JP2014172096A - ワイヤ放電加工システム、電源装置、及びその制御方法とプログラム。 - Google Patents

ワイヤ放電加工システム、電源装置、及びその制御方法とプログラム。 Download PDF

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康寛 岡本
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Abstract

【課題】加工電源の電気回路中の抵抗成分が変動する場合でも加工電流を常時安定させて、複数本のワイヤ放電において精度良くスライス加工ができること。
【解決手段】並設された複数のワイヤの間隔でワークを薄片にスライスするワイヤ放電加工システムが、並設された複数のワイヤを同一方向に走行させ、走行するワイヤに接触する給電子を有するワイヤ放電加工装置と、給電子に加工電源を供給する加工電源部と、加工電源部から給電子までの電源回路に流れている放電時の加工電流値を取得し、取得した加工電流値の変動に応じて、変動した方向と反転する方向に取得した加工電流値が回復するようにワークから加工電源部までの電源回路の抵抗値を増減させて制御する電源装置と、を備える。

【選択図】 図10

Description

本発明はワイヤ放電加工装置、電源装置、及びその制御方法とプログラムの技術に関する。
従来よりシリコンインゴットを多数の薄片にスライスするための装置としてワイヤソーが知られているが、近年ワイヤ放電加工技術を用いてワークを薄板にスライスする技術がある。
例えば、特許文献1には放電加工装置において放電加工が不安定な場合に二次放電の発生を抑えるために直流電圧源からの電気回路内に抵抗を可変にする可変抵抗器を固定抵抗器と並列に接続する技術が開示されている。
また特許文献2には電界加工装置においては、パルス電流値を制御する制御手段により放電回路からの各パルス電流の各ピーク値を測定し、設定値よりも大きい場合には加工を中断する技術が開示されている。
特開平5−38627号公報 特開平5−69231号公報
複数本のワイヤにて放電加工する装置においては、その加工電源が流れる電気回路経路上には様々な抵抗成分が存在する。例えば電気配線の抵抗ややインピーダンス、放電が送るワイヤ電極の抵抗やインピーダンス、被加工物であるワークの比抵抗、極間に存在する加工液の比抵抗、放電するエリアであるワークとワイヤ電極との間隔である極間距離等がその様々な抵抗成分に該当する。
しかしながら特許文献1および特許文献2には、電気回路経路上にある抵抗成分が何かの要因で変動すると加工電源部から給電子に送られる加工電流も常時安定はしないといった問題を解決する手段に関しては何ら開示されていない。
本発明は、加工電源の電気回路経路上の抵抗成分が何かの要因で変動してしまった場合であっても加工電流を常時安定させて、複数本のワイヤ放電において精度良くスライス加工ができる仕組みを提供することを目的とする。
本発明は、並設された複数のワイヤの間隔でワークを薄片にスライスするワイヤ放電加工システムであって、前記並設された複数のワイヤを同一方向に走行させる走行手段と、前記走行するワイヤに接触する給電子と、前記給電子に加工電源を供給する加工電源部と、前記加工電源部から前記給電子までの電源回路に流れている放電時の加工電流値を取得する取得手段と、前記取得した加工電流値の変動に応じて、前記変動した方向と反転する方向に前記取得した加工電流値が回復するように前記ワークから前記加工電源部までの電源回路の抵抗値を増減させて制御する抵抗制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、前記取得した加工電流値が、所定の加工電流値よりも多いかいなかを判定する上限判定手段をさらに備え、前記上限判定手段により多いと判定されたあとに、前記抵抗制御手段は、前記取得手段による取得時よりも前記ワークから前記加工電源部までの電源回路の抵抗値が増加するように制御することを特徴とする。
また、前記取得した加工電流値が、所定の加工電流値よりも少ないかいなかを判定する下限判定手段をさらに備え、前記下限判定手段により少ないと判定されたあとに、前記抵抗制御手段は、前記取得手段による取得時よりも前記ワークから前記加工電源部までの電源回路の抵抗値が減少するよう制御することを特徴とする。
また、前記加工電源部が前記加工電源を供給する際に、前記加工電源の供給の開始または停止を交互に制御するパルス制御手段をさらに有し、前記取得手段は、前記パルス制御手段による前記加工電源の供給の開始または停止に同期した所定間隔で加工電流値を取得し、前記抵抗制御手段は、前記パルス制御手段による前記加工電源の供給の開始または停止に同期した所定間隔で前記抵抗値を増減させて制御することを特徴とする。
また、前記給電子は、前記走行する複数のワイヤに一括で接触して前記加工電源を供給することを特徴とする。
また、前記加工電源を前記走行するワイヤから前記ワークに放電する放電部をさらに有し、前記加工電源部から前記給電子までの電源回路の抵抗値が、前記給電子から前記放電部までのワイヤの抵抗値よりも小さいことを特徴とする。
また、前記給電子から前記放電部までのワイヤの抵抗値が1Ωよりも大きいことを特徴とする。
また、前記加工電源部から前記給電子までの電気回路の抵抗値が0.1Ωよりも小さいことを特徴とする。
本発明により、加工電源の電気回路経路上の抵抗成分が何かの要因で変動してしまった場合であっても加工電流を常時安定させて、複数本のワイヤ放電において精度良くスライス加工ができる仕組みを提供するが可能となる。
