JP5693747B2 - ワイヤ放電加工装置および半導体ウエハ製造方法 - Google Patents

ワイヤ放電加工装置および半導体ウエハ製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ワイヤ放電加工装置および半導体ウエハ製造方法に関する。
従来、ワイヤ放電加工を用いて、柱状の被加工物から薄板形状のウエハを切断加工により作製する場合、多数のワイヤを用いて同時に加工を行い、上記切断加工の生産性を向上させるために、1本のワイヤを複数のガイドローラ間に繰り返し巻き掛ける方式が提案されている。この方式のワイヤ放電加工装置は、ワイヤが一定ピッチに並行して配置する切断ワイヤ部を形成し、この切断ワイヤ部を被加工物に近接させると共に、給電子を用いて切断ワイヤ部のそれぞれに個別に給電することで、各切断ワイヤ部と被加工物との間で同時に放電を生起し、複数箇所で並行して切断加工を行うものである(例えば、特許文献1参照)。
また、1本のワイヤを複数のガイドローラ間に繰り返し巻き掛けるワイヤ放電加工装置において、給電子や切断ワイヤ部の振動を抑える押し棒を設けることが知られていた(例えば、特許文献2参照)。
さらに、特許文献4には、ワイヤーカット加工装置の溝が形成されたガイドローラおよび複数のワイヤに給電する給電子についての技術が開示されている。
特開2000−94221号公報 特開2010−5735号公報 実開昭54−17291号公報 特開昭51−145988号公報 特開2010−110865号公報 特開2000−5999号公報 特開平4−135157号公報 特開平1−193165号公報 特開2008−100298号公報
しかしながら上記従来の技術によれば、例えば、特許文献1のような複数本のワイヤを並列させたワイヤ放電加工装置によって、被加工物から同時に複数枚の薄板を切り出す場合、被加工物から薄板を切断し終えるあたりでワイヤ断線が発生しやすい。放電加工途中でワイヤが断線した場合、ワイヤ断線を修復した後、その断線位置からワイヤ放電加工を再開することになるが、加工再開直後の放電加工状態をワイヤ断線前と同様の状態にして加工することは難しい。従って、放電加工の途中でワイヤ断線が発生し、その後、加工を再開して被加工物(インゴット)から切り出された半導体ウエハは、ワイヤ断線部の加工量が非断線部と比較して多くなるため、ワイヤ断線部付近のウエハ厚さが薄くなるという問題があった。
また、ワイヤ放電加工によってあと少しでウエハを被加工物から切断し終える状態においては、被加工物のわずかな切り残り部分が割断されることによってウエハに分離されることもある。このような割断部もしくは上記したワイヤ断線部では、切り出されたウエハの厚さや形状が分離されたウエハごとに異なるため、ウエハ切断後のウエハ加工工程において加工負荷が増大するという問題があった。
上記ワイヤ断線の発生原因は、複数本のワイヤが並列する切断ワイヤ部によって被加工物であるインゴットを複数枚のウエハに同時切断するとはいうものの、上記切断ワイヤ部での放電加工によって形成される各加工溝(スリット)によってインゴットから分断されつつあるウエハが、インゴットから完全に切り離されるまでにわずかな時間差を生じることに起因する。すなわち、ウエハがインゴットから切り出される寸前において、各ウエハはわずかながら互いにつながっており、インゴットとしてはまだ一体物であることから、電気的に導通がある状態である。
したがって、ウエハを切り出すための加工溝の先端(底)部分で行われている放電加工によって発生する放電電流には、インゴット内を通って加工電源に戻る通電経路が確保されている。しかし、たとえば、ワイヤ放電加工によって加工中の複数枚のウエハのいずれかが先に切断されてインゴットが一部で切断され、それまで一塊であったインゴットを介して構成されていた放電電流の経路も切断されてしまうと、上記したように分断され、加工電源側への給電線が接続されない側のインゴットへは、放電電流が流れなくなる。加工エネルギが給電されなくなったワイヤでは、加工能力が低下して短絡し、断線する。
このように、複数本のワイヤ放電加工による被加工物の同時切断方法では、給電線と給電子を介して加工電源から各ワイヤに供給される加工エネルギが、アーク放電によって被加工物に流れ込む放電電流となり、その熱エネルギによって被加工物が溶融除去されて加工が進行する。しかし、被加工物に上記放電電流が流れるためには、給電された放電電流が再び加工電源に戻る経路が必要であり、上記放電電流が被加工物に接続された給電線を通って加工電源に戻ることによって構成される。ところが、上記被加工物に接続される給電線が、被加工物の片側に接続されている場合において、被加工物が、切断ワイヤ部の中央部に位置するワイヤで最初に切断されてしまうと、分断されて被加工物に対する上記給電線の接続位置から遠い側にあるインゴットには、加工電源から供給される放電電流の経路が分断され、分断された側のインゴットでは放電加工が行われなくなり、ワイヤが被加工物と短絡して断線する。
また、金属ブロックのインゴット断面形状にくり貫かれた部分に加工対象インゴットをはめ込んで金属ブロックごと切断加工する場合では、ウエハ厚さにスライスされた状態でも金属ブロック部分から切り出された部分がインゴットを囲っているため、その金属ブロックから給電されることも期待される。しかし、インゴットとの嵌め合い精度不良による隙間やインゴットと金属ブロックとの接触部分が点接触であったりするため、十分な給電経路が確保されていない状態では前述のようなワイヤ断線を生じる。
一方、インゴットの割断については、切断完了までの残量がわずかになると、被加工物から切り離されるウエハ部分では、極間に供給される加工液流などの外力や被加工物のわずかな荷重バランス変化によって、加工溝の先にわずかに残っている被加工物の未加工部分、すなわち、各ウエハ間のわずかなつながり部分に対して応力集中が起こり、その部分で割断されやすい。こうした割断によっても、前述のような一部のワイヤで切断加工が先行する状態と同様の状態となり、そうして分断された被加工物では加工電源から供給される放電電流の経路が遮断され、給電不良状況が発生する。
このように、放電電流が流れるための通電経路が断たれると放電電流が流れなくなり、放電加工が中断される。放電加工の継続が不安定となった状態にもかかわらず、ワイヤに対する被加工物の相対送りが継続されると、通電経路が断たれたワイヤは被加工物と接触し、被加工物の加工面を擦りながらやがて断線する。また、割断によって切り出されたウエハは、その切り終わり部分の板厚が不均一になり、ウエハ厚さを均一にする研削工程での加工負荷を増大させる。
上述した加工電源から給電線、給電子、ワイヤ、被加工物、を経て給電線で接続される加工電源に戻る電流経路が加工中に断たれることによって引き起こされるワイヤ断線およびウエハ割断は、放電加工特有のものであり、特許文献1〜3に示されるいずれの複数本のワイヤ放電加工によるインゴットの同時加工方法においても言及されていない。また、特許文献1〜3のいずれの方式においても、複数本ワイヤの放電加工によって被加工物に形成される複数スリットによって、被加工物がもっとも早く切断される位置は加工ごとに変動し、不確定である。したがって、上記したインゴットの分断によって被加工物中の通電経路が断たれる位置を制御することはできず、通電経路が断たれることに起因するワイヤ断線を回避する構造として十分ではなかった。
さらに、放電式ワイヤソー以外のスライス方式として、走行ワイヤ表面に蒸着された砥粒、あるいは、走行ワイヤと加工面との間に引き込まれた砥粒によって被加工物を研削・研磨しながら切断する方式のワイヤソーは、前述した加工電流の通電不良による短絡とは無関係である。その反面、ワイヤソーは、切断ワイヤを被加工物に押し付けながら加工する接触加工であるがゆえに、非接触加工である放電式ワイヤソーでは問題にならない、非常に大きな加工反力が切断ワイヤおよび被加工物に作用する。この加工反力によって切断ワイヤは弾性体のために特に撓みやすく、メインローラ間に張られた切断ワイヤが弛むなどによって加工精度に影響し、さらには断線しやすくなる。これに対して、メインローラ間に張られた切断ワイヤの弛み防止、あるいは、メインローラに巻き掛けられた切断ワイヤの張力変動防止など、メインローラの直径、あるいは、ワイヤ案内溝の深さを回転軸方向で異なるようにしているものがある。
たとえば、特許文献4のワイヤを被加工物に押し付けて切断するワイヤソーでは、各切断ワイヤに対する被加工物の切断厚さが異なる場合、切断厚さの薄い部分ほど切削速度が速くなり、ワイヤが撓みながら加工し続けるため、切断厚さによって切断完了時間が不均一となる。上記ガイドプーリの直径を被加工物の切断厚さに応じて変更することで、各切断ワイヤにおける被加工物への押圧力に差をつけて加工速度を均一にするようにしている。
また、特許文献5に記載されたワイヤソーでは、メインローラ直径をワイヤの供給側から排出側に向かって徐々に大きくする、もしくは、メインローラのワイヤ案内溝の深さをワイヤ供給側から排出側にかけて徐々に浅くする技術が開示されている。このような形態を採用することによって、メインローラに掛かるワイヤの周長を次第に長くして、メインローラ間に張られた各切断ワイヤの供給側から排出側にかけて発生するワイヤ伸び量の差によるワイヤの弛みを均一化して被加工物の切断面のうねりを改善している。
また、特許文献6に記載されたメインローラは、両端部のワイヤ数本を案内する溝の直径のみがメインローラ中央部よりも小さく、段差形状にすることが記載されている。走行するワイヤの張力変動によってメインローラにワイヤが食い込み、案内溝が深く傷つくことを防ぐとしている。また、特許文献7に記載されたメインローラも同様に、切断ワイヤが巻き掛けられるメインローラ中央部の軸径には変化はないが、切断ワイヤが巻き掛けられないメインローラ両端部において、軸端ほど小径になる形状をしており、ワイヤ巻き掛け幅の前後のメインローラ直径が次第に変化する領域によってワイヤ張力を調整するとしている。
また、特許文献8に記載されたワイヤソーにおいては、メインローラに巻き掛けられたワイヤの張力は、ワイヤソーでは入口側と出口側で一定となるように制御されているに過ぎず、メインローラの中央部に巻き掛けられるワイヤでは弛みを生じるため、ワイヤ案内溝の深さをメインローラの中央部の方が両端部よりも深くして、ワイヤとの摩擦力をメインローラ中央部で大きくすることでワイヤ弛みを防止するようにしている。
また、特許文献9は、メインローラが片持ち支持される構造のワイヤソーに関するものであり、メインローラにワイヤが複数回巻き掛けられると、その張力によってメインローラは傾斜して支持部のない自由端側ほど大きく変位するようになっている。メインローラの傾斜角に応じて各ワイヤ案内溝深さに変化をつけることによって、メインローラが傾斜した状態でも各切断ワイヤが被加工物表面から等距離で対向するようにしている。
