JP6239363B2 - 表皮材 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、柔道畳、ヨガマットやストレッチマット等の各種スポーツ用マット、ソファー等の家具などの表面を覆う表皮材に関するものである。
塩化ビニル系樹脂シートは、比較的安価であり、機械的強度(耐摩耗性など)が高く、加工性にも優れるため、各種用途に用いられている。例えば、柔道畳の畳表には、古来から畳表に汎用されているイグサに替えて塩化ビニル系樹脂等の樹脂シートが用いられている。またヨガマットやストレッチマット等の各種スポーツ用マットの表皮材として、あるいはソファー等の家具の表皮材としても塩化ビニル系樹脂シートが利用される。
柔道畳の畳表に使用される塩化ビニル系樹脂シートとしては、例えば、特定量の炭酸カルシウムと塩化ビニル系樹脂を含む上層と、特定量の炭酸カルシウムと塩化ビニル系樹脂を含む下層との積層体が提案されている(特許文献1)。この積層体は、耐屈曲性を低下させることなく、燃焼時の塩化水素ガスの発生という塩化ビニル系樹脂特有の問題を回避しようとするものであり、表面の触感については全く考慮されていない。
特開2006−7543号公報
ところで、一般に、塩化ビニル系樹脂シートは表面のべたつき感が強い。そのため、柔道畳、ヨガマットやストレッチマット等の各種スポーツ用マット、ソファー等の家具といった人の皮膚と接触する機会が多い用途においては、塩化ビニル系樹脂シートを表皮材として用いると、人が触れた際に不快感を与えることがあった。
本発明は、上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、塩化ビニル系樹脂で構成されたものでありながら、べたつき感が少なくサラサラした触感を持つ表皮材を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、塩化ビニル系樹脂シート(塩化ビニル系樹脂層)の表面に吸湿性微粒子を含む樹脂層(最表層)を積層したものであり、一定以上の吸湿性を有する積層体によって表皮材を構成すれば、塩化ビニル系樹脂シートが持つ特性を活かしながら、べたつき感が少なくサラサラした触感を実現させることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る表皮材は、塩化ビニル系樹脂層と、吸湿性微粒子および樹脂を含んでなる最表層との積層体を備え、前記積層体は、温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間の間に吸湿する吸湿量が5g/m2以上であることを特徴とする。
本発明においては、前記最表層の厚みをA(μm)、前記塩化ビニル系樹脂層の厚みをB(μm)とした時、A/Bの値が0.01以下であることが好ましく、前記最表層を形成する前記樹脂はウレタン樹脂を含むことが好ましい。
さらに、本発明の表皮材は、前記積層体の塩化ビニル系樹脂層側の面にさらに不織布および/または織編物からなる基材層を備えることが好ましい。また本発明の表皮材において前記最表層にエンボス処理が施されていることが好ましい。
本発明の表皮材は、好ましくは、柔道畳の畳表として用いられる。
本発明の表皮材は、塩化ビニル系樹脂層と最表層とを積層したものであり、かつ一定以上の吸湿性を有する積層体を具備しているので、比較的安価であり、機械的強度(耐摩耗性など)が高く、加工性にも優れるという塩化ビニル系樹脂の利点を享受しつつ、べたつき感が少なくサラサラした触感を実現できる。
1.積層体
本発明の表皮材は、塩化ビニル系樹脂層と最表層との積層体を備えたものであり、この積層体は、温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間の間に吸湿する吸湿量(以下「特定吸湿量」と称することもある)が5g/m2以上であることが重要である。これにより、塩化ビニル系樹脂で構成されたものでありながら、べたつき感が少なくサラサラした触感を発現させることができる。特定吸湿量は、好ましくは5g/m2以上、より好ましくは6g/m2以上である。また特定吸湿量があまりに多すぎると、表皮材から水分を多量に吸湿し得るようになり、その結果、表皮材自体の重さが増したり、表皮材が元の状態に戻るまでに時間がかかるといった不都合が起こる場合があるので、好ましくは50g/m2以下、より好ましくは40g/m2以下、さらに好ましくは30g/m2以下であるのがよい。
なお、本発明における「積層体」は、塩化ビニル系樹脂層と最表層の積層体であるが、この「積層体」は塩化ビニル系樹脂層と最表層のみからなる態様に限定されるものではなく、例えば両層が接着剤からなる層を介して接合されている場合には、両層間の接着剤層も包含するものである。
前記積層体の特定吸湿量は、例えば、積層体の塩化ビニル系樹脂層側の面を不透湿性のアルミニウムフィルム等で覆ったものを試料とし、この試料を絶乾状態とした時の質量(絶乾質量)と、絶乾状態とした試料を温度20℃、湿度65%RHの恒温恒湿環境中に24時間静置した時の試料質量(吸湿質量)とを測定し、その差を試料面積で除することにより求めることができる。なお、本発明の表皮材が前記積層体以外の層(後述する基材層など)を有する場合には、当該積層体以外の層を剥がし、積層体のみの状態として上記測定を行えばよい。
前記積層体は、最表層の厚みをA(μm)、塩化ビニル系樹脂層の厚みをB(μm)とした時、A/Bの値が0.01以下であることが好ましく、より好ましくは0.006以下、さらに好ましくは0.003以下、特に好ましくは0.002以下である。このように本発明の表皮材においては、最表層の厚みが塩化ビニル系樹脂層の厚みに比べ非常に薄い。塩化ビニル系樹脂層に対し最表層の厚みが厚くなり、A/Bの値が前記範囲を超えてしまうと、表皮材としての厚みと重さが必要以上に増すとともに、表皮材として硬くなりすぎる傾向があるため、取り扱い性が低下して、例えば表皮材で芯材を覆う際の作業性を損なう虞がある。
