JP2016118050A - 建築物の上下変位自在な制振壁構造 - Google Patents

建築物の上下変位自在な制振壁構造 Download PDF

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Abstract

【課題】建築物の非耐力壁にも適用可能で、簡単な構成で安価で耐久性があり、振動の減衰機能にも優れた建築物の制振壁構造を提供する。【解決手段】建築物Xの制振壁構造であって、建築物Xの壁を構成する面材(板ガラス2)と、この面材(板ガラス2)に接合された第1プレート3と、この第1プレート3に接合された第2プレート4と、建築物Xの振動を抑える制振ダンパー6と、を備え、面材(板ガラス2)は、第2プレート4が建築物Xの構造躯体(支持アングル5)に取り付けられることにより、第1プレート3と第2プレート4を介して構造躯体(支持アングル5)に取り付けられており、第1プレート3と第2プレート4との接合、又は第2プレート4と構造躯体(支持アングル5)との接合のいずれか一方の接合は、制振ダンパー6を介して水平変位自在に接合され、他方の接合は、上下変位自在に接合されている。【選択図】図2

Description

本発明は、上下変位自在とすることによりカーテンウォールなどの建築物の非耐力壁にも適用可能な建築物の上下変位自在な制振壁構造に関するものである。
従来、建築物の壁に適用される制振壁構造としては、摩擦ダンパーや鋼材ダンパーなどの履歴ダンパー(変位依存型ダンパー)、オイルダンパーや粘性ダンパー、粘弾性ダンパーなどの速度依存型ダンパー等を用いた種々の制振壁構造が知られている。また、これらの異種のダンパーを組み合させた複合ダンパー構造も知られており、設置タイプとしても、シアリンク型、トグル型、ブレース型、間柱型、壁型、ステップカラム型等種々のタイプのダンパー構造が提案されている。
例えば、木造建築物に適用したものとして、特許文献1には、木造軸組構造の壁部分に適用する木造建築用制振装置1であって、柱、土台BS、梁BMを含む軸組部材に囲まれる領域に内挿される、木製の枠材5と、枠材5に取り付けられる木質壁面材4と、2枚の金属板9A,9Bで挟まれた粘弾性体8により構成されるエネルギー吸収材7とを有する。本発明では、複数のエネルギー吸収材7を枠材5と木質壁面材4との間に並べて配置し、枠材5および木質壁面材4に対しエネルギー吸収材7の金属板9A,9Bを接着剤により接合し、エネルギー吸収材7の粘弾性体8により振動エネルギーを吸収させるようにした木造建築用制振装置1が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0011]〜[0018]、図面の図5、図6等参照)。
しかし、特許文献1に記載の木造建築用制振装置1は、耐力壁に適用されるものであり、壁面材4は、構造用合板や構造用パネル等でなければならず、割れ易い板ガラス等を採用することができなかった。そのため、大きな採光窓を採用し難いという意匠設計上の制約が課せられるうえ、建築物のすべての壁に制振ダンパーを適用することができず、規模の小さい戸建ての住宅等では、建物全体として制振装置を組み込んだ壁の長さが足りず、その結果、制振機能も足りないという問題があった。
また、RC造の建築物に適用したものとして、特許文献2には、地震や風等の外乱による建物の応答を低減する減衰機構20と、入力の大きさを制限する制限機構30と、減衰機構20の有する減衰性能に応じた強度と剛性を有しているガラス板11で構成された壁体部10を備えてなる制震壁1であって、減衰機構20は、天井スラブ3の下面と壁体部10の上面との間に、制限機構30は床スラブ4の上面と壁体部10の下面との間にそれぞれ設置されている制震壁1が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1〜3、明細書の段落[0019]〜[0028]、図面の図1、図2等参照)。
しかし、特許文献2に記載の制震壁1は、水平力に対して減衰機構20や制限機構30で対抗することができるとしても、地震力等が直接作用する構造材である壁の構面内に面材であるガラス板11等が嵌め込まれている関係上、面材であるガラス板11等にかなりの強度と剛性が求められ、高価なものにならざるを得ないという問題があるうえ、天井スラブ3や床スラブ4に曲げ応力が作用した場合に、ガラス板11等が破損するおそれがあるという問題があった。
