JP2016016489A - マルチワイヤ放電加工装置 - Google Patents

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小林 真
Makoto Kobayashi
真 小林
正毅 淵山
Masatake Fuchiyama
正毅 淵山
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Abstract

【課題】インゴットがワイヤに近接して放電加工が開始されるまでの時間を短縮できるようにすると共に、インゴットの端材部分を所定の厚さに形成できるようにしたマルチワイヤ放電加工装置を提供する。【解決手段】インゴットIとワイヤRの電気的な導通により、ワイヤRに対するインゴットIの原点位置を検出する原点検出機構を備えることにより、Y軸方向については、インゴットIの厚さ方向においてワイヤRによりインゴットIを切断する切断位置を明確に調整でき、Z軸方向については、加工に至るまでの移動距離を高速で移動させることができるようにする。【選択図】図3

Description

本発明は、マルチワイヤ放電加工装置及びインゴットの加工方法に関する。
従来、円柱状インゴットからウェーハを切り出す場合等における切断手段として、砥粒を用いたワイヤーソーが知られている。このワイヤーソーでは、複数のガイドローラ間に巻回された切断用ワイヤをその長手方向に高速駆動しながら、そのワイヤに対してワークを切断送りすることにより、このワークから多数枚の薄片が同時に切り出される。切り出されたウェーハは、ワイヤーソーによって発生したスクラッチを研削して除去しつつ平坦化して、表面にデバイスを形成し半導体ウェーハとなる。
しかし、このようなワイヤーソーでは、ガイドローラ間に形成された複数本の切断ワイヤ部分に対し、加工用砥粒が混合された加工液(スラリー)を同時供給する必要があり、その取扱いは容易でない。また、ワイヤがワークに直接接触するため、切断中にワイヤが断線するおそれがあり、このような断線が生じた場合には復旧までに長時間を要する不都合がある。
そこで、マルチワイヤ放電加工装置が発案された。放電加工によりワイヤとインゴットは接触していないため、インゴットにかかる負荷が非常に低く、スラリーによるスクラッチ等の傷も発生しないという効果がある。
特開2000−94221号公報
しかしながら、放電加工でインゴットの移動速度が0.1mm/minと速くないので、予め基台に固定したインゴットがワイヤに近接して放電加工が開始されるまでの助走距離分、非常に長い予備時間がかかるという問題があった。また、並列したワイヤの位置とインゴットとの相対位置は目視によって調整されるため、インゴットの端材部分を所定の厚さに形成する精度が低いという課題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、インゴットがワイヤに近接して放電加工が開始されるまでの時間を短縮できるようにすると共に、インゴットの端材部分を所定の厚さに形成できるようにしたマルチワイヤ放電加工装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明に係るマルチワイヤ放電加工装置は、間隔をおいて配設された複数のガイドローラと、該ガイドローラの軸方向であるY軸方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられ該ガイドローラ間で並列しインゴットを切断するX軸方向に位置付けられたワイヤと、インゴットを固定する基台部と、該ワイヤと該基台部に固定されたインゴットに高周波パルス電力を供給する高周波パルス電源ユニットと、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(Z軸方向)に該基台部を移動させワイヤでインゴットをウェーハにスライスさせるZ方向移動手段と、該Y軸方向へ該基台部を移動させるY方向移動手段と、を備え、該ワイヤで該インゴットを放電加工するマルチワイヤ放電加工装置であって、該Z方向移動手段又は該Y方向移動手段で該基台部を移動させ、該基台部に固定されたインゴットと該ワイヤの電気的な導通により該ワイヤに対する該インゴットの原点位置を検出する原点検出機構を備えることを特徴とする。
また、上記マルチワイヤ放電加工装置において、前記高周波パルス電源ユニットは、電圧調整手段を含み、前記原点検出機構を用いて前記ワイヤに対する前記基台部に固定されたインゴットの原点位置を検出する際は、該ワイヤで該インゴットを放電加工する時より低い電圧に調整し、インゴット及び該ワイヤの損傷を抑えることが好ましい。