このように、上述したワイヤソー方式のメインローラ外形形状やその表面に形成されるワイヤ案内溝の深さについては、メインローラ間に張られた切断ワイヤ部に非常に大きな張力を与えて加工するワイヤソー方式特有のものである。加工反力が作用しない放電式ワイヤソーでは上記した特許文献に記載されるようなことは問題にはならず、また、そこで記載された内容を放電式ワイヤソーに適用したとしても切断完了近くになって生じるワイヤ断線やウエハの割断を防止するものではない。
本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであって、複数本のワイヤが一定間隔で並列して構成される切断ワイヤ部において、従来方式のように加工方向に対して上記した複数本のワイヤを水平方向に横一列に並列させずに、複数本のワイヤの各々を加工方向においても一定間隔で並列させる。これにより、被加工物において常に特定のワイヤから順番にウエハ切断を完了するようになり、被加工物であるインゴットからウエハを高精度に、かつ、安定して切断加工できるワイヤ放電加工装置、および、半導体ウエハ製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、放電加工領域を挟んで平行に設置された第1および第2メインガイドローラと、前記放電加工領域と第1メインガイドローラとの間に設置され、ワイヤを案内するための複数のワイヤ案内溝が回転軸を中心として同心円状に離間して形成された第1制振ガイドローラと、前記放電加工領域と第2メインガイドローラとの間に設置され、前記ワイヤを案内するための複数のワイヤ案内溝が回転軸を中心として同心円状に離間して形成された第2制振ガイドローラと、を備え、前記ワイヤを第1および第2メインガイドローラ、第1および第2制振ガイドローラを一定のピッチで離間しながら複数回巻き掛けることにより並列ワイヤ部を形成し、前記放電加工領域にて前記並列ワイヤ部により前記並列ワイヤ部の下方から被加工物を上昇、もしくは、前記並列ワイヤ部の上方から被加工物を下降させつつ放電加工するワイヤ放電加工装置であって、第1および第2制振ガイドローラの回転軸周りの前記ワイヤ案内溝の径は回転軸方向の位置に依存して変化していることを特徴とする。
本発明によれば、切断ワイヤ部の放電加工によって被加工物に形成される複数の加工溝が、その加工溝深さに段階的に差を生じるように加工され、さらに、被加工物の特定の位置から順番にウエハを切断加工するようにする。これにより、被加工物が切断されることによって放電加工による放電電流の経路が寸断されることがなく、安定したワイヤ放電加工を実現し、ウエハの加工精度を向上することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1におけるワイヤ放電加工装置の構成を示す側面図である。 図2は、本発明の実施の形態1における加工中のワイヤと被加工物との位置関係を示す断面図である。 図3は、本発明の実施の形態1に係る制振ガイドローラの構造を示す外形図である。 図4は、本発明の実施の形態1に係る制振ガイドローラの構造を示す断面図である。 図5−1は、本発明の実施の形態1に係るノズルの構成を示す斜視図である。 図5−2は、本発明の実施の形態1に係るノズルの構成を示す別方向から観た斜視図である。 図6は、本発明の実施の形態1におけるワイヤ放電加工装置の構成を示す斜視図である。 図7は、本発明の実施の形態1における被加工物の加工状態を示す斜視図である。 図8は、本発明の実施の形態1におけるワイヤ放電加工装置の制振ガイドローラの変形例の構造を示す外形図である。 図9は、本発明の実施の形態2におけるワイヤ放電加工装置の制振ガイドローラの構造を示す外形図である。 図10は、本発明の実施の形態3におけるワイヤ放電加工装置の制振ガイドローラの構造を示す外形図である。 図11は、本発明の実施の形態4におけるワイヤ放電加工装置の制振ガイドローラの構造を示す外形図である。 図12は、本発明の実施の形態5におけるワイヤ放電加工装置の構成を示す斜視図である。
以下に、本発明にかかるワイヤ放電加工装置および半導体ウエハ製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工装置100の主要部の構成を示す側面図である。メインガイドローラ1a〜1dはワイヤ走行系を構成する主要なガイドローラで、このワイヤ放電加工装置100では、同じ直径の4本のメインガイドローラ1a〜1dが互いに平行に間隔をおいて配置されている。ワイヤボビン2から繰り出された一本のワイヤ3は、順次、4本のメインガイドローラ1a〜1d間にまたがって、一定のピッチで離間しながら繰り返し巻き掛けられている。ワイヤ3はメインガイドローラ1a〜1dの回転に伴って走行し、最後にワイヤ巻取りボビン4に至る。
メインガイドローラ1cおよび1dは被加工物5を挟む位置に設置され、ワイヤ3が両メインガイドローラ1cおよび1dの間に一定の張力で展張されることにより、互いにメインガイドローラ1cおよび1dの軸方向に離間した複数の並列ワイヤ部PSを構成する。なお、以下の実施の形態においては、並列ワイヤ部PSはメインガイドローラ1cから送り出されてメインガイドローラ1dに巻き掛かるまでの部分を指すことにする。上記並列ワイヤ部PS内で、被加工物5に対向する部分を含む直線的に展張された領域が切断ワイヤ部CLとなる。切断ワイヤ部CLが被加工物5に対向する領域が放電加工領域となる。図1は、被加工物5の切断が開始されて被加工物5の内部に切断ワイヤ部CLが進行した状態を示している。
並列ワイヤ部PSに接触して配置される給電子ユニット6aおよび6bは、切断ワイヤ部CLに対して個別に電圧パルスを供給する電極であり、図1では2個配置されている。また、給電子ユニット6aおよび6bの間の並列ワイヤ部PS上に制振ガイドローラ7aおよび7bが配置され、ワイヤ3が常に掛けられた状態が維持されてワイヤ3をガイドする。すなわち、制振ガイドローラ7aおよび7bは、一対のメインガイドローラ1cおよび1dの間に設けられ、並列ワイヤ部PSに従動接触する、メインガイドローラ1cおよび1dに比較して小径のガイドローラであり、ワイヤ3を支持してワイヤ3が直線状に展張された複数の切断ワイヤ部CLを形成する。後に述べるように、制振ガイドローラ7aおよび7bの間の切断ワイヤ部CLはワイヤ振動が抑制されて走行位置がほぼ静止状態となっている。
さらに、切断ワイヤ部CLの領域にノズル8aおよび8bが配置されており、向かい合わせに配置されたノズル8aおよび8bから、切断ワイヤ部CLに沿って被加工物5の切断部に向かって加工液を噴出する。切断ワイヤ部CLはノズル8aおよび8b内を貫通しているが、ノズル8aおよび8bの内面と接触はしていない。ステージ9は被加工物5を載せて上昇、下降を行う台であり、ステージ9から描かれている矢印はステージ9の上昇方向を示している。
ワイヤ3はメインガイドローラ1a〜1dのそれぞれについて、ローラ外周の一部分(約1/4周)だけ巻き掛かっており、4本のメインガイドローラ1a〜1d全体に対して周回している。メインガイドローラ1a〜1dは、ワイヤボビン2からワイヤ巻取りボビン4に至る経路を構成し、被加工物5が切断ワイヤ部CLを通過してそれ以外のワイヤに干渉しないための空間を確保するように構成されている。メインガイドローラ1cおよび1dは駆動式ガイドローラであり、その上方に配置されたメインガイドローラ1aおよび1bは従動式ガイドローラである。
駆動式ガイドローラは軸がモータに接続されて回転駆動されるのに対して、従動式ガイドローラは駆動力を発生せず、ワイヤ走行に伴って回転するものである。制振ガイドローラ7aおよび7bは、並列ワイヤ部PSに接触してワイヤ3が巻き掛かるように配置された従動式のガイドローラであり、ワイヤ3の走行に伴い従動することによって回転する。図1において、メインガイドローラ1a〜1dの軸の周りに描かれている矢印は各メインガイドローラの回転方向を、ワイヤ3に沿って描かれている矢印はワイヤ3の走行方向を示す。
図6は、図1に示された実施の形態1に係るワイヤ放電加工装置100をメインガイドローラ1a〜1dの回転軸に対して斜めから観た斜視図であり、並行して走行する切断ワイヤ部CLとの配置関係が示されている。各ガイドローラにおいては、ワイヤ3が巻き掛かる溝が実線で簡略的に示されている。この斜視図には、ワイヤ放電加工装置100におけるワイヤ3の立体的な巻き掛け状態および給電子ユニット6aおよび6bが示されている。
メインガイドローラ1a〜1dは円柱状の芯金に例えばウレタンゴムを巻き付けたローラで、芯金の両端がベアリングで支持されて回転可能な構造となっている。ウレタンゴムはワイヤとの摩擦係数が高いことから、メインガイドローラ1a〜1dの上でワイヤ3がスリップすることを防止するのに適している。また、メインガイドローラ1a〜1dのワイヤ3が接触するローラ表面には、ワイヤ巻き掛けピッチと同間隔で複数本の溝が形成されており、それぞれの溝内でワイヤ3が巻き掛る。このとき、等間隔に並列配置された切断ワイヤ部CL間の距離(巻掛ピッチ)は一定であり、半導体ウエハの場合、例えば、0.1mm〜0.8mm程度である。駆動式のメインガイドローラにおいては、ワイヤ3を引っ張る力を得ることができるとともに、従動式のメインガイドローラにおいてはローラを回転させる回転力が得られる。
これらのメインガイドローラ1a〜1d、制振ガイドローラ7aおよび7b、被加工物5は加工液中に浸漬されており、各切断ワイヤ部CLは加工液中で被加工物5に対向して、同時に並行して切断加工を行う。
制振ガイドローラ7aおよび7bについて説明する。制振ガイドローラ7aおよび7bは、メインガイドローラ1a〜1dと比べて形状精度、回転精度、および取り付け精度の高い従動式ガイドローラであり、被加工物5を挟む位置に2本用いられる。制振ガイドローラ7aおよび7bは、展張された並列ワイヤ部PSに対して押し込まれてワイヤ3が外周の一部に掛かるようになっている。その結果、制振ガイドローラ7aおよび7bの間のワイヤ3が直線状に展張されるとともに、ワイヤ3の走行方向が曲げられた状態になって、ワイヤ3の走行中、常にワイヤ3が掛かった状態が維持される。
このように、制振ガイドローラ7bに掛かる前に振動を伴っていたワイヤ3が、制振ガイドローラ7bに確実に掛かることで、振動しながら走行するワイヤ3の振動を遮断する。また、同様に制振ガイドローラ7aから送り出されたワイヤ3に加えられた振動が、制振ガイドローラ7aで遮断される。その結果、2本の制振ガイドローラ7aおよび7bはワイヤ走行に伴いワイヤ3との摩擦力によって回転しながら、制振ガイドローラ間の直線状領域にワイヤ振動がほとんどない状態を作り出している。すなわち、制振ガイドローラ7aおよび7bによって、メインガイドローラ1a〜1dから切断ワイヤ部CLへの振動伝播を抑制し、微視的な走行位置が一定になるようにワイヤ3を精密にガイドすることが可能となる。
