JP2019015095A - 制震壁 - Google Patents

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Abstract

【課題】内壁の厚さ方向の両外側に位置する一対の壁部が内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのを阻止できるとともに、内壁とは別個に収容部を組み立てることができ、ひいては、容易に製造することが可能になる制震壁を提供する。【解決手段】板状の複数の壁部の組み合わせにより上方に開口した箱状に形成された収容部の収容室に、板状の内壁が、上方から収容室に幅方向に移動自在に収容されており、収容室における収容部と内壁の間には、粘性体が設けられている。内壁には、厚さ方向に貫通し、幅方向に延びる長孔と、長孔に連通し、長孔から下方に延びるとともに、下端が開放されたスリット孔が形成されている。スリット孔の幅よりも小さい幅を有する係止部材が、長孔に挿入されており、複数の壁部のうち、内壁の厚さ方向の両外側に位置する一対の壁部に係合することによって、両者が内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのが阻止される。【選択図】図1

Description

本発明は、構造物を含む系内の第1部位と、第1部位よりも上側の第2部位との間に設けられ、構造物の振動を抑制するための制震壁に関する。
従来、この種の制震壁として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この制震壁は、粘性体を用いたものであり、構造物の下階の床などに取り付けられる収容部と、構造物の上階の床などに取り付けられる内壁を備えている。収容部は、板状の複数の壁部の組み合わせによって上方に開口した箱状に形成されている。これらの壁部は、溶接によって接合されている。内壁は、矩形状の鋼板で構成され、その上端に、上階の床に連結するための連結部が設けられるとともに、上端部以外の部分が上方から収容部内に収容されており、収容部に対してその幅方向に移動自在である。また、収容部内には、内壁との間に、粘性体が収容されている。この従来の制震壁では、構造物が振動するのに伴い、上階と下階の間で内壁の幅方向の相対変位が発生すると、それに伴って内壁が収容部に対して幅方向に移動し、粘性体のせん断抵抗が、各内壁及び収容部を介して上階及び下階にそれぞれ作用することにより、構造物の振動が抑制される。
また、内壁には、厚さ方向に貫通するとともに、幅方向に延びる複数の長孔が形成されている。さらに、収容部の複数の壁部のうち、内壁の厚さ方向の両外側に位置する一対の外側壁部には、複数のボルトが設けられており、各ボルトは、一対の外側壁部を内壁の厚さ方向に貫通するとともに、上記の内壁の複数の長孔の各々に挿入されている。各ボルトの頭部は、一対の外側壁部の一方の外面に接触し、各ボルトのねじ部は、一対の外側壁部の他方から外方に突出しており、その突出した部分には、ナットが螺合している。ナットは、一対の外側壁部の他方の外面に接触し、ボルトと協働して一対の外側壁部を内壁の厚さ方向に挟み込んでおり、それにより、一対の外側壁部が内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのが、阻止される。
特開2007−9452号公報
上述した従来の制震壁では、収容部の一対の外側壁部を貫通するボルトが内壁の長孔に挿入される。このため、制震壁を製造するにあたって、一対の外側壁部の一方、内壁、一対の外側壁部の他方を、この順に、内壁の厚さ方向に積み重ねながら、収容部の複数の壁部を互いに溶接により接合しなければならず、内壁とは別個に収容部を組み立てることができないので、その製造作業が煩雑になってしまう。
また、近年、より大きな減衰力を得るために、収容部内に仕切り壁で仕切られた複数の収容室と、各収容室に収容された内壁から成る複数の内壁を備えた制震壁が知られている。このような制震壁では、その製造にあたり、積み重ねられる壁部が、内壁と仕切り壁の数分、より多くなるため、上述した不具合がより顕著になってしまう。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、内壁の厚さ方向の両外側に位置する一対の壁部が内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのを阻止できるとともに、内壁とは別個に収容部を組み立てることができ、ひいては、容易に製造することが可能になる制震壁を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、構造物を含む系内の第1部位と、第1部位よりも上側の第2部位との間に設けられ、構造物の振動を抑制するための制震壁であって、板状の複数の壁部の組み合わせにより上方に開口した箱状に形成され、複数の壁部で画成された収容室を有するとともに、第1部位に連結される収容部と、板状に形成され、上方から収容室に幅方向に移動自在に収容されるとともに、第2部位に連結される内壁と、を備え、内壁には、厚さ方向に貫通するとともに、幅方向に延びる長孔と、長孔に連通し、長孔から下方に延びるとともに、下端が開放されたスリット孔と、が形成されており、収容室における収容部と内壁の間に設けられた粘性体と、スリット孔の幅よりも小さい幅を有し、内壁の厚さ方向に延びた状態で収容室に収容されるとともに、長孔に挿入され、複数の壁部のうち、内壁の厚さ方向の両外側に位置する一対の壁部に係合することによって、一対の壁部が内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのを阻止する係止部材と、をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、上方に開口する箱状に形成された収容部が、構造物を含む系内の第1部位に連結され、板状の内壁が、第1部位よりも上側の第2部位に連結される。