JP6098744B2 - マルチワイヤ放電加工システム、マルチワイヤ放電加工方法 - Google Patents
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Description
例えば、先行文献1には、3本の巻回するワイヤに1箇所で給電し、半導体インゴットを放電加工する技術が開示されている。
また、本発明は、並設されたワイヤの間隔でワークをスライスするマルチワイヤ放電加工方法であって、複数のローラーが、前記並設されたワイヤを同一方向に走行させるステップと、給電子が、前記ローラーにより走行する前記ワイヤの複数本に一括で接触し当該複数本のワイヤのそれぞれに電圧を供給するステップと、加工電源部が、前記給電子に前記電圧を供給するステップと、を備え、前記加工電源部から前記給電子までの抵抗値が、前記給電子から、前記ワークに放電される放電部までの前記ワイヤの抵抗値よりも小さいことを特徴とする。
マルチワイヤ放電加工システムは、放電により並設された複数本のワイヤの間隔で被加工物を薄片にスライスすることができる。
マルチワイヤ放電加工機1は、電源ユニット2と電線513を介して接続されており、電源ユニット2から供給される電力により作動する。
図2を説明する。
図2は、図1に示す点線16枠内の拡大図である。
メインローラは中心に金属を使用し、外側は樹脂で覆う構造である。
メインガイドローラの間中央部の下部に、加工電源からの放電パルスを供給するため
に給電子104が設けられていてワイヤ103の10本と接触させている(図3)。
給電子104の配置は、シリコンインゴット105の両端よりワイヤの長さが等しくなる位置を中心に設けてある。
給電子104は、機械的摩耗に強く、導電性があることが要求され超硬合金が使用されている。
メインローラの間中央部の上部に、シリコンインゴット105を配置、ワーク送り装置3に取付け上下方向に移動し加工を行う。
メインローラの間中央部に加工液槽6を設け、ワイヤ103およびシリコンインゴット105を浸漬し、放電加工部の冷却、加工チップの除去を行う
本実施例では、加工材料(ワーク)として、シリコンインゴット105を例に説明する。
また、図2に示すように、ワイヤ103は、メインローラ8、9に取り付けられ、メインローラ8、9の上側、及び下側にワイヤ列を形成している。
図3を説明する。
図3は、給電子104の拡大図を示す。
給電子104(1個)はワイヤ103(10本)と接触している。
ワイヤ103同士の間隔(ワイヤのピッチ)は0.3mm(300μm)程度である。
図4を説明する。
図4は従来方式であるワイヤ毎に個別に放電電流を給電する個別給電での電気回路400を示す図である。
404はトランジスタ(Tr1)である。加工電源VsのON(導通)状態とOFF(非導通)状態をスイッチングで切り替える。
407は極間電圧(Vg)である。放電中にワイヤ103とワーク105との間に印加される放電電圧である。
408は極間電流(Ig)である。放電中にワイヤ103とワーク105との間に流れる放電電流である。
410はワイヤ1本毎に個別に供給されるワイヤ電流(Iw)である。
図5を説明する。
図5は従来方式であるワイヤ毎に個別に放電電流を給電する個別給電での電気回路400が複数本のワイヤに給電している図である。
409はワイヤ1本毎の抵抗を示すワイヤ抵抗(Rw)である。
204は個別の給電子である。シリコンインゴット105の両端の近傍に設けた、2箇所の個別給電子から放電パルスを印加し、放電加工を行う。
巻回するワイヤ103の本数と同数の電源回路400に接続されている。
図7を説明する。
図8に示す電気回路2との等価回路を示している。
まず、このように固定された抵抗値を持つRm/10本を加工電源から給電子との間に設置した場合を説明する。
509はワイヤ1本毎のワイヤによる抵抗(Rwn)である。
ここで給電子104から放電部までの抵抗値とは、給電子104と接触し、かつ走行するワイヤ(1本)による抵抗である。
例えば、ワイヤ10本(メインローラ8、9を10周巻回する)に一括で給電する場合の各ワイヤ抵抗をそれぞれRw1、Rw2、〜Rw10とする。
加工電源部501は給電子104に加工電源(Vmn)を供給する。