本発明のワイヤ放電加工システムを正面から見た図。 本発明のワイヤ放電加工装置を正面から見た図。 本発明における給電子とワイヤとの配置関係を側面から見た図。 従来のシングルワイヤ放電加工システムにおける電気回路と各種部品の配置を示した図。 従来のマルチワイヤ放電加工システム(個別給電方式)における電気回路と各種部品の配置を示した図。 本発明における極間状態(電圧と電流)と、加工電源のパルス(ON/OFF)周期との関係を示したもの。 本発明における電気回路(抵抗制御部なし)と各種部品の配置を示した図。 本発明における電気回路(抵抗制御部なし)と各種部品の配置を示した図。 本発明におけるワイヤの本数の増加にともなって変化する合計の加工電流の理論計算値を、抵抗制御部の有り無しでそれぞれ比較した表である。 本発明における電気回路(抵抗制御部あり)と各種部品の配置を示した図。 本発明における電源装置が可変抵抗を制御するフローチャートを示す図である。 本発明における電源装置が可変抵抗を制御する時の加工電流値と抵抗値の変動を模した図である。
図1を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るマルチワイヤ放電加工機1を前方から見た外観図である。尚、図1に示す各機構の構成は一例であり、目的や用途に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
図1は本発明におけるマルチワイヤ放電加工システム(半導体基板または太陽電池基板の製造システム)の構成を示す図である。マルチワイヤ放電加工システムは、マルチワイヤ放電加工装置1、電源装置2、加工液供給装置50から構成されている。
マルチワイヤ放電加工システムは、放電により並設された複数本のワイヤの間隔で被加工物を薄片にスライスすることができる。
1はマルチワイヤ放電加工装置であり、1には、サーボモータにより駆動されるワーク送り部3が周回するワイヤ103の内部に設けられ、上下方向にワーク105を移動できる。本発明ではワーク105が下(重力)方向に送られ、ワーク105とワイヤ103の間で放電加工がおこなわれる。
2は電源装置であり、サーボモータを制御する放電サーボ制御回路が放電の状態に応じて効率よく放電を発生させるために放電ギャップを一定の隙間に保つように制御することでワークの位置決めを行い、放電加工を進行させる。
加工電源回路(図7)は、放電加工のための放電パルスをワイヤ103へ供給するとともに、放電ギャップで発生する短絡などの状態に適応する制御を行い、また放電サーボ制御回路への放電ギャップ信号を供給する。
50は加工液供給装置であり、50は放電加工部分の冷却、加工チップ(屑)の除去に必要な加工液をポンプによりワーク105とワイヤ103へ送液する共に、加工液中の加工チップの除去、イオン交換による電導度(1μS〜250μS)の管理、液温(20℃付近)の管理を行う。おもに水が使用されるが放電加工油を用いることもできる。
8,9はメインローラであり、メインローラには、所望の厚さでスライス加工出来るようにあらかじめ決められたピッチ、数で溝が形成されており、ワイヤ供給ボビンからの張力制御されたワイヤが2つのメインローラに必要数巻きつけられ、巻き取りボビンへ送られる。ワイヤの走行速度は100m/minから900m/min程度が用いられる。
2つのメインローラが同じ方向でかつ同じ速度で連動して回転することにより、ワイ
ヤ繰出し部から送られた1本のワイヤ103がメインローラ(2つ)の外周を周回し、並設されている複数本のワイヤ103を同一方向に走行させる(走行手段)ことができる。
ワイヤ103は図8に示すように、1本の繋がったワイヤであり、図示しないボビンから繰り出され、メインローラの外周面のガイド溝(図示しない)に嵌め込まれながら、当該メインローラの外側に多数回(最大で2000回程度)螺旋状に巻回された後、図示しないボビンに巻き取られる。
マルチワイヤ放電加工機1は、電源ユニット2と電線513を介して接続されており、電源ユニット2から供給される電力により作動する。
マルチワイヤ放電加工機1は、図1に示すように、マルチワイヤ放電加工機1の土台として機能するブロック15と、ワーク送り部3と、接着部4と、ワーク105と、加工槽6と、メインローラ8と、ワイヤ103と、メインローラ9と、給電ユニット10と、給電子104と、を備えている。
図2を説明する。
図2は、図1で示した点線16枠内の拡大図である。
8,9はメインローラであり、メインローラにワイヤ103が複数回巻きつけられており、メインローラに刻まれた溝に従い、所定のピッチ(間隔)でワイヤ103が整列している。
メインローラは中心に金属を使用し、外側は樹脂で覆われた構造である。
2つのメインローラの間にあって、メインローラ8,9の内部のほぼ中央部の上の部分には、給電ユニットに取り付けられた給電子104を配置し、給電子104は、上向きに露出する表面をワイヤに接触させることで走行する複数本のワイヤ103に加工電源を一括して給電する。
図3に示したように、給電子104はワイヤ103の10本以上と一括接触することで、加工電源からの放電パルス(図6の503)を10本以上のワイヤに供給している。
図8に示したように、給電子104が配置される位置は、シリコンインゴット105の両端よりワイヤの長さがほぼ等しくなる位置(511L1=511L2)に設けてある。
給電子104には、機械的摩耗に強く、導電性があることが要求され超硬合金が使用されている。
2つのメインローラの間であって、メインローラ8,9の内部のほぼ中央部の下の部分には、ワーク送り部3に取付けたシリコンインゴット105を配置し、ワーク送り部3がワーク105を下方向に送り出すことでスライス加工が進行する。
メインローラの下部に加工槽6を設け、ワイヤ103およびシリコンインゴット105を浸漬し、放電加工部分の冷却、加工チップの除去を行う。加工槽6は加工液を貯留し、送り出されたワークを浸漬するためのものである。
図3のように、ワイヤ103の本数を15本に対して接触する給電子104を1個で示しているが、給電子あたりに接触するワイヤ本数やその給電子の総数は必要数に応じて増やすことは言うまでもない。
ワーク送り部3は、シリコンインゴット105(ワーク)を接着部4により接着(接合)されている。
本実施例では、加工材料(ワーク)として、シリコンインゴット105を例に説明する。