また、収容部内には、複数の壁部によって収容室が画成されており、収容室には、内壁が、上方からその幅方向に移動自在に収容されるとともに、収容部と内壁の間に、粘性体が設けられている。以上の構成の制震壁では、例えば地震などにより構造物が振動するのに伴い、第1部位と第2部位の間で内壁の幅方向の相対変位が発生すると、それに伴って内壁が収容部に対して幅方向に移動し、両者の間に設けられた粘性体のせん断抵抗が、収容部及び内壁を介して第1及び第2部位にそれぞれ作用することにより、構造物の振動が抑制される。
また、係止部材が、内壁の厚さ方向に延びた状態で収容室に収容されている。複数の壁部のうち、内壁の厚さ方向の両外側に位置する一対の壁部(以下「一対の外側壁部」)に、係止部材が係合することによって、これら一対の外側壁部が内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのを阻止することができる。さらに、係止部材とともに収容室に収容された内壁には、その厚さ方向に貫通するとともに幅方向に延びる長孔が形成されており、上述した係止部材がこの長孔に挿入されているため、内壁は、この長孔で規定される所定の範囲内で、収容部に対して移動することができる。
また、内壁のスリット孔が、長孔に連通し、長孔から下方に延びるとともに、下端が開放されており、スリット孔の幅は、係止部材の幅よりも大きい。このため、例えば、前述した従来の制震壁とは異なり、内壁とは別個に、収容部の複数の壁部を組み合わせるとともに、係止部材を一対の外側壁部に係合させ、係止部材を含めて収容部の組立てを完了した後に、完成した収容室に内壁を上方から差し込み、スリット孔に係止部材を通しながら、内壁を下方に移動させ、長孔に係止部材を挿入し、内壁と収容部を組み合わせることによって、制震壁を容易に製造することが可能になる。
以上のように、本発明による制震壁によれば、一対の外側壁部が内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのを阻止できるとともに、内壁とは別個に収容部を組み立てることができ、ひいては、容易に製造することが可能になる。
また、粘性体を用いる従来の制震壁では一般に、収容部及び内壁の組立てが完了した後に、粘性体が、収容部の外側壁部の下端部に設けられた比較的小さい注入口から収容室に注入され、収容室における収容部と内壁の間に充填される。このため、粘度が比較的高い粘性体を用いた場合には、注入口から収容室に粘性体を注入しにくくなり、十分に充填できなくなることがあるため、粘度が比較的低い粘性体を用いざるを得ない。また、注入口からの粘性体の漏れを防止するための構成が必要になる。
これに対して、本発明による制震壁によれば、例えば、上述したように収容部の組立完了後であって内壁を上方から収容室に差し込む前に、収容部の上端部の大きな開口から、内壁が収容されていない収容室に粘性体を注入した後に、内壁を、上方から収容室に差し込むとともに粘性体に没入させ、内壁と収容部を組み合わせることによって、制震壁を製造することが可能になる。その場合には、粘度が比較的高い粘性体を用いた場合でも、収容室における収容部と内壁の間に粘性体を十分に充填でき、ひいては、より大きな制震壁の減衰力を得ることができる。それに加え、従来、一般的に設けられていた注入口と、注入口からの粘性体の漏れを防止するための構成とを削除することが可能になり、それにより、制震壁をさらに容易に製造することが可能になる。なお、この効果は一例であり、本発明において、上述した従来の注入口を収容部に設けてもよいことは、もちろんである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の制震壁において、収容室は複数の収容室で構成されており、内壁は、複数の収容室の各々に収容された内壁で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、収容部内に複数の収容室が設けられており、各収容室に内壁が収容されている。前述したように、複数の収容室及び複数の内壁を備える従来の制震壁では、収容室を構成する複数の壁部及び複数の内壁を積み重ねながら収容部を組み立てなければならず、製造作業が非常に煩雑になってしまう。