JP2023167920A - 複合シート - Google Patents

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Kohei Tada
正樹 佐藤
Masaki Sato
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Abstract

【課題】良好な風合いを有し、従来の合成皮革と比較して低コストで提供可能であり、かつ折り畳んだときに形成されるシワが残り難く、また複雑な形状の構成物にも追従させやすい複合シートを提供する。【解決手段】複合シート(100)は、表皮層(10)と、スラブウレタンフォーム層(20)とを有し、スラブウレタンフォーム層(20)の平均厚みが1.5mm以上であり、表皮層(10)とスラブウレタンフォーム層(20)との間に基布を有しないよう構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、ウレタンフォーム層に樹脂製の表皮層が支持された複合シートに関する。
合成皮革は、コストダウンの観点や動物愛護の観点から本革の代替品として汎用されている。かかる合成皮革は、特許文献1に示されるように、織物、編物または不織布などの生地から構成される基布と、その生地面上に積層された表皮層を備えて構成される。
上記表皮層は、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の基材樹脂より構成される樹脂層であり、基布は上記樹脂層を支持する土台となる層である。基布は繊維の集合体でありコシが強く表皮層をしっかりと支持できる点で優れている。
特開平9-228258号公報
しかしながら従来の合成皮革は、下記の問題を有していた。即ち、従来の合成皮革はコシの強い基布を備えるため、折り畳まれたときなどに発生した折り目が残り易く、表皮層にシワが発生する場合があった。また従来の合成皮革を複雑な形状の構成物の外周面に積層させた場合、鋭角な形状部分や凹凸形状部分において合成皮革が外周面にぴったりと追従し難く、綺麗に積層加工できない場合があった。加えて、本革の代替品としてさらなるコストダウンが図られたシートの提供が望まれていた。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、良好な風合いを有し、従来の合成皮革と比較して低コストで提供可能であり、かつ折り畳んだときに形成されるシワが残り難く、また複雑な形状の構成物の外周面にも追従させやすい複合シートの提供を課題とする。
本発明の複合シートは、表皮層と、スラブウレタンフォーム層とを有し、上記スラブウレタンフォーム層の平均厚みが1.5mm以上であり、上記表皮層と上記スラブウレタンフォーム層との間に基布を有しないことを特徴とする。
上記構成を有する本発明の複合シートは、良好な風合いを有し低コストで提供可能な複合シートであって、折り畳んだときに形成されるシワが残り難く、また複雑な形状の構成物の外周面にも追従させやすい。
本発明の第一実施態様である合成皮革の切断面を示す概念図である。 本発明の第二実施態様である合成皮革の切断面を示す概念図である。 従来の合成皮革の切断面を示す概念図である。
[第一実施形態]
以下に、本発明の第一実施形態の複合シート100について図1を用いて説明する。図1は、本発明の第一実施態様である複合シート100を厚み方向に切断して形成された切断面を示す概念図である。また第一実施形態との対比として、従来の合成皮革について適宜図3を用いて説明する。図3は、従来技術の一例として示す合成皮革200を厚み方向に切断して形成された切断面を示す概念図である。
図1に示すとおり、本実施形態の複合シート100は、表皮層10と、スラブウレタンフォーム層20とを有する。表皮層10とスラブウレタンフォーム層20との間には基布が設けられていないが、スラブウレタンフォーム層20の平均厚みが1.5mm以上であり、これによって表皮層10がしっかりと支持されている。したがって、複合シート100は、表皮層10とスラブウレタンフォーム層20との間に基布を有しないが、本革または従来の合成皮革の代替品として種々の用途に適用されうる。
一般的に、合成皮革に用いられる基布よりもスラブウレタンフォーム層20を構成するウレタンフォームシートの方が低価格で準備できるため、従来の合成皮革に対し、複合シート100はコストダウンが図られる。また複合シート100は、基布ではなくスラブウレタンフォーム層20によって表皮層10を支持するため、スラブウレタンフォーム層20の特性に起因した優れた効果を発揮する。
本実施形態における複合シート100の平均厚みは特に限定されないが、たとえば1.6mm以上12mm以下であることが好ましく、1.6mm以上10mm以下であることがより好ましい。複合シート100の平均厚みは、複合シート100において無作為に選択された数か所(たとえば10箇所)の厚みを実測し、その平均値を算出することで求められる。複合シート100の平均厚みの調整は、複合シート100を構成する各層の厚みを適宜調整することによって行われるが、複合シート100を構成する各層のうち、最大厚みを示す層の厚みを適宜調整するとよい。
[表皮層]
表皮層10は、本革の風合いを発揮可能な樹脂層であり、たとえば従来の合成皮革における表皮層と同様に構成することができる。より具体的には、表皮層10は、たとえば、ポリウレタン系樹脂あるいは塩化ビニル系樹脂などを基材樹脂として含んで構成することができる。本発明に関し、基材樹脂とは、表皮層10を構成する樹脂において50質量%を超えて含まれる樹脂を指す。
表皮層10は、複合シート100における表面または表面近傍を構成する層である。本実施形態では表皮層10は複合シート100の一方側の最表面に設けられているが、たとえば表皮層10の、スラブウレタンフォーム層20とは反対側の面にさらに異なる層(たとえば図示省略する表面保護層)が設けられてもよい。