1−1.塩化ビニル系樹脂層
本発明における塩化ビニル系樹脂層は、通常、塩化ビニル系樹脂と、可塑剤と、必要に応じて改質剤、顔料・着色剤、滑剤等とを含む組成物で構成される。塩化ビニル系樹脂層の形成に際しては、例えば、カレンダー法、溶融押出法、押出成形法等の公知の製膜方法を採用すればよい。
塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニルのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。塩化ビニル系樹脂は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
塩化ビニル系樹脂の重合度は、特に制限はなく、例えば700〜3000であればよいが、加工性の観点からは800以上であることが好ましい。なお、高重合度の塩化ビニル系樹脂を用いる場合は、公知の改質剤(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、塩素化ポリエチレンなど)を配合することにより加工性を改善することができる。
塩化ビニル系樹脂層中の塩化ビニル系樹脂の含有量は、30質量%以上、90質量%以下が好ましく、より好ましくは、40質量%以上、70質量%以下である。
塩化ビニル系樹脂層を形成する組成物には、前記塩化ビニル系樹脂を軟化させてシートまたはフィルムに加工するうえで、可塑剤を含有させることが望ましい。可塑剤は、特に制限されるものではなく、公知の可塑剤を用いることができるが、例えば、エステル系可塑剤、アジピン酸ポリエステル等のポリエステル系可塑剤が好適であり、より好ましくはエステル系可塑剤がよい。好ましい可塑剤の具体例としては、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジ−n−オクチル(n−DOP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ベンジルブチル(BBP)等のフタル酸エステル;トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(TOTM)等のトリメリット酸エステル;アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ベンジルオクチル(BOA)、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸エステル;トリクレジルフォスフェート(TCP)、ジフェニルクレジルフォスフェート(DPCP)等のリン酸エステル;等が挙げられる。可塑剤としては、環境に対する安全性の観点からは、フタル酸エステルおよびフタル酸ポリエステル以外の非フタル酸系可塑剤が好ましい。可塑剤は1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
塩化ビニル系樹脂層を形成する組成物に可塑剤を含有させる場合、その含有量は、塩化ビニル系樹脂層中、10質量%以上、60質量%以下が好ましく、より好ましくは、20質量%以上、50質量%以下である。
塩化ビニル系樹脂層は、その一部または全部が発泡層であってもよい。塩化ビニル系樹脂層が発泡層を含んでいると、圧縮柔らかさが増し、硬さを感じにくくなるため、クッション性を付与し、ソフト化を図るうえで、好ましい。
塩化ビニル系樹脂層を発泡させる方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を採用すればよい。例えば、塩化ビニル系樹脂層を形成する組成物の中に発泡剤を含有させておき、製膜後に加熱して発泡剤を熱分解させる方法を採用することができる。
発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム及び重炭酸ソーダ等の無機化合物、並びにアゾ化合物、スルホヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、アジド化合物等の有機化合物等が使用できる。アゾ化合物としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、2,2−アゾイソブチロニトリル、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、ジアゾアミノベンゼン等が挙げられ、これらの中でも、ADCAが好まれて活用されている。スルホヒドラジド化合物としては、ベンゼンスルホヒドラジド、ベンゼン−1,3−ジスルホヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3−ジスルホンヒドラジド、ジフェニルオキシド−4,4−ジスルホンヒドラジド等が挙げられる。ニトロソ化合物としては、N,N−ジニトロソペンタエチレンテトラミン(DNPT)、N,N−ジメチルテレフタレート等が挙げられる。アジド化合物としては、テレフタルアジド、P−第三ブチルベンズアジド等が挙げられる
塩化ビニル系樹脂層が一部に発泡層を含んでいる場合(塩化ビニル系樹脂層が発泡層と非発泡層との積層体である場合)、発泡層の占める割合があまりに多すぎると、摩擦強度が低下するなど、強度面で不都合が生じることがある。したがって、塩化ビニル系樹脂層が発泡層と非発泡層との積層体である場合、少なくとも非発泡層の厚みが100μm以上であることが好ましく、より好ましくは150μm以上、さらに好ましくは200μm以上であるのがよい。