請求項1に係る発明の説明で述べたように、複数の内壁とは別個に収容部を組み立てることができるので、制震壁を容易に製造することが可能になるという効果を、より有効に得ることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の制震壁において、長孔は、内壁の幅方向及び上下方向に互いに間隔を存した状態で設けられた複数の長孔で構成され、スリット孔は、複数の長孔のうちの上下方向に互いに隣り合う2つの長孔の間に設けられるとともに、2つの長孔に連通するスリット孔と、複数の長孔のうちの最も下側の長孔に連通し、長孔から下方に延びるとともに、下端が開放されたスリット孔とを含む複数のスリット孔で構成されており、係止部材は、各々が、複数の長孔の各々に挿入されるとともに、一対の壁部に係合することによって、一対の壁部が内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのを阻止する複数の係止部材で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、内壁の幅方向及び上下方向に互いに間隔を存した状態で設けられた複数の係止部材を用いて、一対の外側壁部が内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのを効果的に阻止することができる。また、複数のスリット孔の一部は、複数の長孔のうちの上下方向に互いに隣り合う2つの長孔の間に設けられるとともに、これらの長孔に連通し、複数のスリット孔の残りは、複数の長孔のうちの最も下側の長孔に連通し、この長孔から下方に延びるとともに、下端が開放されている。また、請求項1に係る発明の説明で述べたように、これらのスリット孔の幅は、係止部材の幅よりも大きい。
このため、例えば、完成した収容部の収容室に内壁を上方から差し込み、複数のスリット孔及び長孔のうちの下側のものから順に、複数の係止部材を通しながら、収容部に対して内壁を下方に移動させ、複数の長孔の各々に対応する複数の係止部材の各々を挿入し、内壁と収容部を組み合わせることによって、制震壁を容易に製造することが可能になる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の制震壁において、係止部材は、収容部を内壁の厚さ方向に貫通するボルトと、ボルトに螺合するとともに、一対の壁部を、ボルトと協働して内壁の厚さ方向に締め付けるナットと、を含むことを特徴とする。
この構成によれば、ボルトにナットを螺合させ、両者で一対の壁部を締め付けることによって、一対の壁部が内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのを簡単に阻止することができる。
本発明の実施形態による制震壁を、これを適用した構造物の一部とともに概略的に示す正面図である。 図1の制震壁の一部を破断して示す側面図である。 図1の制震壁の前後の外壁や、仕切り壁、内壁を破断するとともに、ボルトやナットなどを拡大して示す側面図である。 図1の制震壁の組立て方を説明するための図である。 実施形態の変形例による制震壁を、これを適用した構造物の一部とともに概略的に示す正面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。以下の説明では便宜上、図1の手前側及び奥側をそれぞれ「前」及び「後」とし、図1の左側及び右側をそれぞれ「左」及び「右」、上側及び下側をそれぞれ「上」及び「下」とする。図1及び図2に示すように、実施形態による制震壁1は、上方に開口する箱状に形成された収容部2を備えている。収容部2は、前後の外壁3、4と、前外壁3と後外壁4の間に設けられた仕切り壁5と、前後の外壁3、4及び仕切り壁5の左端部に一体に設けられた左側壁6と、前後の外壁3、4及び仕切り壁5の右端部に一体に設けられた右側壁7と、前後の外壁3、4及び仕切り壁5の下端部に一体に設けられた底壁8を有している。以下、これらの前後の外壁3、4、仕切り壁5、左右の側壁6、7及び底壁8を総称する場合、「複数の壁部3〜8」という。
複数の壁部3〜8(前後の外壁3、4、仕切り壁5、左右の側壁6、7及び底壁8)はいずれも、矩形状の鋼板で構成され、前後の外壁3、4及び仕切り壁5はいずれも、前後方向を厚さ方向として、上下方向及び左右方向に延びており、左右の側壁6、7は縦長に、底壁8は横長に、それぞれ形成されている。また、複数の壁部3〜8は、例えば、裏当金を用いた突き合わせによって互いに接合されており、収容部2内には、複数の壁部3〜8によって、2つの収容室2a、2aが画成されている。
前後の外壁3、4の上端部には、溜まり部3a、4aがそれぞれ設けられており、溜まり部3a、4aは、前方及び後方にそれぞれ突出するとともに、仕切り壁5よりも上方に若干、延びている。また、前後の外壁3、4及び仕切り壁5の各々の中央部には、前後方向に貫通する挿入孔3b、4b、5aがそれぞれ形成されており、これらの挿入孔3b、4b、5aは、互いに同心状に配置されている。底壁8は、前後の外壁3、4から前方及び後方に突出しており、その前端部及び後端部には、上下方向に貫通する複数の挿入孔(図示せず)が形成されていて、これらの挿入孔は互いに左右方向に並んでいる。
また、図1〜図3に示すように、制震壁1は、収容部2の2つの収容室2a、2aに対応して設けられた2つの内壁15、15と、これらの内壁15、15を制震対象物に連結するためのフランジ16と、前後の外壁3、4が前後方向に互いに離れるように変形するのを阻止するためのボルト17及びナット18を、さらに備えている。
