[第1の警報連携システムの構成]
[インターネットを経由した警報連携システム]
図1は、2住戸(2住戸)に設置された警報システムを、インターネットを経由して連携する場合の、本発明による警報連携システムの概略構成例を示した説明図である。このような警報連携システムは例えば、高齢者住戸とその管理者住戸、被介護者住戸と介護者住戸、託児所とそこに預けられた子の親の住戸、学校と生徒の住戸、職場と自宅、同一施設の複数の建屋間等でも利用することができる。
図1において、住戸24−1は例えば親世帯の住戸であり、住戸24−2は子世帯の住戸であり、両者は異なった場所に離れて建てられている。住戸24−1の台所、居間、主寝室、階段室など所定の警戒エリア(監視領域)には、火災を検知して連動警報する無線連動型の住警器(住戸用火災警報器)10−11、10−12が設置され、連動型の警報システムを構築している。また住戸24−2の台所、居間、子供部屋、主寝室、階段室などの警戒エリア(監視領域)にも、同じく火災を検知して連動警報する無線連動型の住警器(住戸用火災警報器)10−21、10−22が設置され、連動型の警報システムを構築している。
なお、住戸24−1,24−1は説明の都合上、それぞれ住警器を2台設置した場合を例示しているが、それぞれの警報システムを構成する警報器の台数(連動台数)は任意で、1台であっても3以上の複数台であっても良く、それぞれの警報システム毎に必要に応じ適宜の数を設置できる。また、以下、住警器10−11〜10−22をそれぞれ区別せず総称する場合は住警器10という。
またここでは、同一の警報システム内で警報器同士が連動する場合を「連動」といい、また異なる警報システム同士が連動する場合を「連携」という。また連携の結果、連携先の警報システム内で警報器が連動することを「連携連動」という場合がある。
また同一警報システム内で警報器同士が送受信する信号を「連動信号」といい、異なる警報システムの警報器同士で送受信する信号を「連携連動信号」という。前者の連動信号には、火災連動信号、火災復旧連動信号、警報停止連動信号及び障害連動信号があり、後者の連携連動信号には火災連携連動信号、火災復旧連携連動信号、警報停止連携連動信号及び障害連携連動信号がある。
また住戸24−1,24−2には、住戸24−1の住警器10−11,10−12で構築される警報システムと、住戸24−2の住警器10―21,10−22で構築される両警報システムの相互連携を仲介するネッワークアダプタとして機能するゲートウェイ装置100−1,100−2が設置されている。以下、ゲートウェイ装置100−1,100−2をそれぞれ区別せず総称する場合はゲートウェイ装置100という。ゲートウェイ装置100によるインターネット200との接続は、周知のようにインターネットサービスプロバイダ(ISP)の保有するサーバによる接続サービスを利用する。
住警器10は、連動信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住戸各所の、それぞれ対応する監視領域について火災発生の有無を監視している。いま住戸24−1で万一、火災が発生したとすると、例えば住警器10−11が火災を検知して警報を開始する。この火災を検知して警報を開始することを、住警器における「発報」という。
住警器10−11が発報するとき、住警器10−11は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−12に対し、火災連動信号を無線送信する。他の住警器10−12は、連動元の住警器10−11からの火災連動信号を有効受信した場合に、警報音と警報表示により連動先としての警報動作を行う。
ここで、住警器10は、受信した連動信号に含まれるグループ符号がメモリに登録しているグループ符号に一致し、且つ信号内容を正常認識したときに、この連動信号を有効受信したことを検知するようにしている。さらに、連動信号を有効受信した住警器10は必要に応じて連動信号の中継送信を行う。グループ符号は警報システム毎に固有の符号として設定されており、各住警器はこの符号によって自己の属する警報システムに関連する連動信号のみを識別処理することができる。
連動元となった住警器10−11の警報動作としては、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。一方、連動先の住警器10−12にあっては、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。
また連動元となった住警器10−11の火災警報に伴う警報表示としては、例えばLEDを点灯する。一方、連動先の住警器10−12にあっては、LEDを点滅する。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLEDによる警報表示を区別できるようにしている。
住警器10は、自己が火災を検知した場合、所定の第1無線通信プロトコルに従った火災連動信号を、同じ警報システムに属する他の住警器に送信する。また住警器10は同じ警報システムに属する他の住警器から第1無線通信プロトコルに従って送信された火災連動信号を受信する。各警報システムにおける基本的な警報連動動作は、このような住警器10の送受信機能によって実現される。
住警器10における第1無線通信プロトコルによる送受信は、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠する。もちろん日本国外で使用する場合は、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。特定小電力無線局に準拠した住警器10の送信電力は、STD−30の場合は10mW以下であり、STD−T67の場合は10mW以下または1mW以下であり、見通し通信距離は概ね100メートル程度となる。
また住戸24−1,24−2の警報システムで相互に連携して警報するため、例えば住戸24−1の住警器10−11で火災を検知した場合、当該住警器10−11は自己の属する警報システム内の住警器10−12へ所定の第1無線プロトコルに従った火災連動信号を送信して連動警報を行わせると共に、ゲートウェイ装置100−1に所定の第2無線通信プロトコルに従って火災連携連動信号を無線送信し、ゲートウェイ装置100−1ではこれを受信してTCP/IPとして知られたインターネット通信プロトコルに変換し、インターネット200を経由してIPアドレスにより宛先指定した住戸24−2のゲートウェイ装置100−2に転送し、更にこれを受信したゲートウェイ装置100−2が第2無線通信プロトコルに従って住戸24−2に設けた警報システムの例えば住警器10−21に対して連携連動信号を無線送信し、住警器10−21から住戸24−1における火災発生を示す他住戸火災警報を出力させる。
そして、住警器10−21はゲートウェイ装置100−2からの第2無線通信プロトコルに従った住戸間の火災連携連動信号の有効受信を検知した場合、それを第1無線通信アルゴリズムに従った住戸内の火災連動信号に変換し、同じ住戸24−2の住警器10−22に送信して他住戸火災警報を行わせる。
これを実現するため、各連動信号および連携連動信号には住戸24−1に設けた送信側警報システムのグループ符号が付されており、各住警器10はこれを識別処理するが、これに加えて連動元住警器10−11のIDを付して同様に認識処理するようにすることで、他住戸火災警報内容は住戸24−1を特定するだけでなく、その住警器10−11によって検知されたことまでを特定する内容とすることができる。
住警器10とゲートウェイ装置100は住戸内での連携連動信号を無線により送受信するため無線送受信チップを内蔵しており、第2無線通信プロトコルに従って住戸内での連携連動信号を送受信する。
第2無線通信プロトコルとしては、例えばRFID(Radio Frequency IDentification「電波による個体識別」の略)に割当てられた900MHzの周波数、即ち950〜957MHzを使用したZ−Wave(R)やZigBee(R)として知られたセンサネットワーク用の近距離無線通信プロトコルを使用する。
特にZ−Wave(R)は、ホームオートメーション向けに開発された無線通信プロトコルであり、知能型メッシュネットワークトポロジーを使用しており、マスタノードを持たず、例えばノードA,B,Cが配置されている場合、ノードAとノードCがお互いに通信できない距離にあっても、その間に位置するノードBの中継機能によりノードAからノードCに通信することかでき、本実施形態の機器管理網の第2無線通信プロトコルとして好適である。
また家電向けの短距離無線通信規格として提供されているZigBee(R)も使用可能である。ZigBee(R)にあっては1台のコーディネータとして機能するノードと、ルータとして機能する複数ノードを配置することで、コーディネータを中心にスター型のネットワークとボロジーを構築でき、またルータとして機能するノードのみの場合はピア・ツー・ピア型(Pear to Pear)のネットワークトポロジーを構築できる。
Z−Wave(R)やZigBee(R)といった900MHzの短距離無線通信は、送信電力を住警器10の特定小電力無線局と同様に1mW以下としており、1mWとした場合の見通し通信距離は数十メートル程度であり、400MHz帯を使用した住警器10の見通し通信距離となる100メートルに比べ、短くなっている。
ここで、第2無線通信プロトコルに従って住戸内の連携連動信号を送受信する無線送受信チップは、ゲートウェイ装置100−1,100−2との通信可能距離に設置している住警器10−11,10−21のみならず、他の住警器10−12,10−22の全てに設けるようにしても良い。
或いは、住警器には所定の第1通信プロトコルのみに従った送受信機能を設け、第1通信プロトコルとインターネットプロトコルの相互変換機能をゲートウェイ100側に設けても良い。更に或いは、この所定の第1通信プロトコルと所定の第2通信プロトコルの相互変換機能を備えた変換アダプタを住警器10とゲートウェイ100の間に介在させるようにしても良い。このようにすれば、少なくとも住警器10は第2通信プロトコルのための無線送受信チップ等を備える必要が無く、従来通りの通信機能を備えるものを使用することができる。また、ゲートウェイ100に第1通信プロトコルとインターネットプロトコルの変換機能を設ける場合には、第2通信プロトコルによる通信を行うことなく連携動作させることができる。
なお、更に他住戸火災警報の内容を従来通りの連動先警報と同じものとする場合には、住警器10として従来と全く同じ構成の住警器を使用することができる。これらは火災警報だけでなく、後述する火災復旧連動信号やローバッテリーなど各種の障害連動信号、障害復旧連動信号の連携連動の場合も同様である。
住戸24−1の住警器10−11で火災を検知して警報した後に、火災復旧または住警器10−11に設けた操作部の警報停止操作を検知した場合、当該住警器10−11は、住警器10−12に対し所定の第1プロトコルに従い住戸内の火災復旧連動信号または警報停止連動信号を送信すると共に、ゲートウェイ装置100−1に対し所定の第2無線通信プロトコルに従った火災復旧連携連動信号また警報停止連携連動信号を送信し、これを受信したゲートウェイ装置100−1は、ゲートウェイ装置100−2のIPアドレスを宛先指定したうえで、インターネット200を介してゲートウェイ装置100−2に火災復旧連携連動信号また警報停止連携連動信号送信し、これを受信したゲートウェイ装置100−2が更に所定の第2通信プロトコルに変換して住戸24−2の住警器10−21に火災復旧連携連動信号また警報停止連携連動信号送信し、他住戸火災警報を停止させる。
そして、住警器10−21はこうして受信した第2無線通信プロトコルに従った火災復旧連携連動信号または警報停止連携連動信号を、第1無線通信プロトコルに従った火災復旧連携連動信号または警報停止連携連動信号に変換して他の住警器10−22に送信し、住警器10−22から出力されている他住戸火災警報の出力を停止させる。
ここで、図1における各プロトコルによる通信経路を整理すると、例えば住戸24−1に設置した住警器10−11,10−12の間は第1無線通信プロトコル経路11aとなり、住警器10−11,10−12の各々とゲートウェイ装置100−1の間は第2無線通信プロトコル経路11bとなり、更にゲートウェイ装置100−1とインターネット200との間はインターネット通信プロトコル経路11cとなる。この点は住戸24−2についても同様である。