制振ガイドローラ7aおよび7bは切断ワイヤ部CLに連なるワイヤの走行方向を曲げることはあっても、被加工物5が切断ワイヤ部CLを通過するための空間を確保する作用は有していない。ワイヤ3が接触するローラ表面には、切断ワイヤ部CLの間隔と同間隔のワイヤ案内用溝があり、各溝にワイヤが1本ずつ架けられる。図1の制振ガイドローラ7aおよび7b上の左右方向の矢印は、制振ガイドローラ7aおよび7bのワイヤ放電加工装置100上での可動方向を示している。
複数本の並列する各ワイヤ3を案内する制振ガイドローラ7aおよび7bの外形は、その回転軸に対して回転対称形状であり、さらにその回転軸方向において、制振ガイドローラ7aおよび7bの直径はその回転軸方向の中央部で最大となっており、その最大直径の溝から離れるにしたがい、制振ガイドローラ7aおよび7bの直径は小さくなっていく。すなわち、上記回転軸方向の中央部から制振ガイドローラ7aおよび7bそれぞれの端部方向へ向けて、溝部における直径は徐々に減少してゆく。即ち、制振ガイドローラ7aおよび7bは同形状の2つの円錐の底面を貼り合わせたような形状をしている。ただし、その回転軸方向に対するガイドローラ直径の変化は緩やかであり、制振ガイドローラ7aおよび7bの直径の減少割合は、隣接する2本のワイヤ3がそれぞれ掛けられる2つの隣接するワイヤ案内溝におけるガイドローラ直径の差となり、たとえば、隣接するワイヤ間で使用するワイヤ直径の2倍程度としている。
図6に示すように、給電子ユニット6aおよび6bは、ワイヤ3の巻き掛けピッチと同間隔に整列した給電子Kの集合体であり、各給電子Kは互いに絶縁されている。切断ワイヤ部CLのそれぞれのワイヤには、加工電源ユニット10に給電線で接続された各給電子Kから給電される加工電流が流れる。給電子Kは、例えば溝状のワイヤガイドの付いた、断面が円形ないし円弧形状になっているものが用いられる。給電子Kは定期的に回転させてワイヤ接触部位を変えられるように回転可能に設置されている。
図2は、本実施の形態における切断ワイヤ部CLのワイヤ3と加工中の被加工物5との位置関係を示す断面図であり、図中の記号dは放電ギャップの長さ、記号DWはワイヤ径、記号CWは加工幅を示す。ノズル8aおよび8bは、上記の放電ギャップに加工液を供給し、加工屑を押し流すための加工液噴出装置であり、切断ワイヤ部CLに沿って被加工物5の両側に設置されている。
図3は、本実施の形態における制振ガイドローラ7a或いは7bの外形図であり、制振ガイドローラ7aおよび7bの直径が、その回転軸方向の中間部分で最大直径となり、両軸端方向に向かって次第に小さくなるように、制振ガイドローラ7aおよび7bの表面にはテーパがついている。この表面には複数本のワイヤ案内用の溝であるワイヤ案内溝GRが加工されている。したがって、放電加工領域に張られるワイヤ3を直接保持する制振ガイドローラ7aのワイヤ案内溝と制振ガイドローラ7bのワイヤ案内溝のそれぞれの径は略同一である。
図4は、本実施の形態における制振ガイドローラ7aおよび7bの表面に形成されているワイヤ案内用溝の構造例を示す断面図であり、制振ガイドローラ7aおよび7bのローラ表面近くの一部を拡大して示している。ワイヤ案内溝GRの断面形状はV字状であり、ワイヤ3がワイヤ案内溝GRに掛かると、各ワイヤ3はV字状のワイヤ案内溝GRの側面の2点で支持される。その結果、ワイヤ走行方向に対して横方向(ローラの軸方向)の振動が抑制される。制振ガイドローラ7aおよび7bにワイヤ3が巻き掛ることで、制振ガイドローラ7aおよび7bと接触して回転している間はワイヤ3が制振ガイドローラ7aおよび7bに対して相対的に静止するため、切断ワイヤ部CLの振動が停止する。なお、図1および図6の構成においては、制振ガイドローラ7aおよび7bの表面へのワイヤ3の実際の掛かり方は図4を上下逆にした状態となっている。
また、断面V字型のワイヤ案内溝GRにワイヤ3を嵌め込むことにより、ワイヤ3をグリップする効果が生じ、ワイヤ3の掛かる長さが小さい制振ガイドローラ7aおよび7bの上でのスリップを抑制して制振ガイドローラ7aおよび7bの従動回転を安定化することができる。
また、制振ガイドローラ7aおよび7bの各ワイヤ案内溝GRの直径は、前述したように制振ガイドローラ7aおよび7bの中央部に位置する溝で最大で、その最大直径の溝から離れるほど溝部での直径が徐々に減少するため、切断ワイヤ部CLが制振ガイドローラ7aおよび7bの各溝に掛けられると、切断ワイヤ部CLのすべてのワイヤ3が通る空間上の基準面は、被加工物5に対して平行とはならず、わずかに傾斜して対向する。その結果、切断ワイヤ部CLの各ワイヤ3の整列順によって各ワイヤ3から被加工物5の上面までの距離に、制振ガイドローラ7aおよび7bの表面の傾斜量(テーパ)に応じた差が生じる。制振ガイドローラ7aおよび7bの場合、中央部に位置する溝に掛けられたワイヤ3が被加工物5に最も接近しており、次いで、その両隣のワイヤ3が被加工物5に接近しているというように、各ワイヤ3における被加工物5までの加工開始距離が段階的に長くなるように、すなわち、各ワイヤ3と被加工物5の表面までが徐々に離れた状態でワイヤ3を並列させることができる。なお、この場合、制振ガイドローラ7aおよび7bの外周表面に加工された複数本のワイヤ案内溝GRの深さはすべて一定である。
次に、本実施の形態におけるワイヤ放電加工装置100の動作について述べる。ワイヤ放電加工は、脱イオン水などの加工液で満たされた、ワイヤ3と被加工物5との間の微小な放電ギャップにおいてアーク放電を生じさせて被加工物5の切断を行うものである。具体的には、被加工物5の表面がアークで加熱されて高温になるとともに、放電ギャップに存在する加工液が爆発的に気化して、被加工物5の高温となった部分を吹き飛ばす。吹き飛ばされた部分は加工屑となって加工液中を浮遊する。切断ワイヤ部CLと被加工物5がそれぞれ放電電極となっていることから、放電ギャップの長さdは極間距離とも称される。
加工中、ワイヤ3はワイヤボビン2から連続的に繰り出されてメインガイドローラ1a〜1dの回転によって走行し、ワイヤ巻取りボビン4へ排出される。ワイヤボビン2とワイヤ巻取りボビン4のそれぞれの回転速度を調整することにより、並列する各ワイヤ3の走行中の張力が制御される。ワイヤ3の走行状態が安定している場合は、走行しているワイヤ3の張力は一定に保たれる。
放電加工を行う際は、メインガイドローラ1cおよび1dを回転させてワイヤ3を走行させながら、切断ワイヤ部CLに対して所定の極間距離を隔てて被加工物5を対向させて配置した後、切断ワイヤ部CLに電圧パルスを印加し、切断スピードに合わせてステージ9を上昇させる。極間距離を一定に保った状態で、切断ワイヤ部CL(並列切断部)と被加工物5とを相対移動させることにより、アーク放電を継続させ、被加工物5の切断ワイヤ部CLが通過した経路に対応して加工溝が形成される。したがって、切り出されるウエハの厚さは、巻掛ピッチから被加工物5の切り代となった加工溝の幅(加工幅CW)を引いた長さになる。なお、図2から理解できるように、加工幅CWはワイヤ径DWに極間距離dの2倍を加えた値となる。加工幅CWを小さくするためワイヤ3の線径は小さい方が望ましく、実用的には0.1mm程度のスチールワイヤが適当であり、好ましくは0.07mmなど更に細線化したものが用いられる。さらに、放電開始電圧を適切にするため、スチールワイヤの表面に黄銅などのコーティングを施しても良い。
このとき、何らかの振動が切断ワイヤ部CLに伝わると、被加工物5の加工溝内で切断ワイヤ部CLが加工溝底面と接触して短絡する状態を引き起こす。あるいは、加工面から離れすぎて放電が生起しない開放状態を引き起こし、これらが繰り返し生じることで放電加工が不安定な状態となる。一方、ワイヤ走行を安定させて、なおかつワイヤ位置の精度を高めることができれば、切断ワイヤ部CL間のピッチを狭めることが可能となり、インゴット状の被加工物5からより薄いウエハを切り出すことができる。
通常のワイヤ放電加工では、切断ワイヤ部CLが被加工物5に対向する放電ギャップの距離(極間距離)は50μm前後である。半導体結晶のインゴットを切断加工して半導体ウエハを作製する場合、多くはウエハの厚みが0.5mm以下であり、コスト削減の観点から切り代(加工幅CW)の縮小は重要な課題である。切り代を削減するため、ワイヤ3の細線化とともに極間距離を20μm以下、好ましくは10μm程度にすることが求められており、ワイヤ振動の振幅を1μm程度ないしはそれ以下まで抑制する技術が必要となっている。
また、並列する複数本のワイヤ3による同時切断加工では、通常、各ワイヤ3の位置を加工方向に横一列に揃えた状態で行われる。つまりは、各ワイヤ3での加工開始時と切断完了時が同時になるように加工が進行する。しかしながら、厳密には、各ワイヤ3が同時にウエハ切断を完了することはほとんど無く、わずかながらも時間差を生じる。特に、切断ワイヤ部CLを構成するワイヤ本数が多い場合や、被加工物5の切断厚さが厚く、ワイヤ3の張架距離が長い場合などでは、各ワイヤ3による被加工物5の切断完了までに時間差を生じやすい。複数本のワイヤ3による放電加工の場合、この切断完了時の時間差のために被加工物5の切断位置によって特定のワイヤ3に対して給電不良となることがあり、被加工物5における切断位置を制御する技術が必要となっている。
本実施の形態は、上記のようなワイヤ制振、および、被加工物5の切断順の制御に関する高度の要求に応えることを意図しており、前述のように、高精度の制振ガイドローラ7aおよび7bは、メインガイドローラ1a〜1dに起因するワイヤ振動を効果的に抑制し、さらに、複数本のワイヤ3の加工方向の並列位置を異なるように調整し、各ワイヤ3における切断加工の終了時までの時間差を発生させるものである。
発明者らは、実験の結果、前記した図3および図4に示した形状のワイヤ案内溝GRを備えた制振ガイドローラ7aおよび7bにて切断ワイヤ部CLを並列させることによって、放電ギャップにおけるワイヤ振動の振幅が1μm以下にまで抑制され、さらに、複数枚のウエハが順番に加工されることを見出すに至った。
本実施の形態においては、被加工物5を挟んで制振ガイドローラ7aおよび7b間の外側に給電子ユニット6aおよび6bが設置され、各給電子Kが切断ワイヤ部CLに電圧を印加することができる。ワイヤ3は給電子Kの給電面に沿って巻き掛けられ、走行しながら給電子Kと接触して摺動接点を形成し、切断ワイヤ部CLに給電を行う。加工中に給電子Kから切断ワイヤ部CLが浮き上がると、両者の間でアーク放電が生じて給電子Kに大きな損傷を与えるため、摺動接点は確実に維持される必要がある。
