JP6237818B2 - 保持装置とその保持方法、ワイヤ放電加工装置およびその加工方法 - Google Patents
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Description
また、前記保持装置が円筒型のSiCインゴットを前記放電加工するために用いられることを特徴とする。
また、前記インゴットのスライス加工が完了した後に、前記ワイヤが並設された間隔でスライスされたウエハが前記保持装置から落下することを特徴とする。
マルチワイヤ放電加工システムは、放電により並設された複数本のワイヤ103の間隔で被加工物を薄片にスライスすることができる。
2つのメインローラが同じ方向でかつ同じ速度で連動して回転することにより、ワイ
マルチワイヤ放電加工機1は、電源装置2と電線513を介して接続されており、電源装置2から供給される電力により作動する。
図2を説明する。
図2は、図1に示す点線16枠内の拡大図である。
メインローラは中心に金属を使用し、外側は樹脂で覆う構造である。
一括給電子104はワイヤ103の10本と接触することで、加工電源部501からの放電パルス(図4の504)を10本のワイヤ103に供給している。
一括給電子104が配置される位置は、シリコンインゴット105の両端よりワイヤの長さがほぼ等しくなる位置(511L1=511L2)に設けてある。
一括給電子104には、機械的摩耗に強く、導電性があることが要求され超硬合金が使用されている。
本実施例では、加工材料(ワーク)として、シリコンインゴット105を例に説明する。
ワーク保持部800は、ワーク送り装置3と、シリコンインゴット105(ワーク)とを保持するためのもので、例えば、電導性の素材が用いられる。
なおワーク保持部800は、シリコンインゴット105(ワーク)を適正にセットする時にはワーク保持具として取り外し可能である。
ワーク送り部3は一括給電子104よりも低い位置に配置されている。
保持するワーク105が加工液に浸漬されるように、ワーク送り部3はワーク105を周回するワイヤ103に接近する方向に送りしている。
加工液漕6は、加工液を貯留するための容器であり複数のメインローラ(8,9)を周回するワイヤ103の外側に配置されている。
また、図2に示すように、ワイヤ103は、メインローラ8、9に取り付けられ、メインローラ8、9の上側、及び下側にワイヤ列を形成している。
図4を説明する。
図4は、図5に示す電気回路2との等価回路を示している。
まず、このように固定された抵抗値を持つRmを加工電源部501から一括給電子104との間に設置した場合を説明する。
505は配線513の内部抵抗によるインピーダンス(抵抗値)である。Vmnの
513はマイナス側に接続する上り用のケーブルである。加工電源部501から一括給電子104に加工電圧を供給する。
520は配線514の内部抵抗によるインピーダンス(抵抗値)である。Vmnの
514はプラス側に接続する下り用のケーブルである。
509はワイヤ1本毎のワイヤによる抵抗値である。
例えば、ワイヤ10本(メインローラ8、9を10周巻回する)に一括で給電する場合の各ワイヤ103の抵抗値をそれぞれRw1、Rw2、〜Rw10とする。
例えばVmn=60V、Vgn=30V、Rwn=10Ωとした場合には、Iwn(Ign)=(60V−30V)/10Ω=3Aとなる。
加工電源部501は一括給電子104に加工電圧(Vmn)を供給する。
加工電源部502は一括給電子104に加工電圧(Vsn)を供給する。
503はトランジスタ(Tr2)である。加工電圧VmnのON(導通)状態とOFF(非導通)状態をスイッチングで切り替える。
504はトランジスタ(Tr1)である。加工電圧VsnのON(導通)状態とOFF(非導通)状態をスイッチングで切り替える。
507は放電極間電圧(Vgn)である。放電中にワイヤ103とワーク105との間に印加される放電極間電圧である。
例えば、ワイヤ10本に一括で給電する場合の各放電極間電圧をそれぞれVg1、Vg2、〜Vg10とする。
508は放電極間電流(Ign)である。放電中にワイヤ103とワーク105との間に流れる放電極間電流である。
例えば、ワイヤ10本に一括で給電する場合の各放電極間電流をそれぞれIg1、Ig2、〜Ig10とする。
510はワイヤ1本毎に個別に供給されるワイヤ電流(Iwn)である。
例えば、ワイヤ10本に一括で給電する場合の各ワイヤ電流をそれぞれIw1、Iw2、〜Iw10とする。
511は給電点から放電点までの距離Lであり、すなわち給電点(一括給電子104)から放電点(ワーク)までのワイヤ103の長さである。
図5を説明する。
図5は本発明における複数本のワイヤ(10本)に一括で加工電流を給電する一括給電の電気回路2により複数本のワイヤ103に一括給電している図である。
メインローラを巻回するワイヤ103の本数(10本)に対して1つの電源回路2が接続されている。
以下、図5の配置を参照して、ワイヤ103に流れる加工電流(各ワイヤ電流の合計)を説明する。
511L1は電流が左のメインローラ方向に流れた場合の給電点と放電点との長さ(距離)であり、L1の場合に定まるワイヤの抵抗値をRw1aとする。
511L2は電流が右のメインローラ方向に流れた場合の、放電点と給電点との長さ(距離)であり、L2の場合に定まるワイヤの抵抗値をRw1bとする。
ワイヤ103がメインローラ8、9を1周巻回する長さを2mとする。
一括給電子104は、1周巻回する長さのほぼ半分の距離に配置されているので、放電点と給電点との距離(ワイヤの長さL)を1mである。
よって一括給電子104から放電部までを走行するワイヤ103の距離は0.5mよりも長い。
放電電圧Vg1〜Vg10がほぼ等しい場合、VmnがそれぞれのRw1〜Rw10に印加されているので、Iw1〜Iw10は全て同じワイヤ電流である。
ここでワイヤの抵抗値による電圧降下値(Rw1×Iw1)と放電電圧(Vgn)からVmnを求める.