なお、本実施形態における第1無線通信プロトコルと第2無線通信プロトコルは、請求項の第1通信プロトコルと第2通信プロトコルに対応する。
[住警器の構成]
図2は本発明で使用する無線連動型の煙式住警器の外観を示した説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に側面図を示している。なお、取付フック15を設けているほうを上側とする。
図2において、本実施形態の住警器10の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には突出部を設け、突出部の周囲に複数の煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、火災に伴う煙が検煙部16に流入して所定濃度に達したときに後述する警報制御部で火災を検知するようにしている。検煙部16としては例えば、公知の散乱光式検煙機構が適用できる。
カバー12の左下側には音響孔18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。カバー12の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。
警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーを押圧操作すると、内蔵のプッシュスイッチ(図示せず)が押圧されるようになっている。スイッチカバー内部のプッシュスイッチ近傍には、警報等の表示を行うLED22が配置されている。
警報停止スイッチ20は外部から住警器10の機能の自己点検実施を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。例えば、火災警報出力中に警報停止スイッチ20が操作されると火災警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されると所定の機能について自己点検を実施し、LED22やスピーカ等により結果を報知する。ここで通常状態とは、少なくとも火災警報出力中または障害警報出力中でない状態を指す。
また本体14の裏側上部にはその略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁面等にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通して引っかけることで、壁面に住警器10を所謂壁掛け状に固定設置することができる。
図3は本発明で用いる住警器の要部構成を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの任意の一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。また図3では、住戸24−1に設置した住警器10−11について示しているが、本実施形態の場合は他の住警器10−12〜10−22についても同様の構成となる。なお、第2無線通信部34(これまで説明した「無線送受信チップ」に相当する)を住警器10−11,10−21のみに設ける場合には、他の住警器10−12,10−22はこれを備えていない。
図3において、住警器10−11にはワンチップCPUとして知られたプロセッサ28が設けられ、プロセッサ28に対しては第1無線通信プロトコルの送受信を行う第1無線通信部30、第2無線通信プロトコルの送受信を行う第2無線通信部34、センサ部38、報知部40、操作部42、メモリ44が設けられ、電池電源46は必要各部に電源を供給している。
第1無線通信部30にはアンテナ32を接続した第1送信回路48及び第1受信回路50が設けられている。第1無線通信部30は、このアンテナ32を介して他の住警器10−12との間で、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に準拠した第1無線通信プロトコルに従って火災、火災復旧、警報停止、障害などの各種連動信号を送受信する。
第1無線通信部30の第1送信回路48における第1無線通信プロトコルによる連動信号の送信は、所定時間T1、例えばT1=3秒に亘り連動信号を送信する動作を、所定時間T2、例えばT2=2秒の休止時間を空けて例えば4回繰り返している。このT1=3秒送信、T=2秒休止は特定小電力無線局の標準規格に準拠したものである。またT1=3秒の送信動作は、その内の最初から例えば2.8秒はダミー信号の送信であり、残り0.2秒の時間に連動信号の反復送信を行う。
また、第1無線通信部30の第1受信回路50における第1無線通信プロトコルによる受信は、住警器10−11と同じグループに属する他の住警器10−12からの連動信号を間欠受信する。間欠受信は、所定周期T3毎に、例えばT3=7秒毎に受信可能時間T4、例えばT4=100ミリ秒のあいだ受信動作を繰り返しており、受信可能時間T4の間に送信ダミー信号をキャリアセンスにより検知すると所定時間のあいだ連続受信に切替えてダミー信号に続く連動信号を受信する。
なお、受信した信号はプロセッサ28に設けた警報制御部60で解読される。以下、この解読までを含めて受信と呼ぶことがある。また特に、解読の結果有効な信号と判定されることを区別して表す場合には有効受信と呼ぶ。後に説明する第2無線通信プロトコルによる受信についても同様にプロセッサ56で解読し、更に、ゲートウェイ装置100の場合はプロセッサ128で解読する。
また第1無線通信プロトコルでは、住警器10−11自身が火災又は火災以外の事象を検知して連動信号を送信した場合、住警器10−11と同じグループに属し、これを受信した他の住警器10−12から、当該連動信号を正常に受信したことを示す確認応答信号(以下「ACK信号」と云う)が有効受信されるか否か監視している。
他の住警器のうち、ACK信号が受信されないものを検知した場合、住警器10−11はACK信号が受信された他の住警器に対し中継要求有り連動信号を送信し、中継要求有りの連動信号を受信した住警器からAKC信号未応答の住警器へ中継要求有りの連動信号を中継送信させる。中継要求有りの連動信号を中継受信したAKC信号未応答の住警器は中継要求有りの連動信号に対しACK信号を返信し、このACK信号が他の住警器の中継(返信の中継)を経て連動元の住警器10−11で受信される。これによってもACK信号が受信されない住警器がある場合には、通信障害等と判定し、所定の報知処理や連動処理、後述する連携処理等を行う。
上述した中継機能は、1つの連動グループ、例えば住戸24−1に3台以上の住警器が設置されている場合に役立つ。図1の例では住戸24−1には住警器10−11と住警器10−12の2台しか設置されていないので、住警器10−11は自己が送信した連動信号に対して住警器10−12からACK信号(返信)が受信されない場合には、通信障害等と判定し、所定の報知処理や後述する連携処理等を行うことになる。
第1無線通信プロトコルで送受信する信号は、連番、送信元識別符号、グループ符号及び事象符号を含むフォーマットとして構成されている。連番は住警器毎に独立して生成される符号であり、連動信号の生成順或いは送信順を示す連続番号である。これに基づいて例えば再中継の禁止等の管理を行うことができる。識別符号は各住警器を特定する例えば住警器のシリアル番号等であり、グループ符号は図1のように住戸24−1,24−2のそれぞれに設置した住警器10−11,10−12または住警器10−21,10−22の各グループ内で相互に連動を行う連動グループを構成するための符号である。
事象符号は、火災などの事象内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば
0001=火災
0010=ACK
0011=警報停止
0100=復旧
0101=センサ障害
0110=ローバッテリー障害
としている。
なお、先述した「中継要求有り」を示す符号はここでは省略しているが、ビット数を増やすことで、当然これも事象符号に追加することができる。
更に本実施形態にあっては住戸間連動信号の送受信に対応した事象符号として、
0111=他住戸火災
1000=他住戸警報停止
1001=他住戸復旧
1010=他住戸センサ障害
1011=他住戸ローバッテリー障害
を追加している。なお、中継送信する連動信号には、送信元(連動元)の住警器を示す識別符号と中継を行う住警器の識別符号の両方を付加する。更に、送信先を指定する識別符号を付加しても良い。
なお、先述した「中継要求有り」を示す符号はここでは省略しているが、例えば「1111」に割り当てることで当然これも事象符号に追加することができる。また、その他例えば「0000」を定期的な通信確認用に割り当てても良い。もちろん、ビット数を増やすことで更に多くの事象符号を割り当てることができる。
再び図3を参照するに、先述の無線送受信チップに相当する第2無線通信部34にはアンテナ36を接続した第2送信回路52、第2受信回路54及びプロセッサ56が設けられている。住警器10−11の第2無線通信部34はこのアンテナ36を介してゲートウェイ装置(ここではゲートウェイ装置100−1)との間で、例えば900MHz帯のZ−Wave(R)に準拠した第2無線通信プロトコルに従って火災、火災復旧、警報停止、障害など各種の連携連動信号を送受信する。
センサ部38には、例えば散乱光式の煙検知原理によって煙を検出して、煙濃度に応じた検出信号を出力する検煙部16を設けている。
報知部40には警報音等を出力する音響出力器であるスピーカ58と警報表示等を行うLED22が、図示しないそれぞれの駆動回路と共に設けられている。スピーカ58は、警報制御部60からの制御を受けて、住警器10−11がメモリ等に保持している各種のデータ等に基づいて音声メッセージや警報音等を出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異状その他事象を表示により報知する。
操作部42には警報停止スイッチ20が設けられ、警報停止スイッチ20は前述したように点検スイッチとしての機能を兼ねている。
メモリ44には、連動信号の生成に使用する連番、識別符号、グループ符号等が格納されている。
電池電源46は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、必要各部へ電源を供給する。電池容量としては住警器10−1における回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の寿命を保証している。
プロセッサ28にはプログラムの実行により実現される機能として、警報制御部60と住戸間警報制御部62の機能が設けられる。なお、住戸間警報制御部62は請求項のシステム間警報制御部に対応する。
警報制御部60は、センサ部38に設けた検煙部16からの検出信号に基づく火災の有無、操作部42による警報停止指示入力の有無や点検指示入力の有無、センサ部38に設けた検煙部16からの検出信号が低下して火災検知状態が解消される火災復旧の有無、センサ障害や故障、ローバッテリー障害有無等の事象を検知する。また警報制御部60は第1受信回路50を介して他の住警器10−12からの連動信号の解読結果として得られた連動信号有効受信の有無およびその連動内容等の情報を検知する。
また警報制御部60は、センサ部38に設けた検煙部16の煙検出信号に基づき火災(有り)を検知した場合に、報知部40に対しスピーカ58から連動元を示す警報動作として火災警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です 確認して下さい」の音声メッセージを繰り返し出力させる制御を行うと共に、LED22を点灯させて連動元を示す火災警報表示を行わせる制御を行い、また更に、第1無線通信部30の第1送信回路48に対して第1無線通信プロトコルに従った火災連動信号をアンテナ32から他の住警器10−12に向けて送信させる制御を行う。
また警報制御部60は、第1無線通信部30のアンテナ32及び第1受信回路50を介して他の住警器10−12の何れかから第1無線通信プロトコルに従った火災連動信号を有効受信したことを検知した場合に、連動先を示す警報動作として報知部40のスピーカ58から警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを繰り返し出力させる制御を行うと共にLED22を例えば点滅させて連動先を示す警報表示を行わせる制御を行う。また更に、第1送信回路48に、連動元からの火災連動信号を受信したことに伴う応答信号(返信)としてACK信号を送信させる制御を行う。
