JP6239363B2 - 表皮材 - Google Patents
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Description
本発明においては、前記最表層の厚みをA(μm)、前記塩化ビニル系樹脂層の厚みをB(μm)とした時、A/Bの値が0.01以下であることが好ましく、前記最表層を形成する前記樹脂はウレタン樹脂を含むことが好ましい。
さらに、本発明の表皮材は、前記積層体の塩化ビニル系樹脂層側の面にさらに不織布および/または織編物からなる基材層を備えることが好ましい。また本発明の表皮材において前記最表層にエンボス処理が施されていることが好ましい。
本発明の表皮材は、好ましくは、柔道畳の畳表として用いられる。
本発明の表皮材は、塩化ビニル系樹脂層と最表層との積層体を備えたものであり、この積層体は、温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間の間に吸湿する吸湿量(以下「特定吸湿量」と称することもある)が5g/m2以上であることが重要である。これにより、塩化ビニル系樹脂で構成されたものでありながら、べたつき感が少なくサラサラした触感を発現させることができる。特定吸湿量は、好ましくは5g/m2以上、より好ましくは6g/m2以上である。また特定吸湿量があまりに多すぎると、表皮材から水分を多量に吸湿し得るようになり、その結果、表皮材自体の重さが増したり、表皮材が元の状態に戻るまでに時間がかかるといった不都合が起こる場合があるので、好ましくは50g/m2以下、より好ましくは40g/m2以下、さらに好ましくは30g/m2以下であるのがよい。
本発明における塩化ビニル系樹脂層は、通常、塩化ビニル系樹脂と、可塑剤と、必要に応じて改質剤、顔料・着色剤、滑剤等とを含む組成物で構成される。塩化ビニル系樹脂層の形成に際しては、例えば、カレンダー法、溶融押出法、押出成形法等の公知の製膜方法を採用すればよい。
塩化ビニル系樹脂の重合度は、特に制限はなく、例えば700〜3000であればよいが、加工性の観点からは800以上であることが好ましい。なお、高重合度の塩化ビニル系樹脂を用いる場合は、公知の改質剤(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、塩素化ポリエチレンなど)を配合することにより加工性を改善することができる。
塩化ビニル系樹脂層を発泡させる方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を採用すればよい。例えば、塩化ビニル系樹脂層を形成する組成物の中に発泡剤を含有させておき、製膜後に加熱して発泡剤を熱分解させる方法を採用することができる。
本発明における最表層は、樹脂と吸湿性微粒子とを含んでいる。これにより、本発明の表皮材にべたつき感が少なくサラサラした触感を発現させることができる。
最表層を構成する樹脂は、特に制限されるものではなく、例えば、ウレタン樹脂、アミド樹脂、アクリレート樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリル樹脂などが挙げられるが、これらの中でも、ウレタン樹脂が好適である。最表層を構成する樹脂は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
最表層を構成する吸湿性微粒子は、吸湿性を有する微粒子であればよく、特に制限されないが、好ましくは、アクリル系架橋重合体を原料として得られる微粒子が挙げられる。以下、このアクリル系架橋重合体由来の吸湿性微粒子について説明する。
前記塩化ビニル系樹脂層に最表層を積層する方法は、特に限定されず、例えば、前記樹脂と前記吸湿性微粒子とを含む組成物(塗工液)を塩化ビニル系樹脂層上に塗布した後、乾燥もしくは硬化させる方法、前記樹脂と前記吸湿性微粒子とを含む組成物を公知の方法でフィルム化し、塩化ビニル系樹脂層に貼り付けるラミネート法など、公知の方法を採用すればよい。ラミネート法の場合、公知の接着剤で形成した接着剤層を介して貼り付けてもよいし、熱圧着等により直接貼り付けてもよい。
本発明の表皮材は、前記積層体の塩化ビニル系樹脂層側の面に基材層を有していることが好ましい。基材層を設けることにより、柔道畳、マット、ソファー等の芯材を本発明の表皮材で覆う際に、塩化ビニル系樹脂層の伸びを制御し、良好な作業性で被覆、固定(縫製等)することが可能になる。
基材層の目付量は、特に制限されず、例えば30g/m2以上が好ましく、より好ましくは50g/m2以上、さらに好ましくは80g/m2以上であり、400g/m2以下が好ましく、より好ましくは300g/m2以下、さらに好ましくは200g/m2以下である。目付量が上記範囲内であれば、機械的特性に優れ、軽量な表皮材となる。
3−1.物性