特開2005−290819号公報 特開2006−161338号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、建築物の非耐力壁にも適用可能で、簡単な構成で安価で耐久性があり、振動の減衰機能にも優れた建築物の制振壁構造を提供することにある。
第1発明に係る建築物の上下変位自在な制振壁構造は、建築物の制振壁構造であって、前記建築物の壁を構成する面材と、この面材に接合された第1プレートと、この第1プレートに接合された第2プレートと、前記建築物の振動を抑える制振ダンパーと、を備え、前記面材は、前記第2プレートが前記建築物の構造躯体に取り付けられることにより、第1プレートと第2プレートを介して前記構造躯体に取り付けられており、前記第1プレートと前記第2プレートとの接合、又は前記第2プレートと前記構造躯体との接合のいずれか一方の接合は、前記制振ダンパーを介して水平変位自在に接合され、他方の接合は、上下変位自在に接合されていることを特徴とする
第2発明に係る建築物の上下変位自在な制振壁構造は、第1発明において、前記一方の接合及び/又は前記他方の接合は、長孔又は長溝を介して接合されることにより、水平変位自在及び/又は上下変位自在に接合されていることを特徴とする。
第3発明に係る建築物の上下変位自在な制振壁構造は、第2発明において、前記制振ダンパーは、摩擦ダンパーであり、前記第1プレートには、水平方向に前記長孔又は長溝が形成されているとともに、前記第2プレートには、上下方向に前記長孔又は長溝が形成され、前記第1プレートと前記第2プレートとの接合が、前記摩擦ダンパーを介して水平変位自在に接合され、前記第2プレートと前記構造躯体との接合が、上下変位自在に接合されていることを特徴とする。
第4発明に係る建築物の上下変位自在な制振壁構造は、第1発明ないし第3発明のいずれかの発明において、前記面材は、板ガラスであることを特徴とする。
第5発明に係る建築物の上下変位自在な制振壁構造は、第1発明又は第4発明において、前記第1プレートと前記第2プレートとは、前記建築物に入力された水平力により前記第1プレート又は前記第2プレートのいずれかに作用する曲げモーメントの距離が一定となるように、横方向へ突出した当接突起を介して上下変位自在に接合されており、前記制振ダンパーは、前記当接突起を介して力が伝達されて曲げ降伏することで振動エネルギーを消費して振動を抑える金属ダンパーであることを特徴とする。
第1発明〜第5発明によれば、前記第1プレートと前記第2プレートとの接合、又は前記第2プレートと前記構造躯体との接合のいずれか一方の接合は、前記制振ダンパーを介して水平変位自在に接合され、他方の接合は、上下変位自在に接合されているので、構造躯体に支持されている面材には、地震力や風荷重による水平力や上下方向の大きな力が直接作用することがない。このため、非耐力壁にも制振壁構造を適用することができる。よって、建築物の多くの壁面に制振壁構造を備えることにより、建築物全体の制振機能を向上させることができ、風荷重による振動から大地震の震動まで常に振動を抑制することができるため、建築物の耐久性も向上させることができる。
また、第1発明〜第5発明によれば、簡単な構成で制振壁構造を実現しているため、多くの壁面に採用しても安価であるうえ、繰り返し使用しても損傷するおそれが少なく制振ダンパーとしても耐久性がある。
特に、第2発明、第3発明によれば、長孔又は長溝による簡単な機構により水平変位自在及び/又は上下変位自在としているため、前記作用効果に加え、さらに安価で耐久性があるものとすることができる。
特に、第4発明によれば、面材が板ガラスなので、制振壁から採光をとることができる。
特に、第5発明によれば、簡単な構成により、安定した降伏耐力が得られ、必要な振動の減衰機能を得ることができる。また、耐久性にも問題がなく、大地震後のメンテナンス等も鋼材を交換するだけであるため、簡便且つ容易である。
本発明の第1実施形態に係る建築物の制振壁構造の適用箇所を示す全体立面図である。 同上の制振壁構造を示す鉛直断面図である。 同上の制振壁構造を示す立面図である。 同上の制振壁構造の第1プレートを示す立面図である。 同上の制振壁構造の第2プレートを示す立面図である。 同上の第2プレートの別の実施形態を示す立面図である。 同上の第2プレートのさらに別の実施形態を示す立面図である。 本発明の第2実施形態に係る建築物の制振壁構造を示す鉛直断面図である。 同上の制振壁構造を示す立面図である。 本発明の第3実施形態に係る建築物の制振壁構造を示す鉛直断面図である。 同上の制振壁構造を示す立面図である。