一括給電子104から放電部までの電圧降下は走行するワイヤの抵抗値による電圧降下である。
Rw1=10Ω(一括給電子104から放電部までの抵抗値)。
Iw1=3A
Vgn=30Vとすれば、Vmnは以下のようになる。
Vmn=10(Ω)×3(A)+30V=60V
よって一括給電子から放電部までの電圧降下は10Vよりも大きい。
よって一括給電子から放電部までの抵抗値が1Ωよりも大きい。
尚、Rwn=(ρ×B)/Lの関係式により、ワイヤ103のパラメータによりワイヤの抵抗値による電圧降下値を設定してもよい。
よって加工電源部501から一括給電子104までの電圧降下は1Vよりも小さい。
よって加工電源部501から一括給電子までの電圧降下は、一括給電子から放電部までの電圧降下よりも小さい。
Rmn=0.6V/30A=0.02Ω(加工電源部501から一括給電子104までの抵抗値)。
よって加工電源部501から一括給電子までの抵抗値は0.1Ωより小さい。
よって加工電源部501から一括給電子までの抵抗値が、一括給電子から放電部までの抵抗値よりも小さい。
よって加工電源部501から一括給電子104までの電圧降下と一括給電子104から放電部までの電圧降下との比は10倍以上である。
よって加工電源部501から一括給電子104までの抵抗値と一括給電子から放電部までの抵抗値との比が10倍以上である。
よってRmnを考慮して10本の加工電流をもとめると(60V−30V)/((10Ω/10本)+0.02Ω)=29.41Aとなり
ワイヤ一本当たりに割ったあとの加工電流は2.941Aとなる。
<保持装置800の第1の実施形態>
図6を説明する。
図6は本発明における保持装置(押さえユニット)800の各種部品の配置を示した図である。
以下各種部品の機能をそれぞれ説明する。
800は押さえユニットである。
800は、インゴットをスライスするワイヤ放電加工装置において用いられ、鉛直方向に落下しないようにこのインゴット105を保持する保持装置である。
また、押さえユニット800は、インゴットをインゴットにある表面に略垂直な方向に放電スライス加工する装置1において用いられる保持装置である。
以下は押さえユニット800を構成するための各種部品である。
811は、インゴットのスライスされない非加工面と接することで、インゴットが鉛直方向に落下しないように保持する。
812も、インゴットのスライスされない非加工面と接することで、インゴットが鉛直方向に落下しないように保持する。
保持部811は、インゴットの円となる面と接することで、インゴットが鉛直方向に落下しないように保持するために機能する。
また、押さえユニット800には複数(2枚)の保持部があり、この複数の保持部が円となる面(図9の901)の両面でそれぞれ接している。
814は、インゴットが放電加工される場合には、インゴットの加工面がスライスされたあとに通電部がスライスされる箇所に配置されている。
保持部811によって鉛直方向に落下しないようにインゴットを保持しない場合には、通電部814はインゴットを保持することはできない。
保持部811の役割はまず、ワーク105のスライスが完全に終了するまで、ワーク105が鉛直方向に落下しないように保持できればよい。
<保持部811の第1の実施形態>
つまり、爪部により、保持装置800がインゴットに接触する何れの境界面に、インゴットを保持装置に固定する接着剤を用いずに、インゴットが落下しないように保持することも可能である。
<保持部811の第2の実施形態>
なお、保持部811の素材としては、主に保持機能を目的とするので、ガラス、半導体、プラスチック、ゴミ等、導電性以外の素材あってもよい。
複数の保持部811と812を備えており、複数の保持部が複数箇所の非加工面とそれぞれ接することでインゴットを保持している。
保持部812は、インゴットの円となる面と接することで、インゴットが鉛直方向に落下しないように保持するために機能する。
813はインゴット押さえローラ支持板である。
通電部814は、インゴットの円筒となる面の形状とは相反する表面の形状にて円筒となる面と接することで、インゴットと電流を通電させるために機能する。
815はベースである。
図7を説明する。
図7は保持装置(押さえユニット)800とマルチワイヤ放電加工装置の相対的な配置位置の関係を正面図で示した図。図8の加工終了時(2)の状態である。
808はスライスウエハ押さえである。
図8を説明する。
図8は保持装置(押さえユニット)800とマルチワイヤ放電加工装置の相対的な配置位置の加工時の変遷を正面図で示した図である。
図9を説明する。
図9は従来技術におけるインゴットを保持する方法を示した図である。