給電子ユニット6aおよび6bを押し付ける量を調整するため、給電子ユニット6aおよび6bをワイヤ3に対して垂直方向に移動させる機構(図示せず)が設けられる。ワイヤ3と給電子Kとの接触長さが摺動長さであり、摺動長さは並列ワイヤ部PSに対する給電子ユニット6aおよび6bの押し付け量で管理できる。すなわち、押し付け量が小さければ摺動長さは小さくなり、押し付け量が多ければ摺動長さは大きくなる。押し付け量はワイヤ3に対する押し込み距離で規定してもよいし、押付力で規定しても良い。摺動長さを調節することで接触抵抗を調整でき、1電圧パルスあたりの放電電流値を微調整できる。したがって、ワイヤ3や給電子ユニット6aおよび6bなどの消耗部品を交換した場合でも交換前の加工状態を再現することが容易であり、加工バッチごとの再現性を確保することができる。
ワイヤ放電加工においては、液中放電に伴ってワイヤ3の表面に被加工物5の加工屑が付着する現象がある。そのため、ワイヤ3をガイドローラ間に多数回巻き掛ける方式では、ワイヤ3が繰り返し放電加工に使用されて、徐々にワイヤ3表面が削られるとともに付着した被膜が厚くなる。その結果、ワイヤ3の表面は初期の黄銅ないしモリブデン等の金属平滑面から、微細な凹凸を持った状態に変化する。加工屑の付着したワイヤ3はワイヤソーのような性質を持つことになるため、ダイスガイドなどの固定された部材に巻き掛かって摺動すると、部材の摩耗を生じてワイヤ3が嵌り込む溝が形成される。溝が生じるとワイヤ3の張力が低下して振動が増大してしまうため、例えば、給電子Kをワイヤ3に押し付けることで制振作用を持たせることには限界がある。
それに対して、制振ガイドローラ7aおよび7bはワイヤ3と共に回転するので、ソーワイヤ状になったワイヤ3をガイドしても摩耗が非常に少なく、長時間の放電加工を行っても制振作用が低下することはない。
図5−1および図5−2は、本実施の形態におけるノズル8aおよび8bの外観をそれぞれ別方向から観た様子を示す斜視図である。貫通孔を有するノズル本体91に噴出口構成板92、逃げ口構成板94がはめ込まれており、噴出口構成板92には被加工物5に対向する噴出口93が形成されている。また、噴出口93には、複数の切断ワイヤ部CLから連なる並列ワイヤ部PSが通されている。逃げ口構成板94は、切断ワイヤ部CLがノズル本体91内部に非接触で通るための逃げ口95を有している。逃げ口95は、噴出口93の反対側に位置し噴出口93と同様に並列ワイヤ部PSが通されている。逃げ口95は噴出口93よりも狭くなっており、その理由は、逃げ口95側からの加工液の流出量を少なくし、噴出口93側からの加工液流出量を多くするためである。
加工液は、供給配管(図示せず)から一定の流速でノズル本体91に供給され、噴出口93と逃げ口95から噴出する。したがって、噴出口93から切断ワイヤ部CLに沿って加工液が噴出し、逃げ口95からも一部の加工液が流出する。切断ワイヤ部CLと加工液の流れが平行になっているため、切断ワイヤ部CLが加工液流によって撓んだり、加工液の流速が変動して振動したりすることがない。
ノズル8aおよび8bと被加工物5との設置間隔は、被加工物5の端面から数十μm〜数百μmである。供給配管には、図示されていない外部加工液供給装置から加工液が連続的に供給される。
ワイヤ放電加工では、たとえば40〜200m/min程度の速度でワイヤ3が走行するため、ワイヤ3がノズル内壁面と接触すると内壁面が削り取られてワイヤ3が引っ掛かり、ワイヤ切れの原因となる。そのため、ワイヤ走行中も常にワイヤ周囲とノズル内壁面、特に逃げ口95との間隔を維持する必要がある。すなわち、ノズル8aおよび8bは内部にダイス状のガイドを有しておらず、ワイヤ3がその内部で接触することなく走行する。そのため、切断ワイヤ部CLの送り位置を決める制振ガイドローラ7aおよび7bの位置は、切断ワイヤ部CLがノズル内壁面に接触しないように慎重に調整される。
ノズル8aおよび8bは切断ワイヤ部CLに沿って噴出口93が対向するように配置されており、放電ギャップに向けて互いにぶつかりあう方向の加工液流を形成する。被加工物5の加工溝の両側からノズル8aおよび8bにより加工液を供給することで、長い加工溝に対しても放電ギャップから加工屑を除去して新たな加工液を供給することができる。
なお、半導体インゴットの直径は、たとえば、2インチ(約50mm)以上であり、多くの場合、4インチ(約100mm)以上になる。そのため、半導体ウエハをワイヤ放電加工で切断して作製する場合、確実に放電ギャップに加工液が満たされるように、被加工物5全体を加工液に浸漬することが望ましい。したがって、ノズル8aおよび8bも被加工物5とあわせて加工液中に浸漬される。被加工物5、ノズル8aおよび8bおよび周辺のガイドローラなどを加工液中に浸漬させることで、加工溝全体が加工液で満たされるため、加工屑が加工溝の上方に流れて、放電ギャップから加工屑を効率的に排出することが可能となる。
次に、メインガイドローラ1a〜1dに巻き掛けられたワイヤ3に対する制振ガイドローラ7a、7b、給電子ユニット6a、6b、およびノズル8a、8bの関係について図6を用いて説明する。
ノズル8aおよび8bは被加工物5を挟んで対称な位置に被加工物5に近接して配置されており、ノズル8aまたは8bと駆動式のメインガイドローラ1dまたは1cとの間に制振ガイドローラ7aまたは7bが配置されている。つまり、メインガイドローラ1dとノズル8aとの間に制振ガイドローラ7aが、また、メインガイドローラ1cとノズル8bとの間に制振ガイドローラ7bが設置されている。さらには、給電子ユニット6aおよび6bのワイヤ3に対する配置は、メインガイドローラ1dおよび1c間であって切断ワイヤ部CLを挟んで制振ガイドローラ7aおよび7bの外側に互いに反対側に配置されている。
このローラ配置によれば、2本の制振ガイドローラ7aおよび7bによってワイヤ3の振動を遮断して、かつノズル8aおよび8bに対する切断ワイヤ部CLの位置を一定に保持することができる。仮に、制振ガイドローラ7aおよび7bが無い配置を用いたとすると、給電子Kの接触抵抗を制御するため給電子ユニット6aおよび6bの押し付け量を変化させたときに、ノズル8aおよび8bの逃げ口95に対する切断ワイヤ部CLの位置関係が変わってしまう。そのため、給電子ユニット6aおよび6bにあわせてノズル8aおよび8bを同方向に移動させる必要が生じて機構が複雑になる。つまり、制振ガイドローラ7aおよび7bを用いることで、給電子ユニット6aおよび6bの押し付け量によらず、切断ワイヤ部CLのワイヤ3をノズル8aおよび8bそれぞれの逃げ口95、噴出口93に対して水平に送ることが可能となる。また、給電子Kがワイヤ3で削り取られて摺動位置が変化しても、ノズル8aおよび8bに対する切断ワイヤ部CLの位置関係を安定に維持することができる。
メインガイドローラ1dまたは1cと、制振ガイドローラ7aまたは7bとの間に給電子ユニット6aまたは6bが切断ワイヤ部CLに連なるワイヤ3の反対側から押し込まれている。そのため、給電子ユニット6aおよび6bを頂点としてワイヤ3が山型に折れ曲がって、給電子Kの接触状態が安定になる。また、この状態が保持されることにより、制振ガイドローラ7aおよび7bとメインガイドローラ1cおよび1dの巻き掛け長さが大きくなり、摩擦抵抗が大きくなることによりガイドローラにて巻回されるワイヤ3がすべりにくくなる。その結果、回転駆動力によって搬送されるワイヤ走行が安定し、巻き掛けられたワイヤ3が外れにくくなって、高速走行するワイヤ3への給電と巻き掛け安定性が著しく向上する効果も得られる。これによって、ワイヤ放電加工装置100が長時間の連続運転を行っても、ワイヤ走行によるトラブルが生じることがなく、大径のインゴットの切断が可能になる。
さらに、切断ワイヤ部CLの展張方向に沿ってノズル8aまたは8bと給電子ユニット6aまたは6bとの間に制振ガイドローラ7aまたは7bを設けることにより、ノズル8aおよび8bの逃げ口95から給電子ユニット6aおよび6bの方向に噴出される加工液流が給電子ユニット6aおよび6bに衝突しなくなる利点がある。これは、前述のように給電子ユニット6aおよび6bがワイヤ3に対して上方に押し込まれているため、ノズル8aまたは8bの逃げ口95から見て、給電子ユニット6aおよび6bの摺動部が制振ガイドローラ7a、7bの陰に隠れる形になる為である。高速で逃げ口95から噴出する加工液流が給電子ユニット6aおよび6bに到達することがないため、加工液流が衝突する場合に問題となる摺動部におけるワイヤ接触抵抗の変動を生じることがなく、放電加工が安定化する。
本実施の形態1においては、ノズル8aを通過したワイヤ3のうち給電子ユニット6bで給電されなかった切断ワイヤ部CLのワイヤ3は、制振ガイドローラ7aと駆動式のメインガイドローラ1dとの間に設置された給電子ユニット6aに接触して給電される。すなわち、給電子ユニット6aおよび6bはそれぞれ1本おきに切断ワイヤ部CLの給電を行っている。給電子ユニット6aを通過した切断ワイヤ部CLは駆動式のメインガイドローラ1dで巻き掛けられ、その後、メインガイドローラ1a、1bに巻き掛けられ、ふたたび駆動式のメインガイドローラ1cに巻き掛けられる。
以上述べたような状態を維持しつつ、被加工物5と切断ワイヤ部CLの各ワイヤ3に電圧を印加しながら、互いを相対的に接近させていく。図6に示す構成のワイヤ放電加工装置100の場合、被加工物5が載置されたステージ9がZ軸方向に上昇していくと、まず、制振ガイドローラ7aおよび7bの中央部に位置する溝に掛けられたワイヤ3で被加工物5との距離がもっとも近くなるため、そのワイヤ3において最初に放電加工が開始される。なお、被加工物5と切断ワイヤ部CLを相対的に接近させる方法としては、切断ワイヤ部CLの上方から被加工物5を下降させて加工することもできる。即ち、ワイヤ放電加工装置100において、例えば、被加工物5下側とステージ9上側との間にワイヤ3を通過させるように被加工物5をステージ9から浮かせて設置することで、ステージ9を下降させてインゴットなどの被加工物5を下側面から切断加工することも可能である。
次いで、その制振ガイドローラ7aおよび7bの中央部に位置する溝に掛けられたワイヤ3の両隣に位置するワイヤ3が、被加工物5の最表面に対して放電を開始するに足る距離になり、放電加工が開始される。さらにその次には、前述の両隣のワイヤ3の隣に位置するワイヤ3が被加工物5の最表面に対して放電加工を開始できる距離となり、放電加工が開始されるという具合に、制振ガイドローラ7aおよび7bの中央部のワイヤ3から制振ガイドローラ7aおよび7bの両軸端方向に向かって並列するワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤ3へと順番あるいは段階的に被加工物5に接近していく。
