JP7179239B1 - マルチワイヤ放電加工機、マルチワイヤ放電加工方法、薄板製造方法および半導体ウェハ製造方法 - Google Patents

マルチワイヤ放電加工機、マルチワイヤ放電加工方法、薄板製造方法および半導体ウェハ製造方法 Download PDF

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Abstract

マルチワイヤ放電加工機は、ワイヤ電極が複数回巻き掛けられて、ワイヤ電極の走行をガイドする複数のガイドローラと、ワイヤ電極のうち、複数のガイドローラに含まれる第1のガイドローラおよび第2のガイドローラの間にて並行する部分である複数の切断ワイヤ部の各々と被加工物(2)との間に電圧を印加する加工電源と、被加工物(2)の曲面のうち被加工物(2)の加工終了時に複数の切断ワイヤ部の各々が到達する終点を除いた部分に接触可能に湾曲した接触面を含み、複数の切断ワイヤ部に対して被加工物(2)が移動する方向である第1の方向における一方の側から被加工物(2)を支持するダミーワーク(25)と、被加工物(2)の曲面に接触可能な押さえ部(28)を有し、第1の方向における他方の側から被加工物(2)に押さえ部(28)を接触させてダミーワーク(25)の方へ被加工物(2)を押さえ付ける押さえ機構(26)と、を備える。

Description

本開示は、被加工物の複数の位置における放電加工を同時に行うマルチワイヤ放電加工機、マルチワイヤ放電加工方法、薄板製造方法および半導体ウェハ製造方法に関する。
マルチワイヤ放電加工機は、1本のワイヤ電極を複数回周回させることによって互いに並行する複数の切断ワイヤ部が形成されて、各切断ワイヤ部での放電加工を同時に行うことで、被加工物から複数の薄板を一度に切り出す。マルチワイヤ放電加工機は、被加工物を破損させること無く被加工物から複数の薄板を切り出すことが求められる。
特許文献1には、円柱状の半導体インゴットから半導体ウェハを切り出すマルチワイヤ放電加工に関し、半導体インゴットを支持する支持機構の基台部に半導体インゴットの側面を固定して、ワイヤに対して支持機構を移動させることによってインゴットの放電加工を行う方法が開示されている。直方体である基台部のうち半導体インゴットの方へ向けられた前面には、接着剤を用いて、半導体インゴットの側面が固定される。
特許第6397738号公報
マルチワイヤ放電加工機では、放電加工によって被加工物に形成された溝の内部から加工屑を排出するために、ノズルから被加工物の側面へ向けて加工液が吹きかけられる。円柱状の被加工物から薄板を切り出す場合、加工が進むにつれてノズルの噴射口と被加工物との間隔が変化する。噴射口と被加工物との間隔または吹きかけられる加工液の量によっては、加工プロセスが不安定となることによってワイヤが断線する場合がある。このため、実際の加工では、加工液を大量に吹きかけるとともに、被加工物とワイヤとの間の放電状態に応じて被加工物とワイヤとの相対速度を逐次制御することで、加工プロセスの不安定化を防ぐ。このように被加工物に加工液が吹きかけられる場合、被加工物には、加工液による外力が与えられる。
円柱状の被加工物の切断が終了する間際では、被加工物のうち互いに切り離される部分同士の接続部、すなわち、切断が済んでいない部分の断面積が徐々に小さくなる。かかる断面積とは、被加工物である円柱の中心線に垂直な断面の面積とする。上記特許文献1の方法の場合、切断が済んでいない部分の断面積が小さくなるとともに被加工物が外力を受けることによって、切断の終了が近づくにつれて被加工物に割れが生じ易くなる。
また、上記特許文献1の方法の場合、円柱状の被加工物の切断が終了する間際では、切断が済んでいない部分の断面積が徐々に小さくなる一方、切断ワイヤ部が基台部の前面に到達したときに基台部の加工が開始される。すなわち、基台部の加工量がゼロから急激に増加する。基台部の加工量が急激に増加することで、被加工物と切断ワイヤ部との相対速度が急激に低下して、被加工物の加工量が局所的に多くなる。被加工物の加工量が局所的に多くなることによって、被加工物に割れが生じ易くなる。このように、上記特許文献1の技術によると、被加工物の割れを低減することが困難であるという問題があった。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、被加工物の割れを低減可能とするマルチワイヤ放電加工機を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかるマルチワイヤ放電加工機は、ワイヤ電極が間隔をとりながら複数回巻き掛けられて、ワイヤ電極の走行をガイドする複数のガイドローラと、ワイヤ電極のうち、複数のガイドローラに含まれる第1のガイドローラおよび第2のガイドローラの間にて並行する部分である複数の切断ワイヤ部の各々と被加工物との間に電圧を印加する加工電源と、曲面を有する被加工物の曲面のうち被加工物の加工終了時に複数の切断ワイヤ部の各々が到達する終点を除いた部分に接触可能に湾曲した接触面を含み、複数の切断ワイヤ部に対して被加工物が移動する方向である第1の方向における一方の側から被加工物を支持するダミーワークと、被加工物の曲面に接触可能な押さえ部を有し、第1の方向における他方の側から被加工物に押さえ部を接触させてダミーワークの方へ被加工物を押さえ付ける押さえ機構と、を備える。
本開示にかかるマルチワイヤ放電加工機は、被加工物の割れを低減できるという効果を奏する。