接着部4は、ワーク送り部3と、シリコンインゴット105(ワーク)とを接着(接合)でき、さらに電気を通すものであれば何でもよく、例えば、電導性の接着剤が用いられる。
ワーク送り部3は、接着部4により接着(接合)されているシリコンインゴット105を上下方向に移動する機構を備えた装置であり、ワーク105を保持した状態でワーク送り部3が下方向(重力方向)に移動することにより、シリコンインゴット105をワイヤ103の方向に近づけることが可能となる。
ワーク送り部3は給電子104よりも低い位置に配置されている。
保持するワーク105が加工液に浸漬されるように、ワーク送り部3はワーク105を周回するワイヤに接近する方向に送り出している。
加工槽6は、加工液を貯留するための容器であり複数のメインローラ(8,9)を周回するワイヤの外側に配置されている。放電加工で使用する加工液は、抵抗値が高い脱イオン水を用いる。ワイヤ103とシリコンインゴット105との間に加工液が存在することにより、ワイヤ103とシリコンインゴット105との間で放電が発生するのでシリコンインゴット105を削ることが可能となる。
メインローラ8、9には、ワイヤ103を取り付けるための溝が複数列形成されており、その溝にワイヤ103が取り付けられている。そして、メインローラ8、9の両方が右回転又は左回転することにより、ワイヤ103が走行する。
図8に示すように、ワイヤ103は、メインローラ8、9に取り付けられ、メインローラ8、9の上側、及び下側に複数本のワイヤ列を形成している。
ワイヤ103は、電導体の素材であり、電源装置2から電源が供給された給電子104とワイヤ103とが接触することにより、当該供給された電源が給電子104からワイヤ103に印加される。(給電子104がワイヤ103に電圧を印加している。)
放電加工部分では、ワイヤ103とシリコンインゴット105との間で放電が起き、シリコンインゴット105を削り(放電加工を行い)、薄板状のシリコンウエハを作成することが可能となる。
図3を説明する。
図3は給電子ユニット10の拡大図を示している。
給電子104(1個)はワイヤ103(15本)と接触している。
各ワイヤ103同士の間隔(ワイヤのピッチ)は0.3mm(300μm)程度である。
給電子104には配線513により加工電源が供給されている。
図4を説明する。
図4は従来の放電方式であるワイヤ1本毎に個別に加工電源を給電する個別給電方式で採用される電気回路400を示す図である。
401は加工電源(Vm)である。主に放電加工に必要な加工電流を供給するために設定される加工電圧である。Vmは60V〜150Vで任意の加工電圧値に設定することができる。
402は加工電源(Vs)である。主に放電を誘発するために設定される加工電圧である。Vsは60V〜300Vで任意の加工電圧値に設定することができる。
403はトランジスタ(Tr2)である。加工電源VmのON(導通)状態とOFF(非導通)状態をスイッチングで切り替える。
404はトランジスタ(Tr1)である。加工電源VsのON(導通)状態とOFF(非導通)状態をスイッチングで切り替える。
405は加工電流を制限するための抵抗体(Rm)である。抵抗体で任意の抵抗値を設定することで、ワイヤ1本毎に加工電流(Iw)、ワイヤ電流、極間放電電流(Ig)を制限する。
Rmは1Ω〜100Ωで任意の抵抗値に設定することができる。例えば加工電源Vm=60V(ボルト)、極間電位Vg=30V、電流制限抵抗Rm=10Ωとした場合では、加工電流Iw(Ig)=(60V−30V)/10Ω=3A(アンペア)流れる。
なお、上記の計算式では、加工電源(Vm)から給電点(給電子)までの電圧降下を30Vとしたが、ワイヤによる抵抗(Rw)による給電点から放電点までの電圧降下は考慮していない。
つまり従来の個別給電方式の場合には加工電流Iwの値を電流制限抵抗Rmにより制御する、1本毎に所望のワイヤ電流や放電電流(Ig)を得るためには、ワイヤの抵抗Rwの方が電流制限抵抗Rmよりも小さいRm>Rwの関係になるように設定される。
406は電流制限抵抗(Rs)である。固定の抵抗値を設定することで放電を誘発する誘発電流を制限する。Rsは1Ω〜100Ωで任意の抵抗値に設定することができる。
407は極間の電位(Vg)である。放電中にワイヤ103とワーク105との間(極間)に印加される放電電圧である。
408は極間に流れる電流(Ig)である。放電中にワイヤ103とワーク105との間に流れる放電電流である。
410はワイヤ1本毎に個別に供給される加工電流(Iw)である。
図5を説明する。
図5は従来方式であるワイヤ毎に個別に加工電流を給電する個別給電での電気回路400を用いて、複数本のワイヤ(マルチワイヤ方式)にそれぞれ給電している図である。
409はワイヤ1本毎の抵抗を示すワイヤの抵抗(Rw)である。
204は個別の給電子である。シリコンインゴット105の両端の近傍に設けた、2ヶ所の個別給電子から加工電源のパルスを印加して、放電加工を行う。
巻回するワイヤ103の本数と同数の電源回路400に接続されている。
図6を説明する。
図6は、本発明における、Tr1、Tr2のON/OFF動作(タイミングチャート)に応答する放電電圧(Vgn)及び放電電流(Ign)の変化イメージを示す。各グラフの横軸は時間である。
まずトランジスタTr1をONして誘発電圧を印加する。このときワイヤ103とワーク105間(極間)は絶縁されているため、ほとんど放電電流は流れない。その後放電電流が流れ始めて放電が開始する。Vgnが電圧降下することで放電の開始の検出をトリガーにしてTr2をONして大きな放電電流が流れる。所定時間(放電ON時間)が経過するとTr2をOFFする。さらに所定時間(放電OFF時間)が経過した後に再び一連のパルス制御を繰り返す。
図7を説明する。
図7は本発明における複数本のワイヤ(N本)に一括で加工電流を給電する一括給電での電気回路2とワイヤ放電加工装置1との電気回路を示す図である。Tr2がONし、加工電流とワイヤ電流と放電電流が流れている状態を示している。
図7は、図8に示す電気回路2との等価回路を示している。