また警報制御部60は、連動元を示す火災警報音の出力中に自己の警報停止スイッチ20の操作を検知した場合、報知部40を制御してスピーカ58からの警報音出力とLED22の警報表示出力による火災警報動作を停止させると共に、第1無線通信部30の第1送信回路48に対して第1無線通信プロトコルに従った警報停止連動信号をアンテナ32から他の住警器10−12に向けて送信させる制御を行う。
なお、住警器10−11は、連動元を示す火災警報音の出力中に他の住警器10−12からの警報停止連動信号の有効受信を警報制御部60で検知した場合、警報制御部60は、火災警報音と火災警報表示のうち少なくとも一方を、少なくとも所定期間が経過するまで停止制御せずに、連動元が識別できるようにする。
また警報制御部60は、連動先を示す警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作又は他の住警器10−12から警報停止連動信号の有効受信を検知した場合、報知部40を制御してスピーカ58からの音声メッセージによる警報音とLED22の警報表示による火災警報を動作停止させる。
さらに、警報制御部60は、火災連動信号受信時と同様に、警報停止連動信号受信に伴うACK信号を返信する。なお、後述する各ケースでも同様であるので、住警器間の通信に伴うACK信号の返信については説明を省略する。なお、住警器とゲートウェイ装置間の通信においても同様にACK信号の送受信処理を行うようにすることができるが、これも説明を省略する。また、通信のリトライ等についても適宜行うようにすることができるが、本明細書では説明を省略している。
また警報制御部60には、図示しない電圧監視回路と協働して電池電源46から供給される電源電圧が所定レベル未満となるローバッテリー障害の監視機能が設けられ、このローバッテリー障害監視はビルトインテストとしてバックグラウンドで周期的に自動実行され、都度結果がメモリ44に更新記録されている。
具体的には、ローバッテリー障害監視は、所定の測定時間間隔(周期)、例えば4時間間隔で電池電源46から供給される電源電圧を、電圧監視回路を介して読み込んで所定の閾値電圧と比較するビルトインテストを実施し、この閾値電圧未満の場合にローバッテリー障害を予備判定してメモリ44にカウント記憶しておき、更にローバッテリー障害の予備判定が連続して所定回数続いた場合にローバッテリー障害と判定(確定)して検知し、ローバッテリー障害フラグをセットしてメモリ44に更新記憶する。
また警報制御部60には、センサ部38の障害(部品劣化や故障等含む)を監視するセンサ障害監視機能が設けられ、同じくビルトインテストとしてバックグラウンドで周期的に自動実行されている。具体的には、センサ障害監視は、所定の測定時間間隔(周期)、例えば1秒間隔でセンサ部38の検煙部16から出力される煙検出信号を読み込んでメモリ44に保持し、所定の時間間隔、例えば10分毎に、メモリ44に保持している直近10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った場合に、出力停止状態である等としてセンサ部38の障害と判定して検知し、センサ障害フラグをセットしてメモリ44に更新記憶する。
また警報制御部60は、通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ20の操作による点検指示操作(点検指示入力)を検知した場合、メモリ44にローバッテリー障害フラグ又はセンサ障害フラグがセット記憶されていることを判別した場合には、報知部40からローバッテリー障害警報又はセンサ障害警報を出力させ、更に、第1無線通信部30の第1送信回路48を介して第1無線通信プロトコルに従ってローバッテリー障害連動信号又はセンサ障害連動信号を他の住警器10−12に送信して障害連動先を示すローバッテリー障害警報又はセンサ障害警報を出力させる。
もちろん、ローバッテリー障害やセンサ障害は、点検指示操作によらずビルトインテストでその障害を検知した時点で報知、連動信号送信するようにしても良い。
ローバッテリー障害やセンサ障害以外にも、各種の回路故障や経年劣化等の障害を検知して同様の処理を行わせても良い。
住戸間警報制御部62は、警報制御部60で火災を検知した場合、又は、第1無線通信部30の第1受信回路50を介して他の住警器10−12から第1無線通信プロトコルに従った火災連動信号を有効受信したことを検知した場合、警報制御部60からの指示を受けて第2無線通信部34のプロセッサ56に制御を指示して、当該火災連動信号に対応し、第2無線通信プロトコルに従った火災連携連動信号を生成させ、これを第2送信回路52からアンテナ36を介してゲートウェイ装置100−1に向けて送信させ、インターネット200及びゲートウェイ装置100−2を経由して住戸24−2の住警器10−21に送信して、連携連動により他住戸火災警報を出力させる。
前述の通り、ゲートウェイ装置100−1からインターネット200を介してゲートウェイ装置100−2に至る通信はインターネット通信プロトコルに従って行われ、ゲートウェイ装置100−2から住警器10−21への通信は第2無線通信プロトコルに従って行われる。
この他住戸火災警報動作としては例えば「ウーウー 住戸Aの火災警報器が作動しました 確認してください」といった住戸を特定した音声メッセージを繰り返し出力させると共に、LED22を点灯させて火災警報表示を行わせる。ここで、住戸Aの、どの住警器が火災を検知したかまで特定して報知することもできる。
なお、住警器10−22は、ゲートウェイ装置100−2から第2無線通信プロトコルで送信された信号が住警器10−21で受信され、これが第2無線通信プロトコルから第1無線通信プロトコルに変換送信された火災連携連動信号を受信して他住戸火災警報を出力しているが、以下説明を簡単にするため「住警器10−21,10−22で火災警報を出力する」というようにまとめて表現する場合がある。
また住戸間警報制御部62は、警報制御部60で火災復旧を検知した場合、又は、第1無線通信部30の第1受信回路48を介して他の住警器10−12から第1無線通信プロトコルに従った火災復旧連動信号を有効受信したことを検知した場合、警報制御部60からの指示を受けて第2無線通信部34のプロセッサ56に制御を指示して、当該火災復旧連動信号に対応し、第2無線通信プロトコル従った火災復旧連携連動信号を生成させ、これを第2送信回路52からアンテナ36を介してゲートウェイ装置100−1に向けて送信させ、インターネット200及びゲートウェイ装置100−2を経由して住戸24−2の住警器10−21,10−22に送信して、連携連動により他住戸火災警報を停止させる。
また住戸間警報制御部62は、警報制御部60で操作部42に設けた警報停止スイッチの操作を警報停止操作として検知した場合、又は、第1無線通信部30の第1受信回路50を介して他の住警器10−12から第1無線通信プロトコルに従った警報停止連動信号を有効受信したことを検知した場合、警報制御部60からの指示を受けて第2無線通信部34のプロセッサ56に制御を指示して、当該火災復旧連動信号に対応し、第2無線通信プロトコル従った警報停止連携連動信号を生成させ、これを第2送信回路52からアンテナ36を介してゲートウェイ装置100−1に向けて送信させ、インターネット200及びゲートウェイ装置100−2を経由して住戸24−2の住警器10−21,10−22に送信して、連携連動により他住戸火災警報を停止させる。
また住戸間警報制御部62は、警報制御部60でローバッテリー障害またはセンサ障害を検知した場合、又は、第1無線通信部30の第1受信回路4850を介して他の住警器10−12から第1無線通信プロトコルに従ったローバッテリー障害またはセンサ障害の障害連動信号を有効受信したことを検知した場合、警報制御部60からの指示を受けて第2無線通信部34のプロセッサ56に制御を指示して、当該火災復旧連動信号に対応し、第2無線通信プロトコル従った障害連携連動信号を生成させ、これを第2送信回路52からアンテナ36を介してゲートウェイ装置100−1に向けて送信させ、インターネット200及びゲートウェイ装置100−2を経由して住戸24−2の住警器10−21,10−22に送信して、連携連動により他住戸障害警報を出力させる。
[ゲートウェイ装置の構成]
図4は本発明で用いるゲートウェイ装置100−1の実施形態を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能の任意の一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。また、図4はゲートウェイ装置100−1について示しているが、ゲートウェイ装置100−2も同様の構成を有する。
ゲートウェイ装置100−1にはプロセッサ102が設けられ、プロセッサ102に対しては、有線通信部104、無線送受信チップであるアンテナ112を接続した第2無線通信部110、表示部114、操作部116、メモリ118が設けられ、商用交流電源を接続し、(このインレットは図示を省略している)電源回路部120を介して各部への供給電源としている。即ち、電源回路部120は商用交流電源から所定の直流電源を生成して必要各部へ供給する。また、商用電源停電時には予備電源装置(図示省略)に切り替えて電源供給を維持する。
第2無線通信部110には第2送信回路122と第2受信回路124、プロセッサ128が設けられ、Z−Wave(R)に準拠した第2無線通信プロトコルに従って例えば900MHz帯を使用してアンテナ112を介して住警器(ここでは住警器10−11)との間で信号を送受信する。
有線通信部104は信号線106によりインターネット200を構成するルータ等のネットワークアダプタに接続され、インターネット通信プロトコルに従って他の住戸24−2のゲートウェイ装置100−2との間で信号を送受信する。もちろん、無線式のネットワークアダプタを使用する場合には、有線通信部104および信号線106に代えて所定の無線通信部とアンテナを設け、この通信を無線とすることもできる。
プロセッサ102にはプロトコル変換部126の機能が設けられ、有線通信部104で受信したインターネット通信プロトコルに従ったIP信号(インターネットプロトコル信号)をTCP信号(転送プロトコル信号)に変換して第2無線通信部110のプロセッサ128に転送し、プロセッサ128の制御によりTCP信号を2無線通信プロトコルに従った信号に変換して第2送信回路122及びアンテナ112を介して送信させる。
また、第2無線通信部110に設けたプロセッサ128は、アンテナ112及び第2受信回路124を介して受信した第2無線通信プロトコルに従った信号を解読し、有効受信を検知した場合に第2無線通信プロトコルに従った信号をTCP信号に変換してプロセッサ102のプロトコル変換部126に転送する。プロトコル変換部120はプロセッサ128から転送されたTCP信号をインターネット通信プロトコルに従ったIP信号に変換し、有線通信部104に転送して出力させ、インターネット通信網200を介してゲートウェイ装置100−2へ送信させる。
[住警器の処理動作]
図5及び図6は図3の住警器10−11の処理の概略を例示したフローチャートである。なお、このフローチャートでは先に説明したACK信号の送受信とそれに伴う処理は省略している。図5において、住警器10−11の電池電源46による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化、自己診断、各種設定の読み込み等を実行し、異常がなければステップS2に進み、火災の有無を検知している。ステップS1で初期化異常があった場合には報知部40でその旨を報知して、動作を途中停止するか或いは再度ステップS1の処理を行うようにしているが、図示を省略している。
ステップS2において、センサ部38に設けた検煙部16から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えると火災有りが検知されてステップS3に進み、連動元火災警報処理と住戸間連携処理を行う。ステップS3の連動元火災警報処理は、第1無線通信プロトコルに従った火災連動信号を生成させて他の住警器に無線送信させると共に、警報動作として報知部40のスピーカ58から音声メッセージ等による警報音とLED22の例えば点灯による警報表示とにより連動元を示す火災警報を出力させる。またステップS2の住戸間連携処理は、第2無線通信プロトコルに従った火災連携連動信号を生成させてゲートウェイ装置100−1に送信させ、インターネット200及びゲートウェイ装置100−2を経由して住戸24−2の住警器10−21,10−22に送信させて、連携連動による他住戸火災警報(連携先警報システムでの火災発生を示す警報)を出力させる(火災警報の連携連動)。