図10を説明する。
図10は保持装置800を構成する部品(サイドステー爪有り)の形状と材質を示した図である。
図10は保持部の実施例1を示した図である。
また保持部811には、支持ブロック816にビスを使って取り付けるためのビス穴(2か所)が開けられている。
また保持部812にも、ベース815にビスを使って取り付けるためのビス穴(2か所)が開けられている。
図11を説明する。
図11は保持装置800を構成する部品(サイドステー爪なし)の形状と材質を示した図である。
図11は保持部の実施例2を示した図である。
図12を説明する。
図12は保持装置800を構成する部品(インゴット押さえローラ)の形状と材質を示した図である。
図13を説明する。
図13はインゴット押さえローラとインゴットの接触状態を説明した図である。
図14を説明する。
図14は加工槽6を構成する部品(加工槽内ウエハ押さえ)の形状と材質を示した図である。
図15を説明する。
図15は保持装置800を構成する部品(押さえ支持板と支持ブロック)の形状と材質を示した図である。
図16を説明する。
図16は保持装置800を構成する部品(ベース)の形状と材質を示した図である。
保持装置800を構成する他の部品とはネジ止めで連結されている。
図17を説明する。
図17は保持装置800とマルチワイヤ放電加工装置の相対的な配置位置の加工時の変遷を側面図で示した図である。
<通電部814の変形例>
図18を説明する。
図18は通電部814の形状の変形例を各種インゴット(円筒型、立方体型)の加工面形状に対応した例を示した図である。
なお、各種インゴットの形状は円筒(円柱)型、立方体型のものでなくても通電部814は使用できる。例えば三角柱や多角柱でもよい。
以下本発明の課題を解決するために好適な通電部の形状とインゴットの形状との関係を説明する。
(その1)円筒型のインゴットと通電部(図18のA型)を用いて通電させる場合を説明する。
通電部と加工面とが接触して通電している関係を側面から見た場合には、通電部は加工面とは、面接触ではなく線接触している。
(その2)円筒型のインゴットと通電部(図18のB型)を用いて通電させる場合を説明する。
通電部と加工面とが接触して通電している関係を正面から見た場合には、通電部はワイヤ103に向かって凸型をしている。
通電部と加工面とが接触して通電している関係を側面から見た場合には、通電部は加工面とは、面接触ではなく線接触している。
(その3)円筒型のインゴットと通電部(図18のC型)を用いて通電させる場合を説明する。
通電部と加工面とが接触して通電している関係を正面から見た場合には、通電部はワイヤ103とは平行な平坦型をしている。
通電部と加工面とが接触して通電している関係を側面から見た場合には、通電部は加工面とは、面接触ではなく線接触している。
(その4)角状のインゴットと通電部(図18のA型)を用いて通電させる場合を説明する。
通電部と加工面とが接触して通電している関係を側面から見た場合には、通電部は加工面とは、面接触ではなく線接触している。
<保持装置800の第2の実施形態>
図19を説明する。
105は円錐台型のインゴットである。円錐台型のインゴットの加工面にはテーパ角がある。
図20を説明する。
保持部に、水流による抵抗を抑えるための傾斜部821を加えたものである。
なおこの場合には、105は円錐台型、円筒型、角型のインゴットであってもよい。
図21を説明する。
水流の水流による抵抗による問題を示したものである。
図22を説明する。
保持部に、水流による抵抗を抑えるための面積拡張部を加えたものである。
なおこの場合には、105は円錐台型、円筒型、角型のインゴットであってもよい。
<保持装置800の第3の実施形態>
図23を説明する。
材質は、アルミ、SUS、グラファイトなどである。
また、この通電部814は、インゴッドの加工終了時において、スライスされたウエハが水流によってバラつかないように、複数個で押さえる役目も担う。
また、インゴッド取り付け時には、保持部811とインゴッドを非導電性の接着剤を使用して取り付ける。
保持部811については、材質はアルミ、SUSなどが好ましい。
取り付ける際には、ステーに備えている爪部にインゴッドの部分をひっかけることにより取付位置再現性の精度を確保することが可能となる。
図24を説明する。
図25を説明する。
2 電源装置
3 ワーク送り部
10 給電ユニット
103 ワイヤ電極(マルチワイヤ)
104 一括給電子
105 スライス前のワーク(インゴット)
105 スライス後のワーク(ウエハ)
800 ワーク保持部(保持装置)
814 通電部(通電手段)
811 保持部A(保持手段)