塩化ビニル系樹脂層の厚みは、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上である。塩化ビニル系樹脂層の厚みが薄すぎると、得られる表皮材の機械的強度が不十分となる虞がある。一方、塩化ビニル系樹脂層が厚すぎると、取り扱い性が低下して、例えば表皮材で芯材を覆う際の作業性を損なう虞があるため、塩化ビニル系樹脂層の厚みは5mm以下が好ましく、より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは2mm以下である。
1−2.最表層
本発明における最表層は、樹脂と吸湿性微粒子とを含んでいる。これにより、本発明の表皮材にべたつき感が少なくサラサラした触感を発現させることができる。
1−2−1.樹脂
最表層を構成する樹脂は、特に制限されるものではなく、例えば、ウレタン樹脂、アミド樹脂、アクリレート樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリル樹脂などが挙げられるが、これらの中でも、ウレタン樹脂が好適である。最表層を構成する樹脂は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
ウレタン樹脂としては、分子量400〜4000のポリアルキレンエーテルグリコール、末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、ポリε−カプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの単独あるいは混合物を、有機ジイソシアネートと反応させて得られるものであり、必要に応じて2個の活性水素を有する化合物で鎖延長させて得られるものが挙げられる。これらウレタン樹脂の構成成分は、それぞれ1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンプロピレンオキシド付加物、末端にエチレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール、ビニルモノマーグラフト化ポリエーテルポリオール等が挙げられる。前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコールと、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、トリメリット酸などのカルボン酸類とを末端がヒドロキシル酸となるように反応させたもの等が挙げられる。前記ポリε−カプロラクトンポリオールとしては、例えば分子量500〜3000のものが挙げられ、また2官能タイプだけでなく、3官能、4官能など多官能タイプのものを用いることもできる。前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリエチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げられる。
有機ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5’−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどの脂肪族イソシアネート;等が挙げられる。
鎖延長する際には、鎖延長剤として、水;ヒドラジン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン等のジアミン類;エチレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、あるいはジメチロールプロピオン酸やアミノエタンスルホン酸へのエチレンオキサイド付加物等のグリコール類;等を単独あるいは混合して用いることができる。
ウレタン樹脂としては、ポリカーボネートポリオールを用いたポリカーボネート系ウレタン樹脂が好ましい。ポリカーボネート系ウレタン樹脂であれば、表皮材のサラサラした触感をより発現させやすくなる。特にシリコーン変性されたポリカーボネート系ウレタン樹脂が好ましい。シリコーン変性されたポリカーボネート系ウレタン樹脂は、分子鎖中にオルガノポリシロキサン骨格を有するか、分子鎖末端にイソシアネート基と非反応性の官能基(例えばトリアルキルシリル基、トリアリールシリル基等)により封止されたオルガノポリシロキサン骨格を有するポリカーボネート系ウレタン樹脂である。
1−2−2.吸湿性微粒子
最表層を構成する吸湿性微粒子は、吸湿性を有する微粒子であればよく、特に制限されないが、好ましくは、アクリル系架橋重合体を原料として得られる微粒子が挙げられる。以下、このアクリル系架橋重合体由来の吸湿性微粒子について説明する。
アクリル系架橋重合体は、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アミド;などのアクリル酸系モノマーや、(メタ)アクリロニトリルなどの少なくとも重合性ビニル基とニトリル基を有するアクリロニトリル系モノマーに、必要に応じて他の共重合単量体を加えた共重合単量体組成物を共重合したアクリル系重合体に、架橋構造を導入したものである。
前記アクリル系重合体を得る際に用いるアクリル酸系モノマーあるいはアクリロニトリル系モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。また、他の共重合単量体としては、最終的に得られる吸湿性微粒子の作用を損なうものでなければ特に限定されず、例えば、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、p−スチレンスルホン酸塩などのスルホン酸含有モノマーおよびその塩、スチレン、酢酸ビニルなどのビニル系化合物やビニリデン系化合物などが使用可能である。