続いて、ステップS4で検煙部16からの煙検出信号が低下して火災検知状態が解消する火災復旧の有無を検知しており、火災復旧を検知するとステップS5に進み、火災復旧処理と住戸間連携処理を行う。ステップS5の火災復旧処理は、第1無線通信プロトコルに従った火災復旧連動信号を他の住警器10−12に送信させた後、スピーカ58からの音声メッセージ等による警報音とLED22の点灯による連動元を示す火災警報を停止させる。ここで、LED22による警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯させても良い。またステップS5の住戸間連携処理は、第2無線通信プロトコルに従った火災復旧連携連動信号を生成させてゲートウェイ装置100−1に送信させ、インターネット200及びゲートウェイ装置100−2を経由して住戸24−2の住警器10−21,10−22に送信させて、連携連動による他住戸火災警報を停止させる(火災復旧の連携連動)。
続いてステップS6で警報停止スイッチ20の警報停止指示操作の有無を検知しており、スイッチ操作が警報停止指示として検知されるとステップS7に進み、警報停止処理と住戸間連携処理を行う。ステップS7の警報停止処理は、第1無線通信プロトコルに従った警報停止連動信号を他の住警器に送信させ、自己のスピーカ58からの連動元を示す警報音出力を停止させ、LED22の点灯による警報表示を消灯させる。この場合、LED22による警報表示は警報音の停止からは所定時間経過後に消灯させても良い。
またステップS7の住戸間連携処理は、第2無線通信プロトコルに従った警報停止連携連動信号を生成させてゲートウェイ装置100−1に送信させ、インターネット200及びゲートウェイ装置100−2を経由して住戸24−2の住警器10−21,10−22に送信させて、連携連動による他住戸火災警報を停止させる(警報停止の連携連動)。
続いてステップS8に進み、他の住警器(ここでは住警器10−12。以下同じ)から送信または中継送信された第1無線通信プロトコルに従った火災連動信号の有効受信有無を検知している。他の住警器からの火災連動信号有効受信を検知すると、ステップS9に進み、連動先火災警報処理と住戸間連携処理を行う。
ステップS9の連動先火災警報処理(警報動作)は、連動先を示す火災警報として自己の報知部40のスピーカ58から音声メッセージ等による警報音を出力させると共に、例えばLED22の点滅による警報表示を行わせる。このとき、必要に応じて他の住警器への中継送信或いは再中継送信を行わせるが、説明を省略する。ステップS11、S13についても同様である。
またステップS9の住戸間連携処理は、第2無線通信プロトコルに従った火災連携連動信号を生成させてゲートウェイ装置100−1に送信させ、インターネット200及びゲートウェイ装置100−2を経由して住戸24−2の住警器10−21,10−22に送信させて、連携連動による他住戸火災警報を出力させる(火災警報の連携連動)。
次にステップS10で他の住警器10−12から送信または中継送信された第1無線通信プロトコルに従った火災復旧連動信号の有効受信有無を検知しており、火災復旧連動信号の有効受信を検知すると、ステップS11に進み、連動火災復旧処理と住戸間連携処理を行う。
ステップS11の連動火災復旧処理は、スピーカ58からの連動先を示す火災警報音出力を停止させると共に、LED22の点滅による警報表示を停止させる。またステップS11の住戸間連携処理は、第2無線通信プロトコルに従った火災復旧連携連動信号を生成させてゲートウェイ装置100−1に送信させ、インターネット200及びゲートウェイ装置100−2を経由して住戸24−2の住警器10−21,10−22に送信させて、連携連動による他住戸火災警報を停止させる(火災復旧の連携連動)。
次に図6のステップS12に進み、他の住警器10−12から送信または中継送信された第1無線通信プロトコルに従った警報停止連動信号の有効受信有無を検知しており、警報停止連動信号の有効受信を検知すると、ステップS13に進み、連動警報停止処理と住戸間連携処理を行う。ステップS13の連動警報停止処理は、連動先を示す火災警報音出力を停止させると共に、LED22の点滅による警報表示を停止させる。またステップS13の住戸間連携処理は、第2無線通信プロトコルに従った警報停止連携連動信号を生成させてゲートウェイ装置100−1に送信させ、インターネット200及びゲートウェイ装置100−2を経由して住戸24−2の住警器10−21,10−22に送信させて、連携連動による他住戸火災警報を停止させる(警報停止の連携連動)。
続いてステップS14に進み、インターネット200経由の連携連動信号に基づきゲートウェイ装置100−1から第2無線通信プロトコルに従った送信された他の住戸24−2の例えば警報器10−21の火災検知に基づく火災連携連動信号の有効受信有無を検知しており、火災連携連動信号の有効受信を検知すると、ステップS15に進み、住戸間連携連動火災警報処理(警報動作)として、自己の報知部40のスピーカ58から音声メッセージ等による他住戸火災警報音を出力させると共に、例えばLED22の点滅による警報表示を行わせる。またあわせて第1無線通信プロトコルに従い、住戸間火災連携連動信号に基づく、住戸24−1内での火災連動信号を他の警報器10−12へ送信させて、連携連動による他住戸火災警報を出力させる(火災警報の連携連動)。
続いてステップS16に進み、インターネット200経由の連携連動信号に基づきゲートウェイ装置100−1から第2無線通信プロトコルに従って送信された他の住戸24−2の警報器10−21の火災復旧検知に基づく火災復旧連携連動信号の有効受信有無を検知しており、火災復旧連携連動信号の有効受信を検知するとステップS17に進み、住戸間連携連動火災復旧処理として他住戸火災警報音を停止させると共に、LED22の点滅による警報表示を停止させる。あわせて、ステップS15同様に住戸24−1内の他の住警器10−12に対し当該住戸内での火災復旧連動信号を送信させ、住警器10−12にも火災復旧処理を行わせる。
続いてステップS18に進み、インターネット200経由の連携連動信号に基づきゲートウェイ装置100−1から第2無線通信プロトコルに従って送信された住戸24−1の警報器10−21の警報停止操作検知に基づく警報停止連携連動信号の有効受信有無を検知しており、警報停止連携連動信号の有効受信を検知するとステップS19に進み、連携連動警報停止処理として他住戸火災警報音を停止させると共に、例えばLED22の点滅による警報表示を停止させる。あわせて、ステップS15同様に住戸24−1内の他の住警器10−12に対し当該住戸内での警報停止連動信号を送信させて、住警器10−12にも警報停止処理を行わせる。
続いてステップS20に進み、住警器10−11自身でローバッテリー障害またはセンサ障害を検知した場合、又は、他の住警器10−12から第1無線通信プロトコルに従いローバッテリー障害またはセンサ障害を示す障害連動信号の有効受信を検知した場合、ステップS21に進み、障害警報処理と住戸間連携処理を行う。ステップS21の障害処理は、連動元又は連動先を示すローバッテリー障害警報またはセンサ障害警報を警報音と警報表示で行わせる。またステップS21の住戸間連携処理は、第2無線通信プロトコルに従って対応する障害連携連動信号を生成させてゲートウェイ装置100−2を経由して住戸24−2の住警器10−21,10−22に送信して他住戸障害警報を出力させる。あわせて、ステップS15同様に住戸24−1内の他の住警器10−12に対し当該住戸内での障害連動信号を送信させ、住警器10−12にも障害警報処理を行わせる。
[インターネット上のサーバを経由した警報連携システム]
図7はインターネット上のサーバにより利用者携帯電話から火災警報を出力させる本発明による警報連携システムの他の実施形態を示した説明図である。
図7において、住戸24−1には、住警器10−11,10−12及びゲートウェイ装置100−1が設置され、住戸24−2には、住警器10−21,10−22及びゲートウェイ装置100−2が設置され、ゲートウェイ装置100−1,100−2はインターネット200を介して接続されており、この点は図1の実施形態と同じである。
これに加え図7の実施形態では、インターネット200上にサーバ300を配置している。サーバ300には警報器管理部302の機能とデータベース304が設けられる。警報器管理部302は住戸24−1,24−2のゲートウェイ装置100−1,100−2から他の住戸に対する、例えば火災警報連携信号を受信した場合、携帯電話ネットワーク400及び携帯電話地上局500から例えば住戸24−1の居住者が保有している利用者端末としての携帯電話600に火災警報信号を送信し、住戸を特定した火災警報を携帯電話600から出力させる。
このためサーバ300のデータベース304には利用者の携帯電話600の電話番号を識別情報として、住戸24−1,24−2に設けたゲートウェイ装置10−1,100−2のIPアドレスや住戸名称などの警報器管理に必要な情報が予め記憶されている。
サーバ300の警報器管理部302により提供される携帯電話600を利用した住戸24−1,24−2の警報器管理処理は、携帯電話ネットワーク400に対する申し込みで機能する有料サービスとして提供される。またサーバ300による携帯電話600への火災警報信号出力は、住戸24−2の居住者の保有する携帯電話に対しても同様に設定して提供することができる。もちろん、他の第三者保有の携帯電話に対しても同様に行うことができる。
図8は図7の携帯電話600に表示される火災警報画面の一例を示した説明図である。図8において、携帯電話600はサーバ300から火災警報連携信号を受信した場合に警報画面602を表示させると共に火災警報音を出力させる。警報画面602には例えば住戸24−1の名称を「住戸A」、住戸24−1の名称を「住戸B」とすると、例えば「住戸Aの火災警報器が作動しました 確認してください」といった警報メッセージ603が表示される。もちろん、火災を検知した火災警報器までを特定する内容とすることもできる。
また警報画面602上の警報メッセージ603の下には操作部位として確認釦604、住戸A自動ダイヤル釦606、住戸B自動ダイヤル釦608、119自動ダイヤル釦610及び110自動ダイヤル釦612などが表示され、各釦は透明なタッチパネルとなっていることから、必要な操作を行なうことができる。
例えば確認釦604を操作すると確認信号が携帯電話地上局500及び携帯電話ネットワーク400を経由してサーバ300に送信され、利用者に火災警報が通知されたことを認識可能とする。住戸A自動ダイヤル釦606又は住戸B自動ダイヤル釦608を操作すると、例えば住戸24−1又は24−2に設置された固定電話との通話接続を可能とする。更に、119自動ダイヤル釦606、110自動ダイヤル釦608を操作することで、必要に応じて消防機関や警察機関との通話接続を可能とする。
このように住戸24−1,24−2の警報システムで火災が検知された場合、インターネット200上のサーバ300に火災連携連動信号を送信し、サーバ300の処理により利用者の携帯電話600から発生住戸を特定した火災警報を出力させることで、利用者が外出中であっても不在中に検知した火災を知り、迅速かつ適切な対応をとることができる。
[第1の警報連携システムの変形例]
(複数住戸の警報連携)
上記の実施形態は2住戸に設置した警報システムの警報連携を例にとるものであったが、必要に応じて3住戸、4住戸というように適宜の数の住戸警報システムを連携させることができる。各住戸に配置する警報システムは、住戸毎に、1台の警報器からなるものであっても、3台以上の警報器を連動可能としたものであっても良い。
(一方向伝送による連携)
上記の実施形態での連携に係る通信は、複数の警報システムの間の双方向伝送としているが、一方の警報システムから他方の警報システム、或いは1の警報システムから他の警報システムへの一方向伝送としても良い。つまり、本発明は、少なくとも所定の警報システムで異状が検知された場合に、他の警報システムへ連携連動信号が送信されて、これに基づき当該他の警報システムで「他システム警報動作」が行われるようにすればよく、この逆方向の伝送による連携関係を必須としない。