図4に示す従来方式の電気回路400を、複数のワイヤ(10本)に一括で加工電流を給電する一括給電での電気回路にそのまま導入した場合には、加工電源から給電点の間にて加工電流を制御するために、電流制限抵抗Rm405の代わりに、複数のワイヤ(10本)に供給されるワイヤ電流の合計(10倍)の加工電流が供給されるように、Rmを10本(メインローラ8、9を巻回する周回数)で割った抵抗値の電流制限抵抗を加工電源から給電点との間に設置する。まず、このように固定の抵抗値を持つRm/10本を加工電源から給電子との間に設置した場合を説明する。
この場合、10本全てのワイヤとワークとの間で放電状態が均一にかつ同時に起こった場合には、10本のワイヤで放電電流が均等に分散されるので、固定された抵抗値(Rm/10本)に応じた放電電流が各ワイヤとワークとの間に供給される、過剰な放電電流の供給は問題とならない。
しかしながら、一括で加工電流を給電して10本全てのワイヤとワークとの間で放電状態が均一にかつ同時に起こらなかった場合には、固定された抵抗値(Rm/10本)に応じたワイヤ電流が放電状態になった本数のワイヤに偏って供給されるので、1本当たりでは過剰なワイヤ電流が供給され、問題となる。
つまり、もし仮に10本のワイヤ中で1本のみが放電状態になった場合には、本来1本のワイヤに供給されるべき10倍のワイヤ電流が、放電状態になっているワイヤに供給されワイヤが断線してしまう。
505のRmn INは配線513によるインピーダンス(抵抗値)である。
513は加工電源(Vmn)マイナス側に接続する上り用のケーブルである。加工電源部(Vmn)から給電子104に加工電源を供給する。
520のRmn OUTは配線514によるインピーダンス(抵抗値)である。
514は加工電源(Vmn)プラス側に接続する下り用のケーブルである。
本発明の配線513の抵抗値505は従来方式の電流制限抵抗体のように抵抗値を所定加工電流が流れるように所定値に固定するものではなく、10本の中で1本のみが放電状態になった場合であっても、放電状態となったワイヤ本数に応じて加工電流が変動するように制御できる機構を備えている。
さらに、本発明の抵抗値505をワイヤの抵抗値Rwn509と比べて十分に小さな抵抗値にすることで、加工電流を制限するにあたってRwn509の方が支配的になるので、抵抗値505の影響はほぼ無視することができる。
つまり、抵抗値505をワイヤの抵抗値Rwn509と比べて十分に小さな抵抗値にするので、加工電源部501から給電子104までに加工電流の下限を制限するための電流制限抵抗体を備えなくてもよいということである。
よって、505の抵抗値は、Rmを10本(メインローラ8、9を巻回する周回数)で単純に割った抵抗値よりも小さい抵抗値にすればよいということである。
そうすることで、各ワイヤの抵抗値Rwn509であるインピーダンスを利用することで、各ワイヤのワイヤ電流Iwnが安定して供給されるので、一括で加工電流を給電して10本全てのワイヤとワークとの間で放電状態が均一にかつ同時に起こらなかった場合でもワイヤ電流の集中が起こらない。
509のRmn(Rm1、Rm2、Rm3、、、、)はワイヤ1本毎のワイヤによる抵抗値である。
給電子104から放電部までのワイヤ抵抗値(Rmn)とは、給電子104とワイヤに接触してから放電部までのワイヤの長さよって決まる抵抗である。
例えば、ワイヤ10本(メインローラ8、9を10周巻回する)に一括で給電する場合の各ワイヤ抵抗をそれぞれRw1、Rw2、〜Rw10とする。
従来方式のようなRmではなく、Rwn509を1本毎のワイヤ電流(Iw)や放電電流(Ig)を制限する抵抗とすることで、1本毎のワイヤ電流(Iwn)や放電電流(Ign)を制限することができる。
つまり給電点(給電子)と放電点(放電部)との距離(長さL)を変えることで任意の抵抗値に設定することができ、例えばVmn=60V、Vgn=30V、1本のワイヤの抵抗値であるRwn509=10Ωとした場合には、Iwn(Ign)=(60V−30V)/10Ω=3Aとなる。
なお、上記の計算式では、ワイヤの抵抗値(Rwn)による給電点から放電点までの電圧降下を30Vとしたが、加工電源から給電点までの電圧降下を起こす抵抗(Rmn)による給電点から放電点までの電圧降下は考慮していない。
よって本発明の一括給電方式ではIwnをRmnにより制御できるので、1本毎に安定したワイヤ電流(Iwn)や放電電流(Ign)を得るためには、加工電源から給電点までの電圧降下を起こす抵抗値とワイヤの抵抗値との関係がRmn<Rwnの関係になるように設定すればよい。
また各ワイヤ個別のワイヤの抵抗値Rwn509は(1)ワイヤの材質による電気抵抗値ρ、(2)ワイヤの断面積B、(3)ワイヤの長さL、の3つのパラメータからRwn=(ρ×B)/Lの関係式により定めることができるので(1)、(2)、(3)を最適な値にすることでRmn IN505<Rwn509の関係を作ってもよい。
501は加工電源部(Vmn)である。放電加工に必要な加工電流を供給するために設定される加工電圧である。Vmnは任意の加工電圧に設定することができる。さらに従来方式よりも加工電流の供給量が大きくなるので、401と比べると大きな電力(加工電圧と加工電流の積)を供給する。
加工電源部501は給電子104に加工電源(Vmn)を供給する。
502は加工電源部(Vsn)である。放電を誘発するために設定される誘発電圧である。さらにワイヤとワークとの間での極間電圧(極間電流)の状態をモニターし、ワーク送り装置の制御に利用する目的にも使用される。Vsnは任意の誘発電圧に設定することができる。さらに従来方式よりも誘発電流の供給量が大きくなるので、402と比べると大きな電力を供給する。
加工電源部502は給電子104に加工電源(Vsn)を供給する。
507は極間での放電電圧(Vgn)である。放電中にワイヤ103とワーク105との間に印加される電圧(電位)である。
例えば、ワイヤ10本に一括で給電する場合の各放電電圧をそれぞれVg1、Vg2、〜Vg10とする。