前記アクリル系重合体に架橋構造を導入する際には、前記共重合単量体組成物に、さらに架橋構造を形成する共重合成分として2以上の重合性ビニル基を有する化合物を加え、これを共重合する方法が採用できる。2以上の重合性ビニル基を有する化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミドなどが好ましく用いられる。
また、アクリル系重合体が、アクリロニトリル系モノマーに、必要に応じて他の共重合単量体を加えた共重合単量体組成物を共重合して得られるアクリロニトリル系重合体である場合は、ヒドラジン系化合物処理により、架橋構造を導入することも可能である。この場合に使用できるヒドラジン系化合物としては、ヒドラジン;水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硝酸ヒドラジン、臭素酸ヒドラジン、ヒドラジンカーボネートなどのヒドラジン塩類;エチレンジアミン、硫酸グアジニン、塩酸グアジニン、硝酸グアジニン、リン酸グアジニン、メラミンなどのヒドラジン誘導体などが挙げられる。
前記アクリル系重合体に架橋構造を導入する際には、上記の他の共重合単量体、2以上の重合性ビニル基を有する化合物、ヒドラジン系化合物は、それぞれ1種単独で、または2種以上を使用することができる。
上記のアクリル系架橋重合体はいずれも、カルボキシル基を有するか、カルボキシル基に変性できる官能基を有するものであり、該カルボキシル基あるいはカルボキシル基に変性できる官能基を塩型カルボキシル基に化学変換せしめることで、吸湿性微粒子となる。吸湿性微粒子中の塩型カルボキシル基の量は、例えば1.0mmol/g以上が好ましく、より好ましくは2.0mmol/g以上である。
吸湿性微粒子として好適に用いることのできる市販品としては、例えば、東洋紡社製「タフチック(登録商標)HU−720SF」等が挙げられる。
吸湿性微粒子の粒子径は、平均粒子径で、20μm以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。なお、吸湿性微粒子の平均粒子径の下限は特に限定されないが、0.5μm以上が好適である。
最表層中の吸湿性微粒子の含有量は、0.1g/m2以上が好ましく、より好ましくは0.3g/m2以上、さらに好ましくは0.4g/m2以上である。最表層に吸湿性微粒子が0.1g/m2以上含有されていると、得られる表皮材にサラサラした触感を与え易くなる。一方、最表層中の吸湿性微粒子が多くなると、表皮材の表面から微粒子が脱落しやすくなったり、触感が変化する虞があるので、吸湿性微粒子の含有量の上限は、50g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは30g/m2以下、さらに好ましくは20g/m2以下、特に好ましくは15g/m2以下である。
1−2−3.最表層の積層
前記塩化ビニル系樹脂層に最表層を積層する方法は、特に限定されず、例えば、前記樹脂と前記吸湿性微粒子とを含む組成物(塗工液)を塩化ビニル系樹脂層上に塗布した後、乾燥もしくは硬化させる方法、前記樹脂と前記吸湿性微粒子とを含む組成物を公知の方法でフィルム化し、塩化ビニル系樹脂層に貼り付けるラミネート法など、公知の方法を採用すればよい。ラミネート法の場合、公知の接着剤で形成した接着剤層を介して貼り付けてもよいし、熱圧着等により直接貼り付けてもよい。
最表層の厚みは、0.5μm以上が好ましく、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上である。最表層の厚みが薄すぎると、べたつき感を抑えてサラサラした触感を実現し難くなる。一方、最表層の厚みは、50μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。最表層の厚みが厚すぎると、表皮材としての厚みと重さが必要以上に増すとともに、表皮材として硬くなりすぎる傾向があるため、取り扱い性が低下して、例えば表皮材で芯材を覆う際の作業性を損なう虞がある。
最表層の目付量は、0.5g/m2以上が好ましく、より好ましくは1g/m2以上、さらに好ましくは2g/m2以上であり、50g/m2以下が好ましく、より好ましくは40g/m2以下、さらに好ましくは30g/m2以下である。
本発明においては、最表層にエンボス処理が施されていることが好ましい。エンボス処理を施すことによりサラサラした触感をより発現させ易くなる。また得られた表皮材を例えば柔道畳の畳表として使用するのであれば、エンボス処理によりイグサ製畳表の畳目調の模様を施すことにより、イグサ製の畳表に近似した外観を与えることができる。
2.基材層
本発明の表皮材は、前記積層体の塩化ビニル系樹脂層側の面に基材層を有していることが好ましい。基材層を設けることにより、柔道畳、マット、ソファー等の芯材を本発明の表皮材で覆う際に、塩化ビニル系樹脂層の伸びを制御し、良好な作業性で被覆、固定(縫製等)することが可能になる。
基材層は、不織布および/または織編物により構成されることが好ましい。基材層が不織布または織編物であれば、表皮材として必要な強度を保つことができる。
基材層の目付量は、特に制限されず、例えば30g/m2以上が好ましく、より好ましくは50g/m2以上、さらに好ましくは80g/m2以上であり、400g/m2以下が好ましく、より好ましくは300g/m2以下、さらに好ましくは200g/m2以下である。目付量が上記範囲内であれば、機械的特性に優れ、軽量な表皮材となる。