この一方向伝送となる連携に係る通信は、図1の住戸24−1が例えば親世帯の住戸であり、住戸24−2が子世帯の住戸であった場合、親世帯の住戸24−1の住警器10−11,10−12を備えた警報システムから、子世帯の住戸1bの住警器10−21,10−22を備えた警報システムへの一方向伝送とする。このため親世帯の住戸24−1に設けた住警器10−11,10−12の第2無線通信部36(図3参照)は第2送信回路52とプロセッサ56を備えた送信専用とし、また子世帯の住戸1bに設けた住警器10−21,10−22の第2無線通信部36は第2受信回路54とプロセッサ56を備えた受信専用とする。
親世帯の住戸24−1の例えば住警器10−11で火災を検知して火災連携連動信号をゲートウェイ装置100−1へ送信した場合、この火災連携連動信号はゲートウェイ装置100−1、インターネット200及びゲートウェイ装置100−2を経由して子世帯の住戸24−2の警報器10−21,10−22へ送信され、当該火災連携連動信号を受信した住警器10−21,10−22に、親世帯の住戸24−1の火災発生を示す他住戸火災警報を出力させる。火災復旧連携連動信号及び警報停止連携連動信号の一方向伝送も同様である。
(警報システム)
また上記の実施形態における警報システムは異状として火災を検知して警報する住警器の連動システムを例にとるものであったが、住警器以外の火災警報器、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器、地震警報器(緊急地震放送受信機等)、その他任意の警報器を配置した警報システムやそれら各種の警報器を混在させて配置した警報システムについても同様に適用できる。更に、これらの警報器に加え中継装置や受信装置を含むシステムにも適用できる。
また図4の住警器10−11にあっては、検煙部16を備え、火災に伴い発生する煙を観測して監視領域の火災を検知する煙式火災警報器を例に取っているが、これ以外に火災に伴う熱を検出するサーミスタ等の温度検知素子を備えた熱式火災警報器火災に伴うその他の環境変化を検知する火災警報器、火災以外にガス漏れを検知する警報器、侵入者や地震その他の異状を検知する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。
(通信方式)
また、警報器の連動や各部の連携に係る通信は無線によるものでなくても良く、有線通信によっても、また有線と無線を適宜混在させるものであっても良い。このとき、各通信プロトコルはそれらに適合したものに代えれば良い。また、インターネット200についても、本発明の機能を実現できる他のネットワークに代えることができる。
また、上記の実施形態では第1無線通信プロトコルと第2無線通信プロトコルの変換は住警器側で行っているが、これをゲートウェイ装置側で行うようにしても良い。この場合は上記実施形態のゲートウェイ装置に、第1無線通信部、第1無線通信プロトコル及び第2無線通信プロトコルの変換処理部を設け、第2無線通信部と協働して処理するようにする。このようなシステムでは、警報器の第2無線通信部は省略でき、住警器(警報器)および警報システムは特別な構成を必要とせず、従来のものがそのまま使用できる。
また、上記実施形態における各第2無線通信部としては、必ずしも市販の無線送受信チップを用いる必要は無く、その機能を実現できれば他のモジュールや回路ブロック等を採用することができる。
(その他)
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定処理やその他の処理を挿入する等ができる。
また、上記実施の形態で示したプロセッサは、その機能の一部又は全部を、例えばワイヤードロジック等による他の手段に代えることができる。プロセッサを含め他の電気的、機能的構成は適宜に統廃合することもできる。
また、上記の実施形態は住戸(住戸)用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報システムと機器管理システムの連携にも適用できる。
[第2の警報連携システム]
[無線メッシュネットワークを経由した警報連携システム]
(警報連携システムの概要)
図9は、2住戸に設置された警報システムを、固定局に重点をおいたモバイル無線ネットワークである無線メッシュネットワークを利用して連携させる場合の、本発明による第2の警報連携システムの実施形態の概略構成を示した説明図である。
図9に示すように、本実施形態の警報連携システムは、住戸1012−1に設置した警報システムAと、住戸1012−2に設置した警報システムBを、それぞれの警報システムに配置した通信アダプタ1014−1,1014−2を介し無線メッシュネットワーク1000を経由して連携させる。
また警報システムA、Bはそれぞれ、住戸用火災警報器である住警器1010−11及び1010−12、住警器1010−21及び1010−22を備えており、住戸1012−1、1012−2における火災を監視している。
無線メッシュネットワーク1000は、アクセスポイント制御機能、経路制御機能、中継制御機能を備えた固定局であるメッシュポイント1016−1〜1016−5を分散配置し、メッシュ状の無線通信経路1011cを構築している。
警報連携システムの動作の概要は次のようになる。例えば住戸1012−1の警報システムAに属する住警器1010−11で火災を検知した場合、住警器1010−11は連動元を示す火災警報を出力すると共に、通信経路1011aにより住警器1010−12へ火災連動信号を送信する。この火災連動信号を受信した住警器1010−12は、連動先を示す火災警報を出力する。
また、住警器1010−11からの火災連動信号は通信アダプタ1014−1でも受信される。通信アダプタ1014−1は受信した火災連動信号に基づき、自分を送信元とし、住戸1012−2の通信アダプタ1014−2を宛先とした火災連携連動パケットを生成し、通信経路1011bにより無線メッシュネットワーク1000のメッシュポイント1016−1へ送信する。
メッシュポイント1016−1は、受信した火災連携連動パケットに基づく経路制御と中継制御により、メッシュポイント1016−1から例えばメッシュポイント1016−5を通る通信経路を経てメッシュポイント1016−4へ火災連携連動パケットを送信し、更にメッシュポイント1016−4から通信経路1011bを経て住戸1012−2に設置した通信アダプタ1014−2へ火災連携連動パケットが送信される。
火災連携連動パケットを受信した通信アダプタ1014−2は、これに基づき火災連携連動信号を生成し、通信経路1011aを経て住警器1010−21,1010−22へ火災連携連動信号を送信する。火災連携連動信号を受信した住警器1010−21,1010−22は、他の住戸1012−1の火災を示す他住戸火災警報を出力する。なお、通信経路1011aのうち住警器1010−21と1010−22を結ぶ経路、住警器1010−21と1010−22を結ぶ経路は、一方の住警器から他方の住警器への中継通信経路である。
このような警報連携システムは例えば、高齢者住戸とその管理者住戸、被介護者住戸と介護者住戸、託児所とそこに預けられた子の親の住戸、学校と生徒の住戸、職場と自宅、同一施設の複数の建屋間等で様々に利用することができる。
以下、住警器1010−11〜1010−22、通信アダプタ1014−1,1014−2、メッシュポイント1016−1〜1016−5をそれぞれ区別せず総称する場合は、住警器1010、通信アダプタ1014、メッシュポイント1016という。
また、警報システム内で住警器同士が連動する場合を「連動」といい、また異なるシステム同士が連動する場合を「連携」という。そして、一方の警報システムの住警器での事象検知(或いはこれに基づく警報出力或いはその復旧や停止)に基づき他方の警報システムの住警器から警報を出力することを連携連動という。
また、警報システム内で警報器同士が送受信する信号を「連動信号」といい、異なるシステムとの間で送受信する信号及びパケットを「連携連動信号」及び「連携連動パケット」という。前者の連動信号には、事象に応じて火災連動信号、火災復旧連動信号、警報停止連動信号及び障害連動信号等があり、同様に後者の連携連動信号及び連携連動パケットには、火災連携連動信号、火災復旧連携連動信号、警報停止連携連動信号、障害連携連動信号、及び火災連携連動パケット、火災復旧連携連動パケット、警報停止連携連動パケット及び障害連携連動パケット等がある。
また、連動アダプタ1014−1,1014−2は、それぞれ警報システムA,Bに属する。
[警報システムの概要]
図9において、住戸1012−1は例えば親世帯の住戸であり、住戸1012−2は子世帯の住戸であり、両者は異なった場所に離れて建てられている。住戸1012−1の台所、居間、主寝室、階段室など所定の警戒エリア(監視領域)には、火災を検知して連動警報する無線連動型の住警器(住戸用火災警報器)1010−11、1010−12を設置し、連動型の警報システムAを構築している。
また住戸1012−2の台所、居間、子供部屋、主寝室、階段室など所定の警戒エリア(監視領域)にも、同じく火災を検知して連動警報する無線連動型の住警器(住戸用火災警報器)1010−21、1010−22を設置し、連動型の警報システムBを構築している。
なお、住戸1012−1,1012−1は説明の都合上、それぞれ住警器を2台設置した場合を例示しているが、それぞれの警報システムを構成する警報器の台数(連動台数)は任意で、1台であっても3以上の複数台であっても良く、それぞれの警報システム毎に必要に応じ適宜の数を設置できる。1台とする場合は、その住警器については他の住警器との連動機能とそれに係る構成を省略することができる。
住警器1010は、自己の監視領域について火災を監視している。いま住戸1012−1で万一、火災が発生したとすると、例えば住警器1010−11が火災を検知して警報を開始する。この火災を検知して警報を開始することを、住警器における「発報」という。
住警器1010−11が発報する場合、住警器1010−11は警報音と警報表示により連動元を示す火災警報を出力すると共に、他の住警器1010−12に対し所定の無線通信プロトコルに従った火災連動信号を無線送信する。連動元の住警器1010−11は、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力させると共に、LEDを例えば点灯させる。
他の住警器1010−12は、連動元の住警器1010−11からの火災連動信号を有効受信した場合に、警報音と警報表示により連動先を示す火災警報を報知する。連動先の住警器1010−12は、例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力させると共に、LEDを例えば点滅させる。
ここで、住警器1010は、受信した連動信号に含まれるグループ符号がメモリに登録しているグループ符号に一致し、且つ信号内容を正常認識したときに、この連動信号を有効受信したことを検知するようにしている。さらに、連動信号を有効受信した住警器1010は必要に応じて連動信号の中継送信を行う。グループ符号は警報システム毎に固有の符号として設定されており、各住警器はこの符号によって自己の属する警報システムに関連する連動信号を識別処理する。
[無線メッシュネットワークの構成]
(無線メッシュネットワークの概要)
図9に示す無線メッシュネットワーク1000は、固定局として配置したメッシュポイント1016−1〜1016−5によりメッシュ状の通信経路1011cを形成している。無線メッシュネットワーク1000は、IEEE802.11シリーズの無線LANに準拠したネットワークである。
無線メッシュネットワーク1000を構築するメッシュポイント1016−1〜1016−5には、次の3種類がある。
(1)無線LANメッシュネットワーク制御機能(経路制御機能と中継制御機能)のみを実装したMP(Mesh Point)とよばれるメッシュポイント。
(2)無線LAMメッシュネットワーク制御機能とアクセスポイント制御機能を実装したMAP(Mesh Access Point)と呼ばれるメッシュポイント。
(3)外部インターネット等に接続するゲートウェイ機能を実装したMPP(MP collocated with a mesh Portal)と呼ばれるメッシュポイント。
また無線メッシュネットワーク1000に対しては、経路制御機能と中継制御機能を持たない通常の無線LAN端末であるパーソナルコンピュータ等のステーションが配置される。図9に示す住戸1012−1,1012−2に配置した通信アダプタ1014−1,1014−2は、無線LAN端末としてのステーションに該当する。