放電によりワイヤ103とワーク105との間に放電電圧が印加される部分が放電部である。放電部においては、走行する複数のワイヤと給電子との接触により走行する複数のワイヤに一括で給電された加工電源をワークに放電する。
508は極間での放電電流(Ign)である。放電中にワイヤ103とワーク105との間に流れる電流である。
例えば、ワイヤ10本に一括で給電する場合の各放電電流をそれぞれIg1、Ig2、〜Ig10とする。
放電によりワイヤ103とワーク105との間に放電電流が流れる部分が放電部である。
510のIwnとはワイヤ1本毎に個別に流れるワイヤ電流である。
例えば、ワイヤ10本に一括で給電した場合に流れる各ワイヤ電流をそれぞれIw1、Iw2、〜Iw10とする。
511のLとは給電点から放電点までの距離Lであり、すなわち給電点(給電子)から放電点(ワーク)までのワイヤの長さ(m)である。
図8を説明する。
図8は本発明における複数本のワイヤ(10本)に一括で加工電流を給電する一括給電の電気回路2により複数本のワイヤに一括給電している図である。
503はトランジスタ(Tr2)である。加工電源VmnのON(導通)状態とOFF(非導通)状態をスイッチングで切り替える。
504はトランジスタ(Tr1)である。加工電源VsnのON(導通)状態とOFF(非導通)状態をスイッチングで切り替える。
104は給電子である。給電子104は走行する複数本のワイヤに一括で接触する。シリコンインゴット105と対向する位置に設けられ、1ヶ所の給電子104から複数本のワイヤに放電パルスを印加して放電加工を行う。
ワイヤ103の複数本に対して1つの電源回路2が接続されている。
以下、図8の配置を参照して、ワイヤに流れる加工電流(各ワイヤ電流の合計)を説明する。
図8に示すように、給電点(給電子104とワイヤ103が接触する位置)から放電点(ワイヤ103とワーク105との間)に流れるワイヤ電流は左右のメインローラの2方向に流れるので、各方向に対して、それぞれワイヤ抵抗が存在している。
511L1は電流が左のメインローラ方向に流れた場合の給電点と放電点との長さ(距離)であり、L1の場合に定まるワイヤ抵抗値をRw1aとする。
511L2は電流が右のメインローラ方向に流れた場合の、放電点と給電点との長さ(距離)であり、L2の場合に定まるワイヤ抵抗値をRw1bとする。
もしワイヤ103がメインローラ8、9を1周巻回する長さを2mとすると、給電子104は1周巻回する長さのほぼ半分の距離に配置されているので、放電点と給電点との距離(ワイヤの長さL)は1mである。
このように、給電子から放電部までを走行するワイヤの距離が0.5mよりも長い。
ワイヤ103の材質の主成分は鉄であり、ワイヤの直径は0.12mm(断面積0.06×0.06×πmm)である。ワイヤの抵抗値Rw1a、Rw1bはそれぞれ、同じ長さ(L1=L2=1m)であるので各々のワイヤ抵抗値を同一の20Ω程度とするとRw1aとRw1bによる1本(メインローラ8、9を1周巻回する)の合成のワイヤ抵抗値は、給電子104と給電子104から放電部までの両側のワイヤ(511L1と511L2)とは図8のように並列回路であるので半分の10Ω程度となる。
なお、図8のようにL1及びL2の長さによるワイヤ抵抗値を同じ抵抗値にするために、L1とL2の長さが同じになるように給電子104を配置することが好ましいが、L1とL2の長さの違いが10%程度(例えばL1が1mでL2が1.1m)ことなるように給電子104を配置しても特に問題はない。
放電電圧Vg1〜Vg10がほぼ等しい場合、VmnがそれぞれのRw1〜Rw10に印加されているので、Iw1〜Iw10は全て同じワイヤ電流である。
ここでワイヤ抵抗による電圧降下値(Rw1×Iw1)と放電電圧(Vgn)からVmnを求めてみる。
給電子104から放電部(極間)までの電圧降下はワイヤの抵抗値による電圧降下である。
Rw1=10Ω(給電子104から放電部までの抵抗値)。
このように、給電子から放電部までのワイヤの抵抗値が1Ωよりも大きい。
Iw1=3A
Vgn=30Vとすれば、Vmnは以下のようになる。
Vmn=10(Ω)×3(A)+30V=60V
このように、給電子104から放電部(極間)までの電圧降下は10Vよりも大きい。
尚、Rwn=(ρ×B)/Lの関係式により、ワイヤ自体のパラメータによりワイヤ抵抗による電圧降下値を設定してもよい。
ここでまず、10本全てのワイヤとワークとの間で放電状態が均一にかつ同時に起こった場合のRmnを計算する。
全てのワイヤで放電状態となり10本のワイヤにIw1=3Aが流れている場合は、加工電源から給電点との間では全体で10本×3A=30Aの加工電流値が必要となり、この加工電源部から給電点との間の電圧降下をVmnの100分の1(0.6V)とすれば、この場合のRmn INは以下のようになる。
Rmn IN=0.6V/30A=0.02Ω(加工電源部501から給電子104までの抵抗値)。
このように、加工電源部501から給電子104までの電圧降下は1Vよりも小さい。
このように、加工電源部501から給電子104までの電圧降下は、給電子から放電部までの電圧降下よりも小さい。
このように、加工電源部501から給電子104までの抵抗値は0.1Ωより小さい。
このように、加工電源部501から給電子104までの抵抗値が、給電子から放電部までの抵抗値よりも小さい。
このように、加工電源部501から給電子104までの電圧降下と給電子104から放電部までの電圧降下との比は10倍以上である。
このように、加工電源部501から給電子104までの抵抗値と給電子から放電部までの抵抗値との比が10倍以上である。
計算したRmnを考慮して10本の加工電流値(ワイヤ電流の合計)をもとめると(60V−30V)/((10Ω/10本)+0.02Ω)=29.41Aとなり
ワイヤ一本当たりに割ったワイヤ電流値は2.941Aとなる。
次に、10本全てのワイヤとワークとの間で放電状態が均一にかつ同時に起こらず、もし1本だけにワイヤ電流が流れた場合は、ワイヤ一本当たりのワイヤ電流値は(60V−30V)/(10Ω+0.02Ω)=2.994Aとなる。