以下、本発明に係る建築物の制振壁構造を実施するための一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
先ず、図1〜図7を用いて、本発明の第1実施形態に係る建築物の制振壁構造について、ラーメン構造のRC造の建築物Xの外壁に適用する場合を例示して説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係る建築物の制振壁構造である制振壁構造1は、建築物Xの構造躯体であるラーメン(フレーム)から外側へ突出する床スラブ間に非耐力壁であるカーテンウォールとして面材である板ガラス2を取り付ける際に適用したダンパー構造を例示したものであり、本実施形態では、板ガラス2の上部支持構造に適用されている。勿論、図示形態では、上下が逆で板ガラス2の下部支持構造に適用することもできる。
この制振壁構造1は、図2に示すように、面材である板ガラス2と、板ガラス2に接合された第1プレート3と、この第1プレート3に接合された第2プレート4と、この第2プレートに接合された構造躯体である支持アングル5と、建築物Xの振動を抑える制振ダンパー6など、から構成されている。
(板ガラス)
第1実施形態に係る板ガラス2は、ケイ酸塩を主成分とするフロート製法で製造された一般的なフロートガラスからなり、図1に示すように、立面視で上下方向を長手方向とする長方形状(矩形状)を呈し、上辺部21、左側辺部22、右側辺部23を有している。勿論、板ガラス2は、フロートガラスに限られず、網入りガラス、強化ガラス、熱線反射ガラスなど他の材質からなる板状のガラスであってもよく、ポリカーボネートやアクリル樹脂などの有機ガラスであってもよい。つまり、板ガラス2は、窓として機能する所定の剛性を有する透明又は半透明の面材であればよい。また、窓として使用しない場合は、光透過性や耐水性も要求されない。要するに、板ガラス2は、建築物Xの壁面を構成する面材であれば特に限定されるものではない。
この板ガラス2は、図2、図3に示すように、上辺部21が第1プレート3に接着材Bにより接着され、その第1プレート3が第2プレート4にボルトとナットBNによりボルト接合され、その第2プレート4が構造躯体である支持アングル5にボルトとナットBNによりボルト接合されることにより、第1プレート3と第2プレート4を介して構造躯体に支持されている。
なお、接着材Bは、面材とプレートの材質により、適宜選択すれば良いが、ガラスとステンレスなどの金属板とを接着する場合は、線膨張率の差の大きい異種材料の接着に好適なことから、シリコンシーラントなどのシリコン樹脂からなる弾性接着材が好ましい。
(第1プレート)
第1プレート3は、図2、図3に示すように、板ガラス2の上辺部21に沿って上辺部21を挟み込むように接着された表裏一対の同一形状の鋼板プレートであり、板ガラス2の上辺部21を挟持する機能を有している。本実施形態に係る第1プレート3は、防錆塗装された鋼板プレートであるが、耐食性を考慮するとステンレス鋼板が好ましく、溶融亜鉛メッキや電気メッキ、アルミ亜鉛合金メッキを施した耐食性鋼板を採用することもできる。但し、第1プレート3の材質については、特に限定されるものではなく、アルミニウム合金などの他の金属プレートやポリカーボネートなどの樹脂プレートであっても良い。要するに、第1プレート3は、板ガラス2を支持することができるだけの所定の耐久性と剛性等を有したプレート状の部材であればよい。
また、第1プレート3は、図4に示すように、水平方向を長手方向とする立面視で横長の長方形状(矩形状)であり、この第1プレート3の上部には、後述の介装構造体7を介装して第2プレート4と接合するための左右一対の2つの介装孔31、32が穿設されている。また、第1プレート3の下部には、前述のように板ガラス2が接着される。本実施形態に係る介装孔31、32は、円形の孔であるが、介装する介装構造体7の形状に応じた形状の貫通孔とすればよい。
また、第1プレート3は、表裏一対の2枚のプレートからなるものを例示したが、1枚のプレートからなるものでも代替可能である。但し、後述の介装構造体7で第2プレート4を挟持する点からは、第1プレート3は、表裏一対の2枚のプレートからなる方が好ましい。