本発明のマルチワイヤ放電加工装置によれば、原点検出機構を備えることにより、ワイヤに対するインゴットの原点位置を検出することができる。これにより、Z軸方向については、加工に至るまでの移動距離を高速で移動させることができるため、効率的で短時間の加工が可能になる。また、Y軸方向については、ワイヤをインゴットの厚さ方向(軸方向)においてどの位置を加工するかが明確に調整できるため、所望の厚さの端材となるような位置にワイヤを切り込ませる事ができ、インゴットを無駄なくウェーハにスライスできるという効果を奏する。
図1は、マルチワイヤ放電加工装置の構成例を示す斜視図である。 図2は、Y軸方向に対する原点位置の検出方法(その1)を示す図である。 図3は、Y軸方向に対する原点位置の検出方法(その2)を示す図である。 図4は、Z軸方向に対する原点位置の検出方法(その1)を示す図である。 図5は、Z軸方向に対する原点位置の検出方法(その2)を示す図である。 図6は、Z軸方向に対する原点位置の検出方法(その3)を示す図である。 図7は、放電加工を示す図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態〕
実施形態に係るマルチワイヤ放電加工装置を図1に基づいて説明する。図1は、マルチワイヤ放電加工装置の構成例を示す斜視図である。図1に示すマルチワイヤ放電加工装置1は、ワイヤRを繰り出す繰り出しボビン2と、間隔をおいて複数配設され、繰り出しボビン2により繰り出されたワイヤRを案内する円柱状のガイドローラ3a〜3fと、ワイヤRを巻き取る巻き取りボビン4とを備える。ガイドローラ3aは繰り出しボビン2の近傍に配設され、ガイドローラ3fは巻き取りボビン4の近傍に配設されている。4箇所のガイドローラ3b〜3eは、ガイドローラ3aとガイドローラ3fの間に配設されると共に、矩形の形状をなすようにそれぞれが矩形の角に配設される。
Y軸方向から見た場合に、ガイドローラ3bとガイドローラ3cで形成される線分と、ガイドローラ3eとガイドローラ3dで形成される線分は平行になるようにガイドローラ3b〜3eは配設されている。ガイドローラ3b〜3eは、繰り出しボビン2から繰り出されてガイドローラ3aから送り出されたワイヤRを複数回掛け回し、ガイドローラ3fを介して巻き取りボビン4に送り出す。繰り出しボビン2、ガイドローラ3a〜3f、巻き取りボビン4は、図示しないモータによって回転駆動される。なお、全てのガイドローラ3a〜3fをモータ駆動とする必要はなく、例えばガイドローラ3b,3dを従動ローラとしてもよい。
繰り出しボビン2には、放電加工に用いられる黄銅などの金属線であるワイヤRが巻き回されている。繰り出しボビン2は、図示しないモータによって回転駆動され、ワイヤRをガイドローラ3aに対して繰り出す。ガイドローラ3aは、繰り出しボビン2から繰り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ3bに送り出す。ガイドローラ3bはガイドローラ3aの近傍に配設され、ガイドローラ3aから送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ3cに送り出す。ガイドローラ3cは、ガイドローラ3bと対向して配設され、ガイドローラ3bから送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ3dに送り出す。ガイドローラ3dは、ガイドローラ3cと対向して配設されると共にガイドローラ3bと対角線上に配設され、ガイドローラ3cから送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ3eに送り出す。ガイドローラ3eは、ガイドローラ3dと対向して配設されると共にガイドローラ3cと対角線上に配設され、ガイドローラ3dから送り出されたワイヤRを巻き掛けてガイドローラ3bに送り出す。ワイヤRは、ガイドローラ3b〜3eの長手方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられ、さらにガイドローラ3fに巻き掛けられて巻き取りボビン4に巻き取られる。このように、ワイヤRは、ガイドローラ3b〜3eの軸方向であるY軸方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられてガイドローラ3b〜3e間で並列し、インゴットIを切断するX軸方向に位置付けられている。インゴットIは導電性がある材料であり、SiC(炭化ケイ素)、単結晶ダイヤ、シリコン、GaN(窒化ガリウム)等である。ワイヤRは、一対の隣接するガイドローラ3dとガイドローラ3eとの間に形成された切断ワイヤ部5を構成し、切断ワイヤ部5はX軸方向に走行するよう位置付けられている。