その結果、前述の被加工物5に接近するワイヤ3の順番に応じて被加工物5の最表面に対して放電加工が開始されていき、各加工溝はその加工深さに差を生じた状態で形成されていく。切断ワイヤ部CLのいずれのワイヤ3でも放電加工速度は同様であるため、各ワイヤ3における溝加工の進行度合いは、前述した加工開始の順番が早いワイヤ3ほど深くまで進行している。特に、切断すれば半導体ウエハとなるような切断厚さの揃ったインゴットを加工する場合、インゴット、すなわち、被加工物5の切断方向厚さは一定であるため、溝加工を開始した順番でウエハ切断を完了していくことになる。すなわち、被加工物5は、常に、制振ガイドローラ7aおよび7bの中央部に位置するワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤ3において最初に切断され、次いで、その両隣のワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤ3において切断される。このように、本実施の形態にかかるワイヤ放電加工装置100を用いて、予め定めた所定の順番で半導体ウエハを切り出すことが可能である。
したがって、制振ガイドローラ7aおよび7bのワイヤ案内溝GRの形成部分直径が大きい溝に掛けられたワイヤ3から順番に被加工物5の切断加工が完了していく。ただし、図3の形状の制振ガイドローラ7aおよび7bを使用する場合、加工電源ユニット10から電流を極間に供給するために被加工物5側にも接続される給電線20を、切断ワイヤ部CLの幅を有する同時切断される被加工物5の領域よりも外側の部位(ウエハ切断部を挟んで両側部分)に接続しておく(図6)。これにより、ワイヤ放電加工によって被加工物5が分断された場合、被加工物5の内部を経由して加工電源ユニット10に戻る電流経路が分断されることが無くなり、放電加工中のワイヤ3に対する給電が途絶えることが無くなり、放電加工が安定する。
切断ワイヤ部CLの各ワイヤ3における切断完了の時間差は、隣接するワイヤ3が加工方向に整列する位置の差、つまりは、制振ガイドローラ7aおよび7bの各ワイヤ3が掛けられるワイヤ案内溝GRの直径の差によって決まる。それゆえ、制振ガイドローラ7aおよび7bの隣接するワイヤ案内溝GRの直径の差が極度に小さいと、加工中の発生した外乱や被加工物5がわずかに傾斜した状態で設置されていた場合、制振ガイドローラ7aおよび7bの直径が小さい方のワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤ3の方が先に切断を完了する場合も起こりかねない。
ワイヤ案内溝GRの直径差が大きいほど、ウエハ切断順番が逆転する可能性は小さくなるが、その直径差を大きくしすぎると、制振ガイドローラ7aおよび7bの表面にテーパがつきすぎて、極端にテーパの大きい円錐を重ねた形状となり、このような制振ガイドローラ7aおよび7bの間で切断ワイヤ部CLを張架した場合、各ワイヤ3に付加する張力や各ワイヤ3の押さえ込み量、あるいは、各ワイヤ案内溝GRの周速度の違いが無視できなくなり、加工特性に影響を及ぼしかねない。したがって、隣接するワイヤ3の加工方向の整列位置の差としては、ワイヤ直径分乃至せいぜいワイヤ直径の2倍程度あればよく、φ0.1mmワイヤを使用する場合では100〜200μm程度に、制振ガイドローラ7aおよび7bの各ワイヤ3が掛けられるワイヤ案内溝GRの直径の差としては、200〜400μm程度にするとよい。
被加工物5を切断ワイヤ部CLによって複数箇所を同時加工する技術として、ダイヤモンドなどの硬質物質を表面に接着した切断ワイヤ部CLを被加工物5に直接押し当てて加工する方法や、砥粒を混濁した加工液を切断ワイヤ部CLとともに被加工物5の加工面との間に巻き込んで砥粒を被加工物5に押し付けて加工する方法がある。これらの加工方法でもワイヤ3を多条配列するためのローラが使用されているが、それらのローラに前述したような形状を採用した場合、ローラ表面の各ワイヤ案内溝における周速度が異なるなどの張力変動によって精密な加工ができなくなる。これは、前述したように、これらの加工方法は、ワイヤ3を被加工物5に押し付けることによる研削加工によって行われるために、切断ワイヤ部CLの各ワイヤ3の張力がわずかでも不均一になると、それぞれのワイヤ3による加工量が変動するからである。
しかし、本実施の形態における被加工物5の加工は放電加工によって行なわれるものである。すなわち、被加工物5に対してワイヤ3が押し付けられるなどの外力が作用しない非接触加工であるために、各ワイヤ3における加工が影響されるものではない。とくに、切断ワイヤ部CLの加工方向の並列差が、前述したようにワイヤ直径分乃至せいぜいワイヤ直径の2倍程度であれば、前述した制振ガイドローラ7aおよび7bの各ワイヤ案内溝GRにおける周速度や張力の影響も本加工方法には影響されない。なお、前述の制振ガイドローラ7aおよび7bによって切断方向高さに差を持って並列搬送される切断ワイヤ部CLが、ノズル8aおよび8bの加工液噴出口93を貫通する状況において、その加工液噴出口93に切断ワイヤ部CLが接触することもない。
図7は、被加工物5の切断加工を行っている途中の状態を示しており、一部の領域で被加工物5がほぼ切断される状態になっている。給電子ユニット6aおよび6bの各給電子Kは加工電源ユニット10に接続され、さらに加工電源ユニット10はワイヤ放電加工装置100の制御装置(図示せず)に接続されている。
図6に戻ると、メインガイドローラ1a〜1dはワイヤ3を走行させるために設置されているため、それらの軸位置が移動可能な機構系を用いることはローラ回転の精度を確保する観点から得策ではない。したがって、想定される被加工物5の最大幅に対応した間隔で固定配置される。
各ローラの直径に着目すると、メインガイドローラ1a〜1dは、高速回転時の滑りを防止するため、ワイヤ3の接触長さを確保する上で十分に大きい直径を必要とする。これに対して、制振ガイドローラ7aおよび7bは駆動力を発生せず、かつ、ワイヤ送り出しとワイヤ巻き取りに関係しないため、巻き掛けられたワイヤ3がローラ上でわずかな滑りを生じたとしても問題にはならない。したがって、制振ガイドローラ7aおよび7bの直径は、メインガイドローラ1a〜1dの直径に比較して小さいものでかまわない。
制振ガイドローラ7aおよび7bを小径化することによってローラ形状の精度を高めることができることから、制振ガイドローラ7aおよび7b自身に起因する振動を軽減できる。また、給電子ユニット6aおよび6bと被加工物5の距離を短縮できるため、低周波数のワイヤ振動を防止するとともに、装置の小型化、および切断ワイヤ部CLにおける電圧降下の軽減を図ることができる。
それぞれの切断ワイヤ部CLは、隣接する切断ワイヤ部CLとの間にワイヤ3の電気抵抗などによるインピーダンスを有しており、各切断ワイヤ部CLの独立性を保つため、それ以外の導通経路が形成されることは好ましくない。したがって、メインガイドローラ1a〜1dおよび制振ガイドローラ7a、7bのワイヤ接触部分は、絶縁性材料で作製される必要がある。
制振ガイドローラ7aおよび7bは、ワイヤ3を搬送するための駆動力を発生する必要がないので、その表面とワイヤ3との摩擦抵抗が小さい材料でもよい。したがって、制振ガイドローラ7a、7bの材料として硬度の高い絶縁性セラミックスを使用可能である。制振ガイドローラ7a、7bのワイヤ3との接触部をセラミックス製とすることで、ゴム製のガイドローラで生じやすいワイヤ3の食い込みによる溝の変形がなく、切断ワイヤ部CLの複数本のワイヤ3の並列間隔が変化することはない。制振ガイドローラ7aおよび7bの溝の形状が安定になることで、溝変形に伴うワイヤ振動が生じることを防ぎ、ノズル8aまたは8bに対する切断ワイヤ部CLの位置が安定化する効果が得られる。
使用するセラミックス材料としては、例えば、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ないしそれらの複合セラミックスやマシナブルセラミックスを用いることができる。
ワイヤ放電加工は、加工速度が被加工物5の硬度に依存しないことから、硬度の高い素材に対して特に有効である。被加工物5として、例えば、スパッタリングターゲットとなるタングステンやモリブデンなどの金属、各種構造部材として使われる多結晶シリコンカーバイド(炭化珪素)などのセラミックス、半導体デバイス作製用のウエハ基板となる単結晶シリコンや単結晶シリコンカーバイド、あるいは、ガリウムナイトライド(GaN、窒化ガリウム)などの半導体素材、太陽電池用ウエハとなる単結晶または多結晶シリコンなどを対象とすることができる。特に、炭化珪素に関しては、硬度が高いため、機械式ワイヤソーによる方式では生産性が低く、加工精度が低いという問題があり、本発明の実施の形態により、高い生産性と高い加工精度を両立しながら炭化珪素のウエハ作製を行うことができる。
本実施の形態の変形例として、図6で示した位置関係に対して給電子ユニット6aおよび6bを切断ワイヤ部CLの上側から押し付ける方式でも各ワイヤ3への独立給電は可能である。ただし、この場合、制振ガイドローラ7aおよび7bは切断ワイヤ部CLを下側から押し上げる状態で設置される。この状態では、図4に示す制振ガイドローラ7aおよび7bの回転軸中心より上側のワイヤ案内溝GRに対してワイヤ3が掛けられる。即ち、実際に図4で示したのと同じ上下関係で制振ガイドローラ7aおよび7bのワイヤ案内溝GRに対してワイヤ3が掛けられる。
その結果、被加工物5をZ軸方向に上昇させて放電加工を行うと、最初に放電加工が開始されるワイヤ3は、制振ガイドローラ7aおよび7bの両軸端部分、すなわち、ワイヤ案内溝GRの直径が最も小さい溝に掛けられたワイヤ3となる。したがって、この場合の放電加工の順序は、制振ガイドローラ7aおよび7bの両軸端部分から制振ガイドローラ7aおよび7bの中央部に向かって順次開始されていく。それゆえに、切断加工の完了も制振ガイドローラ7aおよび7bの両軸端部分のワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤ3から順次行われていく。また、この場合、被加工物5と加工電源ユニット10とを接続する給電線20は、制振ガイドローラ7aおよび7bの中央部のワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤ3で切断加工される部分付近、すなわち、切断加工が最後に完了するウエハのすぐ近くに取り付けておくことで、被加工物5からウエハが切り出されていく際に最後まで加工電流の通電経路が分断されないようにする。