(第2プレート)
第2プレート4は、図2、図3に示すように、板ガラス2の上辺部21に沿って一対の第1プレート3,3の間に介装されたステンレス鋼板からなるプレートであり、上部が構造躯体に支持されることで、第1プレート3及び板ガラス2を間接的に支持する機能を有している。第2プレート4の材質については、第1プレート3と同様に、特に限定されるものではなく、耐食性鋼板、アルミニウム合金などの他の金属プレートやポリカーボネートなどの樹脂プレートであっても良い。但し、後で詳述するが、第2プレート4の材質は、介装構造体7との摩擦係数が高いものが望ましい。
また、第2プレート4は、図5に示すように、水平方向を長手方向とする立面視で横長の長方形状(矩形状)であり、この第2プレート4の下部には、第1プレート3と水平変位自在、(即ち、相対的に水平方向(横方向)にスライド移動(摺動)自在)に連結するための長孔41、42が穿設され、上部には、構造躯体と上下変位自在(即ち、上下方向にスライド移動(摺動)自在)に連結するための、長孔43、44、45が穿設されている。
長孔41、42、43、44、45は、図6に示すように、孔の一端が第2プレート4の端部にまで達した長溝41’、42’、43’、44’、45’となっていても良く、長溝41’、42’は、図7に示すように、両溝が繋がって完全に2枚のプレートに分かれており、それらを別部材で連結した長溝41”、42”であっても構わない。このような長溝41’、42’、43’、44’、45’又は長溝41”、42”であっても、前述の長孔41、42、43、44、45の機能と同等の機能を発揮できることは明らかである。要するに、第1プレート3と第2プレート4とは、水平変位自在に連結され、第2プレート4と支持アングル5とは、上下変位自在に連結されていれば良い。
(支持アングル)
支持アングル5は、建築物Xの上階の床スラブに沿って取り付けられた山形鋼からなるL形アングルであり、第2プレート4とボルトとナットBNによりボルト接合されて第2プレート4及び第2プレート4に間接的に連結・支持された板ガラス2等を支持する構造躯体である。本実施形態に係る支持アングル5は、防錆塗装が施された鋼材からなるが、ステンレス鋼であっても構わないし、耐食性鋼板やアルミニウム合金などの他の金属製のL形アングルであっても構わない。
また、支持アングル5は、建築物Xの構造躯体である上階の床スラブに埋め込まれたプレートであっても良いし、梁や床スラブの段差から直接アンカーボルトで第2プレート4を接合して支持する形式でも構わない。要するに、第2プレート4や板ガラス2を支持することができる構造躯体であれば良い。
(制振ダンパー)
次に、図2、図3等を用いて、制振ダンパー6について説明する。制振ダンパー6は、主に、板ガラス2を挟持した表裏一対の第1プレート3と、この一対の第1プレート3に介装された第2プレート4と、第1プレート3の各介装孔31、32に介装された表裏一対計4つの介装構造体7と、この介装構造体7を弾性体の復元力で押圧する皿バネ8など、から構成されている。この制振ダンパー6は、締結部材であるボルトとナットBNで表裏一対の介装構造体7及び第1プレート3を、矩形の角ワッシャーW1と皿バネ8を介して締め付けることにより、介装構造体7間に第2プレート4を挟持して、その摩擦力で長孔41、42に沿って第1プレート3と第2プレート4とが相対的に水平変位するのを抑制して、建築物Xの水平方向の振動を低減するいわゆる摩擦ダンパーである。
勿論、制振ダンパー6は、鋼材ダンパーなどの他の履歴ダンパー(変位依存型ダンパー)でも構わないし、オイルダンパーや粘性ダンパー、粘弾性ダンパーなどの速度依存型ダンパーを採用することもできる。要するに、長孔41、42に沿って第1プレート3と第2プレート4とが相対的に水平変位するのを抑制することができるダンパーであれば良い。
(介装構造体)
介装構造体7は、図2に示すように、第1プレート3の厚みより厚いアルミニウム板からなるドーナツ状のアルミリングであり、第1プレート3との厚みの違いにより介装構造体7が常に第2プレート4と当接、摺動する仕組みとなっており、皿バネ8の復元力が、介装構造体7と第2プレート4との摩擦力に直結するようになっている。なお、介装構造体7は、鋼板、ステンレス板、真鍮板などのアルミニウム板以外の金属板、又は、ゴムなどの樹脂(レジン)とすることもできる。