実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機の構成を示す図 実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機に備えられる被加工物治具の斜視図 実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機に備えられるダミーワークの平面図 実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機の動作手順を示すフローチャート 実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機が放電加工を開始したときにおける被加工物治具および複数の切断ワイヤ部の様子を示す斜視図 実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機が被加工物の押さえ付けを開始したときにおける被加工物治具および複数の切断ワイヤ部の様子を示す斜視図 実施の形態1のダミーワークにおける接触面の範囲について説明するための平面図 実施の形態1における、被加工物のうち押さえ部が接触する領域と被加工物にかかる主応力との関係について説明するための第1の図 実施の形態1における、被加工物のうち押さえ部が接触する領域と被加工物にかかる主応力との関係について説明するための第2の図 実施の形態1における、被加工物のうち押さえ部が接触する領域と被加工物にかかる主応力との関係について説明するための第3の図 実施の形態1の変形例にかかるダミーワークの平面図 実施の形態1の変形例にかかる被加工物治具を示す斜視図
以下に、実施の形態にかかるマルチワイヤ放電加工機、マルチワイヤ放電加工方法、薄板製造方法および半導体ウェハ製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機1の構成を示す図である。以下の説明において、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに垂直な3軸である。Z軸は、鉛直方向の軸である。各軸の方向のうち、矢印の方向をプラスの方向、矢印とは逆の方向をマイナスの方向とする。プラスZ方向が鉛直上方向、マイナスZ方向が鉛直下方向とする。
マルチワイヤ放電加工機1は、ワイヤ電極6を複数回周回させて走行させ、ワイヤ電極6のうち互いに並行して走行する部分である複数の切断ワイヤ部6aの各々と被加工物2との間への電圧の印加によって被加工物2の放電加工を行う。マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2から複数の薄板を同時に切り出すことによって複数の薄板を製造する。マルチワイヤ放電加工機1は、加工電源7による電圧印加を制御することによって、加工プロセスの不安定化または機械的な経年変化によるワイヤ電極6の切断を防ぎながら放電加工を実行する。
マルチワイヤ放電加工機1は、ワイヤ電極6を供給するワイヤボビン4と、ワイヤボビン4を回転させるワイヤボビン駆動部17と、ワイヤ電極6をマルチワイヤ放電加工機1の外部へ排出するワイヤ排出ローラ5と、ワイヤ電極6を適切に走行させるための複数のガイドローラ3a,3b,3c,3dと、ガイドローラ3aを駆動するガイドローラ駆動部18とを備える。ガイドローラ3a,3b,3c,3dには、ワイヤ電極6が間隔をとりながら複数回巻き掛けられる。ガイドローラ3a,3b,3c,3dは、ワイヤボビン4とワイヤ排出ローラ5との間におけるワイヤ電極6の走行をガイドする。
マルチワイヤ放電加工機1は、ワイヤ電極6に電力を供給する給電子12と、加工ステージを駆動する駆動ユニット14とを備える。加工ステージの図示は省略する。加工ステージには、被加工物治具が配置される。被加工物2は、被加工物治具によって支持される。図1では、被加工物治具の図示を省略する。被加工物治具の詳細については後述する。駆動ユニット14は、第1の方向であるZ軸方向へ加工ステージを移動させる。第1の方向は、複数の切断ワイヤ部6aに対して被加工物2が移動する方向であって、被加工物2における放電加工の進行方向である。
マルチワイヤ放電加工機1は、加工電源7と、加工電源7と被加工物治具との間を接続するケーブル11と、放電加工を制御する加工制御装置9と、加工状態を検出する加工状態検出装置15とを備える。加工電源7は、給電子12を介して、各切断ワイヤ部6aと被加工物治具との間に加工用のパルス電圧を印加する。すなわち、加工電源7は、複数の切断ワイヤ部6aの各々と被加工物2との間に、加工用のパルス電圧を印加する。以下、加工用のパルス電圧を、加工パルス電圧と称する。
各ガイドローラ3a,3b,3c,3dは、円柱状である。ガイドローラ3a,3b,3c,3dは、中心軸が互いに平行であって、かつ互いに離間して配置されている。図1において、各ガイドローラ3a,3b,3c,3dの中心軸は、Y軸に一致している。各中心軸に垂直な面内において、各ガイドローラ3a,3b,3c,3dの中心軸の位置は、四角形の頂点に相当する。図1において、各中心軸に垂直な面は、XZ平面である。
具体的には、4つのガイドローラ3a,3b,3c,3dのうち2つのガイドローラ3a,3bが、他の2つのガイドローラ3c,3dよりも上に配置されている。ガイドローラ3cは、ガイドローラ3bの下方の位置に配置されている。ガイドローラ3dは、ガイドローラ3aの下方の位置に配置されている。各中心軸に垂直な面内において、ガイドローラ3aの中心軸とガイドローラ3bの中心軸とを結ぶ線と、ガイドローラ3cの中心軸とガイドローラ3dの中心軸とを結ぶ線とは、X軸に一致している。各中心軸に垂直な面内において、ガイドローラ3bの中心軸とガイドローラ3cの中心軸とを結ぶ線と、ガイドローラ3dの中心軸とガイドローラ3aの中心軸とを結ぶ線とは、Z軸に一致している。
各ガイドローラ3a,3b,3c,3dの側面には、ワイヤ電極6の走行をガイドするための複数のガイド溝が形成されている。各ガイドローラ3a,3b,3c,3dにおいて、複数のガイド溝は、中心軸の方向において一定の間隔で形成されている。ワイヤボビン4から繰り出されたワイヤ電極6は、各ガイドローラ3a,3b,3c,3dにおいてガイド溝に沿って巻き掛けられる。ワイヤ電極6は、ガイドローラ3a,3b,3c,3dにおいて複数回周回してから、ワイヤ排出ローラ5によって排出される。図1において、プラスY方向側から各ガイドローラ3a,3b,3c,3dを見た場合に、各ガイドローラ3a,3b,3c,3dは、右回りに回転する。
