達によってより多く吸収されることとなる。
なお、この形態においても、介装構造体62と、貫通孔33との間には硬化材169が注入されていてもよいことは勿論である。
図14(a)は、介装構造体62の径を貫通孔33の内径よりも径小とした場合の例である。介装構造体62の径が貫通孔33の内径よりも径小の場合には、介装構造体62の周端と、貫通孔33の内周面との間に間隔が生じることとなる。このため、介装構造体62を貫通孔33内に嵌め込む際には、このような間隔がいわゆるクリアランスとしての役割を果たすこととなり、嵌め込み作業性を向上させることができる。これに加えて頂部163が周端に形成されている介装構造体62を設けることにより、ボルト63とナット64による締結力に基づいて、図14(b)に示すように介装構造体62の頂部163が外側に向けて変形することとなる。その結果、外側に向けて変形した頂部163は、第1部材43内にめり込むこととなる。その結果、介装構造体62の周端は、第2部材26a、26bに設けられた貫通孔33の内周面に接触することとなる。このとき、貫通孔33の内周面に対して介装構造体62の周端が接触されている場合に限定されるものではなく、少なくともこの内周面に近接するものであればよい。この図14に示すような接触形態も、第1実施形態と同様に、介装構造体62の周端を外側に向けて膨出させて貫通孔33の内周面に近接又は接触させている形態といえる。このため、介装構造体62の周端と貫通孔33の内周面との間隔を狭めることができ、ひいては限りなく0に近づけることが可能となる。
このようにして、介装構造体62の頂部163を外側に向けて変形させて貫通孔33の内周面に近接又は接触させることにより、負荷がかかった場合において図5に示す挙動αの如く支圧伝達が生じ、即座に荷重が負荷される構成とすることができ、耐震性能を好適に発揮させることも可能となる。
図15(a)の形態では、介装構造体62につき、少なくとも頂部163について焼き入れ処理を施すことにより、介装構造体62の胴体部よりも頂部163、又は頂部163及びその近傍を高硬度に形成した例を示している。以下の例では、頂部163を高硬度に形成した場合を例にとり説明をする。これにより、ボルト63とナット64とによる締結力が図15(b)中の矢印方向に向けて負荷された場合に頂部163は高硬度とされているため、潰れることなく外側に向けて変形していくこととなる。これに対して、頂部163よりも低硬度とされたこの介装構造体62の胴体部は、かかる矢印方向の締結力が負荷された場合に、外側に膨出させることが可能となる。特にこの介装構造体62を低降伏点鋼、アルミニウム、銅合金、鉛合金、すず合金、ベリリウム合金、ニッケル合金、亜鉛合金、銀合金等の延性金属等で構成されていてもよい。
なお、この頂部163は焼き入れにより高硬度とされる以外に、他のいかなる手法により介装構造体62の胴体部よりも高硬度とされていてもよい。例えば介装構造体62の胴体部よりも異種の材料、しかも胴体部よりも高硬度の材料で構成されていてもよい。かかる場合には、この介装構造体62の胴体部は、上述した延性金属以外に、ゴム、樹脂等を始めとしたいかなる軟性材料で構成されていてもよい。
このような図15の形態によれば、頂部163に加え、膨出された介装構造体62の胴体部を介して貫通孔33の内周面との間隔を狭めることが可能となる。その結果、荷重が負荷された場合に図5に示す挙動αの如く、即座に荷重が負荷される構成とすることができ、耐震性能を好適に発揮させることも可能となる。
また図16は、第1部材43を先に柱体41に取り付ける例を示している。第2部材26a、26bは、柱体41には取り付けられることなく、梁部材301に溶接されることとなる。この図16においても上述した図12と同一の構成要素、部材に関しては同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
また、第2実施形態においても、図8に示すような接合形態を採用してもよいことは勿論である。
なお本発明は、図17に示すような、例えば柱体41間の接合構造110に対して適用するようにしてもよい。この柱体41間の接合構造110において、上述した接合構造100と同一の構成要素、部材については、同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。
図18は、接合構造110における拡大断面図を示している。下段の柱体41に上端に取り付けられているプレート141は、梁のフランジ等に取り付けるために設けられる。このプレート141の上面には、第2部材142a、142bが、面内方向が鉛直となるように延長されている。
第1部材143は、管体により構成される上段の柱体41である。第1部材143は、第1部材143は、離間して取り付けられる第2部材26bとからなる。第2部材142a、142b間に、第1部材143が介装されることとなる。
第2部材142a、142bには、貫通孔33が形成されている。この貫通孔33には、それぞれ介装構造体62が嵌め込まれる。ちなみに介装構造体62は、図13の拡大斜視図に示すように、ちょうど中央の貫通孔62dから頂部163に向けて傾斜面162が形成され、当該頂部163は、断面が略鋭角状とされている。このような介装構造体62を第1部材143に対して接触させた場合、この介装構造体62における頂部163が第1部材143に対して線接触されることとなる。ちなみに、この形態においては介装構造体62と貫通孔33の内周面はほぼ隙間が無い状態とされている。