本発明の表皮材は、発汗シュミレーション試験(「スキンモデル試験」とも言う)による発汗開始1分後の掌内湿度の上昇(ΔH)(以下「掌内湿度上昇(ΔH)」と称することもある)が20%RH以下であることが好ましい。ここで、発汗シュミレーション試験とは、常に一定の水蒸気と熱が表皮材表面に供給されるようにし、表皮材が発汗した掌に触れる状況を再現するモデル試験である。実際に人が表皮材に触れた際に感じるべたつき感は、肌と表皮材の間に介在する水分(汗)が処理されないことが原因と推定されるので、前記掌内湿度上昇(ΔH)が前記範囲であると、よりべたつき感が少なく、よりサラサラした触感が得られる。掌内湿度上昇(ΔH)は、より好ましくは18%RH以下、さらに好ましくは17%以下、特に好ましくは16%RH以下である。掌内湿度上昇(ΔH)の下限は、特に限定されず、0%RHである。
本発明の表皮材は、例えば、柔道畳、ヨガマットやストレッチマット等の各種スポーツ用マット、ソファー等の家具などの表面を覆う表皮材として有用であるが、特に耐摩耗性等の機械的強度が求められる柔道畳の畳表として好ましく用いられる。
<積層体の吸湿性(特定吸湿量)>
塩化ビニル系樹脂層と最表層との積層体の吸湿性は、温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間の間に吸湿する吸湿量(特定吸湿量)を測定することにより評価した。
まず、得られた表皮材を14cm×5cmの大きさに切り出し、この表皮材から基材層を剥離し、露出した塩化ビニル系樹脂層の全面に両面テープ(ニチバン社製「ナイスタック(登録商標)」:5cm幅)を用いて不透湿性アルミニウムフィルム(東レフィルム加工株式会社製「VM−CPP」)を貼り付けることにより、塩化ビニル系樹脂層を不透湿性アルミニウムフィルムで覆い隠した状態の積層体(塩化ビニル系樹脂層/最表層)を得、これを測定サンプルとした。
そして、得られた測定サンプルを絶乾状態にしてその質量(絶乾質量)を測定した後、温度20℃、湿度65%RHの環境下に24時間静置したときの質量(吸湿質量)を測定し、下記式に基づき、温度20℃、湿度65%RHの環境下における24時間の吸湿量(g/m2)を求めた。
特定吸湿量(g/m2)=(吸湿質量(g)−絶乾質量(g))/(0.14×0.05)
発汗シミュレーション測定装置(東洋紡株式会社製)を用い、水供給量:140g/m2・hr、熱板温度:37℃、試料−熱板距離:0.5cm、環境温湿度:20℃×65%RH、発汗パターン:試験開始より5分発汗を実施し、熱板と試料(表皮材の最表層側の表面)の間の空間の湿度を測定した。測定結果から、試験開始前の湿度に対する発汗1分経過時の湿度上昇(ΔH)を求めた。
なお、発汗シミュレーション装置は、発汗孔を有する基体および産熱体からなる産熱発汗機構、発汗孔に水を供給するための送水機構、産熱体の温度を制御する産熱制御機構、温湿度センサーから構成されている。基体は黄銅製で面積120cm2であり、発汗孔が6個設けられており、面状ヒーターからなる産熱体により一定温度に制御される。送水機構はチューブポンプを用いており、一定水量を基体の発汗孔に送り出す。基体表面には、厚み0.1mmのポリエステルマルチフィラメント織物からなる模擬皮膚が貼り付けられており、これにより発汗孔から吐出された水が基体表面に広げられ、発汗状態が作り出される。基体の周囲には高さ0.5cmの外枠が設けられており、試料を基体から0.5cm離れた位置にセットできる。温湿度センサーは基体と試料との間の空間に設置され、基体が発汗状態の時の「基体と試料と外枠で囲まれた空間」の湿度を測定する。
レーヨン100%織物(東京杉本社製、品番A120−53;厚み300μm、目付け150g/m2、密度75本/45本、繊度20番手)を基材層とし、該基材層の片面にグラビア印刷機にて接着剤(大日精化工業社製「セイカボンドE−256−40」:1液型エステル系ポリウレタン接着剤、有機溶剤系)を乾燥後の付着量が8g/m2となるよう塗布した後、120℃で1分間乾燥して、基材層に厚み2μmの接着剤層を形成した。
・ポリ塩化ビニル:PVC(大洋塩ビ社製「TH−1000(軟質用)」:重合度1000)100質量部
・アジピン酸ポリエステル系可塑剤(ジェイプラス社製「D643」)65質量部
・安定剤(カルボン酸亜鉛:カルボン酸バリウム=50:50(質量比))3質量部
・重炭酸カルシウム(三共製粉社製「エスカロン♯100」)20質量部
・顔料(日弘ビックス社製「TLカラー」)5質量部
・ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(大日精化工業社製「レザロイドLu313SP」;固形分10質量%)100質量部
・吸湿性微粒子(東洋紡社製アクリル系微粒子「タフチック(登録商標)HU−720SF」;体積平均粒子径4μm)5質量部
・銀系抗菌剤(東亞合成社製「ノバロン(登録商標)AG300」)1質量部
・イミダゾール系抗菌剤(大和化学工業社製「アモルデン(登録商標)TL−20」)0.4質量部
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間の間に吸湿する吸湿量:特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物の材料として用いたポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に代え、ポリエステル系ポリウレタン樹脂(セイコー化成社製「ラックスキン(登録商標)U−3810」;固形分10質量%)100質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