表皮層10を構成する表皮層構成樹脂において、ポリウレタン系樹脂および/または塩化ビニル系樹脂などの基材樹脂の含有割合は特に限定されないが、表皮層構成樹脂100質量%において、ポリウレタン系樹脂および/または塩化ビニル系樹脂などの基材樹脂の含有割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることがさらに好ましい。
表皮層10に含まれる基材樹脂として用いられるポリウレタン系樹脂は、合成皮革の表皮層を構成可能なポリウレタン系樹脂から適宜選択することができる。具体的には、上記ポリウレタン系樹脂として、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ポリウレタン樹脂、ポリエステル/ポリエーテル共重合系ポリウレタン樹脂、ポリアミノ酸/ポリウレタン共重合樹脂、ポリカーボネートジオール成分と無黄変型ジイソシアネート成分及び低分子鎖伸長剤等を反応させて得られる無黄変型ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などが挙げられる。また、合成皮革としての諸物性を損なわない範囲であれば、上記のポリウレタン系樹脂にポリ塩化ビニル樹脂や合成ゴムなどを混合しても差し支えない。表皮層10に含まれるポリウレタン系樹脂は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
また表皮層10に含まれる基材樹脂として用いられる塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルに由来する構造単位を含む樹脂を指し、合成皮革の表皮層を構成可能な塩化ビニル系樹脂から適宜選択することができる。具体的には、上記塩化ビニル系樹脂として、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニル系モノマーと、これに共重合可能な他のモノマーとを用いてなる共重合体、またはこれらの樹脂のブレンド等が挙げられる。
上記塩化ビニル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、マレイン酸、フマル酸アクリロニトリル等が挙げられる。また、合成皮革としての諸物性を損なわない範囲であれば、上記の塩化ビニル系樹脂にポリウレタン系樹脂や合成ゴムなどを混合しても差し支えない。表皮層10に含まれる塩化ビニル系樹脂は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
表皮層10に含まれる基材樹脂として塩化ビニル系樹脂を用いる場合、天然皮革に似た柔軟性をより効果的に発揮させるために、塩化ビニル系樹脂と併せて可塑剤が配合されてもよい。可塑剤としては、フタル酸ジオクチルエステル(DOP)、フタル酸ジイソノニルエステル(DINP)、フタル酸ブチルベンジルエステル(BBP)、フタル酸ジイソデシルエステル(DIDP)、フタル酸ジウンデシルエステル(DUP)などに代表される一般のフタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸ジオクチル(DOA)、セバシン酸ジオクチルエステル(DOS)、アゼライン酸ジオクチルエステル(DOZ)に代表される一般の脂肪酸エステル系可塑剤、トリメリット酸トリオクチルエステル系可塑剤、ポリプロピレンアジペート等に代表されるアジピン酸ポリエステル系可塑剤などの高分子系可塑剤、セバシン酸系可塑剤、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
表皮層10の厚みは、特に限定されないが、10μm以上500μm以下の厚みに形成することが好ましく、10μm以上400μm以下の厚みに形成することがより好ましい。
表皮層10の厚みは、マイクロスコープで観察した複合シート100の切断面において、無作為に選択した複数箇所(たとえば10箇所)において、表皮層10の厚みを実測し、その実測値を算術平均することで得られる。
その他の添加剤:
表皮層10には、樹脂および可塑剤の他に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜添加剤が添加されてもよい。上記添加剤としては、例えば消泡剤、脱泡剤、安定剤、充填剤、難燃剤、顔料などを挙げることができる。
ところで複合シート100は、表面層10を観察した際に確認されるシボまたは絞模様等が適宜付与されていてもよい。尚、ここでいうシボとは、表皮層10の表面側に設けられた不規則な凹凸であり、紋模様とは部材の表面側に装飾された模様、図柄などである。複合シート100は、厚さ1.5mm以上のスラブウレタンフォーム層20を備えるため、表皮層10側からエンボス加工を施した際に、表面層10だけでなく、スラブウレタンフォーム層20までしっかりと凹部を形成することができる。そのため、複合シート100は、従来の合成皮革と比較して、深くはっきりとした紋模様等の形成が可能であり意匠性にも優れる。
[スラブウレタンフォーム層]
スラブウレタンフォーム層20は、上述する表皮層10を支持する層であり、表皮層10に対し直接または間接に積層される。本実施形態では接着層30を介して表皮層10に積層されているが、たとえば、接着層30を割愛し表皮層10に対し直接にスラブウレタンフォーム層20が積層されていてもよい。