ボルト63は、その軸が介装構造体62における貫通孔62d、第1部材143における孔101にそれぞれ挿通されている。このボルト63の軸先端は、ナット64により螺着されている。このようなボルト63とナット64による締め付けを行うことで、ボルト63の頭部からの圧縮力がボルト63の頭部とナット64との間で発生する圧縮力を伝達することが可能となる。
このような接合構造110によれば、第1部材143に対して介装構造体62の頂部163を介して接触させている。この頂部163は、断面が略鋭角状とされており、その頂部163を介して第1部材143に対して線接触される状態にある。このため、ボルト63を介して圧縮力が負荷された場合には、その頂部163に応力が集中し、第1部材143に対して局所的に大きな応力が負荷され、更には頂部163が第1部材143に対してめり込んでいくこととなる。かかる状態の下で、荷重が構造物に加わり、梁42が柱体41に対してめり込んだ場合、第1部材143の表面とこれに対して押圧する介装構造体62の頂部163との間でより大きな互いに摩擦が作用することとなる。そして、この摩擦に応じて荷重が負荷された場合に摩擦伝達によってより多く吸収されることとなる。これに加えて、この介装構造体62を例えば四角形状に構成し、またこれが嵌め込まれる貫通孔33についても同様に四角形状に構成するようにしてもよい。これにより、貫通孔33に介装構造体62を嵌め込んだ上でこれをボルト63により固定する際に、介装構造体62がとも回りしてしまうのを防止することが可能となる。
このような接合構造110において、上述した接合構造100において説明した各種形態の何れかを適用してもよいことは勿論である。また、このような接合構造110は、第2実施形態のみならず、第1実施形態において適用されるようにしてもよいことは勿論である。
26、142 第2部材
33 貫通孔
41 柱体
42 梁
43、143 第1部材
44 ウェブ
62 介装構造体
63 ボルト
64 ナット
100 接合構造
101 孔
110 接合構造
111 ワッシャー
141 プレート
162 傾斜面
163 頂部
169 硬化材
262 凸出部
264 被覆材料
301 梁部材
302 ウェブ
401 添接板
402 添接板
410 切欠

Claims (9)

  1. 孔が形成される第1部材と、
    貫通孔が形成され、前記第1部材よりも先に構造体に固定される第2部材と、
    前記第2部材に形成された前記貫通孔よりも径小とされ、当該貫通孔に嵌め込まれ、前記第1部材の表面に対して接触された状態とされる介装構造体と、
    少なくとも前記介装構造体及び前記第1部材の孔にボルトの軸を貫通させることによりこれらを締結する締結部材とを備え、
    前記介装構造体は、前記締結部材による締結力に基づいてその周端が外側に向けて膨出されて前記貫通孔の内周面に近接又は接触させてなること
    を特徴とする部材間の接合構造。
  2. 貫通孔が形成される第2部材と、
    前記第2部材よりも先に構造体に固定され、孔が形成される第1部材と、
    前記第2部材に形成された前記貫通孔よりも径小とされ、当該貫通孔に嵌め込まれ、前記第1部材の表面に対して接触された状態とされる介装構造体と、
    少なくとも前記介装構造体及び前記第1部材の孔にボルトの軸を貫通させることによりこれらを締結する締結部材とを備え、
    前記介装構造体は、前記締結部材による締結力に基づいてその周端が外側に向けて膨出されて前記貫通孔の内周面に近接又は接触させてなること
    を特徴とする部材間の接合構造。
  3. 前記介装構造体は、前記第1部材の表面に対して接触される第1層と、上記第1層と上記締結部材との間に介装され、前記第1層よりも延性の高い材料で構成され、前記締結部材による締結力に基づいてその周端が外側に向けて膨出する第2層とを有していること
    を特徴とする請求項1又は2記載の部材間の接合構造。
  4. 前記第1部材の孔は、前記介装構造体の孔よりも径大となるように構成され、
    前記介装構造体は、前記締結部材による締結力に基づいて、前記第1部材の孔内に凸出されること
    を特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項記載の部材間の接合構造。
  5. 前記介装構造体は、当該介装構造体よりも摩擦係数の高い材料により被覆されていること
    を特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項記載の部材間の接合構造。
  6. 前記介装構造体は、上記ボルトの軸が貫通される孔から周端に向けて傾斜され、その周端に形成された頂部を介して前記第1部材の表面に接触されていること
    を特徴とする請求項1又は2記載の部材間の接合構造。
  7. 前記介装構造体は、その頂部、又は頂部及びその近傍の硬度がより高く形成されていること
    を特徴とする請求項1〜6のうち何れか1項記載の部材間の接合構造。
  8. 前記介装構造体は、その頂部の硬度がより高く形成され、当該頂部を除くより低硬度の胴体部が上記締結力に基づいて外側に向けて膨出されて上記貫通孔に近接又は接触させてなること
    を特徴とする請求項7記載の部材間の接合構造。
  9. 前記介装構造体の周端と、前記貫通孔との間には硬化材が注入されていること
    を特徴とする請求項1〜8のうち何れか1項記載の部材間の接合構造。
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