要するに、本実施形態に係る制振ダンパー6では、ステンレス板からなる第2プレート4と、アルミニウム板からなる第2プレート4との間に摩擦力を発生させているので、ステンレス鋼板とアルミニウム板との組合せにより高い摩擦力(特に、動摩擦力)を発生させている。そのため、第2プレート4と介装構造体7との素材の構成が逆であっても構わないし、ステンレス鋼板とアルミニウム板との組合せではなく、動摩擦係数が高くなる異種金属板の組合せであっても構わない。
勿論、第2プレート4と介装構造体7との素材の組合せは、異種金属板の組合せに限られず、同種金属板の組合せや、金属板とゴムなどの樹脂(レジン)板との組合せ、樹脂同士の組み合わせでも代替可能である。要するに、摺動時に継続的に動摩擦係数が高くなる組合せであれば良い。
但し、異種金属板の組合せは、耐摩耗性等の耐久性が高く、繰り返し使用に耐え得るだけでなく、耐食性、耐候性に優れているため好ましい。特に、ステンレスとアルミニウムとの組み合わせは、動摩擦係数が高いため、振動エネルギーを摩擦の熱エネルギーとして効率よく消費して吸収することができる。
(第2プレートと支持アングルとの連結機構)
次に、図2、図3等を用いて、第2プレート4と支持アングル5との連結機構について説明する。第2プレート4と支持アングル5とは、長孔43、44、45に挿入されたボルトとナットBNによりドーナツ状の丸ワッシャーW2を介して連結されている。また、このボルトとナットBNには、円筒状の筒体9が嵌着されており、この筒体9の長さは、第2プレート4と支持アングル5の厚みを足した分の長さより長く設定されている。このため、構造躯体である支持アングル5に連結された第2プレート4は、長孔43、44、45に沿って上下変位自在となっている。
以上説明した第1実施形態に係る制振壁構造1によれば、第2プレート4と支持アングル5との連結が、長孔43、44、45に沿って上下変位自在となっているので、第2プレート4を介して支持アングル5に支持されている板ガラス2には、地震力や風荷重による水平力や上下方向の大きな力が直接作用することがない。このため、非耐力壁にも制振壁構造を適用することができる。よって、建築物の多くの壁面に制振壁構造を備えることにより、建築物全体の制振機能を向上させることができ、風荷重による振動から大地震の震動まで常に振動を抑制することができるため、建築物の耐久性も向上させることができる。
なお、第1実施形態に係る制振壁構造1において、介装構造体7や介装孔31、32としてドーナツ状、円形状のものを例示したが、矩形状や楕円状、長孔状などの他の形状でも構わない。要するに、介装構造体7において、第2プレート4を挟み込めれば、どのような形状でも適用することができる。
[第2実施形態]
次に、図8、図9を用いて、本発明の第2実施形態に係る建築物の制振壁構造について説明する。第2実施形態に係る建築物の制振壁構造である制振壁構造1’は、前述の第1実施形態に係る制振壁構造1と相違する点は、板ガラス2が2枚となった複層ガラスとなっている点であり、その点を主に説明し、同一構成は同一符号を付して説明を省略する。
制振壁構造1’は、面材である2枚の板ガラス2と、これらの板ガラス2に接合された4枚の第1プレート3と、この第1プレート3に接合された第2プレート4’と、この第2プレート4’に接合された構造躯体である支持アングル5と、建築物Xの振動を抑える制振ダンパー6’と、第1プレート3の上部に介装されてスペースを埋めるスペースプレート10など、から構成されている。
この第2プレート4’は、図8、図9に示すように、前述の第2プレート4と略同一構成で、相違する点は、ボルトとナットBNで連結した分、上下に少しだけ長くなっている点である。制振ダンパー6’は、前述の制振ダンパー6と略同一構成で、相違する点は、介装構造体7が倍の4つに増えており、摩擦力が向上した点である。
(スペースプレート)
スペースプレート10は、前述の第2プレート4と略同一材であり、第1プレート3が増えた分、第1プレート3と第1プレート3との間の上部のスペースを埋め、第1プレート3が、ボルトとナットBNの締め付けにより、曲がらないようにするためのプレートである。なお、図中の符号Kは、2枚の板ガラス2間のスペースを埋める緩衝材である。
制振壁構造1’によれば、板ガラス2が複層ガラスとなっているので、制振ダンパーにより建築物の振動を低減するだけでなく、複層の板ガラスにより、建築物の断熱性や遮音性も向上させることができる。また、制振壁構造1’によれば、介装構造体7が増えることにより、制振ダンパー6’の摩擦力が増加しているため、制振ダンパー6と比べても、振動を吸収して低減する機能が向上している。