尚、本発明において、スラブウレタンフォーム層20とは、ウレタンフォームから構成される層であって平均厚みが1.5mm以上であり、表皮層10を支持可能な層を意味する。本発明の所期の課題をより良好に解決するという観点からは、スラブウレタンフォーム層20の平均厚みは、1.6mm以上であることが好ましく、1.7mm以上であることがより好ましい。一方、上記平均厚みの上限は、複合シート100の用途によって適宜決定することができるが、シワが寄り難いという課題や、複雑な形状の物品の外周面に良好に追従するという課題を充分に満たしつつ、コストを抑えるという観点からは10mm以下であることが好ましく、8.0mm以下であることがより好ましい。
一方、これと対比される基布とは、織物、編物または不織布などの繊維から構成される生地を指し、基布の厚みは特に限定されないが、一般的な合成皮革では、厚みが0.5mm~2.0mm程度である基布が汎用されている。
スラブウレタンフォーム層20の平均厚みは、マイクロスコープで観察した複合シート100の切断面において、無作為に選択した複数箇所(たとえば10箇所)において、スラブウレタンフォーム層20の厚みを実測し、その実測値を算術平均することで得られる。
ところで上述するとおり従来の合成皮革は、折り畳まれる等した際に発生したシワが残り易いという問題があった。これは折り畳まれることで基布を構成する繊維が折れてしまい、その状態が持続するためと推察された。一方、複合シート100は、折り畳まれる等して発生したシワが残り難いという優れた効果を発揮する。これは1.5mm以上の厚みを有するスラブウレタンフォーム層20の自己復元性に起因して発揮される効果であると推察された。
また、従来の合成皮革は、複雑な形状の物品の外周面に追従させ難いという問題があった。これは、基布のコシの強さによるものと推測された。
一方、1.5mm以上の厚みを有するスラブウレタンフォーム層20を備える複合シート100を複雑な形状の物品の外周面に積層させる場合、かかる複雑な形状部分において充分に複合シート100を押し当てることで、スラブウレタンフォーム層20を構成するウレタンフォームの気泡の一部を潰し、これによって複合シート100を当該複雑な形状部分にぴったりと沿わせることができる。そのため、複合シート100は、複雑な形状の物品の外周面に対し優れた追従性が示される。
スラブウレタンフォーム層20は、ウレタン系樹脂を基材樹脂として含む発泡樹脂層である。スラブウレタンフォーム層20を構成するスラブウレタンフォーム層構成樹脂100質量%において、ウレタン系樹脂が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%以上であることがさらに好ましい。
スラブウレタンフォーム層20に含まれるウレタン系樹脂は、上述する表皮層10に含まれるウレタン系樹脂と同様の樹脂から適宜選択することがきる。スラブウレタンフォーム層20に関し、ウレタン系樹脂を発泡させる手段は特に限定されず、機械攪拌による物理的発泡、発泡剤の添加による化学的発泡、中空微粒子の添加による擬似発泡などが挙げられる。
一般的には、イソシアネート基と発泡剤である水とを反応させて二酸化炭素を発生させるとともに、イソシアネートとポリオールとを反応させて硬化させることで、ウレタン系樹脂中に二酸化炭素が取り込まれてなるポリウレタンフォームを形成することができる。
ところでスラブウレタンフォーム層20は平均厚み1.5mm以上の発泡層であるため、適度な柔軟性を有し複合シート100において良好な手触りやクッション性をもたらす一方、表皮層10の表面にスラブウレタンフォーム層20の気泡痕が微小な凹凸として視認される場合がある。かかる気泡痕は、たとえば、表皮層10の厚みを充分に大きく設計することで解消されうる。また表皮層10の厚みの調整以外の手段として、かかる気泡痕の発生を回避し、より美麗な外観の複合シート100を提供するという観点から、スラブウレタンフォーム層20の40%圧縮硬さが250N以上であることが好ましく、300N以上であることがより好ましく、350N以上であることがさらに好ましい。
複合シート100の外観を向上させるという観点からはスラブウレタンフォーム層20の40%圧縮硬さの上限は特に限定されないが、適度の柔軟性を維持するという観点からは、40%圧縮硬さの上限は、800N以下であることが好ましい。また、スラブウレタンフォーム層20の40%圧縮硬さが250N以上であると、後述の複合シート100製造時において、複合シート100の表面にシワが形成されにくい利点がある。
スラブウレタンフォーム層20の40%圧縮硬さは、JIS K6400-2A法:2012に準拠して測定される。
また、複合シート100の外観を向上させるための異なる手段として、スラブウレタンフォーム層20の密度が30kg/m以上であることが好ましく、33kg/m以上であることがより好ましい。
複合シート10の外観を向上させるという観点からはスラブウレタンフォーム層20の密度の上限は特に限定されないが、適度の柔軟性を維持するという観点からは、上記密度の上限は、70kg/m以下であることが好ましい。
スラブウレタンフォーム層20の密度は、JIS K7222:2005に準拠して測定される。
また、スラブウレタンフォーム層20は、発泡したポリウレタンより構成されるため、本実施形態のようにスラブウレタンフォーム層20の一方側面に接着層30が形成される場合には、スラブウレタンフォーム層20に含まれる気泡に適度に接着層30を構成する接着剤が含浸し、良好な接着性が示され得る。このような良好な接着性を充分に確保するという観点からは、スラブウレタンフォーム層20の通気度は5ml/cm/s以上であることが好ましい。
ただし、スラブウレタンフォーム層20に含まれる気泡の大きさや連通性などによっては、接着剤が浸み込み過ぎて、かえってスラブウレタンフォーム層20と表皮層10との接着性が低下する場合があることに留意することが望ましい。スラブウレタンフォーム層20が接着層30により表皮層10に対し直接または間接に積層されている態様において、上述する接着性の低下が生じないよう充分に配慮するという観点からは、スラブウレタンフォーム層20の通気度は50ml/cm/s以下であることが好ましく、40ml/cm/s以下であることがより好ましい。