このように10本全てのワイヤとワークとの間で放電状態が均一にかつ同時に起こった場合と、10本全てのワイヤとワークとの間で放電状態が均一にかつ同時に起こらなかった場合を比べてもワイヤ電流に大きな差は生じず、ワイヤが断線することはない。
また更なる効果として、Rmn IN505>Rwn509にしてしまうと複数本であるN本(メインローラ8、9をN周巻回する)のワイヤに1箇所(一括)で給電する場合には、1本のワイヤ毎に個別に給電したときの加工速度に比べて加工速度が1/Nとなるが、本発明によれば、Rmn IN505<Rwn509なのでN本のワイヤへ1箇所(一括)で給電した場合においても1本のワイヤへ個別に給電したときと同等の加工速度を維持することもできる。
図9を説明する。
図9の上の表は、図8で説明した(Vmn−Vgn)/((Rwn509/放電しているワイヤの本数)+Rmn IN)=加工電流の計算式を用いて、ワイヤの本数の増加にともなって変化する加工電流値(ワイヤ電流の合計)の理論計算値を表にしたものである。
1401は実際に放電部(極間)において放電が発生しているワイヤの本数である。
1402は放電しているワイヤの本数による合成のワイヤ抵抗値である。一括給電方式の場合には、並列なので『Rwn509/実際に放電しているワイヤの本数』の関係から合成のワイヤ抵抗値は、放電しているワイヤの本数が増える程減っていく。
1403は、放電しているワイヤの本数毎に計算した加工電流値(ワイヤ電流の合計)である。
一括給電方式では、図7のように給電子104と給電子104に一括接触する複数本のワイヤとは並列回路なので『Rwn509/実際に放電しているワイヤの本数』の関係から、複数本のワイヤの並列回路による合成のワイヤ抵抗値は、放電しているワイヤの本数が増える程減っていくので、理論上は放電しているワイヤの本数が増加する程に加工電流値(ワイヤ電流の合計)は増加していく。
このように放電しているワイヤの本数が増加する程に加工電流値(ワイヤ電流の合計)は増加していくと、仮に100本に一括給電する場合には、放電しているワイヤの本数に応じて変動する加工電流値の最大値と最小値の幅は1本から100本の間で広くなってしまい、過剰に加工電流がながれてしまう危険性が発生し、もし仮に放電しているワイヤの本数が1本から100本に、あるいは100本から1本に一瞬で変化した場合には電源装置は故障してしまう。
図9の下の表は、(Vmn−Vgn)/((Rwn509/実際に放電しているワイヤの本数)+Rmn IN+Rmn OUT)=加工電流値の計算式を用いて、ワイヤの本数の増加にともなって変動する加工電流値(ワイヤ電流の合計)が安定するように補正する理論計算値を表にしたものである。
1404は、本発明の抵抗制御部がワークから加工電源部501までの抵抗値を制御する前の放電しているワイヤの本数毎に計算した加工電流値(ワイヤ電流の合計)である。取得部が取得する加工電流値に該当する。
1405は、本発明の抵抗制御部が抵抗値(Rmn OUT)を補正した値である。
1406は、本発明の抵抗制御部がワークから加工電源部501までの抵抗値を制御した後の放電しているワイヤの本数毎に計算した加工電流値(ワイヤ電流の合計)である。抵抗制御部が抵抗値を補正した後の加工電流値に該当する。
(Vmn−Vgn)/((Rwn509/実際に放電しているワイヤの本数)+Rmn IN505+Rmn OUT521)=加工電流値の計算式である。
例えば、10本から9本に放電しているワイヤの本数が急激に変化した場合には、『Rwn509/実際に放電しているワイヤの本数』の関係から計算される抵抗値の増加分を、Rmn OUTによる制御でマイナスに差し引く(減少)ことで全体の抵抗値((Rwn509/実際に放電しているワイヤの本数)+Rmn IN+Rmn OUT)が10本で放電が起こった場合と同じになるように補填するので、放電するワイヤの本数が10本から9本に変動しても、加工電流はほぼ一定のままであり安定する。
逆に、10本から11本に放電しているワイヤの本数が急激に変化した場合には、『Rwn/放電しているワイヤの本数』の関係から計算される抵抗値の減少分を、Rmn OUTによる制御でプラス分を加える(増加)ことで全体の抵抗値((Rwn/放電しているワイヤの本数)+Rmn IN+Rmn OUT)が10本で放電が起こった場合と同じになるように補填するので、放電するワイヤの本数が10本から11本に変動しても、加工電流値はほぼ一定のままであり安定する。
図10を説明する。
1000はモニター電流測定部であり、加工電源部501から給電子104までの電源回路に流れている放電時の加工電流値を取得するものである(取得手段)。
つまり図12に示すようにモニター電流測定部は、Tr2制御部1007による加工電源の供給の開始または停止に同期した所定間隔で加工電流値を取得している。
1007はTr2制御部であり、加工電源部501が加工電源を供給する際に、トランジスタTr2を切り替えることで加工電源の供給の開始(ON)または停止(OFF)を交互に切替制御するものである。(パルス制御手段)。
1009は可変抵抗決定部であり、モニター電流測定部が取得した加工電流値が閾値を超過した場合に、その時に加工電流が超過した変動量に応じて、予め定義されている計算式により補正する適正な抵抗値を決定するものである。決定された適正な抵抗値になるように可変抵抗制御部が抵抗値を制御する。
1010は可変抵抗制御部であり、モニター電流測定部が取得した加工電流値の変動に応じて、図12に示すように加工電流値が変動した方向と反転する方向に取得した加工電流値を回復させて安定するようにワーク105から加工電源部501までの電源回路の抵抗値であるRmn Outを増減させて制御するものである(抵抗制御手段)。
つまり図12に示すように可変抵抗制御部は、Tr2制御部107による加工電源の供給の開始または停止に同期した所定間隔で抵抗値を増減させて制御している。
図11を説明する。