基材層の厚みは、特に制限されないが、50μm以上が好ましく、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは200μm以上であり、5000μm以下が好ましく、4500μm以下がより好ましく、4000μm以下がさらに好ましい。
基材層と塩化ビニル系樹脂層との接合方法は、特に限定されず、例えば、予めシート状に成形した塩化ビニル系樹脂層と基材層とを公知の接着剤を用いて、もしくは熱圧着等によって貼りあわせてもよいし、塩化ビニル系樹脂層を形成するための組成物を溶融させ基材層上に直接押出成形してもよい。
3.表皮材
3−1.物性
本発明の表皮材は、発汗シュミレーション試験(「スキンモデル試験」とも言う)による発汗開始1分後の掌内湿度の上昇(ΔH)(以下「掌内湿度上昇(ΔH)」と称することもある)が20%RH以下であることが好ましい。ここで、発汗シュミレーション試験とは、常に一定の水蒸気と熱が表皮材表面に供給されるようにし、表皮材が発汗した掌に触れる状況を再現するモデル試験である。実際に人が表皮材に触れた際に感じるべたつき感は、肌と表皮材の間に介在する水分(汗)が処理されないことが原因と推定されるので、前記掌内湿度上昇(ΔH)が前記範囲であると、よりべたつき感が少なく、よりサラサラした触感が得られる。掌内湿度上昇(ΔH)は、より好ましくは18%RH以下、さらに好ましくは17%以下、特に好ましくは16%RH以下である。掌内湿度上昇(ΔH)の下限は、特に限定されず、0%RHである。
前記発汗シュミレーション試験は、発汗シミュレーション測定装置を用い、水供給量:140g/m2・h、熱板温度:37℃、試料−熱板距離:0.5cm、環境温湿度:20℃×65%RH、発汗パターン:試験開始より5分間発汗を実施し、熱板と試料(表皮材の最表層側の面)の間の空間の温湿度を測定するものであり、ΔHは、発汗から1分間経過後の湿度(H1min)から発汗開始前の湿度(H)を差し引くことにより求められる。詳しくは、実施例で後述する。
本発明の表皮材の目付量は、特に制限されず、例えば200g/m2以上が好ましく、より好ましくは300g/m2以上、さらに好ましくは400g/m2以上であり、3500g/m2以下が好ましく、より好ましくは3000g/m2以下、さらに好ましくは2500g/m2以下である。
本発明の表皮材の厚みは、特に制限されないが、200μm以上が好ましく、より好ましくは300μm以上、さらに好ましくは400μm以上であり、3500μm以下が好ましく、3000μm以下がより好ましく、2500μm以下がさらに好ましい。
3−2.用途
本発明の表皮材は、例えば、柔道畳、ヨガマットやストレッチマット等の各種スポーツ用マット、ソファー等の家具などの表面を覆う表皮材として有用であるが、特に耐摩耗性等の機械的強度が求められる柔道畳の畳表として好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、実施例および比較例において、塩化ビニル系樹脂層と最表層との積層体の吸湿性は下記の方法で測定した。
<積層体の吸湿性(特定吸湿量)>
塩化ビニル系樹脂層と最表層との積層体の吸湿性は、温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間の間に吸湿する吸湿量(特定吸湿量)を測定することにより評価した。
まず、得られた表皮材を14cm×5cmの大きさに切り出し、この表皮材から基材層を剥離し、露出した塩化ビニル系樹脂層の全面に両面テープ(ニチバン社製「ナイスタック(登録商標)」:5cm幅)を用いて不透湿性アルミニウムフィルム(東レフィルム加工株式会社製「VM−CPP」)を貼り付けることにより、塩化ビニル系樹脂層を不透湿性アルミニウムフィルムで覆い隠した状態の積層体(塩化ビニル系樹脂層/最表層)を得、これを測定サンプルとした。
そして、得られた測定サンプルを絶乾状態にしてその質量(絶乾質量)を測定した後、温度20℃、湿度65%RHの環境下に24時間静置したときの質量(吸湿質量)を測定し、下記式に基づき、温度20℃、湿度65%RHの環境下における24時間の吸湿量(g/m2)を求めた。
特定吸湿量(g/m2)=(吸湿質量(g)−絶乾質量(g))/(0.14×0.05)
詳しくは、絶乾質量は以下のようにして測定した。すなわち、測定サンプルを蓋付きの秤量瓶に入れ、この秤量瓶を蓋を開けた状態でデシケータの中に入れ(このとき蓋もデシケータ内に入れておいた)、このデシケータを105℃に設定したオーブン中に入れた。デシケータをオーブン内に入れてから2時間以上経過後、オーブンを開け、素早く、デシケータ内の秤量瓶に蓋(デシケータ内に入れておいた蓋)を付けた。そして蓋をした秤量瓶が入ったデシケータを密閉状態としてから、オーブンから取り出し、デシケータの外側表面が常温程度に下がるまで室温中で1時間以上放置し、その後、内部に測定サンプルを収容した蓋付き秤量瓶の質量を電子天秤にて測定し、得られた値から、予め測定しておいた秤量瓶と蓋の合計質量を差し引くことにより、測定サンプルの絶乾質量を求めた。
吸湿質量は、絶乾質量を測定した後、内部に測定サンプルを収容した秤量瓶を蓋をした状態のままデシケータ内に入れ、このデシケータを密閉状態にしたまま、温度20℃、湿度65%RHに調整された恒温恒湿器内に入れ、1時間放置することにより調温した。その後、恒温恒湿器内で素早く、デシケータを開放状態とし、その中に収容した秤量瓶の蓋を開けた。秤量瓶の蓋を開けてから24時間経過後、恒温恒湿器内で素早く、秤量瓶に蓋をし、次いでデシケータを密閉状態とした。そして蓋をした秤量瓶が入ったデシケータを恒温恒湿器から取り出し、内部に測定サンプルを収容した蓋付き秤量瓶の質量を電子天秤にて測定し、得られた値から、予め測定しておいた秤量瓶と蓋の合計質量を差し引くことにより、測定サンプルの吸湿質量を求めた。