上述するスラブウレタンフォーム層20の通気度は、JIS-L1096:2020に準拠して測定される。
スラブウレタンフォーム層20を構成する気泡痕が表皮層10の表面に現れることを回避するとともに低コスト化の要求に応えるという観点からは、複合シート100において、スラブウレタンフォーム層20以外の層の厚みの合計(本実施形態では、表皮層10の厚みおよび接着層30の厚みの総和)が、100μm以上500μm以下であることが好ましい。
尚、上述するスラブウレタンフォーム層20の物性は、スラブウレタンフォーム層20を構成するために用いられるウレタンフォームの物性に起因する。したがって、たとえば40%圧縮硬さ、密度、または通気度等の物性が上述する好ましい範囲であるウレタンフォームを選択し、これを用いてスラブウレタンフォーム層20を構成することで、上述する好ましい範囲の40%圧縮硬さ、密度、または通気度等を示すスラブウレタンフォーム層20を備える複合シート100を得ることができる。
また複合シート100を構成するスラブウレタンフォーム層20の物性を確認する場合には、スラブウレタンフォーム層20を複合シート100から切り出して測定用シートを作成し、当該測定用シートを各物性の測定に供してもよい。上記測定用シートの調製では、スラブウレタンフォーム層20とこれに隣り合う層との界面を避けてスラブウレタンフォーム層20を切り出すとよい。
[接着層]
接着層30は、スラブウレタンフォーム層20と表皮層10との間に設けられ、直接または間接にスラブウレタンフォーム層20と表皮層10とを接着させるための層である。本実施形態では、接着層30は、スラブウレタンフォーム層20と表皮層10とを直接に接着させている。
接着層30を構成する接着剤は、従来の合成皮革の層構成を形成するために用いられる接着剤から適宜選択して用いることができる。たとえば、代表的な接着剤としては塩化ビニル系樹脂接着剤およびポリウレタン系樹脂接着剤が挙げられる。塩化ビニル系樹脂接着剤に含まれる塩化ビニル系樹脂またはポリウレタン系樹脂接着剤に含まれるポリウレタン系樹脂は、上述する表皮層10を構成する樹脂と同様の樹脂であるため、ここでは具体的な例示は割愛する。
接着層30において、塩化ビニル系樹脂接着剤に含まれる塩化ビニル系樹脂またはポリウレタン系樹脂接着剤に含まれるポリウレタン系樹脂の含有割合は特に限定されないが、複合シート100の製造コストを抑制するという観点からは、接着層30を構成する樹脂100質量%において、塩化ビニル系樹脂またはポリウレタン系樹脂の含有割合が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることがさらに好ましい。
塩化ビニル系樹脂接着剤より構成される接着層30は、塩化ビニル系樹脂に加え、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、たとえば、ポリウレタン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂などの、接着剤として使用可能な樹脂から1種以上を選択することができる。
同様に、ポリウレタン系樹脂接着剤より構成される接着層30は、ポリウレタン系樹脂に加え、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、たとえば、塩化ビニル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂などの、接着剤として使用可能な樹脂から1種以上を選択することができる。
尚、表皮層10と接着層30との接着性の観点から、表皮層10がポリウレタン系樹脂を基材樹脂として構成される場合には、接着層30はポリウレタン系樹脂接着剤で構成されることが好ましく、表皮層10が塩化ビニル系樹脂を基材樹脂として構成される場合には、接着層30は塩化ビニル系樹脂接着剤で構成されることが好ましい。
一般的に接着層30は、接着樹脂組成物を、接着層30を介して対向する層のいずれか一方の層に塗工され、次いで他方の層が積層されることで形成される。このときの接着樹脂組成物の塗工厚みは特に限定されないが、たとえば、塗布面に対し、60μm以上、300μm以下であることが好ましい。
可塑剤:
接着層30が塩化ビニル系樹脂接着剤で構成される場合には、塩化ビニル系樹脂とともに可塑剤が用いられることが好ましい。即ち接着層30は、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含む接着樹脂組成物を用いて構成されるとよい。
接着層30において、接着層30に含まれる塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、可塑剤が80質量部以上110質量部以下の範囲で含まれることが好ましい。可塑剤としては、たとえば分子内にエステル結合を有するエステル系可塑剤が挙げられる。エステル系可塑剤としては、たとえば、フタル酸系エステル可塑剤、アジピン酸系エステル可塑剤、セバシン酸系エステル可塑剤、マレイン酸系エステル可塑剤等が挙げられるがこれに限定されない。またエステル系可塑剤以外の可塑剤としては、トリメリット酸系可塑剤、リン酸系可塑剤等を挙げることができる。汎用性という観点からは、フタル酸系エステル可塑剤が好ましい。
以上に、本実施形態の複合シート100について、適宜、従来の合成皮革と対比しながら説明した。ところで、従来の合成皮革において、図3に示される構成が採用される場合がある。図3は、従来の合成皮革200を厚み方向に切断して作成された切断面を示す概念図である。