切断ワイヤ部5はインゴットIを切断するものであり、ガイドローラ3dとガイドローラ3eで一定のテンションを有して張設され、所定の間隔でガイドローラ3d,3eの長手方向に配設された8本のワイヤRから構成されている。切断ワイヤ部5を構成するワイヤRはX軸方向に進行し、ワイヤRの間隔は0.5〜数mm程度であり、この実施例では4mm程度である。
切断ワイヤ部5に対向した位置には、インゴットIを設置するインゴット設置手段6と、インゴットIをY軸方向に移動させるY方向移動手段7と、インゴットIをZ軸方向に移動させるZ方向移動手段8とが設けられている。インゴット設置手段6は切断ワイヤ部5の上面側に配設され、基台部61と、取り付け部材62とを備える。基台部61は、円柱状のインゴットIの長手方向及び短手方向の長さよりも若干大きく形成された直方体形状であり、取り付け部材62を介してインゴットIを固定する。
Y方向移動手段7は、Y軸方向に対して平行に延在される不図示のボールねじと、パルスモータ等で構成される駆動源とを有し、ボールねじのナットに固定された基台部61を、切断ワイヤ部5のワイヤRの進行方向(X軸方向)に直角であるY軸方向に移動させる。
Z方向移動手段8は、Z軸方向に対して平行に延在される不図示のボールねじと、パルスモータ等で構成される駆動源とを有し、ボールねじのナットに固定された基台部61を、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(Z軸方向)に移動させて、切断ワイヤ部5のワイヤRでインゴットIをウェーハにスライスさせる。
基台部61の下面側には、導電性接着剤63を介してインゴットIが接着固定された取り付け部材62が固定される。インゴットIを切断ワイヤ部5のワイヤRにより切断する場合、ワイヤRがインゴットIを通過して取り付け部材62を若干切り込むようにしてインゴットIを切断する。すなわち、インゴットIと共に取り付け部材62の一部も同時に切断する。これにより、インゴットIを確実に切断することができる。マルチワイヤ放電加工は、誘電体である水や油などの液体の中で実施されることが多く、図示していないが、切断ワイヤ部5は液体が満たされた液槽の中に浸されている。
マルチワイヤ放電加工装置1は、切断ワイヤ部5に給電する給電手段9と、Y方向移動手段7及びZ方向移動手段8を制御する制御手段10と、切断ワイヤ部5のワイヤRとインゴットIとの導通を検出する導通検出手段11とを備える。制御手段10は、導通検出手段11からの検出結果に基づいて原点位置を判定する検出判定部10aを備える。導通検出手段11及び検出判定部10aは、原点検出機構を構成する。
給電手段9は、給電子91と、高周波パルス電源ユニット92とを備える。給電子91は、切断ワイヤ部5の8本のワイヤRに当接して配設されると共に、高周波パルス電源ユニット92に接続されている。高周波パルス電源ユニット92は、給電子91を介して切断ワイヤ部5のワイヤRと基台部61に固定されたインゴットIに高周波パルス電力を供給する。
高周波パルス電源ユニット92から高周波パルス電力を供給して、給電子91に当接された切断ワイヤ部5の8本のワイヤRとインゴットIとの極間に電圧を印加すると、ワイヤRは、正面に配置されたインゴットIに対して放電を行う。例えば、液中で絶縁状態にあるインゴットIとワイヤRの間隔が数十ミクロン位まで近づくと、両者の絶縁が破壊されて放電が発生する。この放電によってインゴットIが加熱されて溶融され、さらに液体の温度が急激に上昇することにより液体が気化し、体積膨張によって溶融箇所を飛散させる。このように、高周波パルス電力を切断ワイヤ部5のワイヤRに供給することで、インゴットIを溶融すると共に飛散させる処理を断続的に行ってインゴットIを切断する。
導通検出手段11は高周波パルス電源ユニット92及び検出判定部10aに接続され、基台部61に固定されたインゴットIとワイヤRの電気的な導通を検出し、検出結果を検出判定部10aに出力する。例えば、導通検出手段11は、高周波パルス電源ユニット92、インゴットI、ワイヤRを介した閉回路または放電による閉回路状態に流れる電流の電圧値を検出し、検出された電圧値を検出判定部10aに出力する。