<積層体の掌内湿度上昇(ΔH)>
発汗シミュレーション測定装置(東洋紡株式会社製)を用い、水供給量:140g/m2・hr、熱板温度:37℃、試料−熱板距離:0.5cm、環境温湿度:20℃×65%RH、発汗パターン:試験開始より5分発汗を実施し、熱板と試料(表皮材の最表層側の表面)の間の空間の湿度を測定した。測定結果から、試験開始前の湿度に対する発汗1分経過時の湿度上昇(ΔH)を求めた。
なお、発汗シミュレーション装置は、発汗孔を有する基体および産熱体からなる産熱発汗機構、発汗孔に水を供給するための送水機構、産熱体の温度を制御する産熱制御機構、温湿度センサーから構成されている。基体は黄銅製で面積120cm2であり、発汗孔が6個設けられており、面状ヒーターからなる産熱体により一定温度に制御される。送水機構はチューブポンプを用いており、一定水量を基体の発汗孔に送り出す。基体表面には、厚み0.1mmのポリエステルマルチフィラメント織物からなる模擬皮膚が貼り付けられており、これにより発汗孔から吐出された水が基体表面に広げられ、発汗状態が作り出される。基体の周囲には高さ0.5cmの外枠が設けられており、試料を基体から0.5cm離れた位置にセットできる。温湿度センサーは基体と試料との間の空間に設置され、基体が発汗状態の時の「基体と試料と外枠で囲まれた空間」の湿度を測定する。
(実施例1)
レーヨン100%織物(東京杉本社製、品番A120−53;厚み300μm、目付け150g/m2、密度75本/45本、繊度20番手)を基材層とし、該基材層の片面にグラビア印刷機にて接着剤(大日精化工業社製「セイカボンドE−256−40」:1液型エステル系ポリウレタン接着剤、有機溶剤系)を乾燥後の付着量が8g/m2となるよう塗布した後、120℃で1分間乾燥して、基材層に厚み2μmの接着剤層を形成した。
次に、下記配合組成で調製した塩化ビニル系樹脂層形成用組成物を熱溶融させ、カレンダー圧延機にて1000μmに圧延しつつ、接着剤層付き基材層の接着剤層側の面に熱圧着させて、塩化ビニル系樹脂層を形成した。このとき、カレンダー圧延機のロール温度は180℃とし、塩化ビニル系樹脂層形成用組成物の付着量(目付け)は1200g/m2となるようした。
[塩化ビニル系樹脂層形成用組成物の配合組成]
・ポリ塩化ビニル:PVC(大洋塩ビ社製「TH−1000(軟質用)」:重合度1000)100質量部
・アジピン酸ポリエステル系可塑剤(ジェイプラス社製「D643」)65質量部
・安定剤(カルボン酸亜鉛:カルボン酸バリウム=50:50(質量比))3質量部
・重炭酸カルシウム(三共製粉社製「エスカロン♯100」)20質量部
・顔料(日弘ビックス社製「TLカラー」)5質量部
次いで、下記配合組成で調製した最表層形成用組成物を、上記塩化ビニル系樹脂層の上にグラビア印刷機にて乾燥後の付着量(目付け)が1.6g/m2となるよう塗布した後、120℃で30秒間乾燥して、厚み1μmの最表層を形成した。
[最表層形成用組成物の配合組成]
・ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(大日精化工業社製「レザロイドLu313SP」;固形分10質量%)100質量部
・吸湿性微粒子(東洋紡社製アクリル系微粒子「タフチック(登録商標)HU−720SF」;体積平均粒子径4μm)5質量部
・銀系抗菌剤(東亞合成社製「ノバロン(登録商標)AG300」)1質量部
・イミダゾール系抗菌剤(大和化学工業社製「アモルデン(登録商標)TL−20」)0.4質量部
最後に、上記で得られた積層物(基材層/接着剤層/塩化ビニル系樹脂/最表層)を加熱して溶融させた後、表面温度が低下する前に最表層に冷却したエンボスロールを押し付けてシボ形状を転移させることにより、畳柄のエンボス処理を施して、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間の間に吸湿する吸湿量:特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
(実施例2)
最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物の材料として用いたポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に代え、ポリエステル系ポリウレタン樹脂(セイコー化成社製「ラックスキン(登録商標)U−3810」;固形分10質量%)100質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
(実施例3)
塩化ビニル系樹脂層を形成するにあたり、塩化ビニル系樹脂層形成用組成物を付着量(目付け)が2400g/m2となるよう変更して2000μmに圧延したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
(実施例4)
最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物を乾燥後の付着量(目付け)が4.8g/m2となるよう塗布し、最表層の厚みが3μmとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
(実施例5)
塩化ビニル系樹脂層を形成するにあたり、塩化ビニル系樹脂層形成用組成物を付着量(目付け)が400g/m2となるよう変更して350μmに圧延し、かつ、最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物を乾燥後の付着量(目付け)が3.3g/m2となるよう塗布し、最表層の厚みが2μmとなるように変更し、さらに、積層物(基材層/接着剤層/塩化ビニル系樹脂/最表層)に対するエンボス加工を行わないよう変更したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