合成皮革200は接着層30を介して互いに積層された表皮層10と基布201とを備え、さらに基布201の表皮層10とは反対側の面に、クッション層202を備える。ここでクッション層202は、上述するスラブウレタンフォーム層20と同様にウレタンフォームから構成されうる。
このように基布201に対しさらにクッション層202を設けることで合成皮革200のクッション性を向上させることはできるが、表皮層10とクッション層202との間に基布201が存在することにより、合成皮革200は、折り曲げ等によって発生したシワが残りやすく、クッション層202を備えない合成皮革と同様の問題点を有する。換言すると図3に示される従来の合成皮革200は、クッション層202の存在により、かかる問題点を解決することを示唆するものではない。
[第二実施形態]
次に本発明の第二実施形態である複合シート120について図2を用いて説明する。図2は、本発明の第二実施態様である複合シート120を厚み方向に切断して形成された切断面を示す概念図である。
複合シート120は、表皮層10と接着層30との間に発泡層40を備える点、およびスラブウレタンフォーム層20の表皮層10とは反対側の面に裏布50が設けられている点および表面保護層60が設けられている点で、上述する複合シート100とは相違し、それ以外の点は同様に構成されている。本実施形態では、スラブウレタンフォーム層20と表皮層10とは、接着層30を介して間接的に積層されている。
本実施形態では、複合シート120に関し、複合シート100と異なる構成について主に説明し、複合シート100と共通する構成については適宜第一実施形態における説明を参照するものとする。
[発泡層]
本実施形態の複合シート120は、表皮層10と接着層30との間に発泡層40を備える。発泡層40は、塩化ビニル系樹脂またはポリウレタン系樹脂を基材樹脂として含んで構成される発泡樹脂層であり、層内に複数の気泡を有する。
発泡層40を備えることにより、複合シート100は、より優れた風合いと柔軟性を発揮しうる。また、発泡層40を備えることで、スラブウレタンフォーム層20の表面の凹凸を緩和する作用があるため、スラブウレタンフォーム層20以外の層の厚みが比較的小さくても、複合シート10の外観が良好となる効果を奏する。
発泡層40に含まれる塩化ビニル系樹脂またはポリウレタン系樹脂の含有割合は特に限定されないが、発泡層40を構成する発泡層構成樹脂100質量%において、塩化ビニル系樹脂またはポリウレタン系樹脂の含有割合が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることがさらに好ましい。発泡層構成樹脂100質量%において、塩化ビニル系樹脂またはポリウレタン系樹脂の含有割合が100質量%未満である場合には、残余の樹脂として、任意の樹脂がさらに含有されてよい。
発泡層構成樹脂として用いられる塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびその他の樹脂については、上述する表皮層10と同様であるため、ここでは詳細な説明を割愛する。発泡層40を構成する塩化ビニル系樹脂またはポリウレタン系樹脂は、表皮層10および/または接着層30を構成する樹脂と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また発泡層40は、上述する樹脂に加え可塑剤を含有していてもよい。発泡層40に含まれる可塑剤は、上述する接着層30と同様であるため、ここでは詳細な説明を割愛する。ただし、発泡層40に用いられる可塑剤は、接着層30に用いられる可塑剤は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
発泡層40を主として塩化ビニル系樹脂を用いて構成する場合、発泡剤としては、塩化ビニル系樹脂を用いた発泡樹脂を形成する際に一般的に用いられる発泡剤から適宜選択される。たとえば、発泡剤の具体例としては、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、カルシウムアジド、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’-ジニトロペンタメチレンテトラミン、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p-トルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、膨張ビーズ等が挙げられるが、これに限定されない。
また発泡層40を主としてポリウレタン系樹脂を用いて構成する場合、機械攪拌による物理的発泡、発泡剤の添加による化学的発泡、中空微粒子の添加による擬似発泡などであってもよい。
発泡層40の平均厚みは特に限定されないが、良好な衝撃吸収性または柔軟性を発揮させるという観点からは100μm以上であることが好ましく、製造コストの観点からは500μm以下であることが好ましい。発泡層40の平均厚みは、複合シート100の切断面を観察したマイクロスコープによる写真において、無作為に選択された数箇所(たとえば10箇所)における発泡層40の厚みを実測し、実測値を算術平均して求められる。
尚、本実施形態では、発泡層40とスラブウレタンフォーム層20との間に接着層30を備えるが、例えば発泡層40の代替として、図示省略する発泡接着層を設けることで接着層30を割愛することもできる。
具体的には、表皮層10の表面に発泡層形成用樹脂組成物を塗工してプレ発泡層を形成し、当該プレ発泡層が未硬化の間に、かかるプレ発泡層上にスラブウレタンフォーム層20を設けるとともに、加熱してプレ発泡層中のウレタン樹脂を硬化させることで、スラブウレタンフォーム層20に接着した発泡接着層を形成することができる。