各内壁15は、矩形状の鋼板で構成され、上下方向及び左右方向に延びており、前後の外壁3、4及び仕切り壁5よりも短い左右方向の長さを有している。また、2つの内壁15、15は、互いに前後方向に所定の間隔を存した状態で並ぶとともに、各々が、上方から対応する収容室2aに収容されており、後述する長孔15a及びスリット孔15bで規定される所定の範囲内で、収容室2a内を左右方向及び上下方向に移動自在である。上記の所定の間隔は、前外壁3と前側の内壁15の間、前側の内壁15と仕切り壁5の間、仕切り壁5と後ろ側の内壁15の間、及び、後ろ側の内壁15と後外壁4の間の間隔が互いに同じになるとともに、後述する粘性体21がこれらの間に十分に収容されるような大きさに、設定されている。また、内壁15の中央部には、いずれも厚さ方向(前後方向)に貫通する長孔15a及びスリット孔15bが設けられている。
長孔15aは、内壁15の幅方向(左右方向)に延びる小判状に形成されており、長孔15aには、円環状のスペーサ19が挿入されている。長孔15aの左右方向及び上下方向の長さはいずれも、スペーサ19の外径よりもかなり大きくなっている。また、スペーサ19は、長孔15aに挿入された状態で2つの収容室2a、2aの各々に収容された2つのスペーサ19、19で構成されている。
前側の収容室2aに収容されたスペーサ19は、前外壁3の後面と仕切り壁5の前面に接触し、後ろ側の収容室2aに収容されたスペーサ19は、仕切り壁5の後面と後壁4の前面に接触しており、それにより、前外壁3と仕切り壁5の間、及び、仕切り壁5と後壁4の間に、収容室2aを画成するための所定の間隔がそれぞれ保持される。また、スペーサ19には、ボルト17の後述する軸部17bが挿入されており、前後方向で見て、スペーサ19及びボルト17の軸線は、長孔15aの中心に一致している。
上記のスリット孔15bは、長孔15aに連通し、長孔15aから下方に真っ直ぐに延びるとともに、その下端が開放している。また、スリット孔15bの幅DS(図4参照)は、上記のボルト17が挿入されたスペーサ19の外径よりも大きな値に設定されている。
また、内壁15の前面及び後面には、複数の半球状のスペーサ(図示せず)が取り付けられている。前側の内壁15の前面及び後面の各々に取り付けられたスペーサが、前外壁3の後面及び仕切り壁5の前面にそれぞれ接触することによって、この内壁15と前外壁3及び仕切り壁5の各々との間に、前記粘性体21を収容するための所定の間隔が保持される。また、後ろ側の内壁15の前面及び後面の各々に取り付けられたスペーサが、仕切り壁5の後面及び後外壁4の前面にそれぞれ接触することによって、この内壁15と仕切り壁5及び後外壁4の各々との間に、粘性体21を収容するための所定の間隔が保持される。
前記フランジ16は、矩形状の鋼板で構成され、底壁8とほぼ同じ大きさで横長に形成されており、フランジ16には、各内壁15の上端が、例えば裏当金を用いた突き合わせ溶接によって接合されている。また、フランジ16は、前後の内壁15、15から前方及び後方に突出しており、その前端部及び後端部には、上下方向に貫通する複数の挿入孔(図示せず)が形成されていて、これらの挿入孔は互いに左右方向に並んでいる。
ボルト17は、例えば一般的な座金付きの六角ボルトであって、横断面が六角形の鍔状の頭部17aと、一定の径の丸棒状に形成され、一端が頭部17aに一体に設けられるとともに、他端を含む所定の部分に雄ねじが形成された軸部17bを有している。また、ボルト17は、その軸部17bが前方から、前外壁3の挿入孔3b、前側のスペーサ19、仕切り壁5の挿入孔5a、後ろ側のスペーサ19、及び後外壁4の挿入孔4bに共通に挿入されており、後外壁4よりも後方に突出するとともに、その頭部17aが前外壁3の前面に接触している。このように、ボルト17は、収容部2を前後方向に貫通し、その軸部17bの一部がスペーサ19を介して、収容室2aに収容されるとともに、内壁15の長孔15aに挿入されている。なお、前後の外壁3、4の挿入孔3b、4bには、粘性体21の漏れを防止するためのシール(図示せず)が設けられている。
ナット18は、例えば座金付きの六角ナットであって、ボルト17の軸部17bの後端部であって後外壁4から突出した部分に螺合しており、後外壁4の後面に接触している。ボルト17及びナット18は、互いに協働して前後の外壁3、4を前後方向に締め付けることによって、前者17は前外壁3に、後者18は後外壁4に、それぞれ係合しており、それにより、前後の外壁3、4が前後方向に互いに離れるように変形(膨らむように変形)するのが阻止される。
なお、ボルト17の頭部17a及びナット18の少なくとも一方を、この少なくとも一方に対応する前外壁3の前面及び後外壁4の後面の少なくとも一方に、溶接により固定してもよい。また、ボルト17の頭部17a及びナット18を、前後逆に配置してもよいことは、もちろんである。
また、制震壁1は、粘性体21をさらに備えている。粘性体21は、例えばポリイソブチレンから成る流体で構成されており、その粘度が後述する理由により比較的高めに設定されている。また、粘性体21は、各収容室2aにおける収容部2と各内壁15との間に充填されている。