複数の切断ワイヤ部6aの各々は、ワイヤ電極6のうち、第1のガイドローラであるガイドローラ3cと第2のガイドローラであるガイドローラ3dとの間に架け渡された部分である。ガイドローラ3cとガイドローラ3dとの間には、互いに平行な複数の切断ワイヤ部6aが設けられる。複数の切断ワイヤ部6aは、ワイヤ電極6のうち、ガイドローラ3cとガイドローラ3dとの間にて互いに並行する部分である。実施の形態1において、複数の切断ワイヤ部6aにおけるワイヤ電極6の走行方向である第2の方向は、X軸方向である。
図1に示す例では、ガイドローラ駆動部18がガイドローラ3aを回転させる。また、ワイヤ電極6の張力が一定になるように、ワイヤボビン駆動部17がワイヤボビン4を回転させる。マルチワイヤ放電加工機1は、ワイヤ電極6の走行速度が所望の速度となるように、ワイヤボビン駆動部17によるワイヤボビン4の回転とガイドローラ駆動部18によるガイドローラ3aの回転とを制御する。
加工状態検出装置15は、各切断ワイヤ部6aにおける加工状態を検出する。加工状態検出装置15は、給電子12と加工電源7との間を接続する配線上に設置されている。加工状態検出装置15は、極間電圧と、電流と、単位時間当たりの放電回数および短絡回数と、加工電源7の出力電圧である加工パルス電圧とを、給電子12を介してモニタすることによって、加工状態を検出する。極間電圧は、極間、すなわち被加工物2と各切断ワイヤ部6aとの間に印加される電圧である。加工状態検出装置15は、各々が切断ワイヤ部6aと1対1で対応する複数の加工状態検出ユニット16を備える。加工状態検出装置15は、各加工状態検出ユニット16により、切断ワイヤ部6aごとの加工状態を検出する。
加工制御装置9は、加工状態検出装置15によって検出された加工状態に基づいて、位置指令、すなわち送り制御指令値を生成する。加工制御装置9は、駆動ユニット14へ位置指令を出力する。駆動ユニット14は、位置指令に従って加工ステージをZ軸方向に移動させる。これにより、被加工物2と各切断ワイヤ部6aとの相対位置が変更される。マルチワイヤ放電加工機1は、駆動ユニット14によって、被加工物2と各切断ワイヤ部6aとの相対距離を調整する。
加工電源7は、各々が切断ワイヤ部6aと1対1で対応する複数の加工電源ユニット8を備える。加工制御装置9は、各加工電源ユニット8へ電圧印加指令を出力する。各加工電源ユニット8は、切断ワイヤ部6aと被加工物2との間に加工パルス電圧を印加する。電圧印加指令は、電圧の振幅、パルス電圧の周波数、および、パルス電圧のオンパルス時間等の各指令値を含む。
加工制御装置9は、位置指令の出力によって被加工物2と各切断ワイヤ部6aとの相対距離を制御するとともに、電圧印加指令の出力によって各切断ワイヤ部6aと被加工物2との間に放電を発生させる。これにより、マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2から複数の薄板を切り出す。
被加工物2は、複数の薄板にスライス加工されるインゴットである。被加工物2は、例えば、スパッタリングターゲットとなるタングステンまたはモリブデンといった金属、または、各種構造の部品として使われる多結晶シリコンカーバイトなどのセラミックスである。被加工物2は、半導体ウェハの材料である単結晶シリコンであっても良く、単結晶シリコンカーバイト、単結晶窒化ガリウム、単結晶酸化ガリウム、または単結晶ダイヤモンドといった半導体素材でも良い。また、被加工物2は、太陽電池ウェハの材料である、単結晶シリコン、多結晶シリコンといった太陽電池素材でも良い。マルチワイヤ放電加工機1は、インゴットから複数の半導体ウェハを切り出すことによって複数の半導体ウェハを製造するものであっても良い。
被加工物2の例として挙げた材料のうち、金属は、比抵抗が十分低く放電加工の適用に支障は無い。一方、半導体素材および太陽電池素材のうち放電加工が可能な素材は、比抵抗が概ね100Ωcm以下と十分低い素材であって、望ましくは、比抵抗が10Ωcm以下の素材である。
したがって、金属は、被加工物2として適している。半導体素材または太陽電池素材といった素材では、金属と同等の比抵抗から100Ωcmまでの範囲に比抵抗が含まれる素材が、被加工物2として適している。半導体素材または太陽電池素材といった素材では、金属と同等の比抵抗から10Ωcmまでの範囲に比抵抗が含まれる素材が、被加工物2としてさらに適している。
マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2と各切断ワイヤ部6aとの間である極間に、加工液が供給する。いわゆるシングルタイプのワイヤ放電加工機の場合と同様に、加工液を吹き掛けることによって、または、被加工物2を加工液に浸漬させることによって、加工液は、極間に供給される。加工液を供給するための構成の図示は省略する。
加工電源7は、加工制御装置9からの電圧印加指令に従って、極間に印加する加工パルス電圧を生成する。加工電源7は、例えば、スイッチング電源方式によって加工パルス電圧を生成する。加工電源7は、複数の加工電源ユニット8により、複数の切断ワイヤ部6aの各々へ個別に加工パルス電圧を印加する。加工電源7は、複数の加工電源ユニット8に跨って設けられた接地電極10を備える。接地電極10には、各加工電源ユニット8のグラウンド線が接続されている。接地電極10は、ケーブル11により被加工物治具に接続されている。被加工物2は、被加工物治具とケーブル11とを介して接地電極10に接続される。なお、加工電源7は、生成する加工パルス電圧の極性を、必要に応じて適宜反転させることができる。