[裏布]
複合シート120は、スラブウレタンフォーム層20の表皮層10とは反対側の面に裏布50が設けられている。裏布50を設けることで、複合シート120の滑り性を向上させうるため、複合シート120の加工時の作業性を良くすることができる。ただし、裏布50を設けずとも、スラブウレタンフォーム層20の露出面において充分な滑り性が確保され得る場合、あるいは、加工時の作業がスラブウレタンフォーム層20の露出面の滑り性を特段要しない場合には裏布50を設ける必要はない。
裏布50は、織物、編物、または不織布などから構成することができる。
裏布50の目付けは特に限定されないが、上述する滑り性を有意に向上させることができるとともに、軽量化および低コスト化を図るという観点からは、10g/m以上100g/m以下であることが好ましい。
[表面保護層]
複合シート120は、表皮層10の、スラブウレタンフォーム層20とは反対側の面に、表面保護層60が設けられている。
表面保護層60は、適宜に選択された樹脂などから構成される。たとえば、表面保護層60は、ポリウレタン系樹脂および架橋剤を含んで構成される。表面保護層60は、表皮層10の表面を保護する層であって、複合シート100の耐摩耗性などを向上させ得る。表面保護層60を構成可能なポリウレタン系樹脂は、分子内にウレタン結合を含む樹脂を指し、より具体的には主鎖の繰り返し単位においてウレタン結合を有する樹脂を指す。
表面保護層60を構成するポリウレタン樹脂は、ポリオール成分とポリオール成分とを反応させてなり、複合シート120の表面側を保護するのに適した層を構成し得るポリウレタン樹脂であればよい。たとえば、一例としては、水系ポリウレタン樹脂が挙げられる。水系ポリウレタン樹脂とは、親水性基を有し水に溶解または乳化可能なポリウレタン樹脂のことをいう。かかる水系ポリウレタン樹脂としては、たとえば分子内に親水基(アニオン性親水基、カチオン性親水基、またはノニオン性親水基)を有するポリウレタン、または親水性のセグメントが付与されたポリウレタンが挙げられる。水系ポリウレタン樹脂の中でも耐久性、耐摩耗性、および耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリカーボネート系ポリウレタンは、たとえばポリカーボネート系ジオールおよびポリイソシアネートを用い重付加反応させることで得られる。
上記架橋剤は、ポリウレタン樹脂を自己架橋または三次元架橋等させることによってポリウレタン樹脂の物性の向上を図り得るものであればよく、たとえば、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、またはオキサゾリン系架橋剤などを挙げることができる。
ポリウレタン系樹脂を含む表面保護層60において、表面保護層60に含まれるポリウレタン系樹脂100質量部に対して配合される架橋剤の割合は特に限定されないが、たとえば、2質量部以上20質量部以下であることが好ましい。上記架橋剤が2質量部未満であると耐摩耗性が不十分となる虞があり、20質量部を超えると表面保護層60が硬くなって風合いを損ねる虞がある。
表面保護層60の平均厚みは、特に限定されないが、十分に表皮層を保護可能であるという観点からは、5μm以上50μm以下であることが好ましい。
表面保護層60の平均厚みは、マイクロスコープで観察した複合シート100の切断面において、無作為に選択した10箇所において、表面保護層60の厚みを実測し、その実測値を算術平均することで得られる。
[複合シートの製造方法]
次に本発明の複合シートの製造方法の一例に関し説明する。ただし以下の説明は本発明の複合シートの製造方法を何ら限定するものではない。本発明の合成皮革は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜、他の製造方法で製造されてもよい。
本発明の複合シートは、離型紙に表皮層形成用樹脂組成物を塗工する表皮層形成工程、上記表皮層形成工程において形成された表皮層に対し直接または間接に、平均厚み1.5mm以上のウレタンフォームシートを積層させることによってスラブウレタンフォーム層を備えるプレ複合シートを形成するスラブウレタンフォーム層形成工程、および上記スラブウレタンフォーム層形成工程において形成された積層体を、所定間隔をあけて対面する回転ロール間に通して厚み方向に圧着させる圧着工程を含む製造方法により、複合シートを製造することができる。たとえば上記圧着工程後に、製造工程の下流側に設置された巻き取りロールで複合シートを巻き取ることができる。
尚、本発明の複合シートの製造方法は、上述する表皮層形成工程、スラブウレタンフォーム層形成工程、圧着工程に加えて、適宜の工程をさらに含むことができる。以下により具体的に複合シートの製造方法として、表皮層、発泡層、接着層、スラブウレタンフォーム層、および裏布を備える複合シートの製造方法について説明する。
(表皮層形成工程)
表皮層形成用樹脂組成物を調製し、これをドクターナイフコーター、コンマドクターコーター、その他通常の塗布手段で離型紙に塗工し、適宜加熱乾燥して表皮層を形成する。表皮層形成用樹脂組成物には、基材樹脂を含む表皮層構成樹脂や適宜の添加剤などが含有される。
(発泡層形成工程)
予め調整された発泡層形成用樹脂組成物を用い、上述のとおり形成された表皮層の露出面に上述と同様の塗工手段で塗布し、適宜加熱して発泡させ、発泡層を形成する。発泡層形成用樹脂組成物には、基材樹脂を含む発泡層構成樹脂および適宜の添加剤などが含有される。尚、発泡層形成工程における発泡の態様は特に限定されず、発泡層形成用樹脂組成物を機械攪拌により空気を含ませる物理的発泡、発泡剤の添加による化学的発泡、中空微粒子の添加による擬似発泡などが挙げられる。