以上の構成の制震壁1は、構造物、例えば、住居用や商用の高層の建築物の上梁BUの下面に、フランジ16が、上間柱PUを介して連結されるとともに、この建築物の下梁BDの上面に、底壁8が、下間柱PDを介して連結される。上下の間柱PU、PDは、例えばH形鋼で構成されており、それらの上下のフランジの前端部及び後端部には、底壁8及びフランジ16と同様に、上下方向に貫通する複数の挿入孔(図示せず)が形成されている。上下の梁BU、BDは、例えばH形鋼で構成され、左右方向に水平に延びており、それらの上下のフランジの前端部及び後端部には、底壁8及びフランジ16と同様に、上下方向に貫通する複数の挿入孔(図示せず)が形成されている。
この場合、フランジ16の複数の挿入孔及び上間柱PUの下側の複数の挿入孔の各々に挿入したボルトに、ナット(いずれも図示せず)を螺合させ、締め付けることによって、フランジ16が上間柱PUに固定される。また、上間柱PUの上側の複数の挿入孔及び上梁BUの複数の挿入孔の各々に挿入したボルトに、ナット(いずれも図示せず)を螺合させ、締め付けることによって、上間柱PUが上梁BUに固定される。
同様に、底壁8の複数の挿入孔及び下間柱PDの上側の複数の挿入孔の各々に挿入したボルトに、ナット(いずれも図示せず)を螺合させ、締め付けることによって、底壁8が下間柱PDに固定される。また、下間柱PDの下側の複数の挿入孔及び下梁BDの複数の挿入孔の各々に挿入したボルトに、ナット(いずれも図示せず)を螺合させ、締め付けることによって、下間柱PDが下梁BDに固定される。
以上のように、実施形態によれば、上方に開口する箱状に形成された収容部2が、下梁BDに連結され、板状の2つ内壁15、15が上梁BUに連結される。また、収容部2内には、その複数の壁部3〜8によって2つの収容室2a、2aが画成されており、各収容室2aには、内壁15が、上方から、少なくともその幅方向に移動自在に収容されるとともに、収容部2と内壁15の間に、粘性体21が設けられている。制震壁1では、例えば地震などにより構造物が振動するのに伴い、上下の梁BU、BDの間で左右方向(内壁15の幅方向)の相対変位が発生すると、それに伴って内壁15が収容部2に対して左右方向に移動し、両者15、2の間に設けられた粘性体21のせん断抵抗が、内壁15及び収容部2を介して上下の梁BU、BDにそれぞれ作用することにより、構造物の振動が抑制される。
また、収容部2を前後方向に貫通するボルト17にナット18を螺合させ、両者17、18で収容部2の前壁3及び後壁4を前後方向に締め付けることによって、前後の外壁3、4が前後方向に互いに離れるように変形するのを簡単に阻止することができる。さらに、ボルト17の軸部17bが、スペーサ19を介して、内壁15の長孔15aに挿入されているので、内壁15は、長孔15aで規定される所定の範囲内で、収容部2に対して移動することができる。
また、内壁15のスリット孔15bが、長孔15aに連通し、長孔15aから下方に延びるとともに、下端が開放されており、スリット孔15bの幅DSは、ボルト17の軸部17bの径(幅)よりも大きく、また、軸部17bが挿入されたスペーサ19の外径(幅)よりも大きい。このため、前述した従来の制震壁と異なり、制震壁1は、例えば次のようにして製造される。
すなわち、まず、仕切り壁5、左右の側壁6、7及び底壁8を、裏当金を用いた突き合わせ溶接によって互いに接合し、次いで、前外壁3の後面及び仕切り壁5の前面に、前側のスペーサ19の前面及び後面をそれぞれ接触させるとともに、ボルト17を、前記シール、前外壁3の挿入孔3b、前側のスペーサ19及び仕切り壁5の挿入孔5aに挿入した状態で、前外壁3を、仕切り壁5と接合された左右の側壁6、7及び底壁8に、裏当金を用いた突き合わせ溶接によって接合する。次に、仕切り壁5の後面及び後外壁4の前面に、後ろ側のスペーサ19の前面及び後面をそれぞれ接触させるとともに、後外壁4の挿入孔4bに上記のボルト17を挿入し、後外壁4から突出させた状態で、後外壁4を、仕切り壁5及び前外壁3と接合された左右の側壁6、7及び底壁8に、裏当金を用いた突き合わせ溶接によって接合する。
この場合、収容部2の複数の壁部3〜8の接合は、スペーサ19や上記の裏当金、治具(図示せず)を用いて、前外壁3と仕切り壁5の間、及び、仕切り壁5と後外壁4の間に、収容室2aを画成するための所定の間隔を確保しながら、行われる。また、複数の壁部3〜8の接合が完了すると、ボルト17の後外壁4から突出した部分に、前記シールを挿入するとともに、ナット18を螺合させ、締めることによって、前後の外壁3、4を厚さ方向に締め付け、ボルト17及びナット18を含めた収容部2の組立てが完了する。
なお、スペーサ19及び治具の一方を省略して、収容部2を組み立ててもよい。また、上述した収容部2の組み立て方は、あくまで例示であり、他の適当な手法で組み立ててもよいことは、もちろんである。
次いで、前後の溜まり部3a、4a及び左右の側壁6、7の上端部で画成された収容部2の上端の開口から各収容室2aに、粘性体21を所定量、注入する。この場合、粘性体21は、各収容室2aに内壁15を収容した状態において溜まり部3a、4aに溜まるように、注入される。
次に、フランジ16に2つの内壁15、15を、例えば裏当金を用いた突き合わせ溶接によって、両者15、15の間に前記所定の間隔を保持した状態で接合する。なお、この突き合わせ溶接を、本出願人による特願2016−178464号に開示されているように、互いに一体の第1及び第2裏当金を用いて行ってもよく、あるいは、溶接以外の適当な手法で各内壁15及びフランジ16を互いに接合してもよい。