加工電源部502は給電子104に加工電源(Vsn)を供給する。
503はトランジスタ(Tr2)である。加工電源VmnのON(導通)状態とOFF(非導通)状態をスイッチングで切り替える。
504はトランジスタ(Tr1)である。加工電源VsnのON(導通)状態とOFF(非導通)状態をスイッチングで切り替える。
507は極間電圧(Vgn)である。放電中にワイヤ103とワーク105との間に印加される放電電圧である。
例えば、ワイヤ10本に一括で給電する場合の各放電電圧をそれぞれVg1、Vg2、〜Vg10とする。
508は極間電流(Ign)である。放電中にワイヤ103とワーク105との間に流れる放電電流である。
例えば、ワイヤ10本に一括で給電する場合の各放電電流をそれぞれIg1、Ig2、〜Ig10とする。
511は給電点から放電点までの距離Lであり、すなわち給電点から放電点までのワイヤの長さである。
図8を説明する。
図8は本願発明における複数本のワイヤ(10本)に一括で放電電流を給電する一括給電での電気回路2が複数本のワイヤに一括給電している図である。
メインローラを巻回するワイヤ103の本数(10本)に対して1つの電源回路2が接続されている。
以下、図8の配置を参照して、説明する。
511L1は電流が左のメインローラ方向に流れた場合の給電点と放電点との長さ(距離)であり、L1の場合に定まるワイヤ抵抗をRw1aとする。
511L2は電流が右のメインローラ方向に流れた場合の、放電点と給電点との長さ(距離)であり、L2の場合に定まるワイヤ抵抗をRw1bとする。
ワイヤ103がメインローラ8、9を1周巻回する長さを2mとする。
給電子104は、1周巻回する長さのほぼ半分の距離に配置されているので、放電点と給電点との距離(ワイヤの長さL)を1mである。
よって給電子から放電部までを走行するワイヤの距離は0.5mよりも長い。
放電電圧Vg1〜Vg10がほぼ等しい場合、VmnがそれぞれのRw1〜Rw10に印加されているので、Iw1〜Iw10は全て同じワイヤ電流である。
ここでワイヤ抵抗による電圧降下値(Rw1×Iw1)と放電電圧(Vgn)からVmnを求める。
給電子104から放電部までの電圧降下は走行するワイヤの抵抗による電圧降下である。
Rw1=10Ω(給電子104から放電部までの抵抗値)。
Iw1=3A
Vgn=30Vとすれば、Vmnは以下のようになる。
Vmn=10(Ω)×3(A)+30V=60V
よって給電子から放電部までの電圧降下は10Vよりも大きい。
よって給電子から放電部までの抵抗値が1Ωよりも大きい。
尚、Rwn=(ρ×B)/Lの関係式により、ワイヤのパラメータによりワイヤ抵抗による電圧降下値を設定してもよい。
よって加工電源部から給電子104までの電圧降下は1Vよりも小さい。
よって加工電源部から給電子までの電圧降下は、給電子から放電部までの電圧降下よりも小さい。
Rmn=0.6V/30A=0.02Ω(加工電源部501から給電子104までの抵抗値)。
よって加工電源部から給電子までの抵抗値は0.1Ωより小さい。
よって加工電源部から給電子までの抵抗値が、給電子から放電部までの抵抗値よりも小さい。
よって加工電源部から給電子104までの電圧降下と給電子104から放電部までの電圧降下との比は10倍以上である。
よって加工電源部から給電子104までの抵抗値と給電子から放電部までの抵抗値との比が10倍以上である。
よってRmnを考慮して10本の加工電流を求めると(60V−30V)/((10Ω/10本)+0.02Ω)=29.41Aとなり
ワイヤ一本当たりの加工電流は2.941Aとなる。
図9を説明する。
100本のワイヤに一括で給電する給電子を配置した場合を示した図である。
この場合の給電子1個の長さは30cm程度である。
図10を説明する。
図10は、20本のワイヤに一括で給電する給電子を並べて配置した場合を示した図である。
この場合の給電子1個の長さは6cm程度である。
図11を説明する。
図11は、20本のワイヤに一括で給電する給電子を並べて配置した場合を示した図である。
図12を説明する。
図12は、20本のワイヤに一括で給電する給電子を並べて配置した場合を示した図である。
図13を説明する。
図13は、複数本のワイヤの中の一部のワイヤに、近接する2つの給電子(AとB)が重複して接触するように配置されている場合を示している。