給電子12は、互いに絶縁された複数の給電子ユニット13で構成されている。複数の給電子ユニット13の各々は、給電ワイヤ部6bと1対1で対応する。図1に示す例では、ワイヤ電極6のうちガイドローラ3bとガイドローラ3cとの間にて並行する部分が、複数の給電ワイヤ部6bである。各給電子ユニット13には、給電ワイヤ部6bが摺動可能に接する。各給電子ユニット13は、加工電源ユニット8から供給された電力を給電ワイヤ部6bへ供給する。給電子12は、複数の給電子ユニット13により、複数の給電ワイヤ部6bの各々へ個別に電力を供給する。これにより、各加工電源ユニット8により各切断ワイヤ部6aへ個別に加工パルス電圧が印加される。
次に、被加工物治具の詳細について説明する。図2は、実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機1に備えられる被加工物治具20の斜視図である。被加工物治具20は、放電加工の際に被加工物2を支持する。実施の形態1において、被加工物2は円柱状である。図2において、被加工物2は、円柱の中心軸をY軸に一致させた状態で被加工物治具20に設置される。図1では、マルチワイヤ放電加工機1の各構成要素を見易くするため、被加工物2の形状を、図2に示す形状とは異なる形状とした。
被加工物治具20は、板状の支持体20aと、基準プレート21と、サブプレート22と、通電電極23と、電極固定具24と、ダミーワーク25と、押さえ機構26と、スペーサ27とを備える。基準プレート21は、支持体20aに貼り合わせられている。押さえ機構26は、支持体20aのプラスZ方向側に設置されている。支持体20aは、基準プレート21および押さえ機構26と一体化されている。支持体20aは、基準プレート21と押さえ機構26とを支持する。基準プレート21は、電極固定具24、ダミーワーク25、およびスペーサ27と一体化されている。
被加工物2のうち中心軸に垂直な2面のうちの一方である第1面は、基準プレート21の基準面に貼り付けられる。基準面は、基準プレート21のうち支持体20aとは逆側の面、すなわち、基準プレート21のうちプラスY方向側のXZ平面である。電極固定具24と、ダミーワーク25と、スペーサ27とは、基準プレート21の基準面に設けられている。
ダミーワーク25は、被加工物2のマイナスZ方向側の位置に設けられている。被加工物2は、ダミーワーク25に貼り付けられる。ダミーワーク25は、下方から被加工物2を支持する。被加工物2の加工時においてダミーワーク25に切断ワイヤ部6aが到達することによって、ダミーワーク25は、切断ワイヤ部6aにより加工される。
被加工物2のうち中心軸に垂直な2面のうちの他方である第2面は、サブプレート22に貼り付けられる。被加工物2は、導電性接着剤または導電性ワックスなどの使用により、基準プレート21、サブプレート22、およびダミーワーク25の各々に貼り付けられる。被加工物2は、基準プレート21とサブプレート22とダミーワーク25とに貼り付けられることによって、被加工物治具20と一体化される。基準プレート21とサブプレート22とは、被加工物2を挟み込むことにより被加工物2を保持する。
通電電極23の端部は、ダミーワーク25の下方に位置する電極固定具24により基準プレート21に固定されている。通電電極23のうち電極固定具24により固定された端部以外の部分は、サブプレート22とダミーワーク25とに接している。サブプレート22には、通電電極23と、電極固定具24とが一体化されている。サブプレート22は、通電電極23および電極固定具24を介して基準プレート21と電気的に接続されている。図1に示すケーブル11の端部は、通電電極23に接続される。通電電極23は、ケーブル11および接地電極10を介して加工電源7と電気的に接続されている。
押さえ機構26は、被加工物2の曲面に接触可能な押さえ部28を備える。押さえ機構26は、Z軸方向において押さえ部28を移動させる。被加工物治具20では、第1の方向における一方の側であるマイナスZ方向側からダミーワーク25が被加工物2を支持する。被加工物2の加工が開始された後に、押さえ機構26は、押さえ部28をマイナスZ方向へ移動させることにより、第1の方向における他方の側であるプラスZ方向側から被加工物2に押さえ部28を接触させる。さらに、押さえ機構26は、押さえ部28によってダミーワーク25の方へ被加工物2を押さえ付ける。加工制御装置9は、押さえ部28を移動させるための指令を出力することによって、押さえ機構26の駆動を制御する。押さえ機構26は、加工制御装置9から送られる指令に従って押さえ部28を移動させる。
スペーサ27は、基準面のうち電極固定具24よりも下方に設けられている。スペーサ27は、Y軸方向において複数の基準プレート21が並べられる場合において基準プレート21同士の間隔を保つために設けられた部品である。
次に、ダミーワーク25の詳細について説明する。図3は、実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機1に備えられるダミーワーク25の平面図である。図3には、ダミーワーク25と、被加工物2のうちダミーワーク25と接する部分とを示す。
被加工物2の曲面のうちマイナスZ方向の端は、被加工物2のうち最後に加工される位置である。以下、当該位置を、終点P1と称する。終点P1は、被加工物2の加工終了時に複数の切断ワイヤ部6aの各々が到達する位置である。ダミーワーク25の外形のうちプラスZ方向側の部分は、被加工物2の曲面に合うように湾曲している。ダミーワーク25の当該湾曲部分のうちX軸方向における中心には、マイナスZ方向へ凹んだ凹部25aが形成されている。凹部25aは、被加工物2の曲面のうち終点P1を含む部分に対向する位置に形成されている。
ダミーワーク25の当該湾曲部分のうち、凹部25aのマイナスX方向側の部分である接触面25bは、被加工物2の曲面に接触する。ダミーワーク25の当該湾曲部分のうち、凹部25aのプラスX方向側の部分である接触面25cは、被加工物2の曲面に接触する。2つの接触面25b,25cの各々は、被加工物2の曲面のうち終点P1以外の部分に接触可能に湾曲した接触面である。接触面25bと接触面25cとは、凹部25aの隣に設けられている。被加工物2は、終点P1ではダミーワーク25に接触せず、かつ終点P1以外の部分が接触面25b,25cに接触した状態で、ダミーワーク25に支持される。