(接着層形成工程)
予め調整された接着層形成用樹脂組成物を用い、上述のとおり形成された発泡層の露出面に、上述と同様の塗工手段で塗布し、適宜加熱乾燥して、接着性を有する半硬化状態の接着層を形成する。接着層形成用樹脂組成物には、基材樹脂を含む接着層構成樹脂や適宜の添加剤などが含有される。
(スラブウレタンフォーム層形成工程)
上述のとおり形成された半硬化状態の接着層に対し、予め製造された平均厚み1.5mm以上のウレタンフォームシートを積層させてスラブウレタンフォーム層を形成し、積層体(プレ複合シート)を得る。
(圧着工程)
上述のとおり得られた積層体(プレ複合シート)を、所定間隔をあけて対面するロール間に通して厚み方向に圧着させることでプレ複合シートを得る。このロール間の距離を調整することによって、スラブウレタンフォーム層に対して接着層形成用樹脂組成物が浸み込む、浸み込み厚みの量等を調整することができる。
(裏布積層工程)
上記圧着工程の実施により得られたプレ複合シートを巻き取って養生し、プレ複合シートから離型紙を剥離するとともに、スラブウレタンフォーム層の露出面側を加熱して溶融させ、裏布を積層させ接着させることで複合シートが製造される。
尚、上述する製造方法は、本発明の複合シートが得られる範囲で適宜変更や新たな工程が追加される。たとえば、ウレタンフォームシートに予め裏布をフレームラミネート手法などで積層させて積層シートとし、これをスラブウレタンフォーム層形成工程に用いることもできる。この場合には、圧着工程後の裏布積層工程は割愛される。ここでいうフレームラミネート手法とは、軟質のウレタンフォームシートの少なくとも表面を溶融させて裏布を積層させ接着させるラミネート加工の手法をいう。
また、発泡層形成工程におい接着性を示す半硬化状態の発泡層(発泡接着層)とし、続いてスラブウレタンフォーム層形成工程を実施することで、発泡層(発泡接着層)に直接にスラブウレタンフォーム層を積層させることもできる。この場合には、上述する接着層形成工程は適宜割愛される。
表皮層の表面にさらに表面保護層を設ける場合には、上述のとおり得た複合シートの表皮層の表面に対し、ポリウレタン樹脂形成用組成物およびイソシアネートなどの架橋剤を含む表面保護層形成用塗工液を塗布して適宜加熱などし、表面保護層を形成することができる。
上述のとおり得られた複合シートの表面(表皮層側の面)には、適宜、皮革調の外観を呈するためにシボを設け、また意匠性を上げるための絞模様等を付与するためのエンボス加工等を行ってもよい。尚、複合シートにおいて表面保護層を設ける場合には、表面保護層を形成する前に、表皮層の表面に上述するエンボス加工等を行ってもよい。
以下に本発明の実施例について説明する。以下では、表皮層、発泡層、接着層、スラブウレタンフォーム層の各層をこの順に備える構成の複合シートを例に実施例として示す。また比較例には、スラブウレタンフォーム層を有しない、従来の合成皮革を用いた。ただし以下に示す実施例は本発明を何ら制限するものではない。
まず、各層を構成する材料(樹脂組成物)を以下のとおり準備した。また、スラブウレタンフォーム層または基布等として用いる基材1~7を以下のとおり準備した。
<表皮層形成用樹脂組成物>
・ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC(株)製「クリスボンNY335FT」): 100質量部
・ジメチルホルムアミド:30質量部
・酢酸エチル:10質量部
・黒色顔料:3質量部
<発泡層形成用樹脂組成物>
・イソシアネート基末端プレポリマー:100質量部
・ポリエーテルポリオール:12.5質量部
・酢酸エチル:25質量部
<接着層形成用樹脂組成物>
・ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC(株)製「クリスボンTA205FT 」) :100質量部
・イソシアネート系化合物(DIC(株)製「バーノックDN950」):12質量部
・ジメチルホルムアミド:30質量部
・メチルエチルケトン:30質量部
・DIC(株)製「クリスボン アクセルT81‐E」:1質量部
<基材>
(基材1)密度:45kg/m、40%圧縮硬さ:430N、通気度:32ml/cm/sのポリウレタンフォーム、平均厚み2mm
(基材2)密度:50kg/m、40%圧縮硬さ:450N、通気度:14ml/cm/sのポリウレタンフォーム、平均厚み2mm
(基材3)密度:35kg/m、40%圧縮硬さ:390N、通気度:9ml/cm/sのポリウレタンフォーム、平均厚み2mm
(基材4)密度40kg/m、40%圧縮硬さ270N、通気度64ml/cm/sのポリウレタンフォーム、平均厚み2mm
(基材5)密度:45kg/m、40%圧縮硬さ:430N、通気度:32ml/cm/sのポリウレタンフォーム、平均厚み5mm
(基材6)密度25kg/m、40%圧縮硬さ:300N、通気度:13ml/cm/sのポリウレタンフォーム、平均厚み2mm
(基材7)84dtexのポリエステル糸から編み立てたポリエステル製トリコット編地 平均厚み0.8mm
尚、基材1~6の密度はJIS K7222:2005に準拠し、40%圧縮硬さはJIS K 6400-2A法:2012に準拠し、通気度はJIS-L1096:2020に準拠して測定された。
(実施例1)
表皮層形成用樹脂組成物を、梨地状の深シボの加工が施された離型紙上にコンマコータを用いて塗布し、80℃から120℃まで徐々に温度を上げ、120℃到達後、5分間乾燥し、厚さ約30μmの表皮層を得た。
次いで、得られた表皮層の露出側面に、発泡層形成用樹脂組成物を1500rpmの速度で攪拌して、25℃の空気を容積比で1.0%混合させたものを塗布し、150℃で1分間乾燥し、厚さ約280μmの発泡層を得た。