また、本実施の形態では、1本のワイヤ3を4本のメインガイドローラ1a〜1dに巻き掛けた例について示しているが、例えばメインガイドローラを3本配置した構成とすることも可能である。その他、上記の実施の形態に限らず、1本のワイヤ3を繰り返し折り返すことにより並列ワイヤ部PSが形成されるのであれば、その具体的な構成については特に限定されるものではない。
なお、本実施の形態においては、複数本ワイヤによる同時加工が行われるが、厳密には複数枚のウエハを同時切断するとはならないが、各ワイヤが切断を終了する時間差は使用するワイヤ直径のせいぜい1、2本分程度の差から生じる程度であり、同時切断とみても問題ない程度である。
以上のように、本実施の形態にかかるワイヤ放電加工装置100によれば、メインガイドローラ1a〜1dの間に一定のピッチで離間しながら複数回巻き掛けられ、メインガイドローラ1a〜1dの回転に伴って走行する1本のワイヤ3と、メインガイドローラ1cおよび1dの間に配列した並列ワイヤ部PSと、並列ワイヤ部PSに対して従動接触するように配置された一対の制振ガイドローラ7aおよび7bと、並列ワイヤ部PSのそれぞれのワイヤ3に給電する給電子ユニット6aおよび6bとを備えて、制振ガイドローラ7aおよび7bの間に展張されたワイヤ3が被加工物5と対向する切断ワイヤ部CLを形成するように構成されている。
これにより、切断ワイヤ部CLにおけるワイヤ振動が抑制されるとともに、被加工物5のウエハ切断完了順序が定まることによって被加工物5が任意の位置で切断されることが無くなり、未加工の被加工物5に対する加工電源ユニット10の給電経路がすべてのワイヤ3にて切断加工が完了するまで確保されるので、給電不良による切断完了付近でのワイヤ断線を防止でき、ウエハ厚さの揃った高精度のワイヤ放電加工を行うことが可能となる。
また、制振ガイドローラ7aおよび7bの間に配置された一対のノズル8aおよび8bを備え、ノズル8aおよび8bはワイヤ3に沿って被加工物5にそれぞれ対向するように噴出口93から加工液を噴出し、ワイヤ3はノズル8a、8bの噴出口93を貫通してノズル8a、8bに非接触で走行するようにしたので、加工液流によるワイヤ振動を生じることがなく、また、ワイヤ破断を生じることもない。さらに、加工屑を放電ギャップから効率的に排出することができるため、放電を安定化して放電加工の加工速度と加工精度が向上するという効果を奏する。
また、制振ガイドローラ7aおよび7bの直径をメインガイドローラ1a〜1dの直径より小さくしたことにより、ワイヤ振動の生じにくい小型のワイヤ放電加工装置100を得ることができる。
また、制振ガイドローラ7aおよび7bの表面に切断ワイヤ部CLに対応してワイヤ3が1本ずつ掛るV字状断面を有する図4に示したようなワイヤ案内溝GRを形成したので、横方向のワイヤ振動が抑制されて、加工溝幅の安定した高精度の放電加工を行うことができる。
また、制振ガイドローラ7aおよび7bの材質として、硬度の高いセラミックスを使用することにより、長期間にわたって安定したワイヤ走行を維持することが可能となり、ワイヤ振動を抑制する効果を持続させることができる。
さらに、制振ガイドローラ7aおよび7bは、実質的にローラ部分のみが交換可能な部分であり、制振ガイドローラ7aおよび7bに加工されたワイヤ案内溝GRが長期間の使用によって磨耗し、切断ワイヤ部CLが1本ずつ掛るV字状断面が次第に変形した場合でも、ローラ部分の交換により安定した高精度の放電加工を行うことができる。また、制振ガイドローラ7aおよび7bのローラ部分は、ローラ表面のワイヤ案内溝GRを研削・研磨して、新しくワイヤ案内溝GRを加工しなおす再溝加工によって再利用することが可能である。再溝加工によって制振ガイドローラ7aおよび7bの直径は小さくなるが、その溝深さは使用するワイヤ直径の2倍程度であるため、1回の再溝加工ではせいぜい500μm小さくなる程度である。したがって、直径が20mm以上の制振ガイドローラ7a、7bであれば、ワイヤ3への押付け量を調整することによって同様の制振効果を発揮することが可能である。
また、制振ガイドローラ7aおよび7bは、上述したように一体成形される以外に、図8に示すように、各ワイヤ案内溝部分単位で分割されたワイヤ案内ユニット60を積層することでも形成できる。ワイヤ案内ユニット60は、その中心に支持棒61を貫通させる穴加工がなされており、形成する制振ガイドローラ7aおよび7bの外形を構成するように、ワイヤ案内溝部分の直径が異なるそれぞれのワイヤ案内ユニット60の穴に支持棒61を通過させて回転自在となるように積層させて形成することができる。このような構成の制振ガイドローラ7aおよび7bにおいては、各ワイヤ案内ユニット60が独立しているので、各ワイヤ案内ユニット60のワイヤ案内溝の直径が異なることによる各ワイヤ案内溝での周速度の違いは問題にはならず、ワイヤ案内溝に掛けられ、切断ワイヤ部CLを構成する各ワイヤ3に対して張力変動を発生することはなく、安定してワイヤ搬送することができる。
また、制振ガイドローラ7aおよび7bは、並列ワイヤ部PSを挟んで給電子Kと反対側に配置されるようにしたので、ワイヤ走行位置が安定して加工が安定化するという効果を奏する。また、加工液が給電子Kに衝突しないので加工液流による摺動部でのワイヤ振動が生じることがなく、ワイヤ3への給電が阻害されることがない。
上記した構成により、本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置100においては、切断ワイヤ部CLの振動を抑制して放電ギャップを安定に維持し、長時間の加工においても安定した放電加工を行い、厚さばらつきが小さいウエハを一度に複数枚製作することが可能になるという効果を奏する。
また、本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置100を用いることにより、炭化珪素などの硬質材料を含む被加工物5を、高い生産性をもって薄板状に切断加工することができる。
実施の形態2.
以下に、本発明の実施の形態2に係るワイヤ放電加工装置の構成および動作について説明する。本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置においては、前述した実施の形態1と同様の構成および動作を多く有しているため、それらについては説明を省略し、実施の形態1と異なる制振ガイドローラ7aおよび7bの部分の構成と動作について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係るワイヤ放電加工装置に使用する制振ガイドローラ7aおよび7bの外形である。制振ガイドローラ7aおよび7bは、それぞれ回転軸方向の中央部で最も軸直径が細くなっており、その部分にワイヤ案内溝GRが加工されており、さらに、そのワイヤ案内溝GRから制振ガイドローラ7aおよび7bそれぞれ両軸端方向に一定間隔でワイヤ案内溝GRが加工されている。このときのワイヤ案内溝GRの間隔は、被加工物5であるインゴットからウエハを切り出すときのスライスピッチに相当する。また、制振ガイドローラ7a、7bの外周表面に加工された複数本の溝はいずれも溝深さが一定である。
制振ガイドローラ7a、7bそれぞれの表面に形成されたワイヤ案内溝GRに対して切断ワイヤ部CLの各ワイヤ3が掛かるように、制振ガイドローラ7aおよび7bを切断ワイヤ部CLに押し付ける。たとえば、図9の制振ガイドローラ7a、7bの表面下側に位置するワイヤ案内溝GRを切断ワイヤ部CLに押し付ける場合、最初に放電加工を開始するワイヤ3は、制振ガイドローラ7a、7bそれぞれの両端部のワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤ3である。以後、その両軸端部のワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤ3から制振ガイドローラ7a、7bそれぞれの中心部に向かって掛けられたワイヤ3の順番に放電加工が開始されていく。したがって、被加工物5を切り終わる順番もこの放電開始順となる。この場合、加工電源ユニット10と被加工物5を接続する給電線20は、被加工物5が制振ガイドローラ7a、7bの中央部に掛けられたワイヤ3で切断される付近に接続する。すなわち、切断加工が最後に完了するウエハのすぐ近くに給電線20を取り付けておくことで、被加工物5からウエハが切り出されていく際に最後まで加工電流の通電経路が分断されないようにする。
あるいは、制振ガイドローラ7aおよび7bの表面に形成されたワイヤ案内溝GRに対して切断ワイヤ部CLの各ワイヤ3を掛ける場合、図9の制振ガイドローラ7a、7bを押し上げて、制振ガイドローラ7a、7bの回転中心軸より表面上側に位置するワイヤ案内溝GRを切断ワイヤ部CLに押し付けても、加工方向に等間隔に切断ワイヤ部CLの各ワイヤ3を並列させることができる。ただし、この場合、最初に放電加工を開始するワイヤは、制振ガイドローラ7aおよび7bの中央部のワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤ3であり、以後、その両隣のワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤ3から制振ガイドローラ7a、7bの両軸端部のワイヤ案内溝GRに向かって掛けられたワイヤの順番に放電加工が開始されていく。被加工物5を切り終わる順番もこの放電開始順となる。この場合、加工電源ユニット10と被加工物5を接続する給電線20は、図6に示すように切断ワイヤ部CLの幅を有する同時切断される被加工物5の領域よりも外側の部位(ウエハ切断部を挟んで両側部分)に接続しておく。これにより、ワイヤ放電加工によって被加工物5が分断された場合、被加工物5の内部を経由して加工電源ユニット10に戻る電流経路が分断されることが無くなり、放電加工中のワイヤ3に対する給電が途絶えることが無くなり、放電加工が安定する。
また、制振ガイドローラ7aおよび7bは、上述したように一体成形される以外に、図8と同様に、各ワイヤ案内溝部分単位で分割されたワイヤ案内ユニットを積層することでも形成できる。このような構成の制振ガイドローラ7aおよび7bにおいては、各ワイヤ案内ユニットが独立しているので、各ワイヤ案内ユニットのワイヤ案内溝の直径が異なることによる各ワイヤ案内溝での周速度の違いは問題にはならず、ワイヤ案内溝に掛けられ、切断ワイヤ部CLを構成する各ワイヤ3に対して張力変動を発生することはなく、安定してワイヤ搬送することができる。
このような制振ガイドローラ7aおよび7bを備えた構成のワイヤ放電加工装置を用いることにより、被加工物5が任意の位置で切断されることが無くなり、未加工の被加工物5に対しても給電経路を確保することができるので、切断終了直前で給電不良によるワイヤ断線を防止でき、板厚のそろった高精度なウエハを加工することができる。
実施の形態3.