ダミーワーク25は、放電加工が可能な材料からなる。望ましくは、ダミーワーク25の材料は、被加工物2と同等の加工特性を有する材料である。
ダミーワーク25が、被加工物2の曲面に接触可能に湾曲した接触面25b,25cを有することで、被加工物2のうちダミーワーク25に接触する領域の面積を増やすことができる。これにより、マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2の保持力を強くすることができる。
次に、押さえ部28の詳細について説明する。押さえ部28は、押さえ機構26の駆動によって被加工物2の曲面に押さえ部28が押し当てられた際に、被加工物2の形状に合わせて変形することが望ましい。具体的には、押さえ部28には、厚さ0.3mm以下のステンレス鋼板、あるいは、ウレタンスポンジ素材、ゲル状の素材、または、熱可塑性樹脂といった素材を適用できる。被加工物2の形状に合わせて押さえ部28が変形可能であることによって、被加工物2のうち押さえ部28に接触する領域の面積を増やすことができる。これにより、マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2の保持力を強くすることができる。なお、押さえ部28は、被加工物2の形状に合わせて変形可能であれば良く、実施の形態1で説明する素材または構成に限定されないものとする。
次に、マルチワイヤ放電加工機1の動作について説明する。図4は、実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機1の動作手順を示すフローチャートである。図4に示す手順による動作をマルチワイヤ放電加工機1が開始する前に、被加工物2がセットされた被加工物治具20が加工ステージに配置される。
ステップS1において、マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2からプラスZ方向へ押さえ部28を引き離すことによって、押さえ機構26を開放させる。このとき、被加工物2は、マイナスZ方向側はダミーワーク25により支持されており、かつ、プラスZ方向側は支持されていない状態である。
ステップS2において、マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2の放電加工を開始する。図5は、実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機1が放電加工を開始したときにおける被加工物治具20および複数の切断ワイヤ部6aの様子を示す斜視図である。被加工物2の曲面のうちプラスX方向側の端は、複数の切断ワイヤ部6aによる加工が開始される位置、すなわち、被加工物2のうち最初に加工される位置である。以下、当該位置を、始点と称する。マルチワイヤ放電加工機1は、加工ステージをプラスZ方向へ移動させながら極間に加工パルス電圧を印加することによって、被加工物2を加工する。被加工物2の加工位置は、始点からマイナスZ方向へ移動する。
ステップS3において、マルチワイヤ放電加工機1は、加工位置が判定位置に到達したか否かを判定する。判定位置は、被加工物2の曲面上にあらかじめ設定された位置であって、押さえ機構26による被加工物2の押さえ付けの可否を判定するための位置である。加工位置が判定位置に到達していない場合(ステップS3,No)、マルチワイヤ放電加工機1は、放電加工を継続しながらステップS3の手順を繰り返す。一方、加工位置が判定位置に到達した場合(ステップS3,Yes)、マルチワイヤ放電加工機1は、手順をステップS4へ進める。
ステップS4において、マルチワイヤ放電加工機1は、押さえ機構26による被加工物2の押さえ付けを開始する。図6は、実施の形態1にかかるマルチワイヤ放電加工機1が被加工物2の押さえ付けを開始したときにおける被加工物治具20および複数の切断ワイヤ部6aの様子を示す斜視図である。押さえ機構26は、押さえ部28をマイナスZ方向へ移動させることによって被加工物2の曲面に接触面25b,25cを接触させる。さらに、押さえ機構26は、押さえ部28でマイナスZ方向へ被加工物2を押すことで、ダミーワーク25の方へ被加工物2を押さえ付ける。これにより、被加工物2は、ダミーワーク25と押さえ部28とにより挟まれた状態で支持される。マルチワイヤ放電加工機1は、判定位置よりもマイナスZ方向側の部分を加工する。
ステップS5において、マルチワイヤ放電加工機1は、加工位置が終点P1に到達したか否かを判定する。加工位置が終点P1に到達していない場合(ステップS5,No)、マルチワイヤ放電加工機1は、放電加工を継続しながらステップS5の手順を繰り返す。一方、加工位置が終点P1に到達した場合(ステップS5,Yes)、マルチワイヤ放電加工機1は、ステップS6において放電加工を終了する。以上により、マルチワイヤ放電加工機1は、図4に示す手順による動作を終了する。
マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2の放電加工がある程度進行したときに、加工中の被加工物2を押さえ部28とダミーワーク25とによって挟持する。マルチワイヤ放電加工機1は、加工液による外力が被加工物2に与えられることによって、被加工物2のうち互いに切り離される部分同士の振動を抑えることができる。これにより、マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2の割れを防止できる。