塩化ビニル系樹脂層を形成するにあたり、塩化ビニル系樹脂層形成用組成物を付着量(目付け)が2400g/m2となるよう変更して2000μmに圧延したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物を乾燥後の付着量(目付け)が4.8g/m2となるよう塗布し、最表層の厚みが3μmとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
塩化ビニル系樹脂層を形成するにあたり、塩化ビニル系樹脂層形成用組成物を付着量(目付け)が400g/m2となるよう変更して350μmに圧延し、かつ、最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物を乾燥後の付着量(目付け)が3.3g/m2となるよう塗布し、最表層の厚みが2μmとなるように変更し、さらに、積層物(基材層/接着剤層/塩化ビニル系樹脂/最表層)に対するエンボス加工を行わないよう変更したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物を乾燥後の付着量(目付け)が39.0g/m2となるよう塗布し、最表層の厚みが24μmとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の表皮材とした。
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
なお、この実施例6で得られた表皮材は、他の実施例で得られた表皮材に比べると、やや重くごわつき感があり、用途によっては若干取扱い易さを損なうものであった。
実施例1と同様にして、レーヨン100%織物(東京杉本社製、品番A120−53;厚み300μm、目付け150g/m2、密度75本/45本、繊度20番手)の上に、厚み2μmの接着剤層を有する接着剤層付き基材層を形成した。
・ポリ塩化ビニル:PVC(大洋塩ビ社製「TH−1000(軟質用)」:重合度1000)100質量部
・アジピン酸ポリエステル系可塑剤(ジェイプラス社製「D643」)65質量部
・安定剤(カルボン酸亜鉛:カルボン酸バリウム=50:50(質量比))3質量部
・重炭酸カルシウム(三共製粉社製「エスカロン♯100」)10質量部
・発泡剤(永和化成工業社製「ビニホールAC―2F」:アゾジカルボンアミド)3質量部
・顔料(日弘ビックス社製「TLカラー」)3質量部
[塩化ビニル系樹脂非発泡層形成用組成物の配合組成]
・ポリ塩化ビニル:PVC(大洋塩ビ社製「TH−1000(軟質用)」:重合度1000)100質量部
・アジピン酸ポリエステル系可塑剤(ジェイプラス社製「D643」)65質量部
・安定剤(カルボン酸亜鉛:カルボン酸バリウム=50:50(質量比))3質量部
・重炭酸カルシウム(三共製粉社製「エスカロン♯100」)20質量部
・顔料(日弘ビックス社製「TLカラー」)5質量部
得られた表皮材について、塩化ビニル系樹脂と最表層との積層体の吸湿性(特定吸湿量)、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
最表層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の表皮材を得た。
得られた表皮材について、特定吸湿量、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物の構成材料のうち吸湿性微粒子を使用しないようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の表皮材を得た。
得られた表皮材について、特定吸湿量、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
最表層を形成するにあたり、最表層形成用組成物の材料として用いたポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に代え、アクリル樹脂(セイコー化成社製「ラックスキン(登録商標)505」;固形分10質量%)100質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の表皮材を得た。
得られた表皮材について、特定吸湿量、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
塩化ビニル系樹脂層を形成するにあたり、塩化ビニル系樹脂層形成用組成物に代え、下記配合組成で調製したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の表皮材を得た。
[オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の配合組成]
・オレフィン系熱可塑性エラストマー(住友化学社製「エスポレックス(登録商標)TPE−4552」)100質量部
・酸化防止剤(ADEKA社製「AO−60」)0.1質量部