以下に、本発明の実施の形態3に係るワイヤ放電加工装置の構成および動作について説明する。本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置においては、前述した実施の形態1と同様の構成および動作を多く有しているため、それらについては説明を省略し、実施の形態1と異なる制振ガイドローラ7a、7b部分の構成と動作について説明する。
図10は、本発明の実施の形態3に係るワイヤ放電加工装置に使用する制振ガイドローラ7aおよび7bの外形である。制振ガイドローラ7aおよび7bは、それぞれ回転軸方向の一端で軸直径が最小となり、もう一方の端で軸直径が最大となる略円錐形状であり、軸方向に一定間隔でワイヤ案内溝GRが一定溝深さで加工されている。
制振ガイドローラ7a、7bの表面に形成されたワイヤ案内溝GRに対して切断ワイヤ部CLを構成する各ワイヤ3が掛かるように、制振ガイドローラ7aおよび7bを切断ワイヤ部CLに押し付ける。たとえば、図10の制振ガイドローラ7aおよび7bの表面下側に位置するワイヤ案内溝GRを切断ワイヤ部CLに押し付ける場合、最初に放電加工を開始するワイヤ3は、制振ガイドローラ7aおよび7bの直径が最も大きいワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤである。以後、そのワイヤ案内溝GRからワイヤ案内溝GRの直径が小さくなる方に掛けられたワイヤ3の順番に放電加工が開始される。すなわち、制振ガイドローラ7aおよび7bにおいては、軸直径が大きい方から小さい方に向けて掛けられたワイヤ3の順番に放電加工が開始される。それゆえに、被加工物5を切り終わる順番も上述した放電開始したワイヤの順番となる。この場合、加工電源ユニット10と被加工物5を接続する給電線20は、制振ガイドローラ7aおよび7bの軸直径が細い側に位置する被加工物5の端に接続しておく。すなわち、切断加工が最後に完了するウエハのすぐ近くに給電線20を取り付けておくことで、被加工物5からウエハが切り出されていく際に最後まで加工電流の通電経路が分断されないようにする。
あるいは、制振ガイドローラ7aおよび7bの表面に形成されたワイヤ案内溝GRに対して切断ワイヤ部CLの各ワイヤ3を掛ける場合、図10の制振ガイドローラ7a、7bを押し上げて、制振ガイドローラ7a、7bの回転軸中心から表面上側に位置するワイヤ案内溝GRを切断ワイヤ部CLに押し付けても、加工方向に等間隔に切断ワイヤ部CLの各ワイヤを並列させることができる。ただし、この場合、最初に放電加工を開始するワイヤは、制振ガイドローラ7aおよび7bの直径が最も小さいワイヤ案内溝GRに掛けられたワイヤであり、以後、そのワイヤ案内溝GRからワイヤ案内溝GRの直径が大きくなる方に掛けられたワイヤ3の順番に放電加工が開始されていく。すなわち、制振ガイドローラ7aおよび7bにおいては、軸直径が小さい方から大きい方に向けて掛けられたワイヤ3の順番に放電加工が開始される。それゆえに、被加工物5を切り終わる順番も上述した放電開始したワイヤの順番となる。この場合、加工電源ユニット10と被加工物5を接続する給電線20は、制振ガイドローラ7aおよび7bの軸直径が太い側に位置する被加工物5の端に接続しておく。上記同様、切断加工が最後に完了するウエハのすぐ近くに給電線20を取り付けておくことで、被加工物5からウエハが切り出されていく際に最後まで加工電流の通電経路が分断されないようにする。
また、制振ガイドローラ7aおよび7bは、上述したように一体成形される以外に、図8と同様に、各ワイヤ案内溝部分単位で分割されたワイヤ案内ユニットを積層することでも形成できる。このような構成の制振ガイドローラ7aおよび7bにおいては、各ワイヤ案内ユニットが独立しているので、各ワイヤ案内ユニットのワイヤ案内溝の直径が異なることによる各ワイヤ案内溝での周速度の違いは問題にはならず、ワイヤ案内溝に掛けられ、切断ワイヤ部CLを構成する各ワイヤ3に対して張力変動を発生することはなく、安定してワイヤ搬送することができる。
このような制振ガイドローラ7aおよび7bを備えた構成のワイヤ放電加工装置を用いることにより、被加工物5が任意の位置で切断されることが無くなり、未加工の被加工物5に対しても給電経路を確保することができるので、切断終了直前で給電不良によるワイヤ断線を防止でき、板厚のそろった高精度なウエハを加工することができる。
実施の形態4.
以下に、本発明の実施の形態4に係るワイヤ放電加工装置の構成および動作について説明する。本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置においては、前述した実施の形態1と同様の構成および動作を多く有しているため、それらについては説明を省略し、実施の形態1と異なる制振ガイドローラ7a、7b部分の構成と動作について説明する。
図11は、本発明の実施の形態4に係るワイヤ放電加工装置に使用する制振ガイドローラ7aおよび7bの外形である。制振ガイドローラ7aおよび7bは、それぞれ回転軸方向のいずれの位置でも軸直径が一定の円筒形をしており、軸方向に一定間隔でワイヤ案内溝GRが加工されている。ただし、ワイヤ案内溝GRの溝の深さは一定ではなく、回転軸方向の中央部から両軸端方向に向けて順番に深くなるよう加工されている。
制振ガイドローラ7aおよび7bの表面に形成されたワイヤ案内溝GRの深さは、溝加工用バイトによる溝加工時の切り込み量を調整して成形されるが、形成される溝の深さは、実施の形態1、2、および3にて示された制振ガイドローラ7a、7bの表面のテーパ形状を模した形状が得られるように加工してもよい。実施の形態1、2、3にて示された制振ガイドローラ7a、7b相当のテーパとなるように溝深さが調整されたワイヤ案内溝GRが表面に加工された制振ガイドローラ7a、7bを使用する場合の制振ガイドローラ7a、7bの押付け方向と、その押付け方向に応じた被加工物5に対する給電線20の取り付け方については、実施の形態1、2、3で示した方式に準じればよい。
このような制振ガイドローラ7aおよび7bを備えた構成のワイヤ放電加工装置を用いることにより、被加工物5が任意の位置で切断されることが無くなり、未加工の被加工物5に対しても給電経路を確保することができるので、切断終了直前で給電不良によるワイヤ断線を防止でき、板厚のそろった高精度なウエハを加工することができる。
なお、上記した実施の形態1乃至4においては、給電子ユニット6aおよび6bは被加工物5を挟んで2個取り付けられているとして説明したが、これが1個備えられているとしても、上記と同様の効果が得られることはいうまでもない。
実施の形態5.
以下に、本発明の実施の形態5に係るワイヤ放電加工装置200の構成および動作について図12を用いて説明する。本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置200においては、前述した実施の形態1と同様の構成および動作を多く有しているため、それらについては説明を省略し、実施の形態1と異なる給電子ユニット6a〜6dおよび制振ガイドローラ7a、7b部分の構成と動作について説明する。
図12に示すように、切断ワイヤ部CLを構成する各ワイヤ3に対して加工電源ユニット10を供給する給電子ユニット6a〜6dが被加工物5の両側に配設されている。被加工物5から複数のウエハを加工するスライスピッチが狭いと、各給電子Kに接続される給電線30や給電子K同士を絶縁する部材を含めた寸法がスライスピッチ以上になり、給電子ユニット6a〜6dを図6のように片側一列に並べることができなくなる場合がある。そうした場合、たとえば、図12に示すように、片側一列に整列している給電子を片側二列ずつに分離し、一列あたりの給電子Kの数を減らして給電子K同士の間隔を広げた給電子列たる給電子ユニット6a〜6dを並行設置することにより、給電線30や上記絶縁部材の厚さとスライスピッチを確保することができる。
この場合、切断ワイヤが給電子ユニット6a〜6dに掛けられる順番は、たとえば、給電子ユニット6aの最も手前の給電子K、給電子ユニット6cの最も手前の給電子K、給電子ユニット6bの最も手前の給電子K、給電子ユニット6dの最も手前の給電子Kと掛けられて、ふたたび、給電子ユニット6aに戻り、給電子ユニット6a手前から2番目の給電子Kに掛けられていく。そして各給電子Kに掛けられたワイヤ3には、それぞれの給電子Kから給電線30を介した加工電源が供給される。給電線30は加工電源ユニット10に接続されている。
図12のようにして各給電子Kに掛けられた各ワイヤ3は、加工電源ユニット10から加工電源が供給されることで被加工物5に放電加工による加工溝を形成し、やがては被加工物5からウエハが加工される。このとき、各ワイヤ3による加工溝の形成速度に差が生じる。すなわち、図12において、給電子ユニット6a〜6dから被加工物5までのワイヤ長には、被加工物5の同一側に設置された2つの給電子ユニット間の設置間隔分の差がある。
具体的には、給電子ユニット6aと被加工物5との間のワイヤ長は給電子ユニット6bと被加工物5との間のワイヤ長より長く、給電子ユニット6dと被加工物5との間のワイヤ長は給電子ユニット6cと被加工物5との間のワイヤ長より長い。この差が切断ワイヤの抵抗値の差となり、同一の電源電圧が印加されてもわずかに加工電流に差を生じ、加工速度の差となる。したがって、図12に示した給電子ユニット6a〜6dの配置の場合、切断ワイヤ部CLにおける被加工物5への加工溝の形成速度は、給電子ユニット6bおよび6cに接触されたワイヤ3の方が給電子ユニット6aおよび6dに接触されたワイヤ3の方よりもわずかに速くなる。
したがって、本発明の実施の形態5に係るワイヤ放電加工装置200に使用する制振ガイドローラ7aおよび7bとして、太さが回転軸方向に変化せず、深さが同じ複数のワイヤ案内溝が回転軸を中心として同心円状かつほぼ等間隔に形成されている通常のガイドローラを用いても、わずかな差ではあるが、給電子ユニット6bと6cに掛けられる切断ワイヤ間のウエハがもっとも速く切り出され、次いで、給電子ユニット6aと6cもしくは給電子ユニット6bと6dに掛けられる切断ワイヤ間のウエハが切り出され、給電子ユニット6aと6dに掛けられる切断ワイヤ間のウエハがもっとも遅く切り出される。この場合、切断部分に応じた通線経路を確保しておくことで、被加工物5は任意の位置で切断されることが無くなり、未加工の被加工物5に対しても給電経路を確保することができるので、切断終了直前で給電不良によるワイヤ断線を防止でき、板厚がそろった高精度なウエハを加工することができる。
さらに、本発明の実施の形態5に係るワイヤ放電加工装置200に使用する制振ガイドローラ7aおよび7bにおいて、ワイヤ3が制振ガイドローラ7aおよび7bの下側面のワイヤ案内溝で切断ワイヤ部CLを支持するように掛けられる場合、給電子ユニット6aおよび6dに掛けられるワイヤ3のワイヤ案内溝の方が給電子ユニット6bおよび6cに掛けられるワイヤ3のワイヤ案内溝よりも深くなるように加工しておく。即ち、給電子Kに接触するワイヤ3を支持する制振ガイドローラ7aおよび7bのワイヤ案内溝の深さを、当該給電子Kと放電加工領域(放電加工時の被加工物5)との間のワイヤ3のワイヤ長に依存させる。この溝の深さの差は、投入エネルギによっても影響されるが、概略ワイヤ直径〜ワイヤ直径の1/4程度でよい。
なお、ガイドローラ7aおよび7bの上側面の溝で切断ワイヤ部CLを案内する場合、ワイヤ案内溝の深さは、給電子ユニット6bおよび6cに掛けられる切断ワイヤのワイヤ案内溝の方が、給電子ユニット6aおよび6dに掛けられる切断ワイヤのワイヤ案内溝よりも深くなるように加工される。