メッシュポイント1016−1〜1016−5について見ると、メッシュポイント1016−1,1016−4は、ステーションとしての通信アダプタ1014−1,1014−2がリンクすることから、これは(2)のアクセスポイント制御機能を備えたメッシュポイントである。それ以外のメッシュポイント1016−2,1016−3,1016−5は、前記(1)又は(2)の何れかのメッシュポイントとなる。また(3)のゲートウェイ機能を備えたメッシュポイントは、本実施形態では使用していない。
転送要求のパケットを受信したメッシュポイント1016は、経路制御と中継制御により、パケットをマルチホップ方式(バケツリレー方式)で、隣のメッシュポイントへ、そのまた隣のメッシュポイントへと転送を繰り返し、宛先のメッシュポイントまで転送する。
(無線メッシュネットワークの経路制御)
無線メッシュネットワーク1000のルーティングプロトコル(経路制御プロトコル)には、プロアクティブ型と、リアクティブ型がある。プロアクティブ型は、通信の有無にかかわらず事前に通信経路を確保する。リアクティブ型は、通信要求が発生した場合に通信経路を確保する。
無線メッシュネットワーク1000のルーティングプロトコルは、ISO7階層モデルにおけるデータリンク層(第2層)の下位層となるメディアアクセス制御副層(MAC副層)に実装される。なお、データリンク層の上位層は論理リンク制御副層(LLC副層)となる。また、メディアアクセス制御副層(MAC副層)のデータはフレームというが、ネットワーク層(第3層)のデータであるパケットという場合もある。
(プロアクティブ型)
プロアクティブ型ルーティングプロトコルは、メッシュポイント1016間で周期的な制御メッセージの交換を行うことにより、各メッシュポイント1016が全ての終点メッシュポイントへの経路情報を常時保持する。
各メッシュポイント1016は例えばハローメッセージを周期的にブロードキャストするフラッディングにより、全ての終点メッシュポイントへの経路情報を取得し、この経路情報に基づく隣接メッシュポイントとの接続(リンク)を示すルーティングテーブルを常時保持する。メッシュポイントはパケットの宛先アドレスからルーティングテーブルを用いて次にホップする隣接メッシュポイントを決定し、パケットを送信する。
ここで、フラッディングとは、情報の発生源となるメッシュポイントがパケットを周囲のメッシュポイントへ送信し、それを受信したメッシュポイントは次々とパケットの再転送を行い(但し重複パケットの再転送は行わない)、全てのメッシュポイントにパケットを転送するブロードキャスト方式である。
(リアクティブ型)
リアクティブ型ルーティングプロトコルは、情報の発生源となるソースのメッシュポイントでパケット転送要求が発生した場合、宛先メッシュポイントに至る経路情報を獲得してパケットを転送する方式であり、獲得した経路情報は一定時間保持する。
即ち、ソースのメッシュポイントは、経路要求フレーム(RREQ(Route Request)フレーム)をブロードキャストするフラッディングにより、全てのメッシュポイントへ転送する。
経路要求フレームを受信した宛先メッシュポイントは、経路応答フレーム(RREP(Route Reply)パケット)をユニキャストで逆経路の端末を辿るようにソースのメッシュポイントまで順次転送し、これによりソースのメッシュポイントは宛先メッシュポイントまでの通信経路を発見し、ソースのメッシュポイントから宛先のメッシュポイントへフレーム転送を行う。
(無線メッシュネットワークの中継制御機能)
無線メッシュネットワーク1000の中継制御機能は、ISO7階層モデルにおけるデータリンク層(第2層)の下位層となるメディアアクセス制御副層(MAC副層)に実装され、ネットワーク層(第3層)から要求されたパケットを隣接ポイントに配送するように物理層(第1層)に要求を出す。
隣接メッシュポイントに送信すべきフレームを持つ送信元メッシュポイントは、キャリアセンスを行い、キャリアに空きがあった場合には、所定の時間を待つバックオフを行った後に、送信要求フレーム(RTS(Request to Send)フレーム)を隣接メッシュポイントへ向けて送信する。
送信要求フレームを受信した隣接メッシュポイントは送信確認フレーム(CTS(Clear to Send)フレーム)を送信元メッシュポイントへ送信する。送信確認フレームを受信した送信元メッシュポイントは、データフレームを隣接メッシュポイントへ送信し、データフレームを受信した隣接メッシュポイントはACKフレームを返送し、これでメッシュポイント間の1ホップ転送を完了し、これを宛先メッシュポイントに到達するまで繰り返すマルチホップ転送を行う。
(無線メッシュネットワークを経由したステーション間の通信)
無線メッシュネットワーク1000を経由したステーション間の通信は、送信元ステーションがリンクするメッシュポイントと、宛先ステーションがリンクするメッシュポイントが、それぞれ代理として経路制御及び中継制御を行うことで確立する。
送信元のステーションからパケットを受信したメッシュポイントは、経路制御と中継制御により、パケットをマルチホップ方式で、隣のメッシュポイントへ、そのまた隣のメッシュポイントへと転送を繰り返し、宛先のステーションがリンクしているメッシュポイントまで転送し、最終的に宛先ステーションに転送する。
このステーション間の通信は、図9の住戸1012−1,1012−2に配置した通信アダプタ1014−1,1014−2との通信に適用される。送信元の通信アダプタ1014−1から火災連携連動パケットを受信したメッシュアクセスポイント1016−1は、経路制御と中継制御により、火災連携連動パケットをマルチホップ方式で、隣のメッシュポイント1016−5へ、そのまた隣のメッシュポイント1016−4へと転送を繰り返し、更にメッシュポイント1016−4から宛先の通信アダプタ1014−2まで転送する。
(アクセスポイント制御機能)
メッシュポイント1016−1に通信接続する通信アダプタ1014−1には、メッシュポイント1016−1の識別子であるESS−ID(Extended Service Set Identifier)を予め設定登録しておく。同様に、メッシュポイント1016−4に通信接続する通信アダプタ1014−2にも、メッシュポイント1016−4の識別子であるESS−IDを予め設定登録しておく。これによりメッシュポイント1016は設定登録されている識別子ESS−IDの端末としか通信しないようにすることができる。
メッシュポイント1016−1,1016−4とそのステーションとなる通信アダプタ1014−1,1014−2との間の通信接続を行うアクセスポイント制御機能は、パッシブスキャン方式とアクティブスキャン方式に大別される。
(パッシブスキャン方式)
パッシブスキャン方式は、メッシュポイント1016が定期的にブロードキャストするビーコンフレームを通信アダプタ1014で受信し、通信アダプタ1014は予め設定登録しているメッシュポイントの識別子ESS−IDが、接続しようとしているメッシュポイント1016の識別子ESS−IDと同じかどうかを問い合わせるプローブ要求フレームを送信する。メッシュポイント1016はプローブ要求フレームにより受信した識別子ESS−IDが自己の識別子ESS−IDと同じであればプローブ応答フレームを返送し、通信アダプタ1014はこれを受信して、メッシュポイント1016の識別子ESS−IDが設定登録しているものと同じ識別子であることを確認する。
続いて通信アダプタ1014とメッシュポイント1016の間で、予め設定した認証方式を使って認証を行い、認証に成功すると、通信アダプタ1014からメッシュポイント1016へ接続要求としてアソシエーション要求フレームを送信し、メッシュポイント1016が許可応答としてアソシエーション応答フレームを返送すると接続が完了し、火災連携連動パケットの通信を行う。
(アクティブスキャン方式)
アクティブスキャン方式は、通信アダプタ1014でメッシュポイント1016からのビーコンフレームを一定時間にわたり受信できなかった場合に、通信アダプタ1014が接続を行いたい識別子ESS−IDの情報をプローブ要求フレームにより送信し、メッシュポイント1016からプローブ応答フレームが得られれば、パッシブスキャン方式と同様に、認証、アソシエーション要求と応答に移行し、接続を完了し、火災連携連動パケットの通信を行う。
[住警器の構成]
図10は無線連動型の住警器1010−11の機能構成の概略を示したブロック図であり、他の住警器1010−12〜1010−22も同様となる。
図10において、住警器1010−11は、警報制御部1018、センサ部1020、アンテナ1024を接続した連動通信部1022、報知部1026、操作部1028を備え、図示しない電池電源により動作する。
警報制御部1018は、例えばプログラムの実行により実現される機能である。ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。
センサ部1020は温度検出部または検煙部である。センサ部1020として温度検出部を設けた場合、温度検出素子として例えばサーミスタを使用し、この場合、温度による抵抗値の変化に対応した電圧検出信号を警報制御部1018へ出力する。またセンサ部1020として検煙部を設けた場合、公知の散乱光式検煙構造をもち、警報制御部1018の指示により、所定周期で赤外LEDを用いた発光部を間欠的に発光駆動し、フォトダイオードなどの受光部で受光した散乱光の受光信号を増幅し、煙濃度検出信号を警報制御部1018へ出力する。
連動通信部1022は、他の住警器1010−12との間で所定の通信プロトコルに従って火災連動信号を送受信する。この通信プロトコルは、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)又はSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠する。この火災連動信号は、送信元を示す送信元符号、グループ符号、事象符号、制御コマンド等を含む形式とする。
報知部1026は、スピーカ、LED及びそれぞれの駆動回路を備え、必要に応じ警報制御部1018の指示によりスピーカから警報音を出力すると共にLEDにより警報表示を行う。操作部1028は警報音及び又は警報表示を停止するための操作を受け付ける警報停止スイッチなどの各種スイッチを備える。
警報制御部1018は、次の火災警報制御、火災復旧制御、警報停止制御、障害監視制御、及び連携連動警報制御等を行う。
(火災警報制御)
警報制御部1018は、センサ部1020から出力した温度又は煙濃度の検知信号をAD変換により読み込み、所定の閾値以上の場合に火災を検知し、報知部1026から連動元を示す火災警報を出力させる制御を行う。この場合の火災警報として例えば「ピー ピー ピー 火事です 火事です」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯して行う。
また、警報制御部1018は、報知部1026から火災警報を出力させた場合、火災連動信号を生成し、連動通信部1022に指示し、他の住警器1010−12へ火災連動信号を送信させる制御を行い、当該火災連動信号を受信した他の住警器1010−12で連動先を示す火災警報を出力させる。
この場合の連動先を示す火災警報としては例えば「ピー ピー ピー 別の警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯して行う。なお、火災連動信号は通信アダプタ1014−1でも受信され、連携のための火災連携連動パケットの送信が行われる。
また、警報制御部1018は、連動通信部1022を介して他の住警器1010−12が送信した火災連動信号の有効受信を検知した場合、報知部1026からの連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。この場合の連動先を示す火災警報も例えば「ピー ピー ピー 別の警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯して行う。
なお、住警器1010−11又は1010−12が送信した火災連動信号は通信アダプタ1014−1でも受信され、連携のための火災連携連動パケットの送信が行われる。
(火災復旧制御)