次いで、粘性体21が注入された2つの収容室2aの各々に、フランジ16に接合された2つの内壁15、15の各々を上方から差し込む(図4参照)とともに、粘性体21に没入させ、各内壁15のスリット孔15bに、スペーサ19を介してボルト17を通しながら、収容部2に対して内壁15を下方に移動させ、長孔15aに、スペーサ19を介してボルト17を挿入し、2つの内壁15、15と収容部2を組み合わせる。
なお、以上のようにして組み合わされた収容部2及び各内壁15を、前述したように制震対象である上下の梁BU、BDに連結するまでの間は、左右一対の吊金具(図示せず)を用いて、左右の側壁6、7にフランジ16の左右の端部をそれぞれ連結することにより、収容部2及び各内壁15が互いに一体化される。
以上のように、実施形態によれば、内壁15とは別個に収容部2を組み立てることができ、ひいては、制震壁1を容易に製造することができる。また、前述した従来の制震壁とは異なり、粘性体21を注入するための注入口が収容部2の下端部に設けられておらず、粘性体21は、各内壁15が各収容室2aに収容される前に、収容部2の上端部の大きな開口から、収容室2aに注入される。このため、実施形態では、粘度が比較的高い粘性体21が用いられており、また、この粘性体21を、上述した手法により収容室2aにおける収容部2と各内壁15の間に十分に充填できるので、より大きな制震壁1の減衰力を得ることができる。
なお、スリット孔15bを、長孔15aから下方に真っ直ぐに延びるように設けているが、収容部2に対する各内壁15の幅方向の移動範囲以下の範囲内で、長孔15aから下方に斜めに延びるように設けてもよい。このように、スリット孔15bが各内壁15の幅方向の移動範囲以下の範囲内で斜めに延びているのであれば、前述したように内壁15を収容部2と組み合わせる際に、内壁15を、下方に加えその幅方向に移動させることによって、ボルト17を、スリット孔15bを介して長孔15aに案内することができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、ボルト17や、ナット18、長孔15aを、それぞれ1つずつ設けているが、それぞれ複数、設けてもよいことはもちろんである。
図5は、この場合の変形例による制震壁を示している。なお、同図では便宜上、収容部2や内壁15などの構成要素について、実施形態と同じ符号を付している。以下、変形例による制震壁について、実施形態と異なる点を中心に説明し、また、以下の説明では、図示しない構成要素について、それと同じ実施形態の構成要素の符号を援用するものとする。
図5に示すように、この場合には、2つの内壁15(前側のもののみ図示)の各々には、複数の長孔15a、15a、…が、複数のボルト17、17、…及びナット18、18、…の各々の数と同じ数、設けられている。この変形例では、これらの長孔15a、15a、…の各々は、4行3列で計12個、上下方向及び内壁15の幅方向(左右方向)に、互いに等間隔に設けられている。このことは、ボルト17、17、…及びナット18、18、…についても同様である。
また、内壁15には、複数の長孔15a、15a、…に対応して、複数の第1スリット孔15c、15c、…及び複数の第2スリット孔15d、15d、…が設けられている。複数の第1スリット孔15c、15c、…は、3行3列で計9個、上下方向及び内壁15の幅方向に、互いに等間隔に設けられている。また、各第1スリット孔15cは、複数の長孔15a、15a、…のうち、対応する上下方向に互いに隣り合う2つの長孔15a、15aの間に設けられ、上下方向に真っ直ぐに延びるとともに、両者15a、15aに連通している。
複数の第2スリット孔15d、15d、…は、1行3列で計3個、内壁15の幅方向に、互いに等間隔に設けられている。各第2スリット孔15dは、対応する最も下側の長孔15aに連通し、この長孔15aから下方に真っ直ぐに延びるとともに、下端が開放されている。また、第1及び第2スリット孔15c、15dの幅は、互いに同じ大きさに設定されており、実施形態の制震壁1を示す図1と変形例の制震壁を示す図5との比較から明らかなように、実施形態のスリット孔15bの幅DSと同様、ボルト17が挿入されるスペーサ19(前記図3参照)の外径よりもかなり大きくなっている。
さらに、各列の4つの長孔15a、15a、15a、15a、3つの第1スリット孔15c、15c、15c、及び第2スリット孔15dは、上下方向から見て(平面で見て)、各々の幅方向の中心が互いに一致するように、配置されており、このことは、各列の4つのボルト17、17、17、17及びナット18、18、18、18の各々についても同様である。また、各行の3つの長孔15a、15a、15aは、内壁15の幅方向から見て(側面で見て)、各々の上下方向の中心が互いに一致するように、配置されており、このことは、各行の3つの第1スリット孔15c、15c、15c及び第2スリット孔15d、15d、15d、ならびに、各行の3つのボルト17、17、17及びナット18、18、18についても同様である。
以上の構成の制震壁は、実施形態の場合と同様にして、収容部2が内壁15と別個に組み立てられ、粘性体21が収容部2内の各収容室2aに注入されるとともに、2つの内壁15がフランジ16に接合される。また、粘性体21が注入された各収容室2aに、フランジ16に接合された各内壁15を上方から差し込み、粘性体21に没入させるとともに、収容部2に対して内壁15を下方に移動させ、各列の4つのボルト17、17、17、17を、対応する各列の第2スリット孔15dに通す。