[第3実施形態]
次に、図10、図11を用いて、本発明の第3実施形態に係る建築物の制振壁構造について説明する。第3実施形態に係る建築物の制振壁構造である制振壁構造1”は、前述の第1実施形態に係る制振壁構造1と相違する点は、制振ダンパーが、摩擦ダンバーではなく、金属ダンパーとなっている点であり、その点を主に説明し、同一構成は同一符号を付して説明を省略する。
制振壁構造1”は、図10、図11に示すように、面材である板ガラス2と、これらの板ガラス2に接合された表裏一対の第1プレート3”と、この第1プレート3”に接合された一対の第2プレート4”と、この第2プレート4”に接合された構造躯体5”と、建築物Xの振動を抑える制振ダンパー6”など、から構成されている。
図11に示すように、第1プレート3”は、上下方向に突出する櫛状突起30”を有する概形が櫛状の鋼材からなるプレートであり、第2プレート4”は、上下方向に沿った櫛状突起40”を有する概形が櫛状の軟鋼又は低降伏点鋼からなるプレートである。また、これらの櫛状突起30”、40”が互い違いに組み合わさることで制振ダンパー6”を構成している。ここで、低降伏点鋼とは、炭素含有量が少なく、通常、降伏点225N/mm2以下の強度で、延性が極めて高い鋼材のことを指している。
なお、制振ダンパー6”は、上下方向に沿った櫛状突起30”、40”が互い違いに組み合わさることで、第1プレート3”と第2プレート4”とが、上下変位自在に接合されており、この第2プレート4”が、軟鋼又は低降伏点鋼から構成されていることにより、櫛状突起40”の根本が早期に降伏して、水平変位自在となっている。
また、櫛状突起40”の先端の櫛状突起30”側には、先端に丸みを帯びた当接突起Pが横方向(水平方向)に突設されているので、櫛状突起40”が水平力Qを受ける距離Hが一定となるため、降伏曲げモーメントMy=Q・Hが一定となり、櫛状突起40”の根本が早期に降伏して、±δの範囲で移動可能であるため、安定した降伏耐力(ダンパー力)が得られる。なお、当接突起Pの形状は、先端が尖っているなど、櫛状突起40”の傾倒・起伏状態にかかわらず、当接突起Pの一点で第1プレート3”と第2プレート4”とが当接して、第2プレート4”の櫛状突起40”の根本に作用する前記曲げモーメントの距離が一定となるような形状であれば、特に限定されるものではない。勿論、図示形態と上下が逆で、櫛状突起30”の第1プレート3”側が降伏するようにしてもよい。
構造躯体5”は、前述の支持アングル5と相違して、建築物Xの上階の床スラブや梁であり、第2プレート4”は、この構造躯体5”に一部埋設されることで構造躯体5”に接合、支持されている。勿論、構造躯体5”との間に支持アングルを介在させて、第2プレート4”を着脱自在に構成しても良い。なお、着脱自在であれば、第2プレート4”の交換が容易となる。
制振壁構造1”によれば、制振ダンパー6”が、軟鋼又は低降伏点鋼からなる鋼材ダンパーから構成されているため、鋼材の降伏点が明確であり、簡単な構成により、安定した降伏耐力(ダンパー力)が得られ、必要な振動の減衰機能を得ることができる。また、耐久性にも問題がなく、大地震後のメンテナンス等も鋼材である第1プレート3”と第2プレート4”を交換するだけであるため、簡便且つ容易である。
なお、制振ダンパー6”として、第2プレート4”が軟鋼又は低降伏点鋼からなる鋼材ダンパーを例示したが、第2プレート4”は、軟鉄や低降伏点鋼に限られず、他の鋼材、アルミニウム、真鍮、鉛などでも代替可能である。また、第2プレート4”の形状も概形が櫛状のものに限られず、板からT字状にリブが形成されて、そのリブの横方向に前記当接突起が形成されたものでもよく、特に形状が限定されるものではない。要するに、第2プレート4”と第1プレート3”とが、上下変位自在に接合され、第2プレート4”の素材が、容易に塑性変形して振動エネルギーを吸収可能な金属ダンパーであれば良い。そのような場合でも、前記作用効果を奏することは明らかである。
以上、本発明の実施形態に係る建築物の制振壁構造について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1、1’、1” :制振壁構造(建築物の制振壁構造)