また、上記では、ワイヤ案内溝の深さに変化をつけて対応する場合について説明したが、ワイヤ案内溝の深さは一定にして、実施の形態1乃至3の制振ガイドローラ7aおよび7bに示したように、制振ガイドローラ7aおよび7bの回転軸周りのワイヤ案内溝の径に変化をつけても同様な効果が得られることはいうまでもない。
上述のようなワイヤ放電加工装置200の構成を用いることで、給電子ユニット6bと6cに掛けられる切断ワイヤ間のウエハがもっとも速く切り出され、次いで、給電子ユニット6aと6cもしくは給電子ユニット6bと6dに掛けられる切断ワイヤ間のウエハが切り出され、給電子ユニット6aと6dに掛けられる切断ワイヤ間のウエハがもっとも遅く切り出される。この場合、切断部分に応じた通線経路を確保しておくことで、被加工物5は任意の位置で切断されることが無くなり、未加工の被加工物5に対しても給電経路を確保することができるので、切断終了直前で給電不良によるワイヤ断線を防止でき、板厚がそろった高精度なウエハを加工することができる。
以上説明した実施の形態2乃至5にかかるワイヤ放電加工装置においても、実施の形態1と同様に、ワイヤ放電加工を実行するために被加工物5と切断ワイヤ部CLを相対的に接近させる方法としては、切断ワイヤ部CLの下方から被加工物5を上昇させるのみならず、切断ワイヤ部CLの上方から被加工物5を下降させることも可能である。
また、実施の形態1乃至5にかかるワイヤ放電加工装置において、制振ガイドローラ7aおよび7bのワイヤ3との接触部としては絶縁性セラミックスを用いることができる。使用するセラミックス材料としては、例えば、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ないしそれらの複合セラミックスやマシナブルセラミックスを用いることができる。また、実施の形態1乃至5にかかるワイヤ放電加工装置を用いて切断加工する被加工物5は限定されるものではないが、被加工物5を半導体素材とすると複数枚の半導体ウエハを作製することが可能である。被加工物5としては、例えば、スパッタリングターゲットとなるタングステンやモリブデンなどの金属、各種構造部材として使われる多結晶シリコンカーバイド(炭化珪素)などのセラミックス、半導体デバイス作製用のウエハ基板となる単結晶シリコンや単結晶シリコンカーバイド、あるいは、ガリウムナイトライド(GaN、窒化ガリウム)などの半導体素材(半導体結晶)、太陽電池用ウエハとなる単結晶または多結晶シリコンなどを対象とすることができる。そしてこのとき半導体ウエハを切り出す順番を、上述したように被加工物5の部位に依存した予め定めた順番とすることが可能である。これにより、被加工物5が切断されることによって放電加工による放電電流の経路が寸断されることがなく、安定したワイヤ放電加工を実現し、ウエハの生産性と加工精度を向上させることができる。
さらに、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、上記実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。更に、異なる実施の形態1乃至5にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以上のように、本発明にかかるワイヤ放電加工装置および半導体ウエハ製造方法は、半導体素材全般のワイヤ放電加工に有用であり、特に、炭化珪素などのように硬度が高いため、機械式ワイヤソーによる方式では生産性が低く、加工精度が低い素材の加工に適している。
1a、1b、1c、1d メインガイドローラ
2 ワイヤボビン
3 ワイヤ
CL 切断ワイヤ部
PS 並列ワイヤ部
4 ワイヤ巻取りボビン
5 被加工物
6a、6b、6c、6d 給電子ユニット
7a、7b 制振ガイドローラ
K 給電子
GR ワイヤ案内溝
8a、8b ノズル
9 ステージ
10 加工電源ユニット
20、30 給電線
60 ワイヤ案内ユニット
61 支持棒
91 ノズル本体
92 噴出口構成板
93 噴出口
94 逃げ口構成板
95 逃げ口
100、200 ワイヤ放電加工装置

Claims (18)

  1. 放電加工領域を挟んで平行に設置された第1および第2メインガイドローラと、
    前記放電加工領域と第1メインガイドローラとの間に設置され、ワイヤを案内するための複数のワイヤ案内溝が回転軸を中心として同心円状に離間して形成された第1制振ガイドローラと、
    前記放電加工領域と第2メインガイドローラとの間に設置され、前記ワイヤを案内するための複数のワイヤ案内溝が回転軸を中心として同心円状に離間して形成された第2制振ガイドローラと、
    を備え、
    前記ワイヤを第1および第2メインガイドローラ、第1および第2制振ガイドローラを一定のピッチで離間しながら複数回巻き掛けることにより並列ワイヤ部を形成し、前記放電加工領域にて前記並列ワイヤ部により前記並列ワイヤ部の下方から被加工物を上昇、もしくは、前記並列ワイヤ部の上方から被加工物を下降させつつ放電加工するワイヤ放電加工装置であって、
    第1および第2制振ガイドローラの回転軸周りの前記ワイヤ案内溝の径は回転軸方向の位置に依存して変化している
    ことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  2. 第1および第2制振ガイドローラの回転軸周りの前記ワイヤ案内溝の径は隣接する前記ワイヤ案内溝同士で異なっている
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
  3. 前記放電加工領域に張られる前記ワイヤを直接保持する第1制振ガイドローラの前記ワイヤ案内溝と第2制振ガイドローラの前記ワイヤ案内溝のそれぞれの径は略同一である
    ことを特徴とする請求項2に記載のワイヤ放電加工装置。
  4. 第1および第2制振ガイドローラの前記ワイヤ案内溝は前記回転軸方向に等間隔で離間しており、前記回転軸周りの前記ワイヤ案内溝の径は、前記回転軸の中心部で最大で、第1および第2制振ガイドローラの前記回転軸方向の両端に近づくほど減少し、第1および第2制振ガイドローラの両端部で最小となる
    ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ放電加工装置。
  5. 第1および第2制振ガイドローラの前記ワイヤ案内溝は前記回転軸方向に等間隔で離間しており、前記回転軸周りの前記ワイヤ案内溝の径は、前記回転軸の中心部で最小で、第1および第2制振ガイドローラの前記回転軸方向の両端に近づくほど増大し、第1および第2制振ガイドローラの両端部で最大となる
    ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ放電加工装置。
  6. 第1および第2制振ガイドローラの前記ワイヤ案内溝は前記回転軸方向に等間隔で離間しており、前記回転軸周りの前記ワイヤ案内溝の径は、第1および第2制振ガイドローラそれぞれの前記回転軸方向の一方の端で最小で、他方の端に近づくほど増大し、他方の端で最大となる
    ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ放電加工装置。
  7. 第1および第2制振ガイドローラの下面側の前記ワイヤ案内溝によって前記ワイヤを並列させる場合は、前記被加工物の切断される領域の外側に加工電源からの給電線を接続し、
    第1および第2制振ガイドローラの上面側の前記ワイヤ案内溝によって前記ワイヤを並列させる場合は、前記被加工物の前記切断される領域のほぼ中央部に前記加工電源からの給電線を接続する
    ことを特徴とする請求項4に記載のワイヤ放電加工装置。
  8. 第1および第2制振ガイドローラの上面側の前記ワイヤ案内溝によって前記ワイヤを並列させる場合は、前記被加工物の切断される領域の外側に加工電源からの給電線を接続し、
    第1および第2制振ガイドローラの下面側の前記ワイヤ案内溝によって前記ワイヤを並列させる場合は、前記被加工物の前記切断される領域のほぼ中央部に前記加工電源からの給電線を接続する
    ことを特徴とする請求項5に記載のワイヤ放電加工装置。
  9. 第1および第2制振ガイドローラの下面側の前記ワイヤ案内溝によって前記ワイヤを並列させる場合は、前記ワイヤ案内溝の径が最小の側であって前記被加工物の切断される領域の外側に加工電源からの給電線を接続し、
    第1および第2制振ガイドローラの上面側の前記ワイヤ案内溝によって前記ワイヤを並列させる場合は、前記ワイヤ案内溝の径が最大の側であって前記被加工物の切断される領域の外側に加工電源からの給電線を接続する
    ことを特徴とする請求項6に記載のワイヤ放電加工装置。
  10. 前記ワイヤ案内溝の第1および第2制振ガイドローラのローラ部表面からの深さは一定である
    ことを特徴とする請求項4、5または6に記載のワイヤ放電加工装置。
  11. 前記ワイヤ案内溝の第1および第2制振ガイドローラのローラ部表面からの深さを前記回転軸方向に変化させる
    ことを特徴とする請求項4、5または6に記載のワイヤ放電加工装置。
  12. 第1および第2制振ガイドローラは、前記ワイヤ案内溝の単位で分割可能な複数のユニットで構成されている
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置。
  13. 第1メインガイドローラと第1制振ガイドローラとの間に張られた前記ワイヤを押し付けて接触し給電する第1給電子ユニットと、
    第2メインガイドローラと第2制振ガイドローラとの間に張られた前記ワイヤを押し付けて接触し給電する第2給電子ユニットと、
    をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置。
  14. 第1メインガイドローラと第1制振ガイドローラとの間に張られた前記ワイヤを押し付けて接触し給電する複数の第1給電子と、
    第2メインガイドローラと第2制振ガイドローラとの間に張られた前記ワイヤを押し付けて接触し給電する複数の第2給電子と、
    をさらに備え、
    複数の第1給電子は、前記回転軸方向に並んだ複数の第1給電子列のいずれかに属し、且つ隣接する前記ワイヤに接触するそれぞれの第1給電子は異なる第1給電子列に属し、
    複数の第2給電子は、前記回転軸方向に並んだ複数の第2給電子列のいずれかに属し、且つ隣接する前記ワイヤに接触するそれぞれの第2給電子は異なる第2給電子列に属し、
    第1および第2制振ガイドローラに形成されている前記ワイヤ案内溝の深さは、当該ワイヤ案内溝が支持する前記ワイヤに接触する第1および第2給電子と前記放電加工領域との間の前記ワイヤのワイヤ長に依存している
    ことを特徴とする請求項1、2または3に記載のワイヤ放電加工装置。
  15. 第1および第2制振ガイドローラに形成されている前記ワイヤ案内溝の前記回転軸周りの径は、当該ワイヤ案内溝が支持する前記ワイヤに接触する第1および第2給電子と前記放電加工領域との間の前記ワイヤのワイヤ長に依存している
    ことを特徴とする請求項14に記載のワイヤ放電加工装置。
  16. 第1および第2制振ガイドローラの前記ワイヤとの接触部は絶縁性セラミックスで形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置を用いて、前記被加工物である半導体素材から複数枚の半導体ウエハを作製する
    ことを特徴とする半導体ウエハ製造方法。
  18. 複数枚の前記半導体ウエハを所定の順番で切り出す
    ことを特徴とする請求項17に記載の半導体ウエハ製造方法。
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