図11は、ワイヤ放電加工システムによるワークの放電加工中に、電源装置2が抵抗値521を可変に制御して加工電流を安定させるための制御フローチャートを示したものである。
ステップS101で電源装置は、モニター電流測定部1000に図12に示すような間歇のタイミングで加工電流値をパルス毎に毎回取得させる。
ステップS102で電源装置は、ステップS101においてモニター電流測定部1000が取得した最新の加工電流値が、予め設定済みの上限値である所定の加工電流値よりも多い(超過する)かいなかを判定する(上限判定手段)。
ステップS103で電源装置は、ステップS102において多い(あるいは閾値よりも高い)と判定されると、その後に可変抵抗制御部1010は、その次のパルスではモニター電流測定部1000による取得時よりもワーク105から加工電源部501までの電源回路の抵抗値であるRmn Outが増加するように可変抵抗を制御する。
ステップS104で電源装置は、ステップS101においてモニター電流測定部1000が取得した最新の加工電流値が、予め設定済みの下限値である所定の加工電流値よりも少ない(超過する)かいなかを判定する(下限判定手段)。
ステップS105で電源装置は、ステップS104において少ない(あるいは閾値よりも低い)と判定されると、その後に可変抵抗制御部1010は、その次のパルスではモニター電流測定部1000による取得時よりもワーク105から加工電源部501までの電源回路の抵抗値であるRmn Outが減少するように可変抵抗を制御する。
ステップS106で電源装置は、ステップS101においてモニター電流測定部1000が取得した最新の加工電流値は許容範囲を超過していないので、可変抵抗制御部1010は、その次のパルスではモニター電流測定部1000による取得時よりもワーク105から加工電源部501までの電源回路の抵抗値であるRmn Outをそのまま保持するように可変抵抗を制御する。
図12を説明する。
図12は可変抵抗を制御する時の加工電流値と抵抗値が変動するタイミングを模した図である。
1201はTr2制御部のON、OFF動作の切り替えパルス周期を示した図である。ON時間中にほぼ連動(同期して)加工電流がながれることになる。
1202は図9の下の表に示した結果から実際に放電している複数本によるワイヤの合成の抵抗値(Rwn509/実際に放電しているワイヤの本数)の変動と極間にて実際に放電しているワイヤの本数の関係を模した図である。
1203は、1202の複数本によるワイヤの合成の抵抗値の変動から加工電流値が連鎖して変動してモニター電流(加工電流値)が増減している動きを模した図である。
1204は加工電流値が連鎖して変動したことを受けて、加工電流値が変動した方向と反転する方向に回復させるために、抵抗値Rmn OUTを変化させている動きを模した図である。
以下抵抗値521を可変に制御する流れの概要を説明する。
極間にて実際に放電しているワイヤの本数が瞬間的に増加することで、ワイヤの合成の抵抗値が減少する『1の場合』。
複数本によるワイヤの合成の抵抗値が減少することに連動して加工電源部から流れてくる加工電流値が増加する『2の場合』
加工電流値が増加したことをモニターしているので、その結果を受けてワークから加工電源部までの電気回路の抵抗値であるRmn OUTを増加させる『3の場合』
Rmn OUTを増加させることで複数本によるワイヤの合成の抵抗値の減少分が補われ、複数本によるワイヤの合成の抵抗値とRmn OUTとを足した電気回路全体の抵抗値を見かけ上回復させることで、加工電源部501から流れてくる加工電流値が減少する『4の場合』。
加工電源部から流れてくる加工電流値が変動した方向と反転する方向に回復したことをモニターしているので、その結果を受けてワークから加工電源部までの電気回路の抵抗値であるRmn OUTをそのまま保持する『5の場合』。
尚、本発明のワイヤ放電加工システムでスライスされた半導体(シリコン、SiC)および磁性体のワークは、主に基板として製造され、メモリ等の半導体デバイスや太陽電池、車載用パワーデバイス、各種センサとして使用することができる。
本発明におけるプログラムは、上記実施例にしめした制御方法をコンピュータが実行可能なプログラムであり、本発明の電源装置2またはワイヤ放電加工装置1の記憶媒体(記憶部)にその制御方法をコンピュータが読み取り実行可能なプログラムとして記憶されている。
1 ワイヤ放電加工装置
2 電源装置
3 ワーク送り部
103 ワイヤ電極
104 給電子
105 ワーク(シリコンインゴット)
501 加工電源部
505 Rmn IN(電気回路による抵抗値)
509 Rwn(ワイヤによる抵抗値)
521 Rmn OUT(電気回路による抵抗値)
1000 モニター電流測定部
1007 Tr2制御部
1010 可変抵抗制御部

Claims (13)

  1. 並設された複数のワイヤの間隔でワークを薄片にスライスするワイヤ放電加工システムであって、
    前記並設された複数のワイヤを同一方向に走行させる走行手段と、
    前記走行するワイヤに接触する給電子と、
    前記給電子に加工電源を供給する加工電源部と、
    前記加工電源部から前記給電子までの電源回路に流れている放電時の加工電流値を取得する取得手段と、
    前記取得した加工電流値の変動に応じて、前記変動した方向と反転する方向に前記取得した加工電流値が回復するように前記ワークから前記加工電源部までの電源回路の抵抗値を増減させて制御する抵抗制御手段と、
    を備えることを特徴とするワイヤ放電加工システム。
  2. 前記取得した加工電流値が、所定の加工電流値よりも多いかいなかを判定する上限判定手段をさらに備え、
    前記上限判定手段により多いと判定されたあとに、前記抵抗制御手段は、前記取得手段による取得時よりも前記ワークから前記加工電源部までの電源回路の抵抗値が増加するように制御することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工システム。
  3. 前記取得した加工電流値が、所定の加工電流値よりも少ないかいなかを判定する下限判定手段をさらに備え、