検出判定部10aは、導通検出手段11の検出結果に基づいてワイヤRに対するインゴットIの原点位置を判定する。ここで、インゴットIの原点位置とは、Y軸方向とZ軸方向の2つの原点位置が存在する。Y軸方向の原点位置とは、インゴットIをY軸方向に移動させた場合に、当該インゴットIの端面が切断ワイヤ部5のワイヤRに接触する位置である。また、Z軸方向の原点位置とは、インゴットIをZ軸方向に移動させた場合に、当該インゴットIの外周面が切断ワイヤ部5のワイヤRに接触する位置である。
高周波パルス電源ユニット92は電圧調整手段920を有する。ワイヤRに対する基台部61に固定されたインゴットIの原点位置を検出する際は、電圧調整手段920は、ワイヤRでインゴットIを放電加工する時より低い電圧に調整し、インゴットI及び該ワイヤRの損傷を抑える。例えば、電圧調整手段920は、放電加工時は100V以上の電圧をワイヤRに印加し、原点位置検出時は10V〜50Vの電圧をワイヤRに印加する。原点検出時に印加する電圧では、ワイヤRとインゴットIの間に放電が発生しなくてもよい。
検出判定部10aは、インゴットIとワイヤRが導通して短絡したことを判定するための閾値を有し、当該閾値と導通検出手段11が検出した電圧値とを比較する。当該閾値は、短絡時の電圧値よりも若干高く、放電加工時の電圧値よりも低く設定されている。検出判定部10aは、導通検出手段11が検出した電圧値が閾値よりも低くなる場合には短絡したと判定し、制御手段10に原点位置を検出したことを示す原点検出信号を出力する。制御手段10は、検出判定部10aから原点検出信号を入力すると、Y方向移動手段7又はZ方向移動手段8の駆動を停止する。これにより、Y軸方向又はZ軸方向へ移動しているインゴットIが停止し、Y軸方向又はZ軸方向への原点位置が検出される。ここで、制御手段10は、Y方向移動手段7又はZ方向移動手段8におけるボールねじを駆動するパルスモータのパルス数に基づいてインゴットIの移動量を把握している。例えば、制御手段10は、検出判定部10aからY軸方向の原点検出信号を入力すると、Y方向移動手段7の駆動を停止すると共に、Y軸方向の基準開始位置からY方向移動手段7を駆動したパルスモータのパルス数に基づいてインゴットIのY軸方向における原点位置を検出する。
次に、図2乃至図6に基づいて、Y軸方向及びZ軸方向に対する原点位置の検出方法について説明する。また、図7に基づいて放電加工について説明する。本実施形態では、先ず、Y軸方向に対する原点位置を検出し、次に、Z軸方向に対する原点位置を検出する。そして、Z軸方向の原点位置を検出後に放電加工を実施する。
図2は、Y軸方向に対する原点位置の検出方法(その1)を示す図である。図3は、Y軸方向に対する原点位置の検出方法(その2)を示す図である。図4は、Z軸方向に対する原点位置の検出方法(その1)を示す図である。図5は、Z軸方向に対する原点位置の検出方法(その2)を示す図である。図6は、Z軸方向に対する原点位置の検出方法(その3)を示す図である。図7は、放電加工を示す図である。図2乃至図7は、X軸方向からインゴットI及びワイヤRを見た模式的な図である。
〔Y軸方向の原点検出〕
インゴットIをワイヤRに対してY軸方向に対向させ、インゴットIと切断ワイヤ部5のワイヤRが接触するまでインゴットIをワイヤRに向けて高速移動させる。例えば、図2に示すように、切断ワイヤ部5のY軸方向における端部に位置するワイヤR1とインゴットIの端面Iaを対向させ、ワイヤR1に向けてインゴットIを矢印P方向(Y軸方向)に高速移動させる。例えば、インゴットIを放電加工する場合の移動速度は0.1mm/min程度であるが、原点位置を検出する場合の移動速度は数mm/s程度であり、原点位置検出の移動速度は放電加工の移動速度より速く設定されている。
原点位置を検出する場合、図1に示した検出判定部10aは、導通検出手段11が検出した電圧値と、短絡したことを判定するための閾値とを比較している。図3に示すように、インゴットIの端面IaとワイヤR1とが接触して短絡すると、導通検出手段11が検出した電圧値が閾値よりも低くなるので、検出判定部10aはインゴットIとワイヤRが短絡したと判定し、原点位置を検出したことを示す原点検出信号を制御手段10に出力する。
制御手段10は、検出判定部10aから原点検出信号を入力すると、Y方向移動手段7の駆動を停止する。これにより、Y軸方向へ移動しているインゴットIが停止し、Y軸方向への原点位置が検出される。例えば、Y軸方向における基準開始位置からY方向移動手段7を駆動したパルスモータのパルス数に基づいてインゴットIのY軸方向における原点位置が制御手段10により検出される。Y軸方向への原点位置を検出後、制御手段10は、Y方向移動手段7を駆動し、Z軸方向に移動時にインゴットIの端面IaがワイヤR1に接触しない位置までインゴットIをワイヤRに対してY軸方向に離間させて停止させる。そして、制御手段10は、Z方向移動手段8を駆動し、ワイヤRに対してZ軸方向に所定の間隔を有するようにインゴットIを上昇させる。これにより、インゴットIの端面IaとワイヤRとを接触させずにインゴットIをZ軸方向に移動できるので、ワイヤRの損傷を防ぐことができる。