また、各列の4つのボルト17、17、17、17のうち、最も上側のボルト17については、さらに各列の下側の3つの長孔15a、15a、15a及び第1スリット孔15c、15c、15cに、下側のものから順に通し、上から2番目のボルト17については、さらに各列の下側の2つの長孔15a、15a及び第1スリット孔15c、15cに、上から3番目のボルト17については、さらに各列の最も下側の長孔15a及び第1スリット孔15cに、下側のものから順にそれぞれ通しながら、収容部2に対して内壁15をさらに下方に移動させる。
そして、各列の4つの長孔15a、15a、15a、15aの各々に、対応するボルト17を、スペーサ19を介して挿入し、2つの内壁15、15と収容部2を組み合わせる。なお、以上のようにして組み合わされた収容部2及び各内壁15は、実施形態で説明したように、左右一対の吊金具を用いて互いに一体化される。
以上の構成の変形例による制震壁によれば、各内壁15の上下方向及び幅方向に互いに間隔を存した状態で設けられた複数のボルト17及びナット18を用いて、前後の外壁3、4が前後方向に互いに離れるように変形するのを効果的に阻止することができる。また、複数の第1スリット孔15cの各々が、複数の長孔15a、15a、…のうちの対応する上下方向に互いに隣り合う2つの長孔15a、15aの間に設けられるとともに、これらの長孔15a、15aに連通し、第2スリット孔15dが、複数の長孔15a、15a、…のうちの最も下側の長孔15aに連通し、この長孔15aから下方に延びるとともに、下端が開放されている。さらに、上述したようにして、内壁15と別個に組み立てた収容部2と2つの内壁15、15を組み合わせることにより、制震壁を容易に製造することができる。
なお、図5に示す変形例では、長孔15a、ボルト17及びナット18を、4行3列で設けているが、複数であれば、この行数及び列数は任意である。例えば、長孔15a、ボルト17及びナット18を1行複数列で設けた場合には、第1スリット孔15cが削除され、各内壁15には、長孔15aに対応する第2スリット孔15dのみが設けられる。
さらに、変形例では、上下方向から見て(平面で見て)、各列の4つの長孔15a、15a、15a、15a、3つの第1スリット孔15c、15c、15c、及び第2スリット孔15dを、各々の幅方向の中心が互いに一致するように、配置しているが、収容部2に対する各内壁15の幅方向の移動範囲以下の範囲内で、各々の幅方向の中心が互いにずれるように、配置してもよい。このことは、複数のボルト17及びナット18についても同様に当てはまる。ただし、収容部2に対する各内壁15の幅方向の移動範囲を確保するために、各ボルト17及びナット18を、前後方向で見て(正面で見て)、その軸線が対応する長孔15aの中心に一致するように、配置するのが好ましい。
また、上述したように長孔15aなどを互いにずらして配置する場合、例えば、上下方向から見て、各列の4つの長孔15a、15a、15a、15aの各々の幅方向の中心同士、及び/又は、3つの第1スリット孔15c、15c、15cの幅方向の中心同士については、それぞれ一致させ、長孔15aと第1スリット孔15cと第2スリット孔15dの間で、それらの幅方向の中心が互いにずれるように、長孔15aなどを配置してもよい。あるいは、長孔15aと第1スリット孔15cと第2スリット孔15dの間で、それらのうちの2つの幅方向の中心が互いに一致し、かつ残りの1つの幅方向の中心がこれらの2つのそれに対してずれるように、長孔15aなどを配置してもよい。
上述したように、長孔15aなどが、収容部2に対する各内壁15の幅方向の移動範囲以下の範囲内で各々の幅方向の中心が互いにずれるように配置されているのであれば、前述したように内壁15を収容部2と組み合わせる際に、内壁15を、下方に加えその幅方向に移動させることによって、ボルト17を、第1スリット孔15cや第2スリット孔15dなどを介して、対応する長孔15aに案内することができる。
また、変形例では、内壁15の幅方向から見て、各行の3つの長孔15a、15a、15aを、各々の上下方向の中心が互いに一致するように、配置しているが、各々の上下方向の中心が互いにずれるように、あるいは、それらのうちの2つの上下方向の中心については互いに一致させ、残りの1つの上下方向の中心がこれらの2つのそれに対してずれるように、配置してもよい。このように各行の3つの長孔15a、15a、15aをずらして配置する場合、それに応じて、各行の3つの第1スリット孔15c、15c、15cの位置及び長さ、ならびに、各行の3つのボルト17、17、17及びナットの位置がそれぞれ設定されることは、もちろんである。
さらに、変形例では、第1及び第2スリット孔15c、15dを、上下方向に真っ直ぐに延びるように設けているが、収容部2に対する各内壁15の幅方向の移動範囲以下の範囲内で、上下方向に斜めに延びるように設けてもよい。このように、第1及び第2スリット孔15c、15dが、各内壁15の幅方向の移動範囲以下の範囲内で斜めに延びているのであれば、前述したように内壁15を収容部2と組み合わせる際に、内壁15を、下方に加えその幅方向に移動させることによって、ボルト17を、第1スリット孔15cや第2スリット孔15dを介して、対応する長孔15aに案内することができる。