・酸化防止剤(ADEKA社製「PEP−36」)0.1質量部
・離型剤(ADEKA社製「AP−551」)0.3質量部
・着色剤(東洋インキ社製「TEカラー」)5質量部
得られた表皮材について、特定吸湿量、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
なお、比較例4で得られた表皮材は、塩化ビニル系樹脂に比べ高価なオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用しているので、各実施例に比べ製造コストが高かった。
塩化ビニル系樹脂層を形成するにあたり、塩化ビニル系樹脂層形成用組成物に代え、下記配合組成で調製したウレタン系熱可塑性エラストマー組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の表皮材を得た。
[ウレタン系熱可塑性エラストマー組成物の配合組成]
・ウレタン系熱可塑性エラストマー(大日精化工業社製「レザミン(登録商標)P2380CLS」)100質量部
・酸化防止剤(ADEKA社製「AO−60」)0.1質量部
・酸化防止剤(ADEKA社製「PEP−36」)0.1質量部
・離型剤(ADEKA社製「AP−551」)0.3質量部
・着色剤(大日精化工業社製「SZカラー」)5質量部
得られた表皮材について、特定吸湿量、目付け、掌内湿度上昇(ΔH)は表1に示す通りであった。
なお、比較例5で得られた表皮材は、塩化ビニル系樹脂に比べ高価なウレタン系熱可塑性エラストマーを使用しているので、各実施例に比べ製造コストが高かった。
<触感(べたつき感、サラサラ感)>
10人のモニターによる一対比較法での判定により評価した。すなわち、25℃、60%RHの環境下に制御した恒温恒湿室に2種の試料(表皮体)を設置し、各試料上にモニターの左右の掌を1分間置いた。そして、1分後のべたつき感、サラサラ感を判定した。具体的には、左右どちらの試料がよりべたつかないか、サラサラしているか、を判定し、全試料の組合せにて一対比較判定後、サーストンの一対比較法に準拠し、べたつき感、サラサラ感を−2点〜+2点で標準化して得点化し、下記の基準で評価した。なお、「べたつき感」は得点が高いほどべたつかず、「サラサラ感」は得点が高いほどサラサラする感覚が高いことを示す。
◎:1.0点以上
○:0.5点以上、1.0点未満
△:0点以上、0.5点未満
×:0点未満
得られた表皮材の外観(最表層側の面)を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
◎:シワ、ムラ、疵が全く認められない。
○:シワ、ムラ、疵が殆ど認められない。
△:シワ、ムラ、疵が僅かに認められる。
×:シワ、ムラ、疵が多数認められる。
得られた表皮材の最表層側の面を、JIS−K7204に記載のテーパー摩耗試験に準じ、摩耗輪として「CS−10」を用い、荷重1kgfで、1000回擦った後、得られた表皮材の外観(最表層側の面)を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
◎:割れ、剥がれなどの異常が全く認められない。
○:割れ、剥がれなどの異常が殆ど認められない。
△:割れ、剥がれなどの異常が僅かに認められる。
×:割れ、剥がれなどの異常が多数認められる。
これに対して、比較例1〜3で得られた表皮材は、積層体の特定吸湿量が少な過ぎるため、触感が悪いものであった。さらに、比較例1で得られた表皮材は耐摩耗性にやや劣るものであったが、これは最表層を備えていないため、表面の滑り性が低下した為と考えられる。また、比較例4で得られた表皮材は耐摩耗性に劣るものであったが、これは、塩化ビニル系樹脂に比べるとオレフィン系熱可塑性エラストマーの耐久性は低く、しかも最表層のウレタン樹脂との密着性も悪いことが起因していると考えられる。比較例5で得られた表皮材はやや外観が劣るものであったが、これは、柔らか過ぎてエンボス処理が上手く施せなかった為と考えられる。
Claims (4)
- 塩化ビニル系樹脂層と、アクリル系架橋重合体を原料として得られる吸湿性微粒子および樹脂を含んでなる最表層との積層体を備え、
前記積層体は、温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間の間に吸湿する吸湿量が5g/m2以上であり、
前記最表層の厚みをA(μm)、前記塩化ビニル系樹脂層の厚みをB(μm)とした時、A/Bの値が0.01以下であり、
前記最表層の目付量は、3.3g/m 2 以下であり、
前記最表層にエンボス処理が施されていることを特徴とする表皮材。 - 前記最表層を形成する前記樹脂がウレタン樹脂を含む、請求項1に記載の表皮材。
- 前記積層体の塩化ビニル系樹脂層側の面にさらに不織布および/または織編物からなる基材層を備える、請求項1または2に記載の表皮材。
- 柔道畳の畳表として用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表皮材。
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