812 保持部B(保持手段)
815 ベース
816 支持ブロック
813 押さえ支持板
Claims (8)
- インゴットをワイヤが並設された間隔でスライスする放電加工において用いられる保持装置であって、
前記並設されたワイヤによる放電加工が行われない第1の位置に配置された前記インゴットを保持する保持部と、
前記インゴットの保持機能は備えずに、前記インゴットと前記ワイヤとの間に電流が流れるように前記インゴットに通電する通電部とを備え、
前記通電部は、前記並設されたワイヤによる放電加工による前記インゴットのスライスが終了するまで、前記ワイヤと接触しない第2の位置に配置され、
前記保持部は前記インゴットが落下しないように保持する爪部を有し、
前記保持装置が前記インゴットに接触する何れの境界面に前記インゴットを前記保持装置に固定する接着剤を用いず、前記爪部により当該インゴットが落下しないように保持可能であることを特徴とする保持装置。 - 前記インゴットのスライスが終了することとは、前記第2の箇所に前記並設されたワイヤが到達することであることを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
- 前記通電部は、前記第2の位置で前記インゴットと線接触すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の保持装置。 - 前記保持装置は、円筒型のSiCインゴットを放電加工するために用いられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の保持装置。
- 前記通電部は、前記インゴットが保持装置から落下しないよう保持する導電性の接着剤を用いずに、前記保持部が当該インゴットを保持すること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保持装置。 - インゴットの保持機能は備えずに、前記インゴットと並設されたワイヤとの間に電流が流れるように前記インゴットに通電する通電部による通電工程を備え、前記通電部は、前記ワイヤによる放電加工による前記インゴットのスライスが終了するまで、前記ワイヤと接触しない第2の位置に配置される通電部であり、前記インゴットを前記ワイヤが並設された間隔でスライスする放電加工において用いられる保持装置を用いたインゴットの保持方法であって、
前記インゴットが落下しないように保持する爪部を有する保持部により、前記保持装置が前記インゴットに接触する何れの境界面に前記インゴットを前記保持装置に固定する接着剤を用いず、前記爪部により当該インゴットが落下しないように、前記並設されたワイヤによる放電加工が行われない第1の位置で前記インゴットを保持する保持工程
を備えることを特徴とするインゴットの保持方法。 - インゴットをワイヤが並設された間隔でスライスするワイヤ放電加工装置であって、
前記並設されたワイヤによる放電加工が行われない第1の位置に配置された前記インゴットを保持する保持部と、
前記保持部のような前記インゴットの保持機能は備えずに、前記インゴットと前記ワイヤとの間に電流が流れるように前記インゴットに通電する通電部とを備え、
前記通電部は、前記並設されたワイヤによる放電加工による前記インゴットのスライスが終了するまで、前記ワイヤと接触しない第2の位置に配置され、
前記保持部は前記インゴットが落下しないように保持する爪部を有し、
前記保持部が前記インゴットに接触する何れの境界面に前記インゴットを前記保持部に固定する接着剤を用いず、前記爪部により当該インゴットが落下しないように保持可能であることを特徴とするワイヤ放電加工装置。 - インゴットをワイヤが並設された間隔でスライスするワイヤ放電加工装置を用いたインゴットの加工方法であって、
前記インゴットが落下しないように保持する爪部を有する保持部により、前記保持部が前記インゴットに接触する何れの境界面に前記インゴットを前記保持部に固定する接着剤を用いず、前記爪部により当該インゴットが落下しないように、前記並設されたワイヤによる放電加工が行われない第1の位置に配置された前記インゴットを保持する保持工程と、
前記保持工程のような前記インゴットの保持機能は備えずに、前記インゴットと前記ワイヤとの間に電流が流れるように前記インゴットに通電する通電工程とを備え、
前記通電工程は、前記並設されたワイヤによる放電加工による前記インゴットのスライスが終了するまで、前記ワイヤと接触しない第2の位置に配置されることを特徴とするインゴットの加工方法。
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