制御手段10は、Y方向移動手段7を駆動して、インゴットIをY軸方向に所定の移動量だけ移動させて切断位置を決定する。例えば、制御手段10は、インゴットIの厚みに基づいてY軸方向への移動量を決定する。例えば、インゴットIの厚みが20mmの場合、Y軸方向への移動量を原点位置から18mmとして、端面Ib側の端材の厚みを2mm弱とする。これにより、インゴットIの厚さ方向においてワイヤRによりインゴットIを切断する切断位置を明確に調整できるため、所望の厚さの端材となるような位置にワイヤRを切り込ませる事ができ、インゴットIを無駄なくスライスできる。なお、端材の厚みを2mm弱としたが、インゴットの品質や基台62への固定角度により調整する。
〔Z軸方向の原点検出〕
上述のようにY軸方向に対するインゴットIの切断位置を決定後、インゴットIがワイヤRに接触するまでZ軸方向にインゴットIを高速移動させる。例えば、図4に示すように、ワイヤRに向けてインゴットIを矢印Q方向(Z軸方向)に移動速度が数mm/sで高速移動させる。
Z軸方向の原点位置を検出する場合、図1に示した検出判定部10aは、導通検出手段11が検出した電圧値と、短絡したことを判定するための閾値とを比較している。図5に示すように、インゴットIの外周面Icの最下端部とワイヤRとが接触して短絡すると、導通検出手段11が検出した電圧値が閾値よりも低くなるので、検出判定部10aはインゴットIとワイヤRが短絡したと判定し、原点位置を検出したことを示す原点検出信号を制御手段10に出力する。
制御手段10は、検出判定部10aから原点検出信号を入力すると、Z方向移動手段8を制御して矢印Q方向に下降するインゴットIを一旦停止させ、図6に示すように、Z軸方向に若干上昇させてインゴットIとワイヤRとの間に間隔ができるようにする。例えば、図6に示す加工開始位置は、Z軸方向における基準開始位置からZ方向移動手段8を駆動し、所定のパルスモータのパルス数だけ制御手段10によりインゴットIとワイヤRは離間される。なお、下降するインゴットIを一旦停止させてインゴットIとワイヤRとの間に間隔を有するように制御したのは、原点位置検出時の電圧(10V〜50V)と放電加工時の電圧(100V以上)とが異なるためである。このように、加工に至るまでのZ軸方向への移動距離を高速で移動させることができるため、効率的で短時間の加工が可能になる。
図6に示すようにインゴットIがワイヤRと間隔を有して停止した状態、すなわち加工開始位置で、高周波パルス電源ユニット92は放電加工時の電圧でワイヤRとインゴットIに高周波パルス電力を供給する。制御手段10は、Z方向移動手段8を駆動し、図7に示すようにインゴットIをZ軸方向に放電加工時の移動速度(0.1mm/min)で下降させて、ワイヤRによりインゴットIをウェーハWに切断する。
以上のように、実施形態に係るマルチワイヤ放電加工装置1によれば、インゴットIとワイヤRの電気的な導通(短絡)により、ワイヤRに対するインゴットIの原点位置を検出する原点検出機構(導通検出手段11及び検出判定部10a)を備えるものである。これにより、Y軸方向については、インゴットIの厚さ方向においてワイヤRによりインゴットIを切断する切断位置を明確に調整できるため、所望の厚さの端材となるような位置にワイヤRを切り込ませる事ができ、インゴットIを無駄なくスライスできる。また、Z軸方向については、加工に至るまでの移動距離を高速で移動させることができ、効率的で短時間の加工が可能になる。また、Z軸方向におけるインゴットIの加工開始位置をワイヤRの直近かつ一定の距離に設定することができ、放電加工する際の移動(速度0.1mm/min)を最小限に抑えることができる。
なお、Y軸方向における原点検出時に、ワイヤR1がインゴットIの端面Iaに接触するが、インゴットIの端面Iaはウェーハとして使用されない端材のため、当該接触により損傷したとしても影響がない。また、Z軸方向における原点検出時に、ワイヤR1〜R5がインゴットIの外周面Icに接触するが、ワイヤR1〜R5が接触した外周面Icの箇所は加工時に切り込まれるので、当該接触により損傷したとしても影響がない。