尚、本願発明のマルチワイヤ放電加工システムでスライスされた半導体インゴットは、半導体用の基板または太陽電池用の基板として使用することができる。
2 加工電源装置
103 ワイヤ電極
104 給電子
105 ワーク(シリコンインゴット)
Claims (11)
- 並設されたワイヤの間隔でワークをスライスするマルチワイヤ放電加工システムであって、
前記並設されたワイヤを同一方向に走行させるために設けられた複数のローラーと、
前記ローラーにより走行する前記ワイヤの複数本に一括で接触し当該複数本のワイヤのそれぞれに電圧を供給する給電子と、
前記給電子に前記電圧を供給する加工電源部と、
を備え、
前記加工電源部から前記給電子までの抵抗値が、前記給電子から、前記ワークに放電される放電部までの前記ワイヤの抵抗値よりも小さいことを特徴とするマルチワイヤ放電加工システム。 - 前記加工電源部から前記給電子までの電圧降下が、前記給電子から前記放電部までの前記ワイヤによる電圧降下よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のマルチワイヤ放電加工システム。
- 前記給電子が前記ワイヤの複数本に一括で接触して当該複数本のワイヤのそれぞれに電圧を供給することにより、当該複数本のワイヤと前記ワークとの間の前記放電部で放電することを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチワイヤ放電加工システム。
- 前記放電部は、前記給電子が一括で接触している複数本のワイヤと前記ワークとの極間であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のマルチワイヤ放電加工システム。
- 前記給電子は、前記加工電源部と1本の電線を介して接続されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のマルチワイヤ放電加工システム。
- 複数の前記給電子のそれぞれが、それぞれ異なる前記ワイヤの複数本に接触するように設けられており、
前記加工電源部は、前記給電子毎に、電圧を当該給電子に個別に供給するようにそれぞれ設けられており、
各給電子に供給される前記電圧のパルスが同一になるようにそれぞれの前記電源を制御する電源制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のマルチワイヤ放電加工システム。 - 前記加工電源部から前記給電子までの抵抗値は、0.1Ωよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のマルチワイヤ放電加工システム。
- 前記給電子から前記放電部までの前記ワイヤの抵抗値は、1Ωよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のマルチワイヤ放電加工システム。
- 前記給電子から前記放電部までの前記ワイヤの抵抗値は、前記加工電源部から前記給電子までの抵抗値の10倍以上の値であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のマルチワイヤ放電加工システム。
- 前記給電子から前記放電部までの前記ワイヤの距離は、0.5mよりも長いことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載のマルチワイヤ放電加工システム。
- 並設されたワイヤの間隔でワークをスライスするマルチワイヤ放電加工方法であって、
複数のローラーが、前記並設されたワイヤを同一方向に走行させるステップと、
給電子が、前記ローラーにより走行する前記ワイヤの複数本に一括で接触し当該複数本のワイヤのそれぞれに電圧を供給するステップと、
加工電源部が、前記給電子に前記電圧を供給するステップと、
を備え、
前記加工電源部から前記給電子までの抵抗値が、前記給電子から、前記ワークに放電される放電部までの前記ワイヤの抵抗値よりも小さいことを特徴とするマルチワイヤ放電加工方法。
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