押さえ機構26による被加工物2の押さえ付けが開始された後、放電加工が進行することによって、複数の切断ワイヤ部6aは、ダミーワーク25に到達する。ダミーワーク25に複数の切断ワイヤ部6aが到達すると、被加工物2の加工が継続されながらダミーワーク25の加工が開始される。被加工物2の終点P1に複数の切断ワイヤ部6aが近づき、複数の切断ワイヤ部6aが凹部25aに到達すると、ダミーワーク25は加工されなくなり、被加工物2のみが加工される。複数の切断ワイヤ部6aが終点P1に到達することによって、被加工物2の加工が終了する。
ダミーワーク25に凹部25aが設けられており、被加工物2のうち終点P1を除いた部分にダミーワーク25が接することで、加工位置が終点P1に到達したときにダミーワーク25の加工量が急激に増加するということが無い。このため、マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2の加工量が局所的に多くなることを防ぎ、被加工物2の割れを生じにくくすることができる。
次に、ダミーワーク25における接触面25b,25cの範囲について説明する。図7は、実施の形態1のダミーワーク25における接触面25b,25cの範囲について説明するための平面図である。
被加工物2のうちダミーワーク25に接触する領域が広いほど、被加工物2とダミーワーク25との間の摩擦力が大きくなり、被加工物2の拘束力が高くなる。一方、被加工物2のうちダミーワーク25に接触する領域が広くなるに従って、被加工物2のうちダミーワーク25とともに加工される部分が多くなる。したがって、被加工物2とダミーワーク25との間の摩擦力をある程度保ちつつ、ダミーワーク25の加工量をできるだけ少なくすることが望ましい。
図7に示す直線Lは、XZ面内の直線であって、被加工物2のXZ面内における中心Oと終点P1とを通る直線である。直線Lは、終点P1を通るZ軸方向の直線である。直線Kは、XZ面内の直線であって、XZ面内における被加工物2の外縁である円のうち終点P1以外の任意の点と中心Oとを通る直線である。角度αは、直線Lを基準とする角度であって、直線Lと直線Kとがなす角度である。直線Lから反時計回りの方に直線Kがあるときの角度をプラスの角度、直線Lから時計回りの方に直線Kがあるときの角度をマイナスの角度とする。角度αは、-180度から+180度までの範囲内の角度とする。
実施の形態1では、被加工物2とダミーワーク25との間の摩擦力を保つとともにダミーワーク25の加工量を少なくするために、接触面25b,25cは、-45度から+45度までの角度αの範囲に形成されている。このように、Z軸とX軸とを含むXZ平面において、接触面25b,25cは、直線Lを基準として±45度の範囲内において被加工物2の曲面に接触可能に配置されている。また、角度αが0度である位置、すなわち終点P1を中心とする一定の範囲には、凹部25aが形成されている。接触面25b,25cは、終点P1を中心とする当該範囲を除いて配置されている。
次に、被加工物2のうち押さえ部28が接触する領域と被加工物2にかかる主応力との関係について説明する。図8は、実施の形態1における、被加工物2のうち押さえ部28が接触する領域と被加工物2にかかる主応力との関係について説明するための第1の図である。図9は、実施の形態1における、被加工物2のうち押さえ部28が接触する領域と被加工物2にかかる主応力との関係について説明するための第2の図である。図10は、実施の形態1における、被加工物2のうち押さえ部28が接触する領域と被加工物2にかかる主応力との関係について説明するための第3の図である。
被加工物2のうち押さえ部28が接触する領域が広いほど、被加工物2と押さえ部28との間の摩擦力が大きくなり、被加工物2の拘束力が高くなる。一方、被加工物2のうち押さえ部28に接触する領域が広くなるに従って、押さえ部28による被加工物2の押さえ付けが開始されるまでにおける被加工物2の切断距離は長くなる。押さえ部28が接触する領域の設定次第では、被加工物2にかかる主応力が被加工物2の最大引張応力に到達して、被加工物2が割れる場合がある。したがって、被加工物2の放電加工が行われている間は被加工物2にかかる主応力が常に最大引張応力を下回るように、押さえ部28が接触する領域が設定される必要がある。
図8および図9に示す領域28a、領域28b、領域28cは、被加工物2の曲面における互いに異なる領域とする。図8に示すように、Z1,Z2,Z3,Z4は、Z軸方向における位置を表す。図10に示すグラフは、加工位置と主応力最大値との関係を解析した結果を表す。図10には、領域28aに押さえ部28を接触させた場合におけるグラフと、領域28bに押さえ部28を接触させた場合におけるグラフと、領域28cに押さえ部28を接触させた場合におけるグラフとを示す。
領域28aに押さえ部28を接触させた場合、主応力最大値は、加工が進むにつれて著しく増加する。領域28aに押さえ部28を接触させた場合よりも領域28bに押さえ部28を接触させた場合のほうが、主応力最大値の増加幅は減少する。さらに、領域28bに押さえ部28を接触させた場合よりも領域28cに押さえ部28を接触させた場合のほうが、主応力最大値の増加幅は減少する。領域28a、領域28b、領域28cのうち、領域28cに押さえ部28を接触させた場合に、主応力最大値の増加は最も緩やかとなる。このため、領域28a、領域28b、領域28cのうち、領域28cに押さえ部28を接触させることで、被加工物2の割れを低減できる。
図9に示す直線Lは、図7に示す直線Lと同様である。直線Lは、始点P2を通る。直線Mは、XZ面内の直線であって、XZ面内における被加工物2の外縁である円のうち始点P2以外の任意の点と中心Oとを通る直線である。角度βは、直線Lを基準とする角度であって、直線Lと直線Mとがなす角度である。直線Lから反時計回りの方に直線Mがあるときの角度をプラスの角度、直線Lから時計回りの方に直線Mがあるときの角度をマイナスの角度とする。角度βは、-180度から+180度までの範囲内の角度とする。