また、実施形態では、ボルト17にナット18を螺合させているが、ナット18を削除するとともに、後外壁4に貫通するねじ孔を設け、このねじ孔にボルト17を螺合させ、締め付けてもよい。この場合、ねじ孔として、貫通しないねじ穴を設けてもよい。さらに、実施形態では、本発明における係止部材として、ボルト17及びナット18を用いているが、本発明における一対の壁部が内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのを阻止する他の適当な係止部材、例えば、一対の壁部に係合するリベットや、特開2007−9452号公報に開示された当接部材55などを用いてもよい。
また、実施形態では、内壁15の数は、2つであるが、いくつでもよく、このことは、収容室2aについても同様に当てはまる。さらに、実施形態では、収容室2aの数を、内壁15の数と同じに設定しているが、より少なくし、1つに設定してもよい。また、実施形態では、粘性体21は、ポリイソブチレンから成る流体であるが、他の適当な粘性体、例えばシリコンオイルなどでもよい。
さらに、実施形態では、上下の梁BU、BDに、各内壁15及び収容部2をそれぞれ、上下の間柱PU、PDを介して連結しているが、直接、連結してもよい。また、実施形態では、本発明における第1及び第2部位はそれぞれ、上梁BU及び下梁BDであるが、構造物の他の適当な部位でもよく、例えば、構造物の基礎梁及び地下構造体でもよい。さらに、実施形態では、構造物は、住居用や商用の高層の建築物であるが、他の適当な構造物、例えば、橋梁や鉄塔などでもよい。なお、これまでに述べたバリエーション(図5に示す変形例や実施形態で説明したバリエーションも含む)を適宜、組み合わせて適用してもよいことは、もちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
BU 上梁(第2部位)
BD 下梁(第1部位)
1 制震壁
2 収容部
2a 収容室
3 前外壁(複数の壁部、一対の壁部)
4 後外壁(複数の壁部、一対の壁部)
5 仕切り壁(複数の壁部)
6 左側壁(複数の壁部)
7 右側壁(複数の壁部)
8 底壁(複数の壁部)
15 内壁
15a 長孔
15b スリット孔
17 ボルト(係止部材)
18 ナット(係止部材)
21 粘性体
DS スリット孔15bの幅
15c 第1スリット孔(複数のスリット孔)
15d 第2スリット孔(複数のスリット孔)

Claims (4)

  1. 構造物を含む系内の第1部位と、当該第1部位よりも上側の第2部位との間に設けられ、前記構造物の振動を抑制するための制震壁であって、
    板状の複数の壁部の組み合わせにより上方に開口した箱状に形成され、前記複数の壁部で画成された収容室を有するとともに、前記第1部位に連結される収容部と、
    板状に形成され、上方から前記収容室に幅方向に移動自在に収容されるとともに、前記第2部位に連結される内壁と、を備え、
    当該内壁には、厚さ方向に貫通するとともに、幅方向に延びる長孔と、当該長孔に連通し、前記長孔から下方に延びるとともに、下端が開放されたスリット孔と、が形成されており、
    前記収容室における前記収容部と前記内壁の間に設けられた粘性体と、
    前記スリット孔の幅よりも小さい幅を有し、前記内壁の厚さ方向に延びた状態で前記収容室に収容されるとともに、前記長孔に挿入され、前記複数の壁部のうち、前記内壁の厚さ方向の両外側に位置する一対の壁部に係合することによって、当該一対の壁部が前記内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのを阻止する係止部材と、
    をさらに備えることを特徴とする制震壁。
  2. 前記収容室は複数の収容室で構成されており、
    前記内壁は、前記複数の収容室の各々に収容された内壁で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の制震壁。
  3. 前記長孔は、前記内壁の幅方向及び上下方向に互いに間隔を存した状態で設けられた複数の長孔で構成され、
    前記スリット孔は、前記複数の長孔のうちの上下方向に互いに隣り合う2つの長孔の間に設けられるとともに、当該2つの長孔に連通するスリット孔と、前記複数の長孔のうちの最も下側の長孔に連通し、当該長孔から下方に延びるとともに、下端が開放されたスリット孔とを含む複数のスリット孔で構成されており、
    前記係止部材は、各々が、前記複数の長孔の各々に挿入されるとともに、前記一対の壁部に係合することによって、当該一対の壁部が前記内壁の厚さ方向に互いに離れるように変形するのを阻止する複数の係止部材で構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の制震壁。
  4. 前記係止部材は、前記収容部を前記内壁の厚さ方向に貫通するボルトと、当該ボルトに螺合するとともに、前記一対の壁部を、前記ボルトと協働して前記内壁の厚さ方向に締め付けるナットと、を含むことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の制震壁。
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