2 :板ガラス(面材)
21 :上辺部
22 :左側辺部
23 :右側辺部
3、3” :第1プレート
30” :櫛状突起
31、32 :介装孔
4、4’、4” :第2プレート
40” :櫛状突起
41、42 :長孔(水平)
43、44、45 :長孔(上下)
5 :支持アングル(構造躯体)
5” :支持体
6、6” :制振ダンパー
7 :介装構造体
8 :皿バネ(弾性体)
9 :筒体
10 :スペースプレート
X :建築物
B :接着剤
BN :ボルトとナット
W1 :角ワッシャー
W2 :丸ワッシャー
第1発明に係る建築物の上下変位自在な制振壁構造は、建築物の制振壁構造であって、前記建築物の非耐力壁を構成する面材と、この面材に接合された第1プレートと、この第1プレートに接合された第2プレートと、前記建築物の振動を抑える制振ダンパーと、を備え、前記面材は、前記第2プレートが前記建築物の構造躯体に取り付けられることにより、第1プレートと第2プレートを介して前記構造躯体に取り付けられており、前記第1プレートと前記第2プレートとの接合、又は前記第2プレートと前記構造躯体との接合のいずれか一方の接合は、前記制振ダンパーを介して水平変位自在に接合され、他方の接合は、上下変位自在に接合されていることを特徴とする。
第3発明に係る建築物の上下変位自在な制振壁構造は、第2発明において、前記制振ダンパーは、前記第1プレートに穿設された介装孔に介装され、前記第1プレートの厚みより厚い表裏一対の介装体を備え、一対の前記介装体で前記第2プレートを挟み込んで、前記介装体と前記第2プレートとが摺動する摩擦力で水平方向の振動エネルギーを消費する摩擦ダンパーであり、前記第1プレートには、水平方向に前記長孔又は長溝が形成されているとともに、前記第2プレートには、上下方向に前記長孔又は長溝が形成され、前記第1プレートと前記第2プレートとの接合が、前記摩擦ダンパーを介して水平変位自在に接合され、前記第2プレートと前記構造躯体との接合が、上下変位自在に接合されていることを特徴とする。

Claims (5)

  1. 建築物の制振壁構造であって、
    前記建築物の壁を構成する面材と、この面材に接合された第1プレートと、この第1プレートに接合された第2プレートと、前記建築物の振動を抑える制振ダンパーと、を備え、
    前記面材は、前記第2プレートが前記建築物の構造躯体に取り付けられることにより、第1プレートと第2プレートを介して前記構造躯体に取り付けられており、
    前記第1プレートと前記第2プレートとの接合、又は前記第2プレートと前記構造躯体との接合のいずれか一方の接合は、前記制振ダンパーを介して水平変位自在に接合され、
    他方の接合は、上下変位自在に接合されていること
    を特徴とする建築物の上下変位自在な制振壁構造。
  2. 前記一方の接合及び/又は前記他方の接合は、長孔又は長溝を介して接合されることにより、水平変位自在及び/又は上下変位自在に接合されていること
    を特徴とする請求項1に記載の建築物の上下変位自在な制振壁構造。
  3. 前記制振ダンパーは、摩擦ダンパーであり、
    前記第1プレートには、水平方向に前記長孔又は長溝が形成されているとともに、前記第2プレートには、上下方向に前記長孔又は長溝が形成され、
    前記第1プレートと前記第2プレートとの接合が、前記摩擦ダンパーを介して水平変位自在に接合され、
    前記第2プレートと前記構造躯体との接合が、上下変位自在に接合されていること
    を特徴とする請求項2に記載の建築物の上下変位自在な制振壁構造。
  4. 前記面材は、板ガラスであること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の建築物の上下変位自在な制振壁構造。
  5. 前記第1プレートと前記第2プレートとは、前記建築物に入力された水平力により前記第1プレート又は前記第2プレートのいずれかに作用する曲げモーメントの距離が一定となるように、横方向へ突出した当接突起を介して上下変位自在に接合されており、
    前記制振ダンパーは、前記当接突起を介して力が伝達されて曲げ降伏することで振動エネルギーを消費して振動を抑える金属ダンパーであること
    を特徴とする請求項1又は4に記載の建築物の上下変位自在な制振壁構造。
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