実施の形態1では、被加工物2と押さえ部28との間の摩擦力を保つとともに、被加工物2にかかる主応力が常に最大引張応力を下回るように、押さえ部28は、-75度から+75度までの角度βの範囲に形成されている。このように、XZ平面において、押さえ部28は、直線Lを基準として±75度の範囲内において被加工物2の曲面に接触可能に配置されている。
次に、ダミーワークの変形例について説明する。図11は、実施の形態1の変形例にかかるダミーワーク25Aの平面図である。図11には、ダミーワーク25Aと、被加工物2のうちダミーワーク25Aと接する部分とを示す。ダミーワーク25Aは、下方から被加工物2を支持する。
ダミーワーク25Aは、2つの部品31,32から構成されている。部品31と部品32とは、被加工物2の曲面のうち終点P1を除いた部分に接触可能に配置されている。部品31は、終点P1よりもマイナスX方向側の部分に接触する。部品31のうち被加工物2と接する接触面31aは、被加工物2の曲面に合うように湾曲している。部品32は、終点P1よりもプラスX方向側の部分に接触する。部品32のうち被加工物2と接する接触面32aは、被加工物2の曲面に合うように湾曲している。接触面31aと接触面32aとの各々は、被加工物2の曲面のうち終点P1以外の部分に接触可能に湾曲した接触面である。
被加工物2は、終点P1ではダミーワーク25Aに接触せず、かつ終点P1以外の部分が接触面31a,32aに接触した状態で、ダミーワーク25に支持される。部品31,32は、放電加工が可能な材料からなる。望ましくは、部品31,32の材料は、被加工物2と同等の加工特性を有する材料である。
部品31,32の接触面31a,32aが、被加工物2の曲面に接触可能に湾曲していることで、被加工物2のうちダミーワーク25Aに接触する領域の面積を増やすことができる。これにより、マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2の保持力を強くすることができる。複数の部品31,32によってダミーワーク25Aが構成されることによって、ダミーワーク25Aを簡易な形状とすることができる。
終点P1の下方、すなわち、部品31と部品32との間は、空間とされている。加工位置が終点P1に到達したときにダミーワーク25Aの加工量が急激に増加するということが無い。このため、マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2の加工量が局所的に多くなることを防ぎ、被加工物2の割れを生じにくくすることができる。各接触面31a,32aの位置は、上述する接触面25b,25cの場合と同様に設定することができる。
なお、ダミーワーク25Aは、2つの部品31,32から構成されるものに限られず、3つ以上の部品から構成されるものであっても良い。ダミーワーク25Aは、被加工物2の曲面のうち終点P1を除いた部分に接触可能な2つ以上の部品から構成されていれば良い。部品の各々には、被加工物2の曲面のうち終点P1を除いた部分に接触可能に湾曲した接触面が含められる。
次に、被加工物治具の変形例について説明する。図12は、実施の形態1の変形例にかかる被加工物治具20Bを示す斜視図である。被加工物治具20Bは、図2に示すサブプレート22の代わりに、サブプレート22とは異なるサブプレート22Bを備える。サブプレート22Bは、サブプレート22および通電電極23の各機能を兼ね備える。サブプレート22Bは、複数の電極固定具24Bによって基準プレート21に固定されている。複数の電極固定具24Bが使用されていることで、サブプレート22Bの保持力を向上させることができる。マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物治具20Bを備える場合も、被加工物治具20を備える場合と同様に、被加工物2を保持することができる。
実施の形態1によると、マルチワイヤ放電加工機1は、ダミーワーク25,25Aと押さえ機構26とを備えることにより、強い保持力で被加工物2を保持できる。マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2のうち互いに切り離される部分同士の振動を抑え、被加工物2の割れを低減できる。被加工物2のうち終点P1を除いた部分にダミーワーク25,25Aが接することで、加工位置が終点P1に到達したときにダミーワーク25,25Aの加工量が急激に増加するということが無い。マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2の加工量が局所的に多くなることを防ぎ、被加工物2の割れを生じにくくすることができる。以上により、マルチワイヤ放電加工機1は、被加工物2の割れを低減できるという効果を奏する。
以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。実施の形態の構成は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
1 マルチワイヤ放電加工機、2 被加工物、3a,3b,3c,3d ガイドローラ、4 ワイヤボビン、5 ワイヤ排出ローラ、6 ワイヤ電極、6a 切断ワイヤ部、6b 給電ワイヤ部、7 加工電源、8 加工電源ユニット、9 加工制御装置、10 接地電極、11 ケーブル、12 給電子、13 給電子ユニット、14 駆動ユニット、15 加工状態検出装置、16 加工状態検出ユニット、17 ワイヤボビン駆動部、18 ガイドローラ駆動部、20,20B 被加工物治具、20a 支持体、21 基準プレート、22,22B サブプレート、23 通電電極、24,24B 電極固定具、25,25A ダミーワーク、25a 凹部、25b,25c,31a,32a 接触面、26 押さえ機構、27 スペーサ、28 押さえ部、28a,28b,28c 領域、31,32 部品。

Claims (10)

  1. ワイヤ電極が間隔をとりながら複数回巻き掛けられて、前記ワイヤ電極の走行をガイドする複数のガイドローラと、