    前記下限判定手段により少ないと判定されたあとに、前記抵抗制御手段は、前記取得手段による取得時よりも前記ワークから前記加工電源部までの電源回路の抵抗値が減少するよう制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイヤ放電加工システム。
  4. 前記加工電源部が前記加工電源を供給する際に、前記加工電源の供給の開始または停止を交互に制御するパルス制御手段をさらに有し、
    前記取得手段は、前記パルス制御手段による前記加工電源の供給の開始または停止に同期した所定間隔で加工電流値を取得し、
    前記抵抗制御手段は、前記パルス制御手段による前記加工電源の供給の開始または停止に同期した所定間隔で前記抵抗値を増減させて制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工システム。
  5. 前記給電子は、前記走行する複数のワイヤに一括で接触して前記加工電源を供給することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工システム。
  6. 前記加工電源を前記走行するワイヤから前記ワークに放電する放電部をさらに有し、
    前記加工電源部から前記給電子までの電源回路の抵抗値が、前記給電子から前記放電部までのワイヤの抵抗値よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工システム。
  7. 前記給電子から前記放電部までのワイヤの抵抗値が1Ωよりも大きいことを特徴とする請求項6に記載のワイヤ放電加工システム。
  8. 前記加工電源部から前記給電子までの電気回路の抵抗値が0.1Ωよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工システム。
  9. 並設された複数のワイヤの間隔でワークを薄片にスライスする、前記並設された複数のワイヤを同一方向に走行させる走行手段と、前記走行するワイヤに接触する給電子と、を有するワイヤ放電加工システムに接続される電源装置であって、
    前記給電子に加工電源を供給する加工電源部と、
    前記加工電源部から前記給電子までの電源回路に流れている放電時の加工電流値を取得する取得手段と、
    前記取得した加工電流値の変動に応じて、前記変動した方向と反転する方向に前記取得した加工電流値が回復するように前記ワークから前記加工電源部までの電源回路の抵抗値を増減させて制御する抵抗制御手段と、
    を有することを特徴とする電源装置。
  10. 並設された複数のワイヤの間隔でワークを薄片にスライスし、
    前記並設された複数のワイヤを同一方向に走行させる走行手段と、
    前記走行するワイヤに接触する給電子と、
    前記給電子に加工電源を供給する加工電源部と、
    を備えるワイヤ放電加工システムの制御方法であって、
    前記ワイヤ放電加工システムの取得手段が、前記加工電源部から前記給電子までの電源回路に流れている放電時の加工電流値を取得する取得工程と、
    前記ワイヤ放電加工システムの抵抗制御手段が、前記取得した加工電流値の変動に応じて、前記変動した方向と反転する方向に前記取得した加工電流値が回復するように前記ワークから前記加工電源部までの電源回路の抵抗値を増減させて制御する抵抗制御工程と、
    を含むことを特徴とする制御方法。
  11. 並設された複数のワイヤの間隔でワークを薄片にスライスし、
    前記並設された複数のワイヤを同一方向に走行させる走行手段と、
    前記走行するワイヤに接触する給電子と、
    前記給電子に加工電源を供給する加工電源部と、
    を備えるワイヤ放電加工システムが読み取り実行可能なプログラムであって、
    前記ワイヤ放電加工システムを
    前記加工電源部から前記給電子までの電源回路に流れている放電時の加工電流値を取得する取得手段と、
    前記取得した加工電流値の変動に応じて、前記変動した方向と反転する方向に前記取得した加工電流値が回復するように前記ワークから前記加工電源部までの電源回路の抵抗値を増減させて制御する抵抗制御手段と、
    して機能させることを特徴とするプログラム。
  12. 並設された複数のワイヤの間隔でワークを薄片にスライスする、前記並設された複数のワイヤを同一方向に走行させる走行手段と、前記走行するワイヤに接触する給電子と、を有するワイヤ放電加工システムに接続され、前記給電子に加工電源を供給する加工電源部を有する電源装置の制御方法であって、
    前記電源装置の取得手段が、前記加工電源部から前記給電子までの電源回路に流れている放電時の加工電流値を取得する取得工程と、
    前記電源装置の抵抗制御手段が、前記取得した加工電流値の変動に応じて、前記変動した方向と反転する方向に前記取得した加工電流値が回復するように前記ワークから前記加工電源部までの電源回路の抵抗値を増減させて制御する抵抗制御工程と、
    を含むことを特徴とする制御方法。
  13. 並設された複数のワイヤの間隔でワークを薄片にスライスする、前記並設された複数のワイヤを同一方向に走行させる走行手段と、前記走行するワイヤに接触する給電子と、を有するワイヤ放電加工システムに接続され、前記給電子に加工電源を供給する加工電源部を有する電源装置が読み取り実行可能なプログラムであって、
    前記電源装置を、
    前記加工電源部から前記給電子までの電源回路に流れている放電時の加工電流値を取得する取得手段と、
    前記取得した加工電流値の変動に応じて、前記変動した方向と反転する方向に前記取得した加工電流値が回復するように前記ワークから前記加工電源部までの電源回路の抵抗値を増減させて制御する抵抗制御手段と、
    して機能させることを特徴とするプログラム。



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