(実施例6)
最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物を乾燥後の付着量(目付け)が39.0g/m2となるよう塗布し、最表層の厚みが24μmとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
なお、この実施例6で得られた表皮材は、他の実施例で得られた表皮材に比べると、やや重くごわつき感があり、用途によっては若干取扱い易さを損なうものであった。
(実施例7)
実施例1と同様にして、レーヨン100%織物(東京杉本社製、品番A120−53;厚み300μm、目付け150g/m2、密度75本/45本、繊度20番手)の上に、厚み2μmの接着剤層を有する接着剤層付き基材層を形成した。
次に、下記発泡層用配合組成で調製した塩化ビニル系樹脂発泡層形成用組成物を熱溶融させ、カレンダー圧延機にて250μmに圧延しつつ、接着剤層付き基材層の接着剤層側の面に熱圧着させて、塩化ビニル系樹脂発泡層を形成し、さらにその上に下記非発泡層用配合組成で調製した塩化ビニル系樹脂非発泡層形成用組成物を熱溶融させ、カレンダー圧延機にて200μmに圧延しつつ、塩化ビニル系樹脂非発泡層を形成した。このとき、カレンダー圧延機のロール温度は180℃とし、塩化ビニル系樹脂発泡層形成用組成物の付着量(目付け)は300g/m2となるように、塩化ビニル系樹脂非発泡層形成用組成物の付着量(目付け)は250g/m2となるようした。
[塩化ビニル系樹脂発泡層形成用組成物の配合組成]
・ポリ塩化ビニル:PVC(大洋塩ビ社製「TH−1000(軟質用)」:重合度1000)100質量部
・アジピン酸ポリエステル系可塑剤(ジェイプラス社製「D643」)65質量部
・安定剤(カルボン酸亜鉛:カルボン酸バリウム=50:50(質量比))3質量部
・重炭酸カルシウム(三共製粉社製「エスカロン♯100」)10質量部
・発泡剤(永和化成工業社製「ビニホールAC―2F」:アゾジカルボンアミド)3質量部
・顔料(日弘ビックス社製「TLカラー」)3質量部
[塩化ビニル系樹脂非発泡層形成用組成物の配合組成]
・ポリ塩化ビニル:PVC(大洋塩ビ社製「TH−1000(軟質用)」:重合度1000)100質量部
・アジピン酸ポリエステル系可塑剤(ジェイプラス社製「D643」)65質量部
・安定剤(カルボン酸亜鉛:カルボン酸バリウム=50:50(質量比))3質量部
・重炭酸カルシウム(三共製粉社製「エスカロン♯100」)20質量部
・顔料(日弘ビックス社製「TLカラー」)5質量部
次いで、実施例1と同じ配合組成の最表層形成用組成物を、上記塩化ビニル系樹脂層の上にグラビア印刷機にて乾燥後の付着量(目付け)が3.3g/m2となるよう塗布した後、120℃で30秒間乾燥して、厚み2μmの最表層を形成した。
最後に、上記で得られた積層物(基材層/接着剤層/塩化ビニル系樹脂発泡層/塩化ビニル系樹脂非発泡層/最表層)を発泡炉において220℃で2分間加熱して、塩化ビニル系樹脂発泡層内の発泡剤(アゾジカルボンアミド)を熱分解させて、500μmの独立気泡を有する塩化ビニル系樹脂発泡層を形成した。この積層物の表面温度が低下する前に最表層に冷却したエンボスロールを押し付けてシボ形状を転移させることにより、畳柄のエンボス処理を施して、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
(比較例1)
最表層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の表皮材を得た。
得られた表皮材について、特定吸湿量、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
(比較例2)
最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物の構成材料のうち吸湿性微粒子を使用しないようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の表皮材を得た。
得られた表皮材について、特定吸湿量、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
(比較例3)
最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物の材料として用いたポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に代え、アクリル樹脂(セイコー化成社製「ラックスキン(登録商標)505」;固形分10質量%)100質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の表皮材を得た。
得られた表皮材について、特定吸湿量、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
(比較例4)
塩化ビニル系樹脂層を形成するにあたり、塩化ビニル系樹脂層形成用組成物に代え、下記配合組成で調製したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の表皮材を得た。
[オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の配合組成]
・オレフィン系熱可塑性エラストマー(住友化学社製「エスポレックス(登録商標)TPE−4552」)100質量部