    前記ワイヤ電極のうち、前記複数のガイドローラに含まれる第1のガイドローラおよび第2のガイドローラの間にて並行する部分である複数の切断ワイヤ部の各々と被加工物との間に電圧を印加する加工電源と、
    曲面を有する前記被加工物の前記曲面のうち前記被加工物の加工終了時に複数の前記切断ワイヤ部の各々が到達する終点を除いた部分に接触可能に湾曲した接触面を含み、複数の前記切断ワイヤ部に対して前記被加工物が移動する方向である第1の方向における一方の側から前記被加工物を支持するダミーワークと、
    前記被加工物の前記曲面に接触可能な押さえ部を有し、前記第1の方向における他方の側から前記被加工物に前記押さえ部を接触させて前記ダミーワークの方へ前記被加工物を押さえ付ける押さえ機構と、
    を備えることを特徴とするマルチワイヤ放電加工機。
  2. 前記ダミーワークおよび前記押さえ機構と一体化された基準プレートと、
    前記加工電源に電気的に接続された通電電極と一体化され、かつ、前記基準プレートに電気的に接続されたサブプレートと、を備え、
    前記基準プレートと前記サブプレートとは、前記被加工物を挟み込むことにより前記被加工物を保持することを特徴とする請求項1に記載のマルチワイヤ放電加工機。
  3. 前記ダミーワークは、前記被加工物の前記曲面のうち前記終点を含む部分に対向する位置に形成された凹部を有し、
    前記接触面は、前記凹部の隣に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチワイヤ放電加工機。
  4. 前記ダミーワークは、前記被加工物の前記曲面のうち前記終点を除いた部分に接触可能な2つ以上の部品から構成され、
    前記部品の各々は、前記接触面を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のマルチワイヤ放電加工機。
  5. 前記第1の方向と複数の前記切断ワイヤ部の各々における前記ワイヤ電極の走行方向である第2の方向とを含む面において、前記接触面は、前記終点を通る前記第1の方向の直線を基準として±45度の範囲内において前記被加工物の前記曲面に接触可能に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のマルチワイヤ放電加工機。
  6. 前記被加工物のうち前記第1の方向と複数の前記切断ワイヤ部の各々が走行する方向である第2の方向とを含む切断面において、前記被加工物のうち前記切断ワイヤ部による加工が開始される始点を通る前記第1の方向の直線を基準として±75度の範囲内に接触可能に、前記押さえ部が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のマルチワイヤ放電加工機。
  7. 前記押さえ部は、前記被加工物に押し当てられることによって変形可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載のマルチワイヤ放電加工機。
  8. ワイヤ電極を複数回周回させて走行させ、前記ワイヤ電極のうち互いに並行して走行する部分である複数の切断ワイヤ部の各々と被加工物との間への電圧の印加によって、曲面を有する前記被加工物の放電加工を行うマルチワイヤ放電加工方法であって、
    前記被加工物に対して複数の前記切断ワイヤ部が移動する方向である第1の方向における一方の側から前記被加工物を支持するダミーワークの接触面に、前記曲面のうち前記被加工物の加工終了時に複数の前記切断ワイヤ部が到達する終点以外の部分を接触させた状態で、前記放電加工を開始するステップと、
    前記放電加工の継続中において、前記第1の方向における他方の側から前記被加工物の方へ押さえ部を移動させ、前記被加工物の前記曲面に前記押さえ部を接触させて前記ダミーワークの方へ前記被加工物を押さえ付けるステップと、
    を含むことを特徴とするマルチワイヤ放電加工方法。
  9. ワイヤ電極を複数回周回させて走行させ、前記ワイヤ電極のうち互いに並行して走行する部分である複数の切断ワイヤ部の各々と被加工物との間への電圧の印加による放電加工を行い、曲面を有する前記被加工物から複数の薄板を切り出すことによって複数の前記薄板を製造する薄板製造方法であって、
    前記被加工物に対して複数の前記切断ワイヤ部が移動する方向である第1の方向における一方の側から前記被加工物を支持するダミーワークの接触面に、前記曲面のうち前記被加工物の加工終了時に複数の前記切断ワイヤ部が到達する終点以外の部分を接触させた状態で、前記放電加工を開始するステップと、
    前記放電加工の継続中において、前記第1の方向における他方の側から前記被加工物の方へ押さえ部を移動させ、前記被加工物の前記曲面に前記押さえ部を接触させて前記ダミーワークの方へ前記被加工物を押さえ付けるステップと、
    を含むことを特徴とする薄板製造方法。
  10. ワイヤ電極を複数回周回させて走行させ、前記ワイヤ電極のうち互いに並行して走行する部分である複数の切断ワイヤ部の各々とインゴットとの間への電圧の印加による放電加工を行い、曲面を有する前記インゴットから複数の半導体ウェハを切り出すことによって複数の前記半導体ウェハを製造する半導体ウェハ製造方法であって、
    前記インゴットに対して複数の前記切断ワイヤ部が移動する方向である第1の方向における一方の側から前記インゴットを支持するダミーワークの接触面に、前記曲面のうち前記インゴットの加工終了時に複数の前記切断ワイヤ部が到達する終点以外の部分を接触させた状態で、前記放電加工を開始するステップと、
    前記放電加工の継続中において、前記第1の方向における他方の側から前記インゴットの方へ押さえ部を移動させ、前記インゴットの前記曲面に前記押さえ部を接触させて前記ダミーワークの方へ前記インゴットを押さえ付けるステップと、
    を含むことを特徴とする半導体ウェハ製造方法。
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