警報制御部1018は、センサ部1020の検出信号に基づき温度又は煙濃度が閾値を下回る状態が例えば所定時間継続した場合或いは例えば所定回数連続した場合、火災の復旧(火災検知状態が解消したこと)を検知し、報知部1026からの連動先を示す火災警報出力を停止させると共に、火災復旧連動信号を生成し、連動通信部1022に指示し、当該火災復旧連動信号を他の住警器1010−12へ送信させる制御を行い、これを受信した他の住警器に、連動先を示す火災警報出力を停止させる。
また警報制御部1018は、連動通信部1022を介して他の住警器1010−12が送信した火災復旧連動信号の有効受信を検知した場合に、報知部1026からの連動先を示す火災警報出力を停止させる制御を行う。
(警報停止制御)
警報制御部1018は、連動元として火災警報の出力中に操作部1028の警報停止スイッチで受け付けた警報停止操作を検知した場合、報知部1026からの連動元を示す火災警報出力を停止させると共に、警報停止連動信号を生成し、連動通信部1022に指示し、当該警報停止連動信号を他の住警器1010へ送信させる制御を行い、これを受信した他の住警器1010−12に、連動先を示す火災警報出力を停止させる。
また警報制御部1018は、連動通信部1022を介して他の住警器1010−12が送信した警報停止連動信号の有効受信を検知した場合に、報知部1026からの連動先を示す火災警報出力を停止させる制御を行う。
(障害監視制御)
警報制御部1018は、ローバッテリー障害又はセンサ障害を検知した場合、報知部1026に指示し、連動元を示す障害警報を出力させると共に、障害連動信号を生成し、連動通信部22に指示し、当該障害連動信号を他の住警器1010−12へ送信させる制御を行い、これを受信した他の住警器1010−12に、連動先を示す障害警報を出力させる。
また、警報制御部1018は、ローバッテリー障害又はセンサ障害の障害復旧を検知した場合、報知部1026に指示し、連動元を示す障害警報出力を停止させると共に、障害復旧連動信号を生成し、連動通信部1022に指示し、当該障害復旧連動信号を他の住警器1010−12へ送信させる制御を行い、これを受信した他の住警器1010−12に、連動先を示す障害警報出力を停止させる。
(連携連動警報制御)
警報制御部1018は、他の住戸1012−2の警報システムの例えば住警器1010−21の火災検知に基づき無線メッシュネットワーク1000を経由して送られてきた火災連携連動信号の有効受信を、連動通信部1022を介して検知した場合、報知部1026に指示し、他の住戸1012−2の火災を示す他住戸火災警報を出力させる制御を行う。
また、警報制御部1018は、火災連携連動信号の有効受信を検知した場合、連動通信部1022に指示し、対応する火災連携連動信号を住警器1010−12に送信する制御を行い、これを受信した住警器1010−12に、他の住戸1012−2における火災発生を示す他住戸火災警報を出力させる。
このような他住戸を特定した他住戸火災警報を実現するため、各連携連動信号には住戸1012−2に設けた送信側警報システムのグループ符号が付されていることから、住戸1012−2の名称を、住警器1010−21を備えた警報システムのグループ符号に対応してメモリに例えば「住戸○○」として予め記憶しておき、警報制御部1018はグループ符号の認識処理に基づき報知部1026に指示し、他住戸火災警報として例えば「ピー ピー ピー 住戸○○の警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯する他住戸火災警報を行う。
また、各連携連動信号には、連動元住警器1010−21の送信元符号を付していることから、この送信元符号を認識処理することで、他住戸火災警報の内容は住戸1012−21を特定するだけでなく、その住警器1010−21によって検知されたことまでを特定する内容とすることができる。
また、警報制御部1018は、連携通信部1022を介して火災復旧連携連動信号、警報停止連携連動信号、障害連携連動信号、障害復旧連携連動信号を受信した場合にも、それぞれに対応した制御を行う。
[通信アダプタの構成]
図11は通信アダプタ1014−1の機能構成の概略を示したブロック図であり、他の通信アダプタ1014−2も同様となる。
図11において、通信アダプタ1014−1は、中継制御部1030、アンテナ1032aを接続した連動通信部1032、アンテナ1034aを接続した無線LAN通信部1034を備え、図示しない電池電源により動作する。
中継制御部1030は、例えばプログラムの実行により実現される機能である。ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。
連動通信部1032は、図10の住警器1010−12に設けた連動通信部1022と同じであり、住警器1010−11,1010−12との間で所定の通信プロトコルに従って火災連動信号の受信と火災連携連動信号の送信を行う。
無線LAN通信部1034は、IEEE802.11シリーズの無線LANに準拠し、無線メッシュネットワーク1000のメッシュポイント1016との間で通信接続を行う。
中継制御部1030は、連動通信部1032を介して住警器1010からの火災連動信号を受信した場合、送信元を通信アダプタ1014−1、宛先を通信アダプタ1014−2とした火災連携連動パケットを生成し、無線LAN通信部1034に指示し、無線LANのアクセスポイント制御機能に従った手順で無線メッシュネットワーク1000のメッシュポイント1016−1に通信接続し、火災連携連動パケットを送信する制御を行う。
また、中継制御部1030は、連動通信部1032を介して住警器1010からの火災復旧連動信号、警報停止連動信号、障害連動信号、又は障害復旧連動信号を受信した場合にも、同様に、送信元を通信アダプタ1014−1とし宛先を通信アダプタ1014−2とした、それぞれに対応した連携連動パケットを生成し、無線LAN通信部1034に指示し、無線LANのアクセスポイント制御機能に従った手順で無線メッシュネットワーク1000のメッシュポイント1016−1に通信接続し、各連携連動パケットを送信する制御を行う。
また、中継制御部1030は、無線LAN通信部1034を介して無線メッシュネットワーク1000のメッシュポイント1016が送信した火災連携連動パケットを受信した場合、火災連携連動信号を生成し、連動通信部1032に指示し、火災連携連動信号を住警器1010−11,1010−12へ送信する制御を行う。
また、中継制御部1030は、無線LAN通信部1034を介して無線メッシュネットワーク1000のメッシュポイント1016が送信した火災復旧連動パケット、警報停止連携連動パケット、障害連携連動パケット、又は障害復旧連携連動パケットを受信した場合、それぞれ対応した連携連動信号を生成し、連動通信部1032に指示し、火災連携連動信号を住警器1010−11,1010−12へ送信する制御を行う。
[メッシュポイントの構成]
図12はメッシュポイント1016−1の機能構成の概略を示したブロック図であり、他のメッシュポイント1016−2〜1016−5も基本的に同様となる。
図12において、メッシュポイント1016−1は、メッシュネットワーク制御部1035、アンテナ1036aを接続した無線LAN通信部1036、記憶部1038を備え、図示しない予備電源付きの商用交流電源により動作する。
メッシュネットワーク制御部1035は、例えばプログラムの実行により実現される機能である。ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。
アンテナ1036aを備えた無線LAN通信部1036は、図11の通信アダプタ1014−1に設けた無線LAN通信部1034と同じであり、通信アダプタ1014−1及び隣接するメッシュポイント1016−2、1016−3、1016−5との通信接続を行う。
メッシュネットワーク制御部1035は、通信アダプタ1014−1との間で通信接続するためのアクセスポイント制御、メッシュネットワーク1000を使用した通信接続のための経路制御と中継制御を行う。このアクセスポイント制御、経路制御及び中継制御の詳細は既に説明した通りである。
また、メッシュポイント1016−4のメッシュネットワーク制御部は、メッシュポイント1016−1のメッシュネットワーク制御部1035の場合と同様に、アクセスポイント制御、経路制御及び中継制御を行うが、他の、アクセスポイント制御を必要としないメッシュポイントのメッシュネットワーク制御部は、メッシュネットワーク1000を使用した通信接続のための経路制御と中継制御のみを行う。
[無線モバイルアドホックネットワークを経由した警報連携システム]
(警報連携システムの概要)
図13は、本発明による第2の警報連携システムの他の実施形態として、2住戸に設置された警報システムを、移動局に重点をおいたモバイル無線ネットワークである無線モバイルアドホックネットワーク(Wireless Mobile Ad Hoc Network)を利用して連携させる場合の概略構成を示した説明図である。
図13に示すように、本実施形態の警報連携システムは、住戸1012−1に設置した警報システムCと、住戸1012−2に設置した警報システムDを、それぞれの警報システムに配置した通信アダプタ1014−1,1014−2から無線モバイルアドホックネットワーク1100を経由して連携させる。警報システムC,D及びそれらに属する住警器1010−11〜1010−12は、図9の警報システムA,B及び図10の住警器1010−11と基本的に同様である。
無線モバイルアドホックネットワーク1100は、アクセスポイント制御機能、経路制御機能、及び中継制御機能を備えた移動局である例えば携帯電話機1040−1〜1040−6が任意に分散して存在し、メッシュ状の無線通信経路1011dを構築している。携帯電話機1040−1〜1040−6は人が携帯しており、太い矢印で示すように任意の方向に移動しており、相対的な位置関係、物理的なネットワーク形態は常に変化している。
本実施形態における警報連携システムの動作の概要は次のようになる。例えば住戸1012−1の警報システムCの住警器1010−11で火災を検知した場合、住警器1010−11は連動元を示す火災警報を出力すると共に、通信経路1011aにより火災連動信号を住警器1010−12へ送信する。住警器1010−1からの火災連動信号を受信した住警器1010−12は、連動先を示す火災警報を出力する。
また、住警器1010−11からの火災連動信号は通信アダプタ1014−1でも受信される。通信アダプタ1014−1は受信した火災連動信号に基づき、自分を送信元とし、宛先を住戸1012−1の通信アダプタ1014−1とした火災連携連動パケットを生成し、通信経路1011bを介して無線モバイルアドホックネットワーク1100へ送信する。
このとき通信アダプタ1014−1との通信可能領域に例えば携帯電話機1040−1が位置していたとすると、携帯電話機1040−1は受信した火災連携連動パケットに基づく経路制御と中継制御により、携帯電話機1040−1から例えば携帯電話機1040−5を通る通信経路1011dを経て携帯電話機1040−4へ火災連携連動パケットを送信し、更に携帯電話機1040−4から通信経路1011bを経て住戸1012−2に設置した通信アダプタ1014−2へ火災連携連動パケットが送信される。
このようにして転送された火災連携連動パケットを受信した通信アダプタ1014−2は、これに基づき火災連携連動信号を生成し、通信経路1011aを経て住警器1010−22,1010−22へ火災連携連動信号を送信する。火災連携連動信号を受信した住警器1010−21,1010−22は、他の住戸1012−1の火災を示す他住戸火災警報を出力する。
なお、通信経路1011aのうち住警器1010−11と1010−12を結ぶ経路、住警器1010−21と1010−22を結ぶ経路は、一方の住警器から他方の住警器への中継通信経路である。
なお、以下、携帯電話機1040−1〜1040−6をそれぞれ区別せず総称する場合は携帯電話機1040という。
(無線モバイルアドホックネットワークの概要)
図13に示した無線モバイルアドホックネットワーク1100は、移動局に重点をおいたタイプであり、移動局である各ノードが自立的に通信ネットワークを構成して通信環境を整えることができ、直接通信できないノードであっても、他のノードを経由することによって、通信を可能とする。
無線モバイルアドホックネットワーク1100は、携帯電話の基地局や無線LANのアクセスポイントのように、基地局に代表される固定の通信基盤(装置)が存在していない環境であっても、端末ノード間で通信を確保しながら固定基地局までの通信をマルチホップ伝送により可能とする。