・酸化防止剤(ADEKA社製「AO−60」)0.1質量部
・酸化防止剤(ADEKA社製「PEP−36」)0.1質量部
・離型剤(ADEKA社製「AP−551」)0.3質量部
・着色剤(東洋インキ社製「TEカラー」)5質量部
得られた表皮材について、特定吸湿量、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
なお、比較例4で得られた表皮材は、塩化ビニル系樹脂に比べ高価なオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用しているので、各実施例に比べ製造コストが高かった。
(比較例5)
塩化ビニル系樹脂層を形成するにあたり、塩化ビニル系樹脂層形成用組成物に代え、下記配合組成で調製したウレタン系熱可塑性エラストマー組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の表皮材を得た。
[ウレタン系熱可塑性エラストマー組成物の配合組成]
・ウレタン系熱可塑性エラストマー(大日精化工業社製「レザミン(登録商標)P2380CLS」)100質量部
・酸化防止剤(ADEKA社製「AO−60」)0.1質量部
・酸化防止剤(ADEKA社製「PEP−36」)0.1質量部
・離型剤(ADEKA社製「AP−551」)0.3質量部
・着色剤(大日精化工業社製「SZカラー」)5質量部
得られた表皮材について、特定吸湿量、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
なお、比較例5で得られた表皮材は、塩化ビニル系樹脂に比べ高価なウレタン系熱可塑性エラストマーを使用しているので、各実施例に比べ製造コストが高かった。
上記実施例および比較例で得られた表皮材を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
<触感(べたつき感、サラサラ感)>
10人のモニターによる一対比較法での判定により評価した。すなわち、25℃、60%RHの環境下に制御した恒温恒湿室に2種の試料(表皮体)を設置し、各試料上にモニターの左右の掌を1分間置いた。そして、1分後のべたつき感、サラサラ感を判定した。具体的には、左右どちらの試料がよりべたつかないか、サラサラしているか、を判定し、全試料の組合せにて一対比較判定後、サーストンの一対比較法に準拠し、べたつき感、サラサラ感を−2点〜+2点で標準化して得点化し、下記の基準で評価した。なお、「べたつき感」は得点が高いほどべたつかず、「サラサラ感」は得点が高いほどサラサラする感覚が高いことを示す。
◎:1.0点以上
○:0.5点以上、1.0点未満
△:0点以上、0.5点未満
×:0点未満
<外観>
得られた表皮材の外観(最表層側の面)を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
◎:シワ、ムラ、疵が全く認められない。
○:シワ、ムラ、疵が殆ど認められない。
△:シワ、ムラ、疵が僅かに認められる。
×:シワ、ムラ、疵が多数認められる。
<耐摩耗性>
得られた表皮材の最表層側の面を、JIS−K7204に記載のテーパー摩耗試験に準じ、摩耗輪として「CS−10」を用い、荷重1kgfで、1000回擦った後、得られた表皮材の外観(最表層側の面)を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
◎:割れ、剥がれなどの異常が全く認められない。
○:割れ、剥がれなどの異常が殆ど認められない。
△:割れ、剥がれなどの異常が僅かに認められる。
×:割れ、剥がれなどの異常が多数認められる。
Figure 0006239363
表1から分かるように、各実施例で得られた表皮材はいずれも良好な触感を有し、しかも外観や耐摩耗性についても実用に耐えうるものであった。
これに対して、比較例1〜3で得られた表皮材は、積層体の特定吸湿量が少な過ぎるため、触感が悪いものであった。さらに、比較例1で得られた表皮材は耐摩耗性にやや劣るものであったが、これは最表層を備えていないため、表面の滑り性が低下した為と考えられる。また、比較例4で得られた表皮材は耐摩耗性に劣るものであったが、これは、塩化ビニル系樹脂に比べるとオレフィン系熱可塑性エラストマーの耐久性は低く、しかも最表層のウレタン樹脂との密着性も悪いことが起因していると考えられる。比較例5で得られた表皮材はやや外観が劣るものであったが、これは、柔らか過ぎてエンボス処理が上手く施せなかった為と考えられる。

Claims (4)

  1. 塩化ビニル系樹脂層と、アクリル系架橋重合体を原料として得られる吸湿性微粒子および樹脂を含んでなる最表層との積層体を備え、
    前記積層体は、温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間の間に吸湿する吸湿量が5g/m2以上であり、
    前記最表層の厚みをA(μm)、前記塩化ビニル系樹脂層の厚みをB(μm)とした時、A/Bの値が0.01以下であり、
    前記最表層の目付量は、3.3g/m 2 以下であり、
    前記最表層にエンボス処理が施されていることを特徴とする表皮材。
  2. 前記最表層を形成する前記樹脂がウレタン樹脂を含む、請求項1に記載の表皮材。
  3. 前記積層体の塩化ビニル系樹脂層側の面にさらに不織布および/または織編物からなる基材層を備える、請求項1または2に記載の表皮材。
  4. 柔道畳の畳表として用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載の表皮材。
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