また、Z軸方向またはY軸方向の一方の原点位置の検出は、上述したインゴットIとワイヤRの短絡により検出する方法に限定されない。例えば、撮像手段により撮像した画像に基づいて原点位置を検出してもよいし、作業員による目視により原点位置を検出するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、検出判定部10aは、短絡と判定した場合に原点位置を検出したことを示す原点検出信号を制御手段10に出力し、制御手段10は、原点検出信号が入力されると、Y方向移動手段7又はZ方向移動手段8の駆動を停止するように制御する例を示したが、これに限定されない。例えば、検出判定部10aは、短絡と判定した場合に報知ランプやモニターなどの報知手段に原点検出信号を出力し、報知手段による報知を作業員が目視確認して、作業員による操作によってY方向移動手段7又はZ方向移動手段8の駆動を停止するようにしてもよい。
また、Y軸方向の原点位置の検出後に、インゴットIをワイヤRに対してY軸方向に離間させてインゴットIをZ軸方向へ上昇させる例を説明したが、これに限定されない。例えば、インゴットIの端面Iaを基台61に対して垂直に固定できる場合、Y軸方向への原点位置を検出後、ワイヤRに対してY軸方向に離間させずにインゴットIをそのままZ軸方向へ上昇させてもよい。この場合、インゴットIが上昇後、インゴットIの端面IaとワイヤR1はZ軸方向の同一直線上に位置している。Y軸方向に離間させる動作が不要な分、作業時間を短縮できる。
また、インゴットIの端面IaとワイヤR1との短絡によりY軸方向の原点位置を検出したが、これに限定されない。例えば、インゴットIの反対側の端面IbとワイヤR8との短絡によりY軸方向の原点位置を検出し、検出された原点位置と、ワイヤR1からワイヤR8までの距離とに基づいてインゴットIを切断する切断位置を決定してもよい。例えば、ワイヤR1からワイヤR8までの距離は、それぞれのワイヤRのピッチ間隔とワイヤの本数から求まり、ワイヤR1〜R8までの距離にインゴットIの端材の厚みの長さを加えた距離だけインゴットIをY軸方向に移動する。
また、Z軸方向の原点検出後、インゴットIとワイヤRとをZ軸方向に離間させた後に移動速度と電圧を放電加工用に調整して放電加工を行ったが、これに限定されない。例えば、Z軸方向の原点検出後にZ方向移動手段8を一旦停止させ、移動速度と電圧を放電加工用に調整して放電加工を続行してもよい。
また、Y軸方向における原点位置を検出した後に、Z軸方向における原点位置を検出する例を説明したが、Z軸方向における原点位置を検出後にY軸方向における原点位置を検出するようにしてもよい。
1 マルチワイヤ放電加工装置
2 繰り出しボビン
3a〜3f ガイドローラ
4 巻き取りボビン
5 切断ワイヤ部
6 インゴット設置手段
61 基台部
62 取り付け部材
63 導電性接着剤
7 Y方向移動手段
8 Z方向移動手段
9 給電手段
91 給電子
92 高周波パルス電源ユニット
920 電圧調整手段
10 制御手段
10a 検出判定部
11 導通検出手段
R ワイヤ
I インゴット
W ウェーハ

Claims (2)

  1. 間隔をおいて配設された複数のガイドローラと、該ガイドローラの軸方向であるY軸方向に間隔をあけて複数回巻き掛けられ該ガイドローラ間で並列しインゴットを切断するX軸方向に位置付けられたワイヤと、インゴットを固定する基台部と、該ワイヤと該基台部に固定されたインゴットに高周波パルス電力を供給する高周波パルス電源ユニットと、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(Z軸方向)に該基台部を移動させワイヤでインゴットをウェーハにスライスさせるZ方向移動手段と、該Y軸方向へ該基台部を移動させるY方向移動手段と、を備え、該ワイヤで該インゴットを放電加工するマルチワイヤ放電加工装置であって、
    該Z方向移動手段又は該Y方向移動手段で該基台部を移動させ、該基台部に固定されたインゴットと該ワイヤの電気的に導通により該ワイヤに対する該インゴットの原点位置を検出する原点検出機構を備えることを特徴とするマルチワイヤ放電加工装置。
  2. 前記高周波パルス電源ユニットは、電圧調整手段を含み、
    前記原点検出機構を用いて前記ワイヤに対する前記基台部に固定されたインゴットの原点位置を検出する際は、該ワイヤで該インゴットを放電加工する時より低い電圧に調整し、インゴット及び該ワイヤの損傷を抑えることを特徴とする請求項1記載のマルチワイヤ放電加工装置。
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