無線モバイルアドホックネットワーク1100は、アクセスポイント制御機能、経路制御機能及び中継制御機能を含む通信機能を有するノードの集まりであり、ノードのみによってノード相互の通信を実現する。ノードは新たに追加されたり、退去したり、移動する動的な環境を想定する。原則として、特別な役割をもつノードは存在せず、全てのノードは同様の役割を持ち、対等の関係にある。
即ち、無線モバイルアドホックネットワークは次の特徴をもつ。
(a)移動通信ネットワークの構成に不可欠な基地局とそれらを結ぶ固定網は利用しない。
(b)ノードは互いに対等で自立分散的に振舞う。
(c)ノード同士が無線通信により、直接データを交換する。
(d)電波が届かず直接データを交換できないノード同士も、途中のノードが中継する無線マルチホップ通信により、データ交換が可能である。
(無線モバイルアドホックネットワークの経路制御)
図13に示した無線モバイルアドホックネットワーク1100のルーティングプロトコルには、図9に示した無線メッシュネットワーク1000の場合と同様に、プロアクティブ型と、リアクティブ型がある。
プロアクティブ型は、通信の有無にかかわらず事前に通信経路を確保する。リアクティブ型は、通信要求が発生した場合に通信経路を確保する。
無線モバイルアドホックネットワーク1100のルーティングプロトコルは、ISO7階層モデルにおけるデータリンク層(第2層)の下位層となるメディアアクセス制御副層(MAC副層)に実装される。なお、データリンク層の上位層は論理リンク制御副層(LLC副層)となる。
(プロアクティブ型)
プロアクティブ型ルーティングプロトコルは、ノード間で周期的な制御パケットの交換を行うことにより、各ノードが全ての終点への経路情報を常時保持する。各ノードは例えばハローパケットを周期的にブロードキャストするフラッディングにより、全ての終点ノードへの経路情報を取得し、この経路情報に基づく隣接ノードとの接続(リンク)を示すルーティングテーブルを常時保持する。ノードはパケットの宛先アドレスからルーティングテーブルを用いて次にホップする隣接ノードを決定し、パケットを送信する。
(リアクティブ型)
リアクティブ型ルーティングプロトコルは、情報の発生源となるソースノードでパケット転送要求が発生した場合、宛先ノードに至る経路情報を獲得してパケットを転送する方式であり、獲得した経路情報は一定時間保持する。
即ち、ソースノードは、経路要求フレーム(RREQ(Route Request)フレーム)をブロードキャストするフラッディングを行って全てのノードへ転送し、経路要求フレームを受信した宛先ノードは、経路応答フレーム(RREP(Route Reply)パケット)をユニキャストで逆経路のノードを辿るようにソースノードまで順次転送し、これによりソースノードは宛先ノードまでの経路を発見し、ソースノードから宛先ノードへフレーム転送を行う。
(無線モバイルアドホックネットワークの中継制御)
無線モバイルアドホックネットワーク1100の中継制御は、ISO7階層モデルにおけるデータリンク層(第2層)の下位層となるメディアアクセス制御副層に実装され、ネットワーク層(第3層)から要求されたパケットを隣接ノードに配送するように物理層(第1層)に要求を出す。
隣接ノードに送信すべきフレームを持つ送信元ノードは、キャリアセンスを行い、キャリアに空きがあった場合には、所定の時間を待つバックオフを行った後に、送信要求フレーム(RTS(Request to Send)フレーム)を隣接ノードへ向けて送信する。
送信要求フレームを受信した隣接ノードは送信確認フレーム(CTS(Clear to Send)フレーム)を送信元ノードへ送信する。送信確認フレームを受信した送信元ノードは、データフレームを隣接ノードへ送信し、データフレームを受信した隣接ノードはACKフレームを返送する。
[無線モバイルアドホックネットワークを経由した端末間の通信]
無線モバイルアドホックネットワーク1100を経由した無線LAN端末となる通信アダプタ1014−1,1014−2の間の通信は、通信要求が発生したときに、送信元の例えば通信アダプタ1014−1がリンクする携帯電話機1040−1と、宛先の通信アダプタ1014−2がリンクする携帯電話機1040−4が、それぞれ代理として経路制御及び中継制御を行うことで確立する。
送信元の通信アダプタから火災連携連動パケットを受信した携帯電話機1040−1は、経路制御と中継制御により、火災連携連動パケットをマルチホップ方式で、隣の携帯電話機1040−5を経由して、宛先の無線アダプタ1014−2がリンクしている携帯電話機1040−4まで転送し、最終的に宛先の無線アダプタ1014−2へ転送する。
(アクセスポイント制御機能)
アクセスポイント制御機能を備えた携帯電話機1040に通信接続する通信アダプタ1014には、携帯電話機1040に実装したアクセスボイント機能の識別子であるESS−ID(Extended Service Set Identifier)を予め設定しておく必要がある。
しかし、通信アダプタ1014−1,1014−2が通信接続する無線モバイルアドホックネットワーク1100の携帯電話機1040は、その移動に伴い接続相手が常に変化することから、特定の携帯電話機1040の識別子ESS−IDを設定することはできない。そこで通信アダプタ1014には、どのアクセスポイントにも接続できる特殊な識別子として知られた識別子「ANY」を設定する。
携帯電話機1040と通信アダプタ1014の間の接続手順となるアクセスポイント制御機能は、パッシブスキャン方式とアクティブスキャン方式に大別され、通信アダプタ1014から携帯電話機1040へ問い合わせる識別子ESS−IDとして「ANY」を使用する以外は、図9の無線メッシュネットワーク1000のメッシュポイント1016の場合と同様になることから、その説明は省略する。
[スマートフォンの構成]
図14は無線モバイルアドホックネットワーク1100の移動局として機能する携帯電話機1040−1の構成の概略を示したブロック図であり、個人用の携帯コンピュータの機能を併せもつ携帯電話機として知られたスマートフォンを例にとっている。なお、携帯電話機1040−2〜1040−6も同様となる。
図14において、携帯電話機1040−1は、制御部1042、携帯電話通信部1044、高速移動通信部1046、無線LAN通信部1048、GPS通信部(全地球測位システム通信部)1050、カメラ部1052、SIMカード1054、ディスプレイ1056、タッチパネル1058、音声入出力部1060、USB端子部1062、操作部1064及びメモリカード1066を備える。
制御部1042は、アプリケーションプロセッサを構成するCPU、メモリ、各種入出力インタフェースを備えたLSIで実現され、アプリケーションとしてインストールされたプログラムを実行し、このプログラムの実行により、携帯電話制御部1068とアドホックネットワーク制御部1070の機能を実現する。
アンテナ1044aを備えた携帯電話通信部1068は、第3世代移動通信システム(3G)として知られたW−CDMAにより携帯電話通信を行う。
高速移動通信部1046は、例えばIEEE802.16eに準拠したモバイルWiMAX(登録商標)によるモバイル高速移動通信を行う。無線LAN通信部1048は、イーサネット(登録商標)による無線ネットワークをベースにしたIEEE802.11シリーズに準拠した無線通信を行う。
GPS通信部1050は、米国が運用する周回衛星を使用した全地球測位システム(Global Positioning System)を利用して、現在位置の経度と緯度を取得するための通信を行う。
カメラ部1052は、CMOS撮像素子を使用して画像の撮像を行い、静止画及び動画を取得する。
SIMカード1054は、携帯電話番号を識別するための番号であるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)番号を格納したカードであり、SIMカード1054の差し替えにより、複数の携帯電話機で同じ携帯電話番号を利用可能とする。
ディスプレイ1056は、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスを使用し、パネル表面にはタッチパネル1058を配置している。音声入出力部1060は、マイク、スピーカ、及びオーディオコーデック(Audio CODEC)を備えて音声入出力を行う。
USB端子部1062は、適宜の周辺機器を接続するデジタル・インタフェースのコネクタを接続する。操作部1064は、キーパッドや操作釦による利用者の操作を受け付けて制御部1042に通知する。メモリカード1066は、着脱自在な外部メモリであり、カメラ部1052で撮像した画像等の各種データの外部記憶に使用する。
制御部1042の携帯電話制御部1068は所定の携帯電話通信プロトコルに従った制御を行う。
制御部1042のアドホックネットワーク制御部1070は、通信アダプタ1014(1014−1)との間で通信接続するためのアクセスポイント制御、無線モバイルアドホックネットワーク1100を使用した通信接続のための経路制御と中継制御を行う。このアクセスポイント制御、経路制御及び中継制御の詳細は、既に説明して通りである。
[第2の警報連携システムの変形例]
(警報システム)
上記の実施形態は2住戸に設置した警報システムの警報連携を例にとるものであったが、必要に応じて3住戸、4住戸というように適宜の数の住戸警報システムを、無線メッシュネットワーク又は無線モバイルアドホックネットワークを利用して連携させることができる。各住戸に配置する警報器システムは、住戸毎に、1台の警報器からなるものであっても、3台以上の警報器を連動可能としたものであっても良い。
(無線モバイルアドホックネットワーク)
また、上記の実施形態の無線モバイルアドホックネットワークの移動端末として携帯電話機を例にとるものであったが、これに限定されず、携帯型コンピュータ、携帯型ゲーム機、ナビゲーション装置など無線LAN通信機能を備えた適宜の移動端末を含む。
(サーバや携帯電話との連携)
また、上記の実施形態は、2住戸に設けた警報システムの連携を例にとるものであったが、更に、無線メッシュネットワークのメッシュポイント又は無線モバイルアドホックネットワークのノードから外部のインターネットや携帯電話網に通信接続し、警報システムで火災を検知した場合に、火災連携連動パケットをインターネット上のサーバや利用者の携帯電話機に送信して火災を報知するようにしても良い。
(警報システム)
また、上記の実施形態における警報システムは異状として火災を検知して警報する住警器の連動システムを例にとるものであったが、住警器以外の火災警報器、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器、地震警報器(緊急地震放送受信機など)、その他任意の警報器を配置した警報システムやそれら各種の警報器を混在させて配置した警報システムについても同様に適用できる。更に、これらの警報器に加え中継装置や受信装置を含むシステムにも適用できる。
また、警報器の連動に係る通信、警報器と通信アダプタとの通信は無線によるものでなくても良く、有線通信によっても、また有線と無線を適宜混在させるものであっても良い。
更に、図9、図13の実施形態における連動型の警報システムA〜Dの一部又は全部は、グループ内警報器(住警器)同士の連動について親警報器(親器)と子警報器(子器)を設ける所謂親子式のシステムであっても親子を区別しない方式であっても良く、本発明の連携連動による他住戸の異状(例えば火災)警報を、同警報システム内の複数の警報器で連動報知できるものであればどのよう方式であっても良い。このとき、複数の警報器を設けた警報システム内の全ての警報器から他住戸異状警報を出力する必要は無く、少なくとも1台の警報器から出力できれば良い。
(その他)
また、上記の実施形態は住戸に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報システムとの連携にも適用できる。
[本発明の警報連携システムの他の変形]
本発明の警報連携システムを形成する各警報システムの全部又は一部は、上記実施形態で示したようにそれぞれ別々の住戸等、相互に離れた場所に配置されることを必須としない。警報システムは同じ住戸や建物、敷地その他に複数配置されても良い。例えば、同一建物内の異なる区画やフロアにそれぞれ警報システムを配置することもできる。
本発明は上記の各実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。