そして、上記発泡層の露出面側に、接着層形成用樹脂組成物をコンマコータにて塗布し、120℃で乾燥し、厚さ約70μmの接着層を得た。上記接着層上に、当該接着層が接着性を発現しているタイミングで、上述する基材1を巻き出して貼り合わせを行った。これにより全体厚み2380μmの積層体を得た。
上記積層体(プレ複合シート)を、対向するロール間(間隙1.2mm、クリアランス約50%)を通して圧着させた後、ロール状に巻き取り、巻き取った状態で50℃、48時間かけて熟成させた後、離型紙を剥離した。これによって、表面側から、表皮層、発泡層、接着層、基材の順で積層した複合シートを得た。尚、対向するロール間に通す前後において積層体の総厚みおよび各層の厚みは同様の値を示した。
(実施例2~6)
表1に示す基材変更したこと以外は実施例1と同様に複合シートを製造し、これを実施例2~6とした。
(実施例7)
表皮層の露出側面に接着層形成用樹脂組成物を塗布し、発泡層を設けなかったこと以外は実施例1と同様に複合シートを製造し、これを実施例7とした。
(比較例1)
基材として、ポリウレタンフォームの替りに上記基材7(ポリエステル製トリコット編地)を用いたこと以外は実施例1と同様に多層シートを製造し、これを比較例1とした。
(比較例2)
上述のとおり得た比較例1の基材7の露出面側に、フレームラミネート手法によりウレタンフォームシート(密度:45kg/m、40%圧縮硬さ:430N、通気度:32ml/cm/s、平均厚み2mm)を張り合わせてクッション層を備える多層シートを製造し、これを比較例2とした。
[評価]
(外観評価)
製造直後(離型紙を剥離した直後)の各実施例および各比較例のシートの表皮層の表面状態を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
◎・・・良好である。
〇・・・若干シワが確認されたが、離型紙から転写されたシボと相俟って違和感がない。
△・・・シボとは異なるシワがはっきりと確認される。
(折れシワ復元性)
各実施例および各比較例のシートを5cm×12cmに裁断し、表皮層側を谷にして2.5cm×12cmになるように2つ折りした試験片を作成した。そして、2つ折りした試験片をアクリル板に挟み、荷重3000gをかけて24時間放置して、折れシワを形成させた。次いで、荷重を開放して、試験片を広げ、24時間経過後の折れシワの様子を確認し、以下の基準で評価した。
〇・・・折れシワの跡がほとんど確認されない。
×・・・折れシワの跡がはっきりと観察される。
(曲面追従性)
各実施例および各比較例のシートを自動車の座面に貼り込んだ際の外観を観察し、以下の基準で評価した。
〇・・・シートが座面の曲面に追従しており、外観が良好である。
×・・・シートが座面の曲面で浮いてしまっている箇所が発生し、外観が不良である。
Figure 2023167920000002
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)表皮層と、スラブウレタンフォーム層とを有し、
前記スラブウレタンフォーム層の平均厚みが1.5mm以上であり、
前記表皮層と前記スラブウレタンフォーム層との間に基布を有しないことを特徴とする複合シート。
(2)前記スラブウレタンフォーム層の40%圧縮硬さが250N以上である上記(1)に記載の複合シート。
(3)前記スラブウレタンフォーム層の密度が30kg/m以上である上記(1)または(2)に記載の複合シート。
(4)前記スラブウレタンフォーム層の通気度が5ml/cm/s以下であり、
前記スラブウレタンフォーム層が、接着層により、前記表皮層に直接または間接に積層されている上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の複合シート。
(5)前記スラブウレタンフォーム層以外の層の厚みの合計が100μm以上500μm以下である上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の複合シート。
(6)離型紙に表皮層形成用樹脂組成物を塗工する表皮層形成工程、前記表皮層形成工程において形成された表皮層に対し直接または間接に、平均厚み1.5mm以上のウレタンフォームシートを積層させることによってスラブウレタンフォーム層を備えるプレ複合シートを形成するスラブウレタンフォーム層形成工程、および前記スラブウレタンフォーム層形成工程において形成された積層体を、所定間隔をあけて対面する回転ロール間に通して厚み方向に圧着させる圧着工程を含むことを特徴とする複合シートの製造方法。
10・・・表皮層
20・・・スラブウレタンフォーム層
30・・・接着層
40・・・発泡層
50・・・裏布
100、120・・・複合シート
200・・・合成皮革
201・・・基布
202・・・クッション層

Claims (5)

  1. 表皮層と、スラブウレタンフォーム層とを有し、
    前記スラブウレタンフォーム層の平均厚みが1.5mm以上であり、
    前記表皮層と前記スラブウレタンフォーム層との間に基布を有しないことを特徴とする複合シート。
  2. 前記スラブウレタンフォーム層の40%圧縮硬さが250N以上である請求項1に記載の複合シート。
  3. 前記スラブウレタンフォーム層の密度が30kg/m以上である請求項1または2に記載の複合シート。
  4. 前記スラブウレタンフォーム層の通気度が5ml/cm/s以下であり、
    前記スラブウレタンフォーム層が、接着層により、前記表皮層に直接または間接に積層されている請求項3に記載の複合シート。
  5. 前記スラブウレタンフォーム層以外の層の厚みの合計が100μm以上500μm以下である請求項